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深礎杭のなぜ?解決フォーラム |
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深礎杭に作用する荷重が「谷側」に作用しているにもかかわらず、計算途中で「杭頭が山側に変位」というメッセージが表示されるのはなぜ? |
斜面上の深礎杭の設計では、水平方向の挙動(変形)とともに地盤の耐力(安定)も照査する必要があります。杭体の水平変位の増大に伴い、傾斜地盤は地表面から降伏し弾性領域から塑性領域に移行していきます。このような深礎杭の設計には、考え方の特長として「水平方向安定度照査」という検討段階があり、前面地盤の塑性化(=すべり土塊)を考慮した杭体モデルに基づき、次の照査式によって設計が行われます。
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ここに、Rou ;塑性化領域の抵抗力(kN)
狽qi;j+1段目からk段目までの水平バネ反力の総和(kN)
Rqak;k段目の位置での許容水平支持力(kN) |
照査方法は、すべり土塊がなす塑性化領域の抵抗力Rouと深さkまでの水平バネ反力の総和ΣRiの和が、深さkにおける許容水平支持力Rqak以下であることを確かめます。これが満足されない場合は、水平バネを上から1つ外し、再度計算を行った後、同様のチェックをします。そしてこの条件が満たされた時点での弾性領域根入れ長が規定値以上であることを確かめます。
このコーナーで紹介する、計算途中で「杭頭が山側に変位」というメッセージが表示されるのは、塑性化領域の抵抗力Rouと許容水平支持力Rqakとの関係に秘密が隠れています。
斜面の地層条件において粘着力C=0がある程度の厚さで存在する場合、本件症状の可能性が十分高いといえます。この条件下で極限水平支持力Rqを求めると、計算式のしくみ上、地中部において極限水平支持力Rqの激減する箇所が生じます。このRqが小さくなる箇所では水平方向の安定が保てなくなるため、水平バネが上から外れ続けることとなり、結果として塑性化領域が進んで、塑性化領域の抵抗力Rou自体が次第に大きな値となって杭体を山側へ押し続け、あるとき杭頭変位が山側に生じることとなります。プログラム内部では、解析途中で杭頭が山側へわずかでも変位した場合、解析モデルの前提が失われるため、異常ありとの予測のもとにプログラムを停止しています。
元来、極限水平支持力Rqの評価式は堅固な傾斜地盤を想定した式であり、地層条件が「土砂および軟岩」に区分される土層であっても、粘着力C=0という状況までは想定していなかったと考えられます。このような地盤条件は、深礎杭を設計するにはあまりにも特殊で不利な地盤条件であるといえ、設計計算上は次の対策を行うのが有効となります。
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対策法1:
「土砂および軟岩」であっても粘着力C=0という状況は現実的な観点から少ないものと考え、微小な粘着力C=1kN/m2程度をわずかに与えることで、結果を得られるようになります。
対策法2:
この症状が塑性化領域の進行途中で生じている場合は、この山側変位を一時的に許容する事で、すなわち、山側への許容変位量を変更することで、結果を得られるようになります。ただし、水平方向安定度照査結果の杭頭変位が谷側へ変位している事を確認します。
▲すべり土塊の概念 |
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▲杭体モデル |
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▲谷側変位と山側変位 |
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(Up&Coming '07 新春特別号掲載) |
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