令和元年7月12日(金)〜7月13日(土)、一般社団法人コンピュータソフトウエア協会(CSAJ)取材の掲題セミナーが開催されました。昨年に引き続き、筆者およびフォーラムエイト役員とで参加し、今後の経営戦略の参考として、また人材育成の可能性などを含め、地元自治体・大学関係者の皆様や学生との交流・視察を行いました。
青森県観光物産館
青森県は、世界遺産白神山地と奥入瀬渓谷、風光明媚な景勝地十和田湖、青森県を代表する名峰、日本百名山の一つ標高1,584mの火山連峰八甲田山、下北半島先端の大間のマグロ漁場、津軽・下北二つの半島に囲まれた陸奥湾のホタテ養殖など豊かな自然と漁場に恵まれ、本州最北端に位置し人口約126万人、県庁所在地は青森市(人口28万人)です。観光産業にも力を入れ、春の訪れ弘前公園のさくら、夏は青森市、弘前市および五所川原市のねぶた祭は有名で、外国人観光客の受け入れ態勢の整備等にも力を入れています。
一方で、日本の地方都市共通の人口減少に直面。地方創生による新産業の育成、とりわけIT分野においては2016年には「新時代ITビジネス研究会」を設立し「青森をITビジネスで盛り上げよう!」を合言葉に、IT企業の招へいや県内外の企業間でのコラボレーションを推進するなど、県を挙げての積極的な取組みを行っています。
青森県観光物産館アスパム訪問
青森観光物産館アスパムは、青森港の再開発事業に基づいて1986年に建設されました。県の物産品販売、イベントホール、3Dパノラマ映画、会議室、展望台の他、展望レストランや郷土料理等お食事処も用意された青森市のランドマークでもあります。
アスパムの名前の由来はAomori(青森)Sightseeing(観光)Products(物産)Mansion(館)で、日本建築学会東北支部から1986年度の東北建築賞作品賞を受賞した建物だそうです。
青森でのエクゼクティブセミナーの始まりは、アスパム10階にお店を構えている郷土料理「西村」から会議室へ出前をして頂いた、じゃっぱ汁をメインとした郷土料理を頂きながらの紹介説明から始まりました。じゃっぱ汁とは、青森県の郷土料理で魚の「アラ」を使用した汁物料理です。主に、「タラ」や「サケ」の魚介をたっぷり使用し、冬の寒さの厳しい青森県では、身体をあたためてくれるお料理として、多くの人に愛されているそうです。
初めに、公益社団法人青森県観光連盟事務局長鈴木耕司氏より、この施設アスパムのご紹介と、外国人観光客への対応強化としての「アスパム・リボーン」と、その代表的な設備強化などについての説明を頂き、青森県の外国人宿泊者数が平成30年度では約29万人になり東北6県中第2位となったこと、これに伴って海外クルーズ船の青森港への寄港も増加をしているそうで、このアスパムを増加するインバウンドの受け入れ拠点として、グローバルな情報発信力や受入れ対応力の強化への取組がのべられました。
引き続き、今回の青森エクゼクティブセミナーにて、青森県側の対応責任者としてご尽力頂いた青森県 企画政策部 情報システム課 IT専門監 武田雅哉氏から、参加の皆様へ青森県を代表したご挨拶を頂きました。
最後に、青い森クラウドベース株式会社センター長 佐藤威瑠(たける)氏より寒冷地型エクストリームデータセンター「青い森クラウドベース」についてご紹介があり、その特徴、自然災害リスクの低さ、冷涼な気候による外気冷房によるセンターの光熱費の大幅削減による運用コストの削減、最新の機器導入による高規格化などの特徴について説明され、このクラウドデータセンターの利活用についてのご案内を頂きました。
これに引き続いて、アスパムの館内を案内頂きました。
- 「あおもりグローバルラウンジ」(外国人観光客向け多言語対応の各種案内、テーブル、椅子、ソファーを多く設置したラウンジ)
- 「青い森ホール」(360度の3Dデジタル映像シアター。青森の自然の中にいる様な2Dパノラマ映像の体験。3D映像によるねぶた祭・ねぷた祭・立佞武多(たちねぶた)の迫力ある映像を堪能)
- インバウンド客へ対応の店舗(多言語による商品案内タブレット「Payke(ペイク)」、キャッシュレス決済対応端末など、最先端の設備を導入)
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ランチミーティング時の昼食「じゃっぱ汁」 |
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竹田氏より歓迎のご挨拶 |
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あおもりグローバルラウンジ正面 |
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青森県への企業誘致のご案内
アスパムをあとにし、貸し切りバスで約50分の道のりの弘前大学に向かいました。
