■国土交通省/歩行空間ネットワークデータの実証事業
国交省では、「バリアフリー・ナビプロジェクト」として、誰もが円滑に移動できる社会の実現に向け、歩行空間のバリア情報等を収集・オープンデータ化するための仕様やガイドラインの整備に取組み、車いす利用者向けナビゲーション等の様々なICT(情報通信技術)を活用した歩行者移動支援サービスが提供される環境づくりを進めている。歩道の段差や幅等をデータ化した「歩行空間ネットワークデータ」は、移動の負担が少ない観光ルートや状況・ニーズにあった避難ルートの選定等、観光や防災といった様々な分野においてICT化を進める手段の一つとしての活用も期待されている。国交省はこのような状況を踏まえ、歩行空間ネットワークデータ等を整備し、活用する実証事業に一緒に取組む自治体等を募集することにした。9月から12月には現地事業の実施を予定し、令和2年1月から2月には成果取りまとめを行う考えである。同事業は、ICTを活用した歩行者移動支援サービスの本格的な展開に向け、自治体等が実施する観光や道路管理、防災等の既存施設において実施するバリアフリー調査と連携した歩行者移動支援に役立つデータの整備、整備したデータの公開等を実施する。(2019.07.29/2面)
■リコー/社会インフラ向け点検サービスを提供
リコーは、路面性状モニタリングシステムを用いた社会インフラ向け点検サービス「リコー 路面モニタリングサービス」の提供を始めた。同サービスは、複数台のステレオカメラを搭載した一般車両を用いて、走行しながら路面の状態を撮影し、機械学習を活用した分析を行うことで、撮影から測定結果の算出および報告書の作成までを自動で実施し、道路インフラの維持・管理を効率化するもの。道路の維持・管理の指標に利用される、「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性」の3種類のデータの自動算出を実現した。あわせて、道路維持管理の総合的な指標である「MCI(Maintenance Control Index)値」の算出も行う。これにより、網羅的かつ効率的に路面舗装状態を把握できるため、道路修繕の優先順位を効率的かつ的確に判断できるようになると期待される。(2019. 08.07/2面)
■ACTEC/NECの適応遠隔制御など5技術/遠隔操縦・作業効率向上で選定
国土交通省大臣官房技術調査課によると、一般財団法人先端建設技術センター(ACTEC)は、『遠隔操縦における作業効率向上に資する技術(無線通信技術、映像処理技術)』について5技術を選定した。今回、技術選定されたのは、NECの適応遠隔制御制御技術、及び光電製作所の2K映像リアルタイム無線伝送システム(仮)、大成建設の臨場型遠隔映像システム「T-iROBO Remote Viewer」、フジタの全周囲立体モニターシステムと高画質カメラによる遠隔操作、富士通コネクテッドテクノロジーズの360°半天球カメラを用いた無線でのリアルタイム高画質動画配信技術(仮)の5つの技術。これらの技術は、現場での技術検証段階に移り、その評価結果については、国土交通省九州地方整備局新技術活用評価会議で審査のうえ、NETIS維持管理支援サイトに公表の予定。(2019.08.07/2面)
■国土地理院/測量生産性向上の革新的技術/三次元測量高精度化等で公募
国土地理院は、測量の生産性を向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクトの一環として、測量の生産性を向上するために、「三次元測量の高精度化、効率化等を図る技術」及び「電子基準点の利用促進、機能の高度化、維持管理の効率化等を図る技術」の2つの分野で革新的技術を公募し、10月中旬には審査結果の公表を予定している。開発された三次元地図作製の効率化・高度化に関する手法に基づき、地形及び構造物を三次元地図として整備するための標準的な手順を基準化し、三次元地図の整備及び利活用促進させる。また、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」では、三次元データ作成に対して、精度確保のため多くの標定点の現地測量が必要とされており、その省力化が求められている。必要な標定点数等を少なくすることを可能とするUAVの撮影手法の確立のため開発されたUAV写真測量の効率化・高度化に関する手法は精査した上で「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」へ反映を行い、UAVを用いた測量業務の効率化を進める。(2019.08.19/2面)
■富士通研究所/河川の水位を予測できるAI技術を開発
富士通と富士通研究所は、AI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用して、過去の少ない雨量・水位データから河川の水位を精度よく予測できる技術を開発した。水害の防災・減災に向け、現場への出動など迅速な対応や、避難勧告の発令における適切な意思決定を支援する。水害対策として中小河川や新たに水位計を設置する区間では、水位予測に必要な流量観測などのデータが揃っていない、過去に蓄積された雨量・水位データが少ないなどの理由で、水位の予測が困難だった。そこで、水理学における流域からの雨水の流出を表現したタンクモデルの考え方をベースに関数を作り、過去の雨量・水位データを機械学習させることで、最適なパラメータを導き出す数理モデルを構築した。同モデルを用いて、AIが現在までの雨量・水位データと気象関連機関から各自治体へ配信される数時間先の気象(降雨予測)データをもとに、今後の水位を予測。また、河川改修などに伴う環境変化に対しても、環境変化後のわずかな雨量・水位データを用いて学習し直すことで、本モデルを短期間で最適化する。(2019.08.23/2面)
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