深礎フレーム Ver.7の新機能について紹介します。主な開発内容は、
- 対数グラフによる変位急増点(基礎降伏点)検索機能
- 立体モデルによる荷重分担率算出機能対応
- 動的変形係数EDの内部算定機能
- 地層データの入力改善(周面摩擦力度データ画面との統合)
などです。
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設計要領第二集平成22年4月版までは、「荷重〜変位関係から降伏の判定方法としては、杭の載荷試験などで用いられている (1)logP〜logS法、(2)ワイブル曲線などがあり、これらにより具体的な降伏位置を算定するのが望ましい。」としておりましたが、平成22年7月版では「logP〜logS法により具体的な降伏位置を算定するものとする」に義務化の方向性になりました。よって、本製品においてもこの対応を最優先事項と考えております。
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■図1 荷重〜変位図(イメージ図) |
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▲図2 logP-logS図(イメージ図) |
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(1)現状と問題点
現在、深礎フレームをご利用されているお客様は、組杭における荷重分担率を算出する場合に、次ページの図3に示すように2次元面外フレームモデルを作成し、単位強制変位荷重1mmを載荷(図中白丸)して、その結果として得られた反力から荷重分担率を算定しているケースが多いのではないかと考えられます。しかしながら、2次元フレーム解析では、たとえば、左右の杭に高低差がある場合、もしくは地盤条件が著しく異なった場合に、一方の杭に負反力が生じる場合があり、その場合は、荷重分担率が1以上となるなどの不都合が生じ、適切な荷重分担率の設定が困難になると考えられます。
▲図3 荷重分担率算出用2次元フレームモデル(現状)
(2)対策機能
Ver.7では、組杭における荷重分担率算出方法の一提案として、図4に示す立体モデル、すなわち、3次元フレームモデルで算出する機能を用意することにしました。使用プログラムは当社の「Engineer's
StudioTM(ES)」を予定しており、基本的には解析モデルを内部的に生成し、計算実行を行うだけで荷重分担率を求められるようになります。
立体モデルの作成に際して、前後の杭中心間隔などの必要データは、深礎フレームの入力データから設定します。前後のフレームを連結する部材は剛部材とします。荷重は、フーチング位置に1mmの強制変位を作用させ、地盤バネは前後同じバネ値とします。ただし、設計者の判断で地盤バネ強度の比率を変更できる仕組み(たとえば、後列の地盤バネを前列の地盤バネの50%にする)を用意する予定です。
立体モデルの荷重分担率は、列毎に反力を合計して算出します。現在、あるモデルをベースに、地盤バネ強度の比率を変更して荷重分担率の変化具合を確認するなどしておりますが、2次元解析のように、負反力が生じるようなことはないようです。
▲図4 荷重分担率算出用3次元フレームモデル(新機能)
(3)ESデータエクスポート機能
荷重分担率算出用3次元フレームモデルは、ESデータとしてエクスポートすることができます。
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地盤条件入力画面に動的変形係数EDを内部計算する処理が追加されます。動的変形係数ED(kN/m2)は以下のように計算を行います。
ED=2(1+νD)GD
GD=γt/g×VsD^2
VsD=cV・Vs
Vs<300の時 cV=0.8、
300≦Vsの時 cV=1.0
粘性土の時 Vs=100・N^(1/3)
(1≦Ni≦25)
砂質土の時 Vs=80・N^(1/3)
(1≦Ni≦50)
ここに、
νD:地盤の動的ポアソン比
GD:地盤の動的せん断変形係数(kN/m2)
γt:地盤の単位体積重量(kN/m3)
G:重力加速度(=9.8)(m/s)
VsD:地盤のせん断弾性波速度(m/s)
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地層データの入力改善(周面摩擦力度データ画面との統合) |
従来は、周面摩擦力を考慮する場合、周面摩擦力度データ画面で別途、地層データを入力する必要がありました。今回の改訂では、動的変形係数EDの内部算定のための地盤条件を勘案し、地盤条件入力画面に周面摩擦力度の算定に必要なデータを統合し、地盤条件入力画面のみ入力することで計算を行えるようにします。
しかしながら、旧版では地層数と周面摩擦力度の区間長が異なるケースがあるので、従来と同様に、周面摩擦力度データを地盤条件入力画面とは別に入力する方法もサポートします。
上記以外のご要望に関しても可能な範囲で対応を行う予定です。 |
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