株式会社 フォーラムエイト 代表取締役社長
フォーラムエイト Shade3D開発グループ 主事補
講演内容
Shade3D 製品プロフィール
統合型3DCG制作ソフト「Shade3D」の概要に触れた後、現行のVer.22のレンダリング(GPUレイトレーシング、AIノイズ除去)、図面(図面表示モード、陰線表示モード、図面の画像の保存・印刷)、モデリング(スイープ曲面、自由曲面の「端を閉じる」)、ファイル入出力(DXF入力強化、FBX2020のインポート対応)―などの新機能をデモを交えて解説。また、「Shade3D BIM/CIM設計照査ツール Ver.22」のIFCインポート、IFCエクスポート、IFC属性情報表示、IFC属性情報編集、BIM/CIM設計照査ツール ― などの新機能、「Shade3DブロックUIプログラミングツール Ver.22」のサンプル教材追加にも言及。さらに「Shade3D公式ガイドブック2022 for ビギナーズ」の出版、今後の各製品の開発計画へと話を展開。併せて、Shade3Dのデータ活用も可能な国産クロスプラットフォーム3Dゲームエンジン「スイート千鳥エンジン」の特徴や新機能について紹介しました。
「第9回 学生クラウドプログラミングワールドカップ(CPWC)」は、Day2午前の部後半に公開最終審査が、午後の部後半にパトリック・ハーラン氏もプレゼンターとして加わり、その結果発表と表彰式が行われました。CPWCは、開発キットによるクラウドアプリのプログラミング技術を競うもので、4月2日~6月30日にアジアを中心とする国内外から多数がエントリー。予選選考会(7月6日)を通過したチームが応募(9月25日~10月2日)した作品の中から審査(10月8日~14日)を経て8作品をノミネート(10月15日)。Day2(11月18日)午前の部後半に各チームが1分間のプレゼンテーションを行い、それに基づいて審査委員長の福田知弘・大阪大学大学院工学研究科准教授、審査員の佐藤誠・東京工業大学名誉教授、楢原太郎・ニュージャージー工科大学建築デザイン学部准教授およびペンクレアシュ・ヨアン・フォーラムエイト執行役員開発シニアマネージャの4氏による公開最終審査が実施されています。
その結果、ワールドカップ賞はSC-Team(上海大学:中国)による「Driver Emotion and Abnormal Behavior Detection and Warning System」。これは、走行中のドライバーの感情や異常行動を検出し、モバイルWeb端末やUC-win/Roadにリアルタイムにフィードバック。ドライバーの良好な運転状態を維持するため、適宜警告を発したり、気分を和らげたりするプラグイン。ドライバーにとって感情をコントロールすることは非常に重要。ディープラーニングやカメラを使い表情を読み取るなど総合的なアプローチをしていて、システムの開発がパーフェクトだった(福田氏)と評価されました。
審査員特別賞(福田氏選考)はTRANSer(北京航空航天大学:中国)の「Design of Interactive Simulation System for Autopilot Vehicle and Pedestrian」が、審査員特別賞(佐藤氏選考)はSMTH_2021(清華大学:中国)の「Study on the chara- cteristic laws of urban road traffic flow under rainstorm and waterlogging」が、審査員特別賞(楢原氏選考)はHAVI(国民大学校:韓国)の「DeepPAVE: Deep learning-based Personalized Auto-nomous VehiclE」が、審査員特別賞(ヨアン氏選考)はHighways(上海大学:中国)の「Fatigue Driving Assistance Monitoring System」がそれぞれ受賞しています。
「第11回 学生BIM & VRデザインコンテスト オンクラウド(VDWC)」はCPWCに続き、Day2午前の部後半に公開最終審査が、午後の部後半にその結果発表と表彰式が行われました。VDWCは、先進の建築・土木デザインをクラウドで競うもので、今回は「プーケット・スマート・リゾートに挑戦!」を課題に設定。CPWCと同じく4月2日~6月30日に国内外から多数がエントリー。7月6日の予選選考会を通過したチームが9月25日~10月2日に応募した作品の中から審査(10月8日~14日)を経て、10月15日に7作品をノミネート。Day2午前の部後半に各チームが1分間プレゼンテーションをした後、ローカルアドバイザーのワライポン・ナカパン・バンコク Parabolab創設者の協力の下、審査委員長の池田靖史・慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、審査員のコスタス・テルジディス・同済大学設計創意学院教授、皆川勝・東京都市大学名誉教授およびC・デイビッド・ツェン・台湾国立交通大学教授の4氏による公開最終審査が行われました。
