UC-win/COM3(Fiber) 製品に関するQ&A |
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このQ&Aは、リリースに先駆けて2000年10月に実施したフォーラムエイト新製品セミナーでの質疑応答でのご質問、ご要望とフォーラムエイトの回答を抜粋したものです。
製品評価、購入のご参考にしてください。 |
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@COM3(Fiber)の特徴 |
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Q. |
COM3(Fiber)の特徴,将来性は? |
A. |
性能設計を見据えて開発しているのが前提です。
震災直後は,大地震に対する設計基準が整備されていなかったため、WCOMDが一時活用されました.現在,示方書改定が一段落し,基準が整備され,そのためユーザーは骨組みの動的解析ツールを,すでに利用しているケースが多いようです.次期,さらにはその次の示方書改定では,おそらく動的解析技術レベルのランクわけが行われると考えられます(LNG地下タンク躯体の構造性能照査指針では提案されている).現行の骨組み動的解析は最低レベルに置かれると考えます.また,WCOMDやCOM3(Fiber)など,材料非線形を考慮した解析手法は,最も高度な手法として位置付けられ,それらで設計照査されたものは信頼性が高くなるし,合理的な設計ができる可能性もあります。
10年後,20年後,を考えて導入して頂きたいと考えていますが、設計者の方々にその余裕は無い事が多く,より高度で信頼性があるとしても,現行の基準以上の事を行わないことが多いように感じます。 |
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Q. |
他の解析ソフトと比較して、COM3(Fiber)の優れている点は? |
A. |
3次元解析ソフトとはいえ、立体構造をモデル化できるだけであって、実際には2次元解析のものや、2次元の合成により3次元挙動を再現しているものが多くあります.しかし、COM3(Fiber)は平面保持を仮定することで、3次元的な斜め方向のゆれまできちんと再現しているのが特徴です.さらには構成則の精度は全て実験にて確証されており、非常に精度、信頼性が高いことが特徴です.また、COM3(fiber)、WCOMDもふくめて、将来導入される性能設計を見通してリリースしたものです。そのときには、この方法で設計しなければならないということにはならないので、解析ツールを選択できるようになり、材料非線形を考慮したCOM3、WCOMDは設計のツールとして活用が期待できると思っています。 |
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A構成則に関すること |
Q. |
道路橋示方書などのように,帯筋の拘束効果の影響(圧縮限界ひずみの向上)を取り込むことや,それらに関してユーザがどこまで入力可能か?基準に則って解析することが可能か? |
A. |
東京大学で研究された構成則しか用意していません.これには,道路橋示方書のような拘束効果は取り入れられていません。設計上,圧縮限界ひずみ以上の領域を対象にして設計することは無いので,COM3(Fiber)の構成則でも,設計上問題ないと考えます.また,WCOMD同様,終局限界ひずみ以上の領域まで,構成則の精度や,解析精度は研究中であるので,それらの成果がまとまり次第,プログラムに導入することが可能となります。例えば,かぶりコンクリ−トとコアコンクリートは区別して扱うこと,などが考えられています。
また.完全版のCOM3(COM3(Plate))では,拘束効果の影響は自動的に入ってきますが,リリースは当分先になります。
性能設計に将来移行した時,解析技術・方法を選択できるようになります.そのような時には現在の機能でも十分,対応できるものとなります。 |
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Q. |
・拘束されているコアコンクリートと、拘束されていないかぶりコンクリートは区別する必要があるが、どうしているか?拘束の効果はどのように取り入れているか、ユーザー入力はどこまで可能か?
・座屈モデルは考慮されているか?
・鉄筋の抜け出しは考慮されているか?
