最新デバイス エッジAI デバイス HARDWARE INFORMATION
2023-No.2

今回は、エッジAIデバイスを紹介していきます。まず、AI(ArtificialIntelligence:人工知能)については、一昔前ではロボットの頭脳というイメージが強かったように思いますが、現時点においては、思考モデルに従いデータを処理・推論するシステムのことを指します。さらに、思考モデルの作成(学習)とデータの処理(推論)をどこで実行するかにより、クラウドAIとエッジAIの2つに分けることができます。

■クラウドAIとエッジAIの比較
クラウドAI エッジAI
採用事例 chatGPT
Microsoft Edge BING(搭載予定)
スマートフォン
スマートウオッチ
スマートスピーカ
AI のプロセス
学習 …推論モデルの構築、更新
推論 …推論モデルによるデータの解析(分析・判断)
クラウドで、学習と推論を行う。 クラウドで学習、ローカル端末側で推論を行う。
メリット 推論モデルの構築の為の学習データを収集しやすい。
ローカル端末の処理低減。
リアルタイム性(低遅延)の確保。
プライバシーリスクの低減。
通信コストを削減。
デメリット リアルタイム性が低い。
プライバシーリスクが有る。
通信コストがかかる。
学習データによる推論モデルの構築・改良に時間がかかる。

たとえば、現在話題となっているChatGPTは、高度な言語解析能力を持ち、ユーザと会話が出来るAIチャットのサービスですが、これはクラウドAIに分類されます。

ネット上の膨大なデータから思考モデルを鍛え上げることで、その会話の精度が高いことが注目されています。

一方、自動運転で使用されるシステムはデバイスで処理されるため、エッジAIに分類されます。リアルタイム性が要求されるシーンではクラウドシステムへの接続による遅延は無視できないため、デバイス内で処理を行う必要が有るからです。


 エッジAI利用例

エッジAIは、推論モデルにしたがって画像や音声などのデータを処理するデバイスです。下記のように利用されています。

1.自動車に搭載されたエッジAIはセンサーを処理して、リアルタイムで自動運転を実現します。

2.ヘルスケア
 ウエアラブルデバイスには、エッジAIが搭載されており心拍数や酸素濃度などