3.解析関連 |
Q3−1. |
収束計算の方法は? |
A3−1. |
収束計算には「Newton-Raphson法」を用いております。
収束基準は0.001(=0.1%)で、最大繰返し回数は12回となっております。 |
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Q3−2. |
破壊基準の根拠は? |
A3−2. |
デフォルト値の破壊基準:
・最大引張ひずみ……3%(ひずみがこれ以上になると引張破壊)
・最大圧縮ひずみ……1%(ひずみがこれ以上になると圧縮破壊)
・最大せん断ひずみ…2%(せん断ひずみがこれ以上になるとせん断破壊)
の根拠は、ヘルプ[エンジニアリングノート]-[参考文献]の「Analyses Examples」に示しております、下記文献P.197を参照しています。
3)「Nonlinear Response of Underground RC Structures under Shear」;Shawky,A.and Maekawa,K.;Proc.of JSCE,No.538/V-31,1996.5.
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Q3−3. |
UC-win/WCOMDの自重は、通常の鉛直荷重として導入されているか? |
A3−3. |
設定画面「荷重タイプの定義」で自重にチェックを入れると、重力加速度が与えられます。自重を静的な荷重で載荷していません。このため、節点の結果をみるとY成分に980cm/s2がみられます。 |
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Q3−4. |
減衰に関する入力箇所が見当たらないが、どのような減衰を使用しているのか
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A3−4. |
UC-win/WCOMDでは、Newmark法のパラメータとして高次モードの振動減衰が生じるγ=0.7、β=0.36が用いられております。 Newmark法における加速度の仮定としては、“一定加速度法(γ=1/2、β=1/4)”や“線形加速度法(γ=1/2、β=1/6)”が有名ですが、これらの値をγ>0.5,β=0.25(γ+0.5)2と選ぶことにより、高次振動領域において時間積分法の数値的メカニズムにより減衰することが言われております。
この種の減衰効果は、物理的な減衰と区別して、数値減衰(numerical
dissipation)と呼ばれ、本プログラムでは積極的に利用されております。
RC要素や地盤要素は、材料の非線形特性により履歴減衰が支配的となるために、新たに粘性減衰定数を与える必要がないことから入力項目はありません。そして、高振動領域における解の安定性を確保するために上述の数値減衰が採用されています。
履歴減衰が卓越することなどから原則として粘性減衰を用いないとした規定・解説が「2007年制定
コンクリート標準示方書【設計編】、土木学会」p.92にありますのでこちらもご覧ください。 |
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Q3−5. |
ガウス点の結果のGxx、Gyy、Gxyの意味は何か?
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A3−5. |
Gxxは、ひび割れ座標系のx軸方向ひび割れに沿った、ずれに起因するせん断ひずみ Gyyは、ひび割れ座標系のy軸方向ひび割れに沿った、ずれに起因するせん断ひずみ
Gxyは、要素全体の平均せん断ひずみで、ずれに起因するせん断変形とひび割れ間に挟まれた連続体コンクリートのせん断変形を合計したひずみ |
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Q3−6. |
動的解析結果の評価法について、ヘルプではひずみを対象としているが、応力で評価していない理由?
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A3−6. |
ヘルプ「エンジニアリングノート|圧縮ピークひずみ」に示されるように、コンクリートの応力ひずみ曲線は、最大圧縮応力度を超えた後は、応力が低下するモデルです。応力に着目して結果を判定していると、最大圧縮応力を超えた後のひずみが増大しているような領域を検出できません。このため、応力で判定するのではなく、ひずみに着目しています。 |
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Q3−7. |
道路橋示方書V耐震設計編に示される入力波形をそのまま使用しても問題ないか? |
A3−7. |
地盤と構造物をモデル化した場合に入力する波形としては、解放基盤面での加速度波形を与えることが一般的です。道路橋示方書の波形は、地盤種別に応じた地表面付近での波形ですので、そのまま使用することはできません。ただし、たとえば、文献[1]p.22には、『道路橋示方書に規定されているI種地盤(最も硬質な表層地盤)の加速度応答スペクトル適合波形を解放基盤面のものとみなすなどの方法で入力地震動を設定する場合が多い』、これは『実務設計において便宜上よく用いられるが、当該波形が解放基盤面におけるものとみなしうるか否かについては十分な検討を要する』とされています。文献[1]には入力地震動に関して詳しい解説がございますので、ご参考ください。
文献
[1]最新 地中・基礎構造の耐震設計、九州大学出版会、2001/12 |
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Q3−8. |
