製品詳細価格/購入サンプル画面ユーザ紹介/評価・Q&A

  Q&A (製品評価や導入の際に役立つQ&Aです)

 1.適用範囲

Q1−1. 平成12年に下水道事業団の基準が改訂され、断面決定用土圧の求め方が仮設指針と同様となり、根入長決定用土圧はそのままと聞いたがアンカー対応版では、下水道事業団選択時、断面決定用土圧は意識せずとも仮設指針と同様になるのか?
A1−1. 当方の下水道基準は、ご質問の「平成12年改訂基準?」ではなく、設計基準案(平成4年)です。よって、本プログラムで慣用法の適用基準を「下水道事業団」を選択した場合は、平成4年の設計基準案に準拠した処理内容になります。
ご質問にありますように、もし新しい下水道基準の改訂内容が、そっくりそのまま仮設指針の内容であるならば、当面は、仮設指針を適用基準として選択するなどで対応して頂きたいと思います。現時点では、新基準の内容につきまして当方では全く理解しておりませんので、上記の対応方法につきましてもお客様の方で十分確認の上、行ってください。よろしくお願いいたします。
なお、新しい下水道基準につきましては、日本下水道事業団の内部資料扱いということらしく、図書として正式に発刊され購入できるようになるまでは、当方としては対応できないことをご理解ください。
 
Q1−2. 一般に良く使われるコンクリート矢板(PC矢板を含む)は検討出来ないのか。
A1−2. 断面種類としてはコンクリート矢板(RC矢板)を扱っていますが、PC矢板については直接扱っておりません。しかしながら、PC矢板につきましも、基本的には、検討断面の断面諸量であるA(断面積)、I(断面2次モーメント)、Z(断面係数)、E(ヤング係数)などが正しく設定されれば、壁体応力度照査を除き、壁長の検討、壁体断面力の計算、反力の計算などは検討できるのではないかと考えられます。
例えば、壁体種類として、コンクリート矢板を選択され、基準値にあるコンクリート矢板テーブルの内容を照査したい断面諸量に書き換える、もしくは追加すれば、上記の照査までは可能ではないかと考えられます。
ただし、各検討項目で使用される断面諸量の諸数値には十分注意され、内容に誤りがないかを必ず確認してください。あくまでも、仮設構造物を前提とした対処方法の提案であり、これによって、壁体照査を保証するものではありませんことをご承知おきください。
 
Q1−3. 軽量鋼矢板の設計が可能か?
A1−3. 仮設構造物として、軽量鋼矢板を使用する上での設計計算には十分対応できます。(ただし、場合によっては、ご自身で使用する軽量鋼矢板を追加登録する必要があります。)
しかしながら、軽量鋼矢板の使われ方としては、護岸(法留め工)などの永久矢板構造物の場合もありますので、この場合については、明らかに対応できません。
 
Q1−4. 図化部分において、平面が矩形以外の形状への適用は可能か。
A1−4. 平面形状は、基本的には矩形のみを想定しています。
ただし、これに拠りがたい場合は、平面形状を直線とするという処理も用意しており、任意の直線区間を抽出した状態での作図、設計をサポートしています。よって、平面形状が多角形であったり、凹凸があるような場合は、直線区間毎に個別に設計、作図する事で個々の直線区間の処理はできると考えられますが、全体の平面形状をそのまま作図する事はできません。
平面形状に関する機能拡張につきましては、平成14年4月現在、全くの白紙状態であり、誠に申し訳ございませんが、当面は予定がありません事をご理解ください。
 
Q1−5. 偏荷重(施工時の重機の重量)が載荷する場合の解析方法は仮設工指針によると弾塑性解析を行うようにとなっているが、慣用法の両壁の方法では無理なのか?
A1−5. 偏荷重が載荷されることにより、なにが変わるかというと、簡単に言うと、両側の壁の変形状態が対称にならないということが挙げられます。それによって、設計対象壁自体は、対壁(相手側の壁)の影響を受けるようになるわけです。
一方、ご質問の慣用法や、市販されている多くの弾塑性解析ソフトのように、1枚の壁だけを対象(1本棒扱い)としている設計法は、実は、両側の壁の変形が左右対称で、全く対壁からの影響を受けない事を前提として設計を行っているのです。ですから、慣用法は無論の事、壁を1枚もので解析を行っている弾塑性解析(厳密には解析方法によっては可能ですが、総じての意味で)でも、偏荷重の影響をきちんと評価する事は無理だと考えられます。
慣用法は、おおまかに言うと、根入れ長の検討を行う場合には、設計対象壁の最下段切ばり位置を原点として、それより下方の側圧を対象としたその点廻りのモーメントのつり合い法(極限平衡法)を採用していますし、断面力計算では、やはり、設計対象壁の切ばり間(仮想支持点含む)を単純ばりモデルとして力学計算を行っているだけであることからも、対壁の影響を考慮する要素がないことがわかります。
 
