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今回ご紹介する海外の土木IT関連Webサイトは、米国運輸省(USDOT : the U.S. Department of Transportation)のさまざまなITS(Intelligent
Transportation Systems:高度道路交通システム)プログラムを組織横断的にカバーする「ITS Joint Program Office(ITS
JPO:ITSジョイントプログラムオフィス)」です。
米国運輸省が取り組むさまざまなITSプログラム、それらを組織横断的に調整するITS JPO
広範にわたる最先端の情報通信およびエレクトロニクス技術を道路交通システムのインフラ、あるいは輸送機関そのものと統合し、道路交通の渋滞緩和や安全性改善、さらには国内経済の生産性向上に繋げようというITS。
上記Webサイトによると、米国運輸省のITSプログラムはインテリジェント(高度)な車両およびインフラ、さらにそれら二つのコンポーネントの統合による高度な運輸システムの創造に焦点を当てています。また、連邦ITSプログラムは主要なプロジェクトや予備研究、展開支援プログラムへの投資を通じITS全般の発展を推進。次第に、連邦政府の投資は安全性・移動性・生産性の改善に大きな効果が見込まれる主要プロジェクトへと向けられつつあります。
そうした中でITSマネジメント協議会は04年、とくに効果の高い9エリアにフォーカスし、ITSプロジェクトの役割を再編しました。そこでは具体的な対象として、
(1) Vehicle Infrastructure Integration(VII:車路統合)
(2) Next Generation 9-1-1(次世代 9-1-1)
(3) Cooperative Intersection Collision Avoidance Systems(CICAS:協調型交差点衝突回避システム)
(4) Integrated Vehicle Based Safety Systems(IVBSS:車両ベース統合化安全システム)
(5) Integrated Corridor Management Systems(統合型幹線道路管理システム)
(6) Clarus(陸上交通気象観測予報システム)
(7) Emergency Transportation Operation(緊急交通運用)
(8) Mobility Service for All Americans(全米市民向け移動性サービス)
(9) Electronic Freight Management(電子貨物管理)
― の各計画が挙げられています。
ITSマネジメント協議会の狙いは、連邦政府のITS政策を策定・指揮し、ITSプログラムの効果を確実にすること。そのため、メンバーには政策担当運輸次官をはじめ運輸政策および複合輸送担当次官補、米国運輸省の最高情報責任者(CIO)、米国連邦道路庁(FHWA)、連邦自動車運送安全局(FMCSA)、連邦公共交通局(FTA)、道路交通安全局(NHTSA)、調査・革新技術庁(RITA)、連邦鉄道局(FRA)、海事局(MARAD)などを含みます。06年5月にRITA長官が同協議会の議長に就任。同協議会に助言を与えるのがITS戦略計画グループで、ITSプログラム・マネジャーがその議長を務めています。
ITSジョイントプログラムオフィスは行政上、FHWAに設置されており、RITAの施策方針の下、FHWA・FMCSA・NHTSA・FRA・FTA・MARAD間でITS関連のプログラムを調整する組織横断的な権限を持つ形となります。
Webサイトでは、連邦政府によるITSプログラムの歴史としてまず、91年に成立した総合陸上輸送効率化法(ISTEA)に言及します。同法を受けて、ITSに関する調査・開発・実証試験を行うのと併せ、その導入を促すプログラムが制定されました。
プログラムは、効率性や安全性、陸上輸送の利便性を高める技術の展開を促進し、それらを通してアクセスの改善、人命保護や時間短縮、生産性の向上をもたらすべく意図。ITSの進展を加速するため、とくに(1)基盤的な研究開発 (2)基盤的研究と本格運用を繋ぐ実証試験 (3)統合化されたITS技術の導入を促すさまざまな支援活動
― の3つに重点を置き着手されています。
ISTEAは当初、92-97会計年度にわたるITS関連予算として6億5,900万ドルを認めたほか、特別な目的に対する基金を加え、総額およそ12億ドルが充てられることになりました。その後継法である21世紀陸上交通最適化法(TEA-21)では、98-03会計年度にわたって約13億ドルを予算化。05年度には、国会が安全で責任ある柔軟かつ効率的な交通平準化法
(SAFETEA-LU)を制定。そこでは、ITS展開プログラムを05会計年度で終了とする一方、ITS研究は09会計年度まで年間1億1,100万ドルの予算で継続することとし、ITS基金に加え、ITS関連プロジェクトは一般的な連邦補助道路基金の適用も認められています。
ITSに関する多彩な情報を搭載
トップページでは、正面に大きく「Current News(最新ニュース)」「FederalInitiatives Focus(注目のITSプロジェクト)」「Technical
Assistance Resources(技術支援資料)」「Other USDOT Program Activities(その他の米国運輸省プログラム)」「Decision
Making Resources(意思決定用資料)」 ― をそれぞれ配置。それらとは別に、ITSの定義や州ごとの関連情報などを紹介する「Overview(概観)」、さまざまなプログラムへリンクする「Focus
Area(注目エリア)」、ITS構想や関連する標準・通信について記述する「Foundational Framework(基盤的枠組み)」、ITS展開で求められるさまざまな情報のデータベースを提供する「Deployment
Support(展開支援)」 ― などのメニューも盛られています。
例えば、「Applications Overview(適用概観)」ではITSの適用分野としてインフラ(13)およびビークル(3)、合わせて16タイプのシステムに分類。各項目を選択すると、それぞれのシステム・ツリー、さらに個々の概念の説明が分かりやすくなされ、視覚的にも配慮されています。
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▲トップページ:
ITSジョイントプログラムオフィス(ITS JPO)
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▲「Applications Overview(適用概観)」に
掲載されているタイプ別インテリジェント化例 |
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この記事は、ITS JPOの許諾により上記サイトの内容に基づいて書かれています。
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(Up&Coming '07 秋の号掲載)
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