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■3次元解析の必要性
- 地盤の3次元変形問題には、弾塑性FEM解析が必要です。杭基礎問題、土留め工やトンネル掘削による周辺地盤への影響解析問題、斜面安定解析は、3次元的な現象であり、そのまま3次元問題として解析すべきであると考えられます。土は土質によって強度特性、変形特性が様々であり、土の応力ひずみ関係を表す構成モデルや入力パラメータの設定は解析の精度と信頼性に大きく影響します。当社の地盤解析シリーズにおいて、解析部を開発して頂いている群馬大学大学院社会環境デザイン工学専攻の鵜飼先生、蔡先生におかれましても、斜面における対策工の効果や安定性の評価など地盤の3次元解析の有効性、重要性について論文、講演会などで広く謳われています。
しかしながら、3次元解析は、コスト面、FEM解析特有の手間や難しさがあるためにあまり利用されてこなかったのが実状です。弊社では、メッシュ分割を含むモデル作成や解析結果の評価など、プリプロセッサ(データ作成)、ポストプロセッサ(結果表示)の性能に依存する部分において、より使いやすく、より理解しやすいツールを開発することに努めて参りました。GeoFEAS3D
Ver.2は、3次元のモデル表示や各ブロックの材料は境界条件の設定の操作性を大幅に高め、画面表示のわかりやすさを大きな目標として開発に取り組みました。ビジュアル的にも優れており、グルーピング機能によって効率的なモデル設定が可能となっています。解析部は大容量モデルを高速に演算するソルバーに改良し、効率的な解析が可能となりました。弊社ではプログラムの提供のみならず、セミナー、窓口サポート、技術支援サービスの充実を図り、ユーザーがプログラム操作の習熟やモデル作成上の問題解決、および実務に即した技術面に至るまで迅速に対応できるよう環境を整えております。
■特長
■解析種別
■モデル形状作成
- 交差作成
任意のソリッドとソリッド、ソリッドと面、面と面、面と線、線と線などのオブジェクト間の交差面の作成が可能です。この機能により、多くの土木構造物が複雑に立体交差している場合でもその交差面を生成できます。
グルーピング
3次元では、2次元よりオブジェクトの数が多くなり、モデルの編集が困難になります。そこで、同じ物性値を持つ複数のオブジェクトをグループ化することで、それらを一括に選択し、材料定数を割り当ることができるようにしています。
- オブジェクトの表示/非表示や制限選択
複雑な3Dモデルにおいて、作業を行いたいオブジェクトのみを表示できます。また、制限選択機能により、部材、面、ソリッドのみなどに制限して選択することができます。
LandXML形式の地形データのインポート
LandXML形式で作成された地表面や地層境界の点群の3次元座標データとその繋ぎ情報をインポート可能になりました。これにより複雑な地形情報を手入力することなく自動的に構築できます。地形情報をもとに設計対象となる構造物をモデル化することが可能です。
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▲LandXMLファイルから作成した地形イメージ画面
(Pre部)メッシュ図 |
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▲トンネル交差部の解析イメージ(Pre部)
2本のトンネルが近接するモデルイメージ |
複雑な地形やトンネル交差モデルなど3次元解析しか取り扱うことができない対象ついて、
実際の状態に即したモデル化をすることができます。 |
- 本製品のプリポストは、当社の仕様をCESAR-LCPCを開発したitech社に提示して開発を行っています。
よって、基本的な処理の流れは、GeoFEAS2Dを継承しています。
■メッシュ分割
- メッシュ分割は半自動で行います。まず、ブロックの線分を等間隔や指定した比率で分割数を指定します。線分の分割数のもとで、面を三角形や四角形、ソリッドを4面体、5面体や6面体に分割します。分割数を変更してもモデルの再メッシュ分割は簡単に行えます。
■要素ライブラリー
- 2次元解析では、地盤を面要素でモデル化していますが、3次元解析では地盤のモデル化はソリッド(立体)要素を使用します。本製品では、4面体・5面体・6面体要素を用意しています。また面要素は、板要素、シェル要素等になりますが、本プログラムでは、板要素までの対応となります
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要 素 |
構成モデル |
備考 |
点要素 |
節点集中質量 |
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線要素 |
梁1次要素、棒1次要素、軸バネ、せん断バネ |
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面要素 |
3節点3角形要素(1次)、4節点4角形要素(1次)、6節点3角形要素(2次)、
8節点4角形要素(2次) |
板要素 |
ソリッド要素 |
4節点4面体要素(1次)、10節点4面体要素(2次)、6節点5面体要素(1次)、
15節点5面体要素(2次)、8節点6面体要素(1次)、20節点6面体要素(2次) |
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ジョイント要素 |
6節点面ジョイント要素、8節点面ジョイント要素、12節点面ジョイント要素、
16節点面ジョイント要素 |
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- 構造物要素(板要素、梁要素、棒要素、軸方向バネ要素、せん断バネ要素)を定義することにより、地盤と構造物の相互作用を表現することができ、ジョイント要素による接触面指定も可能にしています。
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▲立体要素(4面体、5面体、6面体) |
■荷重条件
- GeoFEASは、全応力解析(地盤の透水現象を考慮しない解析)を行うプログラムですが、水圧を節点荷重として考慮することにより水圧の変化が地盤に及ぼす影響を検討することができます。荷重は、節点集中荷重、等分布荷重、分布荷重、体積荷重(自重、静的地震荷重)を考慮することができます。
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要 素 |
構成モデル |