Q1−6. SI単位のみの設定になっていますが、従来単位には対応できないのか?
A1−6. 本プログラムではSI単位系のみをサポートしております。よって、従来単位系については対応しておりませんし、昨今の基準類の記載方法を鑑み、従来単位系につきましては、今後も対応する予定はありません事をあしからずご理解ください。
ただし、旧製品にもありました結果画面での単位系切替えは行えるようにしてありますので、参考値としてご利用ください。
 
Q1−7. 平成13年3月以前の鉄道基準に準拠させた計算は可能か。
A1−7. 平成13年以前の基準を、「掘削土留工設計指針(平成11年)」(以下「設計指針」と略す)の事とさせて頂きます。また、本プログラムの適用基準である「鉄道構造物等設計標準・同解説 開削トンネル 平成13年3月」を「鉄道標準」と略します。
両者の一番の相違点は、慣用法(根入れ長計算、断面計算)に用いる土圧の与え方です。設計指針では、

■ 根入れ長計算:主働側は砂質土・粘性土(ランキン土圧)、受働側はクーロン土圧(δ=φ/2)

■ 断面計算:主働側は壁体・支保工設計土圧(粘性土土圧係数は標準値が有る)、受働側はクーロン土圧(δ=φ/2)

です。一方、鉄道標準では、基本的に弾塑性法用側圧の考え方を重視し、

■ 根入れ長計算:主働側は砂質土(ランキン土圧)・粘性土(土圧係数表)、受働側はクーロン土圧(δ=φ/3)

■ 断面計算:主働側は壁体・支保工設計土圧(土圧係数は根入れ長に準じる)、受働側はクーロン土圧(δ=φ/3)

としています。
算定式上からは、主働側粘性土土圧係数の扱いが大きく異なる事と受働側クーロン土圧係数算出時のδの扱いが異なる点がわかります。
また、水圧の考え方も従来の慣用法的な扱いと弾塑性法用とではかなり異なります。故に、土圧と水圧の合力である設計側圧が異なる事になります。
このように、土留め壁の設計の主外力である側圧が、設計指針と鉄道標準では大きく異なり、あくまでも、弾塑性法用側圧をベースに開発している本プログラムでは、ご指摘のようなスイッチなどの調整で、設計指針を再現する事は残念ながらできないと考えられます。
 
Q1−8. 「仮設構造物設計基準」平成6年4月東京都交通局建設工務局(「東京都基準」と略す)に対応できるか?
A1−8. 結論から申し上げますと、大変残念ながら対応できないと考えられます。その理由として、土留め工の設計を行うにあたり、一番重要である土圧(側圧)の考え方が全く異なる事が挙げられます。具体的には、以下のようです。

■ 断面計算(土留め壁、支保工設計)用土圧が異なる
砂質土の土圧分布形状が、掘削深さHに対して、0.8Hと0.2Hで区分されていますが、このような分布形状に則した適用基準の選択肢が当方の製品にはありません。また、粘性土においても、同様に、東京都基準固有の考え方であり、代用できる適用基準がありません。

■ 根入れ長土圧が異なる
基本的に、上記の「断面計算用土圧」と同じ扱いにしているようです。よって、対応する事ができません。
以上、上記の設計外力を正しく計算(再現)できない以上、設計の考え方が同じであったとしても、対応できないと判断せざるを得ません。ご理解の程、よろしくお願い致します。
また、今後の対応につきましても、基準類の多くが改訂されている現状を鑑みますと、頂戴した東京都基準は若干古いものと考えられ、改訂される可能性もあるのではないかと推察されます。よって、改訂された場合には、あらためて、その内容を調査し対応を検討したいと考えております事をご理解ください。(2003年7月現在)

