Q1. |
本プログラムの概要、制限事項。 |
A1. |
(1) 主な参考文献
『道路土工 軟弱地盤対策工指針 昭和61年11月』(社)日本道路協会
(以下S61「軟弱地盤対策工指針」と略)
『設計要領 第1集 土工』(昭和58年4月)日本道路公団
(以下S58「設計要領 第1集 土工」と略)
『道路橋示方書・同解説 W下部構造編 平成8年12月』
(社)日本道路協会(以下H8道示「下部構造編」と略)
『土質工学ハンドブック』(昭和57年11月)(社)土質学会
(以下S57「土質工学ハンドブック」と略)
(2) 土質データ
- 地層数最大数:20層
- 各層毎に圧密先行荷重qの入力可能。
- 各層毎に排水条件:両面排水、片面排水設定可能。
- 地表面の傾斜、折れ線が可能
- 中間層の折れ線可能。
(3) 荷重データ
- 無限長の集中荷重、無限長の線荷重、無限長の帯状荷重。
ブーシネスクの式(土質工学ハンドブック)もしくは道示下部構造編の式で計算。
(4) 沈下量算出点:最大10点
(5) 沈下量の計算
- Δe法、mv法、Cc法による沈下量の計算
- 砂層の沈下量:k.Houghの図表から計算。
(全層砂層でも計算可能。)
「計算設定」で砂層の沈下量を無視することも可能。
- 圧密先行荷重qの扱い
本プログラムでは計算法に関わらず
「P0+ΔP≦P’」(P’=P0もしくはq)ならばS=0.0としている。
ここに
P0:有効土被り圧
ΔP:鉛直増加応力
S:沈下量
(6) 沈下時間の計算
- 一括施工もしくは段階施工(最大5)の計算。
一括施工の場合、土工工期Tの入力
- 換算層厚法、もしくは三笠の方法。
- 無処理
- 圧密促進工法としてサンドドレーン、パックドレーン工法の他、任意のバーチカルドレーン工法(排水距離deを算出する係数を任意に設定。)の選択が可能。
- 沈下時間曲線の描画
画面上で圧密層、砂層の色分け可能
(7) 放置期間に対する残留沈下量の計算
放置期間<土工期間でも計算可能。
(8) 残留沈下量に対するの放置時間の計算 |
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Q2. |
放置時間に対する残留沈下量の計算の結果画面において、時間係数(Tv)の数値が赤で表示されるのは何故か。 |
A2. |
時間係数Tvが最小値(-999.999)から最大値(999.999)を超えるているためです。 |
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Q3. |
データ入力において、地下水より深い位置の地層の「有効重量γ」はどのように考えて値を入力すれば良いのか。 |
A3. |
水位下については、水中の単位重量を入力してください。
つまり、水位を地層線で分けてください。 |
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Q4. |
放置期間に対する残留沈下量の検討で、放置期間はどのように考えれば良いのか。
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A4. |
放置期間は土工工期の初めからと考えます。土工工期が100日であれば、その初めの日(1日目)からの期間を放置期間として考えます。また段階施工のときには、施工段階@が施工されてからの日数になります。(施工段階@が施工されてから施工段階Aが施工されるまでの放置期間t1を含みます。) |
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Q5. |
沈下時間の計算結果に於いて、画面上に表示されている層番号T又はUの表示は何を意味しているのですか? |
A5. |
層番号は、連続した両面排水層または片面排水層を単一の圧密層に区分して番号をつけています。 |
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Q6. |
砂層の即時沈下計算を行わないようにするにはどのように入力すれば宜しいのでしょうか? |
A6. |
沈下量の計算の計算方法の設定において、砂層の沈下量考慮を「しない」にしてください。 |
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Q7. |
先行圧密応力は、有効土被り圧でいいのか? |
A7. |
先行圧密応力qo(kN/u)については、地質調査結果から得られる先行圧密応力qoを入力するものとしています。
ここでいう地質調査結果とは、供試体をサンプリングした位置での値ということであり、その位置より上の有効土被り圧(Po)もqoの中に加えてあるものと考えています。
