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Q&A基礎の設計計算 Q&A ('15.07.31)
NEW! 更新内容


Q1−22−96. 道示XP283の15.4(2)2)基礎に塑性化を考慮する場合において12.4の規定に基づく橋脚基礎の変形による上部構造の慣性力の作用位置における応答変位に相当する水平力とする。
以上の記述があるが具体的には計算書のどこを参照すればよいか。


Q1−22−97. 場所打ち杭の主鉄筋にSD390,SD490を使ったときの許容塑性率は、変更する事が可能か。




0 全般       
1 杭基礎    
2 鋼管矢板基礎
3 ケーソン基礎   
4 地中連続壁   
5 直接基礎
6 液状化の判定

目 次
 0 全般

Q0−1.基礎バネはどの位置で算出されるのか。

Q0−2.「橋脚の設計」でフーチング無しモデルとして計算したデータファイルがあるが、これを鋼管矢板基礎やケーソン基礎等の設計データとして取り込みたい。この手順を教えてほしい。

Q0−3.杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の「地層」画面で液状化の判定を行うとき、平均N値ではなく測定点ごとのN値を用いて計算したい。

Q0−4.「FRAME(面内)」「FRAMEマネージャ」で読み込むことのできるファイルを作成できるか。

Q0−5.入力する鉄筋のかぶりは、杭外周から鉄筋中心までの距離か、それとも鉄筋外面までの距離か。

Q0−6.橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件の場合、基礎が降伏に達しても、応答塑性率の照査がOKであれば、最終的にはOKと判断されるのか。

Q0−7. 液状化を考慮した場合の基礎ばねの計算方法は?

 1 杭基礎
  1−1.適用範囲・準拠基準等

Q1−1−1.PHC杭のヤング係数の出典は?

Q1−1−2.側方移動の入力方法は?

Q1−1−3.フーチング無しモデルの入力方法は?

Q1−1−4.増し杭なしでフーチングのみの補強計算を行いたい

Q1−1−5.単杭の検討は可能か。

Q1−1−7.パイルベント橋脚の設計は可能か。

Q1−1−8. 「基礎の設計計算」単独使用時でも剛体照査を行うことは可能か。

Q1−1−9. 適用基準について設計条件のところで、杭基礎便覧の平成4年と平成19年の両方が記載させているのは何か意味があるのか。

Q1−1−10. 鋼管ソイルセメント杭の時、[材料]画面における「ソイルセメントの変形係数」「有効重量算出用の単位重量」の出典は?

Q1−1−11. PC杭の各許容応力度の出典根拠は?

Q1−1−12. 鋼材における割増係数1.5の場合の許容値が、1.0のときの許容値×1.50とは異なる(ラウンドダウンされている)理由は?

Q1−1−13. 鋼管杭で既設杭が3種類の杭径・杭長から構成されている杭配置を、増し杭工法を用いることができるか。

Q1−1−14. 鋼管内にコンクリートを充填した杭の計算が行えるか。

  1−2.解析方法、設計の基本的考え方

Q1−2−1.レベル2地震時のせん断照査の方法として、「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」,「杭体のせん断力≦杭体のせん断耐力」から選択できるようになっているのはなぜか?

Q1−2−2.耐震設計上の地盤面はどのように取り扱っているのか?

Q1−2−5.基礎が降伏しても応答塑性率・変位でOKならば 総合判定でOKとならないのか?

Q1−2−6.突出杭のとき、水平荷重等は考慮しているか?

Q1−2−8.動的解析時、どのバネ値を用いたらよいか?

Q1−2−9.杭基礎設計便覧準拠時の水平変位の制限を緩和した杭基礎の設計において、最小変位には何を入力すればよいか?

Q1−2−10.杭径や杭長が異なる杭が混在しているとき、各杭の杭頭に作用する荷重は、杭の剛比により分担しているのか。

Q1−2−11.杭軸直角方向バネ定数K1〜K4はどのように算出されるのか。

Q1−2−12.「計算条件」-設計条件」-「杭」の『杭先端条件』はどのように扱われているか

Q1−2−13.杭体水平荷重はどのように安定計算に考慮しているのか。

Q1−2−14.増し杭工法における荷重分担はどのように考えているのか。

Q1−2−15.杭体の水平荷重は杭1本当りのものか、全幅あたりのものか?

Q1−2−16.底版の斜引張鉄筋の必要鉄筋量が手計算と合わない。何か特殊な計算をしているのか。

Q1−2−17.水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計とは、具体的にどのような設計法なのか。

Q1−2−18.盛りこぼし橋台の常時の検討において、地盤変位荷重を載荷した場合に許容変位に対する照査を行っていないがこれはなぜか。

Q1−2−19.斜杭を考慮する場合、斜角の影響はどのように安定計算に考慮しているのか。

Q1−2−20.1/βが杭長よりも長くなるケースが生じた。このようなケースのとき、プログラムではどのように計算しているのか。

Q1−2−21.せん断耐力の割増係数Cdcを線形補間により求めているが、線形補間ではなく道示W表-8.7.1のいずれかの値を選択すべきではないのか。

Q1−2−22.杭頭に段差があるとき、基礎バネはどの位置で算出されるのか

Q1−2−23.盛りこぼし橋台でレベル1地震時の地盤変位荷重が作用したときの変位はどのように算出されるのか。

Q1−2−24.増し杭で片側張り出しの場合、基礎バネはどのように算出しているか

Q1−2−25.底版照査時のフレーム解析結果における端部の格点はなにか。また、その点に対して曲げモーメントがかかっているのは問題ないのか

Q1−2−26. 橋台の設計と連動時、水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計ができないのはなぜか。

Q1−2−27. 杭基礎(場所打ち杭)で地形の傾斜があり、杭長も1本1本異なる場合の計算(解析)方法はどのようにするのか。

Q1−2−28. 「杭頭が回転しない場合」で計算を行なう予定であるが、この場合に如何様に対処すればよいか。

Q1−2−29. 地層が粘性土の場合、圧密沈下が生じると杭体の応力度が変わってくると思うがそのような圧密沈下に対応した照査は行っているか。

Q1−2−30. [設計条件]−[設計条件]−[杭]において、回転杭を選択した場合、「施工方法」で「道示モデル」が強制チェックされるが、この道示モデルはどういうものか。

Q1−2−31. 杭基礎のフーチングを弾性体としたモデルでの照査は可能か。

  1−3.地層・土質定数

Q1−3−1.地盤種別はどのように取り扱っているのか。

Q1−3−2.杭基礎の設計の耐震設計上の地盤面で、取り扱いをBとした場合 「耐震設計上の地盤面より上のDE(レベル2)>0.0の地層には、DE(レベル2)値に応じた地盤抵抗(水平方向地盤反力係数,水平地盤反力度の上限値)を考慮します。」となっているが道路橋示方書には特に明記されている文面が見当たらない。

Q1−3−3.入力した地層数と出力された地層数が異なる。

Q1−3−4.「土質」を変更後、「φの計算」を実行してもφの計算が行われない。

Q1−3−5.計算書の「地層データ」の項にある「f」「fn」とは?

Q1−3−6.盛土地盤のせん断弾性波速度Vsdは、レベル1地震時のVsとは異なるのか。

Q1−3−7.2方向傾斜時の杭基礎の照査を行うことは可能か?

Q1−3−8.現地盤面,設計地盤面および地盤面の違い

Q1−3−9.流動化時の許容変位が基礎の降伏に達するときの水平変位の2倍としている根拠

Q1−3−10.「地層」−「土質一覧」−「土質データA」画面の[φの計算]ボタンよる計算方法は?

Q1−3−11.地盤種別はどのように取り扱っているのか。

Q1−3−12.杭種や工法によっては、支持層を粘性土層にすると警告が表示される。回避する方法はあるか。
    ----------------------
    警告:[20604]
    粘性土層に支持層が設定されています。
    極限支持力qdは砂層として算出します。
    ----------------------

Q1−3−13.土の飽和重量を湿潤重量+1とすることが多いが、これはなぜか。

Q1−3−14.地層傾斜時、地層データの「中間点Uの間隔(m)」の『始点U』と杭配置-基礎天端の『偏心量eu』の位置関係はどうなっているか

Q1−3−15.回転杭を選択時、引抜係数βが0となる場合がある

Q1−3−16. 流動力算定に使用する受働土圧係数Kpを「内部計算」する際の計算内容はどのようになっているのか。

Q1−3−17. 地層データはどのように削除するのか。また、増やしたい場合はどうするのか。

Q1−3−18. 基礎の設計計算において、せん断抵抗角度φを計算できるが、計算書として出力する方法はあるか。

  1−4.支持力・周面摩擦力

Q1−4−1.最大周面摩擦力度の算定に用いる係数を変更したい。

Q1−4−2.道示W12.4.1 γ:極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数を変更したい。

Q1−4−3.中立点は何を入力すればいいのですか?

Q1−4−4.「計算条件」−「設計条件」−「その他の条件」画面の『群杭としての許容支持力照査』が選択できないのはなぜか?

Q1−4−5.増し杭の許容支持力の計算で周面摩擦力が 0 になっているのはなぜか?

Q1−4−6.許容支持力の計算時に杭で置き換えられる部分の土の有効重量を考慮しない方法は?

Q1−4−7.群杭としての許容支持力照査を行うとき、入力する必要があるのはどのデータか。また、支持力係数はどこで指定するのか?

Q1−4−8.群杭としての許容支持力照査の結果はどこで確認することができるのか。

Q1−4−9.郡杭とした場合、仮想ケーソンとして照査しますが、根入れ(DF)を指定することはできますか?

Q1−4−10.杭の許容支持力算出のためのW(杭及び杭内部の土の有効重量)を算出したいが、杭重量しか算出されない 杭内部の土の有効重量は含まれないのか?

Q1−4−11.「計算・結果確認」画面の「総括表」および「安定計算」において、許容支持力Ra,許容引抜力Paが「──」となり計算値が表示されない

Q1−4−12.摩擦杭、としても支持杭の安全率で計算されている

Q1−4−13.杭の許容支持力の計算で、γ:極限支持力推定法による安全率の補正係数を変更したい。

Q1−4−14.杭の軸方向許容押込み支持力,許容引抜き支持力の算出において、周面摩擦力を無視する方法は?

Q1−4−15.道示W12.4.4(P.372)の群杭の補正係数μを考慮したい

Q1−4−16.SL杭を選択したとき、常時,レベル1地震時の許容支持力を低減していないのはなぜか。

Q1−4−17.地層−土質一覧−土質データで「最大周面摩擦力推定方法:粘着力C」としているが、土質データAのf、fnはN値から推定されている

Q1−4−18.直接基礎の極限支持力の計算で、設計条件−検討項目で設計要領「H12年」と「H18年」の計算内容の違いは

Q1−4−19.レベル1で液状化しないのに、「予備計算」−「許容支持力・引抜力の計算」に液状化考慮の場合の計算結果が出力されるのはなぜか

Q1−4−20.道路橋示方書には、群杭として照査する場合の2つの方法の記述があり、「仮想ケーソンとして算定」はできますが、「円形で照査」はできませんが、理由はなんですか

Q1−4−21.N値=4 砂礫層 の条件下で、最大周面摩擦力度fi=0 となりますが根拠の出典を、お教え下さい

Q1−4−22.鋼管杭で支持層部の周面摩擦力度が0になる場合があるがなぜか


Q1−4−23. レベル2地震時の照査に用いる支持力の上限値について直接入力は可能か。

Q1−4−24. 算出の際、支持層への換算根入れが「0.00」になるのはなぜか。

  1−5.地盤反力係数、杭軸方向のバネ定数

Q1−5−1.任意の杭のバネ値を低減させて計算する方法はあるのか。

Q1−5−2.群杭による低減係数を指定することはできるか。

Q1−5−3.鋼管杭でKvを計算する際、鋼管肉厚が変化している場合、杭の断面積は杭頭(杭体第1断面)の断面積を使用してもよいか

Q1−5−4.STマイクロパイルで、突出長が存在する場合、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは地中部の杭長で計算しているのはなぜか

Q1−5−5. 地層傾斜を考慮して、斜面の傾斜の影響を考慮したい場合、手入力等で地盤ばねの変更は出来るか。

  1−6.杭配置・作用力

Q1−6−1.「杭縁端距離に誤りが有ります」という警告で「強行」しても問題ないか?

Q1−6−2.盛りこぼし橋台において、盛土のN値の入力がないが、どのように取り扱っているのか

Q1−6−3.「橋台の設計」と連動して増し杭工法による補強設計を行うとき、「橋台の設計」側の計算書の「安定計算」−「作用力の集計」−「(2)フーチング中心での作用力の集計」で出力している作用力の値と、「基礎の設計計算,杭基礎の設計」側に連動されている作用力の値が異なるのはなぜか。

Q1−6−4.プレロードを行うケースと行わないケースで結果がほとんど同じである

Q1−6−5.「地層最深≦設計杭長になっています。」という警告にはどのように対処したらよいか。

Q1−6−6.「杭配置」画面の「充填範囲」とは何か。

Q1−6−7.場所打ち杭の時、「杭配置」画面の『断面の変化』と「断面計算」−「使用鉄筋」画面」の『断面数』の入力があるが、どちらの入力が適用されるのか

Q1−6−8.斜杭の杭長は、斜角を考慮した長さを入力するのか。斜角を考慮した実杭長が既知のときはどのように入力するのか。

Q1−6−9.H形鋼杭の腐食代を考慮した計算は可能か。

Q1−6−10.「杭配置」−「杭 データ」の『せん断KS』、『回転KR』にはどのような値を入力したらよいか

Q1−6−11.同じ列の各々の杭に異なる斜角を持たせることはできるか。

Q1−6−12.盛りこぼし橋台で「レベル2地震時の地盤抵抗の考え方」の地盤抵抗の非線形性の盛土部のスイッチを変更したが照査結果が変わらない

Q1−6−13.H形鋼杭の材質はSHK400,SKH490しか使用できないのか

Q1−6−14.作用力入力における「既設死荷重時」の荷重ケースは削除できるか

Q1−6−15.増し杭底版で杭配置の設定が有効化されない。「杭配置」−「増し杭」−「杭配置」で杭を有効・無効とする設定が確定されていないのはなぜか。
  1−7.突出部の水平荷重

 −


  1−8.底面前面水平抵抗

Q1−8−1.底版前面水平抵抗を考慮した常時,レベル1地震時の安定計算において、底版前面の受働土圧強度は計算にどのように反映しているのか。

Q1−8−2. 底版前面水平抵抗のP1、P2の入力はどのように入力するのか。

  1−9.安定計算(杭反力・変位)

Q1−9−1.底版形状は常に入力する必要があるか?

Q1−9−2.温度変化時に対して、安定計算を行わず部材照査のみを行いたい。

Q1−9−3.杭径や杭長の異なる杭が混在しているとき、常時,レベル1地震時の安定照査は、どの杭に着目して行っているのか。

Q1−9−4.杭頭条件を「剛結・ヒンジ」と指定しても安定計算結果には剛結時のみが出力されている。杭頭ヒンジの安定計算結果は出力しないのか。

Q1−9−5.作用力自動計算において、底版の慣性力が考慮されない

Q1−9−6.結果一覧の安定計算,部材計算の出力では、どのような方法により複数の荷重ケースから出力ケースを決定しているのか。

Q1−9−7.杭を1本抜いた場合、2.5次元解析では杭頭の鉛直反力と水平反力はどのように算出されるのか。

Q1−9−8.道示W(P.245)において、橋台基礎の場合、常時の許容変位量は15(mm)と記載されているが地震時はどうしたらよいか

Q1−9−9. 杭頭ヒンジ接合の場合において曲げモーメント図が出力されない理由は何か。一列杭を想定している。

Q1−9−10. 杭の安定計算の杭頭剛結はOKで杭頭ヒンジはNGだが、安定計算結果の表示はOK(緑)となっている。安定計算の表示は”NG”と表示されるのではないか。杭頭剛結でOKならば、杭頭ヒンジでNGでも安定計算はOKでよいか。

  1−10.断面変化の扱い

Q1−10−1.断面変化位置の決定方法として次の2つがあるが、これらの選択肢が設けられている理由は?
         ・全ケースの最下位置の荷重ケース
         ・第1断面の最大許容応力度比の荷重ケース


  1−11.杭体断面力、断面計算

Q1−11−1.場所打ち杭の許容応力度σs’aはどのように設定されているのか?

Q1−11−2.PHC杭の許容せん断応力度が入力値と計算書で異なる。

Q1−11−3.2.5次元解析時の杭体モーメントが正値側しか図化されないのはなぜか?

Q1−11−4.SC杭+PHC杭のとき、負の周面摩擦力の検討はPHC杭に対してのみ行っているのか?

Q1−11−5.PHC杭の杭体応力度照査は、杭基礎設計便覧に記載されている正負符号および判定方法と同じであるか

Q1−11−6.PHC杭:せん断応力度の照査で、b:等積箱形断面の腹部の合計幅、d:等積箱形断面の有効高の算出方法

Q1−11−7.場所打ち杭の主鉄筋が2段配筋で4本分の帯鉄筋を斜引張鉄筋として考慮したいがこれは可能か。

Q1−11−8.タイプT地震動とタイプU地震動の基礎の照査において、同じM−φ関係が用いられているのはなぜか。

Q1−11−9.杭頭モーメントが地中部曲げモーメントと同じ向きに発生するのはなぜか

Q1−11−10.現場継手部の許容応力度を低減して計算する方法はあるか。

Q1−11−11.せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)はどのように判断しているか

Q1−11−13.既設死荷重時の断面力算出に、「上載土高」が考慮されていない。

Q1−11−14.断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合で杭体応力度が異なる理由は?

Q1−11−15.計算書において、Mmaxの1/2となる位置「Z」とその位置のせん断力「S」が「−−−」と出力されるのはどういうケースか。

Q1−11−16.場所打ち杭の曲げ応力度はどのように算出されるのか。

Q1−11−17.SC杭+PHC杭のとき、地中部のPHC部のせん断耐力照査を行うか否かのスイッチはなぜ設けてあるのか

Q1−11−18.杭体のM-φ算出に用いる軸力はどのように決定されているのか。

Q1−11−19.地震時の許容せん断応力度τa1はどのように決定されるのか。

Q1−11−20.PHC杭、SC杭のM-φ計算を行うことはできるか。


  1−12.杭体応力度計算

Q1−12−1.RC杭のヤング係数比の初期値(=6)の根拠は?

Q1−12−2.「杭頭ヒンジの軸力選択」で「剛結」と「ヒンジ」が選択できるのはなぜか?

Q1−12−3.場所打ち杭の断面計算において、鉄筋の許容応力度が意図しない地震時の値になっているとき、原因として何が考えられるか。

Q1−12−4.PHC杭において、常時の許容応力度を地震時扱い(許容応力度の割増係数=1.50,許容曲げ引張応力度σta=3.0/5.0)としたい。どのように設定すればよいのか?

Q1−12−5.PHC杭でMyが自動計算されない

Q1−12−6.「作用力」−荷重ケースごとの設定」の「衝突、地震時σsaの基本値を用いる」のチェックをはずすと許容値はどのようになるのか

Q1−12−7.PC杭のヤング係数『3.3×10^4(N/mm^2)』の根拠は?

Q1−12−8.RC杭のせん断応力度の照査で、結果画面などに出力される許容値が入力値と異なる場合があるのはなぜか

Q1−12−9.せん断応力度τが青文字で表示されているのはなぜか

Q1−12−10. 一般的なPC杭のインタラクションカーブの表において
              1:コンクリートに引っ張り応力の発生を許容しない
              2:コンクリートに引っ張り応力を許容するがひび割れを発生しない。
              3:断面破壊の終曲限界状態
           の3ケースがあるが、この3ケースの使い分けをスイッチ等で選ぶことはできるか。


  1−13.結果一覧表

 −


  1−14.出力

Q1−14−1.2.5次元解析のとき、計算書の「安定計算」−「杭基礎の剛性行列」に出力される剛性行列要素の記号は何を示しているのか。

Q1−14−2.計算書プレビューをしようとすると 「下部出力ピッチ≧X.Xとなるように修正して下さい」 というメッセージが表示される。

Q1−14−3.レベル2地震時照査で、橋軸方向、橋軸直角方向のどちらか一方だけを出力したい。

Q1−14−4.安定計算で、「常時+温度」の支持力等の許容値を表示させない(印刷させない)方法はどうすればよいか

Q1−14−5. レベル2押込み力の上限値の算出根拠書籍はなにか。

Q1−14−6. レベル2地震時照査の出力で、M-φ関係図を表示しないのはどのような場合か。

  1−15.杭頭結合照査(押し抜き、引き抜き等)

Q1−15−1.橋軸方向で押し込み側のせん断耐力の値が杭の位置と1/2底版厚の位置で異なるのは何故か?

Q1−15−2.杭頭結合計算の杭頭作用力が斜杭に対して連動されていない。

Q1−15−3.フーチング端部の杭に対する押抜きせん断照査を行う方法

Q1−15−4.杭頭仮想鉄筋コンクリート断面照査の際、帯鉄筋はどこで入力するのか?

Q1−15−5.「杭頭結合計算」−「杭頭補強鉄筋」画面の『鉄筋量』と『有効鉄筋量』の違いは?

Q1−15−6.レベル2地震時照査をする場合としない場合とで、杭頭結合計算の杭頭補強鉄筋計算の結果が変わるのはなぜか。

Q1−15−7.レベル1、レベル2ともに仮想鉄筋コンクリート断面の照査を省略したい。

Q1−15−8.鋼管杭の杭頭結合計算において、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査は行っていないのか。

Q1−15−9.杭頭結合計算の計算書で、「杭頭とフーチング結合部の応力度照査」が出力されない場合がある

Q1−15−10.「杭頭結合計算」画面において、下記メッセージが表示される('10.11.02)
    -------------------
    杭頭補強鉄筋エラー:[3100]
    杭頭補強鉄筋として有効な鉄筋が設定されていません。
    補強鉄筋を見直してください。
    -------------------

Q1−15−11.杭基礎設計便覧の適用基準(H19)を選択した時、またはしない時 の杭頭応力を計算するモーメントの値が異なっているのはなぜか

Q1−15−12.杭頭作用力を「安定計算から自動的に設定する」
としていても、「杭頭接合計算」−「杭頭作用力」で使用モーメントが自動設定とはならないのはなぜか。


Q1−15−13. 杭頭結合A方式の場合、L2照査から杭頭照査が省かれるが、根拠を知りたい。

Q1−15−14. ヘルプの[操作方法]-[メニューの操作]-[入力]-[杭基礎]-[杭頭接合計算]のページの「■杭頭作用力」の項目に「レベル2地震時の照査を省略する場合・・・杭頭,地中部のうち大きい方を用いる」とあるがその根拠は何か。

  1−16.杭頭補強鉄筋照査

Q1−16−1.杭基礎設計便覧(平成19年1月)に準じたときの杭頭補強鉄筋において、杭外周溶接鉄筋の鉄筋がカウントされない。

Q1−16−2.以下のエラーが発生する原因は?
         -----------------------------
         杭頭補強鉄筋データエラー
         *段目かぶりに誤りがあります。
         下記のように修正して下さい。
         *段目かぶり < (直径−内径)/2
         ------------------------------


  1−17.杭頭カットオフ照査

Q1−17−1.PHC杭のレベル2地震時照査において、杭頭カットオフの影響を考慮する必要はないのか?


  1−18.他「UCー1シリーズ」との関連

Q1−18−1.旧版データの利用時の問題。


  1−19.その他 

Q1−19−1.千鳥配置の場合のスターラップの入力方法は?

Q1−19−2.スパイラル鉄筋の配置区間について2画面あるが、それぞれの入力方法は?

Q1−19−3.偏心した増し杭の場合、作用力の作用原点位置は杭全体の図心、もしくは底版の図心であるか

Q1−19−4.回転杭の羽根外径は任意で入力できないか?

Q1−19−5.鋼管ソイルセメント杭の場合、「計算条件」−「設計条件」−「鋼管ソイルセメント杭」の「許容荷重Na」とは?

Q1−19−6.SC杭の杭体単位長さ重量はどのように算出されるのか?

Q1−19−7.底版形状に対して45°の方向に荷重が作用する場合の入力方法

Q1−19−8.液状化を考慮したケースと無視したケースを同時に計算することはできるか。

Q1−19−9.汎用骨組み解析プログラムで基礎をモデル化するとき、本プログラムで算出されるバネ値のどれを用いたらよいか。

Q1−19−10.底版照査に用いる引張主鉄筋比ptの算出方法

Q1−19−11.メイン画面「ファイル」メニューの『柱状図』が選択できない

Q1−19−12.予備計算を行っていない状態で、柱状図のみ出力したい

Q1−19−13.常時,レベル1地震時では浮力の有無のスイッチがないが、浮力の有無はどのように取り扱っているのか。

Q1−19−14.FRAMEで算出した断面力を杭基礎の作用力として入力する場合、柱基部断面力と底版下面作用力のどちらを入力したらよいか

Q1−19−15.SC杭+PHC杭 杭軸方向バネ定数において、ヘルプに以下のように記載されているが、その出典根拠
     ※SC杭+PHC杭のとき、PHC杭の断面を用いて算出します。その他の杭種のとき、上杭の断面を用いて算出します。

Q1−19−16.増し杭計算を行った際「構造系が不安定・・」というメッセージが発生した.。既設杭が原因でエラーが発生している場合、データを変更できないがどのように対処したらよいか

Q1−19−17.杭体応力度の結果確認で任意の杭の応力度を確認する方法はあるか

Q1−19−18.増し杭工法の場合に群杭が選択できないという理由は何か

Q1−19−19.鋼管ソイルセメントの場合、単位重量は、鋼管+ソイルセメントで考えているのでしょうか?

Q1−19−20.盛こぼし橋台のレベル1地震時の変位の判定を、(地震時+変位荷重)による変位(δ1)から(地震時のみ)による変位(δ2)を引き、さらに、地盤変位(δ3)を引いた変位(Δδ=δ1-δ2-δ3)で判定しているが、Δδ=δ1-δ3で判定すべきではないか

Q1−19−21.斜杭の圧密沈下の検討を行う場合、[作用力]-[斜杭の圧密沈下の検討]で入力を行うと、「圧密層内に粘性土層以外が存在しております。その場合計算の妥当性が失われますがよろしいでしょうか。」という警告文が出現するが、どのような意味があるのか。

Q1−19−22. 操作ガイダンスのようなものがあるか。

Q1−19−23. 杭体応力度を杭毎に確認する方法はあるか。任意の位置の杭体応力度のデータについて確認したい。

Q1−19−24. 杭間隔2.5Dを確保した通常の場所打ち杭と、橋軸方向の杭間隔のみ2.0Dまで縮めた群杭の場所打ち杭。計算すると、レベル2の橋軸方向において、2.5D杭が杭耐力でNG,群杭が全てOKとなった。どのような理由によるものか。

Q1−19−25. 増し杭施工時に底版幅が下限値入力にも関わらず赤字になるが計算上は問題ないか。

Q1−19−26. 底版レベル2地震時照査において、せん断照査位置は、内部判定となるか。

Q1−19−27. 側方移動の際に斜杭ができないのはなぜか。

Q1−19−28. 突出杭と側方移動は同時に考慮できない理由は?

  1−20.段落し自動配筋

 −


  1−21.設計調書

Q1−21−1.設計調書の「基礎工詳細設計調書(その2)」の『鉛直変位δz』の算出方法


  1−22.地震時保有水平耐力

Q1−22−1.杭基礎底版前面抵抗の水平地盤反力度について、上限値puの算出方法。

Q1−22−2.底版レベル2地震時照査において、「以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが 〜」のようなコメント(詳細欄参照)が表示され、応答塑性率照査を行わない場合があるが、どういう意味か?

Q1−22−3.Cz・khco<khpの場合、最終震度をCz・khcoまでとしているが、khpまで水平震度を上げる必要はないのか?

Q1−22−4.計算分割数はどれくらいの値を指定すればよいのか?

Q1−22−5.「地盤データ」画面の『上載荷重』で、浮力無視と浮力考慮が同じである。

Q1−22−6.左ツリー部の「流動荷重」が選択できない。

Q1−22−7.作用力直接指定によるレベル2地震時照査時において、huは何に用いているのか?

Q1−22−8.釣合鉄筋量の算出方法は?

Q1−22−9.レベル2地震時の底版前面水平抵抗において、液状化考慮時は前面抵抗を考慮せずに照査したい。

Q1−22−10.計算書の最小鉄筋量照査で「Mc=Muとなる鉄筋量」が表示されている場合と「−」の違いは?

Q1−22−11.「作用力を指定する」とは、どのような場合に使用するのか?

Q1−22−12.作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合に柱間の底版レベル2地震時照査を行う方法は?

Q1−22−13.レベル2地震時基本条件の計算条件の「上限値pHuの取扱い」にある「L/DE」とは?また計算のどの部分に用いられているのか。

Q1−22−14.壁式橋脚の橋軸直角方向に対してのみ、基礎の塑性化を考慮した設計を行うものと考えていたが、橋軸方向に対しても考慮しても良いのか。

Q1−22−15.盛りこぼし橋台の設計において基準変位量Soには何を入力すればよいか

Q1−22−16.「レベル2地震時基本条件」−「計算条件B」画面の照査判定用の軸力の取扱いはどれを選択したらよいか

Q1−22−17.2柱式のフーチングで断面力の耐力照査を行いたい

Q1−22−18.基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件にもかかわらず、応答塑性率の照査が行われない。これはなぜか?)

Q1−22−19.「レベル2地震時照査」−「地盤データ」の「杭間隔÷杭径」はどの計算に用いられ、どこに影響するのか?

Q1−22−20.レベル2地震時の計算書において、(1)杭,(2)杭・・・とあるが、これはどの杭を示しているのか?

Q1−22−21.レベル2地震時の降伏判定に杭頭部の耐力(仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy)が用いられているが、これはどのような理由によるのか?

Q1−22−22.3列杭のレベル2地震時照査結果において、降伏時の最大曲げモーメントに着目すると、1,2杭は制限値である降伏曲げモーメントと一致しているが、3杭は制限値を超えた状態となっている。制限値を超えた状態となるのはなぜか。

Q1−22−23.レベル2地震時照査―基本条件のkhgはCzをかけた値を入力するのか?

Q1−22−24.作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合の初期作用力,全作用力は具体的には何を示しているのか。

Q1−22−25.底版レベル2地震時照査における降伏曲げモーメントはどのように算出されるのか?

Q1−22−26.レベル2地震時の照査で「M−φ関係において、My≦0.0,Mu≦0.0となるケースが発生しました。」というメッセージが表示されるが、どういう状態を表しているのか?

Q1−22−27.有効長とは?

Q1−22−28.杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1の算出方法

Q1−22−29.レベル2の最小鉄筋量の照査は必要か

Q1−22−30.作用力を指定してレベル2地震時照査を行うときの『地盤面の水平震度kh』は何に用いているか?

Q1−22−31.地震時保有水平耐力法による橋脚基礎の照査に用いる設計水平震度Khpは、どのように使われているか?

Q1−22−32.断面力算出の照査位置Lは引抜き側からの距離?

Q1−22−33.「橋脚の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕がない場合でも基礎の応答塑性率照査を行う方法はあるか?

Q1−22−34.作用力直接指定によるレベル2地震時照査を行う場合、プッシュオーバー解析を行っているのか?

Q1−22−35.盛りこぼし橋台の杭基礎の設計において、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時であっても、レベル2地震時の杭頭部の照査が行われない理由は?

Q1−22−36.「橋脚の設計」,「橋台の設計」との連動時、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件におけるレベル2地震時照査を行う方法は?

Q1−22−37.「レベル2地震時照査」−「基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面の鉛直力算出用水位と予備計算用水位は何に影響するのか。

Q1−22−38.杭基礎レベル2保耐時に鋼管杭の場合せん断耐力照査を行わないのはなぜ?

Q1−22−39.場所打ち杭の杭頭結合部の耐力照査(L2)において、杭頭結合部と杭体の鉄筋量が同じであるにも関わらず、杭頭結合部の降伏曲げモーメントMyの方が小さく判定がOUTとなる。これはなぜか。

Q1−22−40.レベル2地震時基本条件−計算条件Bの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査で「1列(本)ごとに照査」「全列(杭)で照査」が選択できるが、どちらを選択したらよいか

Q1−22−42.レベル2地震時の計算で表示されるメッセージについて解説してほしい。
  ------------------------
  構造系が不安定になりました。
  支持力の上限値に達していない杭が2列以上なく、且つ、全杭の杭頭に塑性ヒンジが
  発生しました(杭頭M≧Mu,Mp)。
  -------------------------

Q1−22−43.杭基礎レベル2地震時の最大曲げモーメントの抽出結果が実際の最大曲げモーメントとなっていないのはなぜか。

Q1−22−44.杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyの計算に帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しているのか?

Q1−22−45.「橋脚の設計」連動時、底版下面中心における作用力を直接指定する方法

Q1−22−46.「レベル2地震時基本条件」−「計算条件A」画面において、「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」の項目を設けている理由は?

Q1−22−47.斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssの算出方法は?

Q1−22−48.底版が存在せず、柱と杭を直接結合する構造の場合、どのように入力,計算すればよいか。

Q1−22−49.レベル2地震時の計算書において、下記の設計荷重の算式の見方が分からないので説明してほしい。
      鉛直力 V  = Rd + Wp - Up + Ws + WF'
      水平力 H  = (Wu + Wp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco) + Hd
      モーメント M  = (Wu・yu + Wp・yp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco)・yF + Md

Q1−22−50.レベル2地震時照査において、基礎の応答塑性率の照査を行うときに限り、基礎の変位の照査が行われる理由は?

Q1−22−51.計算書の「荷重変位曲線」の章にある表中の「杭本体状態」とは?

Q1−22−52.レベル2地震時照査結果の応答変位時とはどのような状態か。

Q1−22−53.レベル2地震時の作用力と杭反力の向きはどのように取り扱われているか

Q1−22−54.連続フーチングの柱間レベル2 地震時照査を行う場合、柱基部断面力Vpi,Hpi,Mpiには、どのような断面力を入力したらよいか

Q1−22−55.杭基礎設計便覧(P.296)より、フーチング縁端距離が十分でない場合はレベル2地震時に対する杭頭結合部の計算が必要と考えられるが、プログラムは対応しているのか。

Q1−22−56.レベル2地震時照査−基本条件−計算条件@の「軸力変動を考慮したレベル2地震時照査」は一般的にどちらを選択したらよいか

Q1−22−57.レベル2地震時照査を行うと以下のエラーが発生する('10.10.05)
-------------------
底版照査エラー:[-90054]
底版レベル2地震時照査において、せん断耐力Ss算出に用いる有効高dが0となっています
「底版設計」画面で入力してください
-------------------

Q1−22−58.照査断面と杭位置が一致するとき、作用曲げモーメントに杭頭水平反力と杭頭モーメントが考慮されているが、どういう考えに基づいているのか。

Q1−22−59.「Y−U,Y−Y’区間に対する低減率」とは?

Q1−22−60.基準値−杭基礎−その他−レベル2地震時照査の制限値はどのように取り扱っているか

Q1−22−61.レベル2地震時照査-杭本体-杭種別データの「プレストレスの損失を考慮する範囲」 の入力値範囲が 100.0〜100.0 となり100以外の値を入力できない

Q1−22−62.端堰柱の水門の設計を行う場合、レベル2地震時照査−基本条件−基本条件(共通)で地震動タイプが選択できない

Q1−22−63.二次剛性の比r=0の根拠

Q1−22−64.地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDの算出方法は?

Q1−22−65.フーチング上面引張時のせん断スパン算出式、a=L+min(tcc/2,d) におけるL(もしくはM/S)は、杭基礎設計便覧p291に記載されているように、下面引張時の値を用いているのか

Q1−22−66.水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、Vdは端堰柱の重量は含めて入力するのか

Q1−22−67.水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、H3、h3には何を入力するのか

Q1−22−68.慣性力算出時、レベル2地震時基本条件−基本条件(杭基礎)の「Wp」は考慮されるのか

Q1−22−69.レベル2地震時の降伏震度が常時・レベル1地震時の設計水平震度よりも小さい

Q1−22−70.連続フーチング柱間の照査を行う場合、断面力は直接入力しなければならないのか。また、その場合入力する断面力をどこで確認したらよいか。

Q1−22−71.レベル2地震時照査-任意荷重で入力する底版と杭の任意荷重の荷重強度はどのような値を入力したらよいか

Q1−22−72.橋台と連動時に、レベル2地震の底版照査が「しない」でグレー表示となっており照査できない

Q1−22−73.鋼管ソイルセメント杭の場合、せん断耐力照査はしないのか

Q1−22−74.施工誤差で、1本の杭座標を数センチ変更したら基礎が降伏した

Q1−22−75.レベル2地震時の結果を見ると、杭先端条件をヒンジとしているのに、杭先端に曲げモーメントが発生しているのはなぜか

Q1−22−76.増し杭工法で、レベル2地震時照査で、既設部の杭のせん断耐力と増し杭部の杭のせん断耐力の合計でせん断耐力照査の判定を行いたい

Q1−22−77. 基礎レベル2の設計地盤面について計算エラーとなる。

Q1−22−78. [レベル2地震時照査]-[基本条件]-[計算条件A]-[橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない]のスイッチを入れるとどのように計算結果に影響するのか。

Q1−22−79. 柱間のフーチングのレベル2地震時照査を行うための入力の方法は?

Q1−22−80. F8プログラムで橋脚の計算をして、柱の保耐法の照査の結果塑性化しているがOKと判定が出ていて、L2地震時の基礎の照査で液状化するケースで基礎が降伏しているものの応答塑性率照査でOKとなっている場合、液状化有りの計算ケースでは、柱は塑性化していないのではないのか。

Q1−22−81. 任意の降伏震度において応答塑性率の照査を行う事が可能か。現行の機能では杭が降伏した時点から応答塑性率を照査することを行っているが、杭体降伏前に変位が急増するようなケースで任意の位置において応答塑性率を求めることは可能か。

Q1−22−82. レベル2地震時基本条件のHRですが連動中は入力不可となっているが、ヘルプを見ると『HR:レベル2地震時照査に用いる支承水平反力(kN)。khceとのいずれかを用います。変更は[その他]の「照査に用いる作用力」で行います。』
となっているが、変更のその他とはどこにあるのか。


Q1−22−83. 橋台の水位設定を2ケース行ったが杭の名称はケース2のままとなるのはなぜか。

Q1−22−84. 水平変位の緩和を行った際に液状化無しの場合よりも変位が小さくなるのはなぜか。

Q1−22−85. 連続フーチング(柱直角方向3本)のレベル2底版照査において 底版照査(レベル2)の項目に柱基部断面力の項目があり、この柱基部断面力の収束の方法を知りたい。初期値は、死荷重時の柱基部断面力を入れて基礎下面の断面力のと柱基部断面力より算出した作用力の差を均等に割り振ればいいか。

Q1−22−86. 土質に液状化層が存在しており、基礎のL2照査結果に杭が降伏した場合において、応答塑性率の照査を行わないのはなぜか。

Q1−22−87. レベル2地震時照査で、kh=0で計算不能となる。

Q1−22−88. 全部材に塑性ヒンジが発生しているか否かは計算結果から判定できるか。

Q1−22−89. 液状化が生じる地盤にある橋台基礎について、レベル2までの検討を行うときに変位についての検討については行わなくても良いのか。
耐震設計では、橋脚の場合はフローの中に変位照査とあるが、橋台の場合はない。
しかし13章をみると変位について配慮しておく必要があるとしている。
実際照査しているのか。

Q1−22−90. 基礎のL2地震時照査を行うに当たって、基礎設計用震度khpがCz・khcoより大きくなる場合は、Cz・khcoを上限として震度を設定して計算してるが、Cz・khcoをkhpの上限とする旨に関して、道示等の基準類のどこかに記載はあるのか。

Q1−22−91. レベル2地震時の杭のせん断耐力照査で、杭のせん断力の算出根拠が不明。

Q1−22−92. 版としてのせん断照査の条件はどのようになっているか。

Q1−22−93. 連動で、基礎のレベル2照査での『予備計算用水位高連動』のボタンを押すと、浮力有・無と同じ水位になる。どこの入力データから引用されているのか。

Q1−22−94. レベル2の初期荷重の正方向は、鉛直下向き、水平右向き、モーメント右回りとして入力している。土圧の作用方向、慣性力の作用方向は左向きなので、変位とモーメント図などが逆に表示されているように見える。

Q1−22−95. 底版のレベル2地震時照査で、@125で配置しているときに、1m当たりの鉄筋量が8本より多いのはなぜか。

Q1−22−96. 道示XP283の15.4(2)2)基礎に塑性化を考慮する場合において12.4の規定に基づく橋脚基礎の変形による上部構造の慣性力の作用位置における応答変位に相当する水平力とする。
以上の記述があるが具体的には計算書のどこを参照すればよいか。


Q1−22−97. 場所打ち杭の主鉄筋にSD390,SD490を使ったときの許容塑性率は、変更する事が可能か。

 2 鋼管矢板基礎
  2−1.適用範囲

 −


  2−2.基本条件

 −


  2−3.地層、形状

Q2−3−1.鋼管矢板基礎で、「地層」−「地層線」−「設計地盤面」画面の「水位」を直接用いている計算は何か。

Q2−3−2.常時・レベル1地震時の継手の剛性はどこで入力するのか。

Q2−3−3. 杭長を操作した時に“内部土短辺長Loが範囲外になっています”と表記されるが、このLoとはどこを示すのか。

Q2−3−4. 鋼管矢板:継手の剛性を一部のみ変更することができるか。

Q2−3−5. 「外周継ぎ手の有効間距離」を橋軸方向と直角方向でそれぞれ違った値を入力したい。


Q2−3−6. 鋼管矢板の継手の重量を入力するところがあり、単位がN/mとなっているが、どのような値をいれるべきか。

  2−4.地盤バネ

Q2−4−1.鋼管矢板基礎周面の鉛直方向せん断地盤バネが、鋼管矢板先端近くのみ2倍値となっているのはなぜか。



  2−5.支持力・周面摩擦力

Q2−5−1.鋼管矢板基礎設計施工便覧及び道示W(P.365)では、負の周面摩擦力の検討対象荷重は死荷重とされているが、プログラムでは地震時として計算されている。

Q2−5−2.底版前面水平抵抗を考慮した常時,レベル1地震時の安定計算において、底版前面の受働土圧強度は計算にどのように反映しているのか。



  2−6.設計外力(単位重量・慣性力等)

Q2−6−1.鋼管矢板基礎 仮締切りの計算で、波力を考慮するには?

Q2−6−2.頂版下面に作用する鋼管矢板反力はどのように算出されるのか。



  2−7.基礎本体(弾性床上の有限梁)の計算

Q2−7−1.計算書の「頂版・矢板連結部の計算」に出力される鉛直反力がどのように算出されるのか教えてほしい。

Q2−7−2.鋼管矢板基礎の頂版の設計において、ディープビームを考慮した所用鉄筋量の照査は、何に基づいて行われているのか?

Q2−7−3. 計算書の「本体計算−詳細出力」の「基準KH1」と「計算KH1」の違いは?

  2−8.基礎本体(仮想井筒梁)の計算

Q2−8−1.仮想井筒梁の本体計算を行おうとするとメッセージが表示され、計算されない。('09.02.03)
         データファイル作成エラー:[4402]
         継手の種類数が多すぎます。 ( ≦30 )

Q2−8−2.計算実行時の下記メッセージの意味は?
         データファイル作成エラー:[4403]
         区間長が1cmより短い区間が存在します。('09.02.17)


Q2−8−3. 仮想井筒解析で鋼管矢板1本の曲げモーメントを算出しているが、それはアウトプットできるか。

  2−9.仮締切り

Q2−9−1.仮締切り計算を実行すると下記メッセージが表示された。どのように対処したらよいか。('09.02.03)
         -----------------
         メッセージ:[4269]
         有効スパンが長すぎます。L/b>30の為、σbagyの計算は行いません。
         -----------------

Q2−9−2.鋼管矢板基礎の仮締切り計算において、「残留応力度ステップ番号」には、一般にどの状態を設定すればよいのか?

Q2−9−3.中詰めコンクリートが充填された区間の場合、中詰めコンクリートの強度を考慮した応力度を算出しているのか?

Q2−9−4.鋼管矢板井筒の形状を円形としたとき,矩形としたときでは、仮締切り計算ではどのような違いがあるのか。

Q2−9−5.常時,レベル1地震時では浮力の有無のスイッチがないが、浮力の有無はどのように取り扱っているのか。

Q2−9−6.「残留応力度ステップ番号」はどのように決定したらよいか。

Q2−9−7. 仮締切のところでダブル支保工とでてくるが、シングルとダブルとはここではどういう状態を示すか。

Q2−9−8. 仮締切時の検討で、頂版打設後の検討があるが、このときの頂版の扱いは?。ヘルプによれば、「頂版打設の範囲に対して極大分布バネを掛けて計算します」とあるが、極大分布バネとはどのようなものか。

Q2−9−9. 鋼管矢板基礎の仮締切りで任意荷重を設定すると、その荷重が鋼管矢板1本ごとにかかるという設定になるのか。

  2−10.合成応力度

 −


  2−11.保耐法照査

Q2−11−1.鋼管矢板基礎が降伏に達して以降の計算を行う方法はあるか。

Q2−11−2.鋼管矢板基礎のレベル2地震時の計算を行うと「収束しませんでした」というメッセージが表示されるが、これはどのような状況を示しているのか。また、[強行]した場合、妥当な結果が得られたと考えてよいのか。

Q2−11−3.鋼管矢板基礎の降伏判定において、「1/4応力度」という判定基準があるが、具体的にどのように判定しているのか?

Q2−11−4.「レベル2地震時基本条件」画面で下記メッセージが表示されるが、どのように対処したらよいか?

Q2−11−5.鋼管矢板基礎設計施工便覧には「鋼管矢板内周面の大半が2/h以内(hは頂版厚)になる場合にはせん断破壊の恐れがないため照査を行う必要はない」との記述があるが、本プログラムではどのように取り扱っているのか。

Q2−11−6.鋼管矢板基礎の頂版のレベル2地震時照査において、せん断スパン比による割増係数Cdsを考慮しない理由は?

Q2−11−7.レベル2地震時の照査において、斜引張鉄筋の本数はどのように算出されるのか。

Q2−11−8. 「頂版下面に作用する鋼管矢板の反力」において、鋼管矢板基礎の中打ち杭の反力が同一位置の外周矢板反力と異なることがある理由を知りたい。

  2−12.基礎バネ

Q2−12−1.鋼管矢板基礎の基礎バネ算出で、鉛直方向バネは算出されないのか?

Q2−12−2.ケーソン基礎、鋼管矢板基礎の常時の基礎バネを算出する方法は?

Q2−12−3.鋼管矢板基礎の基礎バネはどのように算出されるのか。

Q2−12−4. 「地層データ」において「設計地盤(常時)」よりも下に「設計地盤面(地震時)」を入力している場合で,基礎バネ計算において設計地盤面を下げるケースとは,どのようなケースを想定しているか。

  2−13.付属設計

Q2−13−1.頂版の照査に用いる杭の鉛直反力はどこ杭反力を参照しているのか

  2−14.その他

Q2−14−1.中打ち単独杭は計算上どのように考慮されているか。

Q2−14−2. 鋼管矢板基礎の継ぎ手部について、モルタルを注入している場合におけるせん断剛性を求める場合、モルタルの強度は内部的にいくらとなっているのか。(入力画面上ではモルタル材料の入力は存在しないため)

Q2−14−3. 鋼管杭における杭頭溶接鉄筋の計算式について教えてほしい。現在、H14道示で設計した橋の会検対応をしているが、式の出典を知りたい。

 3 ケーソン基礎

Q3−1.保耐法照査時のHd、Mdは何を入力するのか?

Q3−2.ケーソン天端が地盤面より上にある場合の上載土の設定方法。

Q3−3.地震時水平耐力法に用いる設計水平震度Khcより大きな慣性力が作用しないのはなぜか?

Q3−4.Khgが0でKhp<Khc時、水平震度をあげても基礎に作用する荷重増分がないのか?

Q3−5.ケーソンの鉛直方向バネ定数は算出されないのか?

Q3−6.設計地盤面より上方のケーソン本体の慣性力はどのように考慮しているのか。

Q3−7.頂版の剛体照査は何にもとづいて行われているのか。

Q3−8.レベル2地震時照査で終局時を求める際に構造系が不安定となり計算が終了しない。どのように対処すればよいか。

Q3−9.「作用力」−「脚柱下端作用力」画面の「慣性力」はどのように計算に反映しているのか。

Q3−10.任意のコンクリート設計基準強度または鉄筋材質を使用した照査は可能か。

Q3−11.ケーソン基礎のレベル2地震時基本条件データ入力の際に表示されるメッセージにはどのように対処したらよいか。
         -----------------
         データエラー(レベル2基本条件):[20906]
         M−φは以下の条件で入力してください。
         ・Mc≦My≦Mu
         ・φc≦φy≦φu
         -----------------

Q3ー12.ケーソン基礎において、「設計地盤面」を基礎天端以深となるよう設定したが、計算に反映されないのはなぜか。

Q3−13.ケーソン基礎において、基礎底面地盤の許容せん断抵抗力Haが0となる。これはなぜか。

Q3−14.「形状」−「平面寸法」画面を確定終了しようとすると下記メッセージが表示されるが、この制限の根拠は?
         -----------------
         入力エラー(形状:平面寸法):[20301]
         平面形状に矛盾があります。
         以下の条件を満たすように入力してください。
         側壁厚≦基礎幅L/4=x.xxxx
         -----------------

Q3−15.ケーソン基礎で、地盤面における設計水平震度khgは入力する必要があるか?

Q3−16.根入れの浅いケーソン基礎の設計において、耐力に余裕のない場合でも、基礎の応答塑性率,応答変位を算定しているのはなぜか?

Q3−17.洗掘等により既設ケーソン基礎が河床から完全に突出しているようなケースの照査は可能か。

Q3−18.側壁鉛直方向のせん断照査において、部材高よりも有効高が大きくなるケースがある理由は?

Q3−19.頂版の許容応力度法照査は単位幅あたりで行われているが、レベル2地震時は実形状を用いて照査されている。その理由は?

Q3−20.沈下計算における周面摩擦力度について、道示W11.3(P.300)では、表-解11.3.1において、8m,16m,25m,30m,40mごとの周面摩擦力度が記載されているが、この中間の深度の周面摩擦力度はどのように算出しているのか。

Q3−21.ケーソン基礎で「作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う」ときの柱基部断面力Vp、Hp、Mpには何を入力すればよいのか。

Q3−22.根入れの浅いケーソン基礎の設計とは何か。

Q3−23.施工方式の「充実断面(オープン)」とは、通常のオープンケーソンとはどのように違うのか。

Q3−24.ケーソン基礎の側壁拘束筋の有効長にはどの長さを入力すればよいか。

Q3−25.小判形のケーソン基礎の側壁鉛直方向の鉄筋は、直線部と円弧部をを入力するようになっているが、両方を入力するのか、あるいは一方だけか。

Q3−26.中詰め材の重量はどのような値を入力するのか。

Q3−27.ケーソンが突出しているとき、算出した基礎バネを別売りの「震度算出(支承設計)」で用いたいとき、どのように入力したらよいか。

Q3−28.オープンケーソンの刃口の静水圧について、外水位と内水位に差があるときは、どのように入力したらよいか。

Q3−29.ケーソン基礎の安定計算モデルにおいて、断面の剛性は、頂版,側壁のどちらを用いているのか。

Q3−31.ケーソン基礎の出力において、「計算結果・詳細出力」の地盤反力度の上限値の値が、「設計条件」の出力値と異なるのはなぜか。

Q3−32.根入れの浅いケーソン基礎における、転倒に対する検討(偏心量)、鉛直地盤反力度の検討の算出式の出典は?

Q3−33.「レベル2地震時基本条件」画面で下記メッセージが表示されるが、どのように対処したらよいか?
  確認:[20902]
  計算分割数が100を超えています。100回目の計算を終了した時点で降伏していない場合は計算を打ち切ります。よろしいですか。

Q3−34.ケーソン基礎の「安定計算結果一覧表」の底面に作用する鉛直力Vと「計算結果・詳細出力」の「1)変位および断面力」のケーソン底面の軸力が異なるのはなぜですか

Q3−35.ケーソン基礎の設計で、基礎底面地盤を軟岩としたときの底面鉛直支持力度の上限値qaの算出(出典)根拠を教えてください

Q3−36.ケーソン基礎の設計で、基礎底面地盤を軟岩としたときの底面鉛直支持力度の上限値qaの算出(出典)根拠はなにか

Q3−37. 橋脚連動用XMLファイルをケーソン基礎へ受け渡す時、柱に作用する断面力に浮力が考慮されているのか。

Q3−38. 側壁水平部材 照査位置の任意設定を行いたい(ハンチを考慮した断面照査)。別途、フレーム計算を作成せずに何か断面力を見る方法はないか。

Q3−39. ケーソン基礎の照査時、頂版の許容応力度法照査で使用鉄筋量が必要鉄筋量を満たしているのにNGと判定されるのはなぜか。

Q3−40. [底版設計]で「杭位置を照査位置に加える」というスイッチがあるが、どのような意図により設置しているか。

Q3−41. ケーソン基礎でディープビームの照査を無視する入力選択はあるか。既設の設計でディープビームの鉄筋量照査を満たしていない場合について、当時は問題なかったが現在は照査をするためにNGと判定されるため、それを取りやめたい。

Q3−42. [作用力]-[脚柱形状寸法]が何に使用されているか。また中心位置からずらすことはできるか。

Q3−43. 止水壁の設定は出来るか。

Q3−44. ケーソン基礎の側壁水平部材照査について、照査位置はどのように決定しているのか。

Q3−45. VSD算出に用いるVsiは、N値から算出するVsiにはcvを乗じるが、実測値の場合にもcvを乗じるのか。

Q3−46. コンタクトグラウドをする場合としない場合で何が違ってくるか。

Q3−47. 前面塑性率・底面浮き上がり率の許容値を変更したい。

Q3−48. 格点バネ値を算出する際は、基礎側面の水平方向せん断地盤反力係数KSHDと、基礎側面の鉛直方向せん断地盤反力係数KSVDは、基礎側面の両側を考慮して、2つのバネをつけて(数値を2倍して)計算しているのか。

Q3−49. 側壁の水平方向断面の設計を行う際に前面地盤の最大水平地盤反力度を算出しているが、これはどのように算出しているのか。

Q3−50. 安定計算結果に示されている前面地盤反力度は
 前面地盤反力度=前面の水平方向地盤反力係数×基礎底面に対する相対変位
というように算出されているのか。


Q3−51. 地盤反力度の出力を見ると単純に層境で算出していないようで、若干ズレた位置で算出されている。出力結果で層境とならない理由は?

 4 地中連続壁

 −


 5 直接基礎
  5−1.設計方法

Q5−1−1.斜面上の安定計算は、橋軸直角方向の段差フーチングにも適用できるか?

Q5−1−2.動的解析による応答値を用いて直接基礎のレベル2地震時の計算を行う方法はあるか。

Q5−1−3.2軸による安定計算に対応しているか?

