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ユーザ紹介第70回
日本工営 株式会社 コンサルタント海外事業本部 運輸・交通事業部 道路・橋梁部
Highways & Bridge Dept., Transportation Engineering Division,
Overseas Consulting Administration,Nippon Koei Co.,LTD.
日本工営 株式会社のホームページ
http://www.n-koei.co.jp/

高度な技術力を求められる長大橋と都市内高架橋にウェート
−3D動的非線形解析ツールを有効活用、3D・VRの可能性にも注目−


 今回ご紹介するのは、その高度かつ幅広い専門技術・知識をベースに国内はもとより開発途上国を中心とする海外でも、社会資本整備における多様な技術的問題の解決に取り組むわが国最大手の建設コンサルタント「日本工営株式会社」。そのうち、同社コンサルタント海外事業本部に所属する「道路・橋梁部」に焦点を当てます。

 同部の橋梁セクターではとくに、従来から設計および解析を支援するフォーラムエイトの各種ソフトをご利用いただいています。その一つが、以前の2次元静的線形解析ソフト「FRAME(2D)」からバージョンアップする形で使われている3次元動的非線形解析にも対応可能な「UC-win/FRAME(3D)」。もう一つが、最近新たに導入された3次元リアルタイムVR(バーチャルリアリティ)ソフト「UC-win/Road」です。そこで、これらをツールとして実際に利用、あるいはその有効性に注目して導入に関わられた観点から同部課長(橋梁担当)の吉田剛氏と同部の今田進平氏にお話を伺いました。
■橋梁をはじめとする海外向け事業の現状

 日本工営株式会社は46年に創業。以来約60年にわたり、総合技術コンサルタントとして国内外の大型案件を含む豊富な事業実績を誇ります。本社(東京)をはじめ全国に9支店、1中央研究所、7事務所、34営業所、そのほか海外9事務所(いずれも07年7月現在)を展開する中で、従業員1,337名(07年3月現在)が配置されています。

 同社の事業活動の軸となっているのは、コンサルタント国内事業本部、同海外事業本部、電力事業本部の3事業本部。そのうちコンサルタント海外事業本部は都市社会事業部、地域社会事業部、運輸・交通事業部の3事業部から構成。さらに運輸・交通事業部は分野ごとに道路・橋梁部、鉄道技術部、港湾・空港部という3部門に分かれています。

 道路・橋梁部は文字通り、道路や橋梁、トンネルなどに関するプロジェクトの企画発掘、事業化調査および予備的検討、計画・調査、設計を経て、工事着工から完成に至る工程の施工監理、竣工後の維持管理までカバー。したがって、その橋梁セクターでは橋梁事業のライフサイクルにわたって技術や品質、安全などの面で責任を負うことになります。

 とくに近年は途上国における社会経済環境の変化とともに、環境や景観、安全への意識も向上。それを受けて同社では、これまで培ってきた技術を基に、環境重視型橋梁事業の整備、景観シミュレーションによる美しい橋梁の実現、防災・安全点検対策事業への参画、既設橋梁の非破壊検査・健全性調査 ― などを推進。併せて、「技術立社」の方針の下、(1)AASHTO、BS、DINなど一般的な設計基準の理解と運用 (2)世界各国の地震・洪水といった災害履歴や気象・海象状況などのデータベース化 (3)現地国企業の設計施工能力など地域特性の把握 (4)3次元動的解析対応など設計技術のレベル向上 ― などにより複雑化・高度化する橋梁事業への対応を図っている、と吉田 剛氏は説明します。

 これらの取り組みが、広範な流域を有する大規模河川の横断部、航路確保を伴う海峡部や離島へのアクセス、用地制約や近接既設構造物への対応が求められる都市内高架部、変化に富む地形の急峻山岳地への架橋などでの多くの実績に繋がっていると言えます。そうした最近の具体例として、(1)同部がフィージビリティ調査(FS)から設計、施工監理まで携わったラオスの「パクセ橋建設プロジェクト」(橋長1,380mの14径間連続プレストレストコンクリート(PC)ラーメン箱桁橋で、中央部の3径間は中央支間143mのエクストラドーズド橋、完成:00年8月) (2)同部が詳細設計と施工監理に携わったタイ・ラオス国境の「第2メコン国際橋建設プロジェクト」(橋長2,702mの19径間連続PCラーメン箱桁橋で、航路部は斜版付箱桁橋、完成:06年12月) (3)同部が設計と施工監理に携わったベトナムの「ハイバントンネル建設プロジェクト」(延長6,274m・2車線の東南アジア最長の山岳トンネル、完成:06年6月) ― などが挙げられます。



■パドマ橋のFSなどで「UC-win/FRAME(3D)」が効果

 「建設コンサルタントの世界でさらに差異化を図っていくためにも、柱となるような得意分野を確立、発展させていかなければならないと考えています」。
 吉田剛氏は、とくに橋梁分野で今後力を入れるべきターゲットとして長大橋および都市内高架橋に注目します。

 その一つと位置付けられるのが、「パドマ橋建設計画」。これは、ジャナム川、メグナ川、ガンジス川とともにバングラデシュを流れる四大河川の一つ、パドマ川に送電やガス、通信を添架する多目的橋を建設しようというもの。バングラデシュはもともと多くの河川が縦横にめぐり、洪水や氾濫が毎年のように発生するのに加えて、河川位置や河岸形状も繰り返し変化。そのことが、流域住民の生活への影響はもちろん、物資輸送を担う幹線道路の冠水・損壊により同国の経済発展を阻害する要因ともなっています。そこで、同川を橋長5,580mの超長大橋で結ぼうというプロジェクトが浮上。(独)国際協力機構(JICA)が日本工営株式会社・株式会社建設企画コンサルタンツ共同企業体に業務委託し、03年5月〜05年3月にそのためのフィージビリティ調査が実施されています。

