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新製品紹介

●UC-win/Road Ver.5.0 その2 3次元リアルタイムVRソフトウェア

●ビデオウォール
  • UC-win/RoadのVR空間で動画を3次元オブジェクトとして再生できるようになりました。これにより、街頭の映像による広告ディスプレイなどの表現が可能になりました。UC-win/Road Ver.5では、PCのローカルに保存された動画ファイルを選択することでビデオウォールを設定できます。将来的には外部のビデオストリームも表示できるように開発を進める予定です。

    ■動画の描画方法
    動画像の各ピクセルを1つのポリゴンとして表示します。ポリゴンは基本的に正方形で、頂点の色をビデオピクセルの中央とマッピングし、ポリゴン内ではOpenGLにより色の補間を行います。動画ファイルのピクセル情報はDirectShowのインタフェースから取得しますが、DirectShowを使用することで多くのファイル形式に対応できます。また、別スレッドで動画ファイルを再生するので、パフォーマンスへの影響が軽減されます。
    動画のピクセルはポリゴンの配列として構成されているので、簡易なアルゴリズムで解像度を落とすことが可能です。画面上で小さく表示されるビデオウォールの解像度を自動的に減らす処理を実装しているので、多くのビデオウォールが設定できます。ビデオウォールの曲率半径の設定もできるので、曲面のスクリーンも表現可能です(図1)。
  • ▲図1 ビデオウォールの表現(渋谷スクランブル交差点)
 
●FBX機能
  • UC-win/Roadで対応する3Dファイル形式を拡張するため、UC-win/Road Ver.5からFBX、Collada、Alias OBJおよびDXFの各ファイル形式に対応させました。Autodesk社から無償で提供されているFBXのSDKを利用することで可能となっています。FBXからは以下の情報を読み取ることができます。
    • ノードの構造
    • 3Dメッシュデータ:パッチ・NURBSを3角形分割して、3Dメッシュとして読み取り
    • マテリアル:各チャンネル(表1:Ambient、Diffuse、Specular、Emissive)、テクスチャの画像とマッピング情報(Ambient、Diffuse、Emissive)、透明度

      チャンネル名 詳細
      Ambient 環境光に対する反射。空や近接の表面からの間接照明を平均化した簡易な表現のために使用
      Diffuse 拡散反射。各点光源に対して光沢がない表面の表現に使用 
      Specular 鏡面反射。各点光源に対して光沢がある表面の表現に使用
      Emissive 鏡光源ではないが自ら光る表面に使用 
      ▲表1 マテリアルのチャンネル詳細


    面を表示する際には、Ambient、Diffuse、Specularの3チャンネルを合わせて各チャンネルの割合を調整することで、さまざまな表現ができます(図2)。UC-win/Roadでは、夜間シミュレーションでEmissiveチャンネルを使用します。

    Ambient + Diffuse + Specular
     Ambient + Diffuse
     Ambient
    ▲図2 チャンネルの調整による表現の違い


  • なお、設定画面ではマテリアルにおいて以下のような属性を変更できます(図3)。
    • テクスチャの画像、縮尺、オフセット、回転
    • マテリアルの色、透明度
  • ▲図3 マテリアル属性の設定
 
 
●マルチスレッドと高速化
  • 表示と計算の速度を上げるための改訂を行いました。マルチコアCPU、あるいはマルチCPUのハードウェアを有効に使うために、複数機能において並列処理を実装しました。
    従来は、描画処理の一部として気象、布(旗)、3D樹木や環境の動きを計算していました。これらの計算処理は一連の演算で描画の前に行われていましたが、描画処理と独立させて同時に行うようにしました。また、交通流の計算においても、描画処理における独立性を改善しました。
    その他、描画関数の最適化を行い、主に道路、湖沼、自車のミラー、地形及び樹木の描画速度を向上させました。作成したデータにもよりますが、パフォーマンス改善の詳細は以下の通りになります(表2)。

     改善項目  速度における改善の度合
    並列処理 約20%
    描画  -
         道路 1〜5%
    湖沼・ミラー 60〜75%
    地形 15〜20%
    樹木 15〜20% 
    総合 30%〜110%
    ▲表2 パフォーマンス改善の詳細


●サンプルモデル3種類を提供
  • UC-win/Roadでは、プログラムをインストールすると使用できる、以下の3種類のサンプルデータを用意しています。ここでは各データを紹介します。
     1.ドライビングシミュレーション用VRモデル(ハイウェイドライブ)
     2.ローエンドマシン用スモールタウンモデル(日本平パークウェイ)
     3.ハイエンドマシン用都市計画VRモデル(京都市街地)