Q5−1−4.直接基礎のレベル2地震時底版照査で、柱基部の断面力は完全に一致させる必要があるか。

Q5−1−5. 直接基礎設計時の平均せん断応力度τcは具体的に何に用いているか。

Q5−1−6. 直接基礎のフーチング断面力の算定で地盤反力度のTYPE1〜4に該当するq1,q2はどのように算定されているのか。

Q5−1−7. 直接基礎の安定計算における地盤反力度と底版設計での地盤反力度が一致しない場合があるのはどのような原因が考えられるか。

Q5−1−8. フーチングの前面抵抗を考慮する場合の、直接基礎の計算で安定計算とフーチングの照査で用いられている地盤波力度の値が異なるような場合があるのはなぜか。

Q5−1−9. 斜面上の直接基礎で、斜面角が60°以上のものを設計したい。

  5−2.入力方法

Q5−2−1.斜面上の直接基礎照査時、設計条件−形状タブの『前面余裕幅b』には何を入力したらよいか

Q5−2−2.支持地盤に浮力の影響を考慮しないとき、支持地盤の単位重量γ1はどのように入力したらよいか。

Q5−2−3.斜面上の基礎(設計要領)において、段差なし形状の極限支持力を計算したい

Q5−2−4.直接基礎において、橋台を想定した片側載荷の土圧設定は可能か

Q5−2−5. 「基礎の設計計算」単独使用時でも剛体照査を行うことは可能か。

Q5−2−6. [直接基礎]-[設計条件]-[検討項目]-[支持力係数の寸法効果]を「考慮しない」とした場合、[土質]の「地盤の内部摩擦角φ」の上限値が40°までとなった理由について知りたい。

Q5−2−7. 滑動安全率を変更できるか。

 6 液状化の判定
  6−1.設計方法

Q6−1−1.液状化判定において、各地層のR、L、値はどのように算出しているか?

Q6−1−2.層ごとの液状化の判定において、層内に複数の測定点が存在する場合、どのように判定しているのか?

Q6−1−3.液状化の判定を行うか否かのスイッチ(SW)を0(=判定しない)としているが、ごく軟弱な土層に対しては低減係数が0となる。これはなぜか?

Q6−1−4.液状化の判定における 塑性指数Ip,10%粒径D50,D10 は何に影響するのか?

Q6−1−5.層ごとの液状化の判定および土質定数の低減係数DEはどのように算出しているのか。

Q6−1−6. 液状化について平均FLを使用した結果が手計算結果と異なることがあるのはどんな原因が考えられるか。

Q6−1−7. 液状化判定で、シルト層がレベル2地震時タイプT地震動の方が、タイプU地震動よりDEの値が小さくなっている。このような現象はあり得るのか。

Q6−1−8. 液状化判定:一点でも液状化する場合はその層は液状化するという判定を行う根拠はどこに記載されているか。

  6−2.入力方法

Q6−2−1. 切土と盛土の入力が逆ではないか。






 0 全般 

Q0−1.

基礎バネはどの位置で算出されるのか。
A0−1. 基礎バネ(固有周期の算定に用いる地盤バネ定数)は、基礎天端中心位置における値を算出しています。これは、設計地盤面が基礎天端以深となる場合、あるいは基礎が地表面から突出する場合であっても同様です。
    
Q0−2. 「橋脚の設計」でフーチング無しモデルとして計算したデータファイルがあるが、これを鋼管矢板基礎やケーソン基礎等の設計データとして取り込みたい。この手順を教えてほしい。
A0−2. 「橋脚の設計」では、基礎設計に必要なデータをXML形式でファイル保存する機能を設けおり、このデータファイルを「基礎の設計計算」で読込むことにより、UC−1連動に対応していない鋼管矢板基礎,ケーソン基礎,地中連続壁基礎,あるいは直接基礎においても、柱形状,作用力,設計水平震度等の基礎設計に必要なデータを取り込むことが可能です。
下記の手順でXMLファイルを保存後、「基礎の設計計算」で読み込みを行ってください。

1.「橋脚の設計」側で計算確認を実行します。
2.「橋脚の設計」側の「ファイル|XMLファイル」で「エクスポート」を選択し、名前を付けて保存します。
3.「基礎の設計計算」を単独で起動し、「地層」、「基本条件」、「形状」、「予備計算」までを設定します(既に設定済みの場合は次のの手順へお進みください)。
4.「基礎の設計計算」側の「ファイル|橋脚連動用XMLファイル」で「インポート」を選択し、上記2.で保存したファイルを読み込みます。

詳しくは、ヘルプの「操作方法」−「UC−1連動」−「橋脚連動用XMLファイル」をご参照ください。
    
Q0−3. 杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の「地層」画面で液状化の判定を行うとき、平均N値ではなく測定点ごとのN値を用いて計算したい。
A0−3. 杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の設計における「地層」画面の液状化の判定は、液状化が生じるか否かではなく、土質定数の低減係数DEを求めることが主目的となると考えられます。

現行では、「地層」画面では、常に層ごとの平均N値を用いて液状化の判定を行っており、測定点ごとのN値を指定し計算することはできませんが、「地層」画面上の[読込]ボタンにより、基礎選択=液状化の判定として作成した基礎データを読み込むことが可能です。
この場合、各層の土質データと合わせ、計算された土質定数の低減係数DEが読み込まれます。
したがって、基礎選択=液状化の判定として測定点ごとのN値による低減係数の計算を行い、このファイルを読込むことにより、本ケースに対処できるのではないかと考えられます。
    
Q0−4. 「FRAME(面内)」「FRAMEマネージャ」で読み込むことのできるファイルを作成できるか。
A0−4. ■杭基礎,直接基礎
杭基礎,直接基礎では、連続フーチングの橋軸直角方向の照査をFRAME解析により行っています。FRAME解析モデルは、「計算・結果確認」−「底版照査」−「X方向」−「FRAME結果」の[詳細表示]ボタンより開く画面にて詳細を確認することが可能で、本画面左下の[保存]ボタンにおいて、 FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存することができます。

■ケーソン基礎,地中連続壁基礎
ケーソン基礎,地中連続壁基礎では、側壁水平方向の部材照査をFRAME解析により行っています。「部材計算」−「側壁水平方向」−「保耐法」−「FRAME結果」画面の[詳細表示]ボタンより開く画面において、左下の[保存]ボタンよりFRAMEデータファイル(*.$O1)を保存してください。
    
Q0−5. 入力する鉄筋のかぶりは、杭外周から鉄筋中心までの距離か、それとも鉄筋外面までの距離か。
A0−5. 本プログラムでは、基礎形式によらず、いずれも純かぶりではなく芯かぶりとして入力していただくようにしています。
よって、鉄筋中心までの距離を入力してください。
    
Q0−6. 橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件の場合、基礎が降伏に達しても、応答塑性率の照査がOKであれば、最終的にはOKと判断されるのか。
A0−6. 道示X12.1(P.210〜)に記述されていますように、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件の場合、基礎が降伏に達しても、応答塑性率が許容塑性率以下,変位が許容変位以下,部材に生じる断面力が耐力以下であれば、照査結果はOKと判定されます。

ここで、橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件とは、道示W12.10.3(P.405)の記述、「橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している場合や液状化が生じる場合には、基礎に塑性化が生じることを考慮して設計してよい。」より、
@橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している
A液状化が生じる場合
のいずれかとなります。

なお、液状化の影響を考慮する場合にレベル2地震時照査を行う橋台基礎においては、基礎が降伏に達した場合、常に応答塑性率の照査を行い、応答塑性率の照査,変位照査,部材照査を行っています。

 
Q0−7. 液状化を考慮した場合の基礎ばねの計算方法は?
A0−7. 道路橋示方書X(p.66)に次の記述がございます。

また、固有周期の算出し際しては、8.2に規定するように耐震設計上ごく軟弱な土層又は橋に影響を与える液状化が生じると判定される土層がある場合であっても、土質定数の低減を見込まない。

従いまして液状化考慮時でもDEを考慮しないで算定するのが一般的かと存じます。

それでもDEを考慮する場合には、[地層データ]-[土質一覧]-[土質データA]のEDにDEを考慮した値を設定して計算することが考えられますが、道路橋示方書でには上述の記述がございますので適用にあたりましては設計者判断で行ってください。

 1 杭基礎
  1−1.適用範囲・準拠基準等

Q1−1−1.

PHC杭のヤング係数の出典は?
A1−1−1. 道路橋示方書・同解説 SI単位系移行に関する参考資料(社)日本道路協会には 高強度コンクリートの条件として表−解3.3.1に σck=80N/mm2→ヤング係数= 3.8×104N/mm2 と規定されていますが、PHC杭についてはIV-4に、「PHC杭のコンクリートのヤン グ係数は,4.0×104N/mm2(4.0×105kgf/cm2)を用いてよい。」という記述があ り、これに参照しております。
 
Q1−1−2. 側方移動の入力方法は?
A1−1−2. 本プログラムの軟弱地盤における側方移動の影響を考慮した杭基礎の設計は、「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO(平成18年4月)」4-1-8(P.4-38〜)を参照し、常時,暴風時,レベル1地震時のみを対象として作成しております。
お考えの照査が、上記文献の計算に該当するのでしたら、下記をご参照ください。

本プログラムにおいて、側方移動の計算を行う場合、
 1)「計算条件」−「基本条件」画面の『橋台特殊条件=側方移動』を選択する。
 2)「地層」−「地層線」−「設計地盤面」画面の『側方流動圧載荷下面』を入力する。
 3)「杭配置」−「側方流動圧」画面で、側方流動圧による最大荷重強度を入力する。
の手順にて計算に必要なデータを設定します。
また、「橋台の設計」との連動時であれば、上記1)は、橋台側の「初期入力」画面にて『基礎形式=杭基礎(側方移動)』を選択する必要があります。これにより、基礎側の「橋台特殊条件」が『側方移動』へと切り替わります。

側方移動に関する詳細は、入力画面上の[ヘルプ],および「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「橋台特殊設計(側方移動/盛りこぼし橋台)」をご参照下さい。
また、サンプルデータの「Kui_17.F8F」が側方流動のデータとなりますので、あわせてご参照ください。
 
Q1−1−3. フーチング無しモデルの入力方法は?
A1−1−3.
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化して照査しており、底版形状は計算に影響を与えません。
底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算,
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面の『作用力計算』ボタンによる底版下面中心における鉛直力の算出
の照査に用いており、これらの照査または計算を行わない場合、入力の必要はありません。
 
以上より、底版なしの照査を行う場合は、「計算条件」−「基本条件」画面で、
・作用力(常時,レベル1地震時)=入力
・底版許容応力度法の照査=しない
・底版レベル2地震時照査=しない
と設定し、「作用力」−「作用力」画面で基礎天端の常時,レベル1地震時の作用力を入力してください。
また、レベル2地震時照査(安定計算)を行う場合、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面の『WF』,『hF』,『Ws』,『WF’』を0.000と入力してください。
 
Q1−1−4. 増し杭なしでフーチングのみの補強計算を行いたい
A1−1−4.
杭基礎でフーチング補強を行う場合、本プログラムでは、拡幅されたフーチング内に杭が存在するものとして照査しており、存在しない場合、照査することはできません。

杭基礎のフーチング補強は、「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H.12.2)社団法人日本道路協会」を参照し作成しております。
本文献には、既設杭の周囲に新たな杭を増設して補強する方法として、増し杭工法の設計法が記述されており、本プログラムは本方法を採用しております。
既設杭と新設杭が一体として荷重に抵抗するとした計算方法としていることから、フーチングのみの補強は想定しておりません。ご了承ください。

ただし、「橋脚の設計」との連動時は、拡幅によるフーチング補強ではなく、上面増厚のみの補強の場合であれば、検討可能です。
この場合、橋脚側の「補強」−「工法、材料」−「フーチング」画面において、「橋軸方向」,「橋軸直角方向」を0.000(m)として「上面」のみ入力してください。
 
Q1−1−5. 単杭の検討は可能か。
A1−1−5.
本プログラムは単杭の検討に対応しており、「杭配置」−「寸法」画面で NX=1,NY=1 と入力することにより、常時,暴風時及びレベル1地震時だけでなく、レベル2地震時の検討まで行うことが可能です。
ただし、単杭の場合、下記に注意する必要があります。

まず、単杭の場合、ヘルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本的な考え方」-「Q2-6」,「Q2-7」に記載しておりますように、杭頭ヒンジ結合の計算(フーチングと杭がヒンジ結合されていると仮定した場合の計算)のとき、フーチングが回転し不安定構造になることから解を求めることができません。
したがって、杭頭ヒンジの安定計算を行うことができず、杭頭ヒンジとした場合の杭体断面力算出,杭体応力度照査を行うことができません。
詳しくは、前述のヘルプをご参照ください。

また、道示W12.10.4(P.408〜)において、レベル2地震時照査に用いる群杭効果を考慮した砂質地盤に対する水平地盤反力度の上限値の補正係数の記載がありますが、単杭のとき、この杭中心間隔/杭径をどのように設定すべきか明確ではありません。
杭中心間隔/杭径は「地盤データ」画面の「杭間隔÷杭径」により入力します。画面上の[計算]ボタン押下時、ηp・αpの上限値であるαp(=3)を初期設定しておりますが、最終的には設計者の方のご判断として入力してください。

以上に注意することにより、単杭の検討が可能です。
 
Q1−1−7. パイルベント橋脚の設計は可能か
A1−1−7.
本プログラムは、道路橋示方書に準じた計算を行っています。
しかしながら、道示の規定は、はり,柱およびフーチングから構成される構造形式を想定しており、パイルベント橋脚のような特殊な構造は想定しておりません。
したがって、本プログラムにおいても、基本的にはサポート外となります。現行のプログラムを用いてパイルベント橋脚の設計を行う場合、通常とは異なる入力により対処する必要があることから、最終的には設計者の方のご判断としてご検討いただくことになることをご了承ください。

まず、パイルベント橋脚は、杭を結合する横ばり(枕梁)をフーチングと仮定し、突出した杭としてモデル化することになると考えられます。
ただし、道示では、フーチングを剛体と仮定しています。フーチングは十分な剛性を有し、荷重が作用してもほとんどたわまないと考えていることから、剛体として取り扱えるか否かが重要となります。
仮に、剛体と仮定することができない場合、別途、汎用骨組み解析プログラムにおいて、弾性体フーチングとしたモデルを作成し計算していただく必要があります。

また、レベル2地震動に対する基礎の照査は、道示X12.1(P.213)のように、橋脚躯体および上部構造に対して橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpを作用させます。
しかしながら、柱を有しないパイルベント橋脚の場合、この慣性力を求めることはできず、現行の道示の考え方を適用することはできません。
したがって、上部構造の慣性力は、橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpではなく、道示に規定されるレベル2地震動の設計水平震度をそのまま作用させることになるのではないかと考えられます。
 
ここで、道示に規定される設計水平震度は、道示X6.4.3(P.89〜)に記載されておりますように、
 khc = Cs・Cz・khco
 ここに、
  khc:レベル2地震動の設計水平震度
  Cs :6.4.4に規定する構造物特性補正係数
  Cz :4.4に規定する地域別補正係数
  khco:レベル2地震動の設計水平震度の標準値
となります。
ただし、構造物特性補正係数Csは下部構造のエネルギー吸収による地震力の低減を見込んだものであり、基礎の照査においては不要であることから、基礎の設計に用いる設計水平震度はCz・khcoとなります。
よって、地域別補正係数Czにレベル2地震動の設計水平震度の標準値khcoを乗じたCz・khcoを入力してください。また、khp=Cz・khco,Wp=0.00としてください。
また、横ばり部に関しても、同様にCz・khcoを考慮するのであれば、khg=Cz・khcoとしてください。
計算書の「レベル2地震時の照査」−「液状化無視/考慮・地震動タイプT/U・浮力無視/考慮」の出力において、最終的に基礎に作用する設計荷重を確認することができます。想定される荷重が適切に載荷されているか、ご確認ください。

突出部の杭体の慣性力については、レベル1地震時は「作用力」−「杭突出部の水平荷重」を「あり」としてください。また、同画面の「杭突出部水平荷重」タブの「慣性力の計算」をチェックし、設計水平震度や[水平荷重]ボタンより開く画面にて慣性力の有無,向きを指定して下さい。
レベル2地震時においては、地表面(あるいは耐震設計上の地盤面)より上方の杭体の慣性力は、プログラム内部にて自動的に考慮しています。よって、杭体の慣性力については、任意荷重等により別途指定する必要はありません。

以上、通常の橋脚基礎との相違点を簡単に記述しましたが、前述のとおり、パイルベント橋脚はサポート外となりますので、あくまで設計者のご判断としてご検討ください。


 
Q1−1−8. 「基礎の設計計算」単独使用時でも剛体照査を行うことは可能か。
A1−1−8.
「基礎の設計計算」単独使用時にも剛体照査を行うことはできます。

杭基礎: 「計算条件」→「基本条件」で「底版照査(許容応力度法照査)=する」の設定とする
直接基礎: 「設計条件」→「検討項目」で「許容応力度法照査=する」の設定とする

 
Q1−1−9. 適用基準について設計条件のところで、杭基礎便覧の平成4年と平成19年の両方が記載させているのは何か意味があるのか。
A1−1−9. 杭基礎のせん断応力度につきましては、PHC杭等のせん断応力度の取り扱いについて杭基礎設計便覧H4とH19のそれぞれで使い分けを行っております。
この設定については[計算条件]-[基本条件]-[杭基礎設計便覧の適用基準]の選択の有無により制御を行っており、H19の適用基準を取り扱わない場合は詳細出力上に当該の参考文献は明記されないようになっております。
しかしながら、その逆でH19杭基礎設計便覧を適用する場合についてはH19およびH4を同時に出力しているようになっており、一部誤解を与える可能性がある仕様であると確認致しました。
そのため、H19を適用させた場合につきましてはH4の参考文献の記述を除外するように修正の方をさせて頂きたく思います。

 
Q1−1−10. 鋼管ソイルセメント杭の時、[材料]画面における「ソイルセメントの変形係数」「有効重量算出用の単位重量」の出典は?
A1−1−10. ・ソイルセメントの変形係数
 ソイルセメントの変形係数Escは、道示W(H.24.3)(P.406)に以下の記載があります。
 Esc=500qu
 qu:ソイルセメントの一軸圧縮強度
 quにつきましては、道示W(H.24.3)(P.453)の表-解12.11.2 ソイルセメント柱の一軸圧縮強度quに記載がございますのでご参考ください。
 本プログラムでは、砂質土のqu=1.0(N/mm2)=1000(kN/m2)を用いた
 Esc=500×1000=5.00×10^5(kN/m2)
 を初期値としています。
・有効重量算出用の単位重量
単位重量の初期値につきましては、道示W(H.14.3)(P.432)に記述されている参考文献28「(財)国土開発技術研究センター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書」の記述を参照しています。

 
Q1−1−11. PC杭の各許容応力度の出典根拠は?
A1−1−11. 現況の道路橋示方書にはPC杭の記述がありませんので旧示方書を拠り所としてます。(2014/6/4現在)
▼PC杭を選択した場合の許容値データ画面の値について
(1)σck= 50.00 N/mm2
道路橋示方書・同解説W下部構造編(平成6年2月)146ページ
(2)Ec = 3.30×10^4 N/mm2
道路橋示方書・同解説T共通編(平成6年2月)85ページ
(3)σy = 42.50 N/mm2
杭基礎設計便覧(平成18年度改訂版)272ページ 0.85σck = 0.85×50=42.50N/mm2より
(4)σca= 17.00 N/mm2
道路橋示方書・同解説W下部構造編(平成6年2月)146ページ
(5)σta= 0.00 N/mm2 (σce<7.8)
道路橋示方書・同解説W下部構造編(平成6年2月)146ページ(地震時については151ページ)
(6)σta= 0.00 N/mm2 (σce≧7.8)
道路橋示方書・同解説W下部構造編(平成6年2月)146ページ(地震時については151ページ)
(7)τa = 0.650 N/mm2
特に記述が無いため、道路橋示方書・同解説Vコンクリート橋編(平成14年3月)151ページを参照しています。

これらの値を初期値として与えていますが、変更される場合は設計者のご判断でお使いください。

 
Q1−1−12. 鋼材における割増係数1.5の場合の許容値が、1.0のときの許容値×1.50とは異なる(ラウンドダウンされている)理由は?
A1−1−12. 本プログラムでは、新規作成時,及び割増係数の種類数が変更されるよう許容応力度法荷重ケースを変更した場合、σca=277,σta=277,τa=157(N/mm2)がセットされます。
異なる値を採用したい場合には、[許容値]画面において、SKK490の割増係数=1.500の欄に直接入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。

以下、上記のように初期値を設定している理由を記載します。
鋼管ソイルセメント杭(SKK490)の地震時許容応力度は、道示IV(H.14.3)(P.432)記載の文献
「(財)国土開発技術研究センター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書」
を参照して、鋼管矢板基礎と同様に、σa=280(N/mm2)を設定しておりましたが、その後発刊された、
「道路技術基準図書のSI単位系移行に関する参考資料(平成14年11月)社団法人日本道路協会」
を参照し、Ver.3.04.01において、下記のようにSKK490に対する地震時許容応力度の初期値を変更いたしました。
σca=280→277(N/mm2)
σta=280→277(N/mm2)
τa=160→157(N/mm2)
[杭配置]-[根入れ比・変位量]画面の「極限支持力度qd算出用(打込み杭)」−「換算根入れ比」の値をご確認ください。

同画面から開きますヘルプにも記載しておりますが、以下の場合、杭先端の極限支持力度qd算出に用いるデータはこちらで入力します。
(N値についてもこちらで入力してください。)
・[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]画面の「極限支持力度の算出方法」が『計算』
・杭種:鋼管杭, RC杭, PHC杭, PC杭, SC杭, SC+PHC杭,H形鋼杭
・施工工法:打込み杭(打撃/バイブロハンマ), 中掘り杭(最終打撃)

 
Q1−1−13. 鋼管杭で既設杭が3種類の杭径・杭長から構成されている杭配置を、増し杭工法を用いることができるか。
A1−1−13. 増し杭工法では、既設杭も増し杭も同じ杭径・杭長のみの対応となります。
ただし、既設杭と増し杭で異なる杭種、杭径、杭長とすることは可能です。

 
Q1−1−14. 鋼管内にコンクリートを充填した杭の計算が行えるか。
A1−1−14. 鋼管内にコンクリートを充填した杭というものがどのような杭を想定されているか不明ですが、杭種として「内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭(JFETBkui)」を用いることができます。これは、杭の一部区間または全長に鋼管を設置し、内部を場所打ちコンクリートで充填したものです。

  1−2.解析方法、設計の基本的な考え方

Q1−2−1.

レベル2地震時のせん断照査の方法として、「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」,「杭体のせん断力≦杭体のせん断耐力」から選択できるようになっているのはなぜか?
A1−2−1. 道示W(H.14.3)12.10.5の解説に「杭体に生じるせん断力が,杭体のせん断耐力以下となることを照査するものとする。」の記述があります。
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」では「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」の照査方法が記述されており、本プログラムは、従来この照査方法を用いておりましたが、他のお客様から、「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」の計算方法では照査が不十分となるケースがあるのではないかとのご意見をいただき、Ver.3.01.03より、「杭体せん断力≦杭体せん断耐力」の照査方法を追加しました。
なお、改訂前の道示W(H.8.12)10.10.6にも道示W(H.14.3)12.10.5と同様の記述がありますが、H.8.12版道示に対する設計計算例となっている「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」の照査方法は「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」となっています。
このため、照査方法の選択を設け、設計者の方のご判断で照査方法を決定していただくようにしました。
 
Q1−2−2. 耐震設計上の地盤面はどのように取り扱っているのか?
A1−2−2. 本プログラムの耐震設計上の地盤面は、常時,レベル1地震時、及び液状化の影響を考慮しないレベル2地震時の照査では、入力された「設計地盤面」をそのまま用いて照査しますが、液状化を考慮するレベル2地震時の照査では、「耐震設計上の地盤面A/B」スイッチを参照し、プログラム側で自動的に設定しています。
以下に、それぞれのケースについての詳細な取扱いを説明します。

■常時,レベル1地震時
入力された『設計地盤面(常時)』,『設計地盤面(地震時)』を設計地盤面として照査します。
設計地盤面が「杭配置」−「基礎天端」画面の『基礎反力係数を0.0とする区間)となります)。突出杭と判断された場合、「予備計算・結果確認」−「層厚」画面に突出長が表示されます。

■レベル2地震時
レベル2地震時照査は、液状化を考慮しないケース,液状化を考慮するケースを同時に照査可能な仕様としているため、液状化を考慮しないケースでは、「地層」画面の『設計地盤面(地震時)』を耐震設計上の地盤面として照査し、液状化を考慮するケースでは、『設計地盤面(地震時)』以深を対象として、「低減係数」画面のDE,および『耐震設計上の地盤面A/B』スイッチを参照し、プログラム側で自動的に設定しています。
自動設定された耐震設計上の地盤面は、計算書作成の「レベル2地震時の照査」−「設計条件」の「4.地盤データ」に、どの層の上端に位置しているかを出力していますのでご参照ください。(ここで出力される地層は、フーチング下面からの地層データとなります。)

『耐震設計上の地盤面A/B』スイッチにつきましては、道示X図−解4.6.3をご参照ください。ここに記述されている方法が『B』になります。
一方、『A』は、地盤反力が期待できる土層の層厚に関わらず、フーチング下面(『設計地盤面(地震時)』)以深で地盤反力が期待できる土層の最上面を耐震設計上の地盤面としており、図−解4.6.3(a)の場合、底版下面から数えて第2層上面、(b)の場合、底版下面になります。
なお、『B』が指定されたとき、耐震設計上の地盤面より上にDE>0.0の地層が存在するケースがありますが、道示X4.6では、中間に地盤反力が期待できる土層がある場合の耐震設計上の地盤面より上の土層の取扱いについて明示されていません。
そのため、入力画面上および入力画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面に記載しておりますように、設定されたDE値に応じた地盤抵抗を考慮し、考慮されない場合は、耐震設計上の地盤面より上の地層のDEに0.000と入力していただくことにより、考慮する場合,しない場合いずれにも対応できるようにしています。
 
Q1−2−5. 基礎が降伏しても応答塑性率・変位でOKならば 総合判定でOKとならないのか?
A1−2−5. 杭基礎設計便覧(H19.1)に準拠しない場合は、応答塑性率の照査,変位の照査がOKならば総合判定OKとなりますが、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠の場合、図-V.6.8(P.304)の照査手順に記載されておりますように、下記の「仮想鉄筋コンクリート断面の照査」も行う必要があります。

■基礎に主たる塑性化を考慮する場合
 杭体の降伏曲げモーメント ≦ 仮想RC断面の降伏曲げモーメント
■基礎に主たる塑性化を考慮しない場合
 杭頭発生曲げモーメント ≦ 仮想RC断面の降伏曲げモーメント

よって、「仮想鉄筋コンクリート断面の照査」でOUTの場合、総合判定はOUTとなります。
    
Q1−2−6. 突出杭のとき、水平荷重等は考慮しているか?
A1−2−6. 杭基礎では、次のように杭体慣性力を考慮しております。

■レベル1地震時
「作用力」−「基本条件」画面で『杭突出部の水平荷重=あり』を指定し、「作用力」−「杭突出部水平荷重」画面で必要なデータを入力した場合のみ、「地層」画面の『設計地盤面(地震時)』より上方の杭体慣性力を考慮した計算が行われます。

■レベル2地震時
「杭本体」−「その他」画面にて入力された『杭体単位長さ重量』を用いて、常に杭体慣性力を考慮した計算が行われます。したがって、杭体慣性力の有無の指定はありません。
   
Q1−2−8. 動的解析時、どのバネ値を用いたらよいか?
A1−2−8. 道示X 7.3.2(P.114)に、「基礎の変形の影響は、一般に基礎の抵抗を表すバネにより線形でモデル化してよい。ここで、基礎の抵抗を表すバネ定数は、式 (解6.2.1)及び式(解6.2.2)による地盤反力係数の基準値を用いて式(解6.2.12)により算出してよい。」とあります。

計算書の「安定計算」−「杭基礎の剛性行列」は、常時,レベル1地震時の地盤の変形係数α・Eoを用いて算出した地盤バネ値となります。
これに対し、計算書の「基礎バネ計算」−「固有周期算定用地盤バネ定数」に出力している地盤バネは、動的変形係数EDを用いて計算したバネ値となります。
前述のとおり、動的解析には、式(解6.2.12)のとおり、動的変形係数EDを用いて計算した地盤バネ値を適用すべきと思われます。
本件につきましては、「基礎バネ計算」の出力をご参照くださいますようお願いいたします。
   
Q1−2−9. 杭基礎設計便覧準拠時の水平変位の制限を緩和した杭基礎の設計において、最小変位には何を入力すればよいか?
A1−2−9. 水平変位の制限緩和時の最小変位(以下yminとします)は、杭基礎設計便覧に規定された変位量ではなく、同様にひずみ依存性を考慮した水平方向地盤反力係数の補正を行う鋼管矢板基礎の規定(道示W(解13.5.2)(P.445))の
 y:・・・ただし、10mm以下の場合には10mmとする。
を参照し設けているもので、
 kH’ = kH・(y’/y)^-1/2 ・・・ (V.4.4)
のy’の下限を定義し、水平方向地盤反力係数が過大に評価されることがないよう制限しています。

具体的には、初回の計算において、y=yminとして算出したkH’値を用いて計算を行い、発生変位がymin以下であれば収束したと判定しています。
また、発生変位がyminを超える場合、仮定したy(前回計算時の変位)と発生変位とがほぼ等しくなるまで収束計算(誤差1%未満で収束)を行っています。

初回の計算で発生変位が最小変位以下とならない限り、最適解に向かって収束するため、最小変位が結果に直接影響することはありません(但し収束条件を誤差1%未満としているため、若干の差異は生じます。)が、最小変位をどのように定義するのが適切であるか判断することができないため、設計者の方のご判断により入力してください。
   
Q1−2−10. 杭径や杭長が異なる杭が混在しているとき、各杭の杭頭に作用する荷重は、杭の剛比により分担しているのか。
A1−2−10. 本プログラムでは、道示W12.7(P.378〜)に記述されている変位法により、次のように計算しています。
(1)各杭の杭軸方向バネ定数Kvを算出
(2)各杭の水平方向地盤反力係数kH分布を算出
(3)(2)を用いて各杭の杭軸直角方向バネ定数K1〜K4を算出
(4)道示W(解12.7.1),(解12.7.2)(P.379〜)に記述されている三元連立方程式を作成
(5)(4)の三元連立方程式を解いて原点変位を算出
(6)(5)を用いて道示W(解12.7.3),(解12.7.4)により、各杭の杭頭変位,杭頭反力を算出
(7)杭1本の弾性床上梁モデルの杭頭部分に杭頭反力(軸直角方向反力)および杭頭曲げモーメントを載荷し、伝達マトリクス法により各杭の状態量分布(変位分布,曲げモーメント分布、せん断力分布)を求める。

杭1本当たりの杭頭の作用力は、上記(6)の杭頭反力がこれに該当しており、具体的には、2次元解析で直杭の場合、
 PNi = Kv・δyi’
 PHi = K1・δxi’ + K2・α
 Mti = −K3・δxi’ + K4・α
 δxi’ = δx
 δyi’ = δy + α・xi
 ここに、
  PNi :杭軸方向反力(kN)
  PHi :杭軸直角方向反力(kN)
  Mti :杭頭モーメント(kN・m)
  δxi’:杭頭水平変位(m)
  δyi’:杭頭軸方向変位(m)
  Xi:杭頭座標
のように求めています。(斜杭については道示を参照してください。)

上記式の通り、本プログラムの杭頭反力(杭頭作用力)は、各杭の杭頭変位および杭軸直角方向バネ定数K1〜K4より求めており、杭の剛比により分配しているわけではありません。
なお、K1〜K4とは、杭頭の力と変位との関係を表したもので、杭頭から杭先端の範囲の杭体の曲げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件を用いて、杭頭に単位荷重を与えたときの杭頭変位を求め、この関係から算出する杭頭バネを示しています。

詳しくは、上記道示およびヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」の
 (1)杭体の断面力と変位の関係式
 (2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
 (3)フーチングの変位と杭頭反力
をご参照ください。
   
Q1−2−11. 杭軸直角方向バネ定数K1〜K4はどのように算出されるのか。
A1−2−11. 道示W12.6.2(P.375〜)において、半無限長(βLe≧3)の杭,有限長(1<βLe<3)の杭ごとに、杭軸直角方向バネ定数K1〜K4の算定方法が記載されていますが、本項の算定方法は、水平方向 地盤反力係数が深さ方向に一定,つまり単一層の場合のみを適用対象とした簡易式で、多層地盤の杭に適用することはできません。
杭基礎設計便覧(H19.1)(P.357)においても、「地盤が深さ方向に変化する多層系地盤として評価し設計する場合には、道示Wに示される変位法を適用することはできない。」と記載されています。

本プログラムでは、上記の算定方法は用いておらず、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて有限長の杭として解析しており、常に杭先端条件および(多層地盤であれば)多層地盤を考慮した厳密な計算を行っています。

具体的には、杭1本に着目し、杭頭から杭先端までの杭体の曲げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件を用いて、杭頭に単位荷重を与えたときの杭頭変位を求め、この関係から算出しています。

算出方法の詳細につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」の
 (1)杭体の断面力と変位の関係式
 (2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
 (3)フーチングの変位と杭頭反力
をご参照ください。

なお、上記ヘルプにてお分かりのとおり、K1〜K4の算出は手計算で求められるような単純式で算出しているわけではありませんので、算定根拠を簡潔に示すことはできません。
   
Q1−2−12. 「計算条件」-設計条件」-「杭」の『杭先端条件』はどのように扱われているか
A1−2−12. 杭先端条件は、次のように取り扱って、杭軸直角方向バネ定数K1〜K4を算出しています。
・固定
 水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
 水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
 水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
 杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
 せん断力=せん断バネ×水平変位
 曲げモーメント=回転バネ×回転変位
 (※せん断バネ,回転バネは、「杭配置」−「データ」画面で入力してください。)


詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」
 (1)杭体の断面力と変位の関係式
 (2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
   
Q1−2−13. 杭体水平荷重はどのように安定計算に考慮しているのか。
A1−2−13. 本プログラムの杭体水平荷重は、道示W12.8(P.384〜)を参照し作成しており、次の手順にて計算を行っています。
(1)杭1本を弾性床上のはりとしてモデル化し、杭体水平荷重を載荷して杭頭水平変位,回転角を求めます。
 (解12.8.6のδx,α(上バー))
(2)(1)で求めた杭頭変位に相当する杭頭反力を求めます。
 (解12.8.5のFi,Gi)
(3)各杭の(2)の杭頭反力を集計し、作用力の補正値とします。
 (解12.8.5のGH,Gv,GM)
(4)杭基礎の剛性行列と補正を加味した作用力との関係から基礎の原点変位を算出します。
 (解12.8.4を解きδy,δx,αを算出します。)
(5)基礎の原点変位から各杭の杭頭変位を算出します。
 (解12.8.10のδyi’,δxi’を算出します。)
(6)(4),(5)で求めた杭頭変位と(2)で求めた杭頭反力相当から杭頭反力を算出します。
 (解12.8.9のPNi,PHi,Mti)

上記の(1)〜(4)は、基礎に荷重を与えたときの基礎の変位を求めているもので、杭体水平荷重による作用力の補正値を求め、求まった作用力の補正値を基礎に作用する荷重に加味して算出しています。
このとき、道示(解12.8.6〜8)において、杭体水平荷重による杭頭水平変位δ,回転角αの算出式が記載されていますが、地盤が単一層で杭の根入れ長が十分に長いケースに限定した記述になっていること、また杭突出部(設計上の地盤面より上方)に載荷することを想定した記述となっているため、本プログラムでは、上記(1)のように、杭頭から杭先端までの曲げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件を用いて弾性床上のはりとしてモデル化し、このモデルに杭体水平荷重を載荷して求めています。
また、上記(5),(6)では、各杭の杭頭反力を算出しています。杭体水平荷重の影響が二重に考慮されるのを防ぐため、杭体水平荷重による杭頭反力を控除して求めています。
なお、杭体の断面力分布(曲げモーメント,せん断力,変位分布)は、上記(1)と同様、弾性床上のはりとしてモデル化し、杭頭に上記(6)で求めた杭頭反力を、杭体には水平荷重を載荷して算出しています。
   
Q1−2−14. 増し杭工法における荷重分担はどのように考えているのか。
A1−2−14. 本プログラムの増し杭工法は、「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H12.2)社団法人日本道路協会」に記述されている考え方を参照し、既設杭と増し杭が負担する荷重を次のように取り扱っています。
・既設死荷重は既設杭のみが負担する。
・補強に伴う増加荷重は既設杭と増し杭で分担する。
・地震力に対して、既設杭と増し杭で分担する。
具体的な取扱いは、製品ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「補強設計(増し杭工法)」をご参照いただくことになりますが、例えば、常時,レベル1地震時の安定計算では、
(1)既設死荷重時ケース(No.1)で入力された作用力に対しては、既設杭のみを考慮して計算
(2)No.2以降の荷重ケースについては、No.1の作用力を差し引いた作用力増分に対して、既設杭,増し杭両方を考慮した計算を行い、増し杭については、ここで求めた値を,既設杭についてはここで求めた値に(1)の計算値を加算した値を計算結果
としています。
   
Q1−2−15. 杭体の水平荷重は杭1本当りのものか、全幅あたりのものか?
A1−2−15. 杭体の水平荷重の入力は、全幅当たりではなく杭1本当たりの入力となります。
   
Q1−2−16. 底版の斜引張鉄筋の必要鉄筋量が手計算と合わない。何か特殊な計算をしているのか。
A1−2−16. 底版許容応力度法照査における斜引張鉄筋の必要鉄筋量は、道示W5.1.3(P.162)の式(5.1.3)により算出される鉄筋量を底版幅で除して単位幅(1m当たり)に直しています。
ただし、許容応力度法照査においては、次の記述が適用されます。手計算にて検証した結果とプログラムの結果が一致しない場合、下記を適切に考慮しているか、今一度ご確認ください。
@道示W(P.163)「なお、式 (5.1.3)で部材断面の有効高dを用いているが、せん断スパンaがd/1.15よりも小さい場合には、せん断ひびわれを横切る斜引張鉄筋量を過大に見積もることのないよう、式(5.1.3)中のd/1.15に代わってaを用いるものとする。」
A道示W(P.231)「常時,暴風時及びレベル1地震時に対する照査においては、式(5.1.3)中のσsaに式(8.7.3)により算出される低減係数Cdsを乗じるものとする。」
 
Q1−2−17. 水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計とは、具体的にどのような設計法なのか。
A1−2−17.
水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計は、道示および杭基礎設計便覧に規定された設計法で、常時,暴風時及びレベル1地震時の杭基礎の安定性の照査において、地盤抵抗の非線形性を考慮した解析を行う代わりに、許容変位を緩和(杭径の3.5%程度)した設計を行うものです。具体的な設計法は下記をご参照ください。
 
常時,暴風時及びレベル1地震時では、地盤に過大な非線形性が生じないよう許容変位を設けており、設計地盤面における水平変位が許容変位以下となることを照査しますが、条件によっては、基礎の変位を許容変位以下とすると、杭体応力度に著しく余裕が生じバランスを欠く設計となる場合があります。このような場合、橋脚の杭基礎に限り、許容変位を緩和した設計を行うことができます。
 
 
Q1−2−18. 盛りこぼし橋台の常時の検討において、地盤変位荷重を載荷した場合に許容変位に対する照査を行っていないがこれはなぜか。
A1−2−18.
設計要領第二集(NEXCO)(平成19年8月の新旧対照表以降)では、「レベル1地震時の水平変位について、通常荷重による相対変位,および地盤変位荷重を考慮した相対変位は、5章2-2に示す許容変位以下でなければならない。」と記載されており、レベル1地震時に対して許容変位の照査を行うよう規定されています。
 
また、「盛りこぼし橋台の設計・施工に関するQ&A(平成20年7月15日)(独)土木研究所 構造物メンテナンス研究センター 橋梁構造研究グループ/(株)高速道路総合技術研究所 道路研究部 橋梁研究室」では、「通常荷重+地盤変位荷重には、レベル1地震時の地盤変位による杭頭の相対変位に対して照査を行う。常時の地盤変位荷重時に考慮する施工時地盤変位は、長期的には消散する傾向にあるため、水平支持力の照査指標から省かれている。」と記載されています。
 
以上より、常時においては、地盤変位荷重を載荷した状態に対する許容変位の照査は行っておりません。
 
Q1−2−19. 斜杭を考慮する場合、斜角の影響はどのように安定計算に考慮しているのか。
A1−2−19.
斜杭の場合、基礎に作用する水平力に対して、杭軸方向の抵抗を考慮した計算が行われます。以下に、杭軸方向の抵抗を考慮した計算方法を説明します。
まず、本プログラムの計算方法を以下に示します。
(1)各杭の杭軸方向バネ定数Kvを算出する
(2)各杭の水平方向地盤反力係数kH分布を算出する
(3)(2)および杭体の曲げ剛性を用いて、各杭の杭軸直角方向バネ定数K1〜K4を算出する
(4)(1)および杭頭座標,斜角を用いて、道示W(解12.7.2)のフーチング下面中心におけるバネマトリックスを作成する
(5)作用力と(4)を用いて、(解12.7.1)により原点変位を算出する
(6)(解12.7.4)により、各杭における杭頭の杭軸方向変位,杭軸直角方向変位を求める
(7)(解12.7.3)により、各杭における杭頭反力を求める
(8)杭1本の弾性床上梁モデルに杭頭の軸直角方向反力および曲げモーメントを載荷し、伝達マトリクス法により各杭の状態量分布(杭体曲げモーメント、せん断力分布等)を求める。
 
各杭ごとに、杭頭における杭軸直角方向のバネ定数K1〜K4を算出します。このとき、斜杭においては、斜角を考慮した実杭長を用いた計算を行うため、直杭とは異なる値となります。しかしながら、この影響は軽微であり、基礎の挙動に与える影響は僅かです。斜杭の影響は、上記(4),(5)に考慮されます。
道示W(P.379〜)の(解12.7.1)(解12.7.2)をご参照ください。
本プログラムでは、(解12.7.1)(解12.7.2)により基礎の原点における水平変位,鉛直変位,回転角を算出しておりますが、例えば、(解12.7.2)の水平方向バネ定数Axxは、
 Axx = K1・cos2θ + Kv・sin2θ
 ここに、
  K1:杭頭部に回転を生じないようにして、杭頭部を杭軸直角方向に単位量だけ変位させるとき、杭頭部に作用させるべき杭軸直角方向力(kN/m)
  θ:杭の斜角で直杭の場合0とする(rad)
  Kv:杭軸方向バネ定数(kN/m)
として求まります。
直杭においてはsinθが0となるためKvは考慮されませんが、斜杭では、Kvを考慮した水平方向バネ定数が求まります。
したがって、杭軸方向力が考慮された計算となります。
Ayy等の他のバネ定数についても同様です。
 
Q1−2−20. 1/βが杭長よりも長くなるケースが生じた。このようなケースのとき、プログラムではどのように計算しているのか。
A1−2−20.
道示Wでは、例えば12.6.2(P.375〜)や12.9.1(P.387〜)において、βLeの範囲ごとに半無限長の杭,有限長の杭としての計算方法が記載されています。
しかしながら、道示の考え方は、水平地盤反力係数が深さによらず一定(杭頭から杭先端までの地盤抵抗が一様)と仮定した場合の計算方法で、多層地盤には適用できません。また、場所打ち杭の鉄筋の段落としを行った場合や鋼管杭の板厚を変化させた場合、杭体に任意荷重を載荷するケース等にも対応できません。
このため、本プログラムでは、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて解析しており、常に杭先端条件および多層地盤を考慮した厳密な計算を行っています。
具体的には、杭基礎設計便覧(P.357)の「弾性床上の梁部材の剛性マトリクスを用いた計算法」のように、部材ごとに、部材端力と部材端変位との関係を表すマトリクスを組み、これを解いて杭基礎の挙動を解析しています。(ただし、製品ヘルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本的な考え方」-「Q2-2」のように伝達マトリクス法を採用しています。)
計算上、杭としての特性値βは用いていないことから、本ケースのように1/βが杭長より大きくなるか否かにかかわらず計算を行っています。
1/βが杭の軸直角方向の抵抗に関与する(支配的となる)地盤の範囲と考えれば、杭頭から杭先端までの全ての層の地盤抵抗を厳密に評価した計算を行っている本プログラムの計算結果をそのまま採用してもよいのではないかと考えられますが、最終的には設計者のご判断としてください。
 
なお、伝達マトリクス法を用いた本プログラムの計算方法の詳細につきましては、製品ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」をご参照ください。
 
Q1−2−21. せん断耐力の割増係数Cdcを線形補間により求めているが、線形補間ではなく道示W表-8.7.1のいずれかの値を選択すべきではないのか。
A1−2−21.
道示W(P.230〜)に示される割増係数Cdcに関する記述を参照すると、Ce,Cptとは異なり、線形補間により求めてよいと記載されているわけではありません。ただし、本プログラムでは、下記の理由により、線形補間により求めています。
はりと見なせる部材において、せん断スパン比(a/d)がある程度小さくなると、アーチ効果が卓越する耐荷機構となるため、斜めひび割れが形成されても直ちには破壊に至らず、せん断耐力が増加していると見なすことができるようになります。
このアーチ効果によるせん断耐力の増加は、せん断スパン比が2.5に近づくあたりから徐々に影響しはじめ、二次曲線的に増加します。
表-8.7.1は、このように発揮されるアーチ効果に関する様々な載荷実験結果を整理し、二次曲線的な増加をプロットして記載したものと考えられます。
よって、本来であれば、道示W表-8.7.1の各値の間については二次曲線的な増加を考慮するのがよいのかもしれませんが、実務上は線形補間を適用すればよいと思われます。
 
Q1−2−22. 杭頭に段差があるとき、基礎バネはどの位置で算出されるのか。
A1−2−22.
杭頭に段差があるときの基礎バネ(固有周期算出用地盤バネ)の算出位置は、フーチング最下面の中心位置としております。
 
Q1−2−23. 盛りこぼし橋台でレベル1地震時の地盤変位荷重が作用したときの変位はどのように算出されるのか。
A1−2−23.
次のように計算しております。
 
δf’=|(δnt+δeq)−(δsmax+δDmax)|≦許容変位
 
ここに、
δf’:地盤変位荷重による地震時の全相対変位
δnt:施工時地盤変位荷重の1/2による杭頭変位
δeq:地震時に考慮する地盤変位荷重による杭頭変位
※δnt+δeq=δ2−δ1
δ1:地盤変動荷重を載荷しないケースの杭頭変位
δ2:地盤変動荷重を載荷したケースの杭頭変位
δsmax:施工時地盤変位
δDmax:地震による地盤変位
 
Q1−2−24. 増し杭で片側張り出しの場合、基礎バネはどのように算出しているか
A1−2−24.
本プログラムの基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ定数)は、道示X(H.14.3)6.2.3(P.55〜)を参照し算出しております。
その際、基礎バネ値は、杭頭座標原点における値を算出,出力しており、増し杭工法の場合、既設底版下面中心における値となります。
(算出に用いる各杭の座標も、既設低版下面中心を基準とした座標を使用します)

計算方法につきましては、
 ・ヘルプ「計算理論及び照査の方法」―「杭基礎」―「基礎バネ」
 ・計算書「基礎バネ計算」―「固有周期算定用地盤バネ定数」
に、記載・出力しておりますのであわせてご参照ください。

 
Q1−2−25. 底版照査時のフレーム解析結果における端部の格点はなにか。また、その点に対して曲げモーメントがかかっているのは問題ないのか。
A1−2−25.
フレーム解析は片持ち梁として解析してます。左端部の格点は片持ち梁の固定点となります。その点付近でのモーメントは0となるはずですが、実際は誤差が生じます。

 
Q1−2−26. 橋台の設計と連動時、水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計ができないのはなぜか。
A1−2−26. 水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計は、道示W(P.387),杭基礎設計便覧(H19.1)(P.266)ともに橋脚の杭基礎のみ適用可能と記載されております。
この制限の主旨は、主として橋台の場合、背面土による偏土圧が載荷されていることから、基礎に過大な水平変位が生じるのを許容した場合、変位が残留する可能性があると考えてのことだと思われます。
したがって、背面土がなく偏土圧が生じないケースであれば、橋台であっても水平変位の制限を緩和した設計を行っても問題はないのではないかと考えられます。
しかしながら、橋台に対して水平変位の制限緩和を適用した事例や文献類の明確な記述はなく、安易な対応は問題が生じないとも限りません。
本件につきましては、他のユーザ様のご意見も伺いながら、設計者判断として制限緩和を適用できるよう慎重に対応を検討させていただきたいと存じます。ご了承ください。

 
Q1−2−27. 杭基礎(場所打ち杭)で地形の傾斜があり、杭長も1本1本異なる場合の計算(解析)方法はどのようにするのか。
A1−2−27. 本プログラムでは、地層傾斜および杭長が異なる杭が混在したケースの検討に対応しており、レベル2地震時まで含め照査することが可能です。
それぞれ次の画面にて設定し、ご検討くださいますようお願いいたします。
・地層傾斜
 「地層」−「地層線」画面の『地層傾斜』をチェックすることにより考慮され、始点Uから5点の折れ線として各地層を指定します。
・杭長変化
 「杭配置」−「基本条件」画面の『杭径・杭長の変化』を『する』と設定することにより考慮され、同画面の「データ」により杭1本ごとの杭長を指定します(指定した杭の杭長を変更した場合は必ず「適用」ボタンを押してください)。

また、地層傾斜,杭長変化を考慮したレベル2地震時照査を行うには、2.5次元解析を行うことになります(本プログラムでは必須です)。「計算条件」−「基本条件」画面の『常時,レベル1地震時計算方法』を『2.5次元解析』と設定してください。

なお、上記を考慮するにはいくつか制限事項がありますが、これらの制限事項につきましては、上記の「地層」,「杭配置」画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明に詳しく記載しておりますのでご参照ください。

 
Q1−2−28. 「杭頭が回転しない場合」で計算を行なう予定であるが、この場合に如何様に対処すればよいか。
A1−2−28. 杭頭が回転しない状態(=フーチングが回転しない状態)の計算はできません。
回転しない状態で確認する場合は、杭頭の回転が0となるようにモーメントで調整してください。

 
Q1−2−29. 地層が粘性土の場合、圧密沈下が生じると杭体の応力度が変わってくると思うがそのような圧密沈下に対応した照査は行っているか。
A1−2−29. 本プログラムでは、圧密沈下時の照査は「負の周面摩擦力」を考慮することでご対応頂けます。
負の周面摩擦力に対する検討は、「道路橋示方書・同解説W下部構造編(平成24年3月)社団法人日本道路協会」(以下、道示W)12.4.3(P.398〜)を参照して、「作用力」−「荷重ケースの設定」画面で指定された荷重ケース(死荷重時を想定しています。)に対して、
・鉛直支持力の検討
・杭体応力度の検討
を安定計算時に行っています。

負の周面摩擦力は、道示Wの表-解12.4.6(P.395)を参考に工法により内部自動計算または入力で設定していただけます。

入力方法に関しては、次の手順で負の周面摩擦力検討に必要なデータを入力してください。
(1)「地層」−「地層線」−「設計地盤面」で中立点位置を定義し、「地層」−「土質一覧」−「土質データA」で負の周面摩擦力度fnを設定してください。
(2)「計算条件」−「設計条件」−「その他の条件」で『負の周面摩擦力=検討する』と指定してください。
(3)「作用力」−「荷重ケースの設定」で検討する荷重ケース番号を入力してください。
各画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面もご参照ください。

 
Q1−2−30. [設計条件]−[設計条件]−[杭]において、回転杭を選択した場合、「施工方法」で「道示モデル」が強制チェックされるが、この道示モデルはどういうものか。
A1−2−30. 従来は杭基礎設計便覧にのみ回転杭が記載されていましたが、平成24年道路橋示方書で記載されるようになりました。
両者では計算内容に違いが有るため、従来の回転杭と区別するため「道示モデル」と付記しました。

また、回転杭には各メーカーから多様なものが提供されています。今後、回転杭の種類が増えた場合に区別が付くということもあります。

 
Q1−2−31. 杭基礎のフーチングを弾性体としたモデルでの照査は可能か。
A1−2−31. 本プログラムの杭基礎の設計は、道路橋示方書に準じた計算を行っており、道示W12.7(P.378)に
「フーチングを剛体と仮定し杭基礎全体の変位(フーチングの変位)を杭頭部のバネマトリックスを介して、杭基礎全体に作用する水平力,鉛直力,回転モーメントにつり合わせた式を解く変位法とがある。」
と記載されている変位法を採用しております。
上記の記述に従い、レベル2地震時も含め、常にフーチングを剛体と仮定した計算を行っており、フーチングを弾性体として計算する機能は有しておりませんので、フーチングを弾性体とした安定計算を行う場合は「FRAME(面内)」等の骨組解析により計算していただく必要があります。
また、フーチングを剛体とみなせない場合につきましては、本プログラムの計算結果を適用することはできませんのでご注意ください。

なお、本プログラムはフーチングを剛体とみなせることを確認した上で、安定計算やレベル2地震時照査を行っていただくことを想定しています。
上記を踏まえ、剛体判定の結果は、安定計算やレベル2地震時照査に影響しない(剛体照査の結果に関わらず、安定計算やレベル2地震時照査は実行される)仕様とさせていただいております。ご了承ください。

  1−3.地層・土質定数 

Q1−3−1.