 「この世界的にも非常に長い橋梁を事業化するに当たり、バングラデシュ政府が求める条件に対応した建造物を想定し、その橋梁の規模や構造、工事費などを分析する上で、『UC-win/FRAME(3D)』が有効だと考えられました」。

 以前から「FRAME(2D)」を利用していた吉田剛氏は、同調査を機に「UC-win/FRAME(3D)」へアップグレードし、3次元動的非線形解析を試みました。その成果は05年3月にまとめられ、JICAに報告されています。

 一方、吉田剛氏はパドマ橋のFSで「UC-win/FRAME(3D)」を利用し、個々の数値の意味を画面上で確認しながら入力できるため使いやすく、また入力と同時にそのデータの結果を視覚的に確認できるため問題点を即座に把握できるといった機能に注目しました。以来、アフリカや中近東、南西アジア、東南アジアなどの現場へ出張する都度、「UC-win/FRAME(3D)」を持参し、必要に応じて解析。従来のツールでは分からなかったようなさまざまなトラブルの原因を検知することが可能になったと言います。

 「しかも、そこで作成される3次元モデルは3DSファイルにエクスポートできるため、構造解析モデルをそのまま完成予想図に反映できるメリットもあります」。
 ただ、これまではシステムのプロテクトによる制約もあり、出張先へUSBキーを持って行ってしまうと他のメンバーが使えないという課題もありました。これに対しては、インターネットを通じてフォーラムエイトのサーバにアクセスし、パスワードにより「UC-win/FRAME(3D)」を共有できる新しいライセンス・サービスが始まることから、「速やかに導入の検討を進めたい」と強い関心を示します。

 パドマ橋プロジェクトについてはその後、詳細設計に関する公示を受けて各社が関心表明を提出。ショートリストを経てコンサルタントが選定されると、来年にも詳細設計、工事実施へと進むことになります。



■タンジュンプリオク港事業を機に「UC-win/Road」も導入

  もう一つの都市内高架橋の例としては、現在、詳細設計が取り組まれている「タンジュンプリオク港アクセス道路建設計画 フェーズ1」が挙げられます。

 これは、インドネシアのジャカルタ首都圏で車両登録台数が98年から02年の5年間に年平均約12%の伸びを記録するなど交通量が急増。それを反映して域内の交通混雑も深刻化。とくに、ジャカルタ市の北東に位置する同国最大の国際貿易港、タンジュンプリオク港では交通渋滞ゆえに港湾へのアクセスが悪化し、地域経済を停滞させる要因の一つになっていることが背景にあります。

 そこでまず、同港周辺の交通渋滞緩和を目指すタンジュンプリオク港アクセス道路(ジャカルタ外環道路北東部〜ジャカルタ湾岸道路、総延長12.1q)のうち、ジャカルタ外環道路の北東部からタンジュンプリオク港までの延長8.1qを建設。ジャカルタ近郊から同港へのアクセス改善と、高速道路ネットワークおよびそのバイパス機能の向上を図ろうというもの。同社は同プロジェクトにおける詳細設計、入札補助、施工監理を担当しています。

 その中で今年初め、「複雑なランプ構造などを相手国政府の関係者らに分かりやすく説明できるツールはないか」という現場担当者からのリクエストを受け、今田進平氏が「UC-win/Road」を提案。4月に購入されています。ただ、これは契約外のサービスの一環であり、本来業務のスケジュールがタイトになっているため、現在はまだ当初予定した利用には至っていません。しかし、従来の2次元図面と違う視覚的な説明のしやすさに加え、3次元解析データや他のCADデータを有効利用した効率的な3次元VRデータの作成が可能、さらに設計者自身も3次元で確認できるなどのメリットは認識されており、以後のプロセスでの活用が期待されています。

 「今回のようなお客さんへの設計説明とともに、今後の新たなプロポーザルに当たりさまざまな使い方が考えられると思います」。
▲コンサルタント海外事業本部
  道路・橋梁部 今田 進平氏(左)、課長・吉田 剛氏(右)
▲新麹町オフィス
▲パドマ橋・完成予想図
(UC-win/FRAME(3D)エクスポートモデル利用)
▲ラオス国 パクセ橋 (上:実写、下:完成予想図)
▲タイラオス国境 第2メコン国際橋(上:実写、下:完成予想図)
▲タンジュンプリオクアクセス道路フェーズ1位置図
▲Wikiでのプロジェクト管理画面
■Wikiを活用し海外プロジェクトも管理

 世界各地で事業活動を展開している同部では、部内での効率的な情報共有を実現するため、「Wiki」を活用したプロジェクト管理を行っています。
 これは、Web上で繋がったすべての部員同士がアクセス・編集できる仕組みを利用。また記録も残るため、プロジェクト実施支援サイトや仮想図書館の開設、保有するソフトの管理などに使われています。プロジェクトごとに作成されるWebサイトでは、プロジェクト関連ニュースやメンバーリスト、入手資料などの情報が効率的に共有されるほか、報告書作成過程での最新ファイルの把握も容易化。プロジェクトの作業手順が可視化されるとともに、海外からの重いファイルの送信作業も軽減されたと言います。06年に同システムを導入、今後は設計技術の継承や各種文書のテンプレート公開といった利用方法も視野に入れられています。

 「(このようなシステムや個々のツールを含め)IT(情報技術)は便利でなければ、あるいは使いにくければ活用されません」。それだけに、どのような使い方をするのか、そのためにはどのようなコンテンツが必要か、という観点から常に研究していくことが重要と両氏は一致した見方を語ります。

 お忙しい中、取材にご対応ご協力いただいた関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。



  
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