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Vol. 10
3D・VRを活用した参加と協働のまちづくりを紹介
「VRまちづくりシステムセミナー」初開催

自治体ソリューションの中に位置づけられるコンサルティングVRサービスとして提供中の「VRまちづくりシステム」。本システムのファシリテーターであり、昨年はVDWC第1回学生BIM&VRコンテストのワークショップ講師も務めた傘木宏夫氏(NPO地域づくり工房 代表、環境アセスメント学会理事)をお招きし、参加型まちづくりにおけるVR活用の意義や手法、事例についてご紹介するセミナーを初開催いたしました。

自治体など、まちづくりや景観計画などの事業に関わる方々に加えて、学生BIM&VRコンテストへの参加者も対象とした内容となっており、次回は2012年8月3日に開催する予定です。

▲ファシリテーターの傘木宏夫氏が
セミナー講師を務めた

 好評を集めた具体的な事例紹介

まちづくりにおけるVR活用の意義
セミナーの最初に、傘木氏はまず参加・協働におけるまちづくりの意義について説明。自治を育てること、持続可能な地域社会を構築すること、地域性・独創性への期待などの可能性について挙げました。一方で参加・協働の現実として、不十分な情報開示や、声をすくい上げることが難しい「サイレントマジョリティ」(人のみならず環境などさまざまなものを含む)、コンサルや行政、住民など立場の違いから生じるコミュニケーションギャップなどといった課題も挙げ、「理念だけではうまくいかない。ノウハウやツールをもって地域に入っていくファシリテーターの役割が非常に重要となってくる」と述べました。「このファシリテーターがVRを効果的なツールとして活用するのが、VRまちづくりシステムのメリットです」(傘木氏)。

UC-win/Roadの利点
続いて、ファシリテーターが用いるツールとしてのUC-win/Roadの利点についても解説。3次元のバーチャルな空間にさまざまな情報を「見える化」して、住民や利害関係者の理解や判断を支援すること、図面や模型などと比較した際の代替案検討の容易さ、さまざまなシミュレーションと組み合わせて利用することで、計画情報や技術情報をわかりやすく伝えるとともに、潜在的なリスクやポテンシャルに対する住民の気付きを引き出すことができるというメリットについて説明しました。

傘木氏が関わったVR活用の事例
 このようなVRの利点や効果的な活用方法を、傘木氏が実際に関わった事例のデータを用いながら解説したパートは、参加者の皆様より「具体的な説明が豊富でわかりやすかった」と、好評を集めました。

 まず最初に、須磨(神戸市)での震災復興道路計画について紹介。住民の反対運動と和解、協働の道路設計など、VR活用の経緯から取り組み内容までを、当時のVRデータを用いて説明しました。二番目の中目黒地区「安心・安全マップ」づくりでは、取り組みにおけるワークショップ手法の効果についても紹介。オフィス街・商店街・住宅地などが混在する中目黒駅周辺で行った計画において、第1段階ではタウンウォッチングとマップづくり、第2段階ではそれらの情報をVR空間に反映したものを用いて行ったワークショップについて、資料とVRデータをもとに解説しました(画像1〜6)。

中目黒安心・安全マップ
画像をクリックすると大きな画像が表示されます。 画像をクリックすると大きな画像が表示されます。 画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
▲1:中目黒全体の俯瞰 ▲2・3:裏道の様子(昼と夜)
▲4:商店街の賑やかさ ▲5:地下店舗の浸水の危険 ▲6:事故多発地帯の交差点

セミナー内で紹介した「中目黒安心・安全マップ」使用VRデータによる、さまざまな検討イメージ。参加型まちづくりにおけるVR活用の意義についてわかりやすく説明した。

 そのほかにも、事業者からの相談で行った工場跡地利用の提案活動、土採にあたっての簡易アセスメントにおける市民提案の可視化など、さまざまなケースを説明。さらに、「VR活用による参加型まちづくりの優れたヒントの宝庫。VRのもつ特長である「可変性」を生かしたアイデアやノウハウがつまっている」(傘木氏)として、フォーラムエイトの「3D・VRシミュレーションコンテスト」の受賞作品紹介も行われました。

最後に、VRまちづくりシステムの今後の活用可能性について傘木氏は、東日本大震災の復興支援におけるファシリテーターの必要性や環境アセスへの活用、特に「戦略アセス」の項目で近年重要視されている複数案検討のツールとして、VRが効果的に活用できることなどについて触れました。

学生BIM&VRコンテスト オン クラウドの紹介も
さらに、傘木氏が昨年講師を務めた第1回学生BIM&VRコンテストのワークショップの様子も、合意形成ツールとしてのVRの可能性をさらに広げるVR-Cloud®の活用事例として解説。フォーラムエイト担当者によるBIM&VRソリューションと併せて紹介を行いました。


JIA全国学生卒業設計コンクール2012
特別協賛スポンサーとしてフォーラムエイトも出展


フォーラムエイトは、「JIA全国学生卒業設計コンクール2012」(主催:社団法人 日本建築家協会(JIA))に、特別協賛スポンサーとして出展いたしました。

本コンクールでは、毎年JIA各支部、地域会から選ばれた卒業設計の優秀作品が集合し、公開審査が行われます。作品には手描き風の表現が多かったものの、実際はBIMソフトを導入している学生が多く、Virtual Design World Cup 第2回 学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド案内の展示を行ったフォーラムエイト展示ブースでも、コンテストへの興味・関心が集まっていました。

▲公開審査の様子 ▲金賞受賞作品
(京都大学 西原 将、近畿支部選出)
▲フォーラムエイト展示ブース




     
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(Up&Coming '12 夏の号掲載)
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