| 3.計算 | 
    
      | Q3−1.
 | 耐荷性能照査の照査が行われない
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      | A3−1. | 下記条件が設定されている場合、耐荷性能の照査を行いません。 「照査設定-断面力-作用組合せ」として「13)1.00(D+L)」が選択されている。
 ※作用組合せ「13)1.00(D+L)」を選択されている場合、「耐久性能照査-コンクリート部材の疲労」についての照査のみ行います。
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      | Q3−2. | 「降伏曲げモーメント計算 軸力Nが適用範囲外です。」というメッセージがでる | 
    
      | A3−2. | 降伏曲げモーメントを算出する際において、入力されている軸力Nが適用範囲外のために正しく計算できない状態です。 この状態は、最引張縁の鉄筋位置(またはεsy発生位置として入力した位置)でεsyが発生するとして計算を進めますが、そのときコンクリート圧縮縁はεcu(=0.0035)を超えないことを条件にしています。超えてしまうとコンクリート破壊になるからです。この条件から計算可能な軸力の範囲が自動的に決まります。この範囲を超えているとメッセージを出してMy0の計算を中断します。
 1.入力されている引張鉄筋が多すぎると、それに応じて入力軸力も大きな引張力(N<0.0)になっていないと計算できません。つまり、この配筋状態で、たとえばN=0.0あるいは圧縮力が作用していると、鉄筋が降伏する前にコンクリートが圧縮破壊してしまい、My0は数値が存在しません。
 2.上記1. の配筋でMy0を算出したい場合は、圧縮鉄筋、側面鉄筋も入力して(実断面では配筋されているはず)、中立軸から圧縮側の領域に鉄筋が存在するようにすると良いでしょう。
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      | Q3−3. | 「破壊曲げモーメント計算 軸力Nが適用範囲外です。」というメッセージがでる | 
    
      | A3−3. | 破壊曲げモーメントを算出する際において、入力されている軸力Nが適用範囲外のために正しく計算できない状態です。 道示Xの応力ひずみ曲線を使用するとき、終局ひずみεcuの発生位置(かぶりで入力)が大きすぎるとこのエラーが生じます。その場合は側面鉄筋も考慮して計算してみてください。
 配筋状態を再度確認して下さい(鉄筋量が少ない場合にも発生致します)。
 また、以下の場合も考えられますので、ご確認ください。
 道示Xの応力ひずみ曲線を使用するとき、「照査設定−曲げ関係−限界引張ひずみ」にて、「限界引張ひずみ:塑性ヒンジ長から算出」が選択されている。
 その場合、下記の値を用いて軸方向鉄筋の引張ひずみを内部計算いたします。
 設定項目:
 ・横拘束鉄筋の直径 φ
 ・横拘束鉄筋のヤング係数 E0
 ・横拘束鉄筋の有効長 d’
 ・軸方向鉄筋の直径 φ’
 ・軸方向鉄筋の本数 ns
 ・軸方向鉄筋の最外面からコンクリートの表面までの距離 c0
 設定項目の値が適切でない場合もこのエラーメッセージが表示されることがございます。
 設定項目の値をご確認ください。
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      | Q3−4. | 「降伏曲げモーメント計算 コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3を超えています。」というメッセージがでる | 
    
      | A3−4. | 降伏に達するまでにコンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3を超えた場合は、上記のメッセージが表示されます。 「降伏曲げモーメントの特性値にコンクリートの圧縮応力度の適用範囲(設計基準強度の2/3)を考慮する」にチェックを入れている場合は、圧縮応力度が設計基準強度の2/3に達するときの曲げモーメントを降伏曲げモーメントとして扱います。
 
 ※H29道示VP.126-5.5.1「曲げモーメント又は軸方向力を受ける部材」(3)の解説
 「コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3を超えると〜中略〜コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3に達するときの抵抗曲げモーメントを、降伏曲げモーメントの特性値とすることができる。」
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      | Q3−5. | 耐久性能照査の照査が行われない | 
    
      | A3−5. | 耐久性能照査「内部鋼材の防食」、「コンクリート部材の疲労」を行う場合にはそれぞれ下記の設定を行っていただく必要がございます。 
 
        「内部鋼材の腐食」:「照査設定-断面力タブ」において「作用組合せ」を「1)D」としてください。
        「コンクリート部材の疲労」:「照査設定-断面力タブ」において「作用組合せ」を「13)1.00(D+L)」としてください。 なお、「気中部材」「床板を兼用するフランジ」は気中部材とみなし防食の照査を行います。
 「一般部材」「水中又は地下水位以下」では防食の照査を省略いたします。
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      | Q3−6. | 耐久性能照査-内部鋼材の防食-「せん断力」「ねじりモーメント」に対する照査が行われない | 
    