対応 |
集中荷重 |
節点集中荷重 |
○ |
分布荷重 |
線形分布荷重、面分布荷重 |
○ |
自重 |
水平加速度、鉛直加速度 |
○ |
分布荷重 |
深度方向一定水平荷重、深度方向一定鉛直荷重 |
○ |
深度方向分布水平震度、深度方向分布鉛直震度 |
× |
水圧 |
節点水圧 |
○ |
■境界条件
- 単点拘束(水平ローラ、鉛直ローラ、固定、ピン)、多点拘束(MPC、ヒンジ)、強制変位を用意しています。施工ステップを勘案したステージ解析に対応しており、ステージごとに、材料定数の変更、境界条件の変更などの設定が可能です。
■構成則
- 弾塑性地盤解析は地盤の応力・変形挙動を検討する上で最も基本となる手法ですが、解析モデル、要素定義や適用構成モデルを適切に設定することが重要となるため、解析プログラムに多種多様な機能が要求されると考えられます。
GeoFEASは、特に、土の構成モデルの充実を図り、最も簡単な弾性モデルから、地盤の弾塑性挙動を表現できる弾塑性モデルまで、13種類の構成モデルを用意し、弾性モデルについては、No-Tension解析ができ、全15種類に対応しています。また、ステージ解析とせん断強度低減法といった解析機能を併用することにより、掘削・盛土、斜面安定、支持力問題など地盤に関係する幅広い問題に変形解析と安定解析を同時に実行することができます。
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モデル種類 |
構成モデル |
備 考 |
弾性モデル |
(1)線形弾性モデル |
等方性 |
(2)積層弾性モデル |
直交異方性 |
非線形弾性モデル |
(3)Duncan方式1 |
ポアソン比を定数 |
(4)Duncan方式2 |
体積係数を定義 |
(5)破壊接近度法 |
電中研方式 |
非線形モデル |
(6)Hardin-Drnevichモデル |
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(7)Ramberg-Osgoodモデル |
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(8)鵜飼・若井モデル(UW-Clay) |
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弾・完全塑性モデル |
(9)Morh-Coulomb方式 |
関連流れ則非関連流れ則 |
(10)Drucker-Prager方式 |
関連流れ則非関連流れ則 |
(11)Morh-Coulomb/Drucker-Prager方式 |
非関連流れ則 |
弾塑性モデル |
(12)Pastor-Zienkiewicz砂モデル |
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(13)Pastor-Zienkiewicz粘土モデル |
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No-Tensionモデル |
(14)線形弾性モデル |
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(15)積層弾性モデル |
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梁要素は線形弾性モデル、棒要素、バネ要素に対して線形弾性モデルとバイリニアモデルを、ジョイント要素に対して線形弾性モデルとMohr-Coulomb方式を適用することができます。
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モデル種類 |
構成モデル |
2D |
3D |
梁要素のM-φ |
線形弾性モデル |
○ |
○ |
バイリニアモデル |
× |
× |
トリリニアモデル |
× |
× |
棒要素 |
線形弾性モデル |
○ |
○ |
バイリニアモデル |
○ |
○ |
トリリニアモデル |
× |
× |
バネ要素 |
線形弾性モデル |
○ |
○ |
バイリニアモデル |
○ |
○ |
トリリニアモデル |
× |
× |
板要素 |
線形弾性モデル |
- |
○ |
ジョイント要素 |
線形弾性モデル |
○ |
○ |
Morh-Coulomb方式 |
○ |
○ |
■ポストプロセッサ
- モデル図、変形図、コンタ図、ベクトル図、部材の場合には、断面力分布図などを用意しています。解析結果は、Excelへのペースト、HTML、PDFへの出力が可能です。
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トンネル掘削解析
3次元解析結果により、奥行き方向の変状やロックボルトの
断面力分布が、よく理解できることが伺えます。 |
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大規模地形問題
トンネルが2本併設された解析モデル。コンタ図は鉛直方向
変位図です。沈下の変状を3次元的に把握できます。 |
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▲トンネル掘削問題解析結果
(GeoFEAS3DのPost部) |
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▲大規模地形問題解析結果
(GeoFEAS3DのPost部) |
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■適用範囲
- 本プログラムは、主に以下の検討に使用することができます。
- 地盤の応力・変形解析
- 斜面安定解析
- 土留め掘削解析
- シールドトンネル掘削時の周辺地盤影響解析
- NATM工法におけるトンネル施工検討解析
- 水圧の変動が地盤に及ぼす影響の検討
- 地盤と構造物の相互作用の検討
- 応答震度法
■参考文献
- Potts, D., Axelsson, K., Grande, L., Schweiger, H. and Long M. : Guidelines
for the use of advanced numerical analysis, Thomas Telford, 2002
- 鹿島建設土木設計本部編:新・土木設計の要点(5),トンネル,鹿島出版会,2003
- 田中忠治,鵜飼恵三,河邑眞,阪上最一,大津宏康:地盤の三次元弾塑性有限要素法,丸善,1996.
