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LECTURE MEETING 5

■講師プロフィール

古本吉倫[フルモト ヨシノリ]<工学博士>

専攻: 地震工学、地盤工学
経歴: 京都大学大学院工学研究科環境地球工学専攻修士課程、住友重機械工業椛麹技術研究所を経て、現在、岐阜大学工学部社会基盤工学科助手
受賞: 1998年土木学会中部支部優秀研究発表賞



■講演レポート

 古本先生は、現在、周波数依存型等価線形化法にもとづくFEM地盤震動解析法の研究・開発、強震記録のデータベース化とそれに基づく強震動予測モデルの研究・開発をなされています。

 今回は、杉戸真太教授とともに開発された、強震動予測手法EMPR(Earthquake Motion Prediction on Rock Surface)、周波数依存型等価ひずみ等価線形化手法FDEL(Frequency Dependent Equi-Linealized technique)を中心に、その特徴と利用実績をご紹介頂きました。

 FDELは、SHAKEと同様、成層地盤を対象とした1次元重複反射理論による地盤震動解析手法で、等価線形化により地盤の非線形性を近似的に扱う手法です。従来の等価線形化法では、ひずみレベルが大きい特に高周波数領域において、観測結果と一致しないという適用限界がありましたが、FDELでは周波数依存型等価ひずみの導入により観測結果と一致させることが出来、等価線形化法の適用範囲を広げることが出来ました。具体的には、SHAKEは、短周期成分が除去されやすい性質を持ちますが、FDELはそれを改善し伝達関数も含めて観測記録との整合性が大変高いと、ご説明されました(図1)。EMPR(図2)は、断層近傍の解放基盤面における、非定常パワースペクトル合成法による強震動波形予測手法で、土木学会コンクリート標準示方書耐震性能照査編で利用されています。これらを組合せることにより震度予測が行えます。

 詳細な震度推定には地盤情報が必要不可欠となりますが、これを自治体から提供を受けることで500mメッシュの地盤データベースを構築され、広域の震度予測が行えるシステムを構築されています。東海地方は、少なからず100年から150年周期で大きな地震が発生する地域で、ご存じの通り、東海地震、南海地震、東南海地震の発生が危惧されています。実際に、愛知県、豊橋市をはじめとし、各自治体における地震被害推定に、このシステムが積極的に活用さられているとの事です。例として、東海地震、南海地震、その複合型地震における計測震度分布のシミュレーション結果をご紹介されました(図3)。震度7に近い揺れの発生する地域が予測されています。また、南海地震(1944)の被害データを元に、本手法の妥当性についても言及されました。この検証の結果、非常によい精度で震度予測ができる事をご説明され、信頼性の高いシステムである事を証明されました。

 最後に、システムの応用として郵便番号による震度情報検索システム(http://www.cive.gifu-u.ac.jp/lab/ed2/kensaku/)を紹介されました。長年の研究成果が、一般市民にも非常にわかりやく使いやすい形で公開されている事に、大変関心いたしました。

なお、岐阜大学のHP(http://www.cive.gifu-u.ac.jp/lab/ed2/prg.html)で、FDELとEMPRが無料で公開されています。是非お立ち寄り下さい。



参考文献
杉戸真太,合田尚義,増田民夫:周波数特性を考慮した等価ひずみによる地盤震動解析法に関する一考察,土木学会論文集,No.493/V-27, pp.49-58, 1994.
M. Sugito, Y. Furumoto, T. Sugiyama :Strong Motion Prediction on Rock Surface by Superposed Evolutionary Spectra,Proc. of the 12th World Conference on Earthquake
古本吉倫,久世益充,能島暢呂,杉戸真太,谷口仁士:東海地方における強地震動推定のための広域地盤メッシュデータの統合, 第14回地盤工学シンポジウム, 地盤工学会中部支部,pp.29-32,2002.8.


講演日/講演会場
 ・2005年10月 7日(金)/名古屋会場

▲助手 古本 吉倫 氏


▲セミナー会場


▲図1


▲図2


▲図3
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