プログラムの機能と特長
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製品構成
Liteは従来の「土留め工の設計」、Standardは「土留め工の設計(フル機能版)」に対応し、今回追加される逆解析ツールを使用する場合はAdvancedのライセンスが必要となります。
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解析方法 |
慣用法 |
弾塑性法 |
逆解析ツール |
旧製品 |
土留め工の設計・3DCAD Lite |
◯ |
× |
× |
土留め工の設計 |
土留め工の設計・3DCAD Standard |
◯ |
◯ |
× |
土留め工の設計
(フル機能版) |
土留め工の設計・3DCAD Advanced |
◯ |
◯ |
◯ |
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機能
■壁体種類/対応形状
- 親杭横矢板、鋼矢板(普通、ハット形)
- 軽量鋼矢板(普通、ハット形)
- コンクリート矢板(平形、溝形、波形)
- 鋼管矢板壁、SMW(柱列式、等厚壁)
- 地中連続壁(控え杭タイロッド式は未対応)
掘削平面形状が矩形(最大4壁同時設計)または直線形状(1壁の設計)
- 両壁モデル(弾塑性解析は両壁一体解析)
- 2方向(左右方向、前後方向)同時解析
- 突出モデル(水中掘削可)
■対応基準と計算機能
慣用法 |
適用基準 |
仮設指針(平成11年)、土木学会(平成18年)、鉄道標準(平成13年)、建築学会(平成29年)、建築学会(平成14年)、首都高速(平成19年)、設計要領第二集(平成18年)、土地改良擁壁(平成5年)、下水道事業団(平成4年)、土木学会(平成8年)、首都高速(平成2年)、建築学会(昭和63年)、道路公団(平成12年) |
計算機能 |
根入れ長の計算、断面力の計算、変位の計算、剛性検討、支保工反力の計算、下方支点反力の計算、壁体応力度照査 |
その他 |
土地改良基準(平成26年):自立式矢板工法 |
弾塑性法 |
適用基準 |
仮設指針(平成11年)、土木学会(平成18年)、鉄道標準(平成13年)、建築学会(平成29年)、建築学会(平成14年)、首都高速(平成19年)、設計要領第二集(平成18年)、下水道事業団(平成4年)、土木学会(平成8年)、首都高速(平成2年)、道路公団(平成12年)、共同溝指針(昭和61年)、建築学会+ランキン(昭和63年) |
解析方法 |
解析法 I (プレロードに対して、別モデルで背面地盤をばね反力として評価する方法) |
解析法 II (背面地盤を弾塑性ばねとして評価する方法) |
計算機能 |
弾塑性側圧による根入れ長の計算、断面力の計算、変位の計算、支保工及び盛替え支保工反力の計算、弾性領域の検討、壁体応力度照査、定常性の検討(決定した壁長を挟む伸縮方向に壁長を変化させ、変位、曲げ、反力などに関して安定度グラフを作成) |
支持力照査 |
適用基準 |
仮設指針・首都高速H15、土木学会(H8、H18、H28)、下水道事業団、首都高速H2、共同溝指針、建築学会(S63、H14、H29)、道路公団 |
■弾塑性法
入力、並びに、結果確認も含めて、弾塑性法のみで計算処理が行えます。
弾塑性法の出力において、側圧計算表に土圧式を併記し、また、解析法UESの解析条件である除荷荷重を提示します。
■支保工の設計
支保工タイプ
- 自立式
- 切ばり支保
- アンカー式
- 切ばり+アンカー併用式
- 控え杭タイロッド式
鋼製支保工初期値選定機能
初期入力画面だけの条件から、登録済みの全て鋼材について応力度計算を行い、合否の一覧表を提示し、その中から適当と考えられる鋼材規模を選定できる機能(鋼製支保工選定)を用意しています。 |
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支保工数と掘削次数
- 慣用法のみの場合は20段(21次掘削次まで)
- 弾塑性法を行う場合は19段(20次掘削時+プレロード)
切ばり支保工、切ばり+アンカー併用式
- 照査部材 : 腹起し、切ばり、切ばり火打ち、隅火打ち、中間杭
- 計算機能 : 座屈、合成応力度、局部座屈、せん断応力度、支持力、腹起しスパンなど
アンカー支保工、切ばり+アンカー併用式
- 照査部材 : 仮設アンカー、除去アンカー、永久アンカー腹起し、ブラケット、アンカー頭部
- 計算機能 : アンカー長の計算、内的安定計算、腹起し、ブラケット、アンカー頭部の計算など
控え杭タイロッド式
- 検討ケース : 1時掘削時および完成時(弾塑性法を行う場合は+プレロード)
- 照査部材 : タイロッド、控え杭(H鋼杭(直杭)、鋼矢板、鋼管杭(直杭)、鋼管矢板)、腹起し
- 計算機能 : 控え杭必要設置距離、控え杭必要根入れ長、控え杭断面照査、腹起しの設計計算など
大項目 |
入力項目 |
制限 |
備考 |
控え杭種類 |
