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今回のバージョンアップでは、直接基礎及び杭基礎時の安定照査拡張、落橋防止構造荷重の影響考慮、L2地震時のフーチング照査の部材照査拡張、基礎連動時の地盤種別の連動などの拡張を行い、広範囲にわたる機能強化を行っています。
●落橋防止構造荷重の影響考慮
不静定構造物であるラーメン式橋台に落橋防止構造からの荷重が作用する場合、形状の制限により落橋防止構造を設置する位置によっては逆T式橋台などの一般の静定構造物とは同じように照査できないことがあります。
ラーメン式橋台への落橋防止構造からの荷重の影響は、一般橋台(逆T)とは異なり死荷重作用時にも無視できない断面力が生じているために、死荷重Rd等の影響を考慮する必要があり、補修が困難な胸壁の破壊が上部構造の落下につながり、終局まで許容できるかが単純に判断できません。
そのため、形状によっては構造上明確に区分できないため、全体骨組構造として落橋防止構造からの荷重HF、死荷重反力、土圧(選択可)などの荷重をフレームモデルに組み合わせて作用させ、胸壁部材に作用するM、Sをフレーム解析により求めることで不静定構造物としても検討できるようにしています。
▲荷重組み合せ画面 |
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▲フレーム計算結果 |
●L2地震時のフーチング照査
Ver.3までは基礎プログラムとの連動制約のために、フーチング(前趾、中央部、後趾)の照査を省略していましたが、Ver.4では橋台側において基礎形式に応じた部材照査の計算処理を行うことで、常時〜L1、L2地震時の検討が可能になりました。
杭基礎の場合は、基礎側において安全性の検討を行い、その結果として求められた応答変位時の杭反力(鉛直力、水平力、モーメント)と設計震度を橋台側で受け取り、応答変位時の設計震度に応じた設計荷重、杭頭位置に杭反力をフレームモデルに反映して照査します。直接基礎の時は、応答変位時の地盤反力を求め、せん断地盤反力、せん断地盤反力によるモーメントを部材高/2に作用させています。
▲L2地震時底版照査(直接基礎)モデル |
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Qmin,Qmax:eNより求まる地盤反力度
Hmin,Hmax=Qmin,Qmax・H/V
Mmin,Mmax=Hmin,Hmax・h/2 |
●杭基礎の拡張(杭本体の断面変化、PHC杭のカットオフ)(「橋台の設計」も同様)
常時〜L1地震時における前面抵抗、地層傾斜、杭長変化、増杭工法などの特殊な設計を除いて、一般的な杭基礎の照査は橋台本体において検討できるため、基礎連動を行う必要がなくなります。
杭本体の照査では、その他杭を除いた杭種において、杭体(上杭、中杭、下杭)の断面変化を考慮した曲げの照査、スパイラル鉄筋、帯鉄筋を考慮したせん断照査を簡単に検討できます。
杭頭結合計算では、PHC杭においてカットオフ区間の検討を追加し、Ma1(杭体部:円環の許容抵抗モーメント)、Ma2(中詰部:円形の許容抵抗モーメント)を考慮した曲げの照査(Ma=Ma1+Ma2≧M)、Ha1(杭体部の許容せん断力)、Ha2(中詰部の許容せん断力)を考慮したせん断照査(Ha=Ha1+Ha2≧S)が可能です。
また、地盤データの地層数を拡張(20層→50層)していますので、杭基礎の設計、地盤種別判定、杭基礎の連動において検討範囲が広がります。 |
▲杭の断面変化画面 |
●基礎連動時の地盤種別の連動(「橋台の設計」も同様)
地盤種別は、橋台及び基礎側での個別判定、設定が可能でしたが、反映を行っていなかったため両方で入力するという煩雑な操作が必要でした。今回より、次のように相互に連動することで共用することが可能になりました。
・橋台側から地盤種別(地盤データ)を初期値として基礎側へ反映
・基礎側では、変更された地盤種別(地盤データ)を橋台側へ連動
尚、今回は下部工−基礎工のみの対応になるため、今後は「震度算出(支承設計)」までデータ連動し、各プログラムで1箇所設定することで共通に適用できるように対応予定です。
●その他
その他として、次の安定計算、部材設計での照査を追加及び拡張しました。
・最大鉄筋量の照査
最小鉄筋量の照査に加えて、最大鉄筋量の照査として梁部材:As≦0.02bd、As≦0.75Asb、柱部材:As≦0.06bh、My0≦Muの照査に対応し、ラーメン構造で断面が小さくなる時に鉄筋量が部材断面に対して大きくならないように検討できるようにしました。
・置換基礎拡張(二段)
置換基礎においては、段数を2段まで拡張し、鉛直支持力照査にもあわせて対応しました。
・直角方向の照査拡張
直接基礎、杭基礎時において、直角方向においても安定照査の検討ができるようにしました。
今後の予定としては、上壁(胸壁部)の部材照査、多層地盤(軽量盛土)対応を含めて多くの要望への対応を予定していますので、Ver.4にご期待ください。
■ラーメン式橋台の設計計算 Ver.4 リリース日:2008年12月9日 |
(Up&Coming '09 新春特別号掲載) |
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