1.計算 |
Q1−1. |
フルード数、限界水深が手計算と一致しない
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A1−1. |
断面の入力画面「基本条件」の「フルード数算出時の水深」をご確認下さい。
フルード数Frは、Fr = U/√(g・[代表水深]/α)により算出しますが、[代表水深]は「フルード数算出時の水深」の指定に応じて「井田による合成径深Rc」か、「[流れの面積]÷[水面幅]」が使用されます。
この指定は、限界水深にも影響します。(フルード数Frが1.0となる時の水深が限界水深となります。)
建設省河川砂防技術基準(案)同解説 調査編P.119では、[代表水深]として「井田による合成径深Rc」が使用されています。
土地改良事業計画設計基準 設計「水路工」基準書・技術書 平成26年3月P.202では、「[流れの面積]÷[水面幅]」が使用されています。 |
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Q1−2. |
任意開断面では、計算可能な水位の上限値はどのように決定されるか
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A1−2. |
断面の「計算範囲」で指定した水平範囲内の左端座標、右端座標のうち、低い方のY座標が水位の上限値となります。 「計算範囲」で「追加高ΔH」を指定した場合は、この上限値にΔHを追加した高さとなります。 詳細は、ヘルプ「計算理論および照査の方法|任意形状の水位の範囲」をご参照下さい。 水位がこれ以上となる場合は、計算エラーとして処理されます。
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Q1−3. |
粗度状況の変化を考慮することは可能か
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A1−3. |
可能です。 本製品は「建設省河川砂防技術基準(案)同解説
調査編」に準拠した平均流速公式レベル1、レベル1a、レベル2、レベル2a、レベル3に対応しています。
このうち、レベル1a、レベル2、レベル2a、レベル3では、複数の粗度係数を指定することができます。
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Q1−4. |
死水域、干渉効果を考慮することが可能か
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A1−4. |
可能です。 本製品は平均流速公式レベル3に対応していますので、死水域および複断面間の流速差による干渉効果を考慮した計算を行うことができます。
なお、本製品では「死水域」を「樹木群」と表現しています。
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Q1−5. |
基本条件にある「河床高標高」は何を入力すればよいか。
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A1−5. |
水深を計算する場合、「水深=水位標高−河床高標高」として計算します。
通常、「断面最下端」となります。
任意形状などで、断面底面の標高が一定でなく水深の基点となる標高を別途指定したい場合は、直接指定としてください。
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Q1−6. |
HQ式流下能力のH-Q式グラフの表示方法に、H-QとH-√Qがあるのはなぜか |
A1−6. |
H-Qグラフは、横軸を流量Q、縦軸を水位Hとしてグラフを作成します。
このグラフから、流量と水位の相関関係を見ることができます。
一方、H-√Qグラフは、横軸を√Q、縦軸を水位Hとしてグラフを作成します。
H-Q式は、Q=a・(H-b)^2 ですので
√Q = √a・H + √a・b
のように、Hと√Qの一次方程式であらわすことができます。
H-√Qグラフでは、H-Q式により描かれる線が直線となりますので、H-Q式と不等流のH,Q結果の差をわかりやすく表示することができます。
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Q1−7. |
不等流の計算が収束しなかった場合などに、収束計算の履歴などを見れないか |
A1−7. |
直前の水位が算出されていれば、その水位に対する収束計算の誤差をグラフや表で結果画面に表示することができます。
@不等流の「計算条件」の設定画面の、「収束曲線を作成する」にチェックを入れます。
A「計算確認」ボタンで結果画面を表示すると、タブ「不等流」の中にタブ「収束曲線」が表示されます。
Bこの画面の左上のツリービューの測点断面を選択すると、その測点断面の各水位で不等流の計算誤差がどのように変化したかを見ることができます。
ヘルプ「操作方法|計算確認|不等流|収束曲線」もご参考下さい。
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Q1−8. |
不等流計算内に等流計算結果が表示され、結果がエラーになっている |
A1−8. |
参考用として、同じ断面、流量で等流水位を表示する目的で等流計算を行います。
計算開始水位、または収束しなかった場合の水位に等流計算を指定していなければ、この等流計算結果は不等流計算に影響しません。
等流計算は、流路の前後の断面位置から算出した縦断勾配を使用しますが、この勾配が0、または負の場合、計算エラーになります。
これを回避する場合は、各測点断面の入力画面で「等流計算時の勾配」を「直接指定」として縦断勾配を直接入力してください。
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Q1−9. |
基本条件で指定する「フルード数算出時の水深」の選択は、どの結果に影響するか |
