今号ではxpswmm2018新機能と、頻発する豪雨時の氾濫解析の手順を紹介します。xpswmm2018主な改訂内容は次のとおりです。
- 新ソルバーのGPUサポート
- XPテーブル一括編集機能
- 副流域分割ツール 他
新ソルバー(XP2D Extreme)では、CPUによる並列解析と、GPU解析が新たにサポートされました。特に、大規模モデルにおいてはGPUを用いることにより旧ソルバーよりも高速に解析を終了することが可能です。旧ソルバー(CPUソルバー)はセル数を増やすとほぼ線形的に解析時間が増大するのに比べ、新ソルバー(GPUソルバー)は時間の増大量が線形を下回ります。設計者側で、解析モデルに適した旧ソルバー・新CPU並列ソルバー・新GPUソルバーを任意に選択可能となり、作業効率の向上が期待できます。
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■図1 ソルバー選択画面 |
XPテーブルの選択した範囲の全ての値に対し、一定処理を行うことができます。この処理は任意の値のセット・加算・減算・乗算・除算もできます。管路の径を全て一律に変更するときなど単純作業の効率化が期待できます。
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■図2 XPテーブル一括編集の例 |
このツールは任意の副流域を、浸透域(不透過率0%)と不浸透域(不透過率100%)に分割できます。この機能は、浸透域と不浸透域で計算に使う式が異なる場合、事前に手計算をする必要がなくなり、副流域を分割して異なる条件を設定できます。
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■図3 副流域分割ツール |
近年、未曽有の災害が日本国内で続いており、災害対策の必要性が明らかになってきました。災害対策は、現況の調査と対策の検討を行わなければなりませんが、xpswmmでは、国土地理院の地図データから地形データを作成し、降雨強度や粗度などの諸条件を入力することで、容易にシミュレーションすることが可能です。
さらに、シナリオという機能を用いて、図4のように条件の異なる解析結果を1つのデータから簡単に出力することができます。この機能により、複数ケースの結果を容易に比較できます。
上述の点から、xpswmmは氾濫解析・災害対策を検討する際に有用なツールであるといえます。
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■図4 頻発する豪雨時の氾濫解析 |
これからも利便性向上を目指したバージョンアップを続けていきますので、ご期待ください。
■開発元:Innovyze (formerly XP Solutions) |