此は必ずしもその地盤の状態が、対象土層に対して有効な先行圧密応力でない場合があるからです(切土され上載土を除去されている場合など)。その為下記の条件下と考えています。
qo = q‘ + Po
ここに、
qo :本プログラムで入力する先行圧密応力
q‘ :有効土被り圧以外の先行圧密応力
Po :各地層の中間点までの有効土被り圧(Σγh)
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Q8. |
地表面形状が複雑な形状をするような入力での地層入力の際の留意点は何か? |
A8. |
地層モデルの取り方で複雑な形状であっても再現することが可能です。
例えば、水路を埋めるような場合、モデルの両端がy=0〜y=0の座標となりますが、その中間点(水路の部分)をへこませてモデル設定し、水路を埋めてその下の沈下量を計算する様な際にも、
(1) 層/土質データ入力で 中間点を作成していただく
(2) 地層のブロック化をして細かい形状を再現する
により可能です。複雑な形状も同じようにお考え下さい。 |
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Q9. |
圧密曲線入力時に作用力P=0の入力が出来ないが? |
A9. |
e−logp曲線は、片対数グラフにより圧密曲線を評価します。
この際、関数Logは 0についての計算できません。
その為初期応力とお考えになるP=0の入力は出来ません。
圧密試験結果からe-Logp曲線を入力される際には初期応力p0と初期間隙比e0と載荷荷重による間隙比変化を考慮し微少応力時として(p=0.001等)の間隙比を外挿し入力下さい。 |
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Q10. |
図1の様な鉛直応力を照査したいのですが式はどのようになるのでしょうか? |
A10. |
図1の様な場合の計算は、
σz=P/π・((α2−α1)・x/B − (sin2・α1)/2)
で行っています。
図1
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Q11. |
沈下量の計算における最大値Δe法が、沈下時間の計算におけるSgを超える場合があるが? |
A11. |
沈下量の計算においてΔe法で表示している値は、沈下曲線等分割数(沈下量計算方法の設定において設定された)で分割された地点での最大値を表示しています。
また、沈下量算出点の最大値は着目点での最大値を表示していますので両者は異なることがあります。
沈下時間のSgの値に関しても、着目点の合計値になりますので、前述の分割された地点での最大値と異なります。 |
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Q12. |
データ入力で試験値(e−logp)を入力すれば内部計算で初期間隙比(eo)を算出するか? |
A12. |
粘性土層に対しての初期間隙比は、入力いただくe−logp曲線より算出しています。
また砂層の場合はB.K.Houghの図表より算出いたしますので入力されたe−logp曲線は使用しません。
入力いただく「層/土質データ入力」において「層区分」で選択される材料により支配されますのでご注意下さい。
即ちシルトなど設計上、設計者がどちらの性質であるかと判断された場合にはこの設定により判断され設計することになります。 |
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Q13. |
荷重データ入力項目の無限長帯荷重の分散角と分布長(m)とは何か? |
A13. |
当該プログラムでは、一般に知られる「Boussinesq式」を利用し、等分布荷重による垂直応力の概算を行います。
分散角はこの図の角度θを表しており、そのθは一般の参考書籍などのご確認をお奨めいたしますが、一般には30度くらいと考えられており、計算に便利なようにtanθ=1/2程度にとると考えられる場合もあるようです。
本プログラムでは、設計者の任意な角度に設定できるようにしております。
また、載荷長mは、載荷する荷重の開始端のX座標から画面右方向へ載荷する幅を何mとするかを入力するものです。
設計時の深さzでの垂直応力σなど詳しい計算式については、製品helpの Boussinesq式による鉛直増加応力をご確認下さい。
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Q14. |
圧密層の排水条件を片面排水にした場合と両面排水にした場合とでは,圧密時間が著しく異なることがあるか? |
A14. |
