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杭基礎の設計 Ver.11
平成24年道示対応
杭基礎の耐震設計・補強設計支援プログラム

最新版製品価格 ●リリース 2013年6月
UC-1/基礎工シリーズ

 杭基礎の設計セミナー CPD
●開催日 : 5月16日(木) 9:30〜16:30
●本会場 : フォーラムエイト東京本社GTタワーセミナールーム
 ※TV会議システムにて 東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌にて同時開催
●参加費 : 1名様 \18,000 (税別)

 はじめに
既設の基礎の照査では既に杭配置が決定しているため実配置を入力しますが、新設基礎の場合は0から杭配置を考える必要があります。その場合、何度も試行を繰り返し、最適な杭配置を決定していると思います。これは大変手間がかかる作業であり、荷重が変わる度にやり直しを行なわなければなりません。この度のバージョンアップでは、このようなユーザーの負担軽減を目的とした機能強化を図っています。
 自動杭配置機能
杭配置の自動配置を行う前に、フーチングが剛体であるかの判定を行います。剛体ではないと判定された場合は、剛体を確保できるフーチング厚とします。これは変位法を適用する場合の前提条件を担保するものですが、杭頭接合部の定着長も考慮した実用的な厚さとするためでもあります。フーチングの剛体判定には杭本数が影響するため、杭配置(杭本数)が変更された場合は、再照査する必要があります。
フーチング厚を増す場合、増し厚は下方に持って行きます(図1)。その場合、杭先端位置を変えないとすると杭長が短くなります。この場合も地層構成を再設定する必要があります。

杭間隔は、最小杭間隔を2.5Dとして配置し千鳥配置も考慮します。また、杭間隔を2.5Dから広げた場合も考慮します(図2)。

■図1 フーチング厚を増す方向 ■図2 杭配置の検討
 自動杭配置機能
仮の杭配置を設定後、安定照査を実行し、水平変位に対する照査、杭の支持力に対する照査、杭体の応力度照査、杭頭接合部照査及びフーチングの応力度照査の判定を行います。

全ての項目に満足する場合は、震度法レベルでの杭配置の自動配置は完了となります。いずれかを満足しない場合は、最も厳しいケースとなる計算方向に対して杭間隔を広げたり杭列数を増加させます。この時、フーチング寸法が変わりますので、フーチングの剛体照査からやり直しとなります。

杭の応力度が満足しない場合は、場所打ち杭のように配筋を変更することで対応できる場合は、配筋の変更で対応します。この場合でも配筋の上限値を超える場合は、杭配置の変更が必要と判断されます。既製杭の場合では、鋼管杭の鋼管肉厚の変更やPHC杭の種別を変えますと杭の剛性が変わるため、フーチングの剛性照査から再計算を行います。

橋台のようにレベル2地震時照査を行わない場合は、この段階で終了となります。レベル2地震時照査が必要なケースでは、引き続き、レベル2地震時照査が満足する杭配置を探します。

レベル2地震時照査についても同様に判定を行います。レベル2地震時照査を満足しない場合は杭体の耐力を大きくすることで対応します。杭体の耐力向上の上限まで達した場合は、杭配置の変更を行ないます(図3)。

■図3 自動杭配置フローチャート

杭配置の検索範囲は、上限値を設けることで制御ができます。上限値とは任意の方向の杭列数であったり、フーチング幅となります。一方向が上限値に達した場合は、杭列数やフーチング幅の増加はもう一方のみとなります(図4)。

■図4 杭列数の増加方向
 既製杭の自動断面変化位置の決定機能
従来は、場所打ち杭のみ自動断面変化機能(主鉄筋の段落とし)に対応しており、PHC杭や鋼管杭といった既製杭については対応していませんでした。これは、場所打ち杭と異なり、既製杭の場合は断面変化によって各杭断面の剛性が変わるため、断面変化前とは地中部曲げモーメントの分布が変わってしまい、再度地中部曲げモーメントから計算しなおす必要が生じるためです。

今回、地層厚の再設定及び水平方向地盤反力係数の再計算も含め、これらの自動再計算を行えるようにし、既製杭の自動断面変化位置の決定機能に対応しました。

ただし、自動的に地層厚の再設定及び水平方向地盤反力係数の再計算が必要なことから、これらを[計算条件]-[入力条件]設定画面で、自動設定するように指定されていることが前提となります。また、杭の支持力についても再計算が必要となる場合があるため、杭の支持力も自動設定するように指定されている必要があります。

既製杭の場合はマーケットで流通している最小杭長と杭長追加の最小ピッチが規定されていると思います。最小杭長は、[杭配置]-[杭データ]画面で設定されている杭長とします。すなわち、[杭データ]画面で設定する杭長を開始杭長(または最短杭長)として、開始杭長以深で断面変化位置を探します。杭長追加の最小ピッチはデフォルト値を持ちますが、基準値データで変更が可能とする予定です。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■図5 自動断面変化位置の計算
 圧密沈下が生じる地盤中での斜杭の照査
平成24年道路橋示方書の参考資料9に未対応でしたが、本バージョンアップで対応します。

適用範囲は、道路橋示方書に記述の通り、「圧密沈下を生じる粘性土中に施工される既製杭を用いた打込み杭工法、中掘り杭工法又は回転杭工法により施工する社杭基礎」となります。
 プレボーリング杭工法のレベル2地震時後の照査
平成24年道路橋示方書に記述されています「レベル2地震後にソイルセメント柱が有効でなくなった場合も想定した、常時、暴風時及びレベル1地震時の照査」に対応します。

具体的には、杭頭から地盤定数を0とする範囲を指定し、常時、暴風時及びレベル1地震時の安定照査、杭体応力度照査及びフーチング照査を実行します。

杭頭から地盤定数を0とする範囲としては、1/β、レベル2地震時照査結果の塑性化範囲の参照及び入力値が考えられます。

■図6 圧密沈下が生じる地盤中での斜杭の照査
 側方移動の判定
従来から側方流動圧を考慮しての安定照査は可能でしたが、側方移動の判定は行うことができませんでした。本バージョンでは、NEXCO設計要領第二集(平成24年7月)に記述されているF値による判定と、道路橋示方書W下部構造編(平成24年3月)(以下、道示)に記述されているI値による判定に対応予定です。また、道示ではI値による判定だけでなく、道示の側方流動圧載荷モデルにも対応予定です(側方流動圧は入力を行なっていただきます)。
 おわりに
今回は、自動杭配置と既製杭の自動断面変化位置決定機能に対応しましたが、今後もユーザー様の負担軽減となる機能を追加していきたいと考えておりますのでご期待ください。
(Up&Coming '13 春の号掲載)
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