CG、VRのようなディジタルコンテンツに関わる知的財産権について、ご紹介します。
●知的財産権
「知的財産権」とは、知的な創造活動によって作られた成果を知的財産とみなし、創作者のものとして保護するためのさまざまな権利の総称です。他人による無断利用やコピー製品の横行を防ぎ、創作者の経済的基盤を確保することで、創作意欲の促進、信用の維持を図り、産業や文化の発展を成すことを目的としています。また、組織の情報資産を保護する面からも、いろいろな法律が制定されています。
知的財産権のおもな種類としては、著作権と産業財産権があり、そのほか、不正競争防止法によって保護される形態などがあります。
知的財産権の概要
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権利名 |
保護法 |
保護対象 |
保護期間 |
著作権 |
著作権 |
著作権法 |
著作物
(文芸、学術、美術、音楽、建築、地図、映画、写真、プログラムなど) |
著作者の死後50年
(法人は公表後50年、映画は公表後70年) |
著作隣接権 |
著作権法 |
実演、レコード、放送 |
実演、発売、放送後50年 |
産業財産権 |
特許権 |
特許法 |
発明(「物」、「方法」、「物の生産方法」の発明で高度なもの) |
出願日から20年
(一部25年に延長) |
実用新案権 |
実用新案法 |
考案(物品の形状、構造、組合せに係る考案で、高度性は不要) |
出願日から10年 |
意匠権 |
意匠法 |
意匠(物品のデザイン) |
登録日から20年 |
商標権 |
商標法 |
商標(トレードマーク、サービスマーク) |
登録日から10年
(10年ごとに更新可能) |
その他 |
回路配置利用権 |
半導体集積回路の回路配置に関する法律 |
半導体集積回路 |
登録日から10年 |
育成者権 |
種苗法 |
植物新品種 |
登録日から25年
(樹木は30年) |
− |
不正競争防止法 |
営業秘密
(ノウハウや顧客データの盗用を規制)
商品等表示・商品形態
(混同惹起行為、著名表示冒用行為、形態模倣行為、ドメイン名の不正取得、誤認惹起行為等を規制) |
− |
●著作権
著作権は、著作物を創作した著作者に与えられる権利で、著作物を創作した時点で自動的に権利が発生します。権利取得のための手続きは一切不要で、これを無方式主義といい、ほとんどの国で採用されています。著作権には著作財産権と著作者人格権があり、著作財産権は譲渡可能です。また、著作物を伝達する者に認められる著作隣接権があり、放送事業者、有線放送事業者、レコード製作者、実演家がこれに該当します。公衆に広めるための複製権(海賊版ではない)、放送権、録画権などが保護されます。著作権は文化庁の所管であり、Webサイト上に著作権Q&Aや、誰でもできる「著作権契約書作成支援システム」、「自由利用マーク」配布などがリンクされています。
>> 文化庁 著作権サイト http://www.bunka.go.jp/chosakuken/
●産業財産権
産業財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権があり、著作権とは違って、出願・審査・登録等の一連の手続きを経てはじめて権利が発生します。これを審査登録主義といい、所管は特許庁となります。フォーラムエイトでは、VR-Studio(R)など商標登録を行っている製品もあります。
>> 特許庁Webサイト http://www.jpo.go.jp/indexj.htm
●不正競争防止権
公にできる著作物やアイデアは著作権法や特許法などで保護されますが、企業活動上、公にできない情報については、「営業秘密」として不正競争防止法により保護されます。企業内部で秘密として管理されている有用なノウハウや顧客リスト等がこの対象となります。そのほか、不正競争防止法の保護対象となる権利形態は幅広く、コピー・プロテクション無効化装置の提供(技術的制限手段に対する不正競争行為)や、不正にドメインを使用する行為も禁止規定となります。
>> 経済産業省 知的財産政策/不正競争防止サイト http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/
●CG・VRと著作物
CG・VRは、モニタ上に作成される「表現」と、その生成用「プログラム」を別個のものととらえ、それぞれ著作物の定義に該当する場合、著作物として保護されます。プログラムは、著作物の種類のなかで「プログラムの著作物」に該当します。静止画像は「美術の著作物」または「地図、図形の著作物」、アニメーションやゲームソフトなどは「映画の著作物」に該当するとされます。なお、アルゴリズムは「解法」であり、創作的な「表現」にはあたらないとして保護されません。CG・VRの利用については、著作物として著作権者から利用についての「許諾」を得る必要があり、著作権の帰属先や使用範囲などについて内容を確認・合意のうえ契約を文書で締結することが望ましいといえます。
FORUM8認定・VRマスター試験開始
VRシミュレーションの実務経験と応用技術を有する技術者を認定。VRについて高度な知識・技能を身につけ、VRエンジニアの指導および業務における問題解決や適切な判断ができるレベルを想定する。VRの高度活用、上級プレゼンテーションができるシニアエンジニア水準。当社が定める経験またはVRエンジニア合格者を対象に筆記試験、実技試験を実施し、合格した者を認定する。
対象セミナー : UC-win/Road Advanced・VRセミナー
次回開催予定 : 2010年 7月 23日(金) 大阪 |
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参考文献: 『コンピュータグラフィックス』、CG-ARTS協会(財団法人画像情報教育振興協会) |
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(Up&Coming '10 盛夏の号掲載) |
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