地盤種別はどのように取り扱っているのか。
A1−3−1. 地盤種別は、
・設計水平震度
・液状化の判定および液状化による土質定数の低減係数DE
に影響しますが、本プログラムでは、設計に用いる設計水平震度を直接入力していただくようにしているため、地盤種別が影響するのは土質定数の低減係数DEの算定のみとなります。


ここで、本プログラムでは、「地層」−「計算条件」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、同画面で「地盤種別」を「内部計算」とした場合に地盤種別を計算しており、この値を用いて低減係数DEを計算しています。
なお、この地盤種別は、同画面の「低減係数」タブの[液状化の詳細出力]ボタンより表示される計算書(「2章 液状化の判定」−「地盤条件と地盤定数の設定」)により、計算過程の詳細を確認することが可能です。
また、「液状化の判定を行う」をチェックしていない場合、地盤種別は計算に用いません。よって、「地層」−「低減係数」画面で直接選択していただくようにしています。(出力のみに用います。)

なお、、「橋脚の設計」や「橋台の設計」等との連動時、これらの製品の「初期入力」画面で基礎側の地盤種別を連動するよう設定した場合、次のように連動しています。
■内部計算
「地層」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、「地盤種別」を「内部計算」とした場合、内部計算された地盤種別が連動されます。
■直接入力
「液状化の判定を行う」のチェックを外した場合、地盤種別は内部計算されません。よって、「低減係数」タブの「地盤種別」により直接設定された地盤種別が連動されます。「液状化の判定を行う」をチェックした状態で、同画面の「地盤種別」を「直接指定」とした場合も同様です。
    
Q1−3−2. 杭基礎の設計の耐震設計上の地盤面で、取り扱いをBとした場合 「耐震設計上の地盤面より上のDE(レベル2)>0.0の地層には、DE(レベル2)値に応じた地盤抵抗(水平方向地盤反力係数,水平地盤反力度の上限値)を考慮します。」となっているが道路橋示方書には特に明記されている文面が見当たらない。
A1−3−2. 道示X4.6(P.27〜)では、橋台基礎においては耐震設計上の地盤面より上の地盤の水平抵抗は無視するのがよいと記述されておりますが、橋脚基礎においては、耐震設計上の地盤面より上の土層の取扱いについて明示されていません。
よって、本プログラムでは、地盤抵抗の取扱いについて、橋台基礎/橋脚基礎の区別は行っておらず、設定されたDE値に応じた地盤抵抗を考慮しており、考慮されない場合は、耐震設計上の地盤面より上の地層のDEに0.000と入力していただくことにより、考慮する場合,しない場合いずれにも対応できるようにしています。

耐震設計上の地盤面より上の地盤抵抗を考慮するか否かにつきましては、設計者の方のご判断により決定していただき、地盤抵抗を考慮しない場合、杭前面地盤については「地層」−「低減係数」画面の『DE(レベル2)』,底版前面水平抵抗については「底版前面水平抵抗」画面の『低減係数DE(レベル2)』に0.000と設定ください。
    
Q1−3−3. 入力した地層数と出力された地層数が異なる。
A1−3−3. 「地層」画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面の「■低減係数」に記載しておりますように、「計算条件」ページで『液状化の判定を行う』がチェックされたとき、以下の深さで地層を分割しています。

(1)現地盤面から3.0mをまたぐ粘性土層があり、その層の一軸圧縮強度が20(kN/m2)以下の場合には、3.0mで分割。
(2)現地盤面から10.0mをまたぐ層がある場合は10.0mで分割。
(3)現地盤面から20.0mをまたぐ層がある場合は20.0mで分割。

(1)は道示X(H.14.3)8.2.2(P.120)によります。
(3)は8.2.3(P.121〜)により、判定対象を現地盤面から20m以内とするため
(2)は表−8.2.1(P.125)により、10m以下と10mを超える範囲とで動的せん断強度比Rを使い分けるために行っています。
    
Q1−3−4. 「土質」を変更後、「φの計算」を実行してもφの計算が行われない
A1−3−4. おそらく、平均N値に5以下が入力されていると思われます。
本プログラムの土のせん断抵抗角φの自動計算は、道示W参考資料「8.標準貫入試験のN値から砂のせん断抵抗角φを推定する場合の参考式(案)」(P.564〜)を参照し計算を行っております。
上記道示には、「本提案式は、式(参8.1)に示すようにN>5の範囲で適用するものとする。」と記載されております。
そのため、平均N値がN≦5の場合、砂質土/粘性土ともにφの計算は行っておりません。
    
Q1−3−5. 計算書の「地層データ」の項にある「f」「fn」とは?
A1−3−5. いずれも杭周面に働く最大周面摩擦力度を表しており、「f」は杭の支持力の算定に、「fn」は道示W12.4.3(P.364〜)の負の周面摩擦力の検討に用いています。
推定方法はどちらも同じですが、負の周面摩擦力の検討に用いる「fn」は、N値から推定するとき、N値が2以下の軟弱層においても推定値を適用します。
支持力算定用,負の周面摩擦力の検討用で異なる値となることがあるため、それぞれを算出,出力しております。
なお、負の周面摩擦力の検討を行わない場合、「fn」は計算に用いません。
    
Q1−3−6. 盛土地盤のせん断弾性波速度Vsdは、レベル1地震時のVsとは異なるのか。
A1−3−6. Vsd は、「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO(平成18年4月)」(P.4-56)の「微小ひずみレベルでの盛土地盤のせん断弾性波速度Vsd」を示しておりますが、設計要領第二集では、具体的な算定方法が示されておりません。道示X(P.57)により算出してもよいのではないかと考えられますが、設計要領第二集に明示されていないことから、本プログラムでは、設計者の方のご判断で入力していただく仕様としております。おそれいりますが、最終的には設計者ご自身により算定し入力してくださいますようお願いいたします。

なお、レベル1地震時に用いるせん断弾性波速度Vsは、道示X(P.26)(解4.5.1)より、
 N = Ek/700
 Vs = 80・N^1/3  (^はべき乗を示しています。)
として算出しております。
    
Q1−3−7. 2方向傾斜時の杭基礎の照査を行うことは可能か?
A1−3−7. 本プログラムでは、地層傾斜を考慮できるのは1方向のみとしており、2方向に傾斜したケースの入力,計算を行うことはできません。

ただし、本プログラムでは、杭1本ごとに杭長を変化させることが可能です。また、杭位置の層厚を変更し、変更した層厚を用いて地盤反力係数,許容支持力等を算出することが可能です。
これより、以下の入力を行うことにより、2方向に地層傾斜した場合と等価な計算とすることが可能です。
なお、杭1本に対して背面側と前面側の層厚は同一として計算します。

(1)「地層」画面にて、どちらか1方向にのみ傾斜した地層を入力します。
(2)「計算条件」−「入力条件」画面で「層厚=直接入力」とします。
(3)「杭配置」−「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』とし、「データ」画面で杭ごとに杭長を入力します。
(4) 「予備計算・結果確認」−「層厚」画面で、各杭の層厚を、別途算出した2方向傾斜を考慮した層厚となるよう調整します。このとき、層厚の合計が杭長と一致するように入力してください。全杭入力後、「k値」,「許容支持力」画面の[計算]ボタンにより、入力した層厚に応じたk値,許容支持力を計算します。
 ※層厚の指定は、杭の条件(杭径,厚さ,杭長等)が等しい杭を同一タイプとし、同一タイプごとに指定します。杭の条件が同一の杭に対して、異なった層厚を指定する場合、「杭配置」画面で異なる杭長(1(cm)程度の差)を入力してください。

操作方法につきましては、入力画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面をご参照ください。

    
Q1−3−8. 現地盤面,設計地盤面および地盤面の違い
A1−3−8. ■現地盤面について
地層データの第1層上面の標高としています。地表面の標高を入力してください。

■設計地盤面について
常時,地震時における設計上の地盤面としており、設計地盤面より上の杭前面の地盤抵抗は考慮しないようにしています。

■地盤面
地震時データは、「レベル2地震時照査」−「地盤データ」で『上載荷重算出用の上載土圧の指定=地盤面(地震時)』が選択されたとき、上載荷重として、地盤面(地震時)から基礎天端までの土の重量を算出する際に用いています。
なお、杭基礎の場合、常時データは計算に使用していませんが、現地盤面標高以深となるように入力してくださいますようお願いいたします。
(※道示モデルの水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計の場合は、検討ケースに応じて、地盤面(常時),地盤面(地震時)を使用しています。)
    
Q1−3−9. 流動化時の許容変位が基礎の降伏に達するときの水平変位の2倍としている根拠
A1−3−9. 道示X8.3.1(P.127〜)をご確認下さい。
こちらの記載より、流動化時の許容変位は、基礎の降伏に達する時の水平変位の2倍としております。
    
Q1−3−10. 「地層」−「土質一覧」−「土質データA」画面の[φの計算]ボタンよる計算方法は?
A1−3−10. 「地層」−「土質一覧」−「土質データA」画面の[φの計算]ボタンよる計算は、道示W参考資料「8.標準貫入試験のN値から砂のせん断抵抗角φを推定する場合の参考式(案)」(P.564〜)を参照し作成しております。
その際、σv’算出用の地表面からの深さxは、層下端ではなく層中心での深さとしております。
    
Q1−3−11. 地盤種別はどのように取り扱っているのか。
A1−3−11. 地盤種別は、
・設計水平震度
・液状化の判定および液状化による土質定数の低減係数DE
に影響しますが、本プログラムでは、設計に用いる設計水平震度を直接入力していただくようにしているため、地盤種別が影響するのは土質定数の低減係数DEの算定のみとなります。
したがって、本プログラムでは、「地層」−「計算条件」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、同画面で「地盤種別」を「内部計算」とした場合のみ内部計算しており、この値を用いてDEの算定を行います。
計算された地盤種別は、同画面の「低減係数」タブの[液状化の詳細出力]ボタンより表示される計算書(「2章 液状化の判定」−「地盤条件と地盤定数の設定」)にて確認することが可能です。

ここで、「橋脚の設計」や「橋台の設計」等との連動時、これらの製品の「初期入力」画面で基礎側の地盤種別を連動するよう設定した場合、
@内部計算
前述の「地層」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、「地盤種別」を「内部計算」とした場合、内部計算された地盤種別を連動する。
A直接入力
「液状化の判定を行う」のチェックを外した場合、地盤種別は内部計算されない。よって、同画面の「低減係数」タブの「地盤種別」により直接選択された地盤種別を連動する。「液状化の判定を行う」をチェックした状態で、同画面の「地盤種別」を「直接指定」とした場合も同様。
としています。
    
Q1−3−12. 杭種や工法によっては、支持層を粘性土層にすると警告が表示される。回避する方法はあるか。
----------------------
警告:[20604]
粘性土層に支持層が設定されています。
極限支持力qdは砂層として算出します。
----------------------
A1−3−12.
本プログラムでは、中掘り工法(セメントミルク噴出撹拌方式),プレボーリング杭工法,鋼管ソイルセメント杭工法,回転杭工法における支持層を粘性土層とした場合、警告を表示し、砂質土層として算出しています。
 
道示の杭先端の極限支持力の算定は、下部構造編(P.357〜)に記載されていますが、中掘り工法(セメントミルク)では、「砂質系地盤のみに適用」と規定されています。また、プレボーリング工法や鋼管ソイルセメント杭工法では、砂層,砂れき層に対する極限支持力度の推定方法しか明示されておりません。回転杭工法は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」(P.436〜)を参照していますが、同様に、砂層,砂れき層に対してのみ推定方法が明示されており、粘性土層を支持層とする場合の推定方法は示されていません。
 
このように、上記の工法においては、粘性土層における推定方法が明示されていない、あるいは粘性土層を支持層とすることを原則禁止するといった規定があることから、現行では、警告を表示し、砂質土層として算出しています。
    
Q1−3−13. 土の飽和重量を湿潤重量+1とすることが多いが、これはなぜか。
A1−3−13.
湿潤土は、土粒子,水,間隙により構成されており、それぞれの体積をVs,Vw,Va、単位体積重量をγs,γw,γa(=0.0)とすると、湿潤土の単位体積重量は
 γt = (Vs・γs+Vw・γw+Va・γa)/(Vs+Vw+Va)
により表すことができます。
一方、飽和土は、上記間隙がすべて水で満たされた状態で、単位体積重量は
 γsat = {Vs・γs+(Vw+Va)・γw}/(Vs+Vw+Va)
となります。したがって、γt≦γsatの関係になります。
 
ここで、道示W2.2.6(P.41)では、(注)(1)において、
 γ’ = γt - 9
としてよいと記載されています。(※γ’は水中重量)
飽和重量γsatは、
 γ’ = γsat−γw
 γsat = γ’+γw
の関係にあることから、γwを10(kN/m3)とすると、前述の道示の(注)(1)より、
 γsat = (γt - 9)+10
     = γt+1(kN/m3)
となります。
 
詳しくは、土質力学の文献・参考書等を参照して下さい。
    
Q1−3−14. 地層傾斜時、地層データの「中間点Uの間隔(m)」の『始点U』と杭配置-基礎天端の『偏心量eu』の位置関係はどうなっているか。
A1−3−14.
図のように、始点Uの座標が決まるとU=0.0位置が決まります。
「杭配置」−「基礎天端」のeuは、U=0.0位置と底版中心位置の位置関係を指定します。

底版中心=U=0.0の場合は、euは0.0のままで構いませんが、一致しない場合は、Uの右側へのずれをプラスとしてeuを設定します。

※右端座標は、左端座標+Σ(各地層深さ入力間距離)です。


    
Q1−3−15. 回転杭を選択時、引抜係数βが0となる場合がある
A1−3−15.
回転杭の場合、支持層の内部摩擦角φが35度≦φ≦45度の範囲外であるとき、デフォルトではβが0として計算するものとしております。
範囲外で引抜係数βを別途に設定する場合、「計算条件」−「設計条件・引抜力」−「回転杭の引抜き係数β」より設定することができます。
 
Q1−3−16. 流動力算定に使用する受働土圧係数Kpを「内部計算」する際の計算内容はどのようになっているのか。
A1−3−16. Kpの算定式は、道示(H24.3)T2.2.6 土圧(P.45) 式2.2.7を用いております。
また、本プログラムにおけるKpを求める際のδの扱いには以下のような違いがあります。
常時,暴風時:δ=-φ/3
地震時   :δ=-φ/6

 
Q1−3−17. 地層データはどのように削除するのか。また、増やしたい場合はどうするのか。
A1−3−17. 地層データ画面で「地層線」タブの「地層線」タブに移っていただきまして、該当の層の行にフォーカスが合った状態でDeleteキーを押してください。
もしくは削除ボタンが押された状態で画面左側ずの地層図で該当の地層線をクリックしてください。
地層を増やしたい場合には、増やしたい層の真上の層にフォーカスが合った状態でキーボードのInsertキーを押してください。

 
Q1−3−18. 基礎の設計計算において、せん断抵抗角度φを計算できるが、計算書として出力する方法はあるか。
A1−3−18. 表示される結果確認画面でマウス右クリックしますと「プリンタ出力」あるいは「HTMLファイル出力」の実行ができます。

計算書としての出力は、以下の理由のため行っておりません。
せん断抵抗角φの算出は、道示W参考資料「8.標準貫入試験のN値から砂のせん断抵抗角φを推定する場合の参考式(案)」を参照し作成しておりますが、
・N値が5以下の土層に対しては参考式を適用することができないこと
・参考式があくまで「案」であること
から、適用できる土層に対しては推定値を設定しますが、最終的には設計者の方のご判断として採用していただくことを想定しております。
よって、現行では、計算書に算定値の根拠を明示することは行っておりません。ご了承ください。

  1−4.支持力・周面摩擦力 

Q1−4−1.

最大周面摩擦力度の算定に用いる係数を変更したい。
A1−4−1. 最大周面摩擦力度の算定に用いる係数は、「基準値」−「その他」−「許容支持力算定条件」画面の『最大周面摩擦力度』により変更することが可能です。
    
Q1−4−2. 道示W12.4.1 γ:極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数を変更したい。
A1−4−2. 極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数γは1.0固定としており、任意な補正係数γの入力はできません。ご了承ください。
「基準値」−「杭基礎」−「許容支持力安全率」画面において、安全率nを逆算して入力する方法も考えられますが、本入力は小数点以下の入力桁数を1桁としており、誤差が大きく、この方法を用いることができないのではないかと考えられます。
以上より、任意な補正係数γを用いて算出する場合は、「計算条件」−「入力条件」画面で『極限支持力・引抜力=直接入力』と設定し、「予備計算・結果確認」−「許容支持力」画面に別途算出された許容支持力,引抜力を直接入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。
    
Q1−4−3. 中立点は何を入力すればいいのですか?
A1−4−3. 中立点は、画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように道示Wの12.4.3負の周面摩擦力に対する検討に用いており、P.365の中立点位置を標高で入力していただくようにしております。
なお、「計算条件」−「設計条件」−「その他の条件」画面で『負の周面摩擦力=検討しない』が指定されたとき、中立点は計算に影響を与えません。(計算に用いません。)
負の周面摩擦力に対する検討が必要な場合、ご検討の設計条件に応じた値を入力してください。
    
Q1−4−4. 「計算条件」−「設計条件」−「その他の条件」画面の『群杭としての許容支持力照査』が選択できないのはなぜか?
A1−4−4. 本スイッチは、道示W12.4.4(P.369〜)を参照し対応したもので、本項の解説「杭中心間隔がある程度より密になると杭と杭間の土塊が一体となって、あたかも1基のケーソン基礎としての挙動を示すようになる」とあるように、杭および杭間の地盤の相互作用による群杭効果を考慮し、一体として挙動すると考えられる範囲をケーソン基礎とみなし、ケーソン基礎としての支持力照査を行います。
一体として挙動すると考えられる範囲を仮想ケーソンとみなして照査することから、全杭の杭径,杭長が同一で、地層傾斜がない場合に適用可能です。

そのため、地層傾斜あり及び杭径・杭長変化ありのときは選択できません。また、増し杭工法および盛りこぼし橋台時も選択できません。
    
Q1−4−5. 増し杭の許容支持力の計算で周面摩擦力が 0 になっているのはなぜか?
A1−4−5. 本プログラムの最大周面摩擦力度fは、「地層」−「土質一覧」−「土質データA」画面で設定,入力された値を計算時に用いております。
おそらく、上記画面下部の「周面摩擦力:増し杭」が『入力』となっており、周面摩擦力度が0.0(kN/m2)が設定されていないでしょうか。
こちらに該当する場合、上記の選択を該当する工法に変更するか、周面摩擦力度を直接入力してください。
    
Q1−4−6. 許容支持力の計算時に杭で置き換えられる部分の土の有効重量を考慮しない方法は?
A1−4−6. 「計算条件」−「設計条件」−「支持力・引抜力」画面の「支持力の杭の有効重量」にて設定下さい。
本スイッチは、「考慮」を
 Ra = (γ/n)・(Ru - Ws) + Ws - W
としたとき、
 「無視」  :W = 0.0,Ws>0.0
 「簡易式」:W = Ws = 0.0
とします。

ただし、W>0.0,Ws = 0.0としたいということでしたら、現行では、この考え方のスイッチは用意しておりません。
この場合、下記手順にてご対処ください。


1)「計算条件」−「入力条件」画面で「許容支持力・引抜き力=直接入力」と設定する。
2)「予備計算・結果確認」−「許容支持力」画面の[計算]ボタンにより一度算出する。
3)計算書の「予備計算」−「許容支持力・引抜力の計算」を参照し、ご検討の許容支持力を別途算出する。
4)「予備計算・結果確認」−「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力する。

これにより、入力された許容支持力を用いて安定計算が行われます。
ただし、計算書の「予備計算」は、詳細な計算過程を出力することを目的としておりますが、設計者の方が別途算出された値を入力したとしても、この入力値から逆算して計算過程を出力することはできませんので、常にプログラム内部の計算値を出力します。よって、入力値に対する出力書式とはなりません。
    
Q1−4−7. 群杭としての許容支持力照査を行うとき、入力する必要があるのはどのデータか。また、支持力係数はどこで指定するのか?
A1−4−7. 群杭の影響を考慮した常時,暴風時,レベル1地震時の支持力照査は、道示W12.4.4(P.369〜)を参照し対応したものです。

本照査を行う場合、仮想ケーソン基礎底面地盤の極限支持力度,支持力係数および群杭としての周面摩擦力度の算出用として、
・「地層」−「土質一覧」−「土質データA」画面
 せん断抵抗力度τ
・「地層」−「土質一覧」−「土質データB」画面の『底面地盤の土質データ』
 基礎底面地盤の単位重量γ
 基礎底面地盤の粘着力c
 基礎底面地盤のせん断抵抗角φ
の入力が必要となります。上記の入力の他は、通常の安定計算の検討に用いる入力を用います。

なお、支持力係数はプログラム内部で自動算出しておりますが、計算実行後、「計算・結果確認」−「安定計算」−「群杭」画面下部のスイッチをチェックすることにより、任意の係数を直接指定することも可能です。
    
Q1−4−8. 群杭としての許容支持力照査の結果はどこで確認することができるのか。
A1−4−8. 群杭としての許容支持力照査を「検討する」とした場合、安定計算とは別に群杭としての照査を行い、計算書の「安定計算」−「群杭としての軸方向押込み力に対する検討」に検討結果を出力しております。

なお、お問合せが、常時,暴風時及びレベル1地震時の安定計算に用いる許容支持力として、群杭としての許容支持力を用いるべきとお考えでしたら、申し訳ございませんが、お考えの照査は行っておりません。

道示W12.3(P.352)では、「杭の軸方向支持力,水平地盤反力係数等を単杭の場合より低減して考える必要があるが・・・(中略)・・・この場合には群杭の影響について、12.4.4の規定により十分に検討する必要がある。」と記載されております。
群杭の影響について、別途十分に検討する必要があると記載されておりますが、12.4.1,12.4.2に示される許容支持力を低減して考えなければならないとの記述はなく、よって、本プログラムでは、群杭としての許容支持力照査は安定計算とは切り離して照査しております。

なお、本プログラムでは、「計算条件」−「入力条件」画面で「許容支持力・引抜き力=直接入力」と設定することにより、「予備計算・結果確認」−「許容支持力」画面にて許容支持力を直接入力することができます。
おそれいりますが、最終的には設計者の方がお考えの許容支持力を直接入力しご検討くださいますようお願いいたします。
    
Q1−4−9. 郡杭とした場合、仮想ケーソンとして照査しますが、根入れ(DF)を指定することはできますか?
A1−4−9. ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「許容支持力と許容引抜力」の『(6)群杭としての許容支持力照査』に記載しておりますように、基礎の有効根入れ深さは、「地層」画面で入力された『地盤面(常時)』から杭先端までの深さとしており、任意の長さを入力することはできません。

    
Q1−4−10. 杭の許容支持力算出のためのW(杭及び杭内部の土の有効重量)を算出したいが、杭重量しか算出されない
杭内部の土の有効重量は含まれないのか?
A1−4−10. 許容支持力算出における杭および杭内部の土砂の有効重量W(kN)は、『土砂の有効重量』の計算方法が明確にされておりませんので『杭自重』のみを求めております。

参考に、ヘルプの「概要」−「プログラムの機能概要」−「適用基準および参考文献」に記載している『杭・ケーソン・鋼管矢板および地中連続壁基礎の設計計算例(2000年2月)山海堂』に鋼管杭とPHC杭の設計例が記述されていますが、鋼管杭ではWは考慮せず、PHC杭ではWは杭自重として算出しています。
    
Q1−4−11. 「計算・結果確認」画面の「総括表」および「安定計算」において、許容支持力Ra,許容引抜力Paが「──」となり計算値が表示されない
A1−4−11. 本プログラムは、Ver.7.02.00において、「作用力」−「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」の設定により、荷重ケースごとに基礎の安定性の照査を行うか否かを指定できるよう拡張いたしました。
上記画面において、「安定照査をする」にチェックがない場合、安定照査は行っておらず、安定照査を行わないケースのRa,Pa,δaには『──』を表示しています。
安定照査を行う場合は、上記画面にて設定下さい。
    
Q1−4−12. 摩擦杭、としても支持杭の安全率で計算されている
A1−4−12. 「計算条件」−「設計条件」−「支持力・引抜力」画面の『摩擦杭で根入れ長が杭径の25倍(杭径1m以上は25m)以上あるとき、支持杭の安全率を用いる』が チェックされている場合、道示W12.4.1(P.354)の「3)支持杭と同一の安全率を適用できる摩擦杭の条件」の「A杭の根入れ長が杭径の25倍 (杭径1m以上の杭については25m)程度以上あること」より、支持杭の安全率を用いて算出いたします。

こちらにチェックされていないかご確認をお願いします。
    
Q1−4−13. 杭の許容支持力の計算で、γ:極限支持力推定法による安全率の補正係数を変更したい
A1−4−13. 「基準値」−「杭基礎」−「許容支持力安全率」画面において、『安全率の補正係数γ』を変更していただきますようお願いいたします。

なお、本機能は、「杭基礎の設計 Ver.7.05.00」で対応したため、それ以前のバージョンではγ=1.0固定としており、変更することはできません。
よって、γ=1.0以外で設計したい場合は、 最新版をご利用くださいますようお願いいたします。
    
Q1−4−14. 杭の軸方向許容押込み支持力,許容引抜き支持力の算出において、周面摩擦力を無視する方法は?
A1−4−14. 本プログラムでは、任意の層(あるいは全層)の周面摩擦力を無視した計算を行う機能は用意しておりません。よって、周面摩擦力を無視するスイッチ等は用意しておりません。
ただし、許容支持力の算出に用いる周面摩擦力は、「地層」−「土質一覧」−「土質データA」の「f」の欄にて直接入力することができます。よって、本画面で周面摩擦力を考慮しない層の「f」の欄を0とすることにより、周面摩擦力を無視した検討が可能です。(※「f」を入力する場合、表の下部の「周面摩擦力」の選択を「入力」としてください。)
許容支持力の計算過程につきましては、計算書の「予備計算」−「許容支持力・引抜力の計算」に詳しく出力しています。上記の設定を行った場合、周面摩擦力が想定した状態となっているか、必ずご確認ください。

なお、ご検討のケースが突出杭(設計地盤面が杭頭より下に位置する)であり、杭頭から設計地盤面の範囲の周面摩擦力を考慮したくないということであれば、「計算条件」−「設計条件」−「支持力・引抜力」画面の「設計地盤面より上の周面摩擦力」を「無視」としてください。これにより、設計地盤面より上の周面摩擦力を無視した計算が行われます。詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]より開く説明をご参照ください。
    
Q1−4−15. 道示W12.4.4(P.372)の群杭の補正係数μを考慮したい
A1−4−15. 群杭の補正係数μは、「計算条件」−「設計条件」−「k値・Kv値」画面に入力を設けております。
本画面にて方向ごとの補正係数を入力してください。
    
Q1−4−16. SL杭を選択したとき、常時,レベル1地震時の許容支持力を低減していないのはなぜか。
A1−4−16. 本プログラムのSL杭の検討は、杭基礎設計便覧(H19.1)(P.430)「8.SL杭の設計計算例」を参照し作成したものです。
本文献では、「SL杭は、杭に作用する負の周面摩擦力を低減するために、杭表面にすべり層材料を塗布したものである。」のように、ネガティブフリクション対策杭を対象としています。
また、
・圧密沈下のように荷重の作用が遅い動きに対しては粘性体となり、せん断抵抗が小さくなって、負の周面摩擦力の低減が可能となる。
・荷重が瞬間的に作用する場合には弾性体となり、大きなせん断抵抗が働く。
のように、圧密沈下のように除々に作用する荷重に対してのみ周面摩擦力を減じることができる杭とあります。
本プログラムでは、上記の考え方を参照し、通常の地震時等の照査では、施工工法に応じた支持力を発揮するものと考えています。

ただし、この考え方は杭基礎設計便覧によるものです。
メーカ様の仕様によっては、常時や地震時において、通常の周面摩擦抵抗を期待できない可能性もあります。
よって、ご使用のパイルメーカ様の仕様をご確認いただき、常時や地震時においても周面摩擦力を低減する必要があるのであれば、「計算条件」−「入力条件」画面で「許容支持力・引抜力=直接入力」とした上で、「予備計算・結果確認」−「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力してご検討ください。
    
Q1−4−17. 地層−土質一覧−土質データで「最大周面摩擦力推定方法:粘着力C」としているが、土質データAのf、fnはN値から推定されている
A1−4−17. 砂質土を入力されていると思われます。
道示W(P.362)表-解12.4.5より、粘着力による最大周面摩擦力度の推定は粘性土層に対するものと解釈し、砂質土については、本スイッチの選択にかかわらずN値から推定しております。
入力画面上のヘルプもあわせてご覧下さい。

砂質土層であっても粘着力から推定できるとお考えの場合、「土質一覧」−「土質データA」画面下部の『周面摩擦力』を『入力』と選択し、最大周面摩擦力度を直接入力下さい。
    
Q1−4−18. 直接基礎の極限支持力の計算で、設計条件−検討項目で設計要領「H12年」と「H18年」の計算内容の違いは
A1−4−18.
直接基礎の鉛直支持力照査における、地盤の極限支持力度,及び基礎の寸法効果に対する補正係数は、道示W(H14.3),設計要領第二集(H18.4)でその表現が異なり、それぞれ以下のようになります。

1)道示Wにおける地盤の極限支持力度
 Qd=α・κ・C・Nc・Sc+1/2・γ1・β・Be・Nγ・Sγ+κ・q・Nq・Sq
 ここに、
  Sc,Sq,Sr:支持力係数の寸法効果に関する補正係数
   Sc=(c*)^λ
   Sq=(q*)^ν
   Sr=(B*)^μ
   λ=ν=μ=−1/3
2)設計要領第二集における地盤の極限支持力度
 qd=α・κ・C・Nc・(C*)^λ+1/2・β・γ・Be・Nr・(B*)^μ+κ・q・Nq・(q*)^ν 
 
ここに、
  λ,μ,ν:基礎の寸法効果に対する補正係数(=−1/3)
しかしながら、上記にてお分かりの通り、表現上の相違だけで両者の算式は一致しております。よって、計算内容に違いはございません。

また、「道路橋示方書」と「設計要領」を選択した場合の入力内容の変化に関しましては、各入力画面より開くヘルプに、それぞれが選択された場合に関する説明を記載しておりますので、そちらをご参照ください。(該当箇所は赤文字でそれぞれのタイトルが付けられております)
    
Q1−4−19. レベル1で液状化しないのに、「予備計算」−「許容支持力・引抜力の計算」に液状化考慮の場合の計算結果が出力されるのはなぜか
A1−4−19.
本出力箇所において「液状化有」の場合の結果が出力されるのは、以下の条件がそろっている場合となります。
 @「地層」−「低減係数」画面において、「DE レベル1」にDE < 1.000となる層が1層でも存在している場合。(液状化の判定を内部で行う場合も、DEを直接入力される場合も同様です)
 A「計算条件」−「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」で『考慮』がチェックされている場合。

恐らく基礎天端より上、または杭先端以降の層(基礎天端から杭先端までの間の層以外)にDE<1.000となる層が存在しているのではないかと思われます。
このような場合、基礎天端から杭先端までの間に液状化の影響を考慮すべき層が存在していないため、「許容支持力の算出値に液状化の影響は及ばないが、液状化する地層自体は存在している」という状態になり、上記の条件に該当するため液状化有の結果も出力されます。

本件につきましては、「計算条件」−「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」の『考慮』のチェックを外す、もしくは、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DE レベル1」を1.000とご入
力いただくことでご対処いただきますようお願いいたします。

※基礎天端から杭先端が存在する層に対して、液状化の判定をプログラム側で行い内部計算されたDEを使用したい場合は、以下の手順でご入力ください。
 @「地層」−「計算条件」画面で、「液状化の判定を行う」をチェックし、『低減係数DE=内部計算』とする。
 A同画面の「低減係数」タブを開き、基礎天端から杭先端が存在する層の「DEレベル1」が適切にセットされているか確認する。
 B再度「計算条件」タブに戻り、『低減係数DE=入力値』に変更する。(Aでセットされていた値は保持されています)
 C「低減係数」タブにおいて、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DEレベル1」を1.000とする。


    
Q1−4−20. 道路橋示方書には、群杭として照査する場合の2つの方法の記述があり、「仮想ケーソンとして算定」はできますが、「円形で照査」はできませんが、理由はなんですか
A1−4−20.
道路橋示方書には、ご指摘の2つの方法を記述し、「いずれかの方法で照査を行う」ものとなっており、両方を行う必要はないものと解釈し、「仮想ケーソンとして算定」する方法を採用しております。
    
Q1−4−21. N値=4 砂礫層 の条件下で、最大周面摩擦力度fi=0 となりますが根拠の出典を、お教え下さい
A1−4−21.
道路橋示方書W(H24.3) (P.140)で、N値が5未満となる軟弱層においては「標準貫入試験の結果からせん断強度を推定するのは適当でない」との記載があります。そのような場合は粘着力から推定することができます(スイッチで選択)。
本記述は粘性土の場合ですが、砂質土の場合は常にN値から推定しているため、粘性土の粘着力のような代わりの指標となるものがないため、N値が5未満の場合には最大周面摩擦力を0として設定しております。

0でない値で用いる場合には「周面摩擦力」でコンボボックスよ り「入力」を選択し直接値を設定して頂くことでご対応ください。

    
Q1−4−22. 鋼管杭で支持層部の周面摩擦力度が0になる場合があるがなぜか
A1−4−22.
鋼管杭で打ち込み杭の場合で、支持層が「軟岩・土丹」の場合は、道路橋示方書W下部構造編(P.625)「10.軟岩・土丹を支持層とする打ち込み鋼管杭の軸方向押込み支持力の推定方法(案)」により支持力算定を行います。
この場合、支持層の周面摩擦力は考慮しません。
本ケースはこれに該当するため、支持層内の周面摩擦力を考慮しない値で計算しています。

「軟岩・土丹」と判断されるケースは、以下の場合となります。
1)[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]-[極限支持力度の算出方法]を「計算」
2)杭種が「鋼管杭」
3)施工工法が「打込み」
4)[地層]-[土質一覧]-[土質データB]のquを設定する場合
上記に付きましてはヘルプの[基礎の設計計算]-[操作方法]-[メニューの操作]-[入力]-[杭基礎]-[計算条件]-[極限支持力度の算出方法]に記載されておりますので併せてご参照ください。
通常(支持層が「軟岩・土丹」ではない場合)の支持力の算定方法で極限支持力度を算定する場合は、以下のいずれかに依ってください。
1)[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]-[極限支持力度の算出方法]を「入力(地層データ)」とし、[地層]-[土質一覧]-[土質データB]のqdを直接入力する。
2)[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]-[極限支持力度の算出方法]を「計算」とし、[杭配置]-[腐食代・その他]の「極限支持力度qd算出用(打込み杭)換算根入れ比」と「設計N値」を設定する(※[地層データ]-[N値]の「N値測定点を入力する」場合は自動設定できます)。


 
Q1−4−23. レベル2地震時の照査に用いる支持力の上限値について直接入力は可能か。
A1−4−23. [計算条件]−[入力条件]で、レベル2地震時の「押込み/引抜支持力の上限値」を「直接入力」に設定します。
その後、[レベル2地震時照査]−[杭本体]−[その他]で、支持力上限値の表より変更可能です。

 
Q1−4−24. 算出の際、支持層への換算根入れが「0.00」になるのはなぜか。
A1−4−24. [杭配置]-[根入れ比・変位量]画面の「極限支持力度qd算出用(打込み杭)」−「換算根入れ比」の値をご確認ください。

同画面から開きますヘルプにも記載しておりますが、以下の場合、杭先端の極限支持力度qd算出に用いるデータはこちらで入力します。
(N値についてもこちらで入力してください。)
・[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]画面の「極限支持力度の算出方法」が『計算』
・杭種:鋼管杭, RC杭, PHC杭, PC杭, SC杭, SC+PHC杭,H形鋼杭
・施工工法:打込み杭(打撃/バイブロハンマ), 中掘り杭(最終打撃)

  1−5.地盤反力係数、杭軸方向のバネ定数 

Q1−5−1.

任意の杭のバネ値を低減させて計算する方法はあるのか。
A1−5−1. 水平方向地盤反力係数は、「計算条件」−「入力条件」画面で「直接入力」としているとき、
@常時,レベル1地震時
 「予備計算・結果確認」−「k値」画面
Aレベル2地震時
 「地盤データ」−「水平方向地盤反力係数」画面
にて入力することが可能です。

ただし、本プログラムでは、杭の条件(杭径、厚さ、杭長、斜角、先端バネ、地層、断面2次モーメント)が等しい杭を同一タイプとし、各杭をタイプ分けして杭タイプ番号を割り振り、この杭タイプごとにバネ値の設定を可能としています。
よって、バネ値を変更したい杭を別タイプと判断されるよう設定することにより、この杭に対する修正を行うことが可能となります。
具体的には、次のように設定します。
1)「杭配置」−「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』と設定します。
2)変更したい杭の杭長を僅かに(0.01(m)程度)変更します。
3)上記@,Aの画面にてバネ値を設定します。

    
Q1−5−2. 群杭による低減係数を指定することはできるか。
A1−5−2. 本プログラムでは、道示W 12.4.4(2)(P.372)に示される、群杭効果による水平方向地盤反力係数の低減を考慮した安定計算に対応できるよう、「計算条件」−「設計条件」−「k値・Kv値」画面に『k値の補正係数μ』の入力を設けており、入力された補正係数μを水平方向地盤反力係数に直接乗じて安定計算を行います。
ただし、杭中心間隔L,杭径Dからμを求めることはできません。別途算出された方向ごとの補正係数μを直接入力してください。

    
Q1−5−3. 鋼管杭でKvを計算する際、鋼管肉厚が変化している場合、杭の断面積は杭頭(杭体第1断面)の断面積を使用してもよいか
A1−5−3. 杭軸方向バネ定数Kvの算出に用いる杭の断面積は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「杭バネ定数の計算」−「(2)杭軸方向バネ定数」に記載しておりますように、常に杭頭(杭体第1断面)を用いて算出しております。
これは、次の理由によります。

道示W12.6.1(P.374)に、「打込み杭等のApは杭頭(上杭)の純断面積を採用している。」と記載されています。
また、「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」の設計例でも、鋼管杭で中掘り杭工法(セメントミルク噴出攪拌方式)のKv算出において、
 Ap:杭頭(上杭)の純断面積(腐食しろ考慮)
と記載されています。

上杭以外の断面積を用いて安定計算したい場合は、別途算出された杭軸方向バネ定数Kvを、「予備計算・結果確認」−「Kv値」画面に直接入力していただきますようお願いいたします。
    
Q1−5−4. STマイクロパイルで、突出長が存在する場合、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは地中部の杭長で計算しているのはなぜか
A1−5−4. STマイクロパイルの対応時に参照した「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書(その3) STマイクロパイル工法(6冊分の3) 平成14年9月」において、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは、「鋼管の根入れ長で、フーチング下面から鋼管先端までの長さ(m)」と記載されております。
よって、本プログラムでは、根入れ長は地中部と判断し、地中部の杭長で計算しております。

 
Q1−5−5. 地層傾斜を考慮して、斜面の傾斜の影響を考慮したい場合、手入力等で地盤ばねの変更は出来るか。
A1−5−5. 可能です。

▼レベル1地震時
@[計算条件]-[入力条件]画面の「水平方向地盤反力係数k」の値を「直接入力」にします。
A[予備計算・結果確認]-[k値]画面で入力してください。
※斜面の傾斜を考慮した地盤ばねの低減を行うとき、ここで入力,設定された斜面部のk値を用いて低減します。

▼レベル2地震時
@[計算条件]-[入力条件]画面の「地盤データ」の値を「直接入力」にします。
A[レベル2地震時照査]-[地盤データ]画面の「水平地盤反力係数」について入力してください。

  1−6.杭配置・作用力 

Q1−6−1.

「杭縁端距離に誤りが有ります」という警告で「強行」しても問題ないか?
A1−6−1. 杭縁端距離のデータチェックは、杭径・杭長変化あり/なしで下記のように異なります。

■杭径・杭長変化なし、且つ、地層傾斜なし
 「杭配置」−「寸法」画面で入力された『杭縁端距離』を用いてチェックを行っております。

■杭径・杭長変化あり、または、地層傾斜あり
 全杭同一の杭径にならないケースがありますので、杭径・杭長変化なしのように『杭縁端距離』ではチェックせず、杭頭座標を用い道示W図-解12.3.1(P.352)より杭1本ごとにチェックを行っております。
 上記道示には場所打ち杭の縁端距離は1.0Dと記載されておりますが、お送りいただいたデータの場合、1.0D=1.2(m)に対して杭縁端距離=0.85(m)(=底版幅/2−最外縁杭座標)となりますので、お問合せのメッセージを表示しております。

なお、本プログラムの杭基礎の計算は、道示W12.7(P.378〜)に記述されている変位法により照査しており、杭1本ごとに着目し、各杭の中心軸にてモデル化し計算しております。
杭ごとの相互作用は考慮しておらず、たとえ杭が重なっていたとしても計算することが可能ですが、十分な杭中心間隔を有しないケースにおける計算結果の適用の是非につきましては、設計者の方のご判断により決定していただくようにしており、「杭配置」画面にて警告のみ表示し、[強行]により計算可能としております。
    
Q1−6−2. 盛りこぼし橋台において、盛土のN値の入力がないが、どのように取り扱っているのか?
A1−6−2. 盛りこぼし橋台の設計において、盛土部のN値は、地盤の変形係数Ekより自動設定しています。このため、任意の値を入力することはできません。
これは、「設計要領第二集 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」(P4-52)の記述、「良質な材料で十分な締固め施工を行うことを前提に、N≒15程度の地盤が造成されることを想定して、・・・Ek≒700N≒10000(kN/m2)程度としてよい。」を参照し、盛土部の土質データの入力を、N値ではなく地盤の変形係数Ekの入力とし、
 N=Ek/700
として算出した値を用いていることによります。ご了承ください。
    
Q1−6−3. 「橋台の設計」と連動して増し杭工法による補強設計を行うとき、「橋台の設計」側の計算書の「安定計算」−「作用力の集計」−「(2)フーチング中心での作用力の集計」で出力している作用力の値と、「基礎の設計計算,杭基礎の設計」側に連動されている作用力の値が異なるのはなぜか。
A1−6−3. 「基礎の設計計算,杭基礎の設計」では、増し杭工法時のとき、既設底版下面中心を杭頭座標の原点位置(X=0.000,Y=0.000)としており、この位置における作用力を集計し、この位置における結果(原点変位)を算出しております。
これに対し、「橋台の設計」で出力している作用力は、増設後の底版下面中心における作用力となります。
作用力の集計位置が異なることから、両者の作用力には相違が生じており、具体的には、鉛直力によるモーメント(=偏心量×鉛直力)分の相違が生じます。
    
Q1−6−4. プレロードを行うケースと行わないケースで結果がほとんど同じである
A1−6−4. プレロードを行う/行わないは、地盤変位荷重載荷時のみに影響します。
地盤変位荷重載荷時は、
・プレロードを行う場合:地盤変位による水平荷重を考慮
・プレロードを行わない場合:地盤変位による水平荷重と施工時地盤変位による水平荷重の1/2を考慮
となります。

なお、施工時地盤変位による水平荷重が小さい場合、プレロードを行う/行わないの結果は近い値になる場合があります。
また、両者の杭体が塑性化した場合、「計算・結果確認」−「レベル2地震時計算」−「一覧表」画面で表示される曲げモーメントは殆ど同じ値になります。
    
Q1−6−5. 「地層最深≦設計杭長になっています。」という警告にはどのように対処したらよいか。
A1−6−5. 本警告は、杭先端が入力された地層データの最下端より深くなっている場合に表示されます。
以下の手順により、正しくデータが設定されているかご確認ください。

1)「地層」−「地層線」画面を開き、画面下部の「入力方法」を『標高入力』にします。
2)最下層の標高を確認します。
3)「杭配置」−「基礎天端」画面の『基礎天端標高』を確認します。
4)3)の『基礎天端標高』と「杭配置」−「データ」画面の『設計杭長』から杭先端の標高を算出します。
5)上記2)の最下層の標高と、4)の杭先端標高を比較し、杭先端が層下端以深となっていないか確認し、層下端以深となっているのであればデータの修正を行います。

なお、地層傾斜を考慮する場合、または杭長の異なる杭が混在している場合、それぞれの杭について確認する必要があります。
    
Q1−6−6. 「杭配置」画面の「充填範囲」とは何か。
A1−6−6. 充填範囲とは、既製杭(PHC杭,PC杭,RC杭)において、道示W図−解12.9.9に示される杭内部に充填されるコンクリートの範囲を示しています。通常、2.5D(D:杭外径)以上の範囲に充填されます。
な お、本入力は、杭体のM−φ関係の算出に反映させており、道示W(P.410)に記載されておりますように、中詰めコンクリート充填部においては道示X耐 震設計編10.4、一般部(杭の内部にコンクリートが充填されていない区間)においては道示Vコンクリート橋編4.2.4を適用しています。
    
Q1−6−7. 場所打ち杭の時、「杭配置」画面の『断面の変化』と「断面計算」−「使用鉄筋」画面」の『断面数』の入力があるが、どちらの入力が適用されるのか
A1−6−7. 「杭配置」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、場所打ち杭のときは、「杭配置」画面の『断面の変化』スイッチは無効となり、「断面計算」画面の断面数が有効となります。
ただし、全杭同一条件以外(地層傾斜あり,杭径・杭長変化あり,斜杭あり)の場合、且つ、「計算条件」−「設計条件」−「応力度照査」画面で『地層傾斜,杭径・杭長変化,斜杭あり時の杭体応力度計算方法=杭および断面を指定して計算』のときは、「杭配置」画面で設定した『断面の変化』が有効となります。
    
Q1−6−8. 斜杭の杭長は、斜角を考慮した長さを入力するのか。斜角を考慮した実杭長が既知のときはどのように入力するのか。
A1−6−8. 本プログラムの杭長の入力は、斜杭であっても、斜角を考慮しない鉛直方向での杭長を設定していただく仕様としており、安定計算,杭体断面力の算出時、斜角を考慮した杭長をプログラム内部で算出しています。杭長の入力は斜角によらず一定となることから、斜角を変更しても杭長を修正する必要はありません。
ただし、場合によっては、斜角を考慮した実杭長が既知の場合もあると考えられます。しかしながら、本プログラムでは、このようなケースを想定しておりません。よって、このような場合、鉛直方向での杭長を逆算(=実杭長/cosθ)して求め、この長さを入力してください。
    
Q1−6−9. H形鋼杭の腐食代を考慮した計算は可能か。
A1−6−9. 本プログラムのH形鋼杭は、「基準値」−「杭基礎」−「杭体データ」−「H形鋼杭」画面に日本工業規格の『JIS A 5526』の諸元を初期設定しており、初期状態においては、本諸元を用いるようにしています。この場合、錆代を考慮しない断面諸量が適用されます。
ただし、本プログラムでは、「杭配置」−「錆代・変位量」画面の「断面諸量を計算する」をチェックすることにより、プログラム内部にて断面諸量を算出することが可能です。この場合、錆代を設定すると、これを考慮した断面諸量が算出され、これを用いた照査が行われます。
錆代を考慮した断面諸量の算出方法については、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「H形鋼杭の断面諸量」を参照して下さい。
    
Q1−6−10. 「杭配置」−「杭 データ」の『せん断KS』、『回転KR』にはどのような値を入力したらよいか
A1−6−10. 杭先端せん断バネ定数ks,回転バネ定数krは、「計算条件」画面で「杭先端条件=バネ」と指 定された場合に入力可能となります。
ここで入力されたバネ定数は、杭軸直角方向バネ定数K1〜K4の算出に使用されます。

本プログラムでは、杭軸直角方向バネ定数K1〜K4算出時、杭先端条件を次のように取り扱って おります。
・固定
 水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
 水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
 水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
 杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
 せん断力=せん断バネ×水平変位
 曲げモーメント=回転バネ×回転変位
 (※このせん断バネ,回転バネが、お問合せのKS,KRとなります)

詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」
 (1)杭体の断面力と変位の関係式
 (2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
    
Q1−6−11. 同じ列の各々の杭に異なる斜角を持たせることはできるか。
A1−6−11.
本プログラムでは、「杭配置」−「基本条件」画面で『斜杭=あり』としたとき、同画面の「斜角」ページにて斜角を設定しますが、このときの斜杭の入力方法は、地層傾斜の有無,杭径・杭長変化の有無により異なり、それぞれ次のようになります。
 
@地層傾斜,杭長・杭径の変化がいずれもない場合
各杭列ごとに斜角を設定します。よって、同列内に異なる角度を設定することはできません。
 
A地層傾斜あり,または杭長・杭径の変化がある場合
杭1本ごとに斜角を入力します。よって、全杭に対し異なる角度を設定することができます。

    
Q1−6−12. 盛りこぼし橋台で「レベル2地震時の地盤抵抗の考え方」の地盤抵抗の非線形性の盛土部のスイッチを変更したが照査結果が変わらない
A1−6−12.
盛土部が塑性化しない(地盤反力度が上限値に達しない)場合は、スイッチによる影響は生じません。
    
Q1−6−13. H形鋼杭の材質はSHK400,SKH490しか使用できないのか
A1−6−13.
対応材質はSHK400,SKH490のみとなります。他の材質を使用したい場合は、「許容値」画面におきまして許容値を変更していただくことでご対応ください。但し、名称等の変更はできません。
    
Q1−6−14. 作用力入力における「既設死荷重時」の荷重ケースは削除できるか
A1−6−14.
増し杭工法選択時は固定設定となっているため削除はできません。
    
Q1−6−15. 増し杭底版で杭配置の設定が有効化されない。「杭配置」−「増し杭」−「杭配置」で杭を有効・無効とする設定が確定されていないのはなぜか。
A1−6−15.
無効とする杭の設定が反映されていない原因として、「杭配置」−「杭配置」−「整形配置」側で適用ボタンを押していないことが考えられます。その場合は「移動」タブで設定を終えた後、「整形配置」タブで適用ボタンを押して頂く必要がございます。
  1−7.突出部の水平荷重

 −

  1−8.底面前面水平抵抗

Q1−8−1.

底版前面水平抵抗を考慮した常時,レベル1地震時の安定計算において、底版前面の受働土圧強度は計算にどのように反映しているのか。
A1−8−1. 本プログラムの底版前面水平抵抗を考慮した計算は、道示W12.8(P.382〜)を参照し作成しています。
具体的には、「杭配置」−「水平抵抗」画面で入力された層厚,常時/地震時ごとのバネ値を用いて、道示W(P.383)(解12.8.3)より、底版前面のバネによる剛性行列を算出し、道示W12.7(P.380)(解12.7.2)の杭基礎の剛性行列に加味して杭基礎の計算を行います。(※実際には、kH が一定あるいは台形分布であっても適用できるよう道示の算式を拡張しています。)

ここで、道示W(P.383)では、根入れ部の地盤反力度(=水平変位×水平方向地盤反力係数)が抵抗受働土圧強度を超えないことを確認するように記述されています。
このため、本プログラムでは、受働土圧強度を入力していただき、計算書の「安定計算」−「底版前面水平抵抗」の「判定結果」において、塑性域が生じたか否か(根入れ部の地盤反力度が受働土圧強度に達したか否か)を出力しています。
具体的には、塑性域が生じていなければ「全弾性」,部分的に塑性域が生じた場合は「弾塑性」,底版前面の全範囲が塑性化した場合は「全塑性」と出力しています。

なお、塑性域が生じた場合(「弾塑性」,「全塑性」となる場合)、本プログラムでは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」の「(4)フーチングの前面水平抵抗力」に記載しておりますように、弾塑性を考慮した計算を行っています。
具体的には、繰り返し計算により弾塑性の境界点を求め、弾性域は(解12.8.3)による剛性行列の補正を、塑性域は(解12.8.3)を適用することができないことから抵抗受働土圧による底版下面の水平力,モーメント(作用力の補正値)を算出し、これを基礎に作用する荷重に加味して計算しています。
ただし、前述の通り、道示では、根入れ部の地盤反力度が抵抗受働土圧強度を超えないよう記述されています。
上記の弾塑性解析結果を採用するか否かは、設計者ご判断としてください。

 
Q1−8−2. 底版前面水平抵抗のP1、P2の入力はどのように入力するのか。
A1−8−2. 受働土圧強度P1、P2については設計者様の手入力により設定して頂く項目となります。
前面地盤抵抗の上限値の算定に用いる受働土圧係数に付きましては、道路橋示方書では明記されておりませんが、「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)」(通称 青本)では、レベル2地震時に用いる前面地盤抵抗についてですが、「ケーソン基礎に準じて」と記述されておりますことから、道路橋示方書W下部構造編(平成24年3月)(P.339)の受働土圧係数の算定式(解11.5.10)を用いるのが適当と考えられます。
 (解11.5.10)は、常時と地震時の受働土圧係数の算定式となっております。


  1−9.安定計算(杭反力・変位) 

Q1−9−1.