      | A3−6. | 「せん断力」「ねじりモーメント」の照査を行うためには、下記の設定を行っていただく必要がございます。 ・「内部鋼材の腐食」:「照査設定-断面力タブ」において「作用組合せ」を「1)D」としてください。
 ・断面力として「せん断力」「ねじりモーメント」の値を入力してください。
 ・せん断力に対する照査を行う場合には「せん断補強鉄筋タブ」にて「せん断補強鉄筋を配置する」にチェックをいれ設定項目に値を入力してください。
 ・ねじりモーメントに対する照査を行う場合には「横方向鉄筋」にて「横方向鉄筋を配置する」にチェックを入れ設定項目に値を入力してください。
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      | Q3−7. | 軸方向鉄筋を考慮した断面諸量の計算式はどのように行っているのか? | 
    
      | A3−7. | RC断面の断面諸量を 
 
  
 
  
 
  
 上式で、nは鉄筋コンクリートのヤング係数比で、製品ではnの代わりに(n−1)を使用可能です。
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      | Q3−8. | 小判形での断面諸量のねじり定数をどのように計算しているのか? | 
    
      | A3−8. | 小判形のねじり定数Jですが、公式集に記載されている楕円の式にて近似的に計算しています。 
 
  
 ここに、
 2a=B
 2b=H (B>H)
 入力画面(寸法タグ)に「J算出法」スイッチに従い以下のように算出します。
 0 : 楕円式で算出します。
 1 : 長辺/短辺の比が1.24以上の場合は等積矩形に換算して算出します。
 注記)
 ・「J算出法」スイッチは、充実断面時のみ有効です。
 ・等積矩形の換算方法は、短辺の高さ(長さ)を一致させ、長辺の長さで調節します。
 ・1.24未満の場合は、楕円式で算出します。
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      | Q3−9. | 矩形断面(充実)と矩形断面(中空)の計算結果がほぼ同一となったが、なぜか? 
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      | A3−9. |  
 中空の矩形の場合でも中立軸が中空部にかからなければ、中実の断面と同じになります。(引張側のコンクリートは無視されるため)
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      | Q3−10. | 複鉄筋にて鉄筋を配置する場合、鉄筋の応力は最外縁の応力を表示しているか? | 
    
      | A3−10. | 複数段の鉄筋モデル時も、最外縁に位置する鉄筋の応力度を算出しています。 σsc1,2:鉄筋1,2の圧縮応力度(引張がプラス)
 σst1.2:鉄筋1,2の引張応力度(引張がプラス)
 σpc1,2:PC鋼材1,2の圧縮応力度(引張がプラス)
 σpt1,2:PC鋼材1,2の引張応力度(引張がプラス)
 となっています。
 「結果確認|耐荷照査結果|個別表示|詳細表示|応力度」にてご確認ください。
 
 なお、鉄筋種類毎の最外縁の応力度を算出していますので、応力度を確認したい鉄筋段のみ「鉄筋2」を使用することで、最外縁でなくても応力度を確認することが可能です。
 
 また、本製品の詳細出力では、応力度の検算用として鉄筋段数毎の応力度の詳細な値を出力しております。
 ただし、検算書で確認できる主鉄筋の配筋タイプは上縁からの距離のみです。
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      | Q3−11. | ヤング係数比の取り扱いはどのようにしているのでしょうか? | 
    
      | A3−11. | 本製品のヤング係数比は、「照査設定タグ|曲げ関係タグ」の「応力度計算出力時のヤング係数比」の入力値にて決定されます。この値の初期値は15ですので、もし材料の値(実ヤング係数比)を使用したい場合は、この値を0に指定して下さい。 「応力度計算出力時のヤング係数比」が0の場合は、各材料のヤング係数を使用して内部計算を行いますが、0以外の場合は、入力された「応力度計算出力時のヤング係数比」が他の材質にも考慮されます。(応力度計算出力時のヤング係数比)×PC鋼材(他の鋼材)ヤング係数/鉄筋1のヤング係数と内部計算されます。
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      | Q3−12. | 応力度の結果にて中立軸に「R」表記(単鉄筋でかつ断面力を反転しただけなのに有効高さが反転し応力度が極端に大きくなる現象)されているのですが結果は正しいのでしょうか? | 
    