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 2.入力関連

Q2−1. 旧製品のデータを再利用できるか。
A2−1. 土留め工の設計に関する製品とデータ名の変遷をまとめると下表の通りです。表中、「製品名とファイル名」の欄には、製品名とその製品で作成されるデータの拡張子を記載しています。
●は、その製品自体のデータですから、その製品では互換があります。
○は、旧データですが、読込むことができることを意味します。
◎は、その製品に旧データを変換するツールが搭載されていて、変換することで旧データを読込むできることを意味します。
×は、互換がなく、読込むことができません。
土留め工の設計計算[*.Admw]は、「土留め工の設計Ver.2」で読込むことができますので、一旦、この「土留め工の設計Ver.2」で読込み、保存をして頂くと、旧データをVer.2以降の「土留め工の設計」でも読込むことが可能になります。

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 3.慣用法
Q3−1. 入力項目で数値選択となっている部分には任意数値は入力できないか?
A3−1. 可能です。本製品では、入力項目を選択することで数値を設定できる部位は下記の項目がございます。これらの入力選択部では、▼選択以外に入力部へ直接任意の値を入力することで設計することも可能です。必要に応じて入力下さい。
なお、各選択数値は指針などに従い予め製品側で用意した数値です。各入力項目のヘルプボタンによりhelpに記載の内容を併せてご確認下さい。
■ 自立状態の必要根入れ長算定式の係数
■ 壁体データ(鋼矢板)の鋼矢板の有効率
■ 壁体データ(連続壁)の断面2次モーメントの有効率
 
Q3−2. 親杭横矢板での土留工の計算を行っています。最終掘削時の背面水位を掘削面より上に設定して土留壁に水圧を作用させた計算を行いたいのですが可能か?
A3−2. 壁面に水圧を作用させる事は可能です。
[初期入力]にて壁体種類を「親杭横矢板」とし、「□水位(掘削前)」をONにした状態で詳細設定ボタンを実行しますと、本プログラムでは、親杭の場合は止水効果が期待できないものと判断し、[検討ケースデータ]における背面側水位を掘削底面まで下げることを前提にしています。ただし、初期入力画面を確定する際に、「背面側水位を掘削底面と同レベルにセットしますか?」と確認画面が表示されますので、下げない場合は「いいえ」を選択して下さい。
なお、最終的な背面側水位については、[検討ケース]の各検討ケースデータの入力画面にて、背面側水位G.L.をお考えの水位に修正して頂ければ結構です。
 
Q3−3. 切ばり支保工の各スパンは自動的に決定されるようだが、これを任意に設定することはできるか。
A3−3. 一連設計の場合は、内部で計算スパンをセットしています。セットのルールにつきましては製品ヘルプの[計算理論及び照査の方法]−[切ばり支保工編]−[一連設計と単独設計]−[一連設計]をご参照ください。本プログラムでは、内部生成したスパンを設計者の判断で、変更できる仕組みを実現しています。計算実行後に表示される「切ばり支保工の設計条件」画面にて、各種の設計スパンを変更するか、照査部材箇所を追加することができますのでお試し下さい。
状況によっては、単独設計にデータをコピーしていただきますと、単独設計でも、自由に変更することが可能です。コピーの方法は、[計算確認|支保工]の総括表ウィンドウにある[単独設計にコピー]ボタンをクリックしてください。その上で、[単独設計]メニュー−[切ばり支保工]を選択していただきますと、単独設計を行うことができます。
 
Q3−4. 切ばり撤去時に、埋戻し材の条件(土質定数等)を指定したいが、可能か?
A3−4. 慣用法、弾塑性法いずれの場合も、埋め戻し材の土質定数等(受働土圧)を考慮することはできません(入力もありません)。参考までに、本プログラムにおける埋め戻し面の入力情報の使用箇所を記述します。

■ 慣用法
埋め戻し面は、撤去時の支保工反力計算時における側圧の載荷範囲に使用します。

■ 弾塑性法
埋め戻し面及び下方支点深さの入力情報は一切使用しません。

本プログラムの弾塑性解析で、撤去時を検討する場合は、必ず、最低1段以上の切ばり支保工を下方から(最終掘削時に設置した切ばりから)撤去し、同時に、盛替え支保工を、やはり、最低1段以上、下方からあらたに設置して頂かなければなりません。これが、当方の弾塑性解析の撤去時ケースの原則とお考えください。
 
