フォーラムエイト デザインフェスティバル 2015-3Days+Eve
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●日時:2015年11月17日(Eve)、18〜20日 ●開催地:品川インターシティ ホール/フォーラムエイト東京本社 |
(Up&Coming 2016年1月号) |
VRがもたらす様々なブレークスルーの兆し
デザインフェスティバルのDay1(2015年11月18日)は午前、FORUM8ショールームにおいて「第16回 UC-win/Road協議会(VRコンファランス)」<ドライビングシムセッション>の序章となるVRを活用した各種システムの展示およびデモンストレーションでオープン。次いで午後からは、品川インターシティホールで同セッションの各講演へと引き継がれました。
DSシステム構築の最新トレンドとそれを支える各種先進技術
当社代表取締役社長 伊藤裕二による開会挨拶を受け、「UC-win/Road協議会」の<ドライビングシムセッション>は名城大学理工学部情報工学科の中野倫明教授による特別講演「高齢ドライバの安全運転を目指した運転能力測定シミュレータの展望〜これまでの研究成果と今後の研究、課題を展望する〜」で始まりました。まず、最近の自動車分野における研究開発の動向、とくに自身が取り組む安全・安心に向けたアプローチ、そこでのUC-win/Roadを利用したDSの活用可能性について概説。その上で高齢者が関わる事故の現状と、事故パターンに基づく運転能力(認知機能)低下の及ぼす影響などを整理。併せて、運転免許更新時の運転能力チェックを巡る流れと現行制度の課題、それらを踏まえた事故低減のための各種安全対策へと言及します。そのような背景から高齢者の運転能力を測定・評価する意義、自身らが開発した運動能力測定シミュレータの特性とメリットに触れた後、新しい運転能力評価の考え方、注意・視空間認知・遂行の各機能の具体的な測定・評価手法を説明。高齢者の運動能力向上に向け同シミュレータを応用する実験やその結果について解説。さらにDSの課題の一つ「シミュレータ酔い」に関する考察へと話を展開。運転能力評価の向上、認知症や白質病変の事故との関係、より高精度な認知機能の検査といった今後の研究方向にも触れました。
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■名城大学理工学部情報工学科 教授 中野倫明 氏 |
続いてdSPACE Japan株式会社代表取締役社長の宮野隆氏が「モデルベース開発プロセス最新潮流〜HILテスト開発環境最新情報、VR環境連携システム活用の可能性〜」と題して特別講演。初めに、ドイツ本社を中心に世界中で各種メカトロニクス制御システムの開発やテスト用ツールの提供を行う自社のプロフィールを紹介。次いで、複雑化・増大化するソフトウェアの開発にあたってシステマティックかつツールを利用するアプローチの必要性、モデリングやシミュレーションの活用(モデルベース開発:MBD)の流れ、MBDのコンセプトおよびそれによるメリット、MBDでカギとなるとともに同社が提供するRCP、ACGおよびHILSの3フェーズの概念と特徴について解説しました。これを受け、MBDの適用例として先進運転支援システム(ADAS)開発にフォーカス。ADASの概念、その開発上の様々な課題とそれらを踏まえたADAS開発のトレンド(開発過程でのMIL、SIL、HIL、DILおよび実車を組み合わせたテスト)を整理。さらに、そこでの同社の戦略として仮想検証、RCP、HILシミュレーションの概念や構成、特徴について具体的な適用事例やユーザ事例(動画)も交えて説明。仮想検証と実車によるテストを組み合わせたアプローチの今後の重要性にも触れます。
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■dSPACE Japan株式会社 代表取締役社長 宮野隆 氏 |
休憩を挟み最初の特別講演は、京都大学大学院工学研究科の谷口栄一教授による「IoT時代のシティロジスティクスおよびドライバの脳血流動態と運転負担の研究最前線」。講演の前半は20世紀後半から今日に至るICT(情報通信技術)や社会などの環境変化、それを反映したロジスティクスの変遷を整理。
そのうち、市場経済の枠組みの中で交通や環境に関わる様々な問題を考慮しつつICTを駆使して都市部のロジスティクスや輸送活動を全体として最適化しようというシティロジスティクスの概念やその特徴を解説。インダストリー4.0への流れも視野に、新たなプラットフォームとして多様な可能性が期待されるシティロジスティクス4.0の世界を描きます。一方、後半は当社DSとNIRS(近赤外分光法)を利用して取り組むドライバの脳血流動態と運転負担の研究へと話題を転換。同研究の動機と狙い、NIRSを適用した脳血流動態測定の概要と原理、自身らが行った実験の走行条件などを概説。車両速度と脳血流動態の変化や、(ITSを踏まえた)情報提供の有無によるドライバの前頭前野の賦活状況の変化といった実験結果について説明。最後にシティロジスティクスの今後の発展方向とそこでのポイント、DSとNIRSを活用する脳血流動態と運転負担に関する研究の有効性に言及しました。 |
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■京都大学大学院工学研究科 教授 谷口栄一 氏 |
この日4番目となる特別講演は、前半が株式会社バーチャルメカニクス代表取締役社長の滝田栄治氏による「車両運動シミュレーション最前線〜carSIM、truckSIM、bikeSIM」。自社プロフィールに触れた後、車両運動をシミュレーションする主力商品carSIM(米国メカニカルシミュレーション社)の主な機能(転倒試験など)、車両や路面、ドライバ運転の各モデルの特徴を動画も交えて紹介。車両モデルの歴史を辿る中で今日のcarSIMに至る、より高精度に再現するための技術的な流れやアニメーション機能の変遷を解説。それとともに広がるcarSIMの各種適用例、その一環としての当社DSとの連携にも言及。今後のターゲットとしてADASへの対応強化、リアルさを追究する多彩な機能について説明しました。
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■株式会社バーチャルメカニクス 代表取締役社長 滝田栄治 氏 |
同特別講演の後半は、株式会社ブイエムシーMotionSim事業部GM Sales&Marketingの永原明氏による「3次元複合物理運動シミュレーション開発ツール『AgX
Dynamics』のご紹介」。初めに、前出の株式会社バーチャルメカニクスの関係会社で広範な物理運動のシミュレーションを扱う自社の位置づけを提示。次いで、動画も交えて「物理演算エンジン」の概念とその効果、運動シミュレーションにおける同エンジンの用途とそれに応じた要求特性、各種ソリューションの性能を比較して解説。そのうちAgX
Dynamicsに焦点を当て、ソフトウェア開発ツールとしての機能に触れた後、高速計算性能とそれを利用した変形する地面の再現、ワイヤーシミュレーション、岩石・粉体や接触・摩擦のリアルタイムシミュレーション、他のアプリケーションとの連携などの特徴と併せ、今後の開発方向について説明しました。
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■株式会社ブイエムシー MotionSim事業部
GM Sales&Marketing 永原明 氏 発表資料 |
これらの講演を受け、「UC-win/Road Ver.11最新機能と今後の開発ロードマップ」と題し、当社担当者がプレゼンテーション。UC-win/Road最新版の主な機能として、CGレンダリングの品質向上、ユーザインタフェースのアップグレード、Oculus Riftプラグイン(有償オプション)、CAVEシステムとヘッドトラッキング、SfMプラグイン、線形パラメータ抽出機能、OpenStreetMapファイルへの対応、自転車シミュレーションとCycle Street連携プラグイン、運転診断プラグインの改良について紹介。さらに今後のUC-win/Road関連の開発ロードマップ、開発予定の各機能のポイントにも言及しています。
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■フォーラムエイト VR開発
テクニカルマネージャ Pencreach Yoann |
■フォーラムエイト 執行役員
システム営業マネージャ松田 克巳 |
同セッションの最後は、当社担当者によるプレゼンテーション「フォーラムエイト・シミュレータシステム開発事例紹介」。UC-win/Roadをベースとした各種シミュレータシステム構築の傾向、最近のハードウェアのラインナップについて解説。そうした一端として2015年6月に構築・納品した世界初の大型4K5面立体視ドライビング・シミュレータの性能や特徴、Oculus
Riftプラグインの概要、UC-win/Roadのカスタマイズで提供可能な機能などを説明しました。
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(執筆:池野隆)
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マイナンバーから改正特許法まで実務に関わる総務最新情報を紹介
