土木学会がCIM講演会2014(FORUM8協賛)を全国でリレー開催
FORUM8のCIMソリューションを提案するIM&VRセミナーも連携
仙台ではCIMの具体例やソリューション適用の可能性に高い関心
公益社団法人 土木学会は去る8月29日、「CIM講演会2014(仙台)」をエルパーク仙台(仙台市青葉区)スタジオホールで開催。階段状に客席を配置した190名収容の会場にほとんど空席が見当たらないほど集まった聴講者は、CIM(Construction Information Modeling(/ Management))の最新動向や海外の実態、様々な事例の紹介に熱心に聴き入っていました。
国土交通省は営繕分野におけるBIM(Building Information Modeling)利用の開始を受けて2012年8月、CIMに関係する現行の制度や基準等の課題を整理・検討する「CIM制度検討会」を発足。その前月にスタートした民間の「CIM技術検討会」と連携し、3次元(3D)モデルの活用をベースとする新たな建設管理システム(CIM)の普及促進を目指す体制が形成されています。同省はまた、2012年度から詳細設計を対象に、2013年度からは対象を工事にも広げてCIMモデル事業を実施してきました。
こうした動きと並行し、土木学会土木情報学委員会の国土基盤モデル小委員会およびICT施工研究小委員会はCIMの理解浸透に資する一環として、2012年度からCIMに関する講演会を主催。今年度も7月から12月までの半年間に、札幌を皮切りに全国10カ所で順次開催中です。
一方、フォーラムエイトはこのような土木学会の取り組みに協賛。併せて、各講演会と連携する形で「IM&VR・CIM技術サポートセミナー」を各地で開催しています。これは、UC-1設計シリーズをはじめとするフォーラムエイト製品のユーザーの皆様に、CIM関連のソフトウェアや技術サービスを通じたサポート展開についてご提案するものです。
今回はこれらの一端に触れるべく、仙台で開かれた講演会およびセミナーを取材しました。
■CIM講演会2014(仙台)
国内外の多様なBIM/CIM適用事例を紹介 今後のCIM導入に向けた提案も
CIM講演会2014(仙台)
土木学会国土基盤モデル小委員会の城古雅典小委員長による開会挨拶を受けた「CIM講演会2014(仙台)」の冒頭は、国交省大臣官房技術調査課技術管理係長の本村信一郎氏が同省におけるCIMの取り組みについて講演。CIM導入が求められた背景に触れたのち、CIMの考え方や同省の政策上の位置づけ、産学官が連携した検討の流れ、2012年度および2013年度のCIMモデル事業における取り組みとそれらの検証結果を解説。2014年度の試行事業、2016年度までの先導的事業へのCIM導入に向けた制度検討や導入計画に関する新たな考え方にも言及しました。
また、同省東北地方整備局北上川ダム統合管理事務所胆沢ダム管理支所管理係長の今野浩一氏は2013年度の完成を経て、管理段階への移行(2014年4月)を機にCIMを導入した胆沢ダムにフォーカス。測量、地質調査、設計の各成果および工事完成図書を整理・統合し、3D的に可視化した「胆沢ダムCIM」を紹介。その上で、タブレット利用による点検や補修などの履歴の可視化、そのもたらす維持管理の高度化・効率化、今後の展開について説明しました。
次いで、同省東北地方整備局北上川下流河川事務所長の東出成記氏(調査団派遣当時は一般財団法人先端建設技術センター)は土木学会が2013年9月に派遣した米国CIM技術調査団の成果について報告。まず、米国のインフラ整備を中心とするBIMの実情と日本のCIMとの比較、技術や運用面でのポイントを整理。併せて、世界貿易センタービル(WTC)跡地の再開発事業をはじめ米国の主要なBIM導入事例を紹介。さらに、自身が携わった国内でのCIM事例へと話を展開しました。
同講演会の後半は、土木学会国土基盤モデル小委員会の藤澤泰雄副小委員長がCIMを用いた計画・設計事例と施工への連携について講演。CIMを用いた建設事業のプロセス、3Dモデルによる設計手順などを概説したのち、橋梁や道路の設計へのCIM適用の手順を例示。フロントローディングをはじめ、今後のCIM活用に向けたポイントや課題にも触れます。
これに対し、同小委員会の村井重雄委員はCIMを用いた施工事例と維持管理への連携に着目。多様な工種に施工CIMを適用した国内の複数事例、国際的なCIMの動向やそれらを視野に入れたOpen CIM ForumなどのOCF(オープンCADフォーマット評議会)活動について紹介。これまでのCIMモデル事業を通じて得たCIM導入に向けての課題と提案も解説。最後に、同小委員会の緒方正剛副小委員長が「やる気を持ってCIMに取り組む」ことの重要性を訴えて、今回講演会を終えました。
■IM&VR・CIM技術サポートセミナー(フォーラムエイト仙台事務所)
CIM対応の広がりを反映、高まるCIMソリューションへの期待
IM&VR・CIM技術サポートセミナー(フォーラムエイト仙台事務所)
前述の「CIM講演会2014(仙台)」と連携する形で9月2日、今年度3回目となる「IM&VR・CIM技術サポートセミナー」がフォーラムエイト仙台事務所で開かれました。
同セミナーではまず、フォーラムエイトが提供する最新の3D・VRソリューション、建築や土木構造物のライフサイクルにわたって必要な各種情報を連続的に活用可能なBIM/CIM&VRによる統合ソリューションの連携イメージ、今後の展開に向けた考え方など概要が描かれました。
その上で、3D有限要素法(FEM)解析プログラム「Engineer’s Studio」や総合FEM解析システム「FEMLEEG」、建物エネルギーシミュレーション「DesignBuilder」、「FEMエンジニアスイート」を列挙。3D・FEM解析の適用シーンやそこでの3Dデータの有効活用についてデモを交えて解説しました。
続いて、UC-1設計シリーズと連携して躯体や鉄筋を生成し干渉チェックも行える「3D配筋CAD」、Android端末で3D図面表示をサポートする「3D配筋CAD for SaaS」、BIM/CIM統合ソリューション「Allplan」の各製品についてデモを交えて説明。国産の汎用3D CADエンジンを実装する土木専用3D CAD「3D CAD Studio」の可能性にも触れています。
セミナーの後半では、IFCファイルやDWGツールを活用しつつ、3DリアルタイムVR「UC-win/Road」によりVRで3D空間や道路を作成、作成したデータをさらに「Allplan」にインポートする、といった手順をデモ。開発中のプラグインとの連携など今後のVR展開にも言及しました。
セミナーの最後は、「UC-win/Road」をベースに各種ソフトツールを駆使して作成された景観、交通、風、騒音、津波と洪水、避難、施工などのシミュレーション事例が紹介されました。
事務所内に設置されたセミナー会場には県内外からのユーザー約40名が参加。CIM対応を支援する各種ツールやノウハウの説明、デモンストレーションに高い関心が窺われました。加えて、セミナー終了後も展示スペースでは多くの参加者によるスタッフへの突っ込んだ質問が長く続いていたのが印象的でした。
(執筆:池野 隆)
IM&VR・CIM技術サポートセミナー(仙台事務所)に併設された展示コーナー
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