Q3−5. 仮設指針の場合、自立式根入れ長をモーメントつりあい法で求めることはできないか。
A3−5. 本プログラムは、仮設指針(H11.3)に準拠し、弾性床上の半無限長の杭として設計する方法(=Changの方法)により根入れ長を計算していますので、モーメントつりあいによる根入れ長は計算できません。
対策方法としては、一時的に首都高速基準として計算することで、自立時の根入れ長がモーメントつり合い法による結果となりますので、これにて代用して下さい。
 
Q3−6. 仮設指針で、断面決定用土圧を求める際の掘削深さHの考え方について。
A3−6. 仮設指針p37、p38の断面決定用土圧を求める際の掘削深さHの考え方については、上載荷重換算高さを考慮せず地表面からの距離を考える場合と、上載荷重換算高さから考慮する場合とが想定できます。
本件の取り扱いについて仮設指針には明記されていないため、過去において当社より、建設省土木研究所に問い合わせを行っております。当初においては「上載荷重換算高さ考慮する」として設計を行うよう回答を得ておりましたが、現時点では「上載荷重換算高さを考慮しない」として設計を行うよう回答を受けております。
なお、本プログラムでは、スイッチにていずれかを選択可能としており、標準は「上載荷重換算高さを考慮しない」としております。

■1999年5月
「質問」仮設指針のp37の掘削深さによる係数aの求め方について、上載荷重が有る場合には、p38に記載のように、先に上載荷重を土層として換算し、この上載荷重分の高さも含めたaとして設計するのか。
「回答」設計には、上載荷重分換算高さを掘削深さに加算して設計を行うと考えて設計下さい。

■2000年7月6日
「建設省土木研究所の連絡事項」
先に設計時には上載荷重を考慮する旨回答しておりましたが、上載荷重を土圧として換算せず掘削深さのみでaを決定するよう計算方法を変更下さい。
Q3−7. 横矢板の板厚を、深さごと、または、検討ケースごとに計算可能か。
A3−7. 横矢板の板厚を、深さごとに計算することはできません。
横矢板の板厚は、スイッチにより最終掘削時の土圧分布、または、全検討ケースごとの土圧分布から最大土圧を使用して、板厚を求めることが可能です。
Q3−8. 土圧図および土圧の計算式のプリンターの出力は可能か。
A3−8. 基本的には[計算書作成|結果詳細]または[計算書作成|結果概略]で各ケースの[結果要旨]に荷重図(土圧図)をお付けしています。ただし、1次掘削時(自立時)の検討がChangの場合の根入れに長印刷には荷重図はありません。理由につきましては、「Q&A」−「慣用法編」−「Q3−13」を参考にしてください。
土圧式につきましても[外力表]に印刷しています。ただし、1次掘削時(自立時)の検討がChangの場合の根入れ長には土圧は関係ありませんので省略しています。
なお、合点がゆかない場合は、お客様のデータを添付の上、お問い合わせくださるようお願いいたします。

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 4.弾塑性法
Q4−1. プログラムの適用基準について
A4−1. 本商品の場合、プログラムの適用基準を判断するに際して大きく2項目について判断する必要があろうかと思います。1つは「弾塑性解析法の考え方」、1つは「側圧や地盤バネの計算方法」と考えられます。

(1)弾塑性解析法の考え方
本プログラムで採用した弾塑性解析法は、「道路土工−仮設構造物工指針 平成11年3月 社団法人日本道路協会(以下「仮設指針」と略す)」P104でプレロードを実施する場合の解析法として紹介されている土木研究所の方法「建設省土木研究所:大規模土留め壁の設計に関する研究、土研資料第2553号、1988.3(以下「土研2553号」と略す)」です。「大深度土留め設計・施工指針(案) 平成6年10月 財団法人 先端建設技術センター (以下「大深度指針」と略す)」では「解析法U:背面地盤を弾塑性バネとして評価する方法」として記述がなされています。よって、「仮設指針」「大深度指針」は適用基準と考えられます。いずれの指針においても「より精密な解析を必要とするような場合」として提示されている方法ですから、適用範囲は拡張されたものと思われます。しかしながら、他の基準類につきましては当方では判断いたしかねますので、ご自身で確認してください。
なお、Ver1.01.00フル機能版から、解析法T(中村・中沢の方法)でも検討できるように機能を追加しております。こちらの製品をご使用の場合は、仮設指針p.100の解析モデルと同等のモデルを扱う基準類についても対応可能とお考えください。