      | A3−12. | 本製品の中立軸に「R」が表記されると、断面を反転(天地逆転)して応力度を算出しています(天地を逆にした状態で上から測った距離になっていることが確認できます)。 主に断面の下縁側しか配筋されていない状態で大きな引張力と曲げモーメントが作用しているモデルに発生致します。
 このようなモデル(力の釣り合いから求まる中立軸位置が想定外の位置となるモデル)では、断面の上縁側に実際に鉄筋が配筋されていないのであればこの単鉄筋モデルの解析結果で正解値ですが、もし配筋されていればそれを入力してください。そうすれば断面上縁側が圧縮となる結果になります。引張力が大きいときは、断面のすべての鉄筋を計算に考慮しないと正しい結果は得られません。この点にご注意ください。
 ■中立軸の表記説明
 1)中立軸は、コンクリート圧縮縁からの距離です。
 2)中立軸の符号は、中立軸が圧縮縁より下側にあるときは正値、逆は負値と表記されます。
 3)断面の下側がコンクリート圧縮縁となる場合に「R」を表記します。
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      | Q3−13. | 最小鉄筋量は、必要鉄筋量がこれを包括できなければならないものなのか? | 
    
      | A3−13. | 最小鉄筋量は、構造細目などで決定される鉄筋量なので、作用断面力に関係なく初期ひび割れ防止などのために配筋されます。 一方、必要鉄筋量は応力度が制限値以内になるように決められる値で、作用断面力が小さければ値も小さくなります。
 このように、算出の考え方がまったく異なりますので、どちらか大きい方の量を配筋すれば両者の設計条件を満足できる断面になります。
 以上のようにお考えいただき、配筋設計をされるようお奨めいたします。
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      | Q3−14. | 円形状の有効高dの内部計算方法はどのように計算しているのか? | 
    
      | A3−14. |  
 例を用いてご説明いたしますと、以下のような考え方で有効高さdを算出し内部設定します。
 ■条件
 直径D 1.5m  鉄筋径 D22(Aw=3.871cm2)
 かぶり 0.14m 鉄筋本数n=36本
 
 ■有効高さの算出
 矩形換算後の正方形一辺の長さbは、
 
 
  
 鉄筋を帯状換算した場合の厚さtは、断面流心から鉄筋中心位置までの距離をr'とすると
 
 
  
 より
 
 
  
 断面中心位置から1/4円部分の重心位置xは、上図公式を参照して
 
 
  
 よって、
 
 
  
 有効高さdは、
 
 
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      | Q3−15. | 鉄筋とPC鋼材のどちらが先に降伏したかをアウトプットとして知ることはできるか | 
    
      | A3−15. | 本製品では、最引張縁にある鋼材が降伏したときのモーメントを初降伏モーメントとして算出します。 鉄筋とPC鋼材のどちらかが降伏したときのモーメントではありません。
 そのため、中立軸の位置を用いて内側の鋼材の発生ひずみを手計算で確認するか、内側の鋼材が降伏したときのモーメントを別途算出していただく必要があります。
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      | Q3−16. | RC構造物の初降伏モーメントを計算する際、上縁と下縁のそれぞれについて計算を行いたいが、プレストレスによる軸力と曲げを外力で考えている場合の留意点はありますか? | 
    
      | A3−16. | 入力されるモーメントの方向(符号)により上縁下縁の初降伏モーメントを計算できます。 桁上縁側の鉄筋が降伏するときの曲げモーメント(マイナス値)を求めるときは、設計曲げモーメントにマイナス値を、逆に桁下縁の鉄筋が降伏するときの曲げモーメント(プラス値)を求めるときは設計曲げモーメントにプラス値を入力してください。
 PC断面でプレストレスを考慮するときは、有効鋼材応力度を入力するだけで良いのですが、この値を入力し、なおかつ軸力と曲げを外力として考慮すれば、ダブルカウントになりますのでご注意ください。
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      | Q3−17. | 断面力に得られている初降伏モーメントを入力すると、鉄筋、鋼材、コンクリートの応力度のいずれかが降伏応力になると思いますが、実際はそうなら無いのはなぜか? | 
    
