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今回ご紹介する海外の土木IT関連Webサイトは、建築および建設分野の情報交換や研究協力を推進する世界的なネットワーク、「建築・建設における研究・
技術開発のための国際協議会(International Council for Research and Innovation
in Building and Construction)」、略称「建築研究国際協議会(CIB)」です。
●世界的研究の枠組み、戦後の欧州インフラ再建も視野
CIBが設立されたのは1953年。建築および建設分野の政府系研究機関間における、国境を越えた研究協力と情報交換の促進を目的とする連携の場と位置づけられました。
「CIB」の名称は、もともと設立時のフランス語名「Conseil International
du Batiment」(英語の「International Council for Building」)の略称に由来しています。1998年にその正式名称が現行の「International
Council for Research and Innovation in Building and Construction」に改められた後も、略称はそのまま継承されています。
国連の支援を受け国際的な非政府・非営利組織として活動をスタートした当時、CIBには第2次世界大戦によって破壊された欧州社会資本の再建を支援すべ
く、建築・建設について調査研究する役割も期待されていました。そのような背景のもと、CIB発足時のメンバーとして欧州を中心に43の研究機関が参加
し、技術的な話題に重点をおいたプログラムが構成されました。
たとえば、特定のテーマに対しては会員組織から指名された専門スタッフが参加する複数のCIB委員会を設置し、これらの委員会をはじめとする各種活動で
蓄積した成果は、数多くの国際シンポジウムや国際会議、世界的に定評のある出版物を通じて発信されています。これらの多くは国際標準開発のための、事実に
基づく基礎(factual basis)も形成しています。併せて、参加各国および各研究機関の新たな研究計画に不可欠な情報として、世界の最新リポートが提供されています。
●世界の500会員組織・5,000名超の専門家が参加
「建築プロセスの改善と建造環境(built environment)の性能向上に寄与すべく、建築・建設分野の研究や技術革新に関する国際的な交流および協力のためのネットワークを提供すること」
― CIBの綱領は、自らの目的をこのように描いています。
そこでの活動範囲は、建造環境のライフサイクルにわたる各段階を通じて技術的、経済的、環境的、組織的、その他の側面をカバーしており、基礎的および応
用的研究、研究成果の文書化および移転・普及、それらの実装と具体的適用といったプロセスのすべてのステップに取り組むこととしています。
その上で、(1)建築・建設分野の世界的な研究および技術革新に関する適切な情報源となること (2)世界の研究コミュニティへの信頼でき、かつ有効なアクセスポ
イントとなること (3)建築・建設分野の関係者および世界の研究コミュニティ全般にわたり有意義な交流を達成するための討論の場となること、という3つの目標
を提示しています。これらの目標達成に向け、他の国際的組織や国内組織との世界的な利益にかなった協働を推進する、との考え方に立っています。
CIBはこれまでに、研究コミュニティ、産業あるいは教育の各分野で活動する約500の会員組織から5,000名超の専門家が参加する世界的なネット
ワークへと発展してきました。建築・建設の研究や技術開発に関わるあらゆる分野をカバーする50以上のCIB委員会において、研究協力および情報交換を
行っています。
CIBの会員カテゴリは、団体会員と個人会員に大別され、そのうち団体会員は、当該組織の規模や性格により正会員および準会員に細分化しています。ま
た、団体会員を構成する組織は研究、大学、産業および専門職能、その他 ― の4部門に類型化されます。団体会員には、当該組織に所属する多数の専門家をCIB委員会に参加するよう指名する権利が与えられています。
組織は、総会、理事会、理事会に設置された委員会、役員、事務局により構成され、CIBの方針に最終責任を負う総会が毎年開催されて、会員の代表者が参加しています。全体方針の検討および決定を行うほか、3年ごとに開かれる総会では役員や理事会メンバーを選出します。
また、理事会は管理委員会および企画委員会の2常置委員会、そのほか理事会が設置する委員会のメンバーを指名します。管理委員会は主に会員の申し込みな
どCIB関連業務や財政業務を担当、企画委員会はCIBの研究および技術革新関連活動を担当します。多様なCIB委員会を設置して、それら委員会の成果を
継続的に見直して、目的を達成していれば終了させるほか、委員会の進行責任者の指名も行います。さらに、両常置委員会の下に位置し、CIBのアウトプット
の計画や製作、普及について誘導するマーケティング・アンド・コミュニケーション委員会、学生にフォーカスしてその維持・拡大を促す学生支部委員会が置か
れています。CIBの中核を成すのが、50以上に上るCIB委員会で、これらは限られた期間に特定の活動を行う作業部会と研究委員会により構成されます。
CIB事務局はオランダに置かれ、組織の円滑な活動を支えています。
CIBのWebサイトはこれら組織に関する基本的な情報をはじめ、さまざまな活動に関連する情報にアクセスできるニュースレター、オンラインデータベース、プログラムなどのコーナーをレイアウト。ビデオ・プレゼンテーションによるCIBの紹介も行っています。
※画像はCIBにより提供(images provided by CIB)
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この記事は、CIBの許諾により上記サイトの内容に基づいて書かれています。
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(Up&Coming '10 秋の号掲載) |
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