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構造橋梁グループの業務と 最近の傾向 同社に東京本社が開設されたのは2015年で、今年が5年目。丸山課長が入社したのはそれから2年後の2017年です。 「東京本社にはそれまで橋梁の設計部門はなく、(自身の)入社後に立ち上げられてきた形です」 東京本社は現在、首都圏事業推進部と首都圏技術部が置かれ、そのうち後者は構造橋梁グループと都市配水グループから構成。今回お話を伺った構造橋梁グループでは、道路/橋梁事業分野の構造物設計を担当。具体的にはその、1)橋梁予備・詳細設計をメインに、2)数値解析(2次元FEM、3次元FEM)、3)コンクリートの温度応力解析、4)施工計画、仮設構造物設計、5)地下構造物設計、6)大型水路設計、および7)各種補強土・擁壁設計 ― といった広範な設計業務に携わっています。同氏はその中で、業務全体の進捗状況の確認、およびプロジェクトの進め方の方針確認を主に担っています。 同グループでは近年、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)向け橋梁の耐震補強や床版橋の改良設計など改築に関わる業務が次第に増加。それらのプロジェクトを通じ、良い成績評定を得られるようになってきたことで、プラスの相乗効果も生まれてきています。 そうした一環として最近取り組まれた、高速道路の延長3kmにわたる高架橋の耐震補強設計のプロジェクトでは、交差する道路や歩道、線路、高架橋下の空間利用など多様な要素が多数交錯。そのため、類似した条件の箇所をある程度適正にグループ化して検討するなどの工夫により、作業に要する時間やコストを抑えつつ最善の補強に繋げている、と言います。 構造設計系業務の拡大、進むUC-1各種設計ソフトやESの利用 「UC-1の各種設計ソフトの導入は、ある意味、働き方改革にも通じるのかなと思います」 つまり、電卓を使い紙に書くなどの手計算も必要に応じて行うとはいえ、専用の設計ソフトを使えばトータル的に作業の大幅な効率化が可能。それで構造計算などでは以前からそれらソフトを用いるアプローチが積極的に取られてきました。実は、東京本社でUC-1の各種設計ソフトが導入され始めるきっかけになったのは、それまでさほど多くなかった構造設計系の業務を戦略的に拡大しようと努めてきたことが大きい、と丸山課長は振り返ります。また、そうした取り組みは、氏を含め関連分野の業務に経験のある人材確保に力が入れられてきた近年の流れとも連動しています。 「Engineer's Studio®(導入の背景)も同様です」 ただ、Engineer's Studio®の場合、それに代えて手計算でというのは無理で、実際の挙動をどう評価するかというのはこのような機械的なものでなければ難しい、と同氏は説明。特に、強度の大きな地震が以前より頻発するようになってきた中で、従来通りの計算により余裕をたっぷり考慮していては過大な補強になりがち。それをより厳密に現実に即した補強にする狙いも意図されました。加えて、耐震補強を比較的しやすい構造物の補強工法が概ね確立されてきたのに対し、対策が待たれているケースは複雑な条件のものが大半。それらを忠実に再現するためにはより複雑なモデルに基づく検討が必要なことなどもあってEngineer's Studio®が多用されてきています。 そのような具体例として同氏は自ら関わった、1)地震時安定性を橋台固定部に依存する構造のロッキング橋脚を有する橋梁における耐震補強に際し、橋梁の特徴を踏まえ3次元立体モデルの動的非線形解析を行った業務、2)建設から55年経過したランガー補剛形式の水管橋の下部工に対し動的非線形解析で耐震性照査を行った業務、などに触れます。 建設ICTマスター講座を通じ、VR活用の可能性に着目 フォーラムエイトの各種ソフトの利用と並行し、同社では現在3名が当社の「建設ICTマスター養成講座」を受講しています。 同講座は、2019年度~2020年度の厚生労働省委託事業「教育訓練プログラム開発事業」に採択され、フォーラムエイトが開発した「CIM技術者育成およびi-Construction推進を目的としたVRコンテンツ活用教育訓練プログラム」を実施するもの。丸山課長は、CIMやi-Constructionなど国土交通省が推進する施策の先行き、あるいは先進のICT(情報通信技術)の最新動向などがどうなっているのか知りたかった、と受講の動機について述べます。 講座自体は現在もなお進行中ですが、同氏はこれまでの講座を通じ、VRの活用可能性を実感。例えば、既設橋の補強で「こういう形のものが橋に付きます」というと、「付いたら橋はどう見えるのか」「信号は見えるのか」「信号が見えにくくなるから信号を移設した方が良いのでは」などといったやり取りが容易に可視化。従来の2次元の紙の図面と違い、設計図面に不慣れであっても完成形をイメージできるため、発注者との話し合いはもちろん、住民説明などでのコミュニケーションツールとしても大きなメリットが窺われる、としています。 さらに丸山氏はフォーラムエイトの3DリアルタイムVR「UC-win/Road」の導入を視野に、全橋架け替えの施工計画に当たり、既設橋を壊して新橋が供用されるまでの間に道路がどう振られ、どのような新設橋梁が出来るのか、といったことを可視化して示せるようなものを作っていきたい、と次なる展開の一端を描きます。
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執筆:池野隆 (Up&Coming '20 秋の号掲載) |
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