  • 1. ハイウェイドライブ(ドライビングシミュレーション用VRモデル)
    ゲームコントローラや実車型ドライブシミュレータで、ドライビングシミュレーションを体験できます。ドライビングシミュレーションのために高パフォーマンスな表示が可能で、高FPS(フレームレート)を確保しています。渋谷区幡ヶ谷から六本木に至る首都高速道路を再現し、道路の総延長距離は約29kmあります。トンネル内走行と料金所通過の2つのシナリオが設定されており、シナリオプラグインを利用することで、道路を走行しさまざまなイベントを体験できます。

    • シナリオ(1) Tunnel
      シナリオスタート後、トンネル内へ進入と同時に、ヘッドライトが点灯します。合流車に注意してトンネル内を走行します。トンネルを抜けるとヘッドライトが消灯します。

    • シナリオ(2) Tollgate:
      一般道からランプを上がってETCゲートを通過し、高速道路へ進入します。ETCゲートでは制限速度に注意しながら走行します。また、このシナリオでは気象の変化や渋滞が再現されています。

       
    ▲ハイウェイドライブ (1)Tunnelシナリオ   ▲ハイウェイドライブ (2)Tollgateシナリオ

  • 2. 日本平パークウェイ(ローエンドマシン用スモールタウンモデル)
    比較的ローエンドなPCでも動くよう作成されたライトなデータです。データの読み込み時間も短く作業も軽快で、ノートPCでの利用に適しています。静岡県にある日本平パークウェイを表現したデータで、全長約8kmのコースが設定されています。交通流の表現はもちろん、MD3キャラクタによる歩行者やブランコに乗る子供などといった人の表現、照明機能による街路灯、コンテキスト機能による雨や雪の気象、ラウンディング機能による路肩の法面の詳細な表現、火と煙の機能による野焼きの表現などがコンパクトにまとめられています。スクリプトを実行してこれらの機能を順にご覧いただくことも可能です。
    また、シナリオも設定されており、パークウェイでの走行をします。走行中のコンテキスト切替による雪や雨と曇天を組み合わせた気象の変化の表現や、照明機能とヘッドライト機能を利用したリアルな夜間走行も体験できます。
    データサイズも抑えられているため起動も比較的早く、それほどスペックの高くないPCでもUC-win/Roadの基本的な機能を一通りご覧いただくことが可能です。

       
    ▲日本平パークウェイ 「公園」   ▲日本平パークウェイ 「コンテキスト/雪」

  • 3. 京都市街地、渋谷交差点(ハイエンドマシン用都市計画VRモデル)
    「デジタルシティ」を視野に入れ、京都市街地を広範囲に渡り作成したデータです。大規模な都市環境を再現し、比較的ハイエンドなマシンでの動作を想定しています。「デジタルシティ」とは、さまざまな台帳やデータベース、GISで管理されていた都市情報を3次元都市モデルに移行し、これを基盤にした管理とシミュレーションを行う「都市シミュレータ」の構築を目指すものです。
    このデータでは、南北約5km東西約3kmの範囲に、道路構造として河原長通、烏丸通、御池通、四条通などの道路と交差点、鴨川、道路脇の街並みなどが表現されています。ランドマークとして京都駅、清水寺、東本願寺なども配置され、京都駅前の京都タワーや歩道の並木も詳細に表現されています。この都市構造を利用し、京都駅から京都大学までの道路における交通と各ランドマークや通りを紹介するスクリプトと、フェイクライトや照明機能による夜間の街並み、火と煙の機能による大文字焼(送り火)などを紹介するスクリプトを用意しています。シナリオでは四条通沿いの立体駐車場からスタートし、駐車場のランプを下り道路に出て、清水寺参道入り口までの走行が体験できます。

    ▲京都市街地


    このように、UC-win/Roadにおいて交通シミュレーション、昼間や夜間の景観シミュレーション、観光マップなど、デジタルシティとしてのさまざまな利用が可能です。これらは防災計画、広域避難や防犯計画にも応用可能です。
    最新のVer.5では、さらに「ビデオウォール」の機能を活用したサンプルデータがご覧いただけます。これは、モデルに映像を貼付けてVR空間の中で再生できる機能で、曲面での表示にも対応しています。データ中では、渋谷交差点の一部をモデル化して配置し、高層ビルの大型ディスプレイでのビデオ表示を表現しています。

    ▲ビデオウォール機能(渋谷交差点)
 

 関連セミナー
 UC-win/Road・VRセミナー
 ●日時 : 2010年 9月 10日(金) 9:30〜17:35   ●参加費 : \15,000 (税込 \15,750)
 ●大阪会場 : フォーラムエイト 大阪支社 OAPタワーセミナールーム

 UC-win/Road Advanced・VRセミナー
 ●日時 : 2010年 10月 8日(金) 9:30〜17:35   ●参加費 : \15,000 (税込 \15,750)
 ●東京会場 : フォーラムエイト 東京本社 GTタワーセミナールーム


■UC-win/Road Ver.5.0 リリース日:2010年 8月
(Up&Coming '10 秋の号掲載)
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