底版形状は常に入力する必要があるか?
A1−9−1. 本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化して照査しており、底版形状は計算に影響を与えません。
底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面の『作用力計算』ボタンによる底版下面中心における鉛直力の算出
・「底版前面水平抵抗」画面の[データ連動]
に用いており、これらの照査を行わない場合、入力の必要はありません。

なお、上記計算のする/しないは、「計算条件」−「基本条件」画面で選択してください。
    
Q1−9−2. 温度変化時に対して、安定計算を行わず部材照査のみを行いたい。
A1−9−2. 本プログラムでは、Ver.7.02.00において、「作用力」−「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」を設定することにより、荷重ケースごとに基礎の安定性の照査を行うか否かを指定できるよう拡張しております。
本機能は、道示W3.2(P.140)の「温度変化時の影響によって基礎は不安定にならないと考えられることから、基礎本体部材の安全性の照査のみ行えばよい場合が多い。」の記述を参照し対応したもので、上記の「安定照査をする」のチェックを外した場合、基礎の水平変位や鉛直反力等は算出されますが、制限値(許容支持力や許容変位)に対する判定は行わず、また出力もされません。
    
Q1−9−3 杭径や杭長の異なる杭が混在しているとき、常時,レベル1地震時の安定照査は、どの杭に着目して行っているのか。
A1−9−3. 全杭同一条件(全杭の杭径・杭長が同一で水平地盤)であれば、全杭の設計地盤面変位は同値となり、また、押込み側の最前列の杭鉛直反力が最大,引抜き側の最後列が最小となるため、この杭に着目して安定照査(支持力照査)を行えばよいことになりますが、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件のとき、許容値に対してどの杭が厳しくなるか一概に判断することはできません。
したがって、本プログラムでは、杭1本ごとに水平変位,杭頭反力を算出し、算出された水平変位,杭頭反力に対し、
・|PNmax/Ra|
・|PNmin/Pa|
・|δ/δa|
ここに、
 PNmax:最大杭鉛直反力(kN)
 Ra   :許容支持力(kN)
 PNmin :最小杭鉛直反力(kN)
 Pa   :許容引抜力(kN)
 δfx  :設計地盤面における水平変位(mm)
 δa   :許容変位量(mm)
のように、許容値に対する比(許容比)を算出し、全杭の中から最大許容比となる杭の結果を出力しています。

計算書の「基礎杭計算結果一覧表」あるいは「結果一覧の出力」−「安定計算・杭体応力度」の出力結果がこれに該当します。また、設計調書の出力も同様です。
これに対し、計算書の「安定計算」−「杭反力および変位の計算」では、杭ごとの結果を出力(ただし同結果となる杭は代表となる杭のみ出力)しており、抽出前の各杭の結果を確認することができるようにしています。

なお、上記の抽出方法は、「計算条件」−「設計条件」−「その他の条件」画面の『抽出方法』の選択により、
・計算値と許容値の比(計算値/許容応力度)
・計算値と許容値の差(計算値−許容応力度)
から選択することができるようにしています。
    
Q1−9−4. 杭頭条件を「剛結・ヒンジ」と指定しても安定計算結果には剛結時のみが出力されている。杭頭ヒンジの安定計算結果は出力しないのか。
A1−9−4. 常時,暴風時及びレベル1地震時の杭基礎の安定照査(安定計算)は、道示W12.1(P.348)のとおり、
 1)杭の軸方向反力が許容支持力以下であること
 2)設計地盤面変位が許容変位以下であること
を照査しておりますが、本照査は、同解説「・・・杭の頭部をフーチングと剛結合する杭基礎を対象とする。」のとおり、杭頭剛結を対象としています。

道示W12.9(P.388)において、「杭頭剛結合であっても、杭頭ヒンジ結合と仮定した場合の曲げモーメントと比較して、その大きい方で設計するものとする。」と記載されており、杭頭ヒンジと仮定した場合の照査も行うよう記載さ れていますが、本プログラムでは、本解説は杭体断面照査を目的としたもので、上記の安定計算は対象外であると判断しています。

よって、安定計算の結果出力を行うことを目的とした計算書の「安定計算」には、剛結時の結果のみを出力しています。

ただし、計算書の[プレビュー]ボタンのある「出力項目の設定/選択」画面にお いて、『杭頭ヒンジの出力=する』と選択しプレビューすることにより、杭頭ヒンジ時の結果出力(水平変位および杭頭反力等)も行っており、杭体断面照査に用いる断面力の算出根拠として確認できるようにしています。
    
Q1−9−5. 作用力自動計算において、底版の慣性力が考慮されない
A1−9−5. 作用力入力画面上の[ヘルプ]の『■柱下端作用力』に記載しておりますように、「柱下端作用力」タブの『慣性力』欄に、慣性力の有無および向きを入力していただくようにしております。
地震時ケースに対して、慣性力=1(正方向)または2(負方向)を設定して下さい。
    
Q1−9−6. 結果一覧の安定計算,部材計算の出力では、どのような方法により複数の荷重ケースから出力ケースを決定しているのか。
A1−9−6.
結果一覧の安定計算,部材計算の出力は、それぞれの出力項目ごとに、許容値に対する計算値が最も厳しくなる荷重ケースを1つ抽出し、この荷重ケースの結果を出力しています。
例えば、安定計算においては、全荷重ケースについて、
(1)変位/許容変位量
(2)最大反力/許容支持力
(3)最小反力/許容引抜力
を求め、これらの許容比が最大となる荷重ケースを判定し、この荷重ケースの変位,最大反力,最小反力等を出力します。
変位,最大反力,最小反力ごとに最も厳しくなる値を抽出しているわけではないため、現行では、変位,最大反力,最小反力それぞれが最も厳しい値とはならないこともあります。
杭体応力度やその他の部材計算結果についても同様です。
    
Q1−9−7. 杭を1本抜いた場合、2.5次元解析では杭頭の鉛直反力と水平反力はどのように算出されるのか。
A1−9−7.
杭頭鉛直反力は、道示W12.7(P.380)(解12.7.3)より、次のように算出されます。
 PNi = Kv・δyi’
 ここに、
  PNi :杭軸方向反力(kN)
  Kv:杭の軸方向バネ定数(kN/m)
  δyi’:杭頭軸方向変位(m)
 
座標原点に対して左右対称に杭が配置されている場合、鉛直力のみを載荷すると、基礎は一様に沈み込むため、杭軸方向変位δyi’は全杭とも同一となり、全杭の杭頭鉛直反力PNiも同一となります。
これに対し、1本でも杭が抜けていると、鉛直反力のみを載荷したとしても、基礎全体に回転が生じます。このため、各杭の杭軸方向変位δyi’は座標原点位置からの距離に応じて異なり、回転側の杭頭鉛直反力は大きく、反対側の杭頭鉛直反力は小さくなります。
 
これに対し、杭の水平変位はどうでしょうか。
道示では、フーチングを剛体と仮定しています。フーチングは変形しないものと仮定していることから、剛体であるフーチングに付けられた杭の変位は全杭同一となり、杭ごとに変わるわけではありません。
なお、2.5次元解析の場合の杭の変位δは、
 δ=√(δy^2+δx^2)
 ここに、
  δy:y方向の変位
  δx:x方向の変位
としています。
 
また、杭頭水平反力は、(解12.7.3)より、
 PHi = K1・δxi’ - K2・α
 ここに、
  K1, K2:杭の軸直角方向バネ定数
  δxi’:杭頭の軸直角方向変位
  α:フーチングの回転角
として求まります(2.5次元解析の場合は本式と異なりますが、簡単のため上記式を用いて説明します。)
K1,K2は、杭体の曲げ剛性や水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件より求まる杭頭の集約バネのことで、杭体諸元や地盤条件が同一であれば同じ値となります。
また、上記のとおり、杭頭の水平変位δxi’は全杭同一です。
フーチングの回転角αについても、剛体と仮定していることから、全杭の杭頭位置での回転角は同一です。
つまり、全杭の条件で同一であれば、K1もK2もδxi’もαも同値となるため、全杭の杭頭水平反力は同値となることを示しています。
以上より、杭が1本抜けることにより基礎の回転が生じる状態となったとしても、杭頭水平反力は杭ごとに異なる結果とはなりません。
    
Q1−9−8. 道示W(P.245)において、橋台基礎の場合、常時の許容変位量は15(mm)と記載されているが地震時はどうしたらよいか
A1−9−8.
道示W(P.245)において、橋台基礎の場合、常時について記載されておりますが地震時については記載されておりません。
よって、地震時の場合は、
(1)原則として基礎幅の1%とする。
(2)基礎幅>5.0(m)の場合は50(mm)とする。
(3)杭径1.5(m)以下は15(mm)とする。
でよろしいのではと思われます。
なお、杭基礎設計便覧の表-参.5.6(P.395)において、深礎基礎についてですが、橋台基礎のレベル1地震時は橋脚基礎と同じ許容変位
量をする旨が記載されております。

 
Q1−9−9. 杭頭ヒンジ接合の場合において曲げモーメント図が出力されない理由は何か。一列杭を想定している。
A1−9−9. 1列杭のヒンジ接合となっている状態においては、荷重を与えた場合フーチングの回転角が計算不能であるため、計算を行わない仕様となっています。そのため、断面力図におきましてもヒンジ接合では図を出力しないものとなっています。

 
Q1−9−10. 杭の安定計算の杭頭剛結はOKで杭頭ヒンジはNGだが、安定計算結果の表示はOK(緑)となっている。
安定計算の表示は”NG”と表示されるのではないか。
杭頭剛結でOKならば、杭頭ヒンジでNGでも安定計算はOKでよいか。
A1−9−10. 杭頭条件を剛結・ヒンジで照査を行う場合は、安定計算は剛結で判定を行い、ヒンジは地中部曲げモーメントの参照のみ行います(杭体応力度照査に用います)。
従いまして、ヒンジの安定照査は行う必要はありませんので、計算結果の判定は参考値とお考えください。

道示Wでは、12.1の解説に、「・・・杭の頭部をフーチングと剛結合する杭基礎を対象とする。」と記述されており、また、道示W12.9.1の解説に杭頭ヒンジ結合と仮定した場合の曲げモーメントを考慮して杭体照査を行うことが記述されています。
本プログラムでは、道示W12.9.1の解説は、杭体断面照査を目的としたもので、安定照査(杭の軸方向反力≦許容支持力・引抜力,変位≦許容変位)は対象外であると判断しています。
また、本プログラム作成にあたって参照させていただいたヘルプの「概要」−「プログラムの機能概要」−「適用基準および参考文献」に記載している参考文献の設計計算例にも杭頭剛結合で杭頭ヒンジ時の反力,変位を照査している例はありません。
これにより、全体の安定計算結果の判定は、杭頭剛結合の結果で判定しております。

  1−10.断面変化の扱い 

Q1−10−1.

断面変化位置の決定方法として次の2つがあるが、これらの選択肢が設けられている理由は?
  ・全ケースの最下位置の荷重ケース
  ・第1断面の最大許容応力度比の荷重ケース
A1−10−1. 本プログラムの断面変化位置は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」を参照し、第2断面変化位置は最大曲げモーメントの1/2となる位置(1/2Mmax点)、第3断面位置は設定された最小鉄筋量に対する抵抗曲げモーメントと設計曲げモーメントとの交点位置としております。

しかしながら、上記文献では、複数の荷重ケースが存在するとき、どのケースの結果を適用すればよいか、規定あるいは目安等はいずれも示されておりません。
このため、本プログラムでは、初期版より、荷重ケースごとに変化位置を求め、全荷重ケースのうち最も深い位置を各断面の変化位置と設定する仕様としておりました。

その後、断面変化位置の決定方法,考え方について、多数のユーザ様より、様々なご意見をいただきました。
その中で、最大曲げモーメントにて求まった応力度比(応力度と許容応力度の比)が最も大きくなるケースの断面変化位置を、第2,第3断面変化位置とする方法が最も適切ではないかと考え、「基礎の設計計算Ver.5(Ver.5.00.00)」において、この方法を追加し、「断面計算」画面に選択を設けました。

このような経緯にて2種類の選択を設けておりますが、依然として、各種文献,基準類には明確な決定方法が示されておりません。
よって、どちらの決定方法を採用されるかにつきましては、おそれいりますが、設計者の方のご判断として決定してくださいますようお願いいたします。

  1−11.杭体断面力・断面計算

Q1−11−1.

場所打ち杭の許容応力度σs’aはどのように設定されているのか?
A1−11−1. 鉄筋段落しの計算の許容応力度σs’aは、鉄筋の種類に応じて以下の値を計算内部で固定データとしております。

・SR235   140.0
・SD295   180.0
・SD345   200.0

鉄筋の種類は、「基準値」→「杭基礎」→「杭体データ」→「場所打ち杭」にて入力することができます。
    
Q1−11−2. PHC杭の許容せん断応力度が入力値と計算書で異なる。
A1−11−2. ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しておりますように、PHC杭の許容せん断応力度は、
 τa1’=CN・τa
 ここに、
  τa1’:軸方向圧縮力により補正された許容せん断応力度(N/mm2)
  CN:軸方向圧縮力による補正係数
  τa:許容応力度の割増係数を考慮した「許容値」画面の許容せん断応力度(N/mm2)
により算出しており、軸方向圧縮力による割増係数CNを考慮しております。
    
Q1−11−3. 2.5次元解析時の杭体モーメントが正値側しか図化されないのはなぜか?
A1−11−3. 2.5次元解析における杭体モーメント分布は、常に正値として描画されます。
これは、2.5次元解析時の杭体モーメント分布を、Y軸回りのモーメントMy,X軸回りのモーメントMxを合成し、
 M=√(My^2+Mx^2)
 (”^”はべき乗を示しています)
として図化していることによります。せん断力,水平変位についても同様です。

ここで、2.5次元解析では、道路橋示方書に記述されている2次元構造物として三元連立方程式を解く方法を拡張し、
 V :鉛直力(kN)
 Hx:X方向水平力(kN)
 Hy:Y方向水平力(kN)
 My:Y軸回りモーメント(kN・m)
 Mx:X軸回りモーメント(kN・m)
として、両方向の作用力を考慮した計算を行うため、
 PN :杭頭杭軸方向反力(kN)
 PHx:X方向の杭頭水平反力(kN)
 PHy:Y方向の杭頭水平反力(kN)
 MTy:Y軸回りの杭頭モーメント(kN・m)
 MTx:X軸回りの杭頭モーメント(kN・m)
のように、両方向の杭頭反力が算出されます。地中部の杭体断面力も同様です。
したがって、本プログラムでは、両方向の杭体断面力および水平変位分布を合成して図化,結果出力を行っています。
X方向/Y方向ごとに曲げモーメントが生じるケースを考えると、合成された曲げモーメントの方向は深度とともに変化し一定しないため、2.5次元解析時には、現行のように、合成して出力する仕様としています。
    
Q1−11−4. SC杭+PHC杭のとき、負の周面摩擦力の検討はPHC杭に対してのみ行っているのか?
A1−11−4. 負の周面摩擦力の杭体応力度の検討は、道示W12.4.3(P.366)(解12.4.3)を基本として照査しており、中立点を定義していただき、この中立点に作用する負の周面摩擦力,死荷重反力,および中立点より上方の杭の有効重量を用いて許容応力度に対する検討を行います。

一般に、中立点位置の負の周面摩擦力が最大となり、中立点位置が最も厳しくなると考えられることから、現行では中立点位置に対してのみ照査しており、中立点位置がSC杭部であればSC杭に対して、PHC杭部であればPHC杭に対して検討しています。
SC杭(PHC杭との接合位置)における杭体応力度が許容応力度に対して最も厳しくなるケースも考えられますが、現行では、中立点位置に対してのみ照査しており、したがって、SC杭に対して検討する場合、別途ご検討ください。

    
Q1−11−5. PHC杭の杭体応力度照査は、杭基礎設計便覧に記載されている正負符号および判定方法と同じであるか
A1−11−5. ヘルプの「理論理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しておりますように、PHC杭の応力度の符号は、圧縮を正,引張を負としております。
(許容引張応力度σca’は、-3.0(N/mm2) or5.0(N/mm2)となります。)
よって、杭基礎設計便覧に記載されております判定方法と同じ方法となります。

計算書作成の「結果一覧の出力」−「安定計算・杭体応力度」の出力に、大小関係を出力しておりますので、ご参照ください。
    
Q1−11−6. PHC杭:せん断応力度の照査で、b:等積箱形断面の腹部の合計幅、d:等積箱形断面の有効高の算出方法
A1−11−6. 杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時のPHC杭の杭体応力度照査は、本文献2-6-3(P.184)図-V.2.48のとおり、等積箱形断面に換算して照査します。この等積箱形断面への具体的な換算方法は、上記文献には記載されておりませんが、本プログラムでは、次のように算出しております。

■部材断面幅b(等積箱形断面の腹部の合計幅)
 b=t・√π
 ここに、
  t:厚さ

■部材断面の有効高d(等積箱形断面の有効高)
 d=1/2・h + 1/π・2・√2・rs
 ここに、
  h:等積箱形断面の部材断面の部材高h
    =1/2・√π・D
  D:杭外径
  rs:PC鋼材の配置半径
    
Q1−11−7. 場所打ち杭の主鉄筋が2段配筋で4本分の帯鉄筋を斜引張鉄筋として考慮したいがこれは可能か。
A1−11−7. 許容応力度法照査に用いる斜引張鉄筋の断面積は、「断面計算」画面の「共通データ」に入力を設けていますが、「鉄筋径」を選択したとき、常に2本分の断面積を初期設定しています。
これは、本プログラムが有している主鉄筋の自動配筋機能により、最終的に何段配筋となるか分からない(荷重により変動する)ケースがあること、あるいは中間帯鉄筋の入力そのものを設けていないことから、常に1段配筋と仮定した場合の 断面積を斜引張鉄筋の断面積として初期設定しているためです。
したがって、2段配筋で4本分の断面積を考慮したい場合、あるいは中間帯鉄筋を考慮したい場合等では、帯鉄筋径を選択した後、初期設定された「鉄筋量Aw」の欄にお考えの断面積を上書きして入力してください。

なお、「断面計算」画面が設定済みで、「杭本体」−「杭種別データ」−「横拘束筋」画面の[データ連動]ボタンを押下した場合、
・Ah:「鉄筋量Aw」の1/2を初期設定。
・Aw:「鉄筋量Aw」をそのまま設定。
としています。

こちらにつきましても、最終的には設計者の方のご判断として初期設定値を上書きしてご検討ください。
    
Q1−11−8. タイプT地震動とタイプU地震動の基礎の照査において、同じM−φ関係が用いられているのはなぜか。
A1−11−8. 杭体のM−φ関係は、道示W(P.410)より、タイプU地震動に対する値を用いています。したがって、タイプT地震動に対する基礎の照査においても、タイプU地震動のM−φ関係を用いた照査を行います。
このため、タイプT地震動のM−φ関係の算出および入力は行っておらず、よって、「杭本体」−「M−φ」画面では1種類のみ入力していただくようにしています。
    
Q1−11−9. 杭頭モーメントが地中部曲げモーメントと同じ向きに発生するのはなぜか
A1−11−9. 道示W12.9.1(P.392)表-解12.9.1の「イ)基本系」をご参照ください。
本プログラムと道示では、杭体モーメントの正負の向きが異なるので注意が必要ですが、「イ)基本系」において、杭頭モーメントおよび地中部最大曲げモーメントが同じ向き(いずれも負値)に発生するケースが示されています。
このように、必ずしも杭頭モーメントと地中部最大曲げモーメントの符号が異なるとは限らないと考えます。詳しくは、上記道示をご参照くださいますようお願いいたします。
    
Q1−11−10. 現場継手部の許容応力度を低減して計算する方法はあるか。
A1−11−10. 本プログラムでは、いずれの杭種においても、現場継手部の許容応力度を低減して応力度照査を行うことはできません。
現行では、「杭配置」画面で現場継手位置ごとに断面を分けていただき、「許容値」画面で90%に低減した許容応力度を直接設定し、応力度照査を行うことによりご対処いただくしかございません。
なお、鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭の場合であれば、計算書の「断面計算」−「着目点ごとの杭体応力度」に現場継手不可位置(応力度が許容応力度の90%を超える位置)を出力しています。本出力をご参照ください。
    
Q1−11−11 せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)はどのように判断しているか
A1−11−11. せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)の判断は、道示W8.7.4(P.230)の記述、「せん断力に対する照査を行う場合のフーチングの主鉄筋は、柱又は壁前面のフーチング全面積に作用する鉛直荷重による柱又は壁前面位置における曲げモーメントの向きにより決定するものとする。」より、柱前面における曲げモーメントで行ってい ます。

なお、レベル2地震時の場合、杭頭水平反力および杭頭モーメントを考慮した断面力を算出していることから、曲げに対する照査に用いる柱前面の曲げモーメントから、杭頭水平反力および杭頭モーメントを控除して判定しています。
    
Q1−11−13. 既設死荷重時の断面力算出に、「上載土高」が考慮されていない。
A1−11−13. 増し杭工法で、既設死荷重時に上載土砂を考慮する場合、「底版設計」−「計算条件」画面において「許容応力度法/レベル2地震時」タブ上の『増し杭工法時の既設死荷重時の上載土砂=考慮する』を選択する必要があります。
『考慮しない』が選択されている場合、既設死荷重時に上載土砂が考慮されません。
    
Q1−11−14. 断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合で杭体応力度が異なる理由は?
A1−11−14.
場所打ち杭の断面変化位置の算定機能は、断面変化位置の目安を示すための機能であり、最終的には、この目安および荷重ケースごとの結果を参照し、設計者の方のご判断として決定していただくことを想定しています。
具体的には、
 1)「断面計算」画面で『断面変化位置を自動計算する』をチェックして計算を行う。
 2)算出された断面変化位置の目安および荷重ケースごとの結果を参照し、最終的な断面変化位置を決定する。
 3)1)のチェックを外し、「使用鉄筋」ページにて任意の断面変化位置,鉄筋径,本数等を設定する。(自動配筋を行った直後は、自動配筋結果が設定されています。)
 4)杭体応力度計算を行い、応力度が許容応力度以内となるまで諸元を変更する。
の手順を行っていただくようにしています。
 
上記の手順にて設計していただくことを想定しているため、断面変化位置を自動決定する場合、設計者の方が断面変化位置を決定するための参考となる情報を算出,出力しています。
具体的には、1/2Mmax発生位置や抵抗モーメントとの交点位置における応力度と許容応力度を算出,出力しており、これにより、これらの位置が許容応力度を満たしているかを判断できるようにしています。
これに対し、断面変化位置を直接指定する場合、各断面における最大曲げモーメント,最大せん断力による応力度照査結果を出力しており、決定された断面ごとの応力度が許容応力度を満たしていることを照査するようにしています。
よって、断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合では、出力される杭体応力度が一致しないことがあります。
    
Q1−11−15. 計算書において、Mmaxの1/2となる位置「Z」とその位置のせん断力「S」が「−−−」と出力されるのはどういうケースか。
A1−11−15.
場所打ち杭の第1断面下端(第2断面上端)の段落とし位置は、杭基礎設計便覧(H19.1)2-6-6(P.200〜)を参照し、
(1)杭頭剛結の曲げモーメントの最大値
(2)杭頭ヒンジと仮定して算出した曲げモーメントの最大値
の大きい方をMmaxとしたとき、
@杭頭剛結の曲げモーメント分布からMmaxの1/2となる位置
A杭頭ヒンジの曲げモーメント分布からMmaxの1/2となる位置
を求め、@,Aの深い方を採用しています。
 
ただし、Mmaxは(1)杭頭剛結,(2)杭頭ヒンジの大きい方を用いていることから、例えば、(1)杭頭剛結の最大モーメントをMmaxとしたとき、(2)杭頭ヒンジの最大モーメントが非常に小さくMmaxの1/2未満となったとすると、(2)杭頭ヒンジについてはMmaxの1/2となる位置を求めることができません。
このようなとき、本プログラムでは、Mmaxの1/2となる位置「Z」およびその位置のせん断力「S」に対しては横棒(−−−)を出力しています。
    
Q1−11−16. 場所打ち杭の曲げ応力度はどのように算出されるのか。
A1−11−16.
本プログラムの場所打ち杭の曲げ応力度は、道示W5.1.2(P.159)に準じ、曲げモーメントと軸力が作用する円形の鉄筋コンクリート断面として計算しています。
具体的には、計算仮定に基づき中立軸位置を変化させながら、コンクリート,鉄筋による内力(Nc,Ns,Mc,Ms)と外力(断面力N,M)が釣り合うよう、繰り返し計算を行い、厳密な値を算出しています。
公式を用いて単純式により算出しているのではなく、繰り返し計算を行っていることから、計算過程の出力等は行っておりません。ご了承ください。
なお、詳しくは、「下図」をご参照ください。
    
Q1−11−17. SC杭+PHC杭のとき、地中部のPHC部のせん断耐力照査を行うか否かのスイッチはなぜ設けてあるのか
A1−11−17.
SC+PHC 杭におきましては、当初、道示W12.10.5(P.414)の1)-Bを参照し、大きなせん断力が 生じる第1区間はSC杭のため、せん断照査自体 を省略しておりましたが、その後、ユーザ様 から『せん断照査方法=杭体のせん断力≦ 杭体のせん断耐力』の場合PHC杭部分のせん断照査を行ってほしいとのご要望をいただき対応いたしました。
よって、SC杭+PHC杭のPHC杭部のせん断耐力照査を行うか否かについては、設計者の方のご判断とし て決定していただくようにしていま す。
なお、PHC杭部のせん断耐力照査を行う場合、「レベル2地震時基本条件」−「計算条件@」に おいて『SC杭+PHC杭時のPHC杭の杭体せん断力照査』スイッチを「する」としていただくことになりますが、この場 合、各杭の杭体せん断力分布に着目し、杭頭から杭先端までの全範囲でせん断力がせん断耐力以下であることを照査します。
詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
    
Q1−11−18. 杭体のM-φ算出に用いる軸力はどのように決定されているのか。
A1−11−18.
杭体のM−φ関係の算出に用いる軸力は、道示W12.10.4(P.412)に規定されており、本プログラムはこれに準じております。
具体的には、「場所打ち杭,PHC杭,SC杭及びRC杭においては、杭群図心位置から押込み側の杭では死荷重が作用したときの杭頭反力を軸力として、引抜き側の杭では軸力を零として杭体の曲げモーメント〜曲率関係を算出してよい。」とあり、引抜き側の杭に対しては、軸力を0として算出しています。
また、鋼管杭については、「鋼管杭及び鋼管ソイルセメント杭においては死荷重が作用したときの杭頭反力を軸力として杭体の曲げモーメント〜曲率関係を算出してよい。」とあり、押込み側,引抜き側にかかわらず、死荷重時の杭頭反力を軸力とします。
詳しくは、上記の道示の記述をご参照くださいますようお願いいたします。
    
Q1−11−19. 地震時の許容せん断応力度τa1はどのように決定されるのか。
A1−11−19.
道示W4.2(P.151)において、「地震の影響を考慮する場合の設計では、τa1に4.1に規定する荷重の組合せに応じた割増し係数1.50を乗じた値を用いる代わりに、表-5.2.1に示すτcの値を用いるものとする。」とあります。
これより、本プログラムの地震時の許容せん断応力度は、τa1×1.50ではなく、τcそのものを用いるようにしています。
    
Q1−11−20. PHC杭、SC杭のM-φ計算を行うことはできるか。
A1−11−20.
下記の手順により、「基礎の設計計算」にてPHC杭,SC杭のM−φ計算が可能です。
 
まず、「計算条件」画面で杭種を選択した後、「杭配置」画面で1本杭とします。杭位置は底版中心位置としてください。
次に、同画面の「データ」タブで杭の諸元を定義します。PHC杭の場合、道示W12.10.4(P.410〜)のとおり、充填範囲とそれ以外の範囲ではコンクリートの応力度〜ひずみ曲線が異なるので注意が必要です。
「レベル2地震時照査」−「基本条件」画面では、まず、「基本条件(共通)」画面の「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」を「する(底版下面作用力)」とします。
次に、「基本条件(杭基礎)」画面の「初期作用力V」に軸力を入力します。M−φ関係はこの軸力を用いて計算が行われます。
最後に、「杭本体」画面で必要な杭体諸元を入力した後、同画面の「M−φ」タブでM−φを計算します。
 
以上でM−φ関係のみ計算が可能です。

  1−12.段落とし 

Q1−12−1.

RC杭のヤング係数比の初期値(=6)の根拠は?
A1−12−1. 旧杭基礎設計便覧(昭和61年1月 社団法人日本道路協会)表-6.2.5(P.59)にRC杭の断面性能表があります。
本表では、軸力=0に対する抵抗曲げモーメントMRC(コンクリートの応力度が許容応力度となるときの曲げモーメント),MRS(鉄筋の応力度が許容応力度となるときの曲げモーメント)が記載されておりますが、この抵抗曲げモーメント算出にヤング係数比6が用いられています。
本プログラムでは、本記述を参照し、杭体応力度算出にも抵抗曲げモーメントと同じヤング係数比を用いるものと判断し、初期設定を6としております。

ただし、上記以外に有効な文献等の記述は把握しておりません。
例えば、実ヤング係数比(n=Es/Ec)は、
・Ec=3.1×10^4(N/mm2)
・Es=2.0×10^5(N/mm2)
・n=2.0×10^5/3.1×10^4=6.4516
となるため、本係数を用いるのも一つの考えかと思われます。
最終的には、お考えのヤング係数比を、「計算条件」−「設計条件」−「応力度照査」画面に直接設定しご検討ください。
    
Q1−12−2. 「杭頭ヒンジの軸力選択」で「剛結」と「ヒンジ」が選択できるのはなぜか?
A1−12−2. 道示W12.9.1(P.387〜)に、杭頭剛結合の場合でも、杭頭ヒンジと仮定して求めた曲げモーメントを考慮することが記載されています。

お問合せの『杭頭ヒンジの軸力選択』スイッチは、杭頭結合条件が剛結・ヒンジのとき、杭頭ヒンジ時の曲げモーメントを用いて応力度照査を行う際に用いる軸力を、
・杭頭剛結時の杭軸方向反力
・杭頭ヒンジ時の杭軸方向反力
のいずれを用いるかを指定していただくものです。
前記の道示および他の文献等には軸力の取扱いが明記されておらず照査方法が不明なため、本選択を設けました。
おそれいりますが、設計にどちらを用いるかにつきましては、設計者の方のご判断で決定してください。

なお、モーメントおよび軸力の取り扱いは下記のとおりです。
・杭頭条件=剛結・ヒンジの場合
  杭頭剛結……モーメント=剛結、軸力=剛結
  杭頭ヒンジ…モーメント=ヒンジ、軸力=軸力選択による軸力(剛結またはヒンジ)
    
Q1−12−3. 場所打ち杭の断面計算において、鉄筋の許容応力度が意図しない地震時の値になっているとき、原因として何が考えられるか。
A1−12−3. 場所打ち杭の鉄筋の許容応力度は、道示W4.3(P.155)表-4.3.1より、
 2)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(一般の部材)
 3)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(水中又は地下水位以下に設ける部材)
 4)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値
 6)圧縮応力度
のいずれかが適用されます。

引張応力度では、「作用力」−「荷重ケースごとの設定」画面の『衝突,地震時σsaの基本値を用いる』により、上記2),3)の衝突荷重又は地震の影響を含まない場合、および4)の影響を含む場合の基本値の選択を行います。
ご検討の荷重ケースにおいて、上記の選択がチェックされていないかご確認ください。チェックされている場合、上記4)の衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値(=200N/mm2×割増係数)が適用されます。

なお、上記の設定が正しく行われているのであれば、次の原因が考えられます。

場所打ち杭の鉄筋の応力度は、中立軸位置が断面内にない場合(全圧縮または全引張)でなければ、引張応力度,圧縮応力度の2つの応力度が算定されるため、「総括表」画面や計算書の「結果一覧」,「基礎杭計算結果一覧表」の出力においては、算定された2つの応力度のうち、より厳しい結果として、許容比(応力度/許容応力度)の大きい方を表示しています。

ここで、鉄筋の許容圧縮応力度は、上記の道示W 表-4.3.1 の6)許容圧縮応力度が適用されます。
ご検討のデータにおいても、許容圧縮応力度が表示されているのではないかと考えられます。
本プログラムでは、許容応力度の出力を、
・引張応力度・・・正値で表示
・圧縮応力度・・・負値で表示
と表示しており、表示されている結果が引張応力度,圧縮応力度のどちらを示しているかを確認できるようにしています。
おそれいりますが、表示値の符号により、引張応力度/圧縮応力度のどちらが表示されているかご確認ください。
    
Q1−12−4. PHC杭において、常時の許容応力度を地震時扱い(許容応力度の割増係数=1.50,許容曲げ引張応力度σta=3.0/5.0)としたい。どのように設定すればよいのか?
A1−12−4. 現行では、PHC杭において、常時の許容曲げ引張応力度を地震時扱いとすることはできません。

PHC杭の曲げ引張応力度は道示W4.2(P.151)に記載されていますが、表-4.2.8には、「地震の影響を考慮するときの・・・」と記載されています。また、P.154において、「PHC杭の許容曲げ引張応力度は零としたが、荷重の組合せのうち地震の影響を考慮する場合は、少なくとも単純曲げが作用した状態で破壊安全度が2以上確保されるように、表-4.2.8に示すとおり、有効プレストレス量に応じて設定した。」とあります。
本プログラムでは、上記道示の記述より、σta=3.0/5.0を適用するは地震の影響を考慮する場合のみと判断しています。したがって、現行では、常時ケースに対して割増係数を1.50と設定した場合、許容曲げ引張応力度σtaは常に0.00(N/mm2)としており、よって、割増係数=1.50,σta=3.0/5.0とすることはできません。
    
Q1−12−5. PHC杭でMyが自動計算されない
A1−12−5. 降伏モーメントMyは、最遠鋼材の引張ひずみが降伏ひずみに達するときの曲げモーメントで、最遠鋼材位置のひずみを降伏ひずみに固定して、中立軸位置を仮定しながら、断面内に生じる圧縮力Cと引張力Tの関係が、
 N=C−T
 N:作用軸力
となる中立軸位置を求めています。
このとき、断面内に生じる軸力が最大となるのは、圧縮縁のコンクリートひずみが終局ひずみとなる状態ですが、現在ご利用のデータの場合、断面内に生じる最大軸力よりも作用軸力の方が大きく、降伏モーメントが算出できない(軸力が範囲外)状態になっていると思われます。

おそらく、PC鋼材の降伏強度σpy,引張強度σpu,PC鋼材量(A/B/C種別),配置半径が検討の杭データに対して正しく入力されていないと思われます。
PHC杭メーカー様の資料等をご参照になり、正しい値が設定されているか再度ご確認くださいますようお願いいたします。

なお、本プログラムは、種別(A/B/C種)を変更してもPC鋼材量等は自動でセットしておりません。
よって、おそれいりますが、「杭配置」画面で杭外径,種類を変更した場合、杭データに応じたPC鋼材量等も変更していただきますようお願いいたします。

なお、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時は、入力画面上の[データ連動]ボタンをクリックすることにより、杭基礎設計便覧に記載されているPC鋼材量等をセットいたしますが、準拠しない場合は、他の基準類にPC鋼材量等が明示されておらず、また、特定のメーカー様のデータを初期設定値とすることができないため、直接設定していただく仕様としております。
    
Q1−12−6. 「作用力」−荷重ケースごとの設定」の「衝突、地震時σsaの基本値を用いる」のチェックをはずすと許容値はどのようになるのか
A1−12−6. 道示W(P.155)表-4.3.1では、鉄筋の許容応力度として、
@荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(一般部材/水中部材)
A荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値
が規定されており、衝突荷重,地震の影響を考慮するケースか否かよって、@,Aを使い分ける必要があります。

本プログラムでは、従来、「基準値」−「荷重ケース」画面にて設定された荷重ケースごとの許容応力度の割増係数を参照し、割増係数が1.50以上となる荷重ケースに対し、上記Aの許容応力度を用いるようにしておりましたが、その後、他のお客様より、他の基準等においては、衝突荷重,地震時ケース以外でも割増係数≧1.50となるケースがあり、このようなケースでは上記@の許容応力度を適用したいため、上記@,Aのどちらの基本値を用いるか、設計者判断として選択できるようにしてほしいとのご要望をいただき、Ver.6.05.00において、「作用力」−「荷重ケースごとの設定」画面において、荷重ケースごとに選択(スイッチ)を設けました。

このスイッチは、下記計算に用いております。
(1)杭体応力度計算
 1.RC杭,場所打ち杭の場合
   「許容値」画面において、
    ・σsa(*1):荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合 (チェックなしのとき)
    ・σsa(*2):荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合   (チェックありのとき)
   の入力を割増係数ごとに設け、お問合せのスイッチより使い分けます。
 2.杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時のPHC杭/PC杭/SC杭+PHC杭の場合
   「断面計算」画面において、
    ・スパイラル鉄筋のσsa      (チェックなしのとき)
    ・スパイラル鉄筋のσsa(基本値) (チェックありのとき)
   の入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
(2)杭頭結合計算
 1.仮想鉄筋コンクリート断面照査
   上記の(1)-1.と同様に、「杭頭結合計算」−「底版許容値」画面において、σsa(*1),σsa(*2)の入力を割増係数ごとに設け、お問合せのスイッチより使い分けます。
 2.杭頭カットオフ区間の照査(杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時)
   上記の(1)-2.と同様に、「杭頭結合計算」−「杭頭カットオフ」画面において、2種類のσsaの入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
(3)底版許容応力度法照査
  「材料」画面において、
   ・鉄筋の許容引張応力度σsa         (チェックなしのとき)
   ・ 〃 地震時の許容引張応力度の基本値σsa (チェックありのとき)
  の入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
    
Q1−12−7. PC杭のヤング係数『3.3×10^4(N/mm^2)』の根拠は?
A1−12−7. 「杭基礎設計便覧 昭和61年1月 (社)日本道路協会」P.54の「表6-2-1 既製コンクリート杭」にPC杭のコンクリート設計基準強度σck=500(kg/cm^2)との記述がございます。
「道路橋示方書・同解説 T共通編/W下部構造編(H14.3)日本道路協会」P.83の「表-3.3.3
 コンクリートのヤング係数」に記述の内容より、σck=50(N/mm^2)時のヤング係数=3.3×10^4(N/mm^2)を内部設定しております。

[補足]
上記「杭基礎設計便覧 昭和61年1月 (社)日本道路協会」のP.325では、PC杭のヤング係数=4.0×10^5(kg/cm^2)との記述がございますが、この便覧時の道示(昭和55年 5月版 T共通編 P.67)ではσck=500(kg/cm^2)の
ヤング係数は4.0×10^5(kg/cm^2)と記述されておりました。
その後、平成2年版の道示でσckに対するヤング係数が改訂され、平成2年版から現在までσck=50(N/mm^2)時のヤング係数は 3.3×10^4N/mm^2)となっております。
    
Q1−12−8. RC杭のせん断応力度の照査で、結果画面などに出力される許容値が入力値と異なる場合があるのはなぜか
A1−12−8. ヘルプ「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しておりますように、RC杭の許容せん断 応力度は、
杭基礎設計便覧(H19.1)のP.191において、τa’=CN・τaと記載されており、本プログラムも軸方向圧縮力による補正係数CNを 考慮し下記の方法で算出しております。
 τa1’=CN・τa
 ここに、
  τa1’:軸方向圧縮力により補正された許容せん断応力度(N/mm2)
  CN:軸方向圧縮力による補正係数
  τa:許容応力度の割増係数を考慮した「許容値」画面の許容せん断応力度(N/mm2)

軸方向圧縮力による補正係数CNの値によっては、結果画面等に出力される許容せん断応力度が入 力値と異なるケースも考えられます。
※上記のCNを考慮した許容せん断応力度の補正は、PHC杭などにも同様に適用される考え方と なっております。
許容せん断応力度の詳しい算出過程は、計算書出力「断面計算」−「杭体応力度」内に有ります 『せん断応力度の照査』にてご確認ください。
    
Q1−12−9. せん断応力度τが青文字で表示されているのはなぜか
A1−12−9. 「計算・結果確認」−「杭体応力度」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、せん断応力度τを青文字で表示しているのは、コンクリートのみでせん断力を負担する場合の許容せん断応力度を超えるが、斜引張鉄筋と共同してせん断力を負担する場合の許容せん断応力度以下であることを示しています。この場合、Awreq≦Awの関係にあれば、せん断照査結果はOKと判定されます。

τ値は次のように表示しています。
(1)τ≦τa1のとき
照査結果はOKと判定され、黒文字表示しています。
(2)τa1<τ≦τa2のとき
τa2は、斜引張鉄筋と共同してせん断力を負担する場合の許容せん断応力度を示しています。
この場合、道示IV(H.14.3)5.1.3(P.160〜)に記述されていますように、斜引張鉄筋(スターラップ)を配置することによりOKとなります。(1),(3)と区別するために、青文字表示としています。
(3)τa2<τのとき
道示IV(H.14.3)5.1.3の解説文(P.163)に記載されていますように、この場合、OUTと判定され、赤文字表示としています。

 
Q1−12−10. 一般的なPC杭のインタラクションカーブの表において
1:コンクリートに引っ張り応力の発生を許容しない
2:コンクリートに引っ張り応力を許容するがひび割れを発生しない。
3:断面破壊の終曲限界状態
の3ケースがあるが、この3ケースの使い分けをスイッチ等で選ぶことはできるか。
A1−12−10. 杭の耐力は、杭諸元(コンクリートの設計強度、PC断面積、PC降伏強度など)を入力して自動計算しますので、インタラクションカーブは用いません。

  1−13.結果一覧表

 −

  1−14.出力 

Q1−14−1.

2.5次元解析のとき、計算書の「安定計算」−「杭基礎の剛性行列」に出力される剛性行列要素の記号は何を示しているのか。
A1−14−1. 剛性行列要素の記号は次を示しています。
 z :Z軸方向(鉛直方向)
 x :X軸方向(X方向水平)
 y :Y軸方向(Y方向水平)
 ay:Y軸回り回転(X方向回転)
 ax:X軸回り回転(Y方向回転)
鉛直,水平,回転バネは、
 Azz :鉛直方向バネ
 Axx :X方向水平バネ
 Ayy :Y方向水平バネ
 Aayay:X方向回転バネ
 Aaxax:Y方向回転バネ
連成バネは、
 Azx (Axz) :鉛直とX方向水平との連成バネ
 Azy (Ayz) :鉛直とY方向水平との連成バネ
 Azay(Aayz):鉛直とX方向回転との連成バネ
 Azax(Aaxz):鉛直とY方向回転との連成バネ
 Axy (Ayx) :X方向水平とY方向水平との連成バネ
 Axay(Aayx):X方向水平とX方向回転との連成バネ
 Axax(Aaxx):X方向水平とY方向回転との連成バネ
 Ayay(Aayy):Y方向水平とX方向回転との連成バネ
 Ayax(Aaxy):Y方向水平とY方向回転との連成バネ
 Aayax(Aaxay):X方向回転とY方向回転との連成バネ

また、計算書の「基礎バネ計算」−「固有周期算定用地盤バネ定数」との上記の関係は次の通りです。
・Y方向
 Ass   :Ayy
 Asr,Ars:Ayax,Aaxy
 Asv,Avs:Ayz,Azy
 Arr   :Aaxax
 Arv,Avr:Aaxz,Azax
 Avv   :Azz
・X方向
 Ass   :Axx
 Asr,Ars:Axay,Aayx
 Asv,Avs:Axz,Azx
 Arr   :Aayay
 Arv,Avr:Aayz,Azay
 Avv   :Azz
ここに、
 Ass    :水平方向バネ(kN/m)
 Asr=Ars:水平と回転の連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
 Arr    :回転バネ(kN.m/rad)
 Asv=Avs:鉛直と水平の連成バネ(kN/m)
 Arv=Avr :鉛直と回転の連成バネ(kN.m/m,kN/rad)
 Avv    :鉛直バネ(kN/m)
 
Q1−14−2. 計算書プレビューをしようとすると 「下部出力ピッチ≧X.Xとなるように修正して下さい」 というメッセージが表示される。
A1−14−2. 計算書の「断面計算」−「杭体断面力」に出力される杭体断面力は、[プレビュー]ボタンのある「出力項目の設定/選択」画面上の
・上部出力ピッチ(m)
・下部出力ピッチ(m)
を用いて、
・出力行数
以内に収まるように調整し出力しています。
出力行数が少ないとき、出力ピッチを大きく設定しなければ出力行数内に収まりません。逆に、出力行数を多くすることにより、より細かいピッチにて出力することが可能となります。
よって、本メッセージが表示される場合、出力行数を多くする、あるいは出力ピッチを大きくしてご対処ください。
 
Q1−14−3. レベル2地震時照査で、橋軸方向、橋軸直角方向のどちらか一方だけを出力したい。
A1−14−3. 本プログラムでは、橋軸方向,橋軸直角方向の両方向の計算を行った場合、常に両方向の結果出力を行っています。
よって、片方向のみの結果出力を行いたい場合、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面の「計算方向(Y方向/X方向)」を出力したい方向のみチェックし、計算,出力を行ってください。
また、「橋脚の設計」との連動時であれば、橋脚側の「荷重」−「保有耐力法ケース」画面において、出力する方向のみ「検討する方向」をチェックし計算,出力を行ってください。

 
Q1−14−4. 安定計算で、「常時+温度」の支持力等の許容値を表示させない(印刷させない)方法はどうすればよいか
A1−14−4. 申し訳ございませんが、杭基礎の設計で支持力などの許容値を出力できないようにはできません。
ただ、特定のケースの安定照査を行わないようにすることはできます。その場合は、安定計算の判定を行いませんので、出力には支持力や水平変位の許容値は出力しません。この場合でも杭体応力度照査は行います。
特定のケースの安定照査を行わないようにするには次の手順で行ってください。
1)[作用力]-[荷重ケースごとの設定]画面を開く。
2)目的の荷重ケースの「安定照査をする」のチェックをはずす。
3)「確定」ボタンで画面を閉じる。


 
Q1−14−5. レベル2押込み力の上限値の算出根拠書籍はなにか。
A1−14−5. 道示Wp434の解 12.10.1より押込み支持力の上限値に関する算出式がございます。
それに基づき、押込み支持力PNUは地盤から決まる杭の極限支持力RUと、杭体から決まる押込み支持力の上限値RPUの、より厳しい方を採用します。

PNU = min( RU, RPU )

このとき、杭の極限支持力RUは道示Wp384の解 12.4.3より求められます。また、PNUについては道示Wp396の解 12.4.6より求められるため、合せてご確認いただきますようお願い申し上げます。 1-22
考えられる原因としましては、基礎の設計側の入力画面を開いた状態で橋脚のデータを変更したことが挙げられます。
その場合、基礎の設計における入力画面を全て閉じた状態でなければ橋脚のデータ更新が適用されませんので、基礎の設計にデータが渡されないことがございます。


 
Q1−14−6. レベル2地震時照査の出力で、M-φ関係図を表示しないのはどのような場合か。
A1−14−6. 通常の杭タイプ分類(押込み側、引抜き側など)では、M-φ関係図を出力します。
2.5次元解析や杭ごとの軸力でM-φ関係を算出する場合など、複数のM-φ関係を算出する場合には図を出力しません。

  1−15.杭頭結合照査(押し抜き、引き抜き等)

Q1−15−1.

橋軸方向で押し込み側のせん断耐力の値が杭の位置と1/2底版厚の位置で異なるのは何故か?
A1−15−1. 『平成8年 道路橋示方書・同解説に関する質問・回答集(2)(平成10年6月)建設省土木研究所』に、

・フーチングの斜引張鉄筋量算出に用いるせん断スパンは、各照査断面位置から柱あるいは壁前面位置までの距離としてよい。
・有効高は照査断面位置における有効高としてよい。ただし、せん断スパンaがd/1.15よりも小さい場合には、dに代わって1.15aを用いなければならない。
・せん断スパン比の影響による補正係数Cdc,Cds算出に用いるせん断スパンは道示IV6.5.4(3)3))による。

との記載があり、本プログラムはこれに準じてせん断耐力を算出しています。

    
Q1−15−2. 杭頭結合計算の杭頭作用力が斜杭に対して連動されていない。
A1−15−2. 本プログラムの杭頭結合計算は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」を参照し作成しておりますが、本文献は直杭を対象にしており、斜杭に対して安定計算にて算出された杭頭反力をそのまま用いてよいものか不明なため、現行では、杭頭結合計算に用いる杭頭反力の抽出において、斜杭は対象外としております。
全杭が斜杭と設定されている場合、杭頭作用力が抽出されず全て0となります。

おそれいりますが、本件につきましては、次の方法にてご対処くださいますようお願いいたします。
 1)「計算条件」−「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」と設定する。
 2)「杭頭結合計算」−「杭頭作用力」画面にて杭頭作用力を直接入力する。
 3)杭頭結合計算を実行する。

なお、杭頭反力は、計算書の「安定計算」−「杭反力及び変位の計算」の出力により確認することが可能となっております。

    
Q1−15−3. フーチング端部の杭に対する押抜きせん断照査を行う方法
A1−15−3. 「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.297)に準じた押抜きせん断応力度の照査を行いたい場合は、以下のスイッチをチェックして下さい。
・「計算条件」−「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」
・「杭頭結合計算」−「杭径・底版形状」画面の「フーチング端部の杭を対象とする」
    
Q1−15−4. 杭頭仮想鉄筋コンクリート断面照査の際、帯鉄筋はどこで入力するのか
A1−15−4. 本プログラムの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査は、杭基礎設計便覧(P.301〜)に準じて行っておりますが、本文献では、仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy算出時のコンクリートの応力度−ひずみ曲線として、
(1)道示V4.2.4(横拘束効果なし)
(2)道示X10.4(横拘束効果あり)
のどちらを用いるか明確な記述はありません。
したがって、本プログラムは、開発時に参照させていただいた参考文献
・「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」
・「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」(4-33)
の設計計算例等を参考とし、(1)により算出しており、このため、帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しておりません。よって、底版内仮想鉄筋コンクリート断面の帯鉄筋の入力は設けておりません。

なお、本プログラムでは、「計算条件」−「入力条件」画面で「レベル2地震時・M−φ=直接入力」と設定することにより、「杭本体」−「M−φ」画面において、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyを直接指定することが可能です。
    
Q1−15−5. 「杭頭結合計算」−「杭頭補強鉄筋」画面の『鉄筋量』と『有効鉄筋量』の違いは?
A1−15−5. 『鉄筋量』は入力された杭頭補強鉄筋の総鉄筋量を示しています。これに対し、『有効鉄筋量』は、常時,レベル1地震時の応力度計算に用いる実際の鉄筋量を示しています。通常両者は一致しますが、杭基礎設計便覧(H19.1)に準拠する設定で杭外周溶接鉄筋を配置しているとき、常時,レベル1地震時では杭外周溶接鉄筋を無視した計算を行うことから、入力した鉄筋量と実際の計算に用いる鉄筋量が異なるケースが生じます。よって、本プログラムでは、それぞれを表記しています。

なお、上記の考え方は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)の「・・・常時の荷重や供用期間中に発生する確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考慮しないこととした。」を参照したものです。(※レベル2地震時では入力された全鉄筋を考慮しています。) 詳しくは、本文献をご参照ください。
  
Q1−15−6. レベル2地震時照査をする場合としない場合とで、杭頭結合計算の杭頭補強鉄筋計算の結果が変わるのはなぜか。
A1−15−6. 仮想鉄筋コンクリート断面の応力度照査の設計曲げモーメントは、「杭頭結合計算」画面上の[ヘルプ]より開く説明に記載しておりますように、
・レベル2地震時照査が必要な条件下であれば、設計曲げモーメントは杭頭曲げモーメントを用いる。
・レベル2地震時照査が不要な条件下であれば、設計曲げモーメントは杭頭曲げモーメントと地中部最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる。
としています。

ここで、本プログラムの杭頭結合計算は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」(P.294〜)を参照し作成しております。
本文献6-3-2(P.302)では、
 「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
と記載されており、本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査に対しては、杭頭部の発生曲げモーメントを用いるものと考えられます。

しかしながら、次頁において、
 「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい基礎においては、中詰め補強鉄筋(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
との記述があり、これに対し、
 @橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
 A地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性があるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。
本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われないケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということを論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は杭頭曲げモーメントと地中部最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。

なお、「計算条件」−「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択した場合、本プログラムでは、「杭頭結合計算」−「杭頭作用力」画面で設計に用いる曲げモーメントを入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行う場合、上記画面にて、地中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中部モーメントは、仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査において、上記画面の「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。
  
Q1−15−7. レベル1、レベル2ともに仮想鉄筋コンクリート断面の照査を省略したい。
A1−15−7. 「杭頭結合計算」−「基本条件」画面で「杭頭補強鉄筋=しない」としてください。これにより、レベル1、レベル2共に仮想鉄筋コンクリート断面の照査は省略されます。
  
Q1−15−8. 鋼管杭の杭頭結合計算において、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査は行っていないのか。
A1−15−8.
本プログラムの杭頭結合部の計算は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.296〜)を準用しています。
本文献において、引抜き力に対する鋼管杭の杭頭結合部の照査は、結合方法ごとに次のように考えています。
 
■方法A
方法Aでは、フーチング内に十分な埋め込みを行いますが、鋼管杭に対する引抜き実験より得られた知見より、杭周面の付着応力やせん断抵抗よりも、フーチング内の杭に取り付けられたずれ止めの最下段から45°のクラックが発生し、このせん断破壊面を考慮した引抜き耐力を算定した方がより現実に即していると考え、ずれ止め最下段からフーチング下面までのせん断破壊面におけるせん断耐力を算定し、これが許容引抜きせん断応力度以下となることを照査します。
 
■方法B
方法Bでは、フーチング内への埋込み長さが最小限度(一般に100mm程度)であることから、この部分の付着応力やせん断抵抗は考慮せず、仮想鉄筋コンクリート断面(フーチングコンクリートと杭の溶接鉄筋や内詰め補強鉄筋を鉄筋コンクリートと仮定した断面)を仮定し、この断面に作用する押込み力,引抜き力および曲げモーメントにより生じる応力度が許容応力度以下となることを照査します。
 
杭基礎設計便覧では、上記のように考えており、本プログラムにおいても、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査は、結合方法にかかわらず行っておりません。詳しくは、上記文献をご参照ください。
  
Q1−15−9. 杭頭結合計算の計算書で、「杭頭とフーチング結合部の応力度照査」が出力されない場合がある
A1−15−9.
「杭頭結合計算」−「杭頭補強鉄筋」画面下の[計算実行]ボタンのみを押下した場合、「杭頭とフーチング結合部の応力度照査」は出力されない 状態となります。
「杭頭結合計算」−「杭頭作用力」画面下の[計算実行]ボタンを押下するか、メイン画面ツリービューの「計算・結果確認」−「杭頭結合計算」 より計算実行してください。
  
Q1−15−10. 「杭頭結合計算」画面において、下記メッセージが表示される
--------------------------
杭頭補強鉄筋エラー:[3100]
杭頭補強鉄筋として有効な鉄筋が設定されていません。
補強鉄筋を見直してください。
--------------------------
A1−15−10.
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)において、「杭外周溶接鉄筋は、フーチング下面から 100mmしか突出していない杭頭部への溶接であることや鉛直方向への溶接であるなど、一般の場合に比べて著しく施工性に劣ることから、想定 した品質が確保されない可能性がある。したがって、常時の荷重や供用期間中に発生する確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実 に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考 慮しないこととした。」とあり、常時,レベル1地震時に対する照査では、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに行うことが規定されております。
よって、本プログラムでは、上記を参照し、「計算条件」−「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」がチェックされて いるとき、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに照査を行っておりますので、杭体補強鉄筋として杭外周溶接鉄筋のみ指定されいる場合、有効な鉄筋が存在 しないと判断し上記のメッセージを表示しております。

杭外周溶接鉄筋を考慮した計算を行いたい場合は、設計者のご判断により、「杭頭 結合計算」−「杭頭補強鉄筋」画面で「補強鉄筋=杭体内補強鉄筋 (または中詰め補強鉄筋)」として計算してくださいますようお願いいたします。
なお、計算書の「杭頭結合計算」−「仮想鉄筋コンクリート断面照査」では、上記で設定された鉄筋種類名が出力されますので、必要に応じて、印 刷プレビュー画面の[ソース]編集にて修正してくださいますようお願いいたします。

  
Q1−15−11. 杭基礎設計便覧の適用基準(H19)を選択した時、またはしない時 の杭頭応力を計算するモーメントの値が異なっているのはなぜか
A1−15−11.
杭頭接合計算の仮想鉄筋コンクリート断面照査(接合方法B)において、「H19年1月の杭基礎設計便覧を適用」かつ「レベル2地震時照査をしない」場合、常時およびレベル1地震時の照査に用いるMは「杭頭曲げモーメントと地中最大曲げモーメントのうち大きい方の値」としています。
そのため、杭基礎設計便覧の適用基準(H19)を選択した場合、地中部の最大曲げモーメントが照査に用いられるMとして選定されております。
この判定について、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」6-3-2(P.302)では、
 「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」と記載されております。
本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査としては、杭頭部の発生曲げモーメントを用いるものと考えられますが、次頁において、 「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい基礎においては、中詰め補強鉄筋(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度が許容応力度以下であることを照査する。」との記述があり、これに対し、
 @橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
 A地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性があるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。
本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われないケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということを論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は杭頭曲げモーメントと地中部最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。
なお、「計算条件」−「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択した場合、本プログラムでは、「杭頭結合計算」−「杭頭作用力」画面で設計に用いる曲げモーメントを入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行う場合、上記画面にて、地中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中部モーメントは、仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査において、上記画面の「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。

  
Q1−15−12. 杭頭作用力を「安定計算から自動的に設定する」
としていても、「杭頭接合計算」−「杭頭作用力」で使用モーメントが自動設定とはならないのはなぜか。
A1−15−12.
「計算条件」−「基本条件」−「基本条件」−「杭基礎の適用基準」がチェックされていない場合は使用モーメントの取り扱いが設計者の方のご判断となるため、その場合においては選択となります。
 
Q1−15−13. 杭頭結合A方式の場合、L2照査から杭頭照査が省かれるが、根拠を知りたい。
A1−15−13. 「杭基礎設計便覧(H19.1)」の 6.杭とフーチングの結合法のp.294に、以下の記述がございます。

(省略)杭とフーチング縁端が道示W12.3の距離を確保され、常時およびレベル1地震時の照査を満足する場合にはレベル2地震時の照査を省略してもよい。ただし、杭頭結合部は、レベル2地震時においても、結合部が応力的に弱点とならないように杭体と同等以上にしておく必要があることから、「6)仮想鉄筋コンクリート断面の照査」を行う。

また、「6)仮想鉄筋コンクリート断面の照査」(p.301)では、次の記述がございます。

鋼管杭・鋼管ソイルセメント杭・RC杭・PHC杭およびSC杭において、杭頭結合方法Bとする場合は、杭頭結合部が杭頭部より先行して損傷しないよう、フーチング内に鉄筋コンクリート断面を仮定した断面(以下、仮想鉄筋コンクリート断面という)におけるコンクリートおよび鉄筋の応力度を照査する必要がある。

従いまして、結合方法Aの場合は、照査をしないでもよいと解釈しております。

 
Q1−15−14. ヘルプの[操作方法]-[メニューの操作]-[入力]-[杭基礎]-[杭頭接合計算]のページの「■杭頭作用力」の項目に「レベル2地震時の照査を省略する場合・・・杭頭,地中部のうち大きい方を用いる」とあるがその根拠は何か。
A1−15−14. 本プログラムの杭頭結合部の照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)を参照し作成しておりますが、本文献6-3-2(P.302)において、
 「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
と記載されております。
本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査としては、杭頭部の発生曲げモーメントを用いるものと考えられますが、次頁において、
 「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい基礎においては、中詰め補強鉄筋(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
との記述があり、これに対し、
 1)橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
 2)地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性があるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。

本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われないケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということを論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は、杭頭曲げモーメントと地中部最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。

ただし、「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」として、上記の曲げモーメントを用いると明記されているわけではありません。
本プログラムでは、「計算条件」−「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択することにより、「杭頭結合計算」−「杭頭作用力」画面において、設計曲げモーメントを直接入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行うべきとお考えであれば、上記画面にて、地中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中部モーメントは、仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査において、上記画面の「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。

  1−16.杭頭補強鉄筋照査 

Q1−16−1.

