Ver.8の改訂内容
「マンホールの設計・3D配筋 Ver.8」では、主に次の機能拡張を行いました。
・マンホール地震時の任意水平荷重の考慮
・マンホール地震時の浮き上がり検討の機能拡張
・液状化層の沈下量の算出
・開口部計算モデル拡張(円形対応)
ここでは、その概要を紹介します。
マンホール地震時の任意水平荷重
マンホールの耐震計算では応答変位法による照査を行います。地震動による地盤変位に相当する水平荷重を鉛直方向のフレームモデルに対して作用させ、躯体の慣性力は考慮されません。Ver.8においては、躯体に慣性力等の地盤変位以外の水平力を考慮する場合に、水平荷重を任意に考慮することができます。
任意水平荷重は、鉛直方向フレームモデルの任意の位置に、集中荷重または分布荷重として作用させることができます。任意荷重は、作用方向(前後方向/左右方向)を指定することができ、地震動の方向と同じ場合に考慮されます。また、地震動のレベルごとに考慮する任意荷重を指定することができます。
マンホール地震時の浮き上がり検討の機能拡張
「下水道施設の耐震対策指針と解説-2014年版-」においては、液状化の影響を考慮したマンホールの浮上判定の安全率Fs算出式として、以下の式が記載されています。
ここに、
W :マンホール底部に働く鉛直荷重 (kN)
Q :マンホール側壁に働く摩擦力 (kN)
Us :マンホール底部に働く静水圧による揚圧力 (kN)
Ud :マンホール底部に働く過剰間隙水圧による揚圧力 (kN)
同書では、上式のUdの考え方として、
ケース1:地下水位以下の砂層が泥水状となってマンホール底部に揚圧力として作用する考え方
ケース2:地下水位以上の地盤が有効上載圧としてマンホール底部に作用する揚圧力に寄与する考え方が記載されており、ケース2の方法には対応していましたが、Ver.8ではケース1の方法にも対応し、両ケースの計算を行ってUdの大きい方を採用することも可能です。また、Qにはマンホール側面と地盤との摩擦力のみを考慮していましたが、Ver.8では上載土のせん断抵抗も考慮可能としました。上載土のせん断抵抗を考慮する範囲は、自動設定のほか直接指定することも可能です。
液状化層の沈下量の算出
本製品では液状化の判定を行うことが可能ですが、液状化の判定を行った場合に液状化層の沈下量を算出できるようにしました。沈下量は、全液状化層厚×沈下率で算出され、沈下率は変更可能です。液状化層かどうかの判定方法として、「液状化抵抗率FLが1未満の測定点がある層」または「層の平均FLが1未満の層」から選択することができます。
開口部計算モデル拡張(円形対応)
本製品における開口部の照査は、開口部計算モデルを作成して検討しますが、その計算モデルとして円形平板を選択可能としました。円形マンホールの頂底版等と同様に、周辺固定支持や周辺単純支持の断面力を算出する公式により照査する方法と、FEMの平板モデルにより照査する方法があります。FEM解析には開口部拡張オプションのライセンスが必要ですが、矩形平板の場合と同様、平板内に開口を考慮した形状で断面力を算出でき、照査位置も任意に設定することが可能です。
また、FEM解析の平板モデルは「Engineer's Studio®」形式のデータにエクスポートすることができ、「Engineer's Studio®」にてコンタ図による結果の確認等を行うことが可能です。
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