      | A3−17. | 初降伏モーメントは、鉄筋、鋼材、コンクリートのいずれかが降伏するモーメントですが、その降伏モーメントを与えて応力度を計算しても鉄筋などは降伏応力度にはなりません。これは以下の理由によります。 初降伏モーメントは、「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」で指定した位置のひずみがεsyになる曲げモーメントと定義され、計算されます。このとき用いられる応力ひずみ曲線は道路橋示方書に示されている非線形のものであり、応力度計算で仮定している弾性のものではありません。この計算上の仮定が2つの計算(Myc算出とσ算出)で異なるため結果として異なる応力度になります。
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      | Q3−18. | 降伏モーメントとして、最外縁の鉄筋でなく、PC鋼材が降伏した場合を算出したいのですが? | 
    
      | A3−18. | もし、鉄筋とPC鋼材が混在していてかつ、最外縁の材料がPC鋼材の場合には、「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」に0.0を入力します。(εsyが0,0以外の場合には断面引張縁からはかった位置(鋼材の有無に関係なく)最引張縁位置に配置された材質の降伏ひずみが生じます) 又、鉄筋が最外縁となるモデルで、PC鋼材を照査したい場合には、以下のように入力して下さい。
 1.「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」に断面引張縁からPC鋼材配置位置までの距離を入力します。
 2.「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|降伏ひずみ εsy」に降伏ひずみの値(0.84*PC鋼材の引張強度/PC鋼材のヤング係数)を入力します。
 注意)
 PC鋼材1or2を使用しσpe(有効鋼材応力度)を入力してPC1or2の降伏ひずみを指定する場合には上記で算出された降伏ひずみから(σpe有効鋼材応力度/PC鋼材ヤング係数)の値を減算しなければいけません。
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      | Q3−19. | 初降伏モーメントは、PC鋼材のみを入力した場合はPC鋼材降伏時のモーメントか? | 
    
      | A3−19. | PC鋼材が、最引張縁に配置されている場合には、PC鋼材降伏時の初降伏モーメントを算出しています。 複数のPC鋼材を配筋されている場合には、最引張縁PC鋼材の位置でその鋼材の降伏ひずみが生じるとします。
 なお、「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」の値は、0.0(初期値)指定しているか確認して下さい。
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      | Q3−20. | 初降伏曲げモーメント算出で「厳密に積分」とあるが具体的にどのように計算しているか? | 
    
      | A3−20. | 2次曲線(=2次の多項式)で表される応力曲面と断面で囲まれる体積を離散的に近似することなく被積分関数を直接求め、それをプログラムで使用している」という意味です。 また、コンクリート圧縮合力の作用点位置は
 
 
  
 ただし、
 M:中立軸から圧縮側の応力曲面について、微小体積と距離を乗じて解析的に積分した関数より算出
 N:中立軸から圧縮側の応力曲面について、微小体積を解析的に積分した関数より算出
 としています。
 なお、具体的な資料等については体系的に整理したものがございませんので提供することができません。
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      | Q3−21. | RC断面計算結果の「破壊抵抗、初降伏モーメント」の2つの状態がどの様な状態か、教えてもらいたい | 
    
      | A3−21. | それぞれ以下のような状態です。 1)コンクリートの圧縮縁が終局ひずみに達するときの曲げモーメント
 2)引張鉄筋が降伏に達するときの曲げモーメント
 尚、コントロールするひずみの発生位置を明確にするため、断面力のMは必ず符号付きで入力して下さい。
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      | Q3−22. | PC箱桁の断面計算で正、負、それぞれの破壊抵抗モーメント、初降伏モーメントを求める事は可能か? | 
    
      | A3−22. | 正曲げ、負曲げ共に求めることは可能です。 常に参考値として負曲げの計算を行っております。
 「結果確認|耐荷性能照査|個別表示|詳細表示|曲げモーメント・軸力」にチェックを入れ、「曲げモーメント・軸力タブ」にてご確認ください。
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      | Q3−23. | 矩形断面で鉄筋が同量で在ればM-φに方向性は在りませんが、断面において変形な形状もしくは鉄筋量の違う断面においてはM-φに方向性がありこの場合どの方向のM-φを求めているのか? | 
    
      | A3−23. | M-φ曲線は、水平軸回りの正方向(断面下縁が引張)および負方向(断面上縁が引張)の2方向について計算しています。 照査に使用する方向は入力された設計曲げモーメントMの符号を見て判断しています。
 すなわち、Mが0.0以上の時は正方向の値を照査に使用し、負方向は参考値として表示しています。
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      | Q3−24. | PC断面のM-Φ曲線を求める際のプレストレスの取り扱いはどのようにしているのでしょうか? | 
    
      | A3−24. | 以下のように取り扱われています。 1)各状態の定義
 @ひび割れ時
 コンクリートの引張縁が曲げ引張強度σbtaに達した状態
 コンクリートの応力度はひずみに比例するものとする。
 