杭基礎設計便覧(平成19年1月)に準じたときの杭頭補強鉄筋において、杭外周溶接鉄筋の鉄筋がカウントされない。
A1−16−1. 「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)において、「杭外周溶接鉄筋は、フーチング下面から100mmしか突出していない杭頭部への溶接であることや鉛直方向への溶接であるなど、一般の場合に比べて著しく施工性に劣ることから、想定した品質が確保されない可能性がある。したがって、常時の荷重や供用期間中に発生する確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考慮しないこととした。」とあり、常時,レベル1地震時に対する照査では、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに行うことが規定されております。

本プログラムでは、上記を参照し、「計算条件」−「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」がチェックされているとき、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに照査を行っております。
    
Q1−16−2. 以下のエラーが発生する原因は?
-----------------------------
杭頭補強鉄筋データエラー
*段目かぶりに誤りがあります。
下記のように修正して下さい。
*段目かぶり < (直径−内径)/2
------------------------------
A1−16−2. 「杭頭結合計算」−「杭頭補強鉄筋」画面において、『内径』を入力されているのではないでしょうか。

杭頭結合部の照査は、フーチング内に定着された仮想鉄筋コンクリート断面に対する照査であることから、通常内径は0(mm)として入力し、円環断面ではなく円形断面として照査します。
内径が入力されている場合、中詰め補強鉄筋が中空部に配置されていると判断され、ご質問のデータエラーが生じています。

なお、本プログラムでは、前身であるDOS版製品時に、PHC杭で仮想鉄筋コンクリート断面を円環断面として検討したいというご要望をいただき、内径の入力を設けております。
通常の仮想鉄筋コンクリート断面の設計では、円形断面として照査しますので、内径は0.0となります。

  1−17.杭頭カットオフ照査 

Q1−17−1.

PHC杭のレベル2地震時照査において、杭頭カットオフの影響を考慮する必要はないのか?
A1−17−1. 常時,レベル1地震時に対しては、杭基礎設計便覧(H19.1)2-6-3(P.185)において、カットオフによるプレストレスの損失を考慮した鉄筋コンクリート断面としての照査方法が規定されていることから、本プログラムでは、これに準じた照査を行っています。
これに対し、レベル2地震時では、道示や他の文献等においても、カットオフ区間に対する照査方法は明記されておりません。よって、本プログラムでは、レベル2地震時に対するカットオフ区間の照査は行っておりません。

ただし、「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」(P.9-21)において、「杭頭付近はカットオフによりプレストレスが減少していることから、軸方向圧縮力によるせん断耐力の割増しは死荷重による杭頭での軸力のみを考慮した。」と記述されており、カットオフによるプレストレスの損失を考慮する場合、せん断耐力照査時の軸方向圧縮力による補正係数CN算出に有効プレストレスσceを考慮せずに計算を行うよう記述されています。同様に、杭基礎設計便覧(H19.1)3-8-2(P.237),2-6-3(P.187)においても、「ただし、有効プレストレスσe=0とする。」と記述されています。
これより、本プログラムでは、「レベル2地震時基本条件」−「計算条件@」画面に『せん断耐力照査用のCN算出時の有効プレストレスσceの取扱い』スイッチを設け、プレストレスの損失を考慮する場合、「無視」を選択することにより、有効プレストレスを考慮せずに照査を行うことが可能で、これにより、カットオフの影響を反映しております。

  1−18.他「UCー1シリーズ」との関連

Q1−18−1.

旧版データの利用時の問題。
A1−18−1. 本製品では統合前の製品のデータを読み込むことが可能ですが、以下の留意点がございます。
(1) 保存時の製品バージョンが古い場合はサポートしていない(データの保存内容の変更のため)。
(2) SI単位系保存データのみサポート

その為、従来単位系で作成されていたデータを利用するには、各製品でデータを読み込み、単位系を変更していただき、保存したデータをご利用いただく必要があります。

製品helpの「旧製品のデータファイルについて」を併せてご確認下さい。

  1−19.その他 

Q1−19−1.

千鳥配置の場合のスターラップの入力方法は?
A1−19−1. 千鳥配置は鉄筋量が半分になるため、整形配置を元に下記のいずれかの入力を行えばよろしいかと思います。
(1)本数を半分にする
(2)間隔を倍にする

なお、お問合せのスターラップの入力は、
・許容応力度法
 ・道示W5.1.3(P.160〜)の式(5.1.3)(必要斜引張鉄筋量)
・レベル2地震時
 ・道示W5.2.3(P.166〜)の式(5.2.1)(斜引張鉄筋の負担するせん断耐力)
に用いております。
    
Q1−19−2. スパイラル鉄筋の配置区間について2画面あるが、それぞれの入力方法は?
A1−19−2. それぞれの配置区間の入力方法は以下の通りです。
(1)「断面計算」画面(杭体応力度照査用)
 「杭配置」−「基本条件」画面で入力された『断面の変化』スイッチ(断面変化なし/上・下杭/上・中・下杭)を参照しており、配置区間の最大値は、
  ■断面変化なし
   最大値=1
  ■上・下杭
   最大値=2 (上杭のみ配置=1,杭先端まで配置=2)
  ■上・中・下杭
   最大値=3 (上杭のみ配置=1,中杭まで配置=2,杭先端まで配置=3)
 となります。

(2)「杭本体」−「杭種別データ」画面(レベル2地震時照査用)
 (1)と同様に『断面の変化』スイッチを参照しますが、M−φ関係により「杭配置」−「データ」画面で入力された『充填範囲』を考慮します。

 充填範囲が入力されていない場合は上記(1)と同じ入力となりますが、入力されている場合の配置区間の最大値は、(1)の最大値より+1され、
  ■断面変化なし
   最大値=2 (充填範囲のみ配置=1,杭先端まで配置=2)
  ■上・下杭
   最大値=3 (充填範囲のみ配置=1,充填範囲以外の上杭まで配置=2,杭先端まで配置=3)
  ■上・中・下杭
   最大値=4 (充填範囲のみ配置=1,充填範囲以外の上杭まで配置=2,中杭まで配置=3,杭先端まで配置=4)
 となります。
    
Q1−19−3. 偏心した増し杭の場合、作用力の作用原点位置は杭全体の図心、もしくは底版の図心であるか
A1−19−3. 増し杭工法のとき、作用力の作用原点位置は、既設底版下面中心となります。したがって、既設底版下面中心の作用力を集計し、入力してください。なお、レベル2地震時の死荷重時の作用力も同様です。

ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「補強設計(増し杭工法)」にも同様の説明を記載しておりますのでご参照ください。
    
Q1−19−4. 回転杭の羽根外径は任意で入力できないか?
A1−19−4. 本プログラムの回転杭工法は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」参考資料「9.回転杭」(P.436〜)を参照し作成しております。
上記の杭基礎設計便覧は、1.5倍径,2.0倍径の羽根外径のみ記載されておりますので、本プログラムも同様の羽根外径としております。
そのため、任意の羽根外径を入力することはできません。
    
Q1−19−5. 鋼管ソイルセメント杭の場合、「計算条件」−「設計条件」−「鋼管ソイルセメント杭」の「許容荷重Na」とは?
A1−19−5. 許容荷重Naとは、杭部材の圧縮強度による杭軸方向の許容荷重(=鋼管断面積×許容応力度)を示しており、許容荷重を「考慮する」としたとき、
(1)通常の許容押込み力Ra,引抜き力Pa
(2)許容荷重Na
の計算を行い、小さい方を許容押込み力,引抜き力として採用します。
上記(1),(2)の計算値および計算過程は、計算書の「予備計算」−「許容支持力・引抜力の計算」の最後のページに出力しておりますのでご参照ください。

なお、本プログラムの鋼管ソイルセメント杭の計算は、道示Wの参考文献(P.431〜)に記載されている、
28)「(財)国土開発技術研究センター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書,2000.3」
29)「(財)国土開発技術研究センター,HYSC杭(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書,2000.12」の資料を参照しており、前述の許容支持力の考え方は、29)の文献の(P.154〜P.155)の記述を参照したものです。
また、上記の説明は、「計算条件」画面上の[ヘルプ]の「鋼管ソイルセメント杭データ」にも詳しく記述しておりますので、あわせてご参照ください。
    
Q1−19−6. SC杭の杭体単位長さ重量はどのように算出されるのか?
A1−19−6. SC杭においては、「杭基礎設計便覧」記載の単位重量(参考値)は用いておらず、次のように、プログラム内部にて厳密に計算しております。
詳細は、下記の例をご参照ください。なお、^はべき乗を示します。

■杭体諸元(SC杭)
外径D = 0.600(m)
内径H = 0.420(m)
鋼管厚t = 0.006(m)

■コンクリート部の断面積
Ac = π・{(D/2 - t)^2 - H/2^2}
= π・{(0.600/2 - 0.006)^2 - 0.420/2^2}
= 0.1330024(m2)

■鋼管部の断面積
As = π・{D/2^2 - (D/2 - t)^2}
= π・{0.600/2^2 - (0.600/2 - 0.006)^2}
= 0.0111966(m2)

■杭体重量
W = Ac・25.5 + As・77.0
= 4.2537(kN/m)
    
Q1−19−7. 底版形状に対して45°の方向に荷重が作用する場合の入力方法
A1−19−7. 本プログラムの作用力は、X軸,Y軸平行に作用するように入力していただく仕様としておりますが、底版形状に対して45°の方向に荷重が作用する場合、下記の2通りの設計で対処できるものと思われます。

■2.5次元解析で設計
 常時,暴風時,レベル1地震時であれば、2軸方向に荷重が作用するケースの計算を行うことが可能と考えられます。
 この場合、橋軸方向に作用する水平力,モーメント、橋軸直角方向に作用する水平力,モーメントを分力として入力してご対処ください。
 2.5次元解析における計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「安定計算および杭体断面力の計算」 に詳しく記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。

■2次元解析で設計
 作用力の向きをX軸,Y軸にし、杭配置(座標)を変更によりご対処くださいますようお願いいたします。
 ただし、この場合は、安定計算,杭体断面力計算のみ可能で、底版照査は適用不可となります。
    
Q1−19−8. 液状化を考慮したケースと無視したケースを同時に計算することはできるか。
A1−19−8. 本プログラムでは、次の設定を行うことにより、液状化の影響を無視したケース,考慮したケースの同時計算が可能です。

■レベル1地震時
「計算条件」−「基本条件」画面において、「レベル1地震時の液状化有無」の「無視」,「考慮」を両方ともチェックします。

■レベル2地震時
「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面において、「液状化」の「無視」,「考慮」を両方ともチェックします。

ここで、液状化を考慮したケースとは、「地層」−「低減係数」画面で入力あるいは計算された土質定数の低減係数DEを、地盤バネや周面摩擦力に考慮した計算を行うことを示しています。ただし、全層のDEが1.000のとき、DEを考慮しても(地盤バネや周面摩擦力にDEを乗じても)結果に相違が生じないことから、本プログラムでは、全層のDEが1.000のとき、上記のスイッチは「無視」に固定し選択できないようにしています。選択不可(グレー表示)となっている場合、「地層」−「低減係数」画面の低減係数DEをご確認ください。

なお、常時,レベル1地震時の計算では、「作用力」−「荷重ケースの設定」画面の「地盤バネ」(「基準値」−「荷重ケース」画面で荷重ケースごとに設定)が「地震時」となる荷重ケースに対し液状化の影響を考慮した計算を行っており、この荷重ケースに対しては、液状化無視/考慮の両方の計算結果を出力しています。

また、橋台基礎のレベル2地震時照査は、道示X6.4.8(P.105)より、液状化の影響を考慮する場合のみ検討を行えばよいと考えています。よって、参考として液状化無視の計算を行うことも可能としておりますが、これらの同時計算を行うことはできません。
    
Q1−19−9. 汎用骨組み解析プログラムで基礎をモデル化するとき、本プログラムで算出されるバネ値のどれを用いたらよいか。
A1−19−9.
杭軸直角方向バネ定数K1〜K4は、杭頭の力と変位との関係を表したもので、道示W12.6.2(P.375)の解説のように、杭1本のバネ値を示しています。杭頭の集約バネであり、ラーメン橋脚やBOXカルバートの断面方向のモデル化で杭を1本ごとに支点バネとして定義する際に用います。
これに対し、基礎バネは、道示W12.7(P.380)(解12.7.2)により求まる基礎天端中心における杭基礎全体のバネ値を示しています。各杭のKvやK1〜K4を集約して求めたもので、一般に、橋梁全体の骨組解析のように、杭基礎全体を一つの支点として定義する場合に用います。
 
また、上記のバネ値は、
・常時,地震時のα・Eo
・固有周期算定用の動的変形係数ED
のいずれかを用いて算出します。
α・Eoを用いて算出されたバネ値は、支承の水平移動量の算定などに用います。これに対し、EDを用いて算出されたバネ値は、固有周期を算定するために橋梁全体をモデル化する場合に用います。また、道示X7.3.2(P.114)の記述、「基礎の変形の影響は、一般に基礎の抵抗を表すバネにより線形でモデル化してよい。ここで、基礎の抵抗を表すバネ定数は、式(解6.2.1)及び式(解6.2.2)による地盤反力係数の基準値を用いて式(解6.2.12)により算出してよい。」より、動的解析を行う場合の基礎の動的バネとしても用います。
 
以上のように、どのような解析モデルに使用するかにより必要とするバネ値が異なります。ご検討の照査内容を勘案し、下記のいずれかの値をご参照ください。
 
■地盤の変形係数α・Eoによるバネ値
・Kv
 「設計条件」−「バネ定数,許容支持力・引抜力,断面二次モーメント」
・K1〜K4
 「安定計算」−「杭軸直角方向バネ定数」
・基礎バネ
 「安定計算」−「杭基礎の剛性行列」
 
■動的変形係数EDによるバネ値
・Kv,K1〜K4
 「基礎バネ計算」−「杭軸直角方向バネ定数,杭軸方向バネ定数」
・基礎バネ
 「基礎バネ計算」−「固有周期算定用地盤バネ定数」
    
Q1−19−10. 底版照査に用いる引張主鉄筋比ptの算出方法
A1−19−10.
底版照査に用いる引張主鉄筋比は『断面図心位置から引張側にある主鉄筋の断面積の総和を全幅×有効高で除した値』として算出しております。
pt=As/(b・d)
ここに、
 As:断面の図心位置から引張側にある主鉄筋の総和(mm2)
 b:部材断面幅(=全幅)(o)
 d:部材断面の有効高(o)
    
Q1−19−11. メイン画面「ファイル」メニューの『柱状図』が選択できない
A1−19−11.
本メニューは、杭基礎側の「予備計算」が実行されていない状態では選択できません。
    
Q1−19−12. 予備計算を行っていない状態で、柱状図のみ出力したい
A1−19−12.
本プログラムでは、Ver.8.04.00にて、「地層」−「N値」画面に測定点ごとのN値の入力を追加し、平均N値の推定および測定点ごと の詳細なN値を用いた液状化の判定が行えるように機能を拡張いたしました。
この機能では、「杭配置」画面が未入力の状態でも出力できるため杭の概略図は出力しておりませんが、その他の部分に関してはメイン画面の 「ファイル」メニューにある柱状図とほぼ同等の入力と出力が可能となっております。
以下は、操作方法の概略となります
 1.「地層データ」画面に入り「N値」タブを選択する
 2.「N値測定点を入力する」チェックボックスにチェックを入れ、深さとN値のデータを入力する
  (※入力方法を「標高入力」に変更すれば測定点位置を標高で入力する事も可能です)
 3.「印刷」ボタンを押し出力を行う。(現行ではプリンタ出力のみに対応しております)

「地層データ」画面のヘルプボタンより開くヘルプも併せてご参照ください。
    
Q1−19−13. 常時,レベル1地震時では浮力の有無のスイッチがないが、浮力の有無はどのように取り扱っているのか。
A1−19−13.
常時,レベル1地震時において、浮力は、
@許容支持力,引抜き力算定時の杭および土の有効重量
Aフーチング下面中心の作用力計算における土砂やフーチングの浮力
Bフーチング許容応力度法照査の断面力計算における土砂やフーチングの浮力
に考慮されます。
 
上記@の計算では、一般に、浮力考慮,浮力無視で変わることはないものと考えることから、本プログラムでは、「地層」−「地層線」−「設計地盤面」画面の「水位(常時)」,「水位(地震時)」を用いた2種類の許容支持力,引抜き力のみ計算し、「基準値」−「荷重ケース」画面の「許容支持力(常時/地震時)」スイッチにより使い分けています。
 
これに対し、上記@,Aに関しては、「作用力」−「柱下端作用力」(あるいは「作用力」−「作用力」)画面の「水位」により、計算に用いる水位を直接指定していただくようにしています。
あらかじめ浮力考慮時の水位,浮力無視時の水位(フーチング下面)を設定し、荷重ケースごとに「浮力考慮」,「浮力無視」スイッチを指定するのではなく、荷重ケースごとに直接水位を指定します。
 
なお、「作用力」画面では、画面上の[水位連動]ボタンにより、前述の「地層」画面の水位を連動することができます。
ただし、前述のように、荷重ケースごとの浮力有無のスイッチを用意しているわけではありませんので、常時は常時水位,地震時は地震時水位が全ケースに一様にセットされます。
お手数ですが、浮力無視ケースについては、[水位連動]を行った後、手動で0.000(m)と設定してください。
    
Q1−19−14. FRAMEで算出した断面力を杭基礎の作用力として入力する場合、柱基部断面力と底版下面作用力のどちらを入力したらよいか
A1−19−14.
杭配置,杭径等を変更して繰り返し計算する場合、底版寸法が変化する可能性がありますので、柱下端作用力を入力し作用力自動計算を行った方がよろしいかと思われます。
なお、算出された作用力は、計算書の「予備計算」−「作用力計算」で計算過程を出力しておりますので、算出された作用力に問題ないかをご確認くださいますようお願いいたします。
    
Q1−19−15. SC杭+PHC杭 杭軸方向バネ定数において、ヘルプに以下のように記載されているが、その出典根拠
※SC杭+PHC杭のとき、PHC杭の断面を用いて算出します。その他の杭種のとき、上杭の断面を用いて算出します。
A1−19−15.
本プログラムにおける『杭の軸方向バネ定数』の算出は、道示W12.6.1(P.373〜)に記載されている考え方にしたがって作成しております。
同道示W(P.374)では、「PHC杭の上杭としてSC杭を用いる場合には、a,Ap,EpはPHC杭の値を使用するものとする。」と記載されており、本プログラムも本記載に従い、SC杭+PHC杭のときはPHC杭の値を用いて算出しております。
    
Q1−19−16. 増し杭計算を行った際「構造系が不安定・・」というメッセージが発生した
既設杭が原因でエラーが発生している場合、データを変更できないがどのように対処したらよいか
A1−19−16.
本プログラムの増し杭工法は、「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H.12.2)社団法人日本道路協会」を参照し作成しております。
本文献は、4.1.5(P.4-64)の「本計算例では、既設杭と新設杭が一体として荷重に抵抗するとした計算方法を示している。」の記述のように、既設杭に荷重を分担させ、既設杭の抵抗を期待した設計を行う方法が記載されています。
既設杭,増し杭の両方で荷重に抵抗する考え方であることから、既設杭に対しても安全性を満足させる必要があります。

前述の「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料」において、「ただし新設杭に比較して既設杭のじん性が極端に低い場合、例えば設計年度の古い既設RC杭や PC杭では、・・・この様な場合は既設杭を無
視した計算を行っても良いと思われる。」とあり、既設杭の鉛直抵抗,水平抵抗を無視した設計法が紹介されております。
既設杭の抵抗を期待しない設計法であれば、既設杭の照査がOUTとなるケースにおいてもOKと判断することも可能かと思われますが、本文献では、既設杭の抵抗を期待しない設計法について詳細が明記されておらず、具体的な設計法が明確でないことから、本プログラムでは本方法には対応しておりません。ご了承ください。

なお、増し杭工法では、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「補強設計(増し杭工法)」に記載しておりますように、
・既設死荷重は既設杭のみが負担する。
・補強に伴う増加荷重は既設杭と増し杭で分担する。
・地震力に対して、既設杭と増し杭で分担する。
として荷重を分担しております。
地震力を伴わない既設死荷重に対しては既設杭のみで負担するものとしておりますが、その他の増加荷重および地震力は既設杭および増し杭の両方で負担します。
したがって、増し杭を増すことで、既設杭の負担を小さくできるものと考えられます。 


    
Q1−19−17. 杭体応力度の結果確認で任意の杭の応力度を確認する方法はあるか
A1−19−17.
[杭配置]-[杭径・杭長の変化]で「あり」を選択した場合は、結果確認、計算書の杭体応力度の出力で、指定の杭体応力度の確認を行うことが可能となります。
    
Q1−19−18. 増し杭工法の場合に群杭が選択できないという理由は何か
A1−19−18.
増し杭による施工を行った場合、群杭として既設杭の形式とどのような兼ね合いを持つかについて明確に示唆する文献がないため、現行では選択不可としております。
    
Q1−19−19. 鋼管ソイルセメントの場合、単位重量は、鋼管+ソイルセメントで考えているのでしょうか?
A1−19−19.
鋼管ソイルセメント杭の単位重量に付きましてはお考えの通りです。
[材料]-[杭体]に単位重量に関するデータと算定式の表記があります。

    
Q1−19−20. 盛こぼし橋台のレベル1地震時の変位の判定を、(地震時+変位荷重)による変位(δ1)から(地震時のみ)による変位(δ2)を引き、さらに、地盤変位(δ3)を引いた変位(Δδ=δ1-δ2-δ3)で判定しているが、Δδ=δ1-δ3で判定すべきではないか
A1−19−20.
NEXCO設計要領第二集(H24.7)(P.4-47)の「レベル1地震時の水平変位について、通常荷重による相対変位及び地盤変位荷重を考慮した相対変位は、5章2-2に示す許容変位量以下でなければならない。」の記述から、以下の2ケースについて照査を行うものと解釈しております。
(1)レベル1地震時の通常荷重による相対変位の変位照査
(2)地盤変位荷重を考慮した相対変位の変位照査
(1)では計算結果の水平変位(δ)から地盤の変位量(δ3)を差し引いた値(δ-δ3)で判定します。(2)では(地震時+変位荷重)の水平変位(δ1)から、(地震時のみ)の水平変位(δ2)を引き(地盤変位荷重のみ)の水平変位を算定しますが、この水平変位と地盤変位の差が照査する水平変位と解釈しております。

    
Q1−19−21. 斜杭の圧密沈下の検討を行う場合、[作用力]-[斜杭の圧密沈下の検討]で入力を行うと、「圧密層内に粘性土層以外が存在しております。その場合計算の妥当性が失われますがよろしいでしょうか。」という警告文が出現するが、どのような意味があるのか。
A1−19−21.
道路橋示方書Wp.622におきまして、「根拠となる実験的・解析的検討での条件から,圧密層表層の沈下量が層厚の5%以下及び1m以下の地盤を適用対象とし,圧密層間に非圧密層が存在するような互層地盤は対象外である。」と記載されております。
そのため、参考文献より原則として圧密沈下の対象とする地層は互層のない粘性土層であるものとして想定しております。
しかし設計者によってはその前提としても互層地盤である場合を想定して計算を行いたいケースがあることを考慮し、プログラム上では非粘性土層を含む互層地盤であっても計算そのものは行うことができるようになっております。
ただし、その場合については添付頂きました画像にもありますように、示方書の前提に則らないため計算の妥当性はないものと考えております。よって、互層地盤を認めた上で計算される場合につきまして設計者によるご判断にお任せするものとしております。

 
Q1−19−22. 操作ガイダンスのようなものがあるか。
A1−19−22. 操作ガイダンスにつきましては、弊社製品は基本的にHP上に公開をしておりますのでご参照いただければと思います。基礎、杭基礎の設計につきましては以下より取得することができます。
http://www.forum8.co.jp/faq/manual-index.htm#kiso

 
Q1−19−23. 杭体応力度を杭毎に確認する方法はあるか。任意の位置の杭体応力度のデータについて確認したい。
A1−19−23. [着目杭指定]にて全ての杭を指定して頂くこと方法が考えられます。ただしこの場合、着目杭指定の制限により2.5次元解析、増杭不可などの計算上の制限が発生致します。
 
Q1−19−24. 杭間隔2.5Dを確保した通常の場所打ち杭と、橋軸方向の杭間隔のみ2.0Dまで縮めた群杭の場所打ち杭。計算すると、レベル2の橋軸方向において、2.5D杭が杭耐力でNG,群杭が全てOKとなった。どのような理由によるものか。
A1−19−24. 杭間隔を広げますと、同じ杭頭鉛直反力で比較した場合、底版下面中心位置での杭頭鉛直反力によるモーメントが大きくなります。
杭頭鉛直反力V、底版中心からの距離Xとした場合、杭頭鉛直反力によるモーメントMpは、
Mp=V×X
となりますので、Xが大きく(杭間隔を広げる)なりますとMpが大きくなります。
すなわち底面作用力モーメントに対する抵抗値が大きくなります。
その結果、基礎の回転に対する抵抗が大きくなり、回転角が減少します。
2.5Dで計算した場合のレベル2地震時で降伏しているケース「Y方向:液状化無視:タイプU:水位無視」で、群杭データと比較しますと、2.5Dデータは、杭頭モーメントで降伏していることがわかります。
先ほどの説明で、杭頭鉛直反力で底版下面作用力に対する抵抗モーメントが変化することを説明しましたが、その結果として杭頭モーメントも変わってきます。
杭頭反力と底版下面作用力は釣り合いますので、道示W(解12.7.6)(P.415)のように、杭頭モーメントMtと杭頭鉛直反力によるモーメントV・xの合計値と底版下面作用力Moは一致します。
(Mti+Vi・xi)=Mo ...(解 12.7.6 ※抜粋)
従いまして、群杭では杭頭曲げモーメントが小さくなったため、降伏にいたらなかった結果となっています。
杭頭曲げモーメントの出方は、上式のように、杭頭反力と杭座標、底版下面モーメントで出方が変わりますので、必ずしも大きくなるとは限りません。(Vi・xi)が大きいですと熱tiはマイナス値ともなり場合があります。
本ケースでは、群杭とした方が小さくなったというケースです。
なお、計算結果画面の「荷重変位関係」をご覧いただければわかりますが、群杭データの方が上部構造変位が大きくなっています。
上部構造変位δは次式で計算しています。
δ=δx+α・hu
δx:底版下面の水平変位
α:底版下面の回転角(rad)
hu:底版下面から上部工慣性力作用位置までの距離
群杭は基礎が回転しやすいためαが大きくなり、変位が大きくなったと考えられます。
レベル2地震時照査の降伏判定では、変位は照査対象ではありませんので影響はありませんが、基礎が降伏し応答変位照査を行う場合では、降伏変位を算定に用いますので影響します。
群杭データでは、基礎は降伏しておりませんので、群杭によるデメリット部分が表面化していないケースとなっています。

 
Q1−19−25. 増し杭施工時に底版幅が下限値入力にも関わらず赤字になるが計算上は問題ないか。
A1−19−25. 入力シート内の制限値判定上の問題であり、表示される入力範囲に入っていれば計算については問題ございません。

 
Q1−19−26. 底版レベル2地震時照査において、せん断照査位置は、内部判定となるか。
A1−19−26. 照査位置は柱あるいは壁前面から底版厚の1/2だけ離れた位置、およびそれより外側の杭中心位置とし、これをプログラム内部で自動セットしております。
照査位置については、計算書の詳細出力で、[レベル2地震時の照査]-[底版照査]-[照査位置]にて出力しております。

 
Q1−19−27. 側方移動の際に斜杭ができないのはなぜか。
A1−19−27. 本プログラムの側方移動の検討は「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO」(平成18年4月)4-1-8(P4-38〜)を参考にしておりますが、「軟弱地盤における側方移動の影響」の照査方法が、そのまま斜杭に適用できるか否か不明なため、斜杭は対象外としております。
 
Q1−19−28. 突出杭と側方移動は同時に考慮できない理由は?
A1−19−28. 「設計要領第二集 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」図4-4-7(P.4-41)のように、設計上の地盤面が底版下面より上方となり、底版下面から側方流動圧を考える範囲に側方流動圧による最大荷重強度Pmaxを頂点とする二等辺三角形として載荷するケースを想定しています。
本文献に突出杭に関する記述があるわけではありませんが、現行では、設計要領に記載された条件のみを対象としており、これ以外の条件の時、警告を表示し計算に移行できないようにしています。

  1−20.段落し自動配筋

 −

  1−21.設計調書 

Q1−21−1.

設計調書の「基礎工詳細設計調書(その2)」の『鉛直変位δz』の算出方法
A1−21−1. 「基礎工詳細設計調書(その3)」の『鉛直変位δz』は、ヘルプの「操作方法」−「メニューの操作」−「設計調書」−『A杭基礎の設計計算』の「1.基礎工詳細設計調書」−「(2)その2 および その3」に記載しておりますように、抽出された荷重ケースのPmax/Raの最大となる杭のPmax/Kvを出力しています。
なお、鉛直変位δzは、安定照査には用いておりませんので、計算書では出力しておりません。

  1−22.地震時保有水平耐力

Q1−22−1.

杭基礎底版前面抵抗の水平地盤反力度について、上限値puの算出方法。
A1−22−1. 計算方法は、「道路橋の耐震設計に関する資料(青本)」p.2-68に記載されています。
道路橋示方書W 解9.8.2より、
PHu=αp・PEp

 αp=1.0+0.5(z/Be)≦30
    N値2以下の軟弱粘性土ではαp=1.0
 z;設計時盤面からの深さ
 Be;基礎の有効前面幅
 PEp;解9.5.(1)(2)による深度zにおける地震時の地盤の受働土圧強度

にて算出していただき、入力して下さい。
 
Q1−22−2. 底版レベル2地震時照査において、「以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが 〜」のようなコメント(詳細欄参照)が表示され、応答塑性率照査を行わない場合があるが、どういう意味か?
A1−22−2. 表示されるコメント
------------------------------
以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが
khcF≦khyF(0.###≦0.###)より、基礎の降伏が生じるが基礎本体あるいは
基礎周辺地盤に塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので基礎の
損傷はそれ以上進展しないと判断される。
上表の青表示は基礎が降伏に達した条件を示しています。
------------------------------

『道路橋の耐震設計に関する資料 (平成9年3月) 社団法人日本道路協会』のP.2-62〜2-63に、基礎の応答塑性率の照査に関する記述があります。
ここに、「……khyFがkhc以下であるが,道路橋示方書V編式(11.4.3)により算出される基礎の地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khcF(=CD・khc)以上の場合には,基礎に降伏が生じるが基礎本体あるいは基礎周辺地盤に塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので,基礎の損傷はそれ以上に進展しないと判断される。」とあり、本プログラムではこれを参照しています。

khcF≦khyFの関係で基礎が降伏に達したとき、応答塑性率の算式、
 μFR=1/2{1+(khcF/khyF)2}
に代入すると、μFR<1の関係になりますが、前述の資料のP.2-63の図-2.3.12より、応答塑性率μFR=1.0となるため、応答変位時=基礎降伏時としています。
このため、応答塑性率の照査結果は出力しておらず、上記の解説文を表示・出力しています。
    
Q1−22−3. Cz・khco<khpの場合、最終震度をCz・khcoまでとしているが、khpまで水平震度を上げる必要はないのか?
A1−22−3. 本プログラムでは、「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面に記載しておりますように、最終震度をCz・khcoとしており、Cz・khcoを超える水平震度に対する計算は行っておりません。
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」(P.8-32)に、「基礎が降伏に達するときの水平震度khyFが地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khcを上回っており、これは2.3.3の基礎の安全性の判定における図-2.3.12(a)の場合に該当する。よって、地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khcに対して、弾性範囲内にあるので安全と判定される。」と記載されています(文中のkhcは改訂道示のCz・khcoにあたります)。
このことから、Cz・khcoより大きな水平震度に対しては照査する必要がないと判断し、Cz・khco<khpのケースでもCz・khcoを最終震度としております。
    
Q1−22−4. 計算分割数はどれくらいの値を指定すればよいのか?
A1−22−4. 本プログラムの杭基礎レベル2地震時照査は、荷重増分法により計算しており、計算分割数により決まる荷重増分が小さい方が(計算分割数が多い方が)計算精度が良くなります。
分割数を増やしていくと結果に差がほとんど生じなくなります。例えば、サンプルデータの「Kui_7.F8F」(逆T式橋台:鋼管杭)では、分割数100と1000の結果に差はほとんど生じません。この場合、分割数100で十分な精度が得られていることになります。
ただし、この状態となる分割数は計算モデルに依存し、事前に適切な分割数を提示することはできません。ご了承ください。
なお、底版前面水平抵抗を考慮する場合、底版前面地盤の弾塑性の影響が大きいので、十分な計算精度を得るために、底版前面水平抵抗を考慮しない場合と比較して、分割数を大きくする必要があると思われます。
 
Q1−22−5. 「地盤データ」画面の『上載荷重』で、浮力無視と浮力考慮が同じである。
A1−22−5. 「地盤データ」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、上載荷重算出用の水位は、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面で設定された『予備計算用水位』を用いております。
『予備計算用水位』が浮力無視/考慮で同じ場合、上載荷重は同じになります。
 
Q1−22−6. 左ツリー部の「流動荷重」が選択できない。
A1−22−6. 「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面で『計算条件=流動化考慮』を選択ください。
なお、入力画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、「地層」−「低減係数」で流動荷重強度>0.000の地層が存在する場合のみ『計算条件=流動化考慮』が選択可となります。

以上より、「レベル2地震時照査」−「流動荷重」画面の入力が可能となります。
 
Q1−22−7. 作用力直接指定によるレベル2地震時照査時において、huは何に用いているのか?
A1−22−7.
荷重変位曲線(作用水平力と上部構造慣性力作用位置の水平変位の関係をグラフ化したもの)を出力するために用いており、具体的には、上部構造慣性力作用位置での水平変位(=基礎天端水平変位δo+基礎天端回転角αo・hu)として算出しております。
以上より、huは底版下面から上部構造慣性力作用位置までの高さを入力してください。
なお、荷重変位曲線のための入力であるため、huを変更しても、基礎の安定計算に影響はありません。
    
Q1−22−8. 釣合鉄筋量の算出方法は?
A1−22−8.
釣合鉄筋量は、道示W7.3(P.176)(2)において、次のように定義されています。
「釣合鉄筋量は、軸方向引張鉄筋が降伏点に達すると同時にコンクリートの縁圧縮ひずみがその終局圧縮ひずみに達するような引張鉄筋量とする。」

釣合鉄筋量の算出方法は以下のとおりです。
 a)引張側の最遠位置のひずみをεsy(鉄筋の降伏ひずみ)、コンクリート圧縮縁のひずみをεcu(終局圧縮ひずみ)として中立軸位置を求める。
 b)各位置のひずみを用いて、コンクリートの圧縮応力度の合力、および圧縮側鉄筋に生じる圧縮力を算出する。
 c)(作用軸力が0なので)コンクリートの圧縮力と圧縮鉄筋の圧縮力の合計値を、鉄筋の降伏点強度で除した面積を、釣り合い鉄筋量とする。
参考)道示V4.2.4(P.141)では、次の様に定義されています。
「コンクリートの終局ひずみと引張鋼材の降伏ひずみが同時に生じる場合をつり合い状態といい、その時の引張鋼材量を終局つり合い鋼材量と呼ぶ。」
(解 4.2.5)を軸力が無い場合に変更すると以下のようになります。
Asb=(b・d・0.68・εcu/(εcu+εsy)・σck+As’・σs’)/σsy
この式ではコンクリートの応力度分布として「図-解4.2.3」(P.140)を用いるのに対し、本プログラムでは「図-解4.2.2」-「(c)」(P.140)の応力度分布を用いておりますが、この点を除けば(解4.2.5)と同じ方法です。
    
Q1−22−9. レベル2地震時の底版前面水平抵抗において、液状化考慮時は前面抵抗を考慮せずに照査したい。
A1−22−9.
「底版前面水平抵抗」画面の『低減係数DEレベル2』に0.0を入力することで、液状化考慮時は底版前面水平抵抗を考慮しない状態となります。(※液状化無視時は底版前面水平抵抗を考慮します。)
    
Q1−22−10. 計算書の最小鉄筋量照査で「Mc=Muとなる鉄筋量」が表示されている場合と「−」の違いは?
A1−22−10.
「Mc=Muとなる鉄筋量」は、曲げモーメントの1.7倍がひびわれ曲げモーメントより大きくなるとき(1.7M>Mcの関係となるとき)出力しています。
    
Q1−22−11. 「作用力を指定する」とは、どのような場合に使用するのか?
A1−22−11.
作用力直接指定によるレベル2地震時照査は、道示X7.4(P.117)に記述されている「動的解析の結果,橋脚の挙動が弾性域にとどまる場合には,橋脚基部に生じる断面力を橋脚基礎に作用する地震力とみなして、6.4.7の規定に基づいて照査を行えばよい。」に対応したもので、入力された作用力に対して、基礎が降伏に達するか否かを計算しています。
現行では、上記の柱基部断面力を指定する方法の他、底版下面中心の作用力を直接与えて照査する方法も用意しております。
具体的な計算は、下記の初期作用力から全作用力まで、荷重を増加させながら計算を行い、全作用力時に基礎が降伏に達しないことを照査しています。

・初期作用力
 V=Vp+V’
 Ho=H’・SW
 Mo=M’・SW
  慣性力の向きが正方向のとき、SW=1
  慣性力の向きが負方向のとき、SW=−1
・全作用力
 V
 H=Hp+WF・kh+H’・SW
 M=Mp+Hp・(底版厚)+WF・hF・kh+M’・SW
ここに、
 Vp:柱基部における鉛直力(kN)
 Hp:柱基部における水平力(kN)
 Mp:柱基部におけるモーメント(kN・m)
 V’:柱基部断面力以外の鉛直力(kN)
 H’:柱基部断面力以外の水平力(kN)
 M’:柱基部断面力以外のモーメント(kN・m)
 h:頂版厚
 kh:地盤面の水平震度
計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「レベル2地震時照査」−「基礎の耐力の照査」−「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」に記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。

なお、作用力直接指定の場合、前述の通り、基礎の耐力照査(設定された全作用力を載荷したときに基礎が降伏に達しているか否か)のみを行っており、応答塑性率の照査は行いません。
詳しくは、ヘルプの「Q&A」−「杭基礎」−「23.地震時保有水平耐力」−「Q23−32」に詳しく記載しておりますのでご参照ください。
    
Q1−22−12. 作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合に柱間の底版レベル2地震時照査を行う方法は?
A1−22−12. 「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]の「(3)作用力を指定する場合」に記載しておりますように、本プログラムでは、作用力を指定して杭基礎レベル2地震時照査を行う方法として、
 @柱基部の作用力を指定し、プログラム内部にて底版下面中心の作用力を算出を行い、この作用力を用いて照査する方法
 A底版下面中心の作用力を直接指定する方法
の2種類を用意しております。
ただし、@の柱基部の作用力を指定する方法は、単柱橋脚のみのサポートとしており、多柱式橋脚の場合、Aの方法により照査していただく必要があります。
よって、本件につきましては、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面で「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う=する(底版下面作用力)」と設定したあと、同画面の「基本条件(杭基礎)」において、底版下面中心の初期作用力(=死荷重時の作用力),全作用力(=慣性力が作用した状態における全荷重)を別途算出し、直接入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。
これにより、「底版設計」−「計算条件」画面の「レベル2地震時照査:連続フーチングの柱間照査」が選択できるようになりますので、安定計算を実施した後、「計算・結果確認」−「底版照査」−「X方向」−「柱基部断面力」画面にてそれぞれの柱の断面力(断面照査時の柱基部の断面力)を入力し、底版レベル2地震時照査を行ってください。
    
Q1−22−13. レベル2地震時基本条件の計算条件の「上限値pHuの取扱い」にある「L/DE」とは?また計算のどの部分に用いられているのか。
A1−22−13.
レベル2地震時照査では、杭前面地盤の非線形性を考慮した照査を行っておりますが、砂質地盤の水平地盤反力度の上限値は、道示W(P.409)のとおり、最前列/2列目以降で異なり、2列目以降の上限値を1/2とします。

しかしながら、増し杭工法で既設杭の外側に増し杭が増設されたとき(全杭を考えたとき既設杭が最前列とならないとき)、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を1/2とするか否か、道示において明確な規定がありません。
したがって、本プログラムでは、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を1.0とするか、1/2とするかを選択していただくようにしております。

ここで、「上限値pHuの取扱い」に表示される「L/DE」は、「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書(その3)(平成14年9月)」の
・既設杭径DE/増し杭径DM≧3.4
・増し杭1列目から既設杭1列目までの距離L/既設杭径DE≧1.8
をいずれも満たすとき、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を低減せず1.0として評価してよいとの記述を参照し、参考値として表示しているもので、計算には用いておりません。
    
Q1−22−14. 壁式橋脚の橋軸直角方向に対してのみ、基礎の塑性化を考慮した設計を行うものと考えていたが、橋軸方向に対しても考慮しても良いのか。
A1−22−14.
旧道路橋示方書X(H8.12)の5.2(2)2),11.1におきまして、「橋軸直角方向において橋脚躯体が設計水平震度に対して十分大きな終局水平耐力を有している場合」という記述があり、橋軸直角方向に限定して応答塑性率の照査を満足すればよいとされておりましたが、改訂後の道示X(H14.3) 6.4.7(3),12.1におきましては、『橋軸直角方向』との記述が削除されており、方向に依存せず、橋脚躯体が十分大きな水平耐力を有している場合は応答塑性率の照査を満足すればよいという記述となっております。
したがって、本プログラムでは、橋軸方向に対しても応答塑性率の照査を行っています。
    
Q1−22−15. 盛りこぼし橋台の設計において基準変位量Soには何を入力すればよいか
A1−22−15. 「杭の基準変位量So」についての情報を持っておらず、適切な返答ができません。ご了承ください。

レベル2地震時の地盤反力係数は、「設計要領第二集 橋梁建築編(H18.4)」の図4-4-21(P4-57)におけるワイブル曲線にて推定すると規定されておりますが、本項における基準変位量So(=ひずみ1%)をどのように算出すべきか明確な記述がなく、本説明から把握することができません。
このため、設計者の方のご判断で入力していただく仕様としております。
    
Q1−22−16. 「レベル2地震時基本条件」−「計算条件B」画面の照査判定用の軸力の取扱いはどれを選択したらよいか
A1−22−16.
杭基礎設計便覧(P.303の4行目)では、「仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントの算定においては軸力Nを零とする。」と記載されております。
これより、仮想鉄筋コンクリート断面My算出用の軸力は「軸力=0」で良いのではと思われますが、杭基礎設計便覧(P.303の5行目)に、「ただし、レベル2地震時の照査において、基礎に主たる塑性化を考慮する場合は・・・・」と記載されております。
取り方によっては、(P.303の4行目)の「軸力Nを零とする。」は「基礎に主たる塑性化を考慮しない」場合に対してと読み取ることもできます。
以上より、杭基礎設計便覧では軸力の取扱いが詳しく明記されておりませんので、本プログラムは、
 (1)降伏判定用
 (2)基礎に主たる塑性化を考慮するとき
 (3)基礎に主たる塑性化を考慮しないとき
に用いる仮想鉄筋コンクリート断面My算出用の軸力を選択していただく仕様としております。
杭基礎設計便覧をご参照いただき、最終的には設計者の方のご判断により選択してください。
    
Q1−22−17. 2柱式のフーチングで断面力の耐力照査を行いたい
A1−22−17.
レベル2地震時照査につきましては、次の手順にて入力,計算を行ってください。

1)「底版設計」−「計算条件」画面の【連続フーチングの柱間照査】で『連続フーチングの柱間照査=する』と指定する。
2)レベル2地震時の安定計算を行う。
3)「計算・結果確認」−「底版照査(レベル2)」結果確認画面を開き、「X方向」−「柱基部断面力」で、断面照査時の『柱基部断面力』を入力する。
4)同画面の「曲げ照査」,「せん断照査」に移動し、照査結果を確認する。

なお、連続フーチング柱間レベル2地震時照査を行うには、底版自重,上載土重量,浮力,杭頭反力,および部材照査時の各柱基部の作用力が必要となりますが、例えば、ラーメン橋脚において柱基部断面力を算出する際に部材の曲げ剛性等をどのように評価して算出すべきか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありませんので、設計者の方のご判断により別途算出された部材照査時の荷重状態における柱基部断面力を直接入力していただくようにしております。
部材照査時の荷重状態は次のとおりです。
・基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時

詳しくは、各入力画面,結果確認画面の[ヘルプ]をご参照ください。
    
Q1−22−18. 基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件にもかかわらず、応答塑性率の照査が行われない。これはなぜか?
A1−22−18. 「レベル2地震時基本条件」−「計算条件A」画面の「橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」をご確認ください。
本スイッチは、道示X12.1(P.211)の「ただし、橋脚基礎に主たる塑性化が生じることを考慮する場合には、主たる塑性化が橋脚基礎にのみ生じるようにするために、図-解12.1.2に示すように、基礎の降伏耐力が橋脚の終局水平耐力あるいは橋脚躯体基部に生じる断面力を上回らないことを確認するものとする。」に対応したもので、基礎が降伏に達したときの水平震度khyFを用いて、
 khyF≧khp・・・・橋脚基部に主たる塑性化が生じる
 khyF<khp・・・・基礎〜地盤系に主たる塑性化が生じる
により、橋脚基部に主たる塑性化が生じているか否かを判断し、khyF≧khpの関係で基礎が降伏に達したとき、応答塑性率の照査を行いません。

また、作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う場合、基礎の耐力照査(設定された作用力を載荷したときに基礎が降伏に達しているか否か)のみを行っており、応答塑性率の照査は行っておりません。

この他、「A1−22−2」の条件も考えられます。こちらも合わせてご参照ください。
    
Q1−22−19. 「レベル2地震時照査」−「地盤データ」の「杭間隔÷杭径」はどの計算に用いられ、どこに影響するのか?
A1−22−19.
杭間隔÷杭径は、道示W12.10.4の解12.10.8(P.409)の
 ηp・αp=荷重載荷直角方向の杭の中心間隔/杭径
を指しており、次に示される、砂質地盤の群杭効果を考慮した水平地盤反力度の上限値の補正に用いられます。
pHu=ηp・αp・pu
ここに、
pHu:水平地盤反力度の上限値
pu:地震時の受働土圧強度

杭間隔÷杭径が異なった場合、水平地盤反力度の上限値が変わるため、杭前面地盤に塑性化領域が生じるケースでは、杭前面地盤抵抗が異なり、基礎の挙動に影響を与えます。
詳しくは、上記道示をご参照くださいますようお願いいたします。
    
Q1−22−20. レベル2地震時の計算書において、(1)杭,(2)杭・・・とあるが、これはどの杭を示しているのか?
A1−22−20.
本プログラムでは、水平地盤で杭径,杭長が全杭同一となるとき、全杭の結果は出力せず、条件が同一となる杭をまとめ (1)杭,(2)杭・・・として結果出力を行っています。
(1)杭,(2)杭の分け方については下記説明をご参照ください。

杭体のM−φ関係,水平地盤反力度の上限値が同一の杭の場合、レベル2地震時照査結果は、杭頭から杭先端までの杭体状態量(曲げモーメント,せん断力,変位)分布が同じになります。これに対し、杭体のM−φ関係,水平地盤反力度の上限値が異なる杭の杭体状態量分布は異なります。
本プログラムでは、杭体状態量分布が同一となる杭を同一タイプとし、このタイプ番号を(1)杭,(2)杭,・・・としています。

例えば、道示W12.10.4に記述されていますように、コンクリート杭の場合、杭体のM−φ関係は
 (A)図心より押込み側(軸力=死荷重時反力)
 (B)図心位置および引抜き側(軸力=0.0)
で異なります。
また、水平地盤反力度の上限値は
 (a)最前列
 (b)2列目以降
で異なります。
これらを組み合せる事により、
 (1)杭:最前列の杭
  ・M−φ関係:(A)図心より押込み側(軸力=死荷重時反力)
  ・地盤反力度の上限値:(a)最前列
 (2)杭:2〜3列目の杭
  ・M−φ関係:(B)図心位置および引抜き側(軸力=0.0)
  ・地盤反力度の上限値:(b)2列目以降
のようにタイプが割り振られます。

計算書の「レベル2地震時の照査」−「荷重変位曲線」の出力において、(1)杭,(2)杭の説明を出力しております。また、「液状化無視/考慮,地震動タイプT/U,水位無視/考慮」の出力に、それぞれのタイプ番号に該当する杭を杭配置図で図示しておりますので、こちらでご確認くださいますようお願いいたします。
    
Q1−22−21. レベル2地震時の降伏判定に杭頭部の耐力(仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy)が用いられているが、これはどのような理由によるのか?
A1−22−21.
平成8年道示W10.9.3(P.371)において、「仮想鉄筋コンクリート断面の耐力は,杭本体と同程度以上とするのが望ましい。」という記述が追加されました。
また、その後、平成9年に発刊された「道路橋の耐震設計に関する資料社団法人日本道路協会」(P.4-33)において、「したがって、杭頭部における杭体の曲げモーメントM−曲率φの関係としては鋼管杭と結合部の仮想鉄筋コンクリート断面のうち降伏曲げモーメントの小さい方を用いる必要がある。ただし、杭基礎全体の耐力を向上させるという観点から、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力は、配筋上制約のない範囲内で鋼管杭本体の耐力以上とするのが望ましい。」との記述が記載されています。

上記の道示および青本の記述は、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を杭体と同程度以上とした設計を行うことを期待するが、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を杭体以上とすることができない場合、その小さい方を用いて基礎の降伏判定を行う必要があることを示しております。
本プログラムでは、上記を参照し、杭頭部の降伏判定には、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力と杭体の耐力のうち小さい方を用いています。

なお、平成19年1月に発刊された杭基礎設計便覧において、レベル2地震時における杭頭部の照査方法が明確に規定されました。
よって、現行では、杭基礎設計便覧に準じた杭頭部の照査を満足すれば、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を用いて降伏判定を行うケースは少ないものと考えられます。
ただし、例えば既設照査等においては、必ずしも杭頭部の耐力が杭体と同程度以上となっていないことが考えられます。この場合、前述の青本の記述が適用され、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を用いて降伏判定が行われます。
    
Q1−22−22. 3列杭のレベル2地震時照査結果において、降伏時の最大曲げモーメントに着目すると、1,2杭は制限値である降伏曲げモーメントと一致しているが、3杭は制限値を超えた状態となっている。制限値を超えた状態となるのはなぜか。
A1−22−22.
本プログラムのレベル2地震時照査では、基礎が降伏に達したとき、降伏に達した状態の結果を表示,出力しています。

道示X12.3(P.217)に記述されていますように、杭基礎の降伏は、
 (1)全ての杭において杭体が降伏する。
 (2)一列の杭の杭頭反力が押込み支持力の上限値に達する。
のいずれかに最初に達する状態となります。

本ケースの場合、上記の(1)に該当しています。
3列目の最大曲げモーメントが制限値(降伏曲げモーメントMy)に達しても、1,2列目の杭列がMyに達していない場合、基礎が降伏したとは判断せずさらに水平震度を増加させて計算を行います。
最終的には、「全ての杭において杭体が降伏する」、つまり1,2列目の杭列がMyに達して初めて基礎が降伏したと判断され、この状態を降伏時の状態として表示,出力します。
よって、1,2列目の杭列はMyと一致し、3列目については制限値を超えた状態となっています。
    
Q1−22−23. レベル2地震時照査―基本条件のkhgはCzをかけた値を入力するのか?
A1−22−23.
「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面の『khG』は、道示X6.4.3(P.89〜)の「khg=Cz・khgo」を入力して下さい。
    
Q1−22−24. 作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合の初期作用力,全作用力は具体的には何を示しているのか。
A1−22−24.
初期作用力,全作用力とは、次の荷重を示しています。

■初期作用力
初期作用力とは、死荷重時(慣性力が作用しない状態)における底版下面中心の作用力となります。
なお、初期水平力,初期モーメントは通常0となりますが、柱中心位置と底版下面中心位置が一致していない、橋脚形状,上部工反力が左右非対称で偏心モーメントが生ずる、死荷重時に水平力が作用している等により発生する荷重がある場合、入力してください。
■全作用力
慣性力が作用した状態における底版下面中心の全荷重となります。
「柱基部断面力」を指定する場合であれば、指定した柱基部断面力より底版下面中心の全作用力を内部計算し、この作用力を用いて照査します。これに対し、「底版下面作用力」を指定する場合であれば、底版下面中心に作用する荷重を直接指定してください。
    
Q1−22−25. 底版レベル2地震時照査における降伏曲げモーメントはどのように算出されるのか?
A1−22−25.
以下の条件にて算出しております。
・コンクリートの応力度−ひずみ曲線:道示V図−4.2.2
・鉄筋の応力度−ひずみ曲線:道示V図−4.2.3(a)
・考慮する鉄筋:引張側のみ(圧縮側鉄筋無視)

本プログラムでは、上記の条件にて、中立軸を仮定し各要素の応力度を積分し軸力を求め、作用軸力(底版の場合は0)と比較することで最終的な中立軸位置を求める(中立軸を移動し計算を繰り返す)という収束計算を行っています。
    
Q1−22−26. レベル2地震時の照査で「M−φ関係において、My≦0.0,Mu≦0.0となるケースが発生しました。」というメッセージが表示されるが、どういう状態を表しているのか?
A1−22−26.
本警告は、軸力変動を考慮したレベル2地震時照査を行う場合に表示されます。

本プログラムでは、レベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、「レベル 2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面の『分割数』より、水平震度0.0から最終水平震度までを何分割して計算するかを入力していただき、死荷重時から最終水平震度まで水平震度を増加させながら計算を行います。
軸力変動を考慮した照査では、この分割されたステップごとに、各杭列の杭頭反力を軸力としてM−φ関係を再定義し、より厳密に杭体の曲げ剛性を評価した照査を行います。
ただし、レベル2地震動による慣性力を考慮した杭頭反力を軸力とするため、慣性力が作用する押込み側では軸力が非常に大きくなり、逆に引抜き側では引抜き力(負値の軸力)が生じます。
通常の設計では、死荷重時あるいは軸力を零としてM−φ関係を算出しますが、上記の通り、軸力変動を考慮する場合、大きな押込み力,引抜き力を軸力とするため、軸力が範囲外となりM−φ関係を算出することができず、Mc<My<Mu,φc<φy<φuの関係とならない場合や、M−φ関係が負値となるケースが生じます。
本プログラムでは、このようなケースの時、計算を中断し、計算不能としております。

なお、計算書の詳細出力である「レベル2地震時の照査」−「液状化無視/考慮・地震動タイプT/U・浮力無視/考慮」の「・M−φ関係」により、計算不能となる直前の杭体のM−φ関係を確認することができます。
    
Q1−22−27. 有効長とは?
A1−22−27.
入力画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、有効長dはレベル2地震時照査時のM−φ算出に用いており、道示X10.4(P.160〜)記述のdを示しています。この値を入力してください。
なお、P.162には、「図-解10.4.1に示すように、円形断面の場合には、帯鉄筋によって拘束される内部コンクリートの直径を用いる」と記述されています。

    
Q1−22−28. 杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1の算出方法
A1−22−28.
杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1は、 
Mp1=Σ(PNi・Xi)/L  

Xi:照査断面から各杭中心までの距離(m) 
L:奥行き幅(m)
となります。
なお、計算書の「レベル2地震時の照査」−「底版照査」−「断面力算出」−「b)杭反力」の出力において、杭頭反力による曲げモーメントMp1(鉛直反力),Mp2(水平反力),Mp3(モーメント)を出力しておりますので、ご参照ください。
(「断面力算出」で出力している照査位置は、平面図上でY方向は下から上,X方向は左から右の順に出力しております。)
    
Q1−22−29. レベル2の最小鉄筋量の照査は必要か
A1−22−29.
本件につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「レベル2地震時照査」−「基礎の非線形性を考慮した解析方法」−「底版照査」の『最小鉄筋量照査』に記載しておりますのでご参照ください。