入力される土質諸元により大きく差が生じます。
透水係数1つでその圧密速度は大きく異なりますが、両面排水と片面排水では、排水距離が両面排水とした場合、片面の1/2倍となるため時間的効果は圧密時間にも大きな影響を及ぼします。
製品helpの圧密時間の推定式 の各計算式を確認下さい。
特に、各算定式の最大排水距離に注意して下さい。
距離の2乗の関数になるため、その時間差は大きくなります。 |
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Q15. |
入力時の座標の符号は正負どう考えるか? |
A15. |
本製品ではX座標は画面左から右が正、Y座標は上方向がマイナスで下方向がプラスになっております。
地表面を基準として、各地層の座標を深度方向へ正として入力下さい。
ボーリングデータなどを参考に深度方向へ負で入力されますと、エラーメッセージで「地層が隣接していません」となる場合が御座いますのでご注意下さい。 |
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Q16. |
沈下時間の計算結果と、残留沈下量計算における全沈下量に差が生じるのはなぜか? |
A16. |
設計対象層に砂層がある場合には、砂層は即時沈下により沈下を生じます。
その為、残留沈下量計算における全沈下量にはこの即時沈下量を含まない値を表示します。
各層の沈下量を確認いただき砂層沈下量を確認下さい。 |
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Q17. |
段階施工の載荷重にプレロードを考慮した際、荷重除去の計算はできますか? |
A17. |
現仕様では、撤去荷重による挙動の解析は行うことが出来ません。
あくまで沈下計算を対象にしているため、沈下計算データを利用いただき別途検討いただきますよう御願いいたします。 |
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Q18. |
水位の考慮はどうするのか? |
A18. |
本製品は水位の入力項目は準備しておりません。
各層の力学諸元をもって圧密解析を行いますので、水位下水位上についての考慮は土質諸元の入力により考慮いただきますよう御願いいたします。 |
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Q19. |
沈下時間計算時に排水促進工法の考慮非考慮により、結果に出力される圧密層の総数が変わるがなぜか? |
A19. |
本プログラムでは、無処理の場合は排水方向が鉛直方向のみのため、連続する圧密層を1つの層に換算して計算しております。
排水促進工法としてドレーン工法を用いた場合は排水方向を水平方向のみとし、鉛直方向への排水は考慮いたしていないため、連続する圧密層を1層に換算しておりません。
したがって無処理の場合は排水条件に応じて連続する層を1つの層に換算して計算を行うため、その換算層分の沈下時間が算出されます。
一方、サンドドレーン工法の場合は、換算しないため沈下対象層の沈下時間が算出されてることになります。 |
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Q20. |
地中応力は、オスターバーグ法で設計できるか? |
A20. |
残念ながら一般に言われる「オスターバーグの図表による台形分布荷重における土中応力の算出法」はサポートしておりません。この図表は、アースダム河川・道路の堤防や鉄道盛り土のような台形荷重によって地盤内に発生する応力を算出する際に便利な為利用されますが、本プログラムでは、集中荷重や等載荷台形荷重以外にも対応出来るようブーシネスク式から誘導される「垂直応力の計算方法」を採用しております。
詳しくは製品helpの「Boussinesq式による鉛直増加応力」に記載しておりますので、此方をご確認下さい。 |
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Q21. |
荷重を載荷していない着目点においても沈下が生じるが、これはなぜか? |
A21. |
ご存じのように地中応力は直上に上載荷重がない場合でも周辺地盤上の荷重により影響をうけ地中応力が増加します。
応力球根をお考えいただくと良いと存じますが、上載荷重の影響範囲では、応力増加による地盤沈下が生じます。
本プログラムでは、地表面に鉛直に荷重が作用する場合の地盤内における鉛直応力を求める式としてBoussinesqの式を採用しています。
詳しくは、製品Helpの「計算理論及び照査の方法」−「沈下量の推定式」−「Boussinesq式による鉛直増加応力」をご参照ください。 |