その結果、ワールドカップ賞に輝いたのはBurbur Chacha(国立高雄大学:台湾)の「Bubble Stream」。これは、プーケットが抱える様々な問題の分析を基に、AI技術と革新的なバブルシステムで住民の生活と融合する、次世代感覚のビーチリゾート都市を実現しようというもの。優れた作品がひしめく中で、新型コロナ禍後のニーズを見据えた、バブルシステムにより観光客の安心を確保しようという発想に注目。この新しい状況をマイナスに捉えるのではなくポジティブに考えようという態度が好感された(池田氏)と評します。
準グランプリ(優秀賞)は2作品。一つは、NERVLAND(国立高雄大学:台湾)の「NEVERLAND」。ニューラルネットワークの概念に基づく情報システムにより構成。効率的かつ豊かな旅行体験を得られるべく観光客の好みに合わせてスマートロボットを配置し、観光客の脳内情報を読み取ってパーソナライズされた視覚体験を提供するもの。もう一つは、Greenhorns(フモウビ工科大学:ミャンマー)の「Pearl Smart Resort」。ゼロエミッションやリサイクル、自然保護など健康的かつ環境資源重視の持続可能なリゾートを提案しています。
審査員特別賞(池田氏選考)はLittle Mermaid(国立高雄大学:台湾)の「ARK No.33」が、審査員特別賞(皆川氏選考)はWave Blade(交通運輸大学:ベトナム)の「The ECO-SMART Resort」が、審査員特別賞(テルジディス氏選考)はNEWEST(交通運輸大学:ベトナム)の「An enchanting evergreen wonderland」が、審査員特別賞(ツェン氏選考)はU crew(日本大学)の「Energy Circulation City」がそれぞれ受賞しました。
大宮アルディージャVENTUS総監督 / 十文字学園女子大学副学長 / 成蹊スポーツ大学特別招聘教授 / 元サッカー日本女子代表監督 / 元レジリエンスジャパン推進協議会理事
講演内容
講師プロフィール
Day2午後の部前半は、「スペシャルセッション」として大宮アルディージャVENTUS総監督(十文字学園女子大学副学長)の佐々木則夫氏(肩書は講演当時)が「目標達成へのプロセス ~チームワークとコミュニケーション~」と題し特別講演。まず、氏が監督を務めたサッカー日本女子代表チーム「なでしこジャパン」の2011年FIFA女子W杯での優勝シーンをビデオで紹介後、それを含めた世界3大会での決勝進出の要因を検証。2008年北京五輪を機に2011年W杯優勝を目標にすえ、体格が最小だった日本選手が「世界のなでしこになる」ために掲げた<なでしこビジョン>を紹介。ひたむき・芯が強い・明るい・礼儀正しい、という「なでしこらしさ」が目配り気配りにもつながったとし、またチームの統一目標、戦術戦略の徹底、女性の特徴を活かす、集団的知性、スタッフとの連携とプレーヤーズファーストといった要因を分析。その上で、リーダーの要素について1.リーダー(掌握力)、2.マネージメント(計画、企画力)、3.サッカー(専門性、観察力)をキーワードに整理。また、人事権をもつ監督の心得として1.責任2.情熱3.誠実さ 4.忍耐5.論理的分析志向6.適応能力7.勇気8.知識9.謙虚10.パーソナリティ11.コミュニケーション(説明スキルと問答)の各項目を自己チェックするという。現在は日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)設立に尽力し、世界一を目指すと表明。続く当社社長・伊藤との対談では、会社組織でのリーダーの振る舞い方についても助言しました。
最先端表現技術利用推進協会 会長
プロフィール
羽倉賞について
今回で7回目を迎える「最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション」。冒頭ではまず、最先端表現技術利用推進協会(表技協)会長の長谷川章氏による挨拶とフォーラムエイト協賛デジタル掛け軸プロジェクト「DKFORUM8」など、表技協の活動を紹介。続いて、第5回となる羽倉賞の少々式が開催されました。今回も数多くの作品応募があり、10月に実施された審査の結果、羽倉賞1作品/企業賞(フォーラムエイト国土強靭化賞)1作品/優秀賞2作品および奨励賞4作品の、合計8作品が選出されています。
応募作品は映像を中心として、サウンドを扱った作品も昨年に続き登場。さらに今年は味覚を用いたユニークなシステムも紹介され、表現技術の可能性の広がりが示されました。
企業賞を受賞したNHK放送技術研究所 空間表現メディア研究部の「Before/After VR」は、VRゴーグル用とタブレット用2種類のアプリにより、同じ場所で異なる時期に撮影した2つの360度映像を切り替えながら視聴できる技術。災害直後の映像と復興中の映像を比較することで、その場にいるような臨場感を伴いながら災害の凄惨さや復興の状況を能動的に体験できることから、「フォーラムエイト国土強靭化賞」として表彰されました。
羽倉賞に輝いた国立研究開発法人 理化学研究所 革新知能統合研究センター音楽情報知能チームの「Sound Scope Phone」は、スマートフォンにインストールされたアプリを起動して再生すると、ヘッドフォンから聞こえる音響空間上にユーザの周囲360度を取り囲むように10種の楽器音が出現するもの。カメラによる画像のAI処理とデバイスの加速度・ジャイロセンサの情報を統合することで検出されるの実空間上での頭部方向に合わせて3次元空間音響を構成し提示することで、あたかも周囲を演奏者に取り囲まれたかのような音楽体験を実現します。