 A降伏時
 引張り側のPC鋼材が降伏ひずみεpsyに達した状態
 
 B終局時
 コンクリートの圧縮縁が終局ひずみεuに達した状態
 
 
 2)検討に際しての仮定
 @有効プレストレスによるコンクリートの初期ひずみは無視する。
 
 A有効プレストレスによる鋼材の初期ひずみεp0は考慮する。
 
 B簡単のため初期状態における外力は軸方向力、曲げモーメントとも0とする。
 
 C断面の高さをH、上端から鋼材までの距離をdとする。
 
 
 3)各状態におけるひずみと応力度の状態
 下側引張りとする。
 @ひび割れ時
 コンクリート下端のひずみをεt、下端から中立軸までの距離をX´とする。
 コンクリート下端の応力度
 
  
 コンクリート上端のひずみ
 
  
 コンクリート上端の応力度
 
  
 鋼材のひずみ
 
  
 鋼材の応力度
 
  
 ※プレストレスを考慮しない場合との違い
 プレストレスを考慮する場合:鋼材応力度は初期ひずみを考慮した値となる。
 プレストレスがない場合:鋼材応力度はひび割れ時のひずみから算出した値となる。
 
 A鋼材降伏時
 鋼材のひずみをεpsyとし、上端から中立軸までの距離をXとする。
 初期ひずみを考慮すると、鋼材位置でのコンクリートのひずみは(εpsy−εp0)となる。
 コンクリート上端のひずみ
 
  
 ※プレストレスを考慮しない場合との違い
 プレストレスを考慮する場合:コンクリートのひずみは鋼材の初期ひずみを考慮して算出する。
 プレストレスがない場合  :コンクリートのひずみは鋼材の降伏ひずみから算出した値をそのまま使用する。
 注記1)「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」の入力項目を準備していますが、この入力値により以下のように算出されます。
 0.0のとき : 最引張縁鋼材の位置でその鋼材の降伏ひずみが生じるとします。
 プラス値のとき : 断面引張縁から測った位置(鉄筋の有無に無関係)に最引張縁位置に配置された材質の降伏ひずみが生じるとします。
 注記2)上記の発生位置での降伏ひずみεsyの入力項目を準備しています。この入力値は、上記の「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」≠0時のみに使用されます(PC鋼材の場合は、0.84×PC鋼材の引張強度/PC鋼材のヤング係数を指定して下さい)。
 
 B終局時
 コンクリート上端の終局ひずみをεuとし、上端から中立軸までの距離をXとする。
 鋼材のひずみ
 
  
 ※プレストレスを考慮しない場合との違い
 プレストレスを考慮する場合:鋼材応力度は初期ひずみを考慮した値となる。
 プレストレスがない場合  :鋼材応力度はひび割れ時のひずみから算出した値となる。
 以上は、鋼材が引張側にのみある場合について記述しているが、圧縮側に配置される鋼材についても初期ひずみを考慮すればよい。
 注記)「照査設定|曲げ関係|破壊抵抗曲げモーメント|発生位置」(断面上縁から最圧縮縁の軸方向鉄筋位置までの距離))の入力項目を準備していますが、この入力値により以下のように算出されます。発生位置を入力した場合は、求められる中立軸位置は、コンクリート上縁からの距離ではなく、発生位置からの距離としています。
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      | Q3−25. | 部分係数法の計算にて必要鉄筋量の計算がありNGとなるのですが、限界状態1・3は共に制限値に対して余裕があります。鉄筋量を増やす必要があるのでしょうか? | 
    
      | A3−25. | 「RC断面計算(部分係数法・H29道示対応)」では、「道路橋示方書Vコンクリート橋・コンクリート部材編」P.114に記載されている引張応力度の上限(210(N/mm2))を満たす鉄筋量を必要鉄筋量として算出しております。 部分係数法で求める限界状態1,3を満たしている鉄筋量を配置している場合でも、必要鉄筋量はそれ以上となる場合がございます。
 照査項目として必要かのご判断は設計者様にて行っていただきますようお願いいたします。
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      | Q3−26. | 応力度計算に用いるヤング係数比について、限界状態設計法では実ヤング係数比を使用しているのはなぜか? | 
    