H鋼杭(直杭) |
○ |
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鋼矢板(壁) |
○ |
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鋼管杭(直杭) |
○ |
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鋼管矢板(壁) |
○ |
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組杭 |
× |
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腹起し種類 |
溝形鋼 |
○ |
|
H形鋼 |
○ |
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タイロッド種類 |
ねじ切り加工した丸鋼 |
○ |
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その他の引張材 |
○ |
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構造条件 |
設計対象箇所 |
1壁 |
右壁のイメージ |
壁体天端と地表面天端が異なる |
○ |
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引張材(タイロッド)段数 |
1 |
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引張材(タイロッド)傾斜 |
○ |
鉛直方向のみ |
地層数 |
20 |
掘削側、背面側別 |
地層の傾斜 |
× |
地表面、地層フラット |
全体制御 |
柱状図 |
○ |
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図面作成 |
○ |
土留め工Ver.5にて対応 |
3D描画 |
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○ |
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○は対応。×は未対応。
火打ちに油圧ジャッキを入れた場合に腹起しスパン計算
仮設指針P.118図2-10-5に記載している端部に油圧ジャッキを入れてゆるみをとった場合の腹起しスパンの計算が可能です。本機能は隅火打ち、切梁火打ちそれぞれ個別設定できるようにしています。
鋼矢板腐食低減係数の自動決定機能
適用基準が「土地改良事業計画設計基準 設計「水路工」 基準書 技術書」平成26年3月 農林水産省」の場合に、「鋼矢板・設計から施工まで2014(鋼管杭・鋼矢板技術協会)」に準拠した低減係数の自動決定が可能です。本基準には、U型鋼矢板9種類、ハット型鋼矢板2種類の、腐食代と低減係数の関係をプロットしたグラフが示されています。 本製品ではこれと同等のグラフを使用し、指定された腐食代t1と腐食代の比αより低減係数をグラフから読み取り自動決定します。
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▲腹起しスパンの取り方(左図が油圧ジャッキあり) |
▲低減係数算定画面 |
■底面安定の検討
ボイリング |
テルツァギー(仮設指針・首都高速H15)、テルツァギー、限界動水勾配の方法、2層系地盤の方法、テルツァギー(鉄道標準) |
パイピング |
仮設指針 |
ヒービング |
仮設指針、テルツァギー、チェボタリオフ、ビエラムエイド、建築学会修正式、首都高速の方法、鉄道標準の方法、土地改良基準の方法 |
盤ぶくれ |
荷重バランス法、土留め壁と地盤の摩擦抵抗を考慮する方法(土木学会・首都高速H15の方法、鉄道標準の方法、日本グラウト協会の方法) |
改良体の設計計算
改良体の設計計算では、盤ぶくれ照査式を対象に、必要安全率を満足するような改良体の必要厚さや必要粘着力を計算します。
■法面の影響
サポート形状
- 水平−斜面
- 水平−斜面−斜面
■外的安定性の検討(円弧すべり)
すべり円中心が格子範囲内にある不特定多数のすべり に対する臨界面(最小安全率)の計算を縦横メッシュの格子上で行ない、その中で最小安全 率となるすべり円を抽出。「斜面の安定計算」用のデータの保存にも対応。
■壁体本体・支保工の一連設計/単独設計
一連設計
図面作成用に支保工の平面配置条件を入力する事により、プログラム内部で支保工設計用代表スパンを1つ設定し、全段の支保工について設計を行います。
単独設計
支保工の設計(鋼製支保工、アンカー支保工)において、単独計算で任意の条件を与えて、支保工だけの設計が可能です。
■荷重
法面の影響
形状(水平−斜面)、形状(水平−斜面−斜面)
列車荷重