また、今回優秀賞となった「デジタルカメン」の公立はこだて未来大学 平田 竹川研究室は、顔の表情をアバターとしてリアルタイムに反映し表示するデジタル仮面を実際に装着して壇上に上がり、表彰式を盛り上げました。
オンラインで進行役を務める「World16」代表・小林佳弘氏(アリゾナ州立大学/FORUM8 AZ代表)がまず、世界各国の建築や土木、都市計画などの分野でVRを駆使する大学研究者が参加してスタートしたWorld16プロジェクトの概要や使命を概説。その一環として毎年開かれるサマー・ワークショップと国際VRシンポジウムを通じスキルを蓄積してきた経緯を振り返りつつ、今回は新型コロナ禍への対応として前年に続き同ワークショップをオンラインで実施、その中から今回シンポジウムにおける10プロジェクトの発表に繋がっていることを紹介しました。
続いて、World16メンバーがやはりオンラインにより、それぞれ今回取り組んだプロジェクトの研究成果を発表しました。
イントロダクション・進行役
アリゾナ州立大学
VR空間と同じオブジェクトを3Dプリント等で作成し、VR上のモデルの属性編集や匂い、表面テクスチャなどをリアルタイムに発生させ、実空間とシームレスに操作することを考案。一例として、恐竜の骨を基にその成長過程をモデル化するプロジェクトを紹介しました。
「UC-win/Roadでの点群を用いた体積・表面計算」として、遺跡調査プロジェクトで点群データを収集解析し、距離、面積、体積などを計測するツールの開発を提案。遺跡の建物を再現し、UC-win/Roadの4Dシミュレーション機能と連携する、その具体的な手順について動画を交え説明しました。
「位置情報つき『いいね』のすすめ」と題し、都市や建物に対して複数ユーザーが位置情報と結び付けて「いいね」を登録し、そのヒートマップを地図上に表示。F8VPSとも連携するAI研究用学習データ収集ツールについて発表。主観的評価(建物に付けられた「いいね」の量)を定量化/数値化しました。
マルチメディア芸術研究にVR-NEXTを活用し、複数PCやプロジェクタ、音響などのシステムをリアルタイム連携できるメディアサーバの開発を提案。AIと機械学習を利用する、目に見える部分と隠れた部分の表現方法にも言及します。
アイトラッキングを活用し、VR空間内にオブジェクトを作成・編集するなど、視線コントロールだけで複雑なデザインを実現できるインターフェイスを提案。人々が市街地でどの建物のどの部分をどれくらい見ているかを表すヒートマップなどについて説明しました。
「よりリアルな出会いを実現するVRオンラインプラットフォーム」。空間のリアルタイム共有を図るため、点群データを活用。F8VPSと連携し、VR空間にダイレクトにスケッチしたり、オブジェクトを作成する機能を開発。リモート授業などのオンライン活動を発展させる研究にも触れます。
小学生へのプログラミング学習とAI技術を通したものづくり教育について提案。UC-win/Road内で簡単なスクリプト言語によりミニゲーム迷路のランダム生成が可能とし、子どもたちにとって魅力的な教育ツールになるのではとの観点から解説しました。
建設工学へのBIM利用にフォーカス。パイプなどの地下設備に対して、図面やデータベースに加え、VRの簡易作成・更新とそれを活用した可視化により管理するシステムを紹介。交差点地下で複数のパイプラインが接続する「スマートシティのモデル化」の一端を例示しました。
「複合現実を利用する建物改修」を発表。UC-win/Roadの4Dシミュレーション機能を活用し、住宅の省エネルギー化に向けた施工プロセスの可視化に着目。大学教育でも利用できる学習ツールの開発に取り組む中、既存住宅のヒートロスを可視化し改修したシミュレーション例を紹介しました。
照明シミュレーションのためのIESファイルインポート機能を提案するとともに、室外ライトの種類による夜間照明の変化をインタラクティブに検証。道路に落ちる影の問題を見つけて改善に繋げるなど、計画提案への活用可能性を示しました。
フォーラムエイト執行役員 開発シニアマネージャ
講演内容
World16各メンバーによる発表を受け、フォーラムエイト執行役員開発シニアマネージャのペンクレアシュ・ヨアンがメンバーによる各種VR活用提案に謝意を述べた後、今後の製品開発に繋げていく上で、それら知見の共有の重要性を指摘。また、VR-NEXTなど自社技術の開発方向にも触れつつ、World16の取り組みに有用なコンセプトやプラットフォームの提供などを通じ、今後もメンバーとの連携強化を図っていきたい考えに言及します。
Day2午後の部の最後は、「第7回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の表彰式が行われました。これは、小・中学生を対象とし冬休み・春休み・夏休みに東京本社と全国9カ所のセミナールームをTV会議で繋ぎ、オンラインセミナーも採り入れたハイブリッド開催による「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」を通じて作成されたVR作品を紹介・表彰するもの。今回は、受賞者が会場あるいはオンラインにて参加する形でゴールドプライズ6作品、シルバープライズ5作品、ブロンズプライズ3作品を表彰。その大胆かつユニークな発想がパックンらの巧みな話術で盛り上げられ、心和むひと時が演出されました。