(2)側圧や地盤バネの計算方法
仮設指針、「トンネル標準示方書 開削工法編・同解説 1996.7 土木学会(以下「トンネル示方書」と略す)」、「共同溝設計指針 昭和61年3月 社団法人 日本道路協会(以下「共同溝指針」と略す)」に関しては、適用基準として扱うことができると判断しています。また、「設計基準(案)土木設計編 平成4年4月 日本下水道事業団 (以下「下水道指針」と略す)」、「首都高速道路仮設構造物設計基準 平成2年10月 財首都高速道路厚生会」についても、側圧、地盤バネの考え方はカバーしています。
「山留め設計施工指針 1988 社団法人 日本建築学会(以下「建築学会」と略す)」に関しては、全層ランキン土圧でよいとお考えであればカバーしています。
ただし、建築学会に限らず、「側圧係数の直接入力」をサポートしていますので、入力の手間を勘弁して頂ければ、ある程度の条件に対応できると考えられます。
なお、Ver1.01.00フル機能版から、「山留め設計施工指針 2002 社団法人 日本建築学会(以下「建築学会平成14年」と略す)」に対応しています。
 
Q4−2. 塑性領域が多層に生じても解析可能か?
A4−2. 可能です。本プログラムは、地盤の要素を点として捉え、地盤バネは集中バネとして評価します。よって、弾塑性解析計算では地層を認識するのではなく、計算ポイント毎の地盤バネについて弾塑性解析を行いますので、塑性化が多層に生じることは十分考慮することが可能です。
 
Q4−3. 逆解析は可能か?
A4−3. 逆解析(例えば、実測値である変位反力から土質定数(土性)を逆計算するような機能)はサポートしていません。同様に、プレロードや地盤改良の自動決定機能についてもサポートしていません。
 
Q4−4. 根入れ不足時の自動根入れ延長機能はあるか?
A4−4. ありません。本プログラムでは壁体全長(根入れ長)を入力条件としており、この壁長に対してのみ各種解析を行います。現時点では、設計者がこの壁長を変更しては計算を実行し、その解析結果から適当と考えられる壁長を決定するというマニュアル操作で対応してください。壁長に関しては、根入れに関する安定計算結果や弾塑性解析結果である変位、弾性域長などが判断材料になるものと考えられます。
 
Q4−5. 背面土砂形状(法担ぎ形状)の入力並びに上載荷重の計算機能はあるか?
A4−5. 「法面の影響による上載荷重の計算」機能がありますが、仮設指針P365の参図8−12に示すように壁体先端から崩壊面を定義するのではなく、最終掘削位置から崩壊面を定義していますので、使用に際してはそれらの相違点に注意が必要です。将来的(工期は未定)には対応を検討していきたいと考えています。
 
Q4−6. 突出モデルに対応しているか?
A4−6. 対応しています。同時に突出区間に水位のある、いわゆる水中掘削状態にも対応しています。なお、出力結果などできちんと突出区間の作用荷重などが印刷できていない点につきまして、いましばらくお時間を頂きたいと考えています。
 
Q4−7. 切りばりの盛替えの設定はできるか(例えば、3段梁設置後に2段梁の位置を変更する)?
A4−7. 対応できません。
 
Q4−8. 斜めの切り梁を施工するとき(左掘削側の1段目を右掘削側の2段目で受ける)は入力出来ないのか?又どう考えているのか。
A4−8. 斜めの切り梁(左掘削側の1段目を右掘削側の2段目で受ける)は両壁モデルでは検討(入力)できません。
計算するためのモデル化については、検討すべき状況が、どうしても左右の壁の挙動が非対称であることが明確である、すなわち、切ばりの中心線が移動するような挙動であるならば、両壁モデルで解析する必要があります。よって、この場合は本プログラムでは入力できませんので、誠に申し訳ありませんが、別プログラムの検討の必要があろうかと思います。
しかしながら、片面で別々に解析してもよいと判断できるのであれば、斜め支保工のバネ強度を計算し、この値を直接入力することで、左壁、右壁を単独に解析するなどで検討を加えることはできると思います。おそらく、今までは、そのように単壁モデルで検討していたのではないでしょうか。
 