適用基準を「鉄道標準」とした場合に、鉄道標準並びにJR東日本コンサルタンツ 設計マニュアルに準じた列車荷重を載荷します。
有限長の上載荷重
土留め壁の任意の区間に作用する分布荷重を載荷可能です。
周辺地盤への影響検討
近接程度の判定、土留め壁の変形に伴う地盤変形の推定(a過去の実績から推定する方法、c有限要素法の数値解析による方法)を行います。
近接程度の判定
道路土工 仮設構造物工指針 平成11年3月 社団法人日本道路協会P.59の考え方で照査します。
地表面上に照査点を設定し、その照査点が影響範囲と想定される領域U(下図の斜線部)にあるか否かを判定します。 |
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▲たわみに起因する影響範囲 |
簡易予測法
鉄道構造物等設計標準・同解説 開削トンネル 平成13年3月 財団法人鉄道総合技術研究所P.247の考え方で照査します。最大沈下量、最大沈下発生位置を推定します。最大沈下量δymax、最大沈下量発生位置Lxmaxは下図のイメージです。
山留め壁の最大変位と周辺沈下量の概算値法
山留め設計施工指針 2002年 社団法人 日本建築学会P.228の考え方で照査します。土留め壁の変形によって発生する沈下量の概算値を計算します。
ただし、本計算は、弾塑性法解析結果に対してのみ検討することができます(フル機能版対応)。
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▲たわみに起因する影響範囲 |
▲概算値法による沈下計算 |
有限要素法(FEM) による照査
地盤のみモデル化し、別途弾塑性法により計算した壁体変位を入力し、地盤変形を計算する「強制変位法」で照査します(フル機能版対応)。
※「有限要素法(FEM) による照査」にて、当社地盤解析シリーズである「弾塑性地盤解析(GeoFEAS)2D」用入力データを生成
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▲弾塑性解析結果図 |
▲FEM解析モデル図 |
▲地表面Y方向変位量 |
弾塑性解析モデル
1枚の土留め壁を対象にした「単壁モデル」
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- 背面土:受働塑性のためバネ無
前面土:掘削されているためバネ無
- 背面土:弾性域にあるためバネ有
前面土:掘削されているためバネ無
- 背面土:主働塑性のためバネ無
前面土:掘削されているためバネ無
- 背面土:主働塑性のためバネ無
前面土:受働塑性のためバネ無
- 背面土:主働塑性のためバネ無
前面土:弾性域にあるためバネ有
- 背面土:弾性域にあるためバネ有
前面土:弾性域にあるためバネ有
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はりバネモデルによる「両側土留め壁の一体解析」
Engineer's Studio®を使用した弾塑性解析
Engineer's Studio®の解析部を使用した土留め弾塑性解析に対応
- 弾塑性法で回転拘束ありの場合、回転反力の出力に対応
- 解析法 II の荷重分割法でプレロード荷重に対応
- 解析法 II における「壁の変位と側圧の履歴」を変位の方向で制御する点について改善
- 支保工引張り状態は支保工バネを無視(引張り抵抗無効)
- 、解析法1のフレーム荷重出力に対応。
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逆解析ツール
既知の条件から結果を得る順解析に対し、結果から未知のパラメータを得る手法は逆解析と呼ばれます。
土留め工の設計において、荷重条件や地盤物性、境界条件から結果(壁体変位など)を得るのが順解析(予測解析)であり、解析結果から地盤物性値などを得るのが逆解析(現状解析)となります。
基本的な検討の流れは、まず推定したい各地層の内部摩擦角φや粘着力cのパラメータ範囲(例えば、φについて30〜40度の範囲で分割数は3など)を設定します。設定した範囲で検討パラメータを変動させて弾塑性解析を繰り返し行い、全計算ケースの目的関数(実測値と解析値の差の二乗和)を算出し、目的関数や解析結果を参考に採用する土質物性値を決定します。 |
▲整合性評価結果画面 |
解析方法 |
弾塑性法(解析法T)弾塑性法逆解析ツール旧製品 |
パラメータ |
各地層ごとに以下の土質物性値を推定することができます。
- 内部摩擦角φ
- 粘着力c
- 水平地盤反力係数kH(または変形係数αE0)※計算は設定した
パラメータ範囲での総当りで行います。
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計測データ |
以下の計測データを計算値と比較することができます。
- 壁体変位(必須)
- 壁体曲げモーメント(任意)
- 支保工反力(切ばり軸力)(任意)