「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」の「2.鉄筋コンクリート橋脚を用いた場合の設計計算例」では、フーチングの最小鉄筋量照査は許容応力度法照査に対して行っており、地震時保有水平耐力法照査では行っておりません。
本プログラムでは、当初、この方法を参照し、橋台,橋脚ともにレベル2地震時では最小鉄筋量照査を行っておりませんでしたが、その後、複数のユーザ様から、レベル2地震時においても最小鉄筋量照査を行うことができるようにしてほしいとのご要望をいただき、「基礎の設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5 (Ver.5.00.01)」(2006/02/14リリース)において、「底版設計」−「計算条件」画面に照査の有無の選択を設けました。

このような経緯があり、本プログラムでは、最小鉄筋量照査を行うことができるようになっておりますが、文献,基準類等に照査が必要と明記されているわけではございませんので、最小鉄筋量照査を行うか否かにつきましては、設計者の方のご判断で決定してくださいますようお願いいたします。
    
Q1−22−30. 作用力を指定してレベル2地震時照査を行うときの『地盤面の水平震度kh』は何に用いているか?
A1−22−30.
『地盤面の水平震度kh』は、「底版慣性力」および「突出時の杭体慣性力」の算出に用いております。
底版下面中心における作用力を直接入力する場合は、突出時(底版下面〜耐震設計上の地盤面間)の杭体慣性力の算出のみに用いております。
    
Q1−22−31. 地震時保有水平耐力法による橋脚基礎の照査に用いる設計水平震度Khpは、どのように使われているか?
A1−22−31.
杭基礎のレベル2地震時照査では、水平震度0.0〜Cz・khcoを計算範囲としています。
橋脚に生じる応答が塑性域に達する場合は、khp<Cz・khcoの関係のケースで、この場合、上部構造および橋脚躯体の水平震度の上限はkhpとしています。
一方、橋脚に生じる応答が弾性域にとどまる場合は、Cz・khco<khpの関係のケースで、この場合、khpではなく、Cz・khcoまでを計算範囲としています。
本プログラムは、「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、上記のとおり、0.0〜Cz・khcoを計算範囲とし、上部構造および橋脚躯体の水平震度khiは0.0≦khi≦khpの範囲でkhi、khp<khi≦Cz・khcoの範囲でkhpとしています。

 鉛直力 V=Vo
 1)0.0≦khi≦khpのとき
  水平力   H=(Wu+Wp)・khi+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
  モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khi+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
 2)khp<khi≦Cz・khcoのとき
  水平力   H=(Wu+Wp)・khp+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
  モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khp+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
    
Q1−22−32. 断面力算出の照査位置Lは引抜き側からの距離?
A1−22−32.
計算書の「レベル2地震時の照査」−「底版照査」−「断面力算出」の『照査位置』は、 Y方向:平面図上で下からの距離 X方向:平面図上で左からの距離となります。
    
Q1−22−33. 「橋脚の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕がない場合でも基礎の応答塑性率照査を行う方法はあるか?
A1−22−33.
応答塑性率の照査は、橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している場合、あるいは液状化が生じる場合に行うことが可能ですが、「橋脚の設計」,「基礎の設計計算,杭基礎の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕があるか否かは、「橋脚の設計」側で自動的に判定され、これを任意に変更することはできません。
したがって、この場合、基礎単独設計にてご検討いただくことになります。
基礎単独設計であれば、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面の「橋脚の終局水平耐力」により、橋脚の終局水平耐力に大きな余裕があるか否かを変更することができるため、便宜的に「余裕がある」と設定することにより、基礎が降伏に達した場合、応答塑性率の照査,応答変位の照査を行うことが可能となります。

なお、基礎単独設計を行うには、
@橋脚連動時に基礎側メニューの「ファイル」−「名前を付けて保存」より基礎単独ファイル(*.F8F)を保存し、保存したファイルを読み込む。
A 基礎単独にて起動し、新規作成状態から「地層」,「基本条件」,「形状」,「予備計算」までを設定したあと、橋脚側のメニューの「ファイル」−「基礎連動用XMLファイル」より連動ファイルをエクスポートし、基礎側のメニューの「ファイル」−「橋脚連動用XMLファイル」よりインポートすることにより、基礎の設計に必要な柱形状,作用力,設計水平震度等を読み込む。
のいずれかの方法にて行ってください。
    
Q1−22−34. 作用力直接指定によるレベル2地震時照査を行う場合、プッシュオーバー解析を行っているのか?
A1−22−34.
本プログラムの杭基礎レベル2地震時照査は、プッシュオーバー解析として荷重増分法を採用しており、これは作用力を直接指定する場合においても同様です。
具体的には、死荷重時から全作用力まで、徐々に荷重を増加させながら地盤および杭部材の非線形性を考慮した計算を行っています。
    
Q1−22−35. 盛りこぼし橋台の杭基礎の設計において、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時であっても、レベル2地震時の杭頭部の照査が行われない理由は?
A1−22−35.
盛りこぼし橋台は、「設計要領第二集 橋梁建設編 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」に準じた設計法で、杭の変形性能の照査として、全杭体の曲率が許容曲率塑性率以下となることを照査します。
これに対し、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査方法は、「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」(P.303〜)に規定された設計法で、基礎に主たる塑性化を考慮するか否かにより、
■基礎に主たる塑性化を考慮する場合
 杭体の降伏曲げモーメント≦仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメント
■基礎に主たる塑性化を考慮しない場合
 杭頭発生曲げモーメント≦仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメント
として照査します。
両者は基本的な設計方法が異なっており、盛りこぼし橋台に対し、単純に仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントと杭体の降伏曲げモーメントまたは杭頭発生曲げモーメントと比較することにより照査してもよいか判断することができません。
また、盛りこぼし橋台では、全ての杭において杭体が塑性化し、道示の考え方によれば降伏するとみなされる状態となったとしても、杭の変形性能の照査を満足すればよいと規定されており、基礎に主たる塑性化を考慮するか否かは設計において考慮されていません。

以上のように、盛りこぼし橋台における杭頭部のレベル2地震時照査は、その照査方法が明確でないと判断されるため、現行では設計対象外としています。
    
Q1−22−36. 「橋脚の設計」,「橋台の設計」との連動時、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件におけるレベル2地震時照査を行う方法は?
A1−22−36. 地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件において、杭基礎レベル2地震時照査を行う場合、「2.5次元解析」により計算する必要があります。
具体的には、次のように設定します。
(1)データファイルを読み込む。
(2)橋脚,橋台側の「初期入力」画面で『基礎形式=杭基礎(2.5次元解析)』を選択する。
(3)橋脚,橋台側の「計算確認」モードより計算実行する。
(4)基礎側の「計算条件」−「基本条件」画面で『レベル2地震時照査=する』を選択する。
(5)基礎側の紫色で表示している未確定状態の入力画面(「着目杭指定」等)を、全て入力確定状態にする。
(6)基礎側の「計算・結果確認」−「レベル2地震時計算」をダブルクリックする。
    
Q1−22−37. 「レベル2地震時照査」−「基本条件」−「基本条件(杭基礎)」画面の鉛直力算出用水位と予備計算用水位は何に影響するのか。
A1−22−37. それぞれ次を示しています。

■鉛直力算出用水位
底版,上載土,および橋脚躯体の浮力の算出に用いており、底版下面における鉛直力に影響します。

■予備計算用水位
極限引抜き力や上載荷重、受働土圧強度等の算出に影響します。

鉛直力算出用水位は底版下面の鉛直力を算出するための水位であるため、底版下面以深となるよう設定しても結果に影響はありません。これに対し、予備計算用水位は極限引抜き力や受働土圧強度に影響するため、底版下面以深に対しても適切に設定する必要があります。
浮力無視時の予備計算用水位を地震時水位とすべきか底版下面位置とすべき判断することができないため、現行では、選択スイッチを設け、設計者の方のご判断として設定していただくようにしています。
    
Q1−22−38. 杭基礎レベル2保耐時に鋼管杭の場合せん断耐力照査を行わないのはなぜ?
A1−22−38. 道示W12.10.5(P.414)に、「鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭及びSC杭においては、(中略)杭体の塑性化においては曲げモーメントの影響が支配的であることから、せん断耐力の照査は省略してよい。」と記載されております。
よって、上記杭種の場合は、せん断耐力照査は行っておりません。
    
Q1−22−39. 場所打ち杭の杭頭結合部の耐力照査(L2)において、杭頭結合部と杭体の鉄筋量が同じであるにも関わらず、杭頭結合部の降伏曲げモーメントMyの方が小さく判定がOUTとなる。これはなぜか。
A1−22−39. 場所打ち杭で杭体の主鉄筋が杭頭補強鉄筋をなすとき、杭体と杭外径+200(mm)とした杭頭結合部の仮想鉄筋コンクリート断面とを比較すると、コンクリートの設計基準強度および軸力が同じと仮定すれば、より断面の大きい杭頭結合部の方が降伏曲げモーメントMyは大きくなるものと考えられます。

ただし、本プログラムでは、「レベル2地震時基本条件」−「計算条件B」画面において、「仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy算出用の軸力の取扱い」の選択を設けています。
本選択は、仮想鉄筋コンクリート断面のMy値を算定する際の軸力の取扱いを指定していただくものですが、本選択を「軸力=0」とした場合、場所打ち杭の押込み側では、
・杭体=死荷重反力によるMy値
・杭頭結合部=軸力0によるMy値
とした条件により算定されるため、この場合であれば、軸力を0とした杭頭結合部の方がMy値が小さくなるケースが生じます。

なお、上記スイッチにつきましては、設計者の方のご判断として選択してください。
    
Q1−22−40. レベル2地震時基本条件−計算条件Bの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査で「1列(本)ごとに照査」「全列(杭)で照査」が選択できるが、どちらを選択したらよいか
A1−22−40. 本プログラムの仮想鉄筋コンクリート断面の照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)6-3-2(P.301)を参照し作成しておりますが、本文献では、一部 の杭列のみ杭体の降伏曲げモーメントあるいは杭頭発生曲げモーメントが仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントを超えたとき、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を満足したとみなすべきか否か、明確な記述がありません。

ただし、杭基礎設計便覧の執筆者による各論(基礎工2006.12月号.P.048〜)では、
・結合部に損傷が生じた場合の基礎の挙動や変形性能は、現在のところ不明である。設計法を確立するためには、今後も実験や万が一損傷が生じた場合の補修方法などの研究が必要である。
・基礎の許容塑性率に関するこれまでの実験的研究については、杭頭結合部に損傷が生じる場合を想定していない。したがって、確実に基礎で塑性化を先行させるためにも、杭頭結合部をフーチング−杭体間で確実に荷重伝達が行えるような構造としておく必要がある。
とあります。
本記述は、結合部に損傷が生じた場合の基礎の挙動は未解明な部分が多く、今後の研究成果により設計法が確立されるまでは確実に安全性が確保される構造とする必要があると述べているものと考えられます。

本プログラムでは、上記の記述を参照し、本照査に対応したVer.6.01.00においては、安全側の評価となるよう、部分的にでも杭頭結合部に損傷が生じるケースは許容せず、1列でも仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントを超える杭列が生じたとき、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を満足しないもの と考え、最終的な判定をOUTとしておりました。
しかしながら、その後、他のユーザ様より、一部の杭の杭頭部が損傷を受けたとしても、ただちに基 礎全体の挙動が不安定とはならないケースも考えられることから、部分的に杭頭に損傷が生じることを許容した照査を行ってもよいのではないかとのご意見,ご要望をいただき、Ver.6.04.00において、お問合せの選択を設けました。

ただし、前述のとおり、杭基礎設計便覧には、本選択に関する明確な記述はありません。

最終的には設計者の方のご判断により選択してくださいますようお願いいたします。
なお、「1列(本)ごとに照査」が部分的な損傷を許容せず、全杭の耐力を満足して初めてOKと判断する方法、「全列(杭)で照査」が部分的な杭頭結合部の損傷を許容する方法となります。
    
Q1−22−42.
レベル2地震時の計算で表示されるメッセージについて解説してほしい。
------------------------
構造系が不安定になりました。
支持力の上限値に達していない杭が2列以上なく、且つ、全杭の杭頭に塑性ヒンジが
発生しました(杭頭M≧Mu,Mp)。
-------------------------
A1−22−42. 本プログラムは、杭基礎のレベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、死荷重時から最終水平震度まで水平震度(荷重)を増加させながら地盤および杭部材の非線形性を考慮した計算を行っています。
このときの解析モデルは、道示W12.10.4(P.409)図-解12.10.1のとおりで、杭頭の鉛直バネ(杭軸方向バネ定数KvE)により鉛直方向(杭軸方向)の荷重に抵抗し、また杭頭から杭先端までの水平バネ(水平方向地盤反力係数kHE)により水平荷重に対して支持されます。これらの杭は、剛体と仮定したフーチングに杭頭が剛結された状態です。
この解析モデルを用いて、水平震度(荷重)を増加させながら計算を行う過程において、杭頭モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した場合、杭頭に塑性ヒンジが発生した状態となります。杭頭部がピン結合された状態と等しくなるため、杭頭に作用する回転に対し抵抗することができません。
また、杭頭鉛直反力が押込み支持力あるいは引抜き支持力の上限値に達した場合、これ以上の鉛直荷重(杭軸方向力)に対し抵抗することができません。

ここで、全杭の杭頭に塑性ヒンジが発生した場合、全杭の杭頭がピン結合された状態であることから、基礎に生じる回転に対して抵抗できるのは杭軸方向の抵抗のみとなります。
押込み/引抜き支持力の上限値に達していない杭が2列以上残っていれば、これにより基礎の回転に抵抗することができますが、上限値に達していない杭が1列しかない場合、基礎の回転に抵抗することができず、力の釣合がとれなくなり、構造系が不安定となります。

構造系が不安定となった場合、結果を得ることができないことから、本メッセージを表示し、計算を中断しています。
計算不能となる直前の状態を参考値として出力していますが、この参考値を近似値として採用することはできません。
本出力を参照していただき、必要に応じて構造諸元の見直し等を行ってください。
    
Q1−22−43. 杭基礎レベル2地震時の最大曲げモーメントの抽出結果が実際の最大曲げモーメントとなっていないのはなぜか。
A1−22−43. 図をご参照ください。本画面は杭基礎レベル2地震時の結果確認画面ですが、グラフは、杭体の曲げモーメント分布(赤線),降伏曲げモーメント分布(青点線)を示しています。
本例では、杭頭から11.4(m)位置の杭体曲げモーメントが降伏曲げモーメントに達し、杭体が降伏しています。しかしながら、杭体の降伏が発生しているのは、最大曲げモーメント発生位置ではありません。
これは、11.4(m)位置で主鉄筋の段落としが行われ、第1区間は大きな降伏曲げモーメント,第2区間は小さな降伏曲げモーメントとなっているためで、最大曲げモーメントが発生する第1区間は降伏曲げモーメントに対して余裕があり、逆に第2区間は降伏曲げモーメントに対して余裕がない状態となっています。よって、最大曲げモーメント発生位置とは異なる第2区間(段落とし位置)において杭体が降伏しています。

多くのケースでは、最大曲げモーメント発生位置が杭体の降伏に対して最も厳しくなりますが、上記の例のように、段落としが行われる場合、必ずしも最大曲げモーメント発生位置にて杭体が降伏に達するとは限らないことから、本プログラムでは、基礎の降伏に対して最も厳しい箇所の結果を抽出し、これを最大曲げモーメントの欄に出力しています。
具体的にどのような方法にて抽出されたかについては、計算書の「レベル2地震時の照査」−「計算結果一覧表」の条件1〜条件4にてご確認いただけますのでご参照ください。



    
Q1−22−44. 杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyの計算に帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しているのか。
A1−22−44. 降伏曲げモーメントMyの算出に用いるコンクリートの応力度−ひずみ曲線は、
(1)道示V4.2.4(横拘束効果なし)
(2)道示X10.4 (横拘束効果あり)
がありますが、本プログラムの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMy計算では、上記(1)の道示Vを用いています。
よって、帯鉄筋(横拘束筋)はMy計算に用いておらず、底版内仮想鉄筋コンクリート断面の帯鉄筋の入力は設けておりません。

ここで、道示Vのコンクリートの応力度−ひずみ曲線を用いているのは、
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」
・「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」
の設計計算例等を参考としたものです。
道示,杭基礎設計便覧等の基準・文献において、道示Vを用いるべきか道示Xを用いるべきか明確な記述がないことから、現行では、上記の設計計算例等を参考とし、道示Vとしています。
    
Q1−22−45. 「橋脚の設計」連動時、底版下面中心における作用力を直接指定する方法
A1−22−45. 「橋脚の設計」との連動時は、下記手順にて底版下面中心における作用力を直接指定することができます。
(1)橋脚側の「考え方」−「保有耐力法」−「はり・フーチング・基礎」画面で『レベル2地震時の作用力を直接指定する』にチェック(レ)する。

(2)杭基礎側の「レベル2地震時基本条件」−「基本条件」画面で『作用力を指定してレベル2地震時照査を行う=する(底版下面作用力)』を選択する。
(3)「基本条件(杭基礎)」画面で作用力を入力する。

詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]をご参照くださいますようお願いいたします。
    
Q1−22−46. 「レベル2地震時基本条件」−「計算条件A」画面において、「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」の項目を設けている理由は?
A1−22−46. 現行道示の耐震性能の照査では、橋全体系として考えたときの部材(橋脚,基礎,免震支承や上部構造)のいずれかに塑性化を考慮し、塑性化に伴うエネルギー吸収を期待する構造とする考え方が示されていますが、道示X(P.34)の記述、「複数の部材に同時にエネルギー吸収を期待する構造とする考え方もあるが、地震時の挙動が複雑になる可能性もあり、このような構造系の地震応答特性についてはさらに研究が必要であることから、現段階では、確実にエネルギー吸収を図るための主たる塑性化あるいは非線形性を考慮する部材としては、図-解5.3.1に示すように、橋脚,基礎あるいは免震橋であれば免震支承のいずれかを選択するのが望ましい。」のように、原則として主たる塑性化を考慮する部材は1つとすることが基本となります。

免震橋の場合、免震支承の変形に伴いエネルギーを吸収する構造であるため、道示X(P.33)のとおり、非線形性を考慮する部材として取り扱われます。よって、主たる塑性化を考慮する部材を一つとする上記の考え方によれば、非線形性を考慮する免震支承を用いる場合、橋脚や基礎に塑性化は考慮することは望ましくありません。更に、(P.36)4)の記述、「橋脚のエネルギー吸収の分担を高めすぎると、免震支承の保有する減衰性能が発揮できず、免震支承による確実なエネルギー吸収を担保できなくなる場合も生じる。」のとおり、免震橋では、橋脚(基礎も同様と考えられる)にエネルギー吸収を期待すると、所要の免震効果を確保できなくなる可能性も生じます。

以上より、免震支承においては、橋脚および基礎の塑性化を考慮しないよう設計することが必要と考えられます。(P.38)図-解5.3.1(b)、および(P.35) 3)の記述「なお、基礎に塑性化を考慮する場合は、橋脚,橋台,支承部,上部構造の各部材は、力学特性が弾性域を超えない限界の状態が限界状態となる。」からも、同様の主旨を確認することができます。よって、本プログラムでは、「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」スイッチを設け、基礎に主たる塑性化を考慮しない設計を行うことを可能としています。
    
Q1−22−47. 斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssの算出方法は?
A1−22−47. ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「レベル2地震時照査」−「基礎の非線形性を考慮した解析方法」−「底版照査」の『(2)はりとしてのせん断照査』に記載しておりますように、斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssは、下記のように算出しております。
・せん断スパンa≧d/1.15の場合
Ss=(Aw・σsy・Cds・d)/(1.15・s)
・せん断スパンa<d/1.15の場合
Ss=(Aw・σsy・Cds・a)/s
    
Q1−22−48. 底版が存在せず、柱と杭を直接結合する構造の場合、どのように入力,計算すればよいか。
A1−22−48.
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化しています。底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算,
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」画面の底版重量の算出
に用いていますが、これらの計算,照査を行わなければ、底版形状の入力の必要はありません。
よって、本件につきましては、次のようにご対処ください。
 
■「計算条件」−「基本条件」画面
次のように設定します。
・作用力(常時,レベル1地震時)=入力
・底版許容応力度法の照査=しない
・底版レベル2地震時照査=しない
 
■「底版形状」画面
入力せず、ツリービューの項目を未入力(項目がピンク色)の状態としたままとします。
 
■「レベル2地震時基本条件」画面
「基本条件(杭基礎)」タブにおいて、『WF』,『hF』,『Ws』,『WF’』を全て0.000と入力します。他の入力については、通常どおり指定します。
また、動的解析結果等により基礎に作用する荷重が別途求められている場合、「基本条件(共通)」タブの「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」を「する(底版下面作用力)」とした上で、「基本条件(杭基礎)」タブの初期作用力/全作用力に荷重を直接入力します。
    
Q1−22−49. レベル2地震時の計算書において、下記の設計荷重の算式の見方が分からないので説明してほしい。
 鉛直力 V = Rd + Wp - Up + Ws + WF'
 水平力 H = (Wu + Wp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco) + Hd
 モーメント M = (Wu・yu + Wp・yp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco)・yF + Md
A1−22−49.
レベル2地震動の設計水平震度は、道示X6.4.3(P.89〜)の
 khc = Cs・Cz・khco
 ここに、
  khc:レベル2地震動の設計水平震度
  Cs :6.4.4に規定する構造物特性補正係数
  Cz :4.4に規定する地域別補正係数
  khco:レベル2地震動の設計水平震度の標準値
が該当しますが、Csは下部構造の照査に用いる補正係数であるため、基礎の照査に用いる設計水平震度はCz・khcoとなります。
よって、死荷重時(水平震度=0.0時)の状態から上部構造および橋脚躯体にはCz・khcoを,フーチングにはkhgに相当する荷重を漸増載荷させながらプッシュオーバー解析を行っています。
 
ただし、上部構造および橋脚躯体に作用する水平震度が橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpを超えると、橋脚躯体基部に塑性ヒンジが形成され、橋脚から基礎に伝達される作用力はこれ以上増加しないものと仮定した計算を行っています。
よって、水平震度khiがkhpに達するまでは上部構造,橋脚躯体,フーチングの慣性力を増加させながら計算を行い(領域@)、水平震度khiがkhpを超えた以降の計算(領域A)については、フーチングの慣性力のみを増加させながら計算を行っています。
この考え方は、「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.2-60〜)以降に詳しく記載されておりますのでご参照ください。(※文中のkhcは現行道示のCz・khcoにあたります)
また、現行道示を対象とした資料としては、「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応(平成14年4月)鋼管杭協会」(P.67)に同様の説明がございますのでご参照ください。
 
ここで、本プログラムの計算書の設計荷重の出力では、水平震度を0.0〜Cz・khcoまで計算する過程における水平震度をkhiと表記しています。
上部構造および橋脚躯体の慣性力は、
 (Wu + Wp)・khi
となります。ただし、khiがkhpを超える場合、
 (Wu + Wp)・khp
と表記し、水平震度をkhpに固定しています。
また、最終震度Cz・khcoが作用した状態(khi = Cz・khcoの状態)をαi = 1.000と考えると、αiは、
 αi = khi/(Cz・khco)
と表されます。よって、フーチングに作用する水平震度は、
 khg・αi = khg・khi/(Cz・khco)
となります。これは、最終震度Cz・khco時のとき、khgが作用することを示しています。
    
Q1−22−50. レベル2地震時照査において、基礎の応答塑性率の照査を行うときに限り、基礎の変位の照査が行われる理由は?
A1−22−50.
道示W9.2(P.247)の設計の基本において、「なお,基礎が降伏に達しないことを照査する場合には過大な残留変位が生じないものと考えられるため,許容変位に対する照査を行う必要はない。」と記載されています。よって、応答塑性率の照査を行わない場合、基礎の変位の照査は行っていません。
 
なお、基礎の変位の照査は、基礎に主たる塑性化を考慮する場合において、基礎に著しい残留変位が生じ、修復が難しく、橋としての機能の速やかな回復が困難となることがないよう規定されたものであるため、基礎が降伏に達しない状態に対しては本照査を行う必要はありません。
道示では、この状態(副次的な塑性化。基礎全体の挙動を見たときに弾性範囲内とみなせる範囲に収まっている状態)であれば、残留変位が無視できなくなる範囲に達することはないと判断しているものと考えられます。
    
Q1−22−51. 計算書の「荷重変位曲線」の章にある表中の「杭本体状態」とは?
A1−22−51.
杭本体状態は、杭体に生じる曲げモーメントとM−φとの関係を示しており、
・コンクリート系杭の場合
 1 : M<Mc
 2 : Mc≦M<My
 3 : My≦M<Mu
 4 : M = Mu
・鋼管系杭の場合
 1 : M<My
 3 : My≦M<Mp
 4 : M = Mp
の状態となります。
数値が大きくなるほど厳しい状態となっていることを示しており、杭頭から杭先端までの杭部材の中で最も厳しい状態を出力しています。
これにより、多数の杭が配置されている杭基礎においても、杭基礎全体の状態をある程度把握できるようにしています。
    
Q1−22−52. レベル2地震時照査結果の応答変位時とはどのような状態か。
A1−22−52.
道示W12.10.5(P.414)の記述、「基礎の応答塑性率の照査を行う場合は、耐震設計編12.4(※橋台基礎の場合は13.3)の規定により算定された応答塑性率あるいは応答変位の状態において杭体に生じるせん断力に対し照査するものとする。」のように、基礎の変位の照査(回転角≦許容変位0.02rad)や杭体のせん断耐力照査,フーチングの照査等の部材照査は、「応答塑性率あるいは応答変位の状態」を用いて照査します。
この状態は、基礎の塑性化を考慮する場合の設計水平震度khcF(橋台基礎の場合はkhA)を作用させたときの杭基礎の状態を示していますが、一般に、上部構造慣性力作用位置の水平変位が応答変位δFrと一致する状態とします。
具体的には、
@基礎が降伏に達し応答塑性率の照査が可能な条件であれば、応答塑性率が許容塑性率以下であることを照査する。
A@の応答塑性率を用いて応答変位を算定する。
B@の状態から基礎に作用する水平震度(荷重)を徐々に増加させながら荷重増分法によるプッシュオーバー解析を行う。
CBの計算の過程において徐々に増加する上部構造慣性力作用位置の水平変位がδFrと一致する状態を求める。
として求めています。
本プログラムでは、この状態を「応答変位時」と呼んでいます。
    
Q1−22−53. レベル2地震時の作用力と杭反力の向きはどのように取り扱われているか
A1−22−53.
レベル2地震時の作用力の向きは、鉛直力の正方向は下向きですが、水平力,モーメントの正方向は、「レベル2地震時基本条件」で指定された慣性力(土圧)の向きに応じて異なります。
杭反力の正方向は作用力の正方向の逆向きとなり、鉛直反力の正方向は上向き、水平力,モーメントの反力の正方向は、慣性力(土圧)の向きに応じて異なります。
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「作用力及び反力の向き」に図示しておりますのでご参照ください。
    
Q1−22−54. 連続フーチングの柱間レベル2 地震時照査を行う場合、柱基部断面力Vpi,Hpi,Mpiには、どのような断面力を入力したらよいか
A1−22−54.
連続フーチング柱間レベル2地震時照査を行うには、底版自重,上載土重量,浮力,杭頭反力,および部材照査時の各柱基部の作用力が必要となりますが、例えば、ラーメン橋脚において柱基部断面力を算出する際に部材の曲げ剛性等をどのように評価して算出すべきか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありませんので、部材照査時の荷重状態における柱基部断面力を直接入力していただくようにしております。
恐れ入りますが、部材照査時の荷重状態における柱基部断面力につきましては、設計者の方のご判断により別途算出してくださいますようお願いいたします。
なお、「計算・結果確認」−「底版照査(レベル2)」−「X方向」画面において、画面下部の作用力は、それぞれ次の値を示しています。

断面照査時の底版下面作用力
基礎の安定計算に用いた設計荷重を示しており、計算書の「レベル2地震時の照査」−「液状化無視/考慮・地震動タイプI/U・浮力無視/考慮」−「橋軸直角方向」の設計荷重がこれに該当します。
この荷重状態は、
 ・基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
 ・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
 ・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時
となります。

■柱基部断面力より算出した作用力
本画面で入力した各柱の基部断面力に底版自重,慣性力,上載土重量,浮力を考慮し、底版下面中心の作用力に換算した値です。
具体的には、 
 V=Σ(Vpi)+上載土重量+底版重量−浮力+任意荷重 
 H=Σ(Hpi)+底版慣性力 
 M=Σ(Mpi)+Σ(Vpi・xi)+底版慣性力によるモーメント+上載土および底版自重の左右非対称性によるモーメント−浮力によるモーメント+任意荷重によるモーメント  
  xi:底版下面中心を原点とした各柱中心のx座標
となります。
    
Q1−22−55. 杭基礎設計便覧(P.296)より、フーチング縁端距離が十分でない場合はレベル2地震時に対する杭頭結合部の計算が必要と考えられるが、プログラムは対応しているのか。
A1−22−55.
杭基礎設計便覧(P.296)の規定では、杭頭結合部のレベル2地震動に対する照査は、被災例や様々な載荷試験等より得られた過去の実績,信頼性より、常時,レベル1地震時の照査を満足していれば省略してよいとあります。
しかしながら、本項の意図するところを勘案すると、道示に規定された構造細目を満たしていない場合(フーチング縁端距離を満たしていないケース等)においては、常時,レベル1地震時の照査を満足していたとしても、レベル2地震動に対する安全性を保証することができず、杭頭結合部に対するレベル2地震時照査を行わなければならないと記述されているようにみえます。
 
ただし、現行の杭基礎設計便覧に示される杭頭結合部の照査方法は、いずれも応力度が許容応力度以下であることを照査するものであり、あくまで耐震性能1(レベル1地震動)に対する考え方です。
レベル2地震動に対してこれらの照査方法を適用することはできず、また、仮にレベル2地震動において生じる杭軸方向力や杭軸直角方向力,モーメント等を当てはめてみたところで、想定する地震動レベルが異なることから、許容応力度を満足させることは困難ではないかと思われます。
したがって、杭頭結合部の押抜き,引抜きせん断方向力や水平方向力、あるいはフーチング端部の水平方向力に対する耐力照査が必要となりますが、これらに対する明確な評価指標は、今のところ示されておりません。

以上のように、NEXCOの規定を適用する場合や施工上の制約から道示に規定される縁端距離を満たさないケースがあるとしても、レベル2地震動に対する評価指標が示されていない現時点では、照査しようがないというのが現状です。
よって、現行では、レベル2地震動に対する杭頭結合部の照査は行っておりません。
    
Q1−22−56. レベル2地震時照査−基本条件−計算条件@の「軸力変動を考慮したレベル2地震時照査」は一般的にどちらを選択したらよいか
A1−22−56.
道示W12.10.4(P.412)では、杭体の曲げモーメント〜曲率関係は杭体に作用する軸力により変化するため、本来、杭基礎に作用する 水平力の変化に伴って変化する杭頭での反力を用いて、適宜、曲げモーメント〜曲率関係を修正する必要があるとしながらも、計算の簡略化のため、
 ・コンクリート杭(場所打ち杭,PHC杭,SC杭,RC杭)においては,杭群図心位置から押込み側の杭では死荷重時反力,引抜き側の杭では 軸力を零
 ・鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭では、死荷重時反力
を軸力として算出した曲げモーメント〜曲率関係を用いてよいとあります。

本プログラムでは、従来、上記の軸力により算出した曲げモーメント〜曲率関係を用いて杭基礎レベル2地震時照査を行っていましたが、「基礎の 設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5」において、軸力変動に関する選択を設け、「軸力 変動を考慮したレベル2地震時照査=考慮する」としたとき、荷重増分法計算のステップごとに杭頭反力を軸力とした曲げモー メント〜曲率関係を再定義し、より厳密に杭体の曲げ剛性を評価した照査を行うことができるようにしました。これにより、杭基礎全体の挙動をよ り正確に把握することが可能と考えられます。

上記の通り、道示Wでは計算の簡略化のため軸力変動を考慮しなくてもよいと記載されております。
よって、通常の設計においては「考慮しない」を選択し、設計者の方のご判断により、より厳密な照査を行う必要があると判断される場合に「考慮 する」を選択していただきますようお願いいたします。

なお、杭基礎設計便覧(H19.1)の参考資料「7.斜杭の設計法」(P.414〜)におきましては、「斜杭基礎では杭体が斜角を有することから、直杭基礎に比べて杭頭の軸力変動による影響が顕著となる。したがっ て、レベル2地震時の解析においては杭頭の軸力変動を考慮するものとする。」(P.427)と記載されており、本設定項目より「軸力変動を考慮したレベル2地震時照査=考慮する」として照査を行う必要があるものと考えられます。
    
Q1−22−57. レベル2地震時照査を行うと以下のエラーが発生する
-------------------
底版照査エラー:[-90054]
底版レベル2地震時照査において、せん断耐力Ss算出に用いる有効高dが0となっています
「底版設計」画面で入力してください
-------------------

A1−22−57.
「底版設計」−「配筋」−「Y方向/X方向」画面で『せん断照査用有効高d(cm)』をご確認ください。
こちらが入力されていない場合、お問合せのメッセージが表示されます。
『せん断照査用有効高d』は、増し杭工法時の既設底版上に増厚された位置の照査に用いる有効高で、許容応力度法照査では必要斜引張鉄筋量の算 出に,レベル2地震時照査ではせん断耐力Ss算出に用いております。
    
Q1−22−58. 照査断面と杭位置が一致するとき、作用曲げモーメントに杭頭水平反力と杭頭モーメントが考慮されているが、どういう考えに基づいているのか。
A1−22−58. 道示W8.7.3(P.225〜)の規定によると、図-解8.7.5のように、レベル2地震時においては杭頭水平反力および杭頭モーメントによる曲げモーメントを考慮した設計を行う必要があります。
ただし、道示には、照査断面位置と杭中心位置が一致する状態となるとき、この杭の杭頭水平反力および杭頭モーメントによる曲げモーメントを考慮すべきか否か、明確に規定されてはおりません。
現実の構造物を考えたとき、着目する断面の直下に杭が配置されていたとすると、この断面に曲げ破壊が生じる状態となるとき、少なからずこの直下の杭の影響が曲げ破壊に寄与するのではないかと思われますが、道示(杭基礎設計便覧等の他の文献も含む)には一切触れられておりません。
よって、現行では、安全側として常に照査断面直下の杭の影響を考慮するようにしています。
なお、この杭の影響を無視した検討を行うのであれば、杭位置を1mmずらしてご検討いただくようお願いいたします。
    
Q1−22−59. 「Y−U,Y−Y’区間に対する低減率」とは?
A1−22−59.
杭体部材の曲げ剛性は、コンクリート杭は道示W12.10.4(P.412)図-解12.10.3のバイリニアとして、また鋼管杭及び鋼管ソイルセメント杭は(P.413)図-解12.10.6のトリリニアとしてモデル化しております。
本図をご参照いただくとお分かりのように、杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材の曲げ剛性は、本来0となります。
しかしながら、曲げ剛性を0として計算することはできません(曲げ剛性が0の部材が存在するとき理論上解を得ることができない)ので、何らかの曲げ剛性を与える必要があります。
よって、本プログラムでは、終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材に対しては、前述の道示の図-解のY−U区間,あるいはY−Y’区間の勾配に対する低減率(何分の1とするか)を指定することより計算を行う仕様としております。
 
この低減率は1/10000を初期設定しておりますが、あまりにも曲げ剛性が小さくなりすぎると、プログラム内部で用いている実数値の有効範囲(桁数)が不足し、桁落ちし、『0割が発生しました。』とエラーが発生するケースが生じます。
低減率が大きいほど(曲げ剛性が小さいほど)道示モデルに近い解析結果を得ることが可能と考えられますが、前述のエラーが発生するか否かは計算モデルに依存するため、一概にどれくらいの低減率まで許容できるか判断することができません。
よって、前述の低減率を初期設定し、必要に応じ、設計者の方のご判断により低減率を設定できるようにしております。
 
なお、本設定は、杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材が生じたときに有効となり、これらの部材が生じていないとき、本設定は計算に影響を与えません。
終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材が生じているか否かは、計算書の「レベル2地震時の照査」−「荷重変位曲線」の「杭本体状態」が「4」となっているか否かによりご確認いただけます。
 
本件につきましては、「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]も合わせてご参照くださいますようお願いいたします.。
    
Q1−22−60. 基準値−杭基礎−その他−レベル2地震時照査の制限値はどのように取り扱っているか
A1−22−60.
本プログラムにおきましては、お問い合わせの『基礎の塑性率の制限値』を以下の様に取り扱っております。

1.「杭基礎設計便覧(H19.1)(P.418)(4)2)斜杭の軸直角方向の抵抗特性」に準じた、斜角により補正した水平地盤反力度の上限値を用いた照査を行う場合
 塑性率の制限値=「斜角を考慮するKEP,pHuのとき:基礎の塑性率の制限値」に入力された制限値
 
2.直杭もしくは、斜杭の場合でも杭基礎設計便覧の記述に準じた照査(斜角により補正した水平地盤反力度の上限値を用いた照査)を行わない場合
 塑性率の制限値=「斜角を考慮しないKEP,pHuのとき:基礎の塑性率の制限値」に入力された制限値
  
なお、斜杭の場合に上記の便覧の記述に準じた照査を行うか否かは、「レベル2地震時基本条件」−「計算条件A」画面の「斜杭に対する受働土圧係数KEP,地盤反力度の上限値pHuの取扱い」スイッチによって選択可能となっております。

【補足】
入力箇所における『斜角』という表現は、「杭基礎設計便覧(H19.1)(P.418)(4)2)斜杭の軸直角方向の抵抗特性」に記載されている表現をそのまま使用しております。ご了承ください。
    
Q1−22−61. ベル2地震時照査-杭本体-杭種別データの「プレストレスの損失を考慮する範囲」 の入力値範囲が 100.0〜100.0 となり100以外の値を入力できない
A1−22−61.
本プログラムの杭頭カットオフを行ったPHC杭のレベル2地震時のせん断耐力照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)の3-8-2(P.237)を参照し作成しております。
上記便覧では、杭頭カットオフ部(カットオフした位置から50φ(φ=PC鋼材の径)の範囲)はプレストレストコンクリート断面ではなく鉄筋コンクリート断面と考え、
 (a)杭体部分を円環RC断面として算出する(ただし有効プレストレスσe=0とする)
 (b)中詰め部分は等積正方形断面に置き換えて算出する
としてせん断耐力を算出し、(a)+(b)を最終的なカットオフ区間のせん断耐力として照査するよう記述されています。

これらの内容を考慮し、本プログラムでは「杭本体」画面における『プレストレスの損失を考慮する範囲』の入力範囲を、以下の様に設定しております。
 ●最小値・・・「杭頭結合計算」−「杭径・底版形状」の『杭の埋込み長』
 ●最大値・・・中詰めコンクリートのせん断耐力を考慮した計算となるため、「杭配置」−「杭データ」の『(中詰めコンクリートの)充填範囲』に『杭の埋込み長』を加えた値

上記の入力仕様と、ご質問内容から推測すると、ご検討中のデータでは「杭配置」画面において『(中詰めコンクリートの)充填範囲』が0.0mと入力されているのではないかと思われます。
    
Q1−22−62. 端堰柱の水門の設計を行う場合、レベル2地震時照査−基本条件−基本条件(共通)で地震動タイプが選択できない
A1−22−62.
端堰柱の水門の設計を行う場合、土圧を考慮した照査を行いますが、本プログラムでは、土圧を考慮する場合、プログラムの構造上、タイプT/タイプUの同時計算を行うことができません。
よって、現行では、タイプU地震動に固定しています。

ただし、「土木研究所資料 地震時保有水平耐力法に基づく水門・堰の耐震性能照査に関する計算例(平成20年3月)独立行政法人土木研究所」(P.29)では、「レベル2地震動に対する基礎の照査は、レベル2-1地震動およびレベル2-2地震動のうち、慣性力の大きい方を用いて照査を行えばよい。」とあります。
また、道示X13.2(P.225)の橋台基礎に対する規定では、「橋台基礎の照査に用いる設計水平震度は、値の大きいタイプUの地震動の地盤面における設計水平震度を用いて算出すればよい。」とあります。
地震動タイプによって照査方法が異なるわけではないため、一般に、設計水平震度の大きなタイプU地震動によって決定されるケースが多いことから、上記の記述を勘案すると、タイプUの計算のみを行えばよいのではないかと考えられます。

なお、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面の「堰柱の水平震度」の選択につきましては、「河川構造物の耐震性能照査指針(案)一問一答(平成19年11月版)河川局治水課 河川保全企画室」(P.27)の 
「問.V−4−2」をご参照ください。
    
Q1−22−63. 二次剛性の比r=0の根拠
A1−22−63.
二次剛性の比rについて、道示W12.10.3の解説に、杭基礎の降伏が杭体の塑性化から決まる場合、押込み支持力により決まる場合、いずれもr=0とするのがよいと記述されており、これより、本プログラムでは、常にr=0として計算しています。
なお、押込み支持力により基礎の降伏が決まる場合で、降伏耐力が杭体から決まる耐力と比較して著しく小さい場合にはrを考慮してよいと記述されていますが、プログラムでは、著しく小さい場合か否かを判定することは困難なため、現行では、常にr=0として計算しております。
    
Q1−22−64. 地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDの算出方法は?
A1−22−64.
設計要領第二集では、杭体に作用する地盤変位荷重の推定はワイブル曲線にて行うよう明確に規定されています。
よって、本プログラムでは、地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDは、下記のように常にワイブル曲線にて推定しています。

kHD=pmax/δmax
ここに、pmax :最大荷重(kN/m2) {=kHE・So/(1−e^-1)}
    py  :降伏荷重(kN/m2)
    kHE  :レベル1地震時の水平方向地盤反力係数(kN/m3)
    So  :基準変位量(m)
    kHD  :レベル2地震時の水平方向地盤反力係数(kN/m3)
    δDmax :フーチング底面での最大変位(m)
詳しい計算理論につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「橋台特殊設計(側方移動/盛りこぼし橋台)」をご覧下さい。
    
Q1−22−65. フーチング上面引張時のせん断スパン算出式、
a=L+min(tcc/2,d)
におけるL(もしくはM/S)は、杭基礎設計便覧p291に記載されているように、下面引張時の値を用いているのか

A1−22−65.
フーチング上面側引張時のせん断スパンの算出に用いる有効高は、上面側引張時の有効高(上面鉄筋図心位置〜フーチング下面)を用いています。
「杭基礎設計便覧平成19年1月」(P.291)には、「有効高」という表記のほか、特に下面側引張時の有効高を用いるように明記されておりません。
「道路橋示方書・同解説W下部構造編 平成14年3月」p.228の図にもありますように、下側引張時の有効高の場合も、上側引張時の有効高の場合もdで表されておりますので、単に「有効高」という表記の場合は、その時の引張面に応じた有効高であると判断しています。
    
Q1−22−66. 水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、Vdは端堰柱の重量は含めて入力するのか
A1−22−66.
Vdは計算に用いる全自重(土圧の鉛直分を除く)を設定してください。
Vdが基礎に作用する全鉛直力(土圧の鉛直分を除く)となります。
    
Q1−22−67. 水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、H3、h3には何を入力するのか
A1−22−67.
H3,h3は、ゲートの重量および重心高を入力します。これに地震動タイプT,地震動タイプUの設計水平震度Cz・kho(ただし堰柱に主たる塑性化を考慮する場合は堰柱の終局水平震度khuW)を乗じた慣性力をそれぞれ考慮した検討を行います。また、動水圧を考慮する場合、H3,h3には動水圧の影響を加味した値を入力します。
H3はゲート重量となります。
    
Q1−22−68. 慣性力算出時、レベル2地震時基本条件−基本条件(杭基礎)の「Wp」は考慮されるのか
A1−22−68.
慣性力算出の際Wpは考慮されます。

「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、水平震度khiのとき底版下面中心での作用力は次のように算出しています。
鉛直力 V=Vo(=Rd+Wp−Up+Ws+WF’)
1)0.0≦khi≦khpのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khi+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khi+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md

2)khp<khi≦Cz・khcoのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khp+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khp+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
    
Q1−22−69. レベル2地震時の降伏震度が常時・レベル1地震時の設計水平震度よりも小さい
A1−22−69.
道示W12.7に記述されていますように、常時,レベル1地震時では、杭及び地盤を線形弾性体として計算します。
一方、レベル2地震時では、道示W12.10.4に記述されていますように、杭および地盤の非線形性を考慮した計算を行います。そのため、前面地盤の塑性化(地盤の水平バネの喪失)や杭体にかかる曲げモーメントによる杭体剛性の低下のために、解析モデルが逐次変遷します。
したがって、レベル2地震時の降伏震度が必ずしも常時,レベル1地震時の設計水平震度より大きくなるとは限りません。
    
Q1−22−70. 連続フーチング柱間の照査を行う場合、断面力は直接入力しなければならないのか
またその場合入力する断面力をどこで確認したらよいか

A1−22−70.
連続フーチングの照査には、柱から伝えられる断面力が必要となりますが、レベル2地震時において、この断面力をどのように求めるか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありません。
したがって、本プログラムでは、設計者の方のご判断により別途算出された全作用力載荷時の柱基部断面力を、上記画面の「柱基部断面力」にて直接入力していただくようにしております。

上記の柱基部断面力入力時にご注意いただきたい点として、『(1)照査時の荷重状態における作用力(基礎反力の集計値)』と『(2)入力された柱基部断面力より算出したフーチング下面中心における作用力』が一致するように入力していただく必要があります。
(1)と(2)が一致しない場合、作用力と反力とが釣り合わない荷重載荷状態になりますので、支点に反力が生じ、設計断面力に影響が生じてしまいます。
このような状態となる入力を防ぐため、本プログラムでは柱基部断面力の入力画面に[誤差判定]ボタンを設けており、ボタン押下時に、(1)と(2)の誤差が約5%を超える場合警告を表示します。(あまりに頻繁に警告が表示されるのを防ぐため許容誤差は5%と大きく設定していますが、本来は完全に一致させる必要があります)

詳しくは、以下のヘルプにおいて説明しておりますので、そちらも併せてご参照ください。
 ・「操作方法」-「メニューの操作」-「入力」-「杭基礎」-「計算・結果確認」−「底版照査(レベル2)」画面より開くヘルプ内の『連続フーチングの柱間照査』
 ・「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」-「レベル2地震時照査」−「基礎の非線形性を考慮した解析方法」−「底版照査」内の『連続フーチングの橋軸直角方向の照査』
    
Q1−22−71. レベル2地震時照査-任意荷重で入力する底版と杭の任意荷重の荷重強度はどのような値を入力したらよいか
A1−22−71.
底版の任意荷重の場合は、底版奥行き方向の幅を乗じた後の荷重強度を入力下さい。
杭の任意荷重の場合は、杭1本の幅を乗じた後の荷重強度を設定してください。

    
Q1−22−72. 橋台と連動時に、レベル2地震の底版照査が「しない」でグレー表示となっており照査できない
A1−22−72.
底版形状が台形となる場合は照査対象外となります。
ただし、平行四辺形となる場合は照査できます。橋台の設計での、[形状]-[躯体]-[平面形状]で底版の斜角をご確認ください。
    
Q1−22−73. 鋼管ソイルセメント杭の場合、せん断耐力照査はしないのか
A1−22−73.
道示W12.10.5(P.414)に、「鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭及びSC杭においては、(中略)杭体の塑性化においては曲げモーメントの影響が支配的であることから、せん断耐力の照査は省略してよい。」と記載されております。
よって、上記杭種の場合は、せん断耐力照査は行っておりません。

    
Q1−22−74. 施工誤差で、1本の杭座標を数センチ変更したら基礎が降伏した
A1−22−74.
砂質地盤の水平方向地盤反力度の上限値(以下pHu)は、2列目以降は1列目(慣性力作用方向最前列)の1/2の値を用います。プログラムでは最前列杭か2列目以降かは、杭座標で判断しています。従いまして、最前列の杭座標を1本だけ前方に移動した場合、その1本のみが最前列の杭として認識され、残りの杭は2列目以降として取り扱われます。そのため、pHuが小さくなり、照査結果に大きく影響したものと考えられます。
元々の最前列の杭を最前列として取り扱うことはできませんが、座標上2つ目となった杭の杭タイプを移動した杭と異なる杭タイプとすることで、pHuを正規の計算値の2倍の値(砂質土のみ)を設定することで想定するpHuで計算することが出来ます。
杭タイプの変更は、他の杭位置の杭長と異なる杭長(例えば+1cm)とすることで、異なる杭長とすることが出来ます。

    
Q1−22−75. レベル2地震時の結果を見ると、杭先端条件をヒンジとしているのに、杭先端に曲げモーメントが発生しているのはなぜか
A1−22−75.
地盤ばね分布によっては、杭先端に拘束状態と同様な条件となり、その場合に曲げモーメントが生じる場合があります。
どのような条件となればそのようになるかは把握しておりません。

    
Q1−22−76. 増し杭工法で、レベル2地震時照査で、既設部の杭のせん断耐力と増し杭部の杭のせん断耐力の合計でせん断耐力照査の判定を行いたい
A1−22−76.
既設部と増し杭部でそれぞれで判定を行っており、全体を合計したもので判定することはできません。

 
Q1−22−77. 基礎レベル2の設計地盤面について計算エラーとなる。
A1−22−77. [地層]-[低減係数]-[耐震設計上の地盤面]をBとしているために低減係数DE=0以下の地層が指定され、杭先端部分より低い位置にあることが原因となります。
杭長を伸ばす、あるいはDEと地層の関係を見直して耐震設計上の地盤位置を調整するなどの対応が必要です。
 
Q1−22−78. [レベル2地震時照査]-[基本条件]-[計算条件A]-[橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない]のスイッチを入れるとどのように計算結果に影響するのか。
A1−22−78. 「レベル2地震時照査」−「基本条件」−「計算条件A」画面の「橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」スイッチにチェックしていただくことで、基礎が降伏に達し応答塑性率の照査を行うことが可能な条件下であっても、基礎の降伏震度khyFが橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpを超えている場合、基礎の応答塑性率の照査を行わずOUTと判定しております。
詳しくは、「レベル2地震時基本条件」−「計算条件A」画面上の[ヘルプ]をご参照いただきますようお願いいたします。

------ 上記ヘルプより抜粋(一部加筆) ------
 khyF<khp・・・・基礎〜地盤系に主たる非線形性が生じる
 khyF≧khp・・・・橋脚基部に主たる塑性化が生じる
 ここに、
   khyF:基礎が降伏に達するときの水平震度
   khp :地震時保有水平耐力法による橋脚基礎の照査に用いる設計水平震度
という指標で主たる塑性化が生じる部位を判定し、橋脚基部に主たる塑性化が生じる場合には、基礎に主たる塑性化を考慮しない(応答塑性率の照査を行わない)ものとして照査します。
--------------------------------

ただし、道示X12.1(P.235)においては、耐力あるいは断面力を上回らないことを確認する方法が明示されているわけではなく、上記の考え方を取り入れた本プログラムの判断方法が適切か否か、明確になっているわけではございません。
従いまして、本設計方法につきましては、最終的には設計者の方のご判断として採用をご検討いただきますようお願いいたします。

 
Q1−22−79. 柱間のフーチングのレベル2地震時照査を行うための入力の方法は?