A1−9. |
フルード数の値が変化します。
フルード数が変化しますので、限界水位、限界勾配、限界流速も変化します。
この設定は不等流計算でも有効です。
不等流計算では限界水位以上を常流、以下を射流として計算しますので、常流・射流の判断にも影響します。
建設省河川砂防技術基準(案)同解説 調査編P.119では、水深として「井田による合成径深Rc」が使用されています。
土地改良事業計画設計基準 設計「水路工」基準書・技術書 平成26年3月P.202では、水深として「[流れの面積]÷[水面幅]」が使用されています。
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Q1−10. |
矩形の側面(鉛直面)の粗度係数だけを変更したい |
A1−10. |
断面形状が、「台形」または「任意形状」の場合に可能です。
平均流速公式を、レベル1a、レベル2、またはレベル3としてください。
台形の場合は、側面、底面ごとの粗度係数を指定することができます。
任意形状の場合は、座標ごとの粗度係数を指定することができます。
※面ごと、または座標ごとの粗度係数を指定しなかった場合(0.000の場合)は、区間で指定した粗度係数で計算します。
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Q1−11. |
1つの断面を、高さ位置を変えて複数個所に使いたい |
A1−11. |
測点断面一括入力画面で「標高変更量」を指定すると、断面の高さ位置を測点断面ごとに変更することができます。
または、各測点断面の「流路項目」画面で、「断面の標高を変更する」をチェックして「標高の変更量」を指定することでも可能です。
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Q1−12. |
不等流の測点断面に、入力項目「標高の変更量」と「河床高の位置(河床高設定)」があるが、何が違うのか |
A1−12. |
「標高の変更量」は断面を上下に移動します。これにより上記 Q1-11のように1つの断面を高さ位置を変えて複数個所に利用することができます。
「河床高の位置(河床高設定)」は、水深(水位‐河床高)を計算する際の河床高を設定します。断面は移動しません。
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Q1−13. |
不等流計算で、「限界水深の算出に失敗した」のメッセージが表示され計算が中断される |
A1−13. |
断面の大きさに対して流量が大きい場合に、その流量における限界水深を算出できず、このメッセージが表示されます。
任意形状で発生している場合は、ヘルプ「計算理論および照査の方法|任意形状の水位の範囲」で、計算可能な水位の上限値をご確認ください。
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Q1−14. |
フルード数算出時の水深「[流れの面積]÷[水面幅]」と「井田による合成径深Rc」はどのように使い分けるのか |
A1−14. |
「[流れの面積]÷[水面幅]」は、水理計算で使用されています。
「井田による合成径深Rc」は、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説 調査編」で紹介されています。
基準類による明確な規定はありませんが、矩形断面であれば「[流れの面積]÷[水面幅]」がよいと考えます。
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Q1−15. |
限界水深が正しいかをチェックする方法は |
A1−15. |
限界水深は、フルード数が1.0になる水深です。
フルード数は、ヘルプ「計算理論および照査の方法|フルード数」に示した式で算出されます。
この式に限界水深時の値を代入して、フルード数が1.0になることでチェックすることができます。
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Q1−16. |
余裕高を算出するが、計算結果の水位で照査しない |
A1−16. |
各断面の水路工基準の設定画面で、「照査」内の「余裕高」にチェックを入れてください。
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Q1−17. |
土砂混入率にチェックを入れた場合、計算のどの項目に影響するか |
A1−17. |
等流計算の流速が補正されます。これにより流量(流速×流れの面積)も変化します。
補正はワングの式を使います。
詳細はヘルプ「計算理論および照査の方法|等流|土砂混入率」をご覧ください。
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Q1−18. |
同じ等流計算を、複数の断面で行いたい |
A1−18. |
Ver.6で等流計算条件の一括入力機能を追加しました。
操作方法は、ヘルプ「操作方法|入力|等流|計算条件一括入力」をご覧ください。
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Q1−19. |
不等流計算の「橋脚による堰上げ」で収束しない |
A1−19. |
水位が断面高を超えていないかご確認ください。
「不等流水位の検索範囲」を「1.00」倍より大きくした場合でも、橋脚の堰上げの計算では水面幅を使用するため、水位が断面高を超えた場合はエラーとしています。
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Q1−20. |
計算が収束しない主な原因は? |
A1−20. |
以下が考えられます。
@水位が計算範囲(断面高等)より上側になった。
A不等流計算で、常流として収束できない。または、射流として収束できない。
B不等流計算で、隣り合う断面の形状差が大きいため収束位置を見つけられない。