Q4−9. 自立時3mの検討を弾塑性法で行いたいが、制限事項等あれば教えて欲しい。
A4−9. 特にないものと判断しています。
ご質問の背景には、仮設指針などで、弾塑性法を取り扱う掘削深さが、10.0mより深い場合としていることから、何らかの制限があるのではないかと危惧されているものと思われます。しかしながら、10.0m以上掘削するためには、ご質問のような掘削深さ3.0m程度の自立状態を含めて、10.0mより浅い状態の架設ステップでの解析を行う事が必要です。弾塑性解析方法そのものは、掘削深さによらず同じ理論で解析しており、掘削深さ10.0m未満の比較的若い掘削次数における弾塑性法による解析結果が、過去に、問題視されたことがないことからも、問題はないものと考えています。
 
Q4−10. 弾塑性法時に側圧係数を直接入力する方法は?
A4−10. 側圧係数を任意設定するには、[考え方|弾塑性法]の「□土圧係数の直接入力をする」にチェックマークをしてください。その上で、[地層|地層]において、各種の土圧係数をすべて直接入力して下さい。
一度この設定を選択せずに土圧係数をプログラム内部で計算させておいた結果を参考とした方が良いかと思います。
[計算書作成]にて、弾塑性法の検討条件から[側圧・地盤バネ分布表]、[側圧に関する詳細表]を選択し印刷プレビューなどを実行し確認下さい。
 
Q4−11. 弾塑性法に於いて弾性域率(%)の判定があるが、指針ではふれておらず何%以上が妥当なのか。又、何か規定があればお教えて欲しい。
A4−11. [基準値|設計用設定値|安全率]の50.0%の出典根拠は首都高速道路基準(平成2年10月)です。ご指摘の通り、仮設指針では弾性域率については特に触れられていませんが、当方としては、根入れ長の決定にあたり、なんらかの判断材料になるのではないと思い照査を行っております。なお、弾性域率の算出方法等につきましては、ヘルプ[計算理論及び照査の方法]−[弾塑性法編]−[弾塑性法の概要]−[弾塑性解析による弾性域長の照査について]に記述していますので、そちらを参考にしてください。
 
Q4−12. 弾塑性解析における撤去時の検討は、最終掘削時のみでなく仮想盛替え支保工の段数を増やすことにより、施工段階ごとの撤去時照査が可能であると考えてよいか。
A4−12. そのように解釈して頂いて結構です。
下から順番に切ばり支保工を撤去したならば、必ず下から順番に盛替え支保工を設置するという原則をお守りください。
 
Q4−13. 定常性から定まる根入れ解析方法について
土留め壁の根入れ長を決定する方法として、「首都高速道路公団仮設構造物設計基準」(H2.10)では「土留め壁の応力・変形及び切ばり軸力の定常性から定まる方法」を提示しているが、本プログラムは、この方法に対応しているか?DOS版でサポートしていた定常性判定グラフ作成機能は、サポートしていないのか?
A4−13. 可能です。[考え方|照査項目]の「□弾塑性法による定常性の検討を行う」にチェックマークをしてください。当然の事ながら、[詳細入力|適用基準|弾塑性法]は、設計しない以外(何らかの基準を選択した状態)でなければなりません。また、[考え方|照査項目]の□弾塑性解析時に断面変化を行うにチェックマークが付いている場合は定常性の検討はできません。[結果確認]ボタンで通常の設計が支障なく終了しますと、定常性に関する条件入力画面が表示されます。
余談ですが、この解析方法については以下のような指摘もあります。
「開削トンネル設計指針(試案)H8.11阪神高速道路公団」では、この「定常性」について、多層地盤や軟弱地盤の場合は、根入れを長くしても山留め壁の応力や変位が一定の値に収束しない場合があることや、収束したとしても、曲げモーメント、変位、軸力のそれぞれの収束状況が異なり、設計者による収束位置の判断が、曖昧になる場合があるとして、根入れ長の決定要因とはしなかったとあります。このあたりの見解が現在、どうなっているかは不明ですが、本プログラムの最優先文献である「仮設構造物工指針」でも特に取り上げられてはいませんでした。参考まで記述させて頂きました。
 