A1−22−79. 連続フーチングの柱間照査を行うには、柱から伝えられる断面力が必要となりますが、レベル2地震時において、この断面力をどのように求めるか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありません。
よって、本プログラムでは、柱基部断面力の計算を行うことはできません。ご了承ください。

 
Q1−22−80. F8プログラムで橋脚の計算をして、柱の保耐法の照査の結果塑性化しているがOKと判定が出ていて、L2地震時の基礎の照査で液状化するケースで基礎が降伏しているものの応答塑性率照査でOKとなっている場合、液状化有りの計算ケースでは、柱は塑性化していないのではないのか。

A1−22−80. 基礎の降伏震度khyFがkhpに達している場合は、柱基部も降伏していると考えられます。
道路橋示方書Xの考え方からすれば、橋脚基部に主たる塑性化を考慮する場合は、基礎は副次的な塑性化に留める必要があり、レベル2地震時照査は「満足しない」という判断となるかと存じます(道示X 表-解5.3.1 (P.43))。
では、降伏震度khyF<khpで応答塑性率照査を満足した場合で、応答変位が生じる震度がkhpに達していた場合はどのような判断となるか−に付きましては、道路橋示方書などには特に記述がないため考慮しておりません。
道路橋示方書がどのような考え方であるか当方では判断できませんが、応答変位時の荷重状態を求めることが目的(応答変位は上述の簡単な式で算定できます)であること、計算の簡易化など、いくつか推測できますが明確なことはわかりません。
また、実際に考慮する場合、どのように考慮すべきか不明でもあります。

 
Q1−22−81. 任意の降伏震度において応答塑性率の照査を行う事が可能か。
現行の機能では杭が降伏した時点から応答塑性率を照査することを行っているが、杭体降伏前に変位が急増するようなケースで任意の位置において応答塑性率を求めることは可能か。
A1−22−81. 任意の降伏震度を指定することはできません。

 
Q1−22−82. レベル2地震時基本条件のHRですが連動中は入力不可となっているが、ヘルプを見ると『HR:レベル2地震時照査に用いる支承水平反力(kN)。khceとのいずれかを用います。変更は[その他]の「照査に用いる作用力」で行います。』
となっているが、変更のその他とはどこにあるのか。
A1−22−82. 橋台の場合は、[レベル2地震時基本条件]に[その他]タブが追加されますが、連動時には関係データが変更できないため非表示となります。
HRを変更する場合は、「橋台の設計」側の[上部工反力、地表面荷重]の「支承の水平反力(レベル2地震時)」で行ってください。

 
Q1−22−83. 橋台の水位設定を2ケース行ったが杭の名称はケース2のままとなるのはなぜか。
A1−22−83. 基礎のレベル2地震時計算における水位名称はデフォルトが「ケース1、ケース2」となっており、橋台連動時においては選択中の橋台の水位設定名称が上書きされるようになっております。
ただし水位ケースを1つのみしか計算対象としない場合は、1つのみの参照となりますので、2つ目はデフォルト名称のまま変わりません。

 
Q1−22−84. 水平変位の緩和を行った際に液状化無しの場合よりも変位が小さくなるのはなぜか。
A1−22−84. 計算書の[安定計算]-[橋軸方向]-[地震時(液有)]において、基準kH、水平変位の制限を緩和した設計における計算で算出したkH’を確認することができます。

水平変位の制限を緩和した設計におきましては、地盤の非線形性を考慮した解析を行いますため、予備計算で算定した地盤バネに対して実際に使用するkH’は増減することとなります。

水平変位の制限を緩和する設計時において地盤反力係数が増大する理由としましては、道示W p284の図-解 9.6.1をご参照ください。この図からわかりますように、着目する変位の位置によって地盤反力係数は変化し、基準とする変位より大きい変位であれば地盤反力係数は小さく、小さい変位ならば大きなものとなります。

 
Q1−22−85. 連続フーチング(柱直角方向3本)のレベル2底版照査において 底版照査(レベル2)の項目に柱基部断面力の項目があり、この柱基部断面力の収束の方法を知りたい。
初期値は、死荷重時の柱基部断面力を入れて基礎下面の断面力のと柱基部断面力より算出した作用力の差を均等に割り振ればいいか。
A1−22−85. 底版照査に用いる杭反力を算出した時の水平震度を下部工に載荷した時の柱基部作用力を用います。
底版照査に用いる杭反力は、最終荷重時の杭反力となっています。
最終荷重時とは、以下の場合をいいます。
基礎が降伏しない場合=設計水平震度C2z・khco載荷時
基礎が降伏する場合
 1)基礎の降伏を許容しない場合=降伏震度時
2)基礎の降伏を許容する場合=応答変位となる水平震度時

下部構造に上記の水平震度がかかっている状態の荷重で基礎のレベル2地震時照査を行った時の杭頭反力を用いますので、柱基部作用力を用いませんと荷重の整合性が取れないためです。
この柱基部荷重は、具体的には、柱基部以上の骨組モデルを作成し、上記水平震度時の荷重を載荷して算定してください。

 
Q1−22−86. 土質に液状化層が存在しており、基礎のL2照査結果に杭が降伏した場合において、応答塑性率の照査を行わないのはなぜか。
A1−22−86. 申し訳ございませんが、作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う場合、基礎の耐力照査(設定された作用力を載荷したときに基礎が降伏に達しているか否か)のみ行っており、応答塑性率の照査を行うことはできません。

通常の橋脚基礎であれば、道示X12.1(P.213)のように、橋脚躯体および上部構造には設計水平震度khpを、フーチングには設計水平震度khgを作用させて計算を行い、基礎が降伏に達し応答塑性率の照査を行う条件下であれば、道示X12.4(P.218〜)に準じ、応答塑性率を算出します。
しかしながら、作用力を直接指定する場合、柱基部または底版下面中心の作用力を直接与えて照査するため、作用力に対する水平震度は定義されません。
基礎の応答塑性率の算定には、基礎が降伏に達したときの水平震度khyFおよびkhcF(=CD・Cz・khco)が必要となりますが、作用力を直接指定する場合、基礎が降伏に達した状態を求めることができたとしても、この状態に相当する設計水平震度khyFを導き出すことができないため、応答塑性率を算出することはできません。
このように、現行では、作用力を直接指定する場合の応答塑性率の算出方法が明確でないことから、応答塑性率の照査は行わず、基礎の耐力照査のみを行っております。ご了承ください。

なお、設定された作用力と水平震度との関係を定義できるのであれば、『作用力を指定してレベル2地震時照査を行う=しない』として入力,計算する方法が考えられます。
しかしながら、この作用力と水平震度との関係をどのように定義すべきか、道路橋示方書にも具体的な規定がなく、私どもで判断することはできません。ご了承ください。

 
Q1−22−87. レベル2地震時照査で、kh=0で計算不能となる。
A1−22−87. 死荷重時の偏心荷重で杭体が降伏しています。本ケースは、橋台基礎ですので、背面土圧が影響していると考えられます。

 
Q1−22−88. 全部材に塑性ヒンジが発生しているか否かは計算結果から判定できるか。
A1−22−88. 計算書に出力している各深度の状態を表す数値(1〜4)は、その深さ位置の状態で部材が塑性化しているか否かではありません。
部材が塑性化しているか否かの判定は、部材の両端位置の曲げモーメントの平均値で判定しています。
ある部材のi端のモーメントMi=2000.0, j端のモーメントMj=1800.0の場合で、全塑性モーメントMp=1950.0としますと、M=(Mi+Mj)/2=1900.0<Mp=1950.0となり、この場合、塑性化していないという判定となります。
少々面倒かと存じますが、上記のような計算で判断できます。従いまして 4 が続く場合は、4の範囲の部材は塑性化していると判断できます。
なお、杭頭だけは、杭頭位置のみで判断しています。

 
Q1−22−89. 液状化が生じる地盤にある橋台基礎について、レベル2までの検討を行うときに変位についての検討については行わなくても良いのか。
耐震設計では、橋脚の場合はフローの中に変位照査とあるが、橋台の場合はない。
しかし13章をみると変位について配慮しておく必要があるとしている。
実際照査しているのか。
A1−22−89. ご指摘のように、道示X12.5(P.220〜)には、橋脚基礎に対して回転角の照査が明記されていますが、13章(P.222〜)には橋台基礎に対して回転角の照査に関する記述がありません。そのため、橋台基礎時の回転角の照査は不要と判断し、照査結果(OK/OUT)の出力は行っておりません。

なお、ご指摘箇所は「橋台基礎に生じる変位について配慮しておく必要がある」となっており、ご指摘された箇所の後半部分に、その配慮について記述されています。

したがって、(省略)橋台基礎に所要の耐力を付与するとともに、桁の連続化の検討や落橋防止システムに対する検討を入念に行う等、橋全体系としての耐震性が向上するように配慮するのが望ましい。


 
Q1−22−90. 基礎のL2地震時照査を行うに当たって、基礎設計用震度khpがCz・khcoより大きくなる場合は、Cz・khcoを上限として震度を設定して計算してるが、Cz・khcoをkhpの上限とする旨に関して、道示等の基準類のどこかに記載はあるのか。
A1−22−90. 道示W 12.10.1 照査の基本(p.430)には、次の記述があります。

(1)橋脚の杭基礎に耐震設計編6.4.7(2)に規定する荷重が作用した場合に、基礎に生じる断面力,杭頭反力及び変位を12.10.4の規定により算出し、原則として12.10.2に規定する杭基礎の降伏に達しないことを照査する。

耐震設計編6.4.7(2)には、次の記述があります。

橋脚基礎の照査においては、橋脚に生じる応答が塑性域に達する場合には、死荷重及び式(6.4.11)により算出する設計水平震度に相当する慣性力を荷重として考慮する。また、橋脚に生じる応答が弾性域にとどまる場合には、橋脚基部に生じる断面力を荷重として考慮する。


道示X (6.4.11)式
khp=CdF・Pu/W

C2z・khcoは、基礎のレベル2地震時照査に用いる設計水平震度です。
従いまして、C2z・khco<khpの場合は、全域にわたり、橋脚基部は弾性域の場合となります。

 
Q1−22−91. レベル2地震時の杭のせん断耐力照査で、杭のせん断力の算出根拠が不明。
A1−22−91. レベル2地震時基本条件]-[計算条件@]のせん断照査方法を「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」と設定されていますので、全杭の杭頭せん断力と、全杭のせん断耐力の比較となります。
ただし、本ケースの場合は、液状化考慮時では第1層がDE=0で突出杭となりますので、第1層下面位置のせん断力を合計しております。

 
Q1−22−92. 版としてのせん断照査の条件はどのようになっているか。
A1−22−92. 底版前半分における柱から底版厚の1/2の長さ離れて柱を取り囲む断面を照査断面と仮定し、その外側に作用する鉛直力に対してせん断照査を行います。
ただし、下記条件のとき照査は行いません。
・照査断面が底版より外側に出てしまう場合。
・前面側の照査断面より外側に杭が存在しない場合。
・柱側面より外側に杭が存在しない場合。
・柱前面,柱側面から照査断面の間に杭中心位置が存在する場合。

詳しくは、ヘルプ「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「レベル2地震時照査」−「基礎の非線形性を考慮した解析方法」−「底版照査」の『(3)版としてのせん断照査』に詳しく記載しておりますので併せてご参照いただきますようお願いいたします。

 
Q1−22−93. 連動で、基礎のレベル2照査での『予備計算用水位高連動』のボタンを押すと、浮力有・無と同じ水位になる。どこの入力データから引用されているのか。
A1−22−93. [地層データ]-[地層線]の水位(地震時)を参照しています。

水位高について
@橋脚の場合
浮力に付きましては「浮力無視」と「浮力考慮」の2ケースについて計算できるようになっております。浮力無視時が常に底版下面位置であるとした場合、水位による汎用性が無くなるため、浮力無視の場合も設定できるようになっております。
このことは、浮力無視時の場合は水位高を底版下面位置にとる場合の計算には影響しません。
なお、「水位高、上載土厚連動」ボタンを使用する場合の「鉛直力算出用水位」は「底版下面位置の標高」にセットされます。
そして予備計算用水位は、「地層データ」の「地震時の水位」を連動する場合と、「鉛直力算出用水位」を連動する場合を選択できますので、お考えの水位の取り方を自動設定する場合は、「予備計算用水位(連動ボタンによる連動方法)」を「鉛直力算出用水位と同じ」と指定することで、「水位高、上載土厚連動」ボタンで両者を底版下面位置に設定できます。

A橋台の場合
橋台の場合は、検討ケース名を変更することができるため、「浮力無視」「浮力考慮」のように固定しておりません。
例えばサンプルデータ Kui_18.F8F では「低水位」と「高水位」として用いています。
(※Kui_18.F8Fはレベル2の計算を「しない」になっていますので、[計算条件]で「する」に変更してください)
検討ケース名称の変更は、[レベル2地震時基本条件]-[その他]で行えます。
従いまして、「検討ケースを2ケース設定でき、それぞれに水位を設定できる。水位を考慮しない計算をする場合は水位高を0と設定する」とお考え下さい。

「予備計算」は、本計算(ここではレベル2地震時)に先立って行う計算のことをいいます(ここでは鉛直力など)。本計算は、その計算値(予備計算結果)を用いて行います。

 
Q1−22−94. レベル2の初期荷重の正方向は、鉛直下向き、水平右向き、モーメント右回りとして入力している。土圧の作用方向、慣性力の作用方向は左向きなので、変位とモーメント図などが逆に表示されているように見える。
A1−22−94. 曲げモーメント図の表記ですが、常時・レベル1地震時は固定されていますが、レベル2地震時は、慣性力が正方向であるか負方向であるかで、杭頭反力の正方向が異なります。
本説明は、「ヘルプ」−「計算理論及び照査の方法」−「杭基礎」−「作用力及び反力の向き」に記載されております。

 
Q1−22−95. 底版のレベル2地震時照査で、@125で配置しているときに、1m当たりの鉄筋量が8本より多いのはなぜか。
A1−22−95. [配置による入力]の場合は、単位幅1mに配置している鉄筋本数をカウントしているのではなく、有効幅内にある鉄筋本数をカウント(座標から判定)したものを、1mあたりに換算しています。
主鉄筋の入力方法が「配置による入力」の場合は、[底版設計]-[配筋]-[主鉄筋]画面の「配筋図」ボタンで、入力した鉄筋配置図を表示します。この画面で、赤色で表示されている鉄筋が上下の有効幅内の鉄筋となります。
この鉄筋の断面積を有効幅で除して1mあたりとしております。

 
Q1−22−96. 道示XP283の15.4(2)2)基礎に塑性化を考慮する場合において12.4の規定に基づく橋脚基礎の変形による上部構造の慣性力の作用位置における応答変位に相当する水平力とする。
以上の記述があるが具体的には計算書のどこを参照すればよいか。
A1−22−96. 基礎の塑性化を考慮すると判定された場合の基礎の応答変位に相当する水平力は、基礎の変形による上部構造の慣性力作用位置における応答変位δFrが生じるときの上部構造慣性力としており、具体的には以下の通りです。
 Pu=min(khi,khp)・Wu (kN)
 ここに、
  khp:基礎の照査に用いる設計水平震度
  khi:基礎の最大応答変位に相当する水平震度
     ・基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うとき
      khi:応答変位が生じるときの水平震度
     ・基礎が降伏に達するが、khcF≦khyFとなるとき(応答塑性率の照査を省略するとき)
      khyF:降伏に達するときの水平震度
  Wu:上部構造部分の重量 (kN)

計算書の「レベル2地震時の照査」−「荷重変位曲線」で出力しております『断面照査時』は、上記、応答変位δFrが生じた状態を示し ており、「断面照査時」の水平震度より、上記khiを確認することができます。

 
Q1−22−97. 場所打ち杭の主鉄筋にSD390,SD490を使ったときの許容塑性率は、変更する事が可能か。
A1−22−97. 基礎の許容塑性率は、「基準値」−「杭基礎」−「その他」−「レベル2地震時照査の制限値」で変更する事ができます。
大変恐れ入りますが、上記にて対処していただきますようよろしくお願いいたします。

■道示X P248〜
・橋脚基礎(場所打ち杭)の主鉄筋にSD390やSD490を用いた場合、許容塑性率=2 
■道示X P258〜
・橋台基礎(場所打ち杭)の主鉄筋にSD390やSD490を用いた場合、許容塑性率=1(塑性化を許容しないのがよい)


 2 鋼管矢板基礎
  2−1.適用範囲


 −

  2−2.基本条件


 −

  2−3.地層、形状 


Q2−3−1.

鋼管矢板基礎で、「地層」−「地層線」−「設計地盤面」画面の「水位」を直接用いている計算は何か。
A2−3−1. 「地層」画面の「水位」を直接用いて照査しているのは、次の計算となります。
・「水位(常時)」,「水位(地震時)」
 許容引抜き力の算定に用いる鋼管矢板の有効重量
・「水位(施工時)」
 仮締切り計算における外水位

上記の他については、「作用力」−「脚柱下端作用力」画面や「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(鋼管矢板基礎)」画面等のように、「地層」画面の水位を連動する,あるいは設計者の方がお考えの水位を直接入力していただき、照査する仕様としております。
 
Q2−3−2. 常時・レベル1地震時の継手の剛性はどこで入力するのか。
A2−3−2. 「継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばり解析」に用いる常時,レベル1地震時の継手剛性は、「形状」−「形状入力」画面の「継手」ボタンより開く画面に設けています。本画面のせん断剛性Gj,継手の耐力qcrにご使用の継手の剛性を入力しご検討ください。

 
Q2−3−3. 杭長を操作した時に“内部土短辺長Loが範囲外になっています”と表記されるが、このLoとはどこを示すのか。
A2−3−3. 内部土短辺長は、「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」図-2.2.1(P.42)のように、鋼管矢板の内周面間距離の最も短い長さとなります。
「形状」−「許容支持力・引抜力」画面に入力を設けており、入力表の最下行の『内部土短辺長Lo』がこれに相当します。

 
Q2−3−4. 鋼管矢板:継手の剛性を一部のみ変更することができるか。
A2−3−4. 「基礎の設計計算」の鋼管矢板基礎ではできません。
弊社の別製品「3次元鋼管矢板基礎」では断面変化させ、区間ごとに剛性を設定することが可能です。

 
Q2−3−5. 「外周継ぎ手の有効間距離」を橋軸方向と直角方向でそれぞれ違った値を入力したい。
A2−3−5. 外周継手の有効間隔は直線部と円弧部とで異なる値を入力することは可能ですが、橋軸方向と橋軸直角方向の直線部に異なる値を入力することはできません。

 
Q2−3−6. 鋼管矢板の継手の重量を入力するところがあり、単位がN/mとなっているが、どのような値をいれるべきか。
A2−3−6. 「形状」-「許容支持力・引抜力」画面で入力された継手重量は、鋼管矢板の許容引抜力算出のみに用いており、基礎本体の計算には考慮していません。

  2−4.地盤バネ


Q2−4−1.

鋼管矢板基礎周面の鉛直方向せん断地盤バネが、鋼管矢板先端近くのみ2倍値となっているのはなぜか。
A2−4−1.
鋼管矢板基礎は、鋼管杭と同様な施工法により打設されますが、継手管により接合される鋼管矢板が井筒状に閉合されるため、井筒の内部土は、外周地盤と完全に分断されます。また、各鋼管矢板から井筒部内周面に伝達する鉛直せん断地盤反力は、限られた面積の井筒内部土で重なるため、外周面ほどには地盤抵抗が発揮されず、且つ、井筒上部ほどその傾向は大きくなります。
よって、鋼管矢板基礎の設計において、井筒内部の鉛直せん断地盤抵抗は、基礎底面より「内部土短辺長」と呼ばれる範囲のみ考慮しています。
要約すると、
@内部土短辺長の範囲は井筒外周面,内周面の鉛直せん断地盤抵抗を考慮する
A内部土短辺長の範囲より上部は井筒外周面のみ鉛直せん断地盤抵抗を考慮する
となります。

実際のプログラムでは、上記の考え方を反映させるため、
・内部土短辺長の位置で入力された地層を分割する
・内部土短辺長の範囲(上記@の範囲)の鉛直せん断地盤抵抗(kSVB,kSVD)を2倍値とする
として計算モデルを作成しています。
よって、内部土短辺長の範囲のkSVB,kSVDは、手計算した値を2倍値としたものになります。

なお、井筒内部の鉛直せん断地盤抵抗の考え方については、
・道示W13.2(P.437〜)
・鋼管矢板基礎設計施工便覧2.1.1(P.31)
をご参照ください。
また、内部土短辺長は、「形状」−「許容支持力・引抜力」画面にて計算または入力します。


  2−5.支持力・周面摩擦力 


Q2−5−1.

鋼管矢板基礎設計施工便覧及び道示W(P.365)では、負の周面摩擦力の検討対象荷重は死荷重とされているが、プログラムでは地震時として計算されている。
A2−5−1. 負の周面摩擦力に対する検討は、お問合せの鋼管矢板基礎設計施工便覧,及び道示W(P.365)に記載されておりますように、死荷重時を対象としていますが、プログラム側で死荷重時ケースを特定できないため、「作用力」−「荷重ケースの設定」画面(右側)で指定された荷重ケースに対して計算しています。
お問合せのデータの場合、上記画面にて地震時の荷重ケースが指定されているのではないかと推測されます。
おそれいりますが、上記画面の設定をご確認下さいますようお願いいたします。
 
Q2−5−2. 許容支持力算出時の鋼管矢板断面積に腐食代を考慮していないのはなぜか。
A2−5−2. 道示W13.4.1(P.440)では、許容支持力の算定に用いる鋼管矢板1本の閉鎖断面積に腐食代を考慮すべきか明記されておりませんが、本プログラムでは、
・「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」
の計算例(P.265)を参照し、腐食代を考慮しない断面積を用いております。
また、
・「鋼管矢板基礎−その設計と施工−(平成11年10月)鋼管杭協会」
・「杭・ケーソン・鋼管矢板および地中連続壁基礎の設計計算例(2000年2月)山海堂」
についても同様に腐食代を考慮しておりません。

ただし、
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」
では、腐食代を考慮した断面積を用いております。
文献により取扱いが異なりますが、平成9年12月に発刊された「鋼管矢板基礎設計施工便覧」およびそれ以降の文献および設計計算例がいずれも腐食代を考慮していないことから、本プログラムでは、腐食代を考慮せずに許容支持力を算出しています。

腐食代を考慮した許容支持力を用いたい場合、おそれいりますが、「予備計算・結果確認」−「許容支持力・引抜力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。
また、計算書においては、
・印刷プレビューの「ソース」を押下し、ソース編集モードとし、許容支持力の箇所を修正する。
・Wordファイルに出力し、Word上にて許容支持力の箇所を削除する。
によりご対処いただきますようお願いいたします。

  2−6.設計外力(単位重量・慣性力等) 


Q2−6−1.

鋼管矢板基礎 仮締切りの計算で、波力を考慮するには?
A2−6−1. 「基礎の設計計算Ver.7」の仮締切りの計算では、「仮締切り」−「基本条件」画面で「任意荷重の載荷=する」と設定することにより、同画面の「任意荷重」において、任意の荷重を直接指定することが可能です。
お問合せの波力による水平方向荷重につきましては、本機能にて対応可能ではないかと考えます。
 
Q2−6−2. 頂版下面に作用する鋼管矢板反力はどのように算出されるのか。
A2−6−2.
頂版下面に作用する鋼管矢板反力は、「鋼管矢板基礎−その設計と施工−(平成14年12月)(鋼管杭協会)」(P.71〜)を参照し、継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばりによる解析法で求めた頂版下面の各値を用いて次のように算出しております。詳しくは、本文献をご参照ください。
なお、式中の「^」はべき乗を表しています。また、下式は各鋼管矢板の断面定数がすべて等しい場合のものです。
 
@鉛直反力Ri
 Ri=N/(n1+n2+n3)±{M*/ΣXi^2}・xi
 ここに、
  N :頂版下面に作用する基礎の軸力(kN)
  M*:頂版下面に作用する基礎の曲げモーメントのうち、鋼管矢板および中打ち単独杭の軸力によるもの(kN.m)
  n1:井筒外周の鋼管矢板の本数(本)
  n2:隔壁部の鋼管矢板の本数(本)
  n3:中打ち単独杭の本数(本)
  xi:鋼管矢板および中打ち単独杭の図心から基礎水平断面の中立軸までの距離(m)
 
A水平反力Hi
 Hi=Q/(n1 + n2)
 ここに、
  Q:頂版下面に作用する基礎のせん断力(kN)
 
B拘束モーメントMi
 Mi = (M - M*)/(n1 + n2)
 ここに、
  M:頂版下面に作用する曲げモーメント(kN・m)
  M-M*:頂版下面に作用する曲げモーメントのうち、鋼管矢板の曲げモーメントによるもの(kN・m)


  2−7.基礎本体(弾性床上の有限梁)の計算 


Q2−7−1.

計算書の「頂版・矢板連結部の計算」に出力される鉛直反力がどのように算出されるのか教えてほしい。
A2−7−1. ご質問の鉛直反力は、「部材」−「頂版・矢板結合部」画面の「反力」の入力値となっています。したがって、任意の反力を指定することも可能で、この場合、その根拠を示すことはできません。
ただし、上記画面の「荷重ケースの設定」で[データ連動]ボタンを押下した場合、プログラム内部にて算出された反力が設定されます。以下に、この内部設定値の算定方法を説明します。

頂版・矢板結合部の計算では、頂版下面における作用外力が必要となりますが、「作用力」−「設計外力」画面の設計外力は頂版天端中心の作用力であるため、これを用いることはできません。
したがって、「作用力」−「脚柱下端作用力」画面の柱基部の作用力に、
・頂版自重(浮力考慮)
・上載土砂重量(浮力考慮)
・柱に作用する浮力
による鉛直力と頂版の慣性力を考慮し、頂版下面中心の作用外力を算出しています。

次に、上記の作用外力を用いて、下記のように鋼管矢板の反力を算出します。
 Ri = (Vo・Ao)/Σ(n・Ao) + (Mo・Ao)/Σ(IB・Ao)・Xi
 ここに、
  Ri:i番目の鋼管矢板の頂版下面位置での反力(kN)
  Vo:頂版下面における鉛直力(kN)
  Ao:鋼管矢板の断面積(m2)
  n :鋼管矢板本数
  Mo:頂版下面中心における曲げモーメント(kN・m)
  IB:鋼管矢板の図心から井筒部水平断面の中立軸までの距離の二乗の総和(m2)
  Xi:i番目の鋼管矢板の中心座標(m)

[データ連動]ボタン押下時、上記により算出される鋼管矢板反力から、最大反力(最外縁の鋼管矢板反力)を設定しています。
なお、前述の画面で[データ連動]ボタンを押下した直後に計算を実行した場合、計算書に「6.2.2 作用外力」の出力が追加され、上記の算出過程が出力されます。
 
Q2−7−2. 鋼管矢板基礎の頂版の設計において、ディープビームを考慮した所用鉄筋量の照査は、何に基づいて行われているのか。
A2−7−2. 道示W13.7.2(P.453〜)に「頂版厚が躯体下端外縁より外壁鋼管矢板の中心までの距離の1/2をこえる場合、頂版をはり高の高い1方向スラブとして設計を行わなければならない。はり高の高い1方向スラブの応力度の計算法は、11.7.2を参考にしてよい。」との記述があります。
本プログラムでは、本記述を参照し、頂版厚が上記の設計スパン長の1/2を超えるとき、道示W11.7.2(P.330)に準じた部材の厚さが厚い頂版の応力度分布(図-解11.7.14)より求まる所要鉄筋量の計算を行い、使用鉄筋量との比較(ディープビームとしての照査)を行っています。

 
Q2−7−3. 計算書の「本体計算−詳細出力」の「基準KH1」と「計算KH1」の違いは?
A2−7−3. 鋼管矢板基礎のひずみ依存性を考慮する場合の基準水平方向地盤反力係数は
kH1=(1+αH)×kH×(y/yo)^(-1/2)
で算出されますが、このうち『y』は安定計算時に荷重ケースごとに求まるものですので、予備計算時には、『(y/yo)^(-1/2)』部分を無視した(=1とした)
kH1=(1+αH)×kH
による計算をしています。
[予備計算・結果確認]−[水平方向地盤反力係数 kH]画面での計算値、使用値もこの値になります。

「基準KH1」は[予備計算・結果確認]−[水平方向地盤反力係数 kH]画面の値で、「計算書作成」の「本体計算」−「地盤定数」の「(3)水平方向地盤反力係数」で詳しく出力しています。

そして「計算KH1」が『(y/yo)^(-1/2)』を加味した荷重ケースごとのkH1値となります。
この計算KH1を用いて収束計算を行っています。

  2−8.基礎本体(仮想井筒梁)の計算 


Q2−8−1.

仮想井筒梁の本体計算を行おうとするとメッセージが表示され、計算されない。
  データファイル作成エラー:[4402]
  継手の種類数が多すぎます。 ( ≦30 )
A2−8−1. 継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒梁による計算では、継手の種類数の上限を30としています。
具体的には、図のように、計算方向に対する継手の間隔をそれぞれ算出し、この間隔が同一のものを同じ種類として定義し、この種類数が30を超えるとき、警告を表示し、計算を行わないようにしています。
円形の場合、鋼管矢板井筒中心から先端になるにしたがって間隔が狭くなるため、継手の種類数が多くなる傾向にあります。
なお、鋼管矢板本数には特に制限は設けていません。


    
Q2−8−2. 計算実行時の下記メッセージの意味は?
  データファイル作成エラー:[4403]
  区間長が1cmより短い区間が存在します。
A2−8−2. 継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばりの計算(仮想井筒ばり計算,レベル2地震時計算,基礎バネ計算)では、道示W13.6(P.450)図-解13.6.3のように、基礎天端から基礎底面までを井筒の中心軸を通る1本棒としてモデル化し計算を行いますが、このモデルに対し、
@地層変化点,断面変化点,道示W13.4.2(P.441)図-解13.4.1の内部土短辺長点で区間分けを行う
A更に指定された計算ピッチで分割する
とてモデル化します。

上記の分割において、区間長が1(cm)より短くなる区間が生じたとき、本プログラムでは警告を表示しております。
本警告が表示された場合、地層変化点,断面変化点および内部土短辺長の設定を見直すことによりご対処ください。

 
Q2−8−3. 仮想井筒解析で鋼管矢板1本の曲げモーメントを算出しているが、それはアウトプットできるか。
A2−8−3. 解析ルーチンが土木研究所様よりご提供いただいたものですので、内部構造はブラックボックスで把握できませんが、計算実行を行った後のデータ保存時にテキストファイルで結果を出力できますので、そのファイルで確認できます。
ただし、上述のように、出力内容の全ては把握しておりませんので、出力ファイルにある文字からご判断ください。
▼出力方法
レベル2地震時照査を行った後、データファイルを保存する場合に、「仮想井筒梁、レベル2地震時、基礎バネ計算中間ファイルの保存」を行うか否かの画面が表示されます(レベル2地震時を計算しなかった場合は、「計算結果の保存」の指定のみ)。
ここで、「する」としますと、以下のテキストファイルで中間ファイルが出力されます。
XXXX.ADOI...入力データ
XXXX.AKIS...入力データ
XXXX.AKOX...X方向の常時・L1地震時計算結果
XXXX.AKOY...Y方向の常時・L1地震時計算結果
XXXX(0,0).AHOI...L2地震時入力データ(液状化、浮力)
XXXX(0,0).AHOX...X方向のL2地震時計算結果(液状化、浮力)
XXXX(0,0).AHOY...Y方向のL2地震時計算結果(液状化、浮力)

  2−9.仮締切り 


Q2−9−1.

仮締切り計算を実行すると下記メッセージが表示された。どのように対処したらよいか。
  メッセージ:[4269]
  有効スパンが長すぎます。L/b>30の為、σbagyの計算は行いません。
A2−9−1. この警告は、切梁および腹起しの検討に対して表示しております。

切梁および腹起しの検討において、局部座屈を考慮しない強軸まわりの許容曲げ圧縮応力度σbagyは、「鋼管矢板基礎−その設計と施工−(平成11年10月)(鋼管杭協会)」を参照し、道示U鋼橋編3.2(P.127)表- 3.2.3(b)より求めていますが、表-3.2.3(b)では、
・L/b≦4.5・・・σ = 140
・4.5<L/b≦30・・・σ = 140 - 2.4・(L/b - 4.5)
と規定されており、L/bが30をこえる場合、どのように許容曲げ圧縮応力度を算定すべきか明確ではありません。
したがって、現行では、L/bが30を超えるとき、警告を表示しています。

L/bが30を超える場合、許容曲げ圧縮応力度の取扱いが不明なため、設計者のご判断として別途ご検討ください。
    
Q2−9−2. 鋼管矢板基礎の仮締切り計算において、「残留応力度ステップ番号」には、一般にどの状態を設定すればよいのか?
A2−9−2. 「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」2.6.1(P.96)では、「仮締切り時に、外圧により鋼管矢板が変形した状態で頂版コンクリートが打設されるため、その段階で鋼管矢板に発生していたひずみがコンクリートの硬化により拘束され、図-2.6.1に示すようにその状態で応力が残留することになる。・・・この残留応力と基礎本体完成後の外力による応力とを加算する必要がある。」と記載されております。
上記を勘案すれば、頂版を打設する直前のステップを設定するのが適切と考えられます。ただし、底盤コンクリートが十分強固であると仮定できるのであれば、底盤コンクリートにより鋼管矢板の応力が固定されると考えられることから、底盤コンクリート打設の直前のステップでもよいと考えられます。
なお、最終的には、設計者の方のご判断により決定して下さい。
    
Q2−9−3. 中詰めコンクリートが充填された区間の場合、中詰めコンクリートの強度を考慮した応力度を算出しているのか?
A2−9−3. 本プログラムが開発に当たり参照した、道路橋示方書、鋼管矢板基礎設計施工便覧、道路橋の耐震設計に関する資料、鋼管矢板基礎−その設計と施工−、その他の文献,設計計算例を参照しても、仮締切り計算において、中詰めコンクリートの強度を考慮した応力度を算定する必要があると記載されたものはなく、また、算出方法自体が明確でないことから、本プログラムでは、中詰めコンクリートが充填されている区間かそれ以外かにかかわらず、鋼管本体のみを考慮した応力度を算出しています。
    
Q2−9−4. 鋼管矢板井筒の形状を円形としたとき,矩形としたときでは、仮締切り計算ではどのような違いがあるのか。
A2−9−4. 本プログラムの仮締切り計算は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「鋼管矢板基礎」−「仮締切り部の計算」−「■計算方法」に記載しておりますように、仮締切り壁としての鋼管矢板を奥行き1m当たりとして取り出し、鋼管矢板天端から矢板先端までを1本棒としてモデル化し、弾性床上の有限長ばりとして弾塑性解析法によって照査しています。単位幅(1m当たり)としての計算を行っていることから、基本的には形状が異なることによるモデル化の相違はありません。ただし、次に示すバネの取扱いの相違があり、この影響が生じます。

■アーチ作用を考慮した解析
円形の場合、アーチ作用を考慮した計算が行われます。具体的には、中詰めコンクリートが無い区間,有る区間ごとに、「鋼管矢板基礎設計施工便覧」(P.104)式(2.6.12),(2.6.14)によりアーチバネ定数を算定し、これを考慮した計算を行っています。

■支保工のバネ定数
支保工のバネ定数の算出方法は円弧部/直線部により異なっており、それぞれ同文献(P.98〜)の式(2.6.2),(2.6.3)により算出されます。
    
Q2−9−5. 鋼管矢板基礎の仮締切り計算において、鋼管矢板の単位幅当たりの断面二次モーメントはどのように算出しているのか。
A2−9−5.
仮締切り計算時の断面二次モーメントIおよび断面係数Zは、
 I = π/64・(Do^4 - Di^4)
 Z = π/64・(Do^4 - Di^4)/(Do/2)
 ここに、
  I:断面二次モーメント(m4)
  Z:断面係数(m3)
  Do:鋼管矢板外径(m) ※腐食代考慮
  Di:鋼管矢板内径(m) ※腐食代考慮
として鋼管矢板1本当たりのI,Zを算出した後、鋼管矢板1本あたりの分担幅を
 b = Do + w
 ここに、
  b:鋼管矢板1本あたりの分担幅(m)
  w:継手の有効間隔で通常は0.2478(m)
と考え、前述のI,Zを除すことにより求めます。
 
例えば、製品に付属のサンプルデータ(“C:\Program Files\FORUM 8\Foundation8\SampleData\Koukan_1.F8F”)の場合、
 Do = 1.000(m) ※外側錆代 = 0
 Di = 0.976(m) ※外側錆代 = 0
 I = π/64・(1.000^4 - 0.976^4)/(1.000 + 0.2478)
  = 0.0036428(m4)
 Z = π/64・(1.000^4 - 0.976^4)/(1.000/2)/(1.000 + 0.2478)
  = 0.0072856(m3)
となります。
    
Q2−9−6. 「残留応力度ステップ番号」はどのように決定したらよいか。
A2−9−6.
「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」2.6.1(P.96)では、「仮締切り時に、外圧により鋼管矢板が変形した状態で頂版コンクリートが打設されるため、その段階で鋼管矢板に発生していたひずみがコンクリートの硬化により拘束され、図-2.6.1に示すようにその状態で応力が残留することになる。・・・この残留応力と基礎本体完成後の外力による応力とを加算する必要がある。」と記載されております。
本記述を参照する限りにおいては、応力が拘束されるのは頂版打設によってであるため、その直前(底盤コンクリート打設後、頂版打設直前のステップ)を指定するのがよいのではないかと考えられます。
ただし、最終的には、設計者の方のご判断として決定してくださいますようお願いいたします。
 
なお、頂版打設後の検討を行う条件で、支保工撤去を行うと、解析においては、上記のような応力の拘束が完全には行われず、頂版下面以深において若干の変動が生じることがあります。
このようなケースのとき、どのステップの応力が残留すると考えるのかにつきましては、具体的な情報を有しておらず、適切な返答ができません。
上記と同様、設計者の方のご判断として決定してくださいますようお願いいたします。


 
Q2−9−7. 仮締切のところでダブル支保工とでてくるが、シングルとダブルとはここではどういう状態を示すか。
A2−9−7. 支保工の数の違いを示しております。
1:シングル支保工
2:ダブル支保工
入力箇所は「仮締切り」-「支保工@」の表における「数」の項目に該当します。

 
Q2−9−8. 仮締切時の検討で、頂版打設後の検討があるが、このときの頂版の扱いは?。ヘルプによれば、「頂版打設の範囲に対して極大分布バネを掛けて計算します」とあるが、極大分布バネとはどのようなものか。
A2−9−8. 極大分布バネは、便宜的に9999999.0(kN/m2)の分布バネとして与えています。
本プログラムの仮締切り計算は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「鋼管矢板基礎」−「仮締切り部の計算」−「■計算方法」に記載しておりますように、仮締切り壁としての鋼管矢板を奥行き1m当たりとして取り出し、鋼管矢板天端から矢板先端までを1本棒としてモデル化し弾性床上の有限長ばりとして弾塑性解析法によって照査しております。また施工時に生じた先行変位を考慮しております。
ここで、頂版打設後の検討については、道路橋示方書,鋼管矢板基礎設計施工便覧等の基準類,参考資料等にモデル化の方法,計算方法についての記載がありません。
このため、本プログラムでは、ご要望いただいた他のユーザ様等のご意見を参考とし、頂版打設後のステップに対し、頂版打設の範囲には変位が発生しないものとして前述の計算モデルに極大分布バネを掛けて計算する方法を採用しております。
しかしながら、前述のとおり、本計算方法は基準類,参考資料等に準じた計算方法ではございません。よって、計算方法を「仮締切り」画面上のヘルプに明示し、本計算方法が適用できるか否かについては、最終的には設計者の方のご判断により決定していただくようにしております。

 
Q2−9−9. 鋼管矢板基礎の仮締切りで任意荷重を設定すると、その荷重が鋼管矢板1本ごとにかかるという設定になるのか。
A2−9−9. 仮締切り計算は、仮締切り壁としての鋼管矢板を奥行き1m当たりとして取り出し、鋼管矢板天端から矢板先端までを1本棒としてモデル化し、弾性床上の有限長ばりとして弾塑性解析法によって照査しております。
従って、奥行き1mの単位幅あたりの計算を行っていますので、任意荷重につきましても単位幅あたりの値を入力してください。

ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「鋼管矢板基礎」−「仮締切り部の計算」−「■計算方法」のページもご参考ください。

  2−10.合成応力度


 −

  2−11.保耐法照査 


Q2−11−1.

鋼管矢板基礎が降伏に達して以降の計算を行う方法はあるか。
A2−11−1. 通常の設計においては、基礎が降伏に達した場合、その時点で計算を打ちきり、この状態の結果出力を行っています。

ただし、本プログラムでは、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(鋼管矢板基礎)」画面の「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」を「する」と指定することにより、柱基部断面力を直接指定して計算を行う機能を用意しております。
本機能は、本来、動的解析結果を用いて照査することを想定して設けたものですが、この照査方法の場合、基礎が降伏に達したか否かにかかわらず、常に全荷重を載荷した状態の結果出力を行います。
したがって、khpを載荷した状態と同条件となるよう作用力を設定することにより、お考えの結果を得ることが可能となります。

以上より、柱基部に作用する次の荷重を算出し、入力を行うことにより、本件にご対処ください。
 Vp = Rd + Wp
 Hp = (Wu + Wp)・khp + Hd
 Mp = (Wu・hu + Wp・hp)・khp + Md

なお、「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」の入力方法,照査方法につきましては、「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
また、レベル2地震時照査は、最終的には頂版下面中心の作用力を集計し計算を行います。この作用力が想定された値となっているか、必ず計算書の「レベル2地震時の照査」−「計算結果」の出力にてご確認ください。
    
Q2−11−2. 鋼管矢板基礎のレベル2地震時の計算を行うと「収束しませんでした」というメッセージが表示されるが、これはどのような状況を示しているのか。また、[強行]した場合、妥当な結果が得られたと考えてよいのか。
A2−11−2. 鋼管矢板基礎のレベル2地震時照査では、地盤抵抗に対して作用力が大きく地盤の大部分が塑性化する場合や、基礎長が短く底面の浮上りが大きくなる場合等で、収束計算が困難な状態になるケースが発生します。本メッセージは、このような状態となったときに表示しています。
本メッセージを[強行]した場合、収束不能となった水平震度を無視し、次の水平震度の計算に移行します。よって、結果確認画面(「計算・結果確認」−「レベル2地震時計算」−「詳細出力」画面)で省略されている水平震度が存在するとき、この水平震度が収束不能となったことを示しています。

なお、鋼管矢板基礎のレベル2地震時では、最終震度の結果あるいは基礎が降伏に達する状態が正しく取得できれば、照査としては問題ありません。途中の水平震度の結果は水平震度〜変位曲線を図化するための結果であるため、途中の水平震度が収束不能となっているのであれば、[強行]しても適切な照査が行われます。
収束不能となった水平震度が最終震度あるいは降伏時でないことを確認していただき、最終的には設計者判断として本計算結果を採用するか否かを決定してください。
    
Q2−11−3. 鋼管矢板基礎の降伏判定において、「1/4応力度」という判定基準があるが、具体的にどのように判定しているのか?
A2−11−3. 「1/4応力度」は、道示および鋼管矢板基礎設計施工便覧に記載されている「井筒外周押込側1/4の範囲の鋼管矢板の縁応力度が降伏応力度に達する。」を参照したもので、押込側先端より1/4位置となる鋼管矢板に着目し、この鋼管矢板の基礎天端〜基礎底面間に応力度>降伏応力度となる部材が生じたとき、基礎が降伏に達したと判断しています。
ただし、現行では、基礎天端〜基礎底面間の応力度分布の出力は行っておらず、最大応力度のみを抽出して出力しています。
    
Q2−11−4. 「レベル2地震時基本条件」画面で下記メッセージが表示されるが、どのように対処したらよいか?

  確認:[20902]
  計算分割数が100を超えています。100回目の計算を終了した時点で降伏していない場合は計算を打ち切ります。よろしいですか。
A2−11−4. 鋼管矢板基礎のレベル2地震時照査では、計算開始震度から最終震度まで、設定された震度増分ごとに水平震度を増加させながら計算を行っておりますが、計算できる回数は方向ごとに100回までという制限があります。
上記の制限に達した場合、警告が表示され、レベル2地震時照査を行うことができません。
本件につきましては、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(鋼管矢板基礎)」画面の「震度増分」を大きく(0.02や0.03等)設定することによりご対処ください。これにより、警告が表示されることなく、レベル2地震時照査が可能となります。

なお、震度増分を変更したくない場合、上記画面の「計算開始震度」を変更することによっても本現象を回避することが可能です。
ただし、Hd,Md(死荷重時の水平力,モーメント)に0.00以外が設定されている場合、死荷重時に基礎の変位が生じることから、応答塑性率の照査において、死荷重時の上部構造慣性力作用位置における水平変位が必要となります。
このため、Hd,Mdが0.00以外のとき、計算開始震度は0.00に固定され、よって、震度増分により対処する必要があります。ご注意ください。
    
Q2−11−5. 鋼管矢板基礎設計施工便覧には「鋼管矢板内周面の大半が2/h以内(hは頂版厚)になる場合にはせん断破壊の恐れがないため照査を行う必要はない」との記述があるが、本プログラムではどのように取り扱っているのか。
A2−11−5. 鋼管矢板基礎設計施工便覧ではせん断照査が不要となる頂版の例が記載されておりますが、具体的な判断方法は明記されていません。
したがって、本プログラムでは、便宜的に、検討方向の前面側に対して
■せん断照査断面
 L = tc/2 + h/2
 ここに、
  L :井筒中心からせん断照査位置までの距離(m)
  tc:橋脚躯体幅(m) ※円弧部は0.8倍とする
  h :頂版厚(m)
■鋼管矢板内周面
 b = By/2 - Do
 ここに、
  b :井筒中心から鋼管矢板内周面までの距離(m)
  By:井筒外幅(m)
  Do:鋼管矢板本体径(m)
を算出し、L>bとなるとき、せん断照査を行う必要はないと判断し、作用せん断力およびせん断耐力をいずれも0とした結果出力を行っています。
    
Q2−11−6. 鋼管矢板基礎の頂版のレベル2地震時照査において、せん断スパン比による割増係数Cdsを考慮しない理由は?
A2−11−6. 鋼管矢板基礎の頂版のレベル2地震時照査は、「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」(P.137)の記述、「鋼管矢板基礎の場合、側面に生じる反力の影響が大きいため、せん断力に対する設計では、版としてのせん断についてのみ照査すればよい。」より、版としてのせん断照査を行います。
版としてのせん断照査の照査方法は、道示W13.9.5(P.462)の記述、「頂版の設計は、8.7に規定するフーチングの設計に準じるものとする。」より、道示W8.7(P.236〜)に準じた照査を行いますが、(P.237)の記述、「今回の改訂において、はりとしてのせん断耐力の算定にあたってはせん断スパン比による割増し係数を表-8.7.1により考慮することとしたが、・・・版としてのせん断耐力の算定にあたっては、せん断スパン比の影響や照査断面の設計に未解明な点があるために、ここでは従来と同様にせん断耐力を算定するものとする。」とあり、せん断スパン比による割増係数Cdsは考慮しないよう規定されています。
よって、Cdsは考慮しておりません。
    
Q2−11−7. レベル2地震時の照査において、斜引張鉄筋の本数はどのように算出されるのか。
A2−11−7.
頂版の斜引張鉄筋本数は、図(考え方を示したイメージ図)の水色の部分に入力されたスターラップの間隔の格子を配置し、前面側,側面側ごとに水色の部分にある格子点の数をカウントし、これを鉄筋本数としています。
よって、入力されたスターラップ間隔に応じた目安を示していることになります。
 
なお、鋼管矢板基礎設計施工便覧(P.138)に記載されておりますように、レベル2地震時に対する頂版の設計は、版としてのせん断照査を行っております。
版としてのせん断照査において、せん断照査断面は、図-2.7.16のように、柱前面から頂版厚hの1/2となる位置としています。
 
ここで、同文献(P.139)において、「図-2.7.17に示すように、鋼管矢板内周面の大半がh/2以内にある場合には、せん断破壊の恐れがないため照査を行う必要はない。」と記載されており、せん断照査が不要となる例が図示されていますが、「鋼管矢板内周面の大半が」の大半がどの程度と考えればよいのか明確に規定されているわけではありません。
よって、本プログラムでは、検討方向(荷重の載荷方向)におけるせん断照査位置が鋼管矢板内周面より外側となる場合、せん断照査を省略するようにしています。


 
Q2−11−8. 「頂版下面に作用する鋼管矢板の反力」において、鋼管矢板基礎の中打ち杭の反力が同一位置の外周矢板反力と異なることがある理由を知りたい。
A2−11−8. 頂版下面に作用する鋼管矢板反力は、「鋼管矢板基礎−その設計と施工−(平成14年12月)(鋼管杭協会)」(P.71〜)を参照し、継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばりによる解析法で求めた頂版下面の各値を用いて次のように算出しております。詳しくは、本文献をご参照ください。
なお、式中の「^」はべき乗を表しています。また、下式は各鋼管矢板の断面定数がすべて等しい場合のものです。

@鉛直反力Ri
 Ri=N/(n1+n2+n3)±{M*/ΣXi^2}・xi
 ここに、
  N :頂版下面に作用する基礎の軸力(kN)
  M*:頂版下面に作用する基礎の曲げモーメントのうち、鋼管矢板および中打ち単独杭の軸力によるもの(kN.m)
  n1:井筒外周の鋼管矢板の本数(本)
  n2:隔壁部の鋼管矢板の本数(本)
  n3:中打ち単独杭の本数(本)
  xi:鋼管矢板および中打ち単独杭の図心から基礎水平断面の中立軸までの距離(m)

ただし今回の外周矢板と中打ち杭については、矢板断面変化時の鋼管厚の差を考慮しておりますので、その分の鉛直反力が異なります。
矢板断面1の鋼管厚を12.0(mm)として全ての杭が同一条件のもとで計算する場合、同一位置の反力が一致することを確認しております。

※腐蝕代を考慮した断面積で補正しております。

  2−12.基礎バネ


Q2−12−1.

鋼管矢板基礎の基礎バネ算出で、鉛直方向バネは算出されないのか?
A2−12−1. 本プログラムの鋼管矢板基礎の基礎バネ算出は、
・「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」2.1.2-(2)(P.33〜)
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.8-45)
に記載されている方法で、固有周期算定に用いる地盤バネ定数として水平,回転および水平と回転との連成バネを算出しております。
上記基準類には鉛直バネに関する記述がなく、本プログラムでも鉛直方向に関連するバネ値は算出しておりません。

なお、上記「道路橋の耐震設計に関する資料」の固有周期算定例(杭基礎)では、水平,回転に関するバネ値のみを考慮しています。
資料に明記されておりませんので、鉛直方向に関連する支持条件は判りませんが、本例では鉛直方向を固定,鉛直と水平および回転の連成バネは0.0として取り扱っているのではないかと思われます。
    
Q2−12−2. ケーソン基礎、鋼管矢板基礎の常時の基礎バネを算出する方法は?
A2−12−2. 申し訳ございませんが、ケーソン基礎,鋼管矢板基礎のいずれにおいても、常時の地盤バネ定数の算出には対応しておりません。

ただし、ケーソン基礎であれば、「地層」−「土質一覧」−「土質データA」画面の動的変形係数EDに、常時のα・Eo値を直接入力して基礎バネ計算を行っていただくことにより、常時のα・Eoを用いて算出した基礎のバネ定数を算出することが可能です。

鋼管矢板基礎においても、同様の手順にて常時の基礎バネを算出することが可能ですが、鋼管矢板基礎におきましては、以下にご注意ください。

鋼管矢板基礎では、計算モデル,地盤バネモデルが各々2方法あります。
計算モデル
 (1)弾性床上の有限長ばり
 (2)継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばり
地盤バネモデル
 (a)道示W13.5:前面水平方向のみ
 (b)道示W表−解13.9.1:前面,側面の水平方向および鉛直方向

基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ)算出では、「鋼管矢板基礎設計施工便覧」を参照して、(2)+(b)のモデル(レベル2地震時計算モデル)で計算しています。一方、常時,レベル1地震時では、(1)+(a)または(2)+(a)で計算しています。
ご検討の常時の基礎バネ算出における条件が、(2)+(b)であれば、EDの代わりに常時のα・Eoを入力することによって算出可能ですが、(1)+(a)あるいは(2)+(a)のモデルを想定されている場合は算出できません。
なお、(a)を用いる常時,レベル1地震時の計算では、(解13.5.2)に記述されていますように、前面水平方向バネ値は、ひずみ依存性を考慮して、水平変位に応じた値に補正しています。よって、(1)+(a)あるいは(2)+(a)のモデルでは、線形バネを算出することはできません。
    
Q2−12−3. 鋼管矢板基礎の基礎バネはどのように算出されるのか。
A2−12−3.
鋼管矢板基礎の基礎バネは、杭基礎のように解析的に求めることができないため、レベル2地震時の計算モデルに動的変形係数EDより算定された地盤バネを用いて継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばり解析を行い、算出された基礎天端(頂版天端)の変位を用いて計算しています。
具体的には、計算モデルの天端に単位水平力,単位モーメントをそれぞれ別々に作用させ、
 δoH,θoH:単位水平力を与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
 δoM,θoM:単位モーメントを与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
を求め、求められた基礎天端の水平変位,回転角を次に示す道示X(P.60)(解6.2.12)に代入して算出します。
 Ass= θoM/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 Asr=−δoM/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 Ars=−θoH/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 Arr= δoH/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 ここに、
  Ass:水平方向バネ(kN/m)
  Asr=Ars:水平と回転との連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
  Arr:回転バネ(kN.m/rad)
 
上記のように、本プログラムの基礎バネは、基礎天端変位を用いて算出される基礎天端位置の地盤バネ定数となります。
なお、突出扱いの場合、突出部のバネ値を0としてモデル化しています。
また、計算モデルには単位水平力,単位モーメントのみ載荷しており、軸力は考慮されません。よって、頂版の重量は考慮されません。
なお、基礎バネ算出時においては、地盤の非線形性,基礎底面の浮上りは考慮されません。


 
Q2−12−4. 「地層データ」において「設計地盤(常時)」よりも下に「設計地盤面(地震時)」を入力している場合で,基礎バネ計算において設計地盤面を下げるケースとは,どのようなケースを想定しているか。
A2−12−4. 基礎ばねの計算位置は頂版天端で変わりませんが、設計地盤面を下げた場合、設計地盤面以上の地盤ばねは無視した計算となります。
地盤ばねを控除したい範囲が頂版天端以下にある場合にご利用ください。

  2−13.付属設計 


Q2−13−1.

頂版の照査に用いる杭の鉛直反力はどこ杭反力を参照しているのか
A2−13−1. 頂版の照査に用いる杭の鉛直反力は、別途算定しています。詳細は道路橋示方書(平成24年3月)(p.475)をご参照ください。

  2−14.その他 


Q2−14−1.

中打ち単独杭は計算上どのように考慮されているか。
A2−14−1. 中打ち単独杭は、「鋼管矢板基礎設計施工便覧」1.5.5(P.26)の記述、「中打ち単独杭は、鉛直荷重のみに抵抗するものとして計算において考慮して良く、鉛直反力や頂版に作用する反力の軽減対策として有効である。」を参照し、鉛直荷重に対してのみ抵抗するものと考えています。
具体的には、
@鋼管矢板先端の軸方向バネ定数
A内部土短辺長の範囲の杭周面鉛直方向せん断バネ定数
を考慮しております。


 
Q2−14−2. 鋼管矢板基礎の継ぎ手部について、モルタルを注入している場合におけるせん断剛性を求める場合、モルタルの強度は内部的にいくらとなっているのか。(入力画面上ではモルタル材料の入力は存在しないため)
A2−14−2. 基礎の設計計算における鋼管矢板基礎のせん断抵抗につきましては、「鋼管矢板基礎―その設計と施工― (一般社団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会)」のp55ページを参照としております。
その文献によりますと、継手のせん断剛性は標準型の継手を用いる場合には既住の実験結果を参考にしてせん断剛性を1,200,000kN/m2、せん断耐力を200kN/mを上限値として弾塑性型のバネとしてモデル化しています。

本プログラムは、外周矢板、隔壁矢板ともに、継手部は十分なせん断剛性を有する構造であることを前提としておりますが、継手内部の充填材料の影響につきましては上述の資料上では明記されておらず、モルタル材料の影響を別途にせん断抵抗として考慮していることは行っておりません。ご了承ください。

最終的な継手におけるせん断剛性Gjは[形状]-[形状]-[継手]より入力できますが、モルタル強度を考慮した剛性につきまして資料の実験結果とは別途に算出する場合は設計者様にご判断頂くこととなります。

 
Q2−14−3. 鋼管杭における杭頭溶接鉄筋の計算式について教えてほしい。現在、H14道示で設計した橋の会検対応をしているが、式の出典を知りたい。
A2−14−3. 杭頭補強鉄筋の溶接長の計算は、「杭頭結合計算」画面上の[ヘルプ]より開く説明に記載しておりますように、
・「土木構造物設計計算例C杭・ケーソンおよび鋼管矢板基礎の設計計算例(平成3年1月発行)山海堂」(P.198〜P.199)
・「SCくい設計指針(昭和55年3月)国土開発技術研究センター」(P.11)
を参照し、作成しております。

なお、本計算方法は、道示や杭基礎設計便覧等の基準・文献類に記載されているわけではありませんので、計算するか否かは、設計者の方のご判断により決定していただくようにしております。


 3 ケーソン基礎


Q3−1.

