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NVMe |
HARDWARE INFORMATION
2019-No.3 |
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NVMe (Non-Volatile Memory Express)とはSSDデータ転送を高速化する目的で開発された論理インターフェースで、従来から存在するAHCI(Advanced Host Controller Interface)などに代わるものです。
NVMeが開発された経緯として、従来の接続規格であるSATAではSSDの転送速度を超えることができないことが挙げられます。
そこでSATAよりも高速なPCI Expressを介してSSDを接続する新しい規格としてNVMeが策定されました。AHCIはHDDのみの時代に策定されたインターフェースであるのに対し、NVMeはSSDが持つ高い並列処理性能を、十分に引き出すことができるように設計されており、データ転送の高速化や、大量の並列処理、ファイルコピーの高速化が実現されています。また、CPUサイクルが少なくなるメリットもあります。
NVMeに対応したSSDを利用することで、弊社UC-win/Roadでの点群モデルの読込やEngineer's Studio®での大規模モデルの読込もより高速化することができます。
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▲PCI Express規格のSSD(左)と、SATA規格のSSD(右) |
AHCIではコマンドを処理するキューが1つに対し、NVMeは65,536のキューを持つことが可能です。コマンドの数はAHCIが32コマンド/キューに対して、NVMeは65,536コマンド/キューを実現する事ができます。
また、AHCIでは割り込み処理ができないことに対して、NVMeは割り込み処理に対応しています。新しいコマンド管理機能なども導入され、SSDなど最新のストレージメディアを利用する上での欠点が解消されています。
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NVMe |
AHCI |
主な物理I/F |
PCI Express |
SATA |
キューの数 |
65.536 |
1 |
コマンドの数 |
65,536 |
32 |
割り込み |
MSI-X対応 |
割り込み調整なし |
4KBコマンドの効率 |
コマンド・パラメータは
2 serialized host DRAM フェッチ必要 |
コマンド・パラメータは
1 フェッチ(64 Byte)で済む |
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▲NVMeとAHCIの比較表 |
NVMe over Facrics(以下、NVMe-oF)はNVMeの技術をイーサネット上で利用できるよう発展させ、ストレージネットワークの通信を従来のiSCSI規格よりも高速化させる目的で策定された新しい規格です。通常のNVMeでは単一のノードが搭載するPCI
Expressのスロット数までしかストレージを拡張できないという物理的な制約がありますが、NVMe-oFでは複数のノードをネットワークを介して接続できるため、この制約が解消されます。これによりNVMe並の低レイテンシで、スケーラブルなストレージシステムを構築することが可能となります。
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▲NVMe over Fabricsイメージ図 |
NVMeに関連した製品やサービスは徐々に市場に投入され始めています。ゲーミングPC向けとして性能の良いものが次々と販売され始め、PCに標準搭載している製品もあります。
2019年6月には、NVMeを外付けする事ができる、SSDケースを販売し始めた企業もあり、動画エンコーディングや画像操作などのメディア処理や、機械学習などの大量の演算を行うのに最適な環境として、NVMeを備える環境を提供するサービスも始まっています。上で紹介した、NVMe-oFに対応した製品も徐々に市場に投入され始めており、今後エンタープライズ分野を中心に様々な分野で活躍すると思われます。
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