Q4−14. 弾塑性解析により各段階の変位量は評価されるが、これに対する許容値はどのように考えるのか?
A4−14. 解析方法が、慣用法であろうが弾塑性法であろうが、基本的な許容値の考え方は、大きく異なるものではないと思われます。しかしながら、仮設指針においても、特に、弾塑性法で照査を行った場合の許容値を明記している箇所がないことから、本プログラムにおいても、弾塑性解析時の変位に関しては、許容値に対する判定は行っていません。
変位量の規定については、仮設指針では、p.26(3)土留め壁の応力および変位で、「土留め壁に過大な変形を生じて、周辺地盤が沈下することのないように設計する」とあり、具体的な許容変位量の記述としては、

(1)p.92(3)鋼矢板の剛性の検討
p.94に「以上のように求めた鋼矢板の最大変位量は、0.3m程度を目安とする。」という記述がある。

(2)p.151(3)土留め壁頭部の許容変位量
自立式の記述ですが、「掘削深さの3%を目安とする。」という記述がある。

以上の2箇所ぐらいではないかと考えられます。よって、これらを参考に、設計者の判断で、許容変位量を規定して頂きたいと考えています。
 
Q4−15. 弾塑性法による土留壁の計算における切ばり反力の算出式の詳細は印刷できるか。また、切ばり反力の算出式を調べたが、これはと思われる式を探せなかった。参考資料があれば教え欲しい。
A4−15. 反力も含めて、変位、断面力の算出式の詳細印刷並びに算出式そのものは申し訳ありませんがありません。無論、親切な入門書でもあれば理論式の説明はあるかと思いますが、当方では、残念ながら、提供できる資料はありません。
弾塑性解析は、最終的には、格点バネを考慮した、いわゆる弾性床上のはり理論による構造計算を行っているわけです。具体的には、土留め壁を1本の有限長の弾性はりとして、これに、地盤バネや支保工バネを格点集中バネとして考慮し、各種の側圧を荷重として載荷した骨組構造面内解析結果が、ご質問の反力であり、変位であり、応力なわけです。ですから、片持ちばりや単純ばりといった比較的簡単な構造モデルで、かつ、荷重も集中荷重や等分布荷重といった簡単な場合を想定した、構造力学公式集などで示される算定式で表現できるものではないことをご理解ください。

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 5.支持力
Q5−1. 支持力の計算で、任意の根入れ長に対する検討は可能か。
A5−1. ■ 土留め壁の支持力
土留め壁の支持力については、[計算確認]直後の形状決定画面にて支持力の検討に対する必要根入れ長を表示します。この結果を確認して、設計者が土留め壁長を任意に入力するしくみとしており、ここで入力した壁長に対して、再度、支持力の検討を行います。

■ 中間杭の支持力
切ばり支保工の中間杭の支持力については、[部材|中間杭]で指定の根入れ長に対して照査を行います。具体的には、同画面にて「根入れ長に関する条件」で中間杭の天端高と最終掘削時の掘削底面からの根入れ長を入力します。これで中間杭の全長を認識します。「□支持力を検討する」にチェックマークをしてください。なお、適用基準が、首都高速、道路公団の場合は照査できません。また、中間杭に関する支持力照査による必要根入れ長の検討は本プログラムではサポートしておりません。

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 6.法面の影響
Q6−1. フーチング設計時の鉄筋量の考え方は?
A6−1. 結果出力の鉄筋量は有効幅を考慮した鉄筋量を単位幅あたりに換算しています。
 1.「有効幅」を求める。
 2.有効幅内に設置される鉄筋本数をカウントし、「有効幅内の鉄筋量」を求める。
 3.次式により、フーチングの単位幅当たりの鉄筋量を求める。
   「単位幅当たりの鉄筋量」=「有効幅内の鉄筋量」/「有効幅」
 
Q6−2. 「フーチングなし」の計算は可能か?
A6−2. Ver.3.02.00より対応しています。
「初期入力」画面の「形状(基本)|フーチング形状」でフーチングの有無を指定してください。
なお、現行バージョンでは、深礎フレームとの連動時、直接基礎時(ケーソン基礎等の場合にダミーの基礎形式としての利用を想定)の場合に対応しています。

