クラウドの一般的な有利点について
通常のスタンドアロンアプリケーションの仕組みでは、最低限VRアプリケーションを制御するコンピュータが必要です。このコンピュータで3D映像のリアルタイムレンダリングやシミュレーションの計算などを行うため、パソコンでも比較的高性能なものが推奨されます。
また、運転シミュレーションや歩行シミュレーションなどを行いたい場合は、特殊なシミュレータハードウェアが必要となり、最終的に複雑なシステム構成になる可能性もあります。
システムを導入して、実際に運用する上でコストの一般的な内訳としては以下のようなものが考えられます。
- VRアプリケーション費
- 用途ごとのコンテンツの開発費
- コンピュータやモニタ、ステアリングや筐体等のハードウェア費
- ハードウェア等の設置費、運送費
- システムの保守費用、更新費用
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上記のうち、1〜4はイニシャルコストで、5はランニングコストになります。ランニングコストの内容としては、
- 運用期間中のシステムのトラブルの対処
- 世代が古くなり表現力や機能面が劣る状態となったVRアプリケーションの更新
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などが考えられますが、一般に、一度設置したシステムはそのままの状態で長期間運用されることが多いため、個々のシステムに搭載されたVRアプリケーションはそれぞれ異なることがほとんどです。したがって、個々のシステムの状態を管理することが難しく、トラブルや保守上の問題が生じた場合は、復旧に多大な労力を要する恐れがあります。このような管理上の問題はシステムを導入する側にとっても負担となります。
このような問題は、クラウド型VR(SaaS)を導入することにより多くの部分が改善されます。たとえば、次のようなメリットが考えられます。
- リアリティの高いVR映像を表示するには、高価で高性能のグラフィックボードが必要になるが、サーバ側でVR画像を作成するSaaSであれば、クライアントのコンピュータにはそれほど高い性能は要求されず、コスト面でも有利。
- サーバ上のVRアプリケーションを更新すれば、接続されるすべての端末に適用されるため、個々のコンピュータの状態を把握する必要性は低い。このため管理に要する労力が軽減され、効率性が向上。
- 個々のシステムのコンピュータにトラブルが生じたとしても復旧が容易。
- VRアプリケーションがインストールされていないコンピュータであっても、ネットワーク環境があれば、いつでも、どこでも、どのコンピュータであっても運転シミュレーションが可能となり、機動性が向上。
- 作成されたコンテンツをWeb上で公開し、一般の方に運転シミュレーションを体験していただくことも可能。
これにより、計画に携わるごく限られた関係者だけでなく、多数の方々の意見を集約することが可能となる。多様なサービスの説明、体験や、広報等にも利用可能。
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クラウド型VRを導入した場合、開発側、ユーザ側の両方にとってメリットがある。特に、システム保守や更新に要する費用が軽減されることから、コスト面のメリットも大きいと考えられます。
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■図1、2 UC-win/Road、a3Sとクライアントの関係 |
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