地盤が塑性化するかどうかを判断するには? |
A3−8. |
UC-win/WCOMDの地盤要素の構成則はバイリニア型などのように明確な折れ点を持っていません。ヘルプ
「エンジニアリングノート|大崎モデル」
に示すように原点から曲線を呈します。つまり、地盤は最初から非線形挙動を呈します。
もし、せん断強度Su(ヘルプ「エンジニアリングノート|残留剛性比」参照)を超えたかどうかを確認したい場合は、地盤要素のガウス点の結果(応力−ひずみ関係)を観察してください。 |
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Q3−9. |
ジョイント要素の計算結果を確認するには? |
A3−9. |
ジョイント要素のガウス点は1要素当たり2個あります。
ジョイント要素のガウス点結果は、要素座標系での結果です。要素座標系は、ジョイント要素に平行な方向がx軸、垂直な方向がy軸となります。
その他に節点の結果があります。ジョイント要素の部分は二重節点になっており、それぞれの節点の結果を呼び出してみることができます。 |
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Q3−10. |
破壊エネルギーGfから引張硬化軟化係数CxとCyをプログラムが自動算出するときの要素長の考え方は? |
A3−10. |
要素の形状は長方形ではない形も想定されるため、面積が等価な長方形へ換算しています。
節点1 (x1,y1)
節点2 (x2,y2)
節点3 (x3,y3)
節点4 (x4,y4)
という座標があるとき、この要素の面積をA、CxとCyの要素長をそれぞれ、LxとLyとすると、以下のようにして算出されます。
a = |x1 - x2| + |x2 - x3| + |x3 - x4| + |x4 - x1|
b = |y1 - y2| + |y2 - y3| + |y3 - y4| + |y4 - y1|
k = a / b
Lx = (A * k)^(1/2)
Ly = A / Lx
任意の形の四角形を長方形に換算する上記の考え方は、特に文献を参考にしておりません。
必要に応じてCxとCyをアドバンスモードにて直接入力してください。 |
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Q3−11. |
鉄筋配置角は計算上どのように効いているのでしょうか |
A3−11. |
鉄筋比、有効鉄筋比、引張硬化/軟化係数に鉄筋配置角を考慮しています。
無筋要素では、引張硬化/軟化係数は全体座標系での方向に定義されます。
詳細は下記文献を参照願います。
・福浦 尚之,前川
宏一:非直交する独立4方向ひび割れ群を有する平面RC要素の空間平均化構成則、土木学会論文集、土木学会、No.634/V-45、pp.177-195、1999.11
・前川宏一,福浦尚之:疑似直交2方向ひび割れを有する平面RC要素の空間平均化構成モデルの再構築,土木学会論文集,No.634/V-45,pp.157-176,1999.11 |
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Q3−12. |
「有効鉄筋比」と「鉄筋比」は何に使用されているか |
A3−12. |
有効鉄筋比
鉄筋の付着効果が及ぶコンクリート領域から決定される鉄筋比なので、要素内の鉄筋の構成則に適用されています。
鉄筋比
モデル化した要素厚さに対して配筋された実際の鉄筋の比率なので、要素の応力を計算するときにこの鉄筋比を使用しています。 |
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Q3−13. |
引張硬化/軟化係数Cx、Cyが適用される方向は? |
A3−13. |
RC要素の引張硬化/軟化係数Cx、Cyは、鉄筋の角度を定義した方向に考慮されます。鉄筋配置角が0度なら全体座標系と同じx方向とy方向、90度なら左回りに90度回転した方向です。
無筋要素では、全体座標系の方向になります。 |
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Q3−14. |
絶対加速度、相対加速度とは? |
A3−14. |
絶対加速度とは、相対加速度(=構造物に生じる加速度)と入力地震動の加速度を合計したものです。「入力地震波が2000galで、応答加速度が2500galだった」というような表現で用いる場合は、その応答加速度は“絶対加速度”を意味しています。
相対加速度は、地震によって揺れている地表面を基準としたときの構造物の応答加速度と言えます。 |
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Q3−15. |
無筋要素の引張軟化係数について、内部計算結果の上限値は「7.5」となっているが、この根拠は? |
A3−15. |
ヘルプ「エンジニアリングノート|テクニカルノート」に記載されておりますように、解析の発散を防ぐために上限値(7.5)が設定されています。7.5という数値については、ヘルプ「エンジニアリングノート|引張硬化/軟化係数」に記載されております、下記論文にC=7.5までの図がありますので、これを参考にして決定されています。
2) An, X., Maekawa, K. and Okamura, H.;
Numerical simulation of size effect in shear strength of RC beams
Journal of Materials, Concrete Structures and Pavements, JSCE,
No.564/V-35, 297-316, 1997.5 |