・基礎および地盤の相互作用は考慮されているか?鉄道ではそれを考慮するよう決められているので、これは最優先に対応していただきたい。 |
A. |
・COM3(Fiber)で採用しているコンクリートの構成則は、コアコンクリートとかぶりコンクリートは区別して扱っておりません。構成則はすべて、東大コンクリート研究室で開発されたものであり、これら拘束コンクリートのモデル化も研究も途上にあり、将来的にCOM3フルバージョンでは導入される見込みです。また、残念ながら、構成則のパラメータを変更して、ユーザーが拘束効果を取り入れることも、ほぼ出来ない状況です。ただし、そのような拘束効果が非常に影響を及ぼすような状態、壊れるあたりを対象として設計することはまれで、そこまでの精度を確保することがそう重要とは思っていませんので、急いでモデル化が必要とは捉えておりません。
・座屈モデルも同様で、東大のコンクリート研究室で現在研究途上の段階であり、モデルも考案されています。これも、将来的にCOM3フルバージョンでは導入される見込みです。
・鉄筋の抜け出しや、地盤モデルはWCOMDではすでに精度よく取り込まれています。しかし、それらの3次元の構成則の精度検証がまだ十分ではありませんので、COM3(Fiber)では導入されておりません。これらは2次元のレベルであれば、現在非常に高度のレベルでモデル化が可能であり、設計でも必要とされていますが、3次元となるとまだ理論やモデル化がまだ確立されておりませんし、3次元で解析する為の基準も整備されておりませんので、現在すぐに必要な機能と考えておりません。COM3フルバージョンのリリースにご期待ください。
・あくまでも、COM3(Fiber)は、3次元の立体構造物の解析を実用的なレベルで実現したものであり、モデル化においては、ご不満があるかと思います。また、COM3のフルバージョンを開発する途中でリリースしたものであります。フルバージョンではこれら多くのモデル化が実現されますので、ご期待ください。 |
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Q. |
・座屈モデルは考慮されているか?
・基礎ばねは入力できるか?鉄道ではそれを考慮するよう決められている。 |
A. |
・座屈モデル、地盤とのモデル化は今のところ出来ません。地盤の構成則を3次元で精度よくモデル化することはまた研究途上にあり、COM3(fiber)では見送っています。 |
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B荷重、地震波の定義について |
Q. |
長大橋のように,位相差を考えた地震入力は可能か? |
A. |
COM3(Fiber)では,固定されている点に全て同一の地震動が入力されます。従って残念ながら,できません。 |
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Q. |
地中構造などで,SHAKEやFLUSHで事前に作成した,深度ごとの波形を多層入力は可能か? |
A. |
前出の回答にありましたように,地震入力は多点で入力することが現在できません.静的荷重については多点入力が可能ですので可能です.静的荷重はさまざまなパターンがありますので,任意のパターンも作成可能です.応答変位法のように地盤最大変位を載荷することは可能です。 |
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Q. |
観測波などを読み込んだとき、地震波の調整は、振幅調整など、どのようなことが可能か? |
A. |
スケーリング機能がありますので、振幅の調整、および、波形の長さを帰ることができます。 |
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C地中,基礎,支承への対応 |
Q. |
基礎を表現したり,もしくは基礎バネを入れることは可能か? |
A. |
地盤要素を用意していないので,厳密に表現することはできません.バネという考えが無いため直接バネを入れることもできませんが,線形特性をもつ材料が定義できますので,工夫すれば可能でしょう.ただし,技術的に工夫が必要と思われるので,詳しい検討はサポートで対応することが可能です.そこで,モデル化の検討,提案もいたします。 |
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Q. |
ゴム沓,免震支承はモデル化できるのか?何とかできる方法は無いか? |
A. |
線形材料としてであれば支承表現することはできますが,厳密ではない.とくに免震支承は履歴を描くので,難しいと思います.技術的な知識が無ければ対応できないので,一般にはできないと言った方が良いかもしれません.線形で構わないというのであれば,サポートで,モデル化検討や提案はある程度対応可能です。 |
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Q. |
バネ要素を取り込むことができないか?それができなければ汎用性が低いと思う。 |
A. |
ご指摘のとうりです.RC構造に特化しているものであり,多少汎用性を欠いています。その分,インターフェース,プレゼンテーション機能を充実させています。 |
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Dファイバー要素について |
Q. |
ファイバー要素と従来のbeam要素(M-φを想定した部材モデル)との違いは? |
A. |
