フォーラムエイト・ラリージャパン2023へ

公道を駆け抜けるモータースポーツ、ラリー。その世界最高峰の大会、世界ラリー選手権(WRC)が、紅葉真っ盛りの昨年11月、愛知県と岐阜県を舞台に開催された。

2023年のWRCは、モンテカルロ、スウェーデン、メキシコ、クロアチア、ポルトガル、イタリア、ケニア、エストニア、フィンランド、ギリシャ、チリ、中央ヨーロッパ、そして、日本。

フォーラムエイト・ラリージャパン2023は、12年ぶりの日本開催となった2022年に続く日本ラウンドであり、2023年の最終戦でもある。

メタバース

フォーラムエイト・ラリージャパン2023では、現地での物理的な開催を強化するために「バーチャル・フォーラムエイト・ラリージャパン2023」が公開されている(図1-a)。これは、ラリージャパンの3次元仮想世界であり、VR(人工現実)とも、メタバースとも、デジタルツインともいえる。体験できるメニューは次の通り。

「豊田スタジアムSSS」メニュー

後述する、豊田スタジアムでのスーパースペシャルステージ(SSS)を仮想体験できる。「座席表」メニューを選べば、豊田スタジアムの各シートからコースがどのように見えるか、確認できる(図1-b)。

a)トップ画面

b)「豊田スタジアムSSS」「- 座席表」メニュー

この機能とシートの予約購入システムを結べば、参加者はシートからレースの見えがかりをチェックした上で、チケットを購入することができる。また、「コックピット」メニューを選べば、ドライバーと共に車両に乗り込み、走行の手助けをするコドライバーの目線でSSSを運転できる(図1-c)。

「協賛社ブース・物販エリア」メニュー

ラリージャパン2023のスポンサーブースに立ち寄ることができる(図1-d)。気になる展示パネルをクリックすれば、各企業の公式ウェブサイトにアクセスできる。ラリージャパンの公式ブースで、希望するグッズをクリックすれば、オンラインショッピングもできる。

c)「コックピット」メニュー

d)「協賛社ブース・物販エリア」

「自治体エリア」メニュー

開催市町である、豊田市、岡崎市、新城市、設楽町、恵那市、中津川市のゆるキャラがお待ちかね。気になる市町を選べば、更なるメタバースが用意されており、紹介動画を眺めたり、ふるさと納税を利用したオンラインショッピングもできる(図1-e)。各市町の特徴を一元的に眺めることができる内容だ。

「サービスパーク」メニュー

ラリーカーを整備するサービスパークが再現されている(図1-f)。ラリージャパン開催中は、ライブビューイングも行われていたようだ。

c)「コックピット」メニュー

d)「協賛社ブース・物販エリア」

名鉄豊田市駅前の賑わい

ラリージャパン2023の様子を紹介していこう。豊田市の玄関口、名鉄「豊田市」駅前へ。2022年よりも賑わっていたのが印象的。

WRCが開幕する前日(11月15日)には、トップドライバーとファンの交流イベントが行われた。オープニングでは、現役ドライバーのオリバー・ソルベルグ、オフィシャルタイトルパートナーのフォーラムエイト伊藤社長がゼロカーに乗って東口まちなか広場にアプローチ(図2)。レジェンドドライバー、ペター・ソルベルグがトークで盛り上げる。平日にもかかわらず、集まったファンの多さと熱気の凄さに明日からの期待を感じさせてくれた。

WRCが始まると、チケットやグッズの販売、パブリックビューイング、勢ぞろいしたラリーカーなど盛りだくさん。人口42万人の玄関口で、ラリージャパンの存在をより多くの人々に知ってもらい、盛り上げようとする雰囲気があった。それにしても、まちなか共同カート、フォーラムエイト・ラリージャパン号は可愛らしい(図3)。

【図2】トップドライバーとファンの交流イベント

【図3】豊田市駅エリアでのまちなか共同カート、フォーラムエイト・ラリージャパン号

豊田スタジアムでのSSS

メイン会場である豊田スタジアムには、サービスパークや出展ブースが並んでいる(図4)。2022年のラリージャパンに参戦し、昨年4月のクロアチアでのテストラン中の事故により逝去したクレイグ・ブリーン選手の献花台が設けられた(図5)。

