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Academy User vol.10

オーストラリア

マッコーリー大学

先進的運転挙動研究にフォーラムエイトのドライビングシミュレータを活用


マッコーリー大学
URL ● http://www.mq.edu.au/
所在地●Balaclava Road, North Ryde NSW, 2109, Australia
研究内容●交通心理学、マルチタスク、持続可能な都市交通

マッコーリー大学の概要

マッコーリー大学は、50年前にシドニーで3番目の大学として設立されました。シドニー北東部郊外、ノースライドにある126ヘクタールにも及ぶ緑豊かな公園のような敷地に囲まれた当大学は、在学生4万人のうち1/5が留学生という、国際交流に盛んな大学です。
マッコーリー大学は、特に社会科学の教育・研究に長年の実績があり、人間科学部の修士号・博士号過程の研究に従事している多くの学生が在学しています。
マッコーリー大学での研究テーマは、世界各国の人々の生活をより良くする機会、およびその目的達成の前に立ちはだかるハードルに対応するための5つの学際的戦略優先事項である、健康な人々、強靭な社会、豊かな経済、安心な世界、革新的技術のうちの1つに焦点をあてます。

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▲マッコーリー大学校舎 ▲学内メイン通りのウォリー通りを歩く学生

シミュレーションハブ

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▲シミュレーションハブ入口

マッコーリー大学の自慢は、人間の能力研究に革新を起こすことを目標に数十億ドルを投資して新設した、2014年に完成したシミュレーションハブをはじめとする新施設とインフラです。
マッコーリー大学のシミュレーションハブは世界で類がなく、運転、家庭、仕事と娯楽、飛行、モーションキャプチャやバーチャルリアリティのシミュレーションを行える数々の研究所を1ヶ所に集約した新型施設で、マッコーリー大学構内だけでなく各業界で活躍する一流専門家が集まっての橋渡し研究を可能にしています。
最新の技術でつくられた、現実世界を模した制御された安全な環境で、研究と商業訓練を行うことが出来ます。

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▲VR(バーチャルリアリティ)研究所

運転シミュレーション研究所

この研究所にはドライバーの挙動、能力、注意の研究に使われる3基のドライブシミュレータがあり、大学や企業が運転教育の目的で使用することが出来ます。
3つのドライブシミュレータの中で最も新しいものは、2015年初頭にフォーラムエイトによってインストールされ、ドライバーの行動に関する数々の研究に使われています。フォーラムエイトの進んだグラフィックソフトウェアが提供するこのシミュレータは、マッコーリー大学による実際の研究に基づいた環境やシナリオを再現します。

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▲FORUM8のドライビングシミュレータがドライバーの研究に使用されています。

展望記憶の欠落に関する研究

人間科学部心理学科の学科長であり、ドライブシミュレータ研究所の研究部長のJulia Irwin教授は、現在数人の大学院生と成績優秀者の研究を監督しています。
「ドライバーの注意散漫に焦点をあてた我々の現在の研究は、意図しない運転ミスの背景にある人的要因を明らかにし、交通安全への安全システムの取り組みと調和しながら、そのようなミスを減らす可能性のある道路標識の形式を決めています。また、年齢別の交通システムへの作用や、交通安全メッセージのソーシャルマーケティングにおけるナッジ(誘導)要因の充実を調べています」と、Irwin教授は述べています。

Irwin教授の研究は、より安全な道路システムのデザインに実用的に適用できる「展望記憶の欠落」という分野に関するものです。私たちは記憶を過去の出来事の回想だと思っていますが、記憶は未来の行動の計画や決定にも関わっています。これを展望記憶―将来の意図のための記憶―と呼び、私たちの日常生活に非常に重要です。

▲人間科学部心理学科 学科長
ドライブシミュレータ
研究所 研究部長
Julia Irwin教授

しかし、展望記憶は万全ではありません。意図した作業をし忘れると、そこに誤りが発生する可能性があります。これは一般的に、行動の「正常」な流れや順序が中断した場合に起こります。

2014年にIrwin教授と学生は、「信号で停止後のスクールゾーンでの速度違反についての道路標識の刺激の差動効果」に関する研究を行いました(http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0001457515301020?np=y)。シドニーでは8〜9時半と14時半〜16時の間、全ての学校周辺がスクールゾーンとなり、車両は時速40キロ以下での走行が義務付けられます。元々の制限速度である時速60〜80キロから20〜40キロの減速が必要となります。

スクールゾーンでの速度違反

研究では、まずスクールゾーン内にある信号整理された4つの交差点を選び、スピードガンで車両速度の計測を行いました。これにより、信号停止などで運転作業が中断すると、ドライバーはしばしばスクールゾーンにいることを忘れ、速度を上げて発進してしまうことが分かりました。信号での停止が必要なかったドライバーの制限速度超過は平均で1.76km/hだったのに対し、赤信号で止まることになったドライバーは、平均で8.27km/hも制限速度を超過していました。その後、点滅する「速度確認」の看板を持った人を登場させ中断による影響を消してやると、ドライバーはスクールゾーンであると思い出して速度を下げました。

