3次元表現技術の連携がもたらす新たな世界、広がる可能性
デザインフェスティバルのDay2(2018年11月15日)オープニングは、当社代表取締役社長の伊藤裕二による開会あいさつを受け、株式会社Shade3D代表取締役の笹渕正直氏が「VRコンテンツの需要とShade3Dの今後」と題して特別講演。
同氏はまず、VR、AR、MR、S3D、3DPM、BIM、CIM、3DプリントなどのVR関連要素技術をトレンドキーワードとして列挙。
その上で、1)CGの原点となるASCII ARTに象徴される1970年代、2)PCの処理能力が向上し、ラジオシティ法が開発されてリアルな表現を実現しつつも静止画時代の1980年代、3)パストレーシングやフォトマッピングが開発されて静止画から動画時代へ移行する1990年代、4)映像制作から3D
CAD、アクションゲームまでCG利用の裾野が広がり、コンテンツの高品質化が進んだ2000年代、5)UC-win/Roadに代表される要素技術の複合化が進み、大量の3Dコンテンツの需要が生まれ、BIMやCIMといったコンテンツの最適化が指向された2010年代―という流れを回想。 |
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株式会社Shade3D代表取締役
笹渕 正直 氏 |
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次いで、統合型の3Dコンテンツ制作ソフト「Shade3D」の基本機能(モデリング、レンダリング、アニメーション、3Dプリント)や特徴(光沢のあるパイプの曲線やしっとりしたレザーの質感など)、適用分野、商用事例を紹介。低価格のホビー向けCGソフトというかつてのイメージから脱却すべくVer.16、17、18と段階的に建築ユーザー向け機能を強化。最新版(Ver.19、2018年11月末リリース)では、NURBSモデラ―に加えアセンブリ機能、測定機能、STEP/IGES変換対応などの3D
CAD機能を搭載。さらにCG機能も充実し、全グレードで完全サブスクリプション対応、多言語対応(日本語・英語・中国語版を同時にリリース)、UC-win/Roadとの連携も実現すると説明。最新版のデモを挟み、2019年1月1日をもってフォーラムエイトに吸収合併される予定で、今後は当社の標準モデラ―を目指したいとの考えを述べました。 |
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表技協新会長の長谷川章氏による特別講演と第2回羽倉賞発表
第4回 最先端表技協・最新テクノロジーアートセッションは、2018年8月より表技協の会長に就任したデジタルアーチストの長谷川章氏による特別講演でスタート。同氏は「地球上のコンピューターネットワーク網をニューロン、個々のユーザーをシナプスと見立てると、地球はすでに巨大な脳である」として、数々の「デジタル掛け軸」のプロジェクトも紹介しました。続いて、第2回となる羽倉賞の発表と表彰式を実施。今年は羽倉賞/フォーラムエイト賞/奨励賞(5作品)の計7作品が選ばれました。羽倉賞に輝いたのは、富山大学芸術文化学部/富山市科学博物館の「どんぶりdeプラネタリウム」。これは、どんぶり内部という半円球のキャンバスに描いた絵を魚眼レンズで撮影しプラネタリウムのドームに投影することで簡単に全天周画像を生成するもの。こどもも簡単に作れる点や、プラネタリウムが身近なアートデバイスとなり「誰でも参加可能なイベント製品になりえる」(長谷川会長)ことが評価されました。
今回より新設された企業賞のフォーラムエイト賞は愛知工科大学工学部の「AR災害疑似体験アプリ Disaster Scope」。スマートフォンと紙製ゴーグルを用いて浸水や火災による煙の発生状況を現実風景に重ね、CG表示するもので、体験者が被災リスクを正確にイメージし危機感を実感できます。長谷川会長からは、「非常に社会性のある作品であり、全国の学校に配布され防災意識向上につながればよい」とコメントがありました。
奨励賞は、遠隔運動視点リアルタイム全天周立体視体験システム「TwinCam Go」(首都大学東京システムデザイン学部)、リアルタイム映像合成技術の「9時集合で」(東京藝術大学)、水木しげるロードの夜間照明演出「夜の妖怪の世界」(境港市 水木しげるロードリニューアル 夜間景観デザインチーム)、高輝度・高精細な大場面ディスプレイ・コンテンツの「エクスペリエンスウォール」(凸版印刷株式会社)、一般的な3Dプリンタや、UVプリンタで実現できる。一般的な3DプリンタやUVプリンタで実現できる「複数画像を表示するような微細な構造の設計法」(株式会社ドワンゴ)がそれぞれ受賞しました。
受賞式終了後は、表技協の活動について発表。傘木宏夫氏(NPO地域づくり工房代表)より、2018年10月26日に実施された「表現技術検定(建設ICT)」の実施報告および、2019年4月に実施予定の第2弾「表現技術検定(まちづくり)」の概要が紹介されました。
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表現技術検定(建設ICT) |
受賞者の皆様 |