道中の時間を活用して、青森県東京事務所(千代田区平河町、都道府県会館)の企業誘致課 副課長 高屋孝多氏から配布資料「青森県の立地環境のご紹介」に基づき、豊富な人財として、大学、大学院、工業専門学校、専修学校等を合わせ理工系新卒者が約2,700名で、IT人材の大卒初任給が首都圏に比べ1割以上低いにもかかわらず、企業定着率が高く勤勉で、UIJターン就職支援、インターンシップ交通費半額補助などの手厚い支援策や、青森県進出企業への通信費3年間1/2補助、オフイス賃料3年間1/2補助、県内新規雇用者奨励策として一人につき30万円の助成等(3年間の補助、助成総額の限度2,250万円)などの支援制度の説明があり、CSAJ
IT関連企業の青森県への進出を熱心に勧誘されていました。
国立大学法人弘前大学訪問
JR奥羽本線弘前駅からバスで15分ほどの弘前市の中心に位置し、桜の名所弘前公園に近く美しい岩木山を背にした弘前大学文京町キャンパスに到着しました。
弘前大学は昭和24年に設立され、学生数約6,800名(学部5,900、大学院900)、昨年度の入学者数約1,400名(出身地青森県500、北海道380、東北5県260、その他260)、文京町キャンパスは人文社会科部、教育学部、理工学部、農学生命科学部からなり、本町キャンパスの医学部医学科、医学部保健学科から構成されています。
弘前大学資料館見学
大学設立以来の研究成果や、太宰治の自筆ノートや大学の前身旧制弘前高等学校や明治以来の貴重な郷土資料が展示されている資料館を見学させて頂き、弘前大学が北日本地域の主要な高等教育機関として大きな役割を果たしてきた実績を感じ取れる資料館でした。
弘前大学の取組
引き続きのイベントは全て工学部の校舎に移動し教室を使って行われました。
弘前大学総務部長の三浦 新氏から歓迎の挨拶と弘前大学の最近の主な取組の紹介として、COI推進機構の活動、人材教育、就職活動、産学連携、新研究科・新学科の設置について説明がされました。
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弘前大学資料館 |
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- COI研究推進機構
「岩木健康増進プロジェクト検診」
平成17年に始まり、「日本一の短命県」の返上を目指し、約1000名の健診結果の分析をもとに、健康ビッグデータと最新科学がもたらす健康長寿社会の実現に向けての産・学・官・民連携の取組の成果に対して、第1回日本イノベーション大賞「内閣総理大臣賞」を受賞
- 人材育成の取組
青森ブランド価値を創る地域人材の育成、オール青森で取組む「地方創生人材」育成・定着事業、弘大じょっぱり起業家塾での次世代経営者の育成
弘前大学理工学部の取組
続いて、大学院理工学研究科 副研究科長の今井 雅氏より、国際的な競争下にある企業研究・開発・製造に従事する高度な技術者の人材育成を目指し、
- 理工学部入学志願者の確保、特に北海道地区志願者拡大に向けた保護者懇談会等の取組
- 地域課題解決のための自治体との地域連携
等についての説明を頂き、理工学部卒業生の主な進路状況で大学院進学40%、情報通信産業13%、公務員13%、製造業10%、建設業3%、教員3%などで、県内就職26%、首都圏38%等の状況を伺いました。
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弘前大学理工学部 |
熱心に講演を聞く工学部の学生さん |
学生との交流
続いて約50名の学生との意見交換会が始まり、はじめに荻原会長よりIT業界への志望動向と、IT企業の魅力について数例の企業の働き方などの事例紹介を交え、頑張りがいのある職業との紹介に始まり、パネリストの杉本理事、村瀬理事、富田理事、小川理事から、自己紹介がてら何故IT企業に入ったのか、何故起業したのか、なぜ社長になれたのか、などを含めそれぞれ体験談を交えながらIT業界で求める人材像などについて話があり、学生との質疑応答が行なわれました。
この中で、理事からデジタル・トランスフォーメーションと言う言葉を知ってますか、との問いに挙手した学生は誰も居なく、また自分で会社を起業したいと挙手した学生は2名、ベンチャー企業に就職したいと挙手した学生は2名など当世の学生の関心事の一端を垣間見た気がしました。
懇親会
懇親会は宿泊先でもある、浅虫温泉の陸奥湾に面した南部屋・海扇閣の2階 秀峰の間で、青森県 企画政策部 情報システム課 IT専門監 武田雅哉氏をはじめ地元関係者を交えての総勢50名程の賑やかな集まりとなり、ご来賓の紹介に始まり、萩原紀男CSAJ会長による開会挨拶と乾杯の発声で宴が始まりました。
畳の大広間で座卓を囲んで青森の美味しい郷土料理と津軽藩時代からの歴史の息吹を感じる地酒を頂きながら、参加者同志のうちとけた交流で宴もたけなわの頃、中絞めがCSAJ
交流委員会 東尾公彦委員長により行われ、名残り惜しくも大盛況のうちにお開きとなりました。
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懇親会の様子 |
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