C断面形状に棚(水平に近い面)がある場合、この高さで水面幅が急激に変化するため収束位置を見つけられない。
@の場合は、
ヘルプ「操作方法|入力|計算範囲」に記載した入力項目「追加高ΔH」に大きな値を指定する、または、ヘルプ「操作方法|入力|不等流|計算条件」に記載した入力項目「不等流水位の検索範囲」を断面高の1.01倍以上とする
ことで解が求められますが、断面から水が溢れる状態の水位が求まります。
Cの場合は、平均流速公式を「レベル2」、または「レベル3」とすることで解が求められる可能性があります。
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Q1−21. |
同じ条件の等流計算で、水位から流量を算出した結果と、流量から水位を計算した結果に若干の差が生じる |
A1−21. |
流量から水位を算出する計算は、平均流速公式が成立する状態を収束計算により求めています。
入力画面「基本条件」の「収束条件|水位算出」で指定された誤差以内に達すれば、それを解とします。
このため、収束結果が表示桁数の境界値付近であれば、同じ条件でも結果に差が生じる可能性があります。
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Q1−22. |
現況断面と計画断面で不等流計算を行って比較したい |
A1−22. |
Ver.8で、複数の流路に対応しました。
現況断面の流路と、計画断面の流路を定義することで、1つのファイルで2つの不等流計算を行うことができます。
結果画面の流下能力タブでは、異なる流路の流下能力グラフを重ねて表示することも可能です。
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Q1−23. |
計算式に従って手計算すると、結果値に若干の差が生じる。 |
A1−23. |
結果表示や計算書等の各値は有効桁で丸めて表示しておりますが、計算は丸める前の値にて行っています。 そのため手計算の場合誤差が発生する場合がございます。 回避策として、メニュー「オプション|表示項目の設定」のタブ「小数点桁数」で表示桁数を変更することが考えられます。 しかし、表示桁数を大きくした場合、計算書の出力で表の列幅に収まらない、ページ幅に収まらないなどの問題が生じる可能性がございますのであらかじめご了承ください。
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Q1−24. |
平均流速公式のレベル2とレベル2aの違いは何か。 |
A1−24. |
レベル2aは1つの粗度係数しか考慮することができません。
複数の粗度係数を考慮する場合は、レベル1a、レベル2、レベル3の平均流速公式を使用する必要があります。
平均流速公式は、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説 調査編 山海堂 平成19年7月改訂版」を参考としています。
この資料のP110〜111に、平均流速公式レベル2aの説明があり、以下のように記載されています。
「複断面的な断面形状を持つものの,潤辺内の粗度係数が一定という値をとる場合に成立するものである.井田による合成径深Rcを用いることにより,複断面的な河道でありながら単断面と同じ形の抵抗則を適用できることに本手法の特徴がある.」
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Q1−25. |
断面高だけを変更したので計算結果に影響はないはずだが誤差が生じる。 |
A1−25. |
誤差を小さくするために、入力画面「基本条件」の「収束条件|水位算出|誤差」の値を十分小さい値に設定してください。 水位計算は収束計算を行います。 収束計算は、入力画面「基本条件」で指定した水位分割数を使って、指定した誤差値以下となるまで繰り返します。 断面高の変化により水位分割位置が変化して、計算結果に誤差が生じる場合があります。
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Q1−26. |
計算を実行すると、「計算形状のブロックに考慮できない***があります。」のエラーメッセージが表示され、計算できない。 |
A1−26. |
任意開断面、および任意閉断面で定義した線分が重なっていたり、交差している可能性があります。 計算できない例を、ヘルプ「操作方法|入力|形状寸法」の「閉断面|任意閉断面」、「開断面|任意開断面」のページに記載しています。
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Q1−27. |
閉断面で異なる粗度係数を考慮した計算を行いたい。 |
A1−27. |
Ver.9で、任意閉断面の平均流速公式レベル1aの計算に対応しました。 任意閉断面でモデルを定義して、平均流速公式に「レベル1a」を選択すると、座標ごとに粗度係数を指定することができます。
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Q1−28. |
開断面で、断面高を超える水位で計算を行いたい。 |
A1−28. |
Ver.9で、開断面の計算範囲に「追加高」を指定できるようにしました。 断面形状の入力画面にあるタブ「計算範囲」で「追加高ΔH」を入力することにより、断面高を超えた水位の等流、不等流計算を行うことができます。 計算方法の詳細は、ヘルプ「計算理論および照査の方法|開断面の断面範囲を超えた水位の計算方法」をご覧ください。
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Q1−29. |
H−Q式の算出に限界水位を含めて計算してほしい。 |
A1−29. |
Ver.9で、メイン画面のタブ「不等流|HQ式流下能力」にチェックボックス「限界水位を常にHQ式に考慮する」を追加しました。