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UC-win/Roadの先進的活用を模索するユニークなプロジェクトの報告
国際VRシンポジウムでは、世界各国・各分野からの大学研究者が参加して毎夏実施されるワークショップと参加メンバーの研究成果を発表。アリゾナ州立大学 小林佳弘氏が代表となって活動を続け今回11回目を迎えた同プロジェクトは、UC-win/Roadの先進的な活用を模索するユニークな研究開発を多数進めています。2018年のワークショップは、メンバーであるシュナベル氏が所属するビクトリア大学ウェリントン(ニュージーランド)での開催でした。
シンポジウム最初の発表は、シェンカル工科デザイン大学 Ruth Ron氏とロバートゴードン大学 Amar Bennadji 氏による「UC-win/Roadアドバンスユーザエクスペリエンス」。カメラモデルとして、静的、ドローン、車載カメラなどを追加し、全周囲のアウトプット実現を目指すものです。アイコンクリック時の音声チュートリアル追加を改善事項として挙げ、スモールスクリーンでのチュートリアル再生とメインスクリーンでのプロジェクト継続作成、言語変更なども可能としました。
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Ruth Ron氏(左)
Amar Bennadji 氏(右) |
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続いては、大阪大学 福田 知弘氏とカリフォルニア大学 Marcos Novac氏による「汎用画像処理シミュレーションフレームワーク」。前年に発表したオブジェクトのセグメンテーションの種類を増やし、人や車などの動的な速度、加速度、地形・距離、時間に応じて表現が変わるようになっています。また、リアルタイムでのモデル、スピード、高さ等に応じたシェーダー機能も改善されました。
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福田 知弘 氏(左)
Marcos Novak 氏(右) |
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「BIMと駐車場の新たな展望」と題した、同済大学設計創意学院 Kostas Terzidis 氏とピサ大学 Paolo Fiamma 氏による発表では、シミュレーション機能を有するUC-win/RoadとBIMソフトウェアとの連携をIFCで実現し、国際プロジェクトへの適用を目指すことに言及。欧州で課題となっているキャンパー駐車場スペースがパーキング活用の新たな提案となり、使用者目線でのVR検討がUC-win/Roadで行えることに触れました。
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Kostas Terzidis氏(左)
Paolo Fiamma 氏(右) |
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次に、バージニア工科大学のThomas Tucker氏とDongsoo Choi氏が「VRを活かした発掘作業管理と考古資料電子保存システム開発」と題して発表。遺跡調査の発掘作業における、ドローンによる写真測量や点群モデリングなどの過程をUC-win/Roadで保存することで効率的に管理できることを述べました。今後はGPS位置情報への対応も検討しているということです。
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Dongsoo Choi氏(左)
Thomas Tucker氏(右) |
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ジョージア工科大学 Matthew Swarts氏とヴィクトリア工科大学 Marc Choi氏は、「VRインタラクティブ型エンタテインメントデバイスの開発」について発表。フィジカルとバーチャルをつなぐインタラクティブなシステムとして、磁気トレインシステムによるトラフィックキットを用いた教育システムを紹介しました。これにより個々の電車のスピードやパスの変更も可能となり、今後はライトなども付加した教育用キットとしての販売も視野に入れています。
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Matthew Swarts氏(左)
Marc Aurel Schnabel氏(右) |
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最後に、「マーシンラーニングと機械制御技術の教育フレームワーク」と題して、アリゾナ州立大学 小林 佳弘氏とニュージャージー工科大学 楢原太郎氏による発表が行われました。AIの理解を深める方法として、体験型のAIの学習課題から機械制御への応用までを学べるシステム構築を検討。UC-win/Roadのログ情報に画像データの出力も可能とし、ラズベリーパイを使ってロボットに学習後のデータを受け渡すこともできます。異なるコースも学習結果を基に走行することができるようになり、別のモデルやソフトでの検証も可能となるということです。
