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 Digital Phoenix Project and UC-win/Road 特別講演

(Up&Coming 2007年1月号)
 第5回 3D・VRシミュレーションコンテストに併せて、アリゾナ州立大学 小林 佳弘 助教授をお招きし、去る2006年11月28日、当社中目黒本社セミナールームにて、特別講演「Digital Phoenix Project and UC-win/Road」が開催されました。
 小林先生は、早稲田大学修士課程ご卒業後、渡米し、現在、アリゾナ州立大学 建築・環境建築学科で助教授をされています。「Digital Phoenixプロジェクト」のメンバーとしても活躍中で、当社の非常勤顧問でもあります。
 中国、韓国からの参加者が多いことから、英語によるご説明となりましたが、後半は、質疑や議論が活発に行われました。


▲ASU(アリゾナ州立大学

▲アリゾナ州フェニックス市

▲ASU Decision Theater

▲小林 佳弘 助教授

 講演の導入部では、フェニックス市そのもののご紹介がありました。豊富な写真を用いた、都市の背景、文化、名所、特徴などの楽しいご説明により、参加者はまるでフェニックス市を観光しているような気分を味あわれていた様子です。また、フェニックス市の拡大しつつある状況を、世界の他の都市との比較、人口や、広がる都市化の推移などの、調査資料に基づく説明があり、拡大する全米第5の都市を具体的に把握することができました。
 続いて、本題であるアリゾナ州立大学で小林先生が取り組まれている都市のデジタル化、3次元VRシアターに話が移りました。アリゾナ州立大学では、いくつかのチームで、都市の過去、現在、未来のデジタル化や、それに関連する巨大な都市模型の作成などが行われています。
 小林先生がいま、中心となって実施されているのは、現在の都市のデジタル化です。3次元CGモデルを作成するための様々なソフトや方法が紹介され、究極的なハリウッドでのCGがあるなかで、アリゾナ州立大学でのデータの精度や作成方法が説明されました。特に興味を引いたのは、航空写真から3次元の都市をモデリングする方法です。一般的な航空写真を作成するための撮影方法と異なり、飛行機を都市の側面から撮影できるルートで飛行させ、高さ情報や、建物のファサードを取得できる画像データを用意します。その画像データをもとに、コンピュータで、ある程度自動的にモデリングやテクスチャの作成ができるというもので す。ここで、画像データの最適な解像度の検証結果や、背面に隠れてしまう建物の、自動車による撮影の補完など、実際の作成過程も紹介されました。基本的に、ある一定時間内に飛行機で撮影したものがベースになっているため、建物のテクスチャの色調、明度、彩度が統一され、一体感のある都市モデルが作成できるとのことです。
 このようにデジタル化されたフェニックス市が、UC-win/Roadに取り込まれ、交通シミュレーションと併せて活用されていることは、とても喜ばしいことです。
 講演の最後に、これからの都市データの利用と展望について、ご説明がありました。現在の都市をデジタル化した上で、次のステップとして、将来の都市をコンピュータで予想させ、可視化させるという取り組みです。そこでの重要な考え方は、現在を踏まえての未来ということです。全くの架空の未来都市は、CGで自由に作成できますが、過去から現在に至る延長線上での未来都市を作成するには、その方法を確立する必要があります。ここで紹介されたのが、パラメトリックという方法でした。参加者の方々のご質問も、この点に集中し、興味深い議論がありました。
 小林先生の今後のますますのご活躍を期待するとともに、ご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。



▲UC-win/Road画面(フェニックス市)

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