ログ出力プラグイン・オプションは、ドライビングシミュレーション機能を用いて運転する場合の車両の座標や向き、速度、ハンドル舵角などの情報や、周囲を走行する交通流や歩行するキャラクタなどの情報をログ出力するプラグインです(有償オプション)。本プラグインは、CSV形式で保存するだけでなく、ネットワークを通じてリアルタイムにUDP出力する可能もサポートしています(図1)。
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■図1 ログ出力の基本動作 |
ログ出力データ |
基本データ |
シミュレーション時間、モデル名、モデルID、種別 |
座標、姿勢 |
X,Y,Z座標、ピッチ角、ヨー角、ロール角、ベクトル |
動力、速度 |
エンジン回転数、ギヤ番号、車速、速度制限 |
入力 |
ハンドル角、アクセル開度、ブレーキ量、自動運転 |
■表1 ログ出力データの例
本プラグインを用いることにより、運転状況の分析や様々な研究に利用できるものと考えられます。以下に例を挙げます。
安全運転支援システムの研究
近年、交通事故の発生数は減少傾向にあるものの、その数は依然として多く、ドライブシミュレータを用いた危険度評価や事故を未然に防ぐ安全運転支援システムの研究開発が盛んに行われています。ログ出力プラグインは、運転を行う自車だけでなく、周囲の他車両や歩行者のログを出力することができますので、例えば、自車と他車両、自車と歩行者との相対距離や相対速度を計算し、次図および次式による衝突余裕時間(Time-to-Collision,TTC:現在の相対速度が維持されると仮定したとき、自車が先行車に衝突するまでの時間を予測する指標)や衝突余裕度(Margin-to-Collision,MTC)などをリアルタイムに計算することが可能です。ドライブシミュレータとこれらの評価指標を用いた研究開発が考えられます。
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■図2 安全運転支援システム |

ここに、
tc:衝突余裕時間(s)
xr:自車及び他車両の車間距離(m)
vr:自車及び他車両の相対速度(km/h)
xf,xp:自車及び他車両の位置(m)
vf,vp:自車及び他車両の速度(km/h)
ECOドライブの研究
UC-win/Roadでは、自動車走行による二酸化炭素の排出量を計算するECOドライブプラグインを用意しています(Ultimate,Driving
Simに搭載。または有償オプション)。本プラグインは、旅行時間T、旅行距離D、車速変動特性等を用いて、以下に示す計算式により二酸化炭素排出量E(kg-C)を解析していますが、例えば、下記とは異なる計算式により二酸化炭素排出量や燃料消費量などを評価したい場合にログ出力プラグインを用いることが考えられます。ログ出力プラグインでは、これらの計算に必要なパラメータをCSVファイルやリアルタイムUDP出力を行うことができますので、これらを用いた評価、研究が可能です。

※大口・片倉・谷口「都市部道路交通における自動車の二酸化炭素排出量推定モデル」土木学会論文集No.695/IV-54,125-136,2002.1
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