- Zienkiewicz, O.C., Chan, A.H.C., Pastor, M., Schrefler, B.A. and Shiomi,
S.: Computational Geomechanics with Special Reference to Earthquake Engineering,
JOHN WILEY & SONS, 1999.
- 後藤學:実践有限要素法,大変形弾塑性解析,コロナ社,1995
- O.C.ツェンキーヴィッツ,ロバート・L.テイラー,矢川元基訳:マトリックスと有限要素法[改訂新版],
科学技術出版, 1996
■地盤解析シリーズのCIM機能強化
地盤解析シリーズの各種製品は、CIM(Construction Information Modeling)機能をより一層強化し、地形データやUC-1の各種地盤関連製品とのスムーズなデータ連携にも対応しています。 |
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地形データ*.GF1ファイルを使用したデータ連携 |
弾塑性地盤解析(GeoFEAS)2D Ver.3
柔構造樋門の設計 への変位量連携
「弾塑性地盤解析(GeoFEAS2D)」で解析した地盤変形解析結果(沈下・水平変位分布)を「柔構造樋門の設計」にインポートし、函体縦方向のレベル2耐震照査が可能。
土留め工の設計 における周辺地盤影響解析地盤のみをモデル化し、壁体変位を強制変位で与えて地盤変形の計算が行える。 |
地盤の動的有効応力解析(UWLC)Ver.2
斜面の安定計算 への加速度連携
高さ30m程度以上の高盛土におけるニューマーク法の適用に際しては、すべり土塊の応答加速度波形を入力地震動とする必要がある。「地盤の動的有効応力解析(UWLC)」と「斜面の安定計算」のデータ連携により、UWLCでの2次元FEM地震応答解析から求められるすべり土塊の、応答加速度波形によるニューマーク法解析に対応。高盛土・大規模盛土安定計算レベル2地震動の安定計算が行える。
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2次元浸透流解析(VGFlow2D)Ver.2
GeoFEAS2D への水位線連携
UWLC への水位線連携
斜面の安定計算 への水位線・ポテンシャル線連携
連携ファイル(*.PRS【水位線】、*.PTN【等ポテンシャル線】)によって、飽和/不飽和浸透流FEM解析結果の反映が可能。 |
3次元浸透流解析(VGFlow3D)
LEM3D への水位面連携
「3次元浸透流解析(VGFlow3D)」の解析結果、または、他社製品の解析結果を定型テキストファイルとして「3次元地すべり斜面安定解析(LEM3D)」に取り込むことで、地すべり解析に必要な地下水面を生成し、これを用いた3次元斜面安定解析が可能。
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■動作環境
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OS |
Windows XP / Vista / 7 / 8 |
CPU |
PentiumIII 800MHz以上(推奨Pentium IV 3.0GHz以上) |
必要メモリ(OSも含む) |
512MB以上推奨 |
必要ディスク容量 |
約100MB以上必要(インストール時) 計算実行時には、解析モデルの大きさ、出力データの種類によって 約500MB〜数GB
程度のハードディスク空き容量が必要です。 |
ディスプレイ(画面解像度) |
1024×768以上推奨 フォントサイズは[小さいフォント]のみをサポートしています。 |
入力データ拡張子 |
Pre部入力データ(GF3)、解析用データ(hms、sta)、要素シミュレーション(int) |
ファイル出力 |
解析用データ(hms、sta)、Post部結果データ(rsv4) |
他製品との連動 |
<読込> LandXML地形データファイル DXFファイル 頂点座標(XML形式) |
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