初日の夕刻には、開催記念パーティーが行われた。パートナー企業、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟、愛知県知事、岐阜県知事、開催各市町長、WRCプロモーター、国際自動車連盟、日本自動車連盟の関係者らが出席し、ラリージャパン2023の成功と安全を祈念した(図6)。

【図4】豊田スタジアムエリア

【図5】故クレイグ・ブリーン選手の献花台

【図6】TVライブ中継と開催記念パーティー

そして今回のメインイベントは、豊田スタジアム内を舗装して、スタジアムに集まるファンの眼前で行うSSS。ラリーは通常、1台ごとにタイムを測るが、ここでは2台同時にスタートする、デュアルスペシャルステージ(SS)のコース。11月16日、17日、18日の3日間、開催された。

オープニングセレモニーを終えるといよいよ、オープニングステージとなるSS1(豊田スタジアムSSS)。

2.10kmという短い区間ながら、急カーブや高さ3mの立体交差が設置されており、ラリーカラーがジャンプ台でジャンプするシーンにも出会えた(図7)。先述した、「バーチャル・フォーラムエイト・ラリージャパン2023」でドライビングの復習も可能である。

岡崎中央総合公園SSS

岡崎市のSSSへ(SS11)。2022年は岡崎城のそばを流れる乙川河川敷を利用し、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)の両方を走行していた。今回のコースは、岡崎中央総合公園。2019年にラリージャパンの招致に向けて開催された、セントラルラリーで使われたコースを逆走するイメージ。

前日には、フォーラムエイト社と交流がある台湾・東元企業グループの黄茂雄会長が来日され、岡崎中央総合公園でのSSSを観戦した。時間的な偶然も重なり、スタート直前のドライバーやラリーカーに出会えた(図8)。間近で眺めるマシンのスピードと爆音はすごい迫力。

筆者は以前、ハワイ(2014年)やギリシャ(2015年)で開催されたVRサマーワークショップで黄氏とお会いしたことがあったが、今回のラリージャパンで久しぶりにお会いすることができて何より。短い時間ながら、色々とお話しくださり、学びの多い一日となった。

【図7】豊田スタジアムSSS

【図8】岡崎中央総合公園SSS

恵那市SS

恵那市のSSへ(SS20)。観戦エリアは、2022年と同じ恵南林道(図9)。前回は雨模様だったが、今回は秋晴れとなった。山間地であり、朝の気温は4度まで冷え込んだ。天候や気温によって路面の状態が変わるため、マシンの整備にも影響する。

できることならば、ラリーカーが観戦エリアに現れた瞬間を捉えたい。はたして森からいつ現れるのか、甲高いエンジン音に耳を傾けながら、その時を待った。

地図で測ってみると観戦エリアで望めるコースの長さは700mほどであり、コース全体の3%ほど。ラリーカーが現れると、くねくねとした細い林道を一瞬でかけ登っていく。

【図9】恵那市SS

東野リエゾン

筆者らが恵那市SSを観戦している内に、ラリーカーは次の根の上高原SS(SS21)でレースをしていた。そこで、SS21を終えたラリーカーが、次なる旭高原SS(SS22)のスタート地点に向かうまでのリエゾンに向かった。

東野リエゾン(東野コミュニティセンター)には、パブリックビューイング、キッチンカーや屋台の出店、クラッシックカーの展示が行われていた。沿道では、ラリーカーが通る頃になると、観衆が集まってくる。そして、旗を振って歓迎する。ドライバーは手を振りかえしてくれる。全力で走るラリーの観戦とはまた違って、つかの間でありながらもコミュニケーションできる時間が流れている(図10)。

リエゾンでは、食事も楽しみ。五平餅は、つぶしたご飯を串にさして、甘辛いタレを付けて焼いたソウルフード。昔から好物である。

ラリージャパンの4日間では、お馴染みのわらじ型、まるい団子型のほか、うずら卵のような細長い団子型を食べ比べできた(図11)。味や食感は微妙に違うが、どれも美味しかったぞ。

【図10】東野リエゾン

【図11】五平餅食べ比べ

感動的な表彰式

再び、セレモニアルフィニッシュが行われる豊田スタジアムへ。なんと、トヨタTGRが、1-2-3フィニッシュを飾った。表彰台を独占(図12)。フォーラムエイト・ラリージャパン2024は11月21日(木)~24日(日)。楽しみにしている。

【図12】セレモニアルフィニッシュ

(Up&Coming '24 新年号掲載)



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