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 7.補強設計
Q7−1. 法面の影響で形状を修正しようと思うが角度とか制限値はあるのか?
A7−1. 斜面形状がある角度以上になった際、計算において検討される掘削底面からの影響角度線と斜面角度が交点を持たなくなります。無限形状になり、この種の検討が出来なくなってしまいます。
このような場合、プログラムでは「結果確認」の「計算状況」において「法面の影響による上載荷重の算定で計算エラーが発生しました。斜面の角度に問題があるため、法面形状の内部生成に失敗しました。」とコメントされます。この場合は、法面の影響による上載荷重を内部で加算しません。
そこで、角度が急な斜面を持った土留めの際には法面影響考慮には設計者がその影響範囲を考えて手計算していただき、上載荷重に直接加算するしかありません。その場合[考え方|照査項目]の「□ 法面の影響による上載荷重の計算を行う」もチェックを外すことに注意してください。
 
Q7−2. 法面による上載荷重の計算方法はどの基準によるものか?
A7−2. 本製品では根切り底から45+φ/2の影響角度を持ってその設計としており、この考え方は『下水道 設計基準(案)土木設計編 平成4年』に準じたものとしています。
設計には実際の考慮により多種な上載荷重の換算方法があるかと存じます。
例えば、
(1)沿道掘削(88申請)等では根切り底から45度の角度で考える場合
(2)「道路土工 仮設構造物指針」に参図8−12 実測現場の概要の「地盤の影響線を杭下端から45度の角度で検討」
等の設計手法もあると思われます。
しかしながら、この考え方は全てに適用すべき内容なのか、それとも大深度掘削の時のみこの考え方なのか、等明確ではありません。
また、「仮設指針」では図2−8−1aに従うべきなのか、何れにしても、明確な考え方が示されていないため、設計者の判断によるとしています。
また、設計者判断としてはどうすべきかと言う点ですが、建設省では以下のように考えていると思われます。(建設省土木研究所談)本指針「仮設指針」の参図8−12では、偏土圧として特殊な例を示しています。一般的な施工においては 地表面形状、対称・非対称土留め、盛り土・切り土等地層の構成などにより判断されるべきで有ると思います。本例では全層粘性土で考慮しているため45度の影響線で考えていますが、実際の土工計画時に於いて近接構造物などの影響などを考えると、都市土木では杭を有する構造物が主であり実際の影響について等を検証する際も杭先端から考えることは有る意味過剰であるとも受け取れます。本件は、あくまで特殊な例ですが安全側に考えると言うことで、この考えを採用しています。設計者が必要を考えれば、この考え方や記載の図2−8−1を参考に頂ければと考えます。ただし、厳密な設計では設計者の判断にゆだねられる所ですが一般的な場合には、図2−8−1で考えても問題は有りません。
 
Q7−3. 法面の影響を考慮する際の地層のφの扱い方は?
A7−3. 上載荷重の考慮において法面形状を入力したときの影響角は、掘削底面より45+φ/2のラインを影響角としており、背面地盤各層のφを考慮して求めています(多層地盤で算定過程を出力したときの図を参照下さい)。この際、盛土部においてはそれ以下の層からの角度線の延長線として考えています。

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 8.支保工
Q8−1. 支保工用鋼材の追加でパイプ及び水圧サポートは可能か?
A8−1. 本製品の支保工材の断面設計方法は、適用基準のすべてがそうであるようにH型鋼に対応した設計方法であり、パイプ及び水圧サポートなどH型綱と構造が異なる支保工材は、断面諸元も構造も異なるため単純な諸元入力だけではその解析になりません。
従って直接の入力はサポートしておりません。得られる反力値より別途手計算頂くなどでご検討下さい。
 
Q8−2. 仮設指針の記載では中間杭の特性長の考え方でγは弱軸方向の断面二次半径を採用するとあるがプログラムではどう考えているか?
A8−2. 中間杭の座屈スパンに加算する1/βのβ算定に用いるD、IはH(高さ)とIyを 用いますが、現在のプログラムでは中間杭については図のy軸回りの座屈を考慮した許容応力度で設計を行っております。
厳密に考えると(正方形のH鋼でも)、Iが小さい方(Iy)がβが大きくなるので、(1/β)は小さくなり、座屈スパンが短くなるので、(1/β)を考慮したときは両方向検討する必要があると考えますが上記理由により採用をしておりません
 
Q8−3. アンカー式支保工の際アンカーに発生する軸力を土留めの応力照査に考慮できるか?
A8−3. 可能です。計算スイッチにより内部的に連動できる仕組みになっています。

 >> サポートページ 土留め工の設計 Q&A集

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