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Q3−16. |
地盤層の間にユニバーサルジョイントを入れて計算する場合「要素厚」にはどの程度の値を入力したらよいか?また計算時、どのように影響するか? |
A3−16. |
外部からの荷重が直接間接に要素に作用したとき、
要素厚が薄いと要素内部に発生する応力は大きくなる
要素厚が厚いと要素内部に発生する応力は小さくなる、
という挙動になります。
したがって、地盤要素の厚みよりも薄く(あるいは厚く)する目的が特にない場合は、ジョイントを挟む地盤要素の厚みと同じ厚みにすればよいと考えます。 |
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Q3−17. |
Newmark法の積分パラメータはγ=1/2、β=1/4がよく用いられるが、UC-win/WCOMDがγ=0.70、β=0.36を内部で固定して使用している理由は? |
A3−17. |
高周波ノイズを除去する目的でNewmark法のパラメータをγ=0.7、β=0.36とされています。
文献[1]p.108に、Newmark法はγ=0.7、β=0.36を用いてもよいとされており、その照査例である文献[2]p.50では解析事例が掲載されております。
文献:
[1] 土木学会:原子力発電所屋外重要土木構造物の耐震性能照査指針・マニュアル、2005/06
[2] 土木学会:原子力発電所屋外重要土木構造物の耐震性能照査指針<照査例>、2005/06 |
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Q3−18. |
解析結果で表示される平均応力、平均歪および偏差応力、偏差歪はどの要素のものか? |
A3−18. |
平均応力、平均ひずみ、偏差応力、偏差ひずみは要素全体の結果を平均した量です。
モデル内にある全てのRC要素と無筋コンクリート要素が空間平均化の対象です。
詳細については、誠に申し訳ございませんが、ヘルプの
「UC-win/WCOMDガイド|解析結果」
をご一読いただきますようお願い致します。 |
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Q3−19. |
Ver.2.0.0改訂履歴に「土材料に非排水状態オプションが追加されました。これにより、液状化を考慮した地盤応答解析が可能です。」とあるが、どのようにして液状化を考慮しているか |
A3−19. |
詳細については、ヘルプ「エンジニアリングノート|間隙水(土粒子)の排水条件」に紹介している文献:
[1]牧 剛史,前川宏一,半井健一郎,平野勝識:液状化を生じる地盤中におけるRC杭基礎の非線形応答に関する研究, 地盤工学会
液状化地盤中の杭の挙動と設計法に関するシンポジウム論文集,pp.285-290,2004.12
をご覧いただくことになります。この中で「(3)間隙水の移動を考慮しない場合(完全非排水)」がUC-win/WCOMDのモデルに該当いたします。
また、Ver.2.00.00の液状化に関する機能追加につきましては、その内容をヘルプ「Ver2.00.00について〜東京大学コンクリート研究室より〜」に掲載しています。
UC-win/WCOMDは、鉄筋コンクリート構造物の非線形挙動が主な対象なので、液状化問題に関しては上記ヘルプの「...試験的に取り入れており、...」や「...地盤液状化の厳しい状態に対応...」に相当する機能とお考えください。 |
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Q3−20. |
収束計算の方法は? |
A3−20. |
UC-win/WCOMDでは以下のとおりです。
1) 収束計算の手法
Newton-Raphson法と修正Newton-Raphson法を組み合わせた手法です。
2) 繰り返し計算時の反復回数
12回です。不平衡力は次のステップに持ち越しています。
3) 収束判定基準
収束判定は、正規化された残差力ノルムとそれに対応する変位ノルム、となります。
収束基準は、10^-6です。 |
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Q3−21. |
地盤とRC構造物を一体にしてモデリングして解析した際、構造物と地盤の間に隙間(構造物の不連続面)が生じる場合があるが、どれくらい隙間があるかを計測することはできるか |
A3−21. |
構造物と地盤の間にユニバーサルジョイントを配置している場合は、二重節点になっていいますので、地盤側の節点と構造物側の節点のそれぞれの変位を取得して、別途差をとれば、それが隙間となります。 |
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Q3−22. |
鉄筋が降伏する前に鉄筋の応力や値を確認する方法 |
A3−22. |
Ver.2.02.02において、鉄筋が降伏する前でも鉄筋の応力やひずみの値を確認できるように変更されております。恐れ入りますが、ヘルプ
UC-win/WCOMDガイド|降伏結果
を御覧ください。 |
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Q3−23. |
RC要素の自重はどのように計算されているか |
A3−23. |
RC要素の自重は、鉄筋比より要素の平均単位体積重量γmを求め、それに要素の体積を乗じて計算されます。コンクリートと鉄筋の単位体積重量をそれぞれγc、γs、X方向鉄筋比とY方向鉄筋比をそれぞれPx、Pyとすると、平均単位体積重量γmは、以下のとおりです。
γm =(γc+γs*Px+γs*Py)/(1.0+Px+Py)
無筋要素の場合は、Px=Py=0.0となります。 |