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World16代表 小林 佳弘 氏(左)
楢原 太郎 氏(右) |
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今回のシンポジウムの成果について、フォーラムエイトVR開発マネージャのペンクレアシュ・ヨアンは、「実際に製品機能に組み込んでいきたいものが多い。中でも、トーマス氏、ドンソー氏のVR発掘調査電子保存システムは、4Dシミュレーションのガントチャートにてすでに実装を予定している。」として、総括しました。
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全セッション終了後の懇親会で行われたアカデミー奨励賞表彰の様子 |
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実用的でプロフェッショナルな作品が多数登場
UC-win/Road、VR-Cloud®の開発キット等を活用したプログラミング技術を競う第6回CPWC。審査委員長の福田知弘氏(大阪大学大学院 准教授)は、開催にあたって、2020年度以降小学校でのプログラミングが義務教育となる中でのこのコンペの意義について触れ、最終審査がスタートしました。各ノミネートチームのプレゼンでは「自動運転とAIなどの複合的なものが多く内容も高度化している」「センサとの連動などプロフェッショナルな内容が増えている」といった意見が審査員から寄せられ、ハイレベルなコンテストとなりました。
グランプリを受賞したTech.Dives(パキスタン/タキシラ工科技術大学)の「Autonomous Truck Loader using OpenCV」は2つのモジュールで構成された作品で、UDPプロトコルによりUC-win/Roadと通信。トラックに取り付けられたフロントカメラが物体・車線を検出し、ゴミや雪を持ち上げるたびにメッセージが表示されるものです。「チャレンジャブルな部分が多く、ディープラーニングを活用して除雪やごみ収集を実現している点を評価した」(福田審査委員長)。
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受賞者の皆様 |
グランプリ表彰 |
公開プレゼンテーション
(タキシラ工科技術大学) |
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ワールドカップ賞は今年もハイレベルな台湾から
第8回VDWCのテーマは〜「共有化都市システム」が創る未来の上海〜。実行委員長の池田靖史氏(慶應義塾大学大学院教授/IKDS代表)は最終審査を前に、今回43チームから応募があり、ワールドカップという名前の通り年々国際化し非常に面白くなってきていることに触れました。各チームによるプレゼンでは、人間の活動の部分に焦点を当て、未来都市としてそれをどのように表現するのかという点をひとつのポイントとして審査を実施。グランプリを獲得した「Create
the sharable system of both space and facilities to promote the interpersonal
interaction and regional vitality Catalyst」(台湾/国立成功大学)は、課題となった地区における主なニーズがオフィスワーカーからのもので、ほとんどの活動がこの高層ビルの中で行われていることを考慮。労働・生活・通勤・休息の4つの側面にフォーカスし、資源利用の効率を改善しながら地域活性化を進める新しい都市のビジョンを実現するための空間・施設の両方の共有システムを作成しました。「この作品は高層ビルをつなぐ橋というもので共有化を図っており、シェアリングのアイデアがとびぬけていた」(池田実行委員長)。
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受賞者の皆様 |
グランプリ表彰 |
公開プレゼンテーション(国立成功大学) |
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パックン&阿部祐二氏もこどもたちの発想力に感嘆
冬休み、春休み、夏休みに小中学生向けワークショップとして開催されている「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」。この1年間に参加者が作成した作品をデザインフェスティバルの中で毎年表彰しています。今年はお馴染みのリポーター阿部祐二氏に加えて、弊社提供TV番組「Innovative Tomorrow VRが変えるあの業界の未来!」のMCも務めるパックンことパトリック・ハーラン氏が、VDWC・CPWCに引き続きコメンテータとして参加し、いっそうにぎやかな雰囲気に。ゴールドプライズ6作品、シルバープライズ4作品、ブロンズプライズ8作品が表彰されました。 |
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表彰式の様子 |
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