「道路橋支承便覧」(公益社団法人 日本道路協会)が14年ぶりに改訂されました。ここでは、改訂内容の概要と今後「震度算出(支承設計)(部分係数法・H29道示対応)Ver.3」で対応する内容を簡単にご紹介します。
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支承を取り巻く情勢の変化に適切に対応し、平成29年に改定された道路橋示方書の主旨を反映するため、内容の見直しを行う事としたとして、下記の改訂内容が示されています。
- 道路橋示方書に規定された橋の性能を満足するうえで支承部に求められる性能の標準的な検証手法を提示するという便覧の位置づけの明確化とそれに沿った記述の見直し
- 便覧に基づく設計の前提を満足するとみなせる材料の記述の見直し
- 支承に求められる性能を有することを確認する試験法の記述の見直し
- 設計の前提とする施工、維持管理の条件の明確化
- 品質管理方法の記述の見直し
- 維持管理方法の記述の見直し
- 免震支承の設計モデルの高度化
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震度算出(支承設計)(部分係数法・H29道示対応)Ver.3の対応 |
震度算出(支承設計)(部分係数法・H29道示対応)Ver.3では、従来製品でサポートしていた積層ゴムの照査機能を改訂された支承便覧に準拠して対応致します。主な変更としては、平成29年道路橋示方書に規定される部分係数法が導入された事です。従来、許容応力度を用いていた照査が部分係数を考慮した制限値による照査に変更されます。以下に積層ゴム支承の照査内容についてご説明します。
●支承部の耐荷性能に関する部材の設計 ※積層ゴムに関する照査項目のみ抜粋
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限界状態1/限界状態2 |
限界状態3 |
鉛直圧縮力及び水平力を受ける積層ゴム |
【内部鋼板の引張応力度の照査】
σs≦σsd σsd=ξ1 ΦYt σyk
【積層ゴムの圧縮応力度の照査】
σc≦σcuk σcuk=ξ1 ξ2 ΦMBsl σcuk
【積層ゴムの水平せん断ひずみの照査】
γs≦γsd γsd=ξ2 ΦYs γy |
鉛直引張力及び水平力を受ける積層ゴム |
【積層ゴムの引張応力度の照査】 |
σt≦2.1 |
σt≦2.1 σt≦σtud
σtud=ξ1 ξ2 ΦMBsl σtuk |
【積層ゴムの水平せん断ひずみの照査】 γs≦γsd γsd=ξ1 ΦYs γy |
制限値の算定に用いる部分係数は、下記の通りで値については照査項目毎に定められています。
ξ1 : 調査・解析係数
ξ2 : 部材・構造係数
Φ : 抵抗係数 |
照査項目 |
ξ1 |
Φ |
内部鋼板の引張応力度
表-4.5.2 |
i) ii)及び iii)以外の作用の組合せを考慮する場合 |
0.90 |
0.85 |
ii)[道示 I] 3.3.(2) 10 を考慮する場合 |
1.00 |
iii)[道示 I ]3.3.(2) 11 を考慮する場合 |
1.00 |
積層ゴムの水平せん断ひずみ
表-4.5.3 |
i) ii)及び iii)以外の作用の組合せを考慮する場合 |
0.90 |
0.50 |
ii)[道示 I] 3.3.(2) 10 を考慮する場合 |
1.00 |
iii)[道示 I ]3.3.(2) 11 を考慮する場合 |
1.00 |
照査項目 |
ξ1 |
ξ1 Φ |
座屈を考慮した圧縮応力度
表-4.5.4 |
i) ii)及び iii)以外の作用の組合せを考慮する場合 |
0.90 |
0.56 |
ii)[道示 I] 3.3.(2) 10 を考慮する場合 |
0.70 |
iii)[道示 I ]3.3.(2) 11 を考慮する場合 |
1.00 |
照査項目 |
ξ1 |
ξ2 |
ξ1 Φ |
引張応力度
表-4.5.5 |
i) ii)及び iii)以外の作用の組合せを考慮する場合 |
0.90 |
0.60 |
0.56 |
ii)[道示 I] 3.3.(2) 10 を考慮する場合 |
1.00 |
iii)[道示 I ]3.3.(2) 11 を考慮する場合 |
1.00 |
表2 制限値の算定に用いる調査・解析係数、部材・構造係数及び抵抗係数一覧
●支承部の耐久性能に関する部材の設計 ※積層ゴムに関する照査項目のみ抜粋
・積層ゴム支承の疲労に対する設計
式(4.6.1)の作用の組合せ及び荷重係数等により生じる積層ゴム支承の圧縮応力度、水平せん断ひずみ、引張応力度及び局部せん断ひずみが制限値を超えないことを確認します。
1.00(D+L+I+PS+CR+SH+TH+TF) ・・・・・(4.6.1)
i) 繰り返し圧縮作用に対する設計
最大圧縮応力度σmax ≦ 制限値σmaxa 圧縮応力振幅幅σ ≦ 制限値刄ミa
ii) 繰り返し水平変位に対する設計
水平せん断ひずみ ≦ 70% 水平せん断ひずみ ≦ 150%
※変動作用支配状況において、地震の影響を考慮する場合
iii) 繰り返し引張作用に対する設計
桁の回転によるゴム支承縁端での変位量δr ≦鉛直圧縮力による変位量δc/fv
iv) 圧縮作用、水平変位、回転変位に対する設計
局部せん断ひずみγt ≦ 制限値
・積層ゴム支承の環境作用による劣化に対する設計
[道示 I]10.1.9(4)から(7)を満足することを確認します。 |
道路橋示方書が平成29年に改定後、関連書籍についても改訂、発刊が行われ、ラインナップも整ってきました。弊社では、これらの内容を適切に反映させるように今後も機能の改善を行って参ります。お客様におきましても、ご意見、ご要望をお寄せいただけましたら幸いです。 |
(Up&Coming '19 春の号掲載) |
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