本年より新たに、税務、会計、労務、法務などといった企業の総務に関連する最新情報をテーマとした「フォーラム総務セッション」が開催となり、本誌Up&Coming連載記事「フォーラム総務」でもお馴染みの専門家の先生方を特別講演にお招きして、各分野の最新・重要トピックについてわかりやすく紹介いただきました。いずれの講演も実務に密接にかかわる具体的な内容が多くを占め、多くの質疑応答が交わされました。
同セッションは、社会保険労務士小泉事務所 特定社会保険労務士の小泉正典氏より、「ここが聞きたい!マイナンバー/ストレスチェック」と題した特別講演1で幕開けとなりました。まさに導入間近で社会の関心を集める「マイナンバー制度」と2015年12月より実施義務の「ストレスチェック」について、制度の導入にあたっての業務の変更点や留意点、企業が取り組むべき対策など、企業が知りたい要点を丁寧に解説いただきました。小泉氏は、マイナンバーについては制度の概要に加えて社員教育、セキュリティ対策、保管方法などの対応や、これらの就業規則への反映といったポイントを、またストレスチェックについては、導入手順や実施方法についての具体的なアドバイスを挙げていました。
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■社会保険労務士小泉事務所 特定社会保険労務士 小泉正典 氏 |
続いての講演は、久次米会計事務所所長 公認会計士・税理士 久次米康成氏による「M&Aの戦略的活用」。M&Aにまつわる先入観による機会損失を回避し、M&Aを有効かつ戦略的に活用するためのポイントについて紹介しました。久次米氏は、M&Aは企業の『買収、合併』と日本語に訳されてきたことで従来ネガティブなイメージを持たれがちであったが、取り扱い業者が増え市場が大きくなるなど、M&Aを取り巻く環境が以前と大きく変わってきていること、また、今後の経営においては切っても切り離せない重要なものと考えるべきであることを説明。特にIT業界については、再編淘汰が進んでいること、サブスクリプション、期間利用や成果報酬型などといった新しいビジネスモデルやクラウドシステムの普及など、所有から利用へと移行しつつあり、供給ギャップが生じていることなどから、M&Aの観点でも大きなビジネスチャンスが見えてくる可能性が高いことを強調しました。 |
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■久次米会計事務所所長 公認会計士・税理士 久次米康成 氏 |
特別講演3は、「職務発明制度の改正について」をテーマとして、特許業務法人ナガトアンドパートナーズ 弁理士 小川英司氏による発表となりました。まず特許制度の趣旨・基本構造を解説した上で、特許を受ける権利とは何か、職務発明制度とはどのような制度なのか、そして、平成27年度特許法等の一部を改正する法律による変更点や適用時期などについて、特許法の専門知識がなくても理解しやすく、ポイントを絞って解説。改正後にも依然残る訴訟リスクや、特許の意対価算定に関わるコスト、特許利用形態の多様化による複雑化など、企業が留意すべき課題についても整理しました。
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■特許業務法人ナガトアンドパートナーズ 弁理士 小川英司氏 |
最後の特別講演は、中本総合法律事務所 弁護士 中本和洋氏および上田倫史氏による、「120年ぶりの民法改正が企業や個人にもたらす影響」。民法は社会の根幹を支える法律であり、次回通常国会で可決見通しとなっている民法改正案は、国民にわかりやすくすることと、社会・経済の変化への対応を目的とした抜本的な改正として、新聞報道等でも注目を集めています。両氏は、債権の消滅時効と法定利率、保証契約(定型約款や賃貸借)など、企業が知っておくべき重要なトピックに加えて一般市民の目線から見ても重要と思われる項目についても、「実務がどう変わるのか」という観点から、わかりやすく解説しました。
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■中本総合法律事務所 弁護士 上田倫史 氏 |
特別講演の後には、フォーラムエイト開発スタッフより、「フォーラムエイト基幹業務システムGroupwebの最新機能」と題して、自社開発運用を図っている保守管理、情報管理、販売・会計管理の基幹業務システム「GSS」と、製品問合せ対応や不具合・要望対応状況の管理、自社開発の会計管理システムによるトータルなCRM、GroupWebについて説明。また、GSSに組み込むストレスチェックシステムの構築、導入によるメンタルヘルスケアなど最新の取り組みについても紹介しました。 |
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■フォーラムエイト 大阪NIMチームリーダ補佐 高谷 俊也 |
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