ここにチェックを入れることで、限界水位がある場合はそれを含めてH-Q式を算出します。
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Q1−30. |
同じ断面形状なのに余裕高が異なるのはなぜか。 |
A1−30. |
余裕高の計算方法が「α・d+β・hv+hw」の場合、水深dや速度水頭hvにより余裕高が変化します。 計算方法を射流・急流水路の計算式とした使用した場合も、流速や水深により変化します。
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Q1−31. |
任意開断面で河川の範囲より外側の地形も定義されているので、水の流れる範囲を限定したい。 |
A1−31. |
断面形状の入力画面の「計算範囲」タブで、「指定方法」を「水平」として、水の流れる範囲の左側X座標、右側X座標を入力してください。
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Q1−32. |
断面の計算範囲の条件を変更して検討したい。 |
A1−32. |
メニュー「計算範囲|計算範囲の編集」で計算範囲ケースを複数作成すると、各断面の計算範囲を複数設定することができます。 計算範囲ケースを複数作成した場合、等流計算では任意形状断面の計算条件ごとに計算範囲ケースを選択します。 不等流計算では、不等流計算ケースの各測点断面ごとに計算範囲ケースを選択します。
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Q1−33. |
樹木群、干渉効果を考慮することが可能か。
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A1−33. |
平均流速公式レベル3で、樹木群の定義が可能で、流速差による干渉効果を考慮した計算を行います。
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Q1−34. |
「土地改良事業計画設計基準 設計『水路工』基準書・技術書 平成26年3月」の図−6.6.2、6.6.3(P.234、P.235)の流れ図に沿って、壁高を算定したい。
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A1−34. |
Ver.10で対応しました。
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Q1−35. |
逆勾配に対応しているか
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A1−35. |
不等流計算では、水頭の釣合いにより計算を行うため、逆勾配の流路でも計算可能です。
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Q1−36. |
等流計算の余裕高が「射流・急流水路」の余裕高として計算されない。
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A1−36. |
水路工基準設定画面のタブ「射流・急流水路」の「適用条件|等流計算」にチェックを入れてください。 このとき、「縦断勾配が***以上」を入力する必要があります。 縦断勾配が***(入力値)以上の時、「射流・急流水路」の余裕高を計算します。
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Q1−37. |
「H−Qの関係を定義することができません」というエラーメッセージが表示される。原因は何か。
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A1−37. |
HQ式は、各測点断面について、不等流計算の複数ケースの結果から得られた(水位,流量)の関係から定義します。
詳しくは、ヘルプ「計算理論および照査の方法|不等流|HQ式流下能力」をご確認ください。
定義できない原因として、以下考えられます。
- 計算ケース数が1ケースしかない。
- 複数ケースのうち、HQ式に考慮できるケース数が1ケースしかない。
※計算エラーのケースはHQ式に含めません。
※限界水位、等流水位をHQ式に含めるかはHQ式の条件として設定します。
- HQ式に考慮できるケースの、流量が全て同じ値である。
- HQ式に考慮できるケースの、水位が全て同じ値である。
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Q1−38. |
動水勾配を確認する方法はあるか。
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A1−38. |
サンプルデータ「不等流計算例8.F9Y」は、動水勾配線として計算しているため、動水勾配を確認することができます。 また、常流の不等流計算として計算を実行すると、閉断面で水位が断面高を超えた場合に水位を動水勾配線として計算しています。 計算結果画面にて計算ケースの測点ごとに以下のメッセージを警告として表示するようにしています。 ====== 満流水位を超えたため動水勾配線の位置を算出しました。 ======
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Q1−39. |
段上げの計算は可能か。
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A1−39. |
可能です。 「土地改良事業計画設計基準及び運用・解説 設計『水路工』 平成26年3月」P.221の「C水路底の段上げ」の「段による損失水頭」を考慮して不等流計算を行うことができます。 入力画面「流路項目」の「流路の項目」で「水路工:段上げ(開水路)」を選択してください。
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