M-φはあくまで断面、または部材レベルでのモデル化であります。M-φの骨格を求めるために、応力ひずみ曲線を使いますが、履歴則(武田モデルなど)は、部材レベルのもであります。
ファイバー要素は、材料非線形性を考慮しており、また履歴則も材料レベルで定められており、COM3(Fiber)ではその精度が非常に高いことが特徴です。また、平面保持を仮定するため、材料レベルでモデル化されていても、断面の釣合を計算することでM-φを求めることも出来ます。 |
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Q. |
COM3(Fiber)のガウス点ではM-φとはどういうことか? |
A. |
COM3(Fiber)ではセルの応力ひずみを利用して、平面保持則を仮定することで、応力の釣り合いからM-φを求めています。履歴則も材料レベルで定められています。 |
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Q. |
スラブを非線形として扱うにはどうしたらよいか? |
A. |
あまり良い方法ではありませんが、ファイバー要素を適用できるかと思います。モデル検討に関してはサポートに問い合わせをいただければ、対応します。 |
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Q. |
複合断面はどのようにモデル化できるか? |
A. |
ファイバー要素では、MESH機能を使うことで任意の形状の断面を作成できます。また、断面の中に異なる材料を組み合わせることが出来ますから、複合断面にも対応できると考えています。 |
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Q. |
断面の分割の方法など、目安はあるか? |
A. |
HELPに詳しく、検討の結果を載せていますので、非常に参考になるかと思います。サンプルモデルもそれを周到して作成していますので、サンプルを真似していただいても十分精度のあるモデルが作成できます。 |
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E破壊基準について |
Q. |
WCOMDのような破壊基準は設けているか? |
A. |
破壊基準は設けていません.ただし,最大圧縮ひずみが10%以上のような領域は,計算しても意味が無いため,10%になると計算を止めるようになっています.また,COM3(Fiber)では曲げひび割れしか扱っていないため,多方向ひび割れの開き,ずれなどの比較によって破壊モードを決定することはできません.従って,破壊モードを決定するための破壊基準が,定義できないというほうが正確かもしれません。 |
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Q. |
ダメージ基準は2段階しか設定できないのか?ユーザー入力は可能か? |
A. |
ライトダメージは鉄筋降伏を対象にしか出来ませんが、ダメージは、ユーザーが圧縮ひずみと引張ひずみの基準を任意で入力可能です。 |
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FHELPへの要望 |
Q. |
ブラックボックスが多いこと.特にNewmark−β法や,繰り返し計算,収束判定の方法,不釣合い力の持ち越し,剛性マトリクス,等,基本的な数値計算にかかわることの内容は、もっとHELPに公開してほしい。 |
A. |
ソルバー担当ではないので詳しくお答えできませんが、WCOMDでは,参考文献を挙げ参照してもらうようにしましたが,COM3(Fiber)ではHELPにもそれら内容をできるだけ記述するようにします.また,参考文献を充実させ,HELP以外の情報も参照していただけるようにします。 |
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G3次元解析による設計の特徴について |
Q. |
2軸曲げを考慮すると、応答が増大したりするというが、すると現行の基準(2次元)で設計されたものは皆、危険と判定されてしまうのか? |
A. |
現行の設計の中にも、許容塑性率や、材料強度の扱いについてまだまだ多くの安全率が入っております。したがって、それらの安全率を再評価するようになれば、全てが危険な構造であるということはないと思っています。 |
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Q. |
3次元になると構造物の挙動が把握しにくいのではないか? |
A. |
それらを把握しやすいために、ビジュアル的なインターフェースに力を入れております。3次元ツールでは、これらの機能は必要不可欠な機能であると思います。揺れる方向、壊れる方向などが非常に把握しやすいようになっていますので、COM3(Fiber)をご活用されれば便利かと思います。 |
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HCOM3(PLATE) |
Q. |
COM3(PLATE)でファイバー要素も使えるのか? |
A. |
はっきりした仕様がまだ決まっておりませんが、別プログラムになるようです.その代わり、COM3(Fiber)ユーザは、低価格(差額)でバージョンアップできます. |
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2000.11.2 FORUM 8 |