翌年の研究はドライブシミュレータで行われました。フォーラムエイトのソフトウェア、UC-win/Roadによって、シドニー北部のスクールゾーンにある信号付き交差点が4キロメートルにわたって3Dバーチャルモデルで再現されました。「展望記憶が欠落した」速度違反ドライバーについての以前の路上観察研究の結果が検証され、点滅する「スクールゾーン」標識を用いることで、スクールゾーンであることをドライバーに効率的に「思い出させる」ことが出来ました。

 Interruption  停止
 Interrupted  あり
 Non-Interrupted  なし 
 Speed  速度
 Within School Time   時間内
 Outside School Time  時間外
 School Time  スクールゾーン時間
▲スクールゾーン時間と運転作業の中断の有無のよる
平均車両速度(時速)の比較

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▲(左)ニューサウスウェールズ州では、点滅するライトが付いたスクールゾーンの標識が、
ドライバーにここでの運転の仕方を思い出させます。
(右)スクールゾーンの交差点で停止するドライバーのVR

その後の研究では、ドライバーがスクールゾーンにいるという「状況」を忘れることに短時間の信号停止も影響があるかどうかを、信号現示を変えて調べました。83名の学部生が、スクールゾーン内で信号のある交差点で停止が必要となるシミュレーションテストに参加しました。

展望記憶タスクは、運転作業の中断後に時速40キロの制限速度を守ることを忘れないようにします。停止した参加者は大きく速度を上げることが分かり、運転を中断されなかった参加者と比べてスクールゾーンのことを忘れてしまうと報告されました。赤信号での遅れの長さによる速度や失念に対する違いはありませんでした。さらに、Manchester Driver Behaviour Questionnaire (DBQ; Reason, Manstead, Stradling, Baxter, & Campbell, 1990)のスコアは、スクールゾーン内での参加者のシミュレータ速度とは関係なく、中断による運転結果へのあらゆる影響を強調しています。これらの発見は、速度超過が常に意図的であるわけではなく、道路施設の特性が誤った速度超過をもたらしている可能性があることを示しています。

Irwin教授は、2016年8月にオーストラリアのブリスベンで開催されたthe Sixth International Conference on Traffic and Transport Psychology (ICTTP2016)で、Duration of interruption does not affect prospective memory lapse in regard to speeding errors(「速度違反に関して中断時間は展望記憶へ無影響である」、Sehr Javed, Julia Irwin and Eugene Chekaluk共著)というタイトルでこの結果を発表しました。

今年は、ラウンドアバウトのような道路施設や一時停止などの標識によって、ドライバーが停止させられるかもしれない他の運転状況について調べるために、上記の研究がさらに拡大しています。

これらの研究者にとって、環境を再現した3Dバーチャルモデルの作成や、交差点のデザインや信号現示の制御だけでなく、ログ出力プラグインでドライバーの行動を記録したり、リプレイ機能で視覚的に記録したりするソフトウェア機能が、ドライバーの挙動解析の鍵となる特性となります。

Irwin教授と同僚による研究の結果は、The Conversation (https://theconversation.com/where-drivers-dont-mean-to-speed-its-no-good-just-fining-them-32747)などの非学術誌でも広くとりあげられ、抑止力のある速度違反の罰金額、市街地と一般道の両方での速度制限ゾーンの標識の追加の必要性、アダプティブクルーズコントロールや自動速度制御などの技術の役割について、オーストラリアの地域社会で議論を引きおこしました。

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▲(左)マッコーリー大学のVR研究でのスクールゾーン、(右)スクールゾーン終了の標識

国際ドライバーの「バーチャルフィードバック」を支援する研究

交通心理学以外を専攻する学生も、フォーラムエイトのドライブシミュレータを使っています。理工学部情報学科の博士課程に所属するHasan Alyamani氏は、国際ドライバーが普段から慣れている道路と「反対」車線を走るときの認知負荷を研究しています。右側通行と左側通行の両方のシミュレーションシナリオを用いて、国際ドライバーがいつ、どこで、どんな運転ミスを犯すのか、そしてその原因を詳しく調査しています。

調査結果は、ドライバーの認知負荷を減らし、慣れない運転環境下で安全に運転するスキルを向上させる、バーチャルフィードバックシステムの開発に役立ちます。もう一度言いますが、フォーラムエイトのソフトウェアで作成できる安全なシミュレーション環境と、運転ログや映像記録の両方が、課題の更なる解析に不可欠なものなのです。


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