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Q22. |
盛土の除去設計はできるのか? |
A22. |
残念ながら、本製品では荷重除去の設計には対応しておりません。
これは、本製品ではリバウンドを考慮した(荷重除去による対象層の膨張)設計をサポートしていない為です。
この為、通常のサーチャージ工法(プレロード工法)の荷重除去による設計は、直接は出来ませんのでご注意ください。
設計手段としては、載荷荷重に負の荷重を入力するのではなく、施工段階を分けて、設計していただくなどの設計者の判断が必要となります。
設計方法としては、載荷盛り土の終了時点における圧密計算結果を利用していただき、次にその時点での層厚と各諸元データを入力した設計データを再入力し、最後にそのデータに対して構造物と活荷重を載荷設計する方法などが考えられます。
しかし、粘性土の特性は、載荷荷重により圧密降伏応力を越える状況となった場合は、正規圧密状態へ移行し圧密が開始され、その荷重により圧密が収束すれば同じ荷重では沈下は生じません。その途中で荷重を除去した場合、除去荷重が圧密降伏応力を越えており、かつ圧密が収束していれば、それ以上の沈下は生じないことになります。
一方、沈下が収束していない際には、除荷後再載荷によって沈下を生じる場合があり、この様な場合の圧密降伏応力は、設計者が圧密の応力度などから別途算出する必用が有ります。
一般に言う「プレロード工法」は、この粘性土の特性を利用し、予め構造物荷重と等価、若しくはそれ以上の荷重を載荷することにより、沈下を予め生じさせ、実構造物構築後の沈下を抑止する考え方です。
従って、圧密は増加荷重により計算されるものですが、除荷後に載荷される総荷重がこれを越えるもので有れば、盛り土荷重は設計に影響が生じることになります。 |
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Q23. |
粘土の即時沈下は計算できるか? |
A23. |
残念ながら入力諸元による圧密計算のみをサポートしており、即時沈下は計算しておりません。 |
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Q24. |
沈下量算定点によって、排水条件を変えたい場合にはどうすればいいのか? |
A24. |
例えば、以下の図のような砂層に挟在される粘土層において、沈下量算出点毎に排水条件を変えようとする設計はよくあると思いますが、この場合本製品では残念がら沈下点毎の排水条件を設定することは出来ません。
地層毎の設定としているため、別ファイルとして沈下算出点毎にデータを作成し、それぞれの排水条件を変えて御利用いただく必要があります。
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Q25. |
層/土質データ入力部分の3つの曲線入力のPは、圧密圧力か平均圧密圧力のいずれか? |
A25. |
一般的にe-logp曲線におけるpは圧密荷重を採用し、物理試験で圧密載荷試験を行った結果として得られた結果を入力頂ければよいと存じます。
一方、mv−p曲線は、平均圧密荷重と体積圧縮係数との関係図ですので平均圧密荷重を入力していただき作成して下さい。
また、Cvはmvの関数としても表される圧密係数ですので、mvと同様にお考え下さい。 |
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Q26. |
地層を水平方向に鉛直に二分した場合、境界点に着目点を設けても良いか? |
A26. |
以下の様な図の場合、沈下着目点については層境界をさけて設定下さい。
本製品は、該当地層が明確な場合に計算を行うことが可能です。
恐れ入りますが、必要な地層側に沈下量算出点を設定して検討を行なって下さい。
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Q27. |
結果確認の後、間隙比が初期間隙比よりも大きくなったが? |
A27. |
有効土被り圧P0と先行圧密応力q0のうち、大きい方の値に対する間隙比が初期間隙比(e0)、P0+ΔPに対する間隙比が、圧密後の間隙比(e1)となります。
ここで、
P0 :有効土かぶり圧
q0 :先行圧密応力
ΔP:鉛直増加応力
設計対象層に入力されているq0がP0よりも大きい場合には、初期間隙比はq0からe-logP曲線より求めます。圧密後の間隙比は、P0+ΔPからe-logP曲線より求めております。
ここで、q0>p0+ΔPとなっている場合には、圧密後の間隙比が初期間隙比よりも大きくなることとなり、この現象が生じます。 |