      | A3−26. | 昭和62年、当社において「限界状態設計法に基づく断面照査プログラム」が開発されまして、その当時の計算処理が現時点の「RC断面計算」にも反映されてきております。 昭和61年土木学会コンクリート標準示方書(設計編)p.74にて、
 「「「
 7.2応力度の算定
 使用限界状態における部材断面に生ずるコンクリートおよび鋼材の応力度の算定は、次の(i)〜(iv)の仮定に基づくものとする。
 (i)維ひずみは断面中立軸からの距離に比例するものとする。
 (ii)コンクリートおよび鋼材は弾性体とする。
 (iii)コンクリートの引張応力を無視する。
 (iv)コンクリートおよび鋼材のヤング係数は、それぞれ3章(材料の設計用値)によるものとする。
 」」」
 と示されており、当社プログラムでは、上記の記載に基づき限界状態設計法での応力度計算には実ヤング係数比を用いることとしました。
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      | Q3−27. | コンクリートが負担できるせん断応力度の基本値τcはどのように算出されているか? | 
    
      | A3−27. | 平成29年道路橋示方書のV編P.160 表-5.8.5に記載の値を使用しております。 コンクリート設計基準強度が規定される範囲内で記載のない値の場合、表に示されるせん断応力度より線形補間して算出します。
 また、範囲外の値の場合は、表に示されるせん断応力度の最小値または最大値を使用しております。
 
 
   
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      | Q3−28. | コンクリートが負担できるせん断力にτcmaxの上限値を考慮せず計算することは可能か? | 
    
      | A3−28. | 可能です。 「照査設定」−「せん断関係」タブにて、『コンクリートの負担できるせん断力にτcmax・bw・dの上限を考慮する』のチェックを外してください。
 
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      | Q3−29. | 限界状態設計法にて、せん断耐力計算のβn算出に用いる純曲げ耐力Mudはどのように算出されているか | 
    
      | A3−29. | 純曲げ耐力Mudは、軸力=0として曲げのみ作用した場合の曲げ耐力です。 ただし、純曲げ耐力Mudの算出時は部材係数γbを考慮せずに計算いたします。
 曲げ耐力の計算につきましては、下記ヘルプをご参照ください。
 ・「計算理論及び照査方法」−「断面照査」−「限界状態設計法」−「曲げ・軸方向耐力」
 ・「計算理論及び照査方法」−「曲げ軸力による応力度」
 
 ヘルプに記載の通り収束計算を行っているため、算出過程や計算式等をご案内することはできません。
 
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      | Q3−30. | 軸方向鉄筋を鋼板のみ、準拠基準を道示Xとしたデータで「終局モーメント計算 軸力Nが適用範囲外です」というエラーが発生する。 | 
    
      | A3−30. | 「照査設定」−「曲げ関係」−「限界引張ひずみ」にて『任意』を選択し、限界引張ひずみεst2、εst3に直接値をご入力いただきますようお願いいたします。 軸方向鉄筋の限界引張ひずみを考慮せず、コンクリート破壊のみで終局モーメントを計算したい場合は、εst2、εst3に大きい値を設定することでご対応ください。
 
 準拠基準を『道示X』とした場合、耐震性能の限界引張ひずみが必要になります。
 塑性ヒンジ長から算出する場合、「主鉄筋」タブに入力された最引張縁にある鉄筋の鉄筋径を計算に使用するため、鋼板のみの断面では計算することができずエラーとなります。
 
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      | Q3−31. | せん断補強鉄筋の入力で、折曲鉄筋のみを反映することはできるか | 
    
      | A3−31. | 本製品では、折曲鉄筋はせん断補強鉄筋の補助的な役割をしているものと捉えております。 恐れ入りますが、折曲鉄筋のみを反映することはできません。
 
 せん断補強鉄筋により受け持たれる設計せん断耐力Vsdは、以下のように算出しております。
 Vsd=Vsd1+Vsd2
 ここに、
 Vsd1:スターラップにより受け持たれる設計せん断力
 Vsd2:折曲鉄筋により受け持たれる設計せん断力で、Vsd2≦Vsd1とする。
 
 折曲鉄筋のみを入力した場合はスターラップVsd1=0.0となり、Vsd2≦Vsd1の制限から強制的に折曲鉄筋Vsd2=0.0となります。
 
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      | Q3−32. | 道示X P.188 式(8.5.13)の橋脚基部断面における限界状態1に達するときに生じる曲率φyは算出できるか。 | 
    
      | A3−32. | 本製品は水平耐力の計算に対応していないため、式(8.5.13)のΦyは算出しておりません。 道示Xに準拠した計算では式中のMls2、My0、Φy0を算出しておりますので、これらの結果を用いて別途算出していただきますようお願いいたします。
 
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