米国道路網の構築へ課された役割と取り組み
同庁のWebサイトによると、FHWAはまず「米国民にとって世界で最も優れた交通システムを創造する」とのビジョンを描きます。またそこでの自らの使命として、進取のリーダーシップ、革新性、優れたサービスを通じて移動性の改善に資するとの考え方を提示。さらにこれらを追求するに当たり、「安全性」「移動性と生産性」「国際的な連携」「環境」「国土安全保障」「組織の卓越性」
― という6つの戦略目標にフォーカスします。
FHWAは、米国の道路網が最も安全かつ最新技術を反映したものであり続けるための広範な責任を負っています。一方、米国では幹線道路のほとんどが州政府や郡などの地方政府、先住民部族政府の管轄下にあります。そこで、FHWAはこれらの整備主体による米国幹線道路網の建設や改良、維持に対して財政および技術的なサポートを行っています。
その活動を支える年間予算は燃料税および自動車税により供給。具体的な用途は主として、連邦補助道路プログラム(The Federal-aid Highway
Program)と連邦公有地道路プログラム(The Federal Lands Highway Program)とに分けられます。
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▲トップページ:米国連邦道路庁(FHWA)
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このうち前者は、総延長16万マイルに及ぶ国土幹線道路網の建設・維持・改良に向け、州政府および地方政府に対して財政的・技術的支援を実施するもの。併せて、同道路網以外でも連邦補助に適格なさらに100万マイルに及ぶ都市部や地方部の道路に対しても資源を提供しています。また後者は、国立公園や国有林などの連邦所有地、あるいは州政府や地方政府が管轄しない先住民居留地内におけるアクセスの維持管理・改善のため、一般公道や幹線道路向けに資金を供給しています。
全米に広がる組織力を基盤に展開
FHWAはワシントンD.C.に本庁を構え、全米各州、コロンビア特別区(ワシントンD.C.)およびプエルトリコに3系統の出先機関を配しています。
その一つがリソースセンターで、アトランタ(ジョージア州)・ボルティモア(メリーランド州)・レイクウッド(コロラド州)・オリンピアフィールズ(イリノイ州)・サンフランシスコ(カリフォルニア州)の5都市に設置。FHWAの各地区事務所や州運輸局、大都市計画局(MPO:Metropolitan
Planning Organizations)、その他の交通分野パートナーに対し、研修や専門的な支援を通じた交通関連技術・ソリューションの普及を推進。冒頭で触れたFHWAの戦略目標の達成や連邦補助プログラムの実施などを図っていくとしています。
また、最新の連邦補助プログラムを関係機関に提供するため、52に上る地区事務所(Federal-aid Division Offices)を全州運輸局の所在市およびコロンビア特別区・プエルトリコに張り巡らせ、加えて、大都市圏事務所(Metropolitan
offices)をフィラデルフィア・ニューヨーク・シカゴ・ロサンゼルスの4都市に置いています。
もう一つの連邦公有地道路局地区事務所(The Federal Lands Highway Division Offices)は、前述の連邦公有地道路(FLH)プログラムや国防連絡道路プログラム(The
Defense Access Roads Program)、連邦所有道路上の緊急救助プログラム(The Emergency Relief Program
on Federally Owned Roads)を運営。併せて、エンジニアリング関連サービスを他の連邦機関やFHWA事務所、諸外国に提供するほか、FLHプロジェクトに関連する技術や研修を実施しています。国土を東部・中部・西部の3地区に分け、それぞれスターリング(バージニア州)・レイクウッド(コロラド州)・バンクーバー(ワシントン州)に事務所を設けています。
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▲FHWAの出先機関 (リソースセンターおよび地区事務所)
▲FHWAの出先機関 (連邦公有地道路局地区事務所) |
道路に関する膨大な情報を実務的に整理
同Webサイトは、FHWAについての必要な情報を利用者が得やすいよう実務ベースにデザインされています。例えば、「FHWA Programs」ではカテゴリごとに膨大な各種計画やプログラムを整理。また、「Legislation
and Regulations」では関係するさまざまな法制化や規制情報を容易に閲覧できるようになっています。
その一方で、「FHWA By Day」のコーナーはFHWA自らの歴史について日付ごとに出来事を編集しているほか、「Highway History」のページには道路に関わる多様な情報を盛り込み、道路の歌を一覧にするなど、ユニークな試みも見られます。
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