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機能 |
実測値と計算値とを比較、評価し、未知パラメータを推定します。
推定したパラメータを反映させた「土留め工の設計」データをエクスポートし、
「土留め工の設計」本体で改めて予測解析を行うことができます。 |
▲表2 機能及び特長(逆解析ツール)
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なお、逆解析ツールでは元となるデータ(「土留め工の設計」データ)をインポートしますので、事前に予測解析を行ったデータを利用することができます。逆解析のために新たにゼロから条件を入力する必要はありません。逆解析ツールではインポートデータの条件に対して検討パラメータの範囲などを設定することになります。
また、逆解析を実行した後は指定したケースの土留め工の設計データ(*.f8L)をエクスポートできますので、逆解析により推定された土質物性値が設定されたエクスポートデータを利用して、「土留め工の設計」でその後の予測解析を改めて行うことができます。図3に逆解析を利用した検討例を示します。
▲逆解析を利用した検討例
逆解析による土留め壁変位に関するファジィ理論を用いたフィッティング評価機能 土留め壁の変位の実測値と逆解析から得られる予測値との整合性を評価する方法として、「ファジィ理論を用いた山留め壁変位の実測値と予測値の整合性判定プロセスのモデル化」土木学会論文集No.480/VI-21,pp.147〜155,1993.12杉山俊幸らの考え方を導入し、現在サポートしている目的関数による逆解析結果の適正判断に加え、整合性判断の強化を行いました。
この時の整合性判断は、専門技術者の判定に影響を及ぼす要因と考えられる次の5項目について照査を行い、文献に示されている評価基準に基づいて評価点を求めることになります。評価点が高いほど整合していることになります。
1. ピーク値付近差
実測値のピーク値近傍5点の値と予測値の2乗平均誤差
2. ピーク深差
実測値と予測値のピーク位置の深さ方向の差
3. 全体差
全ての実測値と予測値の2乗平均誤差
4. 平均絶対差
実測値と予測値の差の絶対値
5. 15%誤差比較
実測値と予測値の差が実測値の15%以内の比率 |
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図面生成
平面形状を「矩形」と「直線」の2タイプとして、矩形の時は「平面図1枚、側面図2枚」、直線の時は「平面図1枚、側面図1枚」、いずれの場合も数量表、設計条件表を添付した図面を作成します。平面図については、全段を作図する事も可能です。
土留め壁
- 鋼矢板壁 : 鋼矢板
- 軽量鋼矢板壁 : 軽量鋼矢板
- コンクリート矢板壁 : コンクリート矢板
- 親杭横矢板壁 : 親杭、土留め板(木材板、軽量鋼矢板)
- 鋼管矢板壁 : 鋼管、継手管
- SMW壁 : ソイルセメント壁、芯材
- 地中連続壁 : コンクリート壁、主鉄筋(縦方向鉄筋)、配力筋(横方向鉄筋)、組立筋
控え杭
- 鋼矢板壁
- 鋼管矢板壁(鋼管、継手管)
- H鋼杭
- 鋼管杭
支保工
- 切ばり支保工 : 腹起し、切ばり、火打ち、腹起しブラケット、切ばりブラケット、火打ちピース、隅角ピース、腹起し・切ばりのジャッキ配置の図面作成に対応
- アンカー支保工 : 腹起し、腹起しブラケット、アンカー、台座
- 鋼製支保工+アンカー併用 : 上記の全て
- 控え杭タイロッド式 : タイロッド、腹起し、腹起しブラケット、アンカー、台座
■適用範囲
- 構造タイプ
- 掘削平面形状は矩形(最大4壁同時設計)または直線形状(1壁の設計)に対応
- 両壁モデル(弾塑性解析は両壁一体解析)、2方向(左右方向、前後方向)同時解析
- 突出モデル(水中掘削可)対応
- 壁体断面変化
- 弾塑性法解析時に、鋼矢板壁、鋼管矢板壁、SMW壁、地中連続壁は最大10断面の断面変化が可能
- 支保工
- 切ばり式土留め(切りばり平面配置本数最大50本)、アンカー式土留め(アンカー平面配置本数最大50本)
- 多重(max=5重)切ばり・隅火打ち、多段(max=3段)腹起し・切ばり・火打ち対応
- 2重腹起し対応。ただし、2重腹起しの場合には多段とすることはできません。
2重腹起しのメインウィンドウ4面図です。
長手方向の腹起しを2重にすることで、切梁を設けずに土留め壁の構築が可能になるかの検討などが行えます。
- 支保工数と掘削次数
- 掘削時は支保工19段(20次掘削時+プレロード)、撤去時は盛替えばり20段(19次撤去時まで)
- 架設ステップ(弾塑性解析時)
- 1掘削ステップにつき必ず支保工が上から降順に1段ずつ架設される。
- 1撤去ステップ毎に必ず支保工は下から昇順に最低1段、最大3段撤去され、盛替え支保工が最低1段、最大3段下から昇順に架設される。
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