保耐法照査時のHd、Mdは何を入力するのか?
A3−1. 本入力は、保耐法照査時に死荷重時の任意水平力Hdと任意モーメントMdを考慮できるように入力を準備したものです。
任意に働く作用力などが無ければ、考慮する必要はありません。
 
Q3−2. ケーソン天端が地盤面より上にある場合の上載土の設定方法。
A3−2. 「作用力」−「脚柱下端作用力」の上載土高は標高で入力してください。このとき、基礎天端より深い位置には設定できないようになっています。上載土重量を考慮されない場合は、基礎天端標高を入力頂ければ考慮しないことになります。
「保耐法基本条件」−「基本条件(ケーソン基礎)」の上載土厚では、頂版上の上載土厚を入力してください。
上載土重量を考慮されない場合は、0.0を入力頂ければ結構です。
  
Q3−3. 地震時水平耐力法に用いる設計水平震度Khcより大きな慣性力が作用しないのはなぜか?
A3−3. 「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」P.8-32に、「基礎が降伏に達するときの水平震度KhyFが地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度Khcを上回っており、これは2.3.3の基礎の安全性の判定における図-2.3.12(a)の場合に該当する。よって、地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度Khcに対して、弾性範囲内にあるので安全と判定される。」と記載されています。このことから、khcより大きな水平震度に対しては照査する必要がないと判断しております。
 
Q3−4. Khgが0でKhp<Khc時、水平震度をあげても基礎に作用する荷重増分がないのか?
A3−4. 「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」P.2-60に、「上部構造および橋脚躯体に作用させる水平震度αikhcがKhpに達すると、橋脚躯体基部に塑性ヒンジが発生し、橋脚躯体基部から基礎に伝達される作用力は増加しないものと仮定する。したがって、上部構造および橋脚躯体にはこのKhpを保持したまま・・・。」とあり、これを参照しております。
  
Q3−5. ケーソンの鉛直方向バネ定数は算出されないのか?
A3−5. 基礎バネ(固有周期の算定に用いる地盤バネ定数)の計算では、水平,回転に関するバネ値を算出しており、鉛直方向に関連するバネ値は算出しておりません。
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.7-40)も同様です。
また、同資料の杭基礎の固有周期算定例(P.2-10)では、水平,回転に関するバネ値のみを考慮しています。
資料に明記されておりませんので、鉛直方向に関連する支持条件は判りませんが、本例では鉛直方向を固定,鉛直と水平および回転の連成バネは0.0として取り扱っているのではないかと思われます。
  
Q3−6. 設計地盤面より上方のケーソン本体の慣性力はどのように考慮しているのか?
A3−6. 本プログラムでは、地震時の設計地盤面(耐震設計上の地盤面)が頂版天端より下がった場合、設計地盤面より上のケーソン本体の慣性力を考慮した計算を行っています。
設計水平震度は、次の画面で入力していただくようにしています。
レベル1地震時
 「作用力」−「単位重量等」画面の『設計水平震度(基礎構造物)』
 慣性力の指定は、「脚柱下端作用力」画面の『慣性力(1=正方向,2=負方向)』欄で指定してください。
レベル2地震時
 「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面の『khG』

実際の計算においては、ケーソン基礎では、基礎天端から先端までの計算モデルを作成しており、ケーソン本体の慣性力はこの計算モデルに水平分布荷重として載荷しています。
 
Q3−7. 頂版の剛体照査は何にもとづいて行われているのか?
A3−7. 本プログラムでは、ヘルプの「概要」−「プログラムの機能概要」−「適用基準および参考文献」に記載しております参考文献「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」の記述、「下部工の設計では、柱や壁あるいは杭がフーチングで固定支持しているとの前提から設計が行われており、頂版は柱や壁あるいは基礎本体に比べて、ある程度の剛性が必要である。また、頂版を設計する際の支持部反力は、頂版を剛体として算出していることから、頂版は原則として剛体として取り扱える程度の厚さとする。」を参照し、頂版を剛体とする必要があると判断し、剛体判定を行っております。
  
Q3−8 レベル2地震時照査で終局時を求める際に構造系が不安定となり計算が終了しない。どのように対処すればよいか?
A3−8. ケーソン基礎の許容塑性率μLは、
 μL=1+(δu−δy)/(α・δy)
 ここに、
  μL:基礎の許容塑性率
  δu:基礎本体が終局に達したときの上部構造の慣性力作用位置での水平変位(mm)
  δy:基礎が降伏に達したときの上部構造の慣性力作用位置での水平変位(mm)
  α:安全係数で、1.8とする。
により算出します。
お問合せのデータの場合、レベル2地震時安定計算実行時にメッセージを表示しておりますように、上記の終局時の変位δuを求める過程で収束計算ができない状態となっため、計算を中断し、計算が完了した最大震度時を終局時として、このときの水平変位を前述のμL算式のδuに代入したときの結果を出力しています。

ケーソン基礎の安定計算では、地盤の弾塑性を,基礎本体が降伏に達した場合は更に部材の非線形を考慮した計算を行っています。
具体的には、地盤バネ値,曲げ剛性を仮定して計算し、その結果と仮定値とがほぼ一致するまで収束計算を行っています。
基礎本体の曲げ剛性EIは、部材ごとに
(1)仮定したEI
(2)発生したMとそれに応じたφから求まるEI(=M/φ)
とがほぼ一致するまで計算を繰り返していますが、お問合せのデータのM−φ関係の場合、Mc,My,Mu値が近い値になっているのに対し、φc,φy,φuはそれぞれ1桁異なっています。
この場合、Mcを超えると僅かなMの変化でEIが急変し、この傾向はMyを超えると更に顕著となり、非常に収束しにくい状態となっております。
お問合せのデータもこれに該当しており、正しい終局時の変位δuを求めることができておりません。

なお、本プログラムでは、上記のように終局状態が算出できないケースのとき、「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(ケーソン基礎)」画面に、『設計水平震度の範囲内で終局状態が算出できない場合』の選択を設けており、
・最大震度時を終局状態とする
・終局時の水平変位をδu=200cmとする
・応答塑性率照査を行わない
から指定するようになっております。
本データの場合、「最大震度時を終局状態とする」が指定されておりますので、上記のように、計算可能であった最大震度時の結果を用いて応答塑性率の照査を行っております。
詳しくは、上記画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
 
Q3−9. 「作用力」−「脚柱下端作用力」画面の「慣性力」はどのように計算に反映しているのか。
A3−9. 「作用力」画面の「慣性力」は、レベル1地震時の計算において、設計地盤面(耐震設計上の地盤面)が基礎天端(頂版天端)以深となる場合に考慮され、正方向(=1),負方向(=2)を設定したとき、ケーソン本体の慣性力を考慮した計算を行います。
なお、本設計水平震度は、道示X6.3.3(P.83)(1)のレベル1地震動の設計水平震度khを想定しており、khは、
 kh=Cz・kho
 ここに、
  kh:レベル1地震動の設計水平震度kh
  kho:レベル1地震動の設計水平震度の標準値
  Cz:地域別補正係数
により算出されます。
 
Q3−10. 任意のコンクリート設計基準強度または鉄筋材質を使用した照査は可能か。
A3−10. 下記の手順にて設定してください。

■コンクリートの設計基準強度について

「基準値」−「コンクリートの許容応力度」画面において、1種類のみ任意の諸元を入力可能となっています。こちらにご検討の設計基準強度,許容応力度を入力し、「基本条件」画面の『使用鉄筋コンクリートの設計基準強度σck』の一番右のボタンを選択してください。

■鉄筋材質について

「基準値」−「鉄筋の許容応力度」画面において、SD295/SD345のいずれかに、ご検討の材質の許容応力度および降伏応力度を直接入力してください。
「レベル2地震時基本条件」−「M−φ」画面の[M−φ計算]ボタンにより算出されるM−φ関係は、上記画面の「降伏応力度」に入力された降伏応力度を用いて算出されます。
ただし、各鉄筋入力画面の鉄筋量は、異形棒鋼のみを想定していますので、丸鋼の断面積は自動設定されません。ご検討の鉄筋が丸鋼の場合、各画面の「As」欄に任意の鉄筋量を直接入力してください。

なお、計算書においては、「SD295」,「SD345」のいずれかの鋼材の名称が出力されますので、下記のように編集してください。
・印刷プレビューの「ソース」を押下し、ソース編集モードとし、該当する箇所を編集する。
・Wordファイルに出力し、Word上にて、該当する箇所を編集する。
 
Q3−11. ケーソン基礎のレベル2地震時基本条件データ入力の際に表示されるメッセージにはどのように対処したらよいか。
 -----------------
 データエラー(レベル2基本条件):[20906]
 M−φは以下の条件で入力してください。
 ・Mc≦My≦Mu
 ・φc≦φy≦φu
 -----------------
A3−11. ケーソン基礎のレベル2地震時照査では、道示W11.8.4(P.341〜)を参照し、基礎本体のM−φ関係(曲げモーメント〜曲率関係)を算出しています。

Mcは、コンクリートおよび鉄筋の断面積や位置等の断面定数から求まりますが、コンクリート断面に対して鉄筋の断面積が占める割合は非常に小さいため、鉄筋量は結果には大きく影響しません。しかしながら、My,Muは鉄筋量に大きく左右されます。
このため、既設橋脚等のように、側壁の軸方向鉄筋量が少ない場合、Mc≦My≦Mu,φc≦φy≦φuの関係とならないケースが生じます。

ここで、道示においては、McがMy,Muを超えてはならないという記述はありません。ただし、道示の規定は、図-解11.8.1(P.342)のような関係になることを想定しているため、Mc>My,Mc>Muとなる場合の曲げ剛性をどのように算出するかが明確ではありません。よって、計算に移行できないようにしています。
Mc≦My≦Mu,φc≦φy≦φuの関係となるよう「レベル2地震時基本条件」−「M−φ」画面にて使用値を入力していただくことで計算を行うことが可能ですが、本計算結果の適用の是非につきましては設計者の方の判断で行ってください。
 
Q3−12. ケーソン基礎において、「設計地盤面」を基礎天端以深となるよう設定したが、計算に反映されないのはなぜか。
A3−12. 「地層」画面上の[ヘルプ]の「■地層線」−「設計地盤面」−「設計地盤面(常時)(地震時)」をご参照ください。
本ヘルプに記載しておりますように、ケーソン基礎の設計地盤面は、地盤の変形係数α・Eo,土質定数の低減係数DEより自動的に決定していることから、「設計地盤面(常時/地震時)」の入力は計算に用いておりません。

本件につきましては、設計地盤面と考える位置で地層を分割し、それより上方の α・Eoを全て0と設定することによりご対処ください。これにより、自動的に設計地盤面が設定されます。設定された設計地盤面は、「予備計算」画面上で確認することができます。また、計算書の「設計条件」−「地盤条件」の出力において、地盤抵抗を考慮する設計地盤面以深の地層を確認することができます。

なお、「地層」画面の「地盤面(常時/地震時)」に設計地盤面と考える標高を入力することによっても同様の結果を得ることが可能です。ただし、この場合、「形状」−「上載荷重,その他」画面の「上載荷重q」に、土砂重量による載荷荷重を別途算出し入力する必要があります。
 
Q3−13. ケーソン基礎において、基礎底面地盤の許容せん断抵抗力Haが0となる。これはなぜか。
A3−13. 本プログラムでは、ヘルプ「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「安定計算(常時,暴風時,レベル1地震時)」に記載しておりますように、基礎底面地盤の許容せん断抵抗力は、
 Ha=Hu/n
 Hu=CB・Ae+V・tanφB
 ここに、
  Ha:基礎底面地盤の許容せん断抵抗力(kN)
  Hu:基礎底面と地盤との間に働くせん断抵抗力(kN)
  n:安全率(常時:1.5,レベル1地震時,暴風時:1.2)
  cB:基礎底面と地盤との間の付着力(kN/u)
  Ae:基礎底面の有効載荷面積(u)(浮上りを生じていない部分の底面積)
  V:基礎底面に作用する鉛直力(kN)(ただし、浮力を差し引いた値)
  φB:基礎底面と地盤との間の摩擦角(度)
により算出しておりますが、ご質問のデータの場合、付着力cB,および摩擦角φBが0.00となっているため、許容せん断抵抗力Haが0.00となっているものと考えられます。
「地層」−「土質一覧」−「土質データB」画面において、付着力cB,摩擦角φBをご確認ください。

 
Q3−14. 「形状」−「平面寸法」画面を確定終了しようとすると下記メッセージが表示されるが、この制限の根拠は?

  入力エラー(形状:平面寸法):[20301]
  平面形状に矛盾があります。
  以下の条件を満たすように入力してください。
  側壁厚≦基礎幅L/4=x.xxxx
A3−14. 本プログラムでは、側壁厚が基礎幅の1/4より大きくなるケースは計算対象外としております。
これは、側壁水平方向の部材計算において、側壁厚が基礎幅の1/4より大きくなる場合、せん断照査位置が正しく求まらないケースが生じるためです。

本プログラムの側壁水平方向の計算は、道示W11.7.1を参照しておりますが、道示W11.7.1の解説文(P.324〜P.325)のように、部材内面からT/2点(Tは側壁厚)から1.5d点(dは側壁有効高)の範囲に着目点をおき、その断面に作用するせん断力に対して照査します。
したがって、側壁厚が基礎幅の1/4より大きくなると、Tの位置が重なることにより照査断面位置が取得できず、正しく照査できなくなるケースが生じます。
本プログラムでは、このようなケースを排除するため、本制限を設けております。
 
Q3−15. ケーソン基礎で、地盤面における設計水平震度khgは入力する必要があるか?
A3−15. 地盤面における設計水平震度khgは、道示X6.4.7(P.103)(2)のとおり、耐震設計上の地盤面より上方の地中構造物、または杭基礎のフーチングに対して慣性力として考慮します。

杭基礎の場合、フーチングに対して考慮するため、常にkhgを設定する必要があります。
これに対し、ケーソン基礎の場合、道示X4.6(P.27〜)のように、ごく軟弱な土層あるいは液状化により地盤抵抗が期待できない土層がある場合でなければ、耐震設計上の地盤面が基礎天端(頂版天端)となります。したがって、基礎に作用する慣性力は、上部構造,橋脚躯体に作用するkhpのみとなり、khg は用いません。よって、この場合であれば、khgを入力する必要はありません。

ただし、耐震設計上の地盤面が頂版天端以深となる場合、適切にkhgを設定する必要があります。この条件にもかかわらずkhgを設定しなかった場合、ケーソン本体の慣性力が考慮されませんのでご注意ください。
 
Q3−16. 根入れの浅いケーソン基礎の設計において、耐力に余裕のない場合でも、基礎の応答塑性率,応答変位を算定しているのはなぜか?
A3−16. 根入れの浅いケーソン基礎のレベル2地震時照査は、直接基礎と同様、橋脚下端外縁における曲げ照査、及びそれよりスラブ高さの1/2離れた位置におけるせん断照査を行います。このときの照査断面の断面力は、
・スラブ自重
・上載土砂重量
・地盤反力度
を考慮しており、「レベル2地震時基本条件」画面の設定は、上記の地盤反力度を算定するために使用しています。

ここで、レベル2地震時の地盤反力度は、次の考え方により算定しています。
通常、直接基礎では、道示W10.6(P.290)のとおり、道示X12.4(P.218)に示される「地震時保有水平耐力法による照査に用いる橋脚基礎の設計水平震度khcF」が作用した状態における地盤反力度を用いて照査しています。
根入れの浅いケーソン基礎においても、これに準じ、応答変位δFr(図-解12.4.1エネルギー一定則による算定法により求まる設計水平震度khcFに相当する水平変位)となる状態の地盤反力度を用いています。(※基礎が降伏に達しない場合であれば、最終震度時の地盤反力度を用いる。)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「根入れの浅いケーソン基礎」をご参照ください。

なお、根入れの浅いケーソン基礎の設計法は、道示等に明確には示されておりません。
よって、本プログラムでは、根入れの浅いケーソン基礎の設計が記載された「基礎工2002.5月号」を参照して作成しており、上記の考え方は、本参考資料 (P.60)の「ここで、部材の照査に用いる荷重は、直接基礎のフーチングを照査する場合と同様にして算出する。すなわち、図-4(道示X12.4 図-解12.4.1と同意)に示すように応答変位δFRを求め、このδFR時の水平震度kFRに対して部材の安全性を照査する。」を参照しています。
 
Q3−17. 洗掘等により既設ケーソン基礎が河床から完全に突出しているようなケースの照査は可能か。
A3−17. 可能です。「地層」画面の「現地盤面」を頂版天端(基礎天端)以深となるよう設定してください。これにより、完全に突出した状態における照査が行われます。

なお、ケーソン本体が地盤から突出することになるため、ケーソン本体の慣性力を考慮した計算を行う必要があります。
この場合、
・「作用力」画面において、「単位重量等」の「設計水平震度」および「脚柱下端作用力」の「慣性力(1=正方向,2=負方向)」を入力する。
・「レベル2地震時基本条件」−「基本条件(共通)」画面の「khG」(※地盤面における設計水平震度)を入力する。
としてください。これにより、ケーソン本体の慣性力を考慮した計算が行われます。

ただし、本プログラムのケーソン基礎では、流水圧あるいは動水圧等を考慮した計算を行うことはできません。また、ケーソン本体に作用する任意荷重等の指定機能は有していないことから、他の方法を用いても、これを考慮することはできません。
 
Q3−18. 側壁鉛直方向のせん断照査において、部材高よりも有効高が大きくなるケースがある理由は?
A3−18. 道示W4.2(1)1)(P.152)をご参照ください。本プログラムの側壁鉛直方向のせん断照査は、本解説および図-解4.2.2のように、側壁厚を変えずに等断面積となる中空矩形断面に換算して行っています。
部材高は、この換算矩形断面の高さとなります。これに対し、有効高は、換算矩形断面の圧縮縁から円形断面(換算前断面)の引張側1/4部分の鉄筋重心位置までの距離とします。
換算矩形断面の圧縮縁から円形断面の鉄筋重心位置までの距離として有効高を求めていることから、場合によっては、部材高より有効高の方が大きくなるケースが生じます。
詳しい算出式につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「部材計算:側壁鉛直方向」をご参照ください。
 
Q3−19. 頂版の許容応力度法照査は単位幅あたりで行われているが、レベル2地震時は実形状を用いて照査されている。その理由は?
A3−19. 「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.7-16)のケーソン基礎の設計例では、「各設計断面に生じる幅1mあたりの曲げモーメントを算出し・・」と記載されており、許容応力度法照査においては、単位幅(1m)あたりの計算を行っています。
これに対し、レベル2地震時(P.7-37)では、「地震時(震度法)では、頂版に生じる曲げモーメントは幅1m当たりで算出したが、地震時保有水平耐力法では、図-7.3.13に示す曲げモーメントを照査する断面に作用するすべての荷重を考慮して曲げモーメントを算出する。」とあり、照査断面より外側の実形状を用いて断面力を算出し、有効幅の断面を有効として照査しています。
8章の鋼管矢板基礎の頂版設計においても同様です。

また、本プログラムがプログラム開発時に参考とさせていただいた「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」(P.275)においても、「頂版に作用する断面力は、図 -6.43に示す位置において単位幅(1.0m)当りで算出する。」とあり、許容応力度法照査では、単位幅当たりで照査するよう記載されています。

上記のように、各種文献においては、常時,レベル1地震時の許容応力度法照査では単位幅当たりの照査を、レベル2地震時では実形状を用いた照査を行っており、本プログラムもこれに準じています。
しかしながら、どのような理由でこのような照査方法を採用しているかにつきましては、申し訳ございませんが、具体的な情報を持っておらず、適切な返答ができません。

なお、許容応力度法照査では、照査断面(柱前面位置)を固定端とする単位幅当たりの片持ち梁としての照査であるため、頂版自重や上載土重量は等分布荷重、頂版支持部や隔壁の鉛直反力度は距離に応じて増減する台形分布として作用させる単純式により求まります。
これに対し、レベル2地震時では、照査断面より外側の実形状を用いて断面力を算出するため、円形や小判形の場合、前面,側面ごとに積分計算により鉛直反力度を求める必要があります。より厳密な計算を行っていると言えますが、非常に煩雑な計算です。
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「部材計算:頂版」をご参照ください。
 
Q3−20. 沈下計算における周面摩擦力度について、道示W11.3(P.300)では、表-解11.3.1において、8m,16m,25m,30m,40mごとの周面摩擦力度が記載されているが、この中間の深度の周面摩擦力度はどのように算出しているのか。
A3−20. 本プログラムの沈下計算の周面摩擦力度は、道示W表-解11.3.1を基本として、その中間深度は直線補完により算出しています。
道示および他の文献においては、直線補完により算出してもよいと記載されておりませんが、「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」(P.157)等を参照し、現行の仕様としています。
 
Q3−21. ケーソン基礎で「作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う」ときの柱基部断面力Vp、Hp、Mpには何を入力すればよいのか。
A3−21. 本機能は、動的解析により求まった柱基部の断面力を橋脚基礎に作用する地震力とみなして照査するケースを想定しており、レベル2地震動により生じる柱基部の断面力そのものを入力していただくようにしています。
これに対し、死荷重時に作用するモーメント(梁形状や上部工反力の非対称性により生じる偏心モーメント等)や水平力は、同画面の「Md」,「Hd」に入力します。
なお、入力された柱基部鉛直力Vpには、柱の浮力や頂版上の上載土砂重量等は含まれていないことを想定していますので、これらの鉛直力を同画面の「V’」に設定し、実際の計算では鉛直力=Vp + V’としています。
 
Q3−22. 根入れの浅いケーソン基礎の設計とは何か。
A3−22. 根入れの浅いケーソン基礎の設計とは、道示W11.8.1(P.338)の「基礎の根入れが浅い(有効根入れ深さと基礎短辺幅の比Le/B≦1程度を目安としてよい)ため、底面の浮上りや前面地盤の塑性化により基礎の降伏に達してしまう場合には直接基礎として設計を見直してもよい。」に対応したもので、ケーソン基礎を直接基礎とみなして照査します。照査項目は次の通りです。
1)常時,暴風時,レベル1地震時の照査
・転倒の照査
・滑動の照査
・鉛直支持力の照査
・許容水平支持力の計算
2)レベル2地震時の照査
・基礎本体の耐力照査
3)基礎バネ
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「根入れの浅いケーソン基礎」をご参照ください。
 
Q3−23. 施工方式の「充実断面(オープン)」とは、通常のオープンケーソンとはどのように違うのか。
A3−23. 通常のオープンケーソン基礎は、左図のように、頂版や側壁,刃口や底版にて構成されます。これに対し、充実断面とは、右図のように内部をコンクリートで充填しているもので、基礎を1本の柱状体として取り扱います。両者の計算上の相違は、側壁部の剛性,鉄筋の取扱い(側壁の内側鉄筋が存在しない),側壁や刃口等の部材計算の有無となります。
なお、充実断面のオープン/ニューマチックの違いは、許容鉛直支持力度の算出の相違となります。詳しくは、道路橋示方書W11.4.1(P.303)をご参照ください。
 
Q3−24. ケーソン基礎の側壁拘束筋の有効長にはどの長さを入力すればよいか。
A3−24. 有効長は、側壁部のM−φ関係の算出に用いており、道示X10.4(P.163)の有効長を入力していただくことを想定しています。詳しくは、本道示をご参照ください。
 
Q3−25. 小判形のケーソン基礎の側壁鉛直方向の鉄筋は、直線部と円弧部をを入力するようになっているが、両方を入力するのか、あるいは一方だけか。
A3−25.
直線部と円弧部の交点箇所の鉄筋は、直線部,円弧部のいずれかにのみ入力してください。
プログラム内部で控除するなどの処理は行っておりませんので、交点箇所の鉄筋を両方に入力した場合、重複して考慮されます。
 
なお、本入力は、側壁部のM−φ関係の算出,および側壁鉛直方向の部材照査に用いております。
本プログラムでは、直線部,円形部に入力された鉄筋量As1、As2が各部に均等に線状に配置されているものとして取り扱っています。
以上をご参考のうえで、交点箇所の鉄筋を直線部,円形部どちらに入力されるかにつきましては、設計者の方のご判断で決定していただきますようお願いいたします。
 
Q3−26. 中詰め材の重量はどのような値を入力するのか。
A3−26.
中詰め材の単位重量γには、ケーソン内部に土のみを入れる場合は大気中の重量(湿潤重量)を、土および水を入れる場合は飽和重量を入力してください。
 
なお、中詰め材の単位重量γを入力する画面に「中詰め材の係数K」の入力を設けています。
中詰め材の係数Kは、画面上の表記,および「ヘルプ」ボタンより開く説明に記載しておりますように、部材計算(側壁水平方向)の完成後における内水圧(または内部土圧)の算出に用います。
内水圧Pは下記式により算出します。
 P=K・γ・z
 ここに、
  K:中詰め材の係数
  γ:中詰め材の単位重量
  z:内水位(頂版下面)
ケーソン内部には水を注入する場合、K=1.00としますが、内部に土を入れる場合、K=静止土圧係数を入力してくださいますようお願いいたします。
 
Q3−27. ケーソンが突出しているとき、算出した基礎バネを別売りの「震度算出(支承設計)」で用いたいとき、どのように入力したらよいか。
A3−27.
本プログラムの基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ定数)は、常に頂版天端中心における値を算出しています。
よって、突出している場合においても、本プログラムで算出された基礎バネ値をそのまま入力してください。
 
なお、ケーソン基礎の基礎バネは、道示X6.2.3(P.55〜),及び「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.7-40)を参照し算出しております。
具体的には、ケーソン基礎を1本棒としてモデル化し、計算モデルの天端に単位水平力,単位モーメントをそれぞれ別々に作用させ、
 δoH,θoH:単位水平力を与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
 δoM,θoM:単位モーメントを与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
を求め、求められた水平変位,回転角を次に示す道示X(P.60)(解6.2.12)に代入して算出しております。
 Ass= θoM/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 Asr=−δoM/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 Ars=−θoH/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 Arr= δoH/(δoH・θoM−δoM・θoH)
 ここに、
  Ass:水平方向バネ(kN/m)
  Asr=Ars:水平と回転との連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
  Arr:回転バネ(kN.m/rad)
 
基礎が突出している場合、突出している範囲の地盤抵抗を無視して上記の計算を行っていることから、突出の影響を考慮した基礎バネが算出されます。
なお、突出時の入力は、地表面より基礎が完全に突出している場合であれば現地盤面を下げて入力してください。
また、地表面は頂版天端より上方であるにもかかわらず、地盤抵抗のみを無視した状態としたいのであれば、この範囲の「α・Eo(地震時)」を0として入力してくださいますようお願いいたします。
 
Q3−28. オープンケーソンの刃口の静水圧について、外水位と内水位に差があるときは、どのように入力したらよいか。
A3−28. オープンケーソンの刃口の静水圧は、
・外水位:「地層」−「地層線」−「設計地盤面」画面の「水位(施工時)」
・内水位:「形状」−「部材寸法」−「その他」画面の「施工時内水位」
を用いております。
本画面において、水位差を考慮した標高を入力してください。
 
Q3−29. ケーソン基礎の安定計算モデルにおいて、断面の剛性は、頂版,側壁のどちらを用いているのか。
A3−29.
本プログラムでは、「基本条件」−「基本条件,安定計算」画面の「安定計算,基礎バネの曲げ剛性を全部材一定とする」の設定により、次のように部材の曲げ剛性を取り扱っています。
 
「一定とする」は、「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」(P.104)の記述、「基礎本体の剛性は、EIを一定とする。」を参照したものです。側壁部のM−φ関係より求めた曲げ剛性(=M/φ)を、頂版天端から基礎底面までの全部材に対して適用します。
これに対し、「頂版,側壁,底版部の部材で分ける」は、頂版と底版部(コンクリート充実断面),側壁部(中空断面)の曲げ剛性を使い分けます。具体的には、側壁部はM−φ関係より求めた曲げ剛性を、頂版および底版部はコンクリートのヤング係数に断面二次モーメントを乗じたEIを曲げ剛性としてモデル化します。
 
なお、「耐震設計ソフトウェアに関する研究委員会報告書(平成11年4月)(財)土木研究所センター」では、頂版,側壁部等のように剛性の異なる区間においては、剛性を変化させることが望ましいと記載されております。
また、頂版部,側壁部それぞれの曲げ剛性を用いる方が実モデルに近く、より現実に即した方法ではないかと考えられます。
以上を勘案し、設計者の方のご判断として選択しご検討ください。
 
Q3−31. ケーソン基礎の出力において、「計算結果・詳細出力」の地盤反力度の上限値の値が、「設計条件」の出力値と異なるのはなぜか。
A3−31.
本プログラムのケーソン基礎の安定計算は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「安定計算:常時,暴風時,レベル1地震時」に記載しておりますように、頂版天端から基礎底面までを指定された計算ピッチで分割し、それぞれの点を「格点」としてモデル化しています。
このモデルに対し、地盤抵抗は、格点ごとに設ける格点バネとして定義していますが、各格点は、同ヘルプの「(3)格点バネ」に記載しておりますように、上部材の中点から下部材の中点までの範囲の地盤抵抗を負担するものとしています。また、最上端の格点は、上部材がないことから、第1部材の中点までの範囲を負担します。最下端の格点についても同様に最下部材の半分を負担しています。
 
ここで、計算書の安定計算の「計算結果・詳細出力」−「2)前背面地盤反力度」の水平方向の地盤反力度の上限値は、格点ごとに、格点が負担する範囲の平均値を代表値として出力しています。
したがって、例えば最上端の格点は、第1部材の中点までの範囲の平均化した地盤反力度の上限値を出力していることになります。
また、第2格点は、第1部材の中点から第2格点までの地盤反力度の上限値と、第2格点から第2部材の中点までの地盤反力度の上限値との平均値を出力しています。
よって、「1章 設計条件」の出力値とは異なります。他の上限値についても同様です。

 
Q3−32. 根入れの浅いケーソン基礎における、転倒に対する検討(偏心量)、鉛直地盤反力度の検討の算出式の出典は?
A3−32.
根入れの浅いケーソン基礎の設計は、直接基礎としての照査を行いますが、道示W10.1における転倒に対する検討(偏心量の照査),鉛直地盤反力度の検討は、いずれも長方形の基礎を想定しており、道示の式を円形基礎に適用することはできません。
このため、本プログラムでは、道示の記述,および「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」を参考とし、次の考え方により照査しております。
 
■転倒に対する検討(偏心量の照査)
道示W(P.266)の長方形に対する許容偏心量(常時=底面幅の1/6,レベル1地震時=底面幅の1/3)は、解説「地盤反力度の分布が台形となるように荷重の合力の作用位置を規定した。・・・」等の記述より、
・常時:浮上りが生じ始めるときの偏心量
・レベル1地震時:底面の有効載荷幅が底面幅の1/2になるときの偏心量
と判断し、算式を設定しております。
 
■鉛直地盤反力度の検討
前述の「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計」3.2.8(P.79〜)の記述を参照しています。

 
Q3−33. 「レベル2地震時基本条件」画面で下記メッセージが表示されるが、どのように対処したらよいか?
  確認:[20902]
  計算分割数が100を超えています。100回目の計算を終了した時点で降伏していない場合は計算を打ち切ります。よろしいですか。

A3−33.
鋼管矢板基礎Q&A Q2−11−4 をご覧ください。

 
Q3−34. ケーソン基礎の「安定計算結果一覧表」の底面に作用する鉛直力Vと「計算結果・詳細出力」の「1)変位および断面力」のケーソン底面の軸力が異なるのはなぜですか
A3−34.
前者は、ケーソン底面の地盤に作用する鉛直で、後者は、ケーソン本体下面に作用する軸力(内部断面力)となります。前者は、浮力の影響を受けますが、後者は浮力の影響を受けません。

 
Q3−35. ケーソン基礎の設計で、基礎底面地盤を軟岩としたときの底面鉛直支持力度の上限値qaの算出(出典)根拠を教えてください
A3−35.
道路橋示方書W(H24.3)(p.330)によると、「岩盤の極限支持力は、亀裂・割れ目等により左右されるため、地盤定数の評価には不確定な要素が多く、支持力推定式により極限支持力を推定することは困難である。この場合、深礎基礎と同様に母岩の一軸圧縮強度を目安として最大地盤反力度を表-解15.4.1に示す上限値程度に抑えるのがよい。」とあります。
そのため、道路橋示方書W(H24.3)(p.517)の表-解15.4.1に示す岩盤の最大地盤反力度の上限値による制限を受けているものであると考えられます。今回のケースでは軟岩となっておりますので、常時、地震時の最大地盤反力度は2000、3000となります。

 
Q3−36. ケーソン基礎の設計で、基礎底面地盤を軟岩としたときの底面鉛直支持力度の上限値qaの算出(出典)根拠はなにか
A3−36.
H24道路橋示方書Wのp330によると、「岩盤の極限支持力は、亀裂・割れ目等により左右されるため、地盤定数の評価には不確定な要素が多く、支持力推定式により極限支持力を推定することは困難である。この場合、深礎基礎と同様に母岩の一軸圧縮強度を目安として最大地盤反力度を表-解15.4.1に示す上限値程度に抑えるのがよい。」とあります。
そのため、p.517の表-解15.4.1に示す岩盤の最大地盤反力度の上限値を参照しております。

 
Q3−37. 橋脚連動用XMLファイルをケーソン基礎へ受け渡す時、柱に作用する断面力に浮力が考慮されているのか。
A3−37. 橋脚連動用XMLファイルで作用力をインポートする場合、浮力の計算についてはケース毎の水位高さが必要となります。
そのためケース毎の水位を橋脚の設計で設定した後に、基礎の設計計算で[作用力]-[脚柱下端作用力]の「水位高さ」が設定された場合に浮力は計算されます。
 
Q3−38. 側壁水平部材 照査位置の任意設定を行いたい(ハンチを考慮した断面照査)。別途、フレーム計算を作成せずに何か断面力を見る方法はないか。

A3−38. 側壁水平方向の計算では、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「部材計算:側壁水平方向」に記載しておりますように、レベル2地震動により生じる側壁部の前面最大水平地盤反力度をFRAMEモデルに載荷し、
 @剛域端
 A直線部の一般部材で内側引張となる最大曲げモーメント点
 B隅角部せん断照査点
 C円弧部のMmax,Mmin,Nmax,Nmin
 D円弧部のSmax,Smin,Nmin
における作用曲げモーメントが終局曲げモーメントを超えないこと、および作用せん断力がせん断耐力を超えないことを照査しております。

上記の通り、照査断面は非常に多くなるため、本プログラムでは、全断面から曲げ耐力あるいはせん断耐力に対し最も厳しい断面の結果のみを抽出して出力しています。
最も厳しい断面以外の結果は、内部計算を完了した段階で破棄しており、これらを確認することはできません。

ただし、抽出結果以外の断面力につきましては、「部材計算」−「側壁水平方向」−「保耐法」−「FRAME結果」画面の[詳細表示]によりご確認いただけます。
断面力を参照するだけであれば、本画面にて確認することが可能と考えられます。

また、本プログラムでは、上記画面の左下の[保存]ボタンより、FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存することが可能となっています。
本ファイルは、弊社製品「FRAME(面内)」「FRAMEマネージャ」で読み込むことができるため、この場合であれば、設計荷重等の計算条件を変更し、ご検討いただくことも可能です。

 
Q3−39. ケーソン基礎の照査時、頂版の許容応力度法照査で使用鉄筋量が必要鉄筋量を満たしているのにNGと判定されるのはなぜか。
A3−39. 頂版の鉄筋照査では、必要鉄筋量の他にディープビームのAsreq (cm2)が使用鉄筋量に対して満たす条件であることが必要となります。

 
Q3−40. [底版設計]で「杭位置を照査位置に加える」というスイッチがあるが、どのような意図により設置しているか。
A3−40. 現行では、「底版設計」−「曲げ照査位置(レ ベル2)」画面(橋脚基礎)あるいは「レベル2地震時照査」「底版設計」−「曲げ照査位置(レベル2)」画 面(橋台基礎)で、曲げ照査位置を設定していただくようになっていますが、Ver.2.01.04までは、 常に、柱前面の他に杭位置で曲げモーメントの照査を行っていました。これは、98年6月に建設省土木研究所 の基礎研究室から「保耐法の場合は、杭位置でも照査するように。」という指示があったことによります。理由 としては保耐法の場合「杭頭の鉛直反力だけでなく、杭頭水平反力、杭頭モーメント反力を考慮するので、付け 根位置ではなく、杭位置で鉄筋量が決定される場合がある。」との事でした。なお、上記指示後に発行された新 道示(H.14.3)に杭位置で照査する必要性が記載されておりませんでしたので、Ver.2.01.04 で上記画面を設け、曲げ照査は柱前面を必須としたうえで、その他の位置で検討を行う場合、設計者の方のご判 断で照査位置を指定していただく方法としました。

 
Q3−41. ケーソン基礎でディープビームの照査を無視する入力選択はあるか。既設の設計でディープビームの鉄筋量照査を満たしていない場合について、当時は問題なかったが現在は照査をするためにNGと判定されるため、それを取りやめたい。
A3−41. ディープビームについては設定上配筋される場合、必ず照査するため計算書上から結果に関する記述を削除頂くようお願い申し上げます。

 
Q3−42. [作用力]-[脚柱形状寸法]が何に使用されているか。また中心位置からずらすことはできるか。
A3−42. 脚柱浮力の計算に使用され、中心位置からは動かせません。作用力から逆算して擬似的におくことはできますが、浮力が中心位置に脚柱があることが前提で計算していますので、その相違については保障しかねます。

 
Q3−43. 止水壁の設定は出来るか。
A3−43. 申し訳ございませんが、本プログラムのケーソン基礎の設計では、止水壁の計算は行っておりません。よって、止水壁の入力はございません。
おそれいりますが、別途ご検討くださいますようお願いいたします。

なお、止水壁およびパラペットに作用する静止土圧,静水圧を集計し、パラペット基部に作用する断面力に対する照査は行っております。詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「ケーソン基礎」−「部材計算:パラペット」をご参照くださいますようお願いいたします。

 
Q3−44. ケーソン基礎の側壁水平部材照査について、照査位置はどのように決定しているのか。
A3−44. 側壁水平部材照査の照査位置については、前背面地盤反力が最大で発生する位置としております。ただし、地盤の範囲は側壁天端から側壁端部までとしております。

 
Q3−45. VSD算出に用いるVsiは、N値から算出するVsiにはcvを乗じるが、実測値の場合にもcvを乗じるのか。
A3−45. 道示X(H24.3)P.66の記述により、cvを乗じるものと解釈できます。

 
Q3−46. コンタクトグラウドをする場合としない場合で何が違ってくるか。
A3−46. 1.基礎前面の水平方向地盤反力係数kHの推定に用いるαk(道示(H24.3)W P336)
 有:1.5
 無:1.0
2.最大周面摩擦力度の上限値(道示(H24.3)W P341)
 有:砂質土…200、粘性土…150
 無:砂質土…50、粘性土…100

1については計算書の[予備計算]-[地盤反力係数]-[3.基礎前面の水平方向地盤反力係数]にて確認できます。
2については計算書の[予備計算]-[地盤反力度の上限値]-[2.最大周面摩擦力度]にて確認できます。

上記の値は初期値であり、これらは[基準値]-[ケーソン基礎]-[その他]で変更できます。

 
Q3−47. 前面塑性率・底面浮き上がり率の許容値を変更したい。
A3−47. [基準値]−[ケーソン基礎]−[安定計算]画面をご確認ください。
こちらの画面でレベル2地震時照査用の基礎の降伏判定の判定値を設定可能です。
道示W11.8.2(P.366)を参照し、60%を初期値としております。

 
Q3−48. 格点バネ値を算出する際は、基礎側面の水平方向せん断地盤反力係数KSHDと、基礎側面の鉛直方向せん断地盤反力係数KSVDは、基礎側面の両側を考慮して、2つのバネをつけて(数値を2倍して)計算しているのか。
A3−48. お考えの通りです。
計算モデルでは両側分として2倍のばね値を用いています。
なお上限値は、地盤反力度ですので計算値そのまま(2倍しない)の値を上限値として用いております。

 
Q3−49. 側壁の水平方向断面の設計を行う際に前面地盤の最大水平地盤反力度を算出しているが、これはどのように算出しているのか。
A3−49. [作用力]-[荷重ケースの設定]画面で指定されている「側壁水平方向部材計算用荷重ケース番号」の安定計算結果の「前背面地盤反力度」の水平方向反力の最大値を抽出しています。

 
Q3−50. 安定計算結果に示されている前面地盤反力度は
 前面地盤反力度=前面の水平方向地盤反力係数×基礎底面に対する相対変位
というように算出されているのか。
A3−50. 前面の水平方向地盤反力係数に変位前のケーソン図心に対する変位(計算開始時の変位を0とした時のケーソン本体の変位)を乗じております。
なお計算書のばねは節点ばね(kN/m)であり、反力度はkN/m2単位ですので、反力度を算出する場合は、(ばね値)×(変位)=節点反力を、節点間隔とケーソン躯体幅で除する必要があります。

 
Q3−51. 地盤反力度の出力を見ると単純に層境で算出していないようで、若干ズレた位置で算出されている。出力結果で層境とならない理由は?
A3−51. ケーソン基礎では、指定したピッチごとに格点を設け、ケーソン部材を小さな部材に再分割しています。
地盤ばねは、この格点に格点ばね(集中ばね)として設定します。
この時、分布ばねを集中ばねとする時の1つの集中ばねの集計範囲は、格点を挟んで上下の格点の中間までとなります(分割ピッチが0.1mの場合、ある格点の集中ばねは、上方向に0.05m、下方向に0.05mのの分布ばねの合計値)。
この時、分割ピッチの間に地層境界がありますと、複数の地層の地盤ばねを集計する必要があります。このような場合には、その操作を回避するため、地層境界が中間点になるように格点を設けることで、分布ばねの集計を単一層のみとなるように調整しています。

本データの場合ですと、標高-2.200mから0.1mピッチで格点を設けますと、-5.100の次は-5.200となりますが、その間に標高-5.120mの地層境界があります。
従いまして、標高-5.140に格点を設けることで、-5.120が格点の中間点となるようにしています。


 4 地中連続壁

 −



 5 直接基礎
  5−1.設計方法

Q5−1−1.

斜面上の安定計算は、橋軸直角方向の段差フーチングにも適用できるか?
A5−1−1. 本製品の斜面上の基礎の設計は、設計要領第2集4−21以降に記載の考え方に従い設計するものです。本考え方は、基本的に橋軸方向段差フーチングに伴う設計を考慮され提示された公式のため、軸直角方向に適用できるかについては、斜面形状並びに躯体形状の合致などを考慮される必要があるかと存じます。
    
Q5−1−2. 動的解析による応答値を用いて直接基礎のレベル2地震時の計算を行う方法はあるか。
A5−1−2. 直接基礎のレベル2地震時照査においては、作用力を直接指定することはできません。

道示W10.6(P.289〜),道示W参考資料3(P.547〜)に記載されておりますように、直接基礎においては、非線形応答を考慮した直接基礎底面の地盤反力度が基礎に作用するものとして計算します。具体的には、基礎の浮上りによって生じるモーメント〜回転角関係の非線形性を考慮して地盤反力度分布を求める必要があります。
しかしながら、作用力を直接指定した場合、この直接基礎の非線形挙動をどのように考慮するべきか不明です。また、道示W10.6の式を用いて計算するとした場合であっても、道示X12.4に規定する橋脚基礎に塑性化を考慮する場合の設計水平震度が作用したときの基礎底面モーメント,地盤反力度の合力の作用位置までの距離、慣性力作用重心位置までの高さ等を、どのように考慮すべきか不明です。
よって現行では、作用力を指定する機能は設けておりません。

なお、底版下面中心における作用力は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「直接基礎」−「底版照査」−「レベル2地震時照査」に記載している方法にて算出しています。
最終的なV,MLがご検討の作用力となるようWu,Wp,hu,hp等のデータを調整して入力していただく方法が考えられますが、直接基礎の底版レベル2地震時照査においては、水平方向せん断地盤反力度が計算に関係してきます。この水平せん断地盤反力度は、慣性力によるモーメントを慣性力作用重心位置までの高さで除して求めた水平力を用いて算出します。このため、同じML値となる場合でも、Wu,Wpを考慮した場合とWu,Wpを考慮せずにMdに置き換えた場合とでは、計算結果が異なります。
よって、断面力が同一となるよう入力を調整した場合の計算結果を適用できるかどうか明確に判断することができません。
    
Q5−1−3. 2軸による安定計算に対応しているか?
A5−1−3. 本プログラムの直接基礎では、道示準拠時、道示W10.3.1(P.276〜)に準じた2方向偏心時の有効載荷面積(図-解10.3.5の斜線部の面積)による極限支持力の算出,および鉛直支持力の照査を行うことが可能です。
本照査は、「設計条件」−「検討項目」画面で「偏心方向=2方向」と設定することにより適用され、この場合、
 V :鉛直力(kN)
 Hx:X方向水平力(kN)
 Hy:Y方向水平力(kN)
 My:Y軸回りモーメント(kN・m)
 Mx:X軸回りモーメント(kN・m)
のように、両方向の作用力を与え、両方向の作用力を考慮した計算を行います。
詳しくは、上記の道示をご参照ください。
    
Q5−1−4. 直接基礎のレベル2地震時底版照査で、柱基部の断面力は完全に一致させる必要があるか。
A5−1−4. FRAMEモデルは、作用力と地盤反力との力の釣合がとれていること を前提としておりますので、入力画面上に断面照査時底版下面作用力と入力された柱基部断面力より算出した作用力を表示し、両者が一致するように、あるいは両者の差が微小となるように入力していただくことを想定しています。
入力された柱基部断面力より算出した作用力と断面照査時底版下面作用力とが一致しないケースでは、作用力と反力とが釣り合わない状態となり、便宜上設けている支点に反力が生じ、断面力が正しく算出されません。

 
Q5−1−5. 直接基礎設計時の平均せん断応力度τcは具体的に何に用いているか。
A5−1−5. 直接基礎の設計時、τcにつきましては底版レベル2地震時照査を行う場合のコンクリートの負担するせん断耐力Scを算出する際に用いられます。
せん断耐力Scにつきましては、道路橋示方書下部構造編p175-176において算出式が提示されております。
計算書上では[底版レベル2地震時照査]-[せん断に対する照査]において、せん断耐力の出力表上で確認することができます。
また、フーチングのせん断スパン比の影響を考慮しますので、道示Wp245(3)に有りますように低減係数Cdcを乗じます。


 
Q5−1−6. 直接基礎のフーチング断面力の算定で地盤反力度のTYPE1〜4に該当するq1,q2はどのように算定されているのか。
A5−1−6. 道路橋示方書下部構造編p314において、基礎底面における地盤反力度の算定式が記載されております。q1, q2については両端の地盤反力度を各照査位置毎について着目した値を出力するものとしております。

 
Q5−1−7. 直接基礎の安定計算における地盤反力度と底版設計での地盤反力度が一致しない場合があるのはどのような原因が考えられるか。
A5−1−7. 道路橋示方書下部構造編Wp317 10.6 「フーチングの設計」におきまして、
「フーチングは、常時,暴風時,レベル1地震時及びレベル2地震時の各荷重が作用したときの自重,上載荷重,土圧,地盤反力度等から決まる断面力に対して、8.7の規定により設計しなければならない。」
と記載されており、フーチング前面抵抗に対する記載はありませんので、本プログラムの直接基礎底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)には、フーチング前面抵抗は考慮しておりません。
それにより前面抵抗の影響の有無によって安定計算時と底版照査時の値に差が出ることが考えられます。

 
Q5−1−8. フーチングの前面抵抗を考慮する場合の、直接基礎の計算で安定計算とフーチングの照査で用いられている地盤波力度の値が異なるような場合があるのはなぜか。
A5−1−8. 道路橋示方書下部構造編Wp317 10.6 「フーチングの設計」におきまして、
「フーチングは、常時,暴風時,レベル1地震時及びレベル2地震時の各荷重が作用したときの自重,上載荷重,土圧,地盤反力度等から決まる断面力に対して、8.7の規定により設計しなければならない。」
と記載されており、フーチング前面抵抗に対する記載はありませんので、本プログラムの直接基礎底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)には、フーチング前面抵抗は考慮しておりません。

 
Q5−1−9. 斜面上の直接基礎で、斜面角が60°以上のものを設計したい。
A5−1−9. 申し訳ありませんが、現行のプログラムでは対応できません。

斜面上の直接基礎の適用基準として用いている「設計要領第二集橋梁建設編」において、支持力を算出する際のグラフがβ=60°までしか記載が無いため、入力の制限を60°までとしております。
(上記の該当ページは平成26年7月版の設計要領ですと、4-26ページです。)
道路橋示方書などにも記載が無く、他に斜面上の基礎について参考と出来る文献がございません。
入力を工夫して計算するということも出来ませんので、申し訳ありませんがご要望にお答えすることができません。
御了承ください。

  5−2.入力方法

Q5−2−1.

斜面上の直接基礎照査時、設計条件−形状タブの『前面余裕幅b』には何を入力したらよいか
A5−2−1. 前面余裕幅bは、斜面開始位置からのフーチング前面までの距離となります。
詳しくは、設計要領第二集(H18.4)の図4-3-13(P.4-24),図4-3-14(P.4-25)をご参照ください。

    
Q5−2−2. 支持地盤に浮力の影響を考慮しないとき、支持地盤の単位重量γ1はどのように入力したらよいか。
A5−2−2. 本プログラムの支持地盤の単位重量γ1は、浮力の影響まで考慮した最終的な値を「作用力」−「作用力」画面にて直接入力していただくようにしています。
浮力の影響を無視したγ1を用いた計算を行いたい場合、上記画面でγ1=γと入力してください。
なお、本画面上の[γ1、γ2算出]ボタン押下した場合、
・水位≧0.000(m)のとき浮力を考慮(γ1=γ−γw)
・水位<0.000(m)のとき浮力を無視(γ1=γ)
をセットしています。
    
Q5−2−3. 斜面上の基礎(設計要領)において、段差なし形状の極限支持力を計算したい。
A5−2−3. 「設計条件」−「形状」画面において、フーチング段差高h=0.00(m)、フーチング幅B=フーチング底面幅aと入力してください。

    
Q5−2−4. 直接基礎において、橋台を想定した片側載荷の土圧設定は可能か
A5−2−4. [レベル2地震時基本条件]-[基本条件(共通)]で[底版任意荷重]を「設定する」として指定位置に対する載荷重を設定し、慣性力に合せて[レベル2地震時基本条件]-[基本条件(直接基礎)]で土砂、モーメントの設定を行う方法がございます。

 
Q5−2−5. 「基礎の設計計算」単独使用時でも剛体照査を行うことは可能か。
A5−2−5. 「基礎の設計計算」単独使用時にも剛体照査を行うことはできます。

杭基礎: 「計算条件」→「基本条件」で「底版照査(許容応力度法照査)=する」の設定とする
直接基礎: 「設計条件」→「検討項目」で「許容応力度法照査=する」の設定とする

 
Q5−2−6. [直接基礎]-[設計条件]-[検討項目]-[支持力係数の寸法効果]を「考慮しない」とした場合、[土質]の「地盤の内部摩擦角φ」の上限値が40°までとなった理由について知りたい。
A5−2−6. 道示W(H24 p303)の寸法効果を考慮した支持力係数を求めるグラフについて、45°までの傾斜について考慮されているものの、道示W(H8 255)では寸法効果を考慮せずに内部摩擦角の上限が40°までであるためとなります。

 
Q5−2−7. 滑動安全率を変更できるか。
A5−2−7. [基準値]-[直接基礎]画面で変更できます。




 6 液状化の判定 
  6−1.設計方法
Q6−1−1. 液状化判定において、各地層のR、FLの値はどのように算出しているか?
A6−1−1. 地層ごとの「液状化に対する抵抗率FL」は、層内のN値測定点データから算出したFLの平均値としております。
また、「動的せん断強度比R」は、「設計条件」画面で選択された『動的せん断強度比Rの取扱い(最小値/平均値)』スイッチより算出方法が異なります。
・最小値:層内のN値測定点データから算出したRの最小値
・平均値:層内のN値測定点データから算出したRの平均値(※平均値はFLと同じ方法となります。)

平均FLの算出方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」−「液状化の判定」−「土質定数の低減係数」−「層ごと」に記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。
    
Q6−1−2. 層ごとの液状化の判定において、層内に複数の測定点が存在する場合、どのように判定しているのか?
A6−1−2.
本プログラムの液状化の判定は、N値測定点に対して行っております。

層ごとの液状化の判定は、層としてのFL値(液状化に対する抵抗率)が1.0以下であるか否かではなく、層内に液状化すると判定されるN値測定点が存在しているか否かにより判断しています。
よって、層ごとの液状化の判定結果は、当該層に液状化すると判定される測定点が存在するか否かを示す目安として出力していることになります。

なお、層ごとのFL値は、層内の全測定点のFL値の平均としており、これは土質定数の低減係数の算定にのみ用いています。
この平均FLを用いて層としての液状化の判定を行った場合、特に層厚が大きい場合において、液状化する測定点が存在するにもかかわらず、液状化しないと判定されるケースが生じるため、現行では、層ごとの平均FLを用いた液状化の判定は行っておりません。
    
Q6−1−3. 液状化の判定を行うか否かのスイッチ(SW)を0(=判定しない)としているが、ごく軟弱な土層に対しては低減係数が0となる。これはなぜか?
A6−1−3.
本プログラムでは、道示X8.2.1(P.120)の記述、
 「8.2.2の規定により耐震設計上ごく軟弱な土層と判定された土層,又は,8.2.3の規定により橋に影響を与える液状化が生じると判定された砂質土層については、8.2.4の規定により耐震設計上土質定数を低減させるものとする。」
に準じ、
 1)ごく軟弱な土層と判定された土層
 2)液状化が生じると判定された土層
に対し、土質定数の低減係数を設定しています。

前述のスイッチ(SW)は、上記2)の液状化の判定に対する設定であるため、1)のごく軟弱な土層と判定される場合、SWの設定にかかわらず、土質定数の低減係数を零としています。
    
Q6−1−4. 液状化の判定における 塑性指数Ip,10%粒径D50,D10 は何に影響するのか?
A6−1−4.
塑性指数Ip,10%粒径D10は、いずれも、液状化の判定を行う必要のある砂質土層であるか否かの判定に用いています。
具体的には、道示X耐震設計編8.2.3(P.121〜)(1)に記述されているD10,Ipを示しており、
■塑性指数Ip
「2)細粒分含有率FCが35%以下の土層,又は,FCが35%を超えても塑性指数Ipが15以下の土層」
■10%粒径D10
「3)平均粒径D50が10mm以下で,かつ,10%粒径D10が1mm以下である土層」
として判定しています。
したがって、D10,Ipをいずれも0.000と設定した場合、液状化の判定を行う必要のある砂質土層にもかかわらず判定が行われないケース、逆に、液状化の判定を行う必要がないにもかかわらず判定が行われるケースが生じる可能性があると考えられます。D10,Ipが正しく設定されているかご確認ください。
    
Q6−1−5. 層ごとの液状化の判定および土質定数の低減係数DEはどのように算出しているのか。
A6−1−5.
層ごとの液状化の判定は、層内に液状化すると判定されるN値測定点が存在しているか否かにより判断しており、層内に1点でも液状化する測定点が存在するとき、当該層は液状化すると判定されます。層としてのFL値(液状化に対する抵抗率)により判断しているわけではありませんので、FL>1.0であっても、液状化が生じると判定されるケースが生じます。

また、層としての土質定数の低減係数DEは、
・層内の全測定点の平均FL値
・層内の全測定点の平均R値あるいは最小となるR値のいずれか
を用いて道示X表-8.2.1より算出しています。
動的せん断強度比Rは、「設計条件」画面での指定により、平均値か最小値を選択していただくようにしています。
なお、平均FL値は、各測定点が負担する範囲を考慮し、次のように求めています。(平均R値の求め方も同様です)。
 FL = Σ(FLi・Li)/ΣLi
 ここに、
  FL:液状化に対する抵抗率の平均値
  FLi:各測定点の液状化に対する抵抗率
  Li :各測定点が負担する層厚(m)  

 
Q6−1−6. 液状化について平均FLを使用した結果が手計算結果と異なることがあるのはどんな原因が考えられるか。
A6−1−6. 水位よりも上の地層については液状化の判定を行う必要はありませんが、加重平均FL算出の際に水位より上の地層を考慮しないというわけではございません。
そのため、水位以上の地層データを含めて加重平均FLを算出することで結果が一致することが考えられます。

 
Q6−1−7. 液状化判定で、シルト層がレベル2地震時タイプT地震動の方が、タイプU地震動よりDEの値が小さくなっている。このような現象はあり得るのか。
A6−1−7. タイプI地震動とタイプU地震時では、用いる設計水平震度やCwの適用式に違いがあります。
必ずしもタイプTのDE<タイプUのDEになるとは限りません。
道路橋示方書X(H24.3)「8.2.3橋に影響を与える液状化の判定」(p.134〜)をご参考ください。

 
Q6−1−8. 液状化判定:一点でも液状化する場合はその層は液状化するという判定を行う根拠はどこに記載されているか。
A6−1−8. 道路橋示方書W(H24.3) p.140 8行目〜12行目に記述されています。

ただし、液状化の判定は、一般に、層厚が1m程度以上の連続した土層を対象に行えばよい。したがって、層厚が1m程度以上の連続した土層においては、標準貫入試験が実施された各深度においてFLを算出し、FLが1.0を下回る箇所がその土層に含まれる場合には、その土層を橋に影響を与える液状化が生じる土層と判定することになる。


  6−2.入力方法
Q6−2−1. 切土と盛土の入力が逆ではないか。
A6−2−1. 切土の場合も盛土の場合も、完成時地表面から地層データを設定します。
そのため、完成時切土の場合は切り取った部分の上載土圧が、盛土の場合は盛土高(盛土の層データは入力されているため盛土高が分かれば盛土分の上載土圧は算定できます)が必要となります。





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