「私が入社した1990年代当初、デザインツールは基本的にアナログでしたが、Macintoshの導入やDTPの浸透など時代に沿ったデジタル化にいちはやく対応していく中で、手描きパースの効率化を目的として1997年にはじめてShade Professionalを導入しました」。佐々木氏は、Shade3Dとの出会いをこのように振り返ります。
広告販促業界には、商品が店頭に出るまでの準備期間の短さという共通の課題があります。とりわけ店頭販促は、性質上その間際に決まってくるものであるため、ディスプレイや什器などの制作に取り組む時間は非常に短く、限られた時間の中でクライアントと適切なコミュニケーションを行う必要があるといいます。「試作を用意してお客様にご覧いただけるのが一度きりであったり、パースで決断していただかなくてはらない場面がある中で、3DCGの活用により手描きスケッチ・パース表現の曖昧さを是正することがShade3D導入の動機でした」(佐々木氏)。
同様の価格帯で複数のアプリケーションを比較した結果、レンダリングの美しさが際立っていること、そして国産3DCGソフトとしての扱いやすさが決め手となり、実際に使ってみたところ大きな効果を実感して、徐々に浸透を図ることに。その後、3DCGの活用に慣れてきた2011年頃には、次のステップとして高解像度なレンダリングや品質の向上というニーズが出現したことから、Shade3Dの環境整備やトレーニングにも取り組みました。現在は、社内で使用するShade3DのグレードをすべてProfessionalに統一。大多数の案件においてオリエンテーションからデザイン決定までの期間が1週間以内という中で、Shade3Dを駆使して制作したクオリティの高いクリエイティブは、多くのクライアントから高く評価されています。
「例えば、ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社様のタイヤ陳列什器の開発事例では、最小限の構成により最大効果を発揮できるものが求められました。最小限の構成にしていった場合、シンプルさが稚拙な印象に繋がらないような配慮が必要でしたが、その見え方をShade3Dで検証しながら行うことで、試作は1回のみで済み、その後は量産を確認するだけというスピーディーな進行が可能となりました」(佐々木氏)。以前は、クリエイティブの試作段階で評価が覆ったり大きなサイズ変更が発生することで、コスト増加やスケジュール変更を余儀なくされることもありましたが、現在はこのように、Shade3Dで作成した3DCGでクライアントに対してアイデアを確実に伝えることができるため、試作ではほぼ最終確認だけで済んでいるといいます。
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プレミアムタイヤの世界観を伝えられる什器としてデザイン。ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社の旗艦店に設置された |
また、セイコーウオッチ株式会社様の各種ブランドの店頭販促事例では、現地調査/デザイン提案・開発/コーナーレイアウト/施工/ディスプレイ製造までを一貫して行っています。「それぞれのブランドのイメージを的確に伝えるための雰囲気や質感をパースで表現し、施工後や完成品との間にイメージの乖離がない状態を追求するにあたって、Shade3Dは重要な役割を担っています」(三崎氏、後藤氏)。
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ダイバーウォッチ「プロスペックス」のディスプレイではスタンドに設置する潜水ヘルメットのキャラクターも制作 |
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「グランドセイコー」の高級感を醸成する空間を演出 |
「クレドール」50周年記念ではアニバーサリーロゴを立体化 |
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女性向けウォッチブランド 「ルキア」のイベントブースでは、イメージカラーの繊細な色味とテクスチャを実現 |
入社3年目の清水氏は、海外PCメーカーの新商品販促用什器の企画において、はじめてShade3Dを使った提案を担当し、自身が作成したイメージが採用された経験があります。アイディア出しやイメージ確認においても、Shade3Dですばやく作成した3DCGによりお客様の心を掴む提案ができ、最終的に完成したディスプレイも迫力のある仕上がりになったといいます。
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海外PCメーカーの新販促用什器では、仮想空間をイメージし 奥行きのある大胆な世界観のデザインを提案 |
「Shade3Dは、2Dアプリケーションとの親和性や、ベジェ曲線の扱いやすさなどから、もともと2Dグラフィックスの経験しかないユーザでも、敷居が低く慣れ親しみやすいソフトだと思います。テクスチャや色味、照明などの高い表現力があり、参考となる作例が豊富にあってトレーニングしやすく3DCGを比較的早く習熟できるという点でも、私達の業務に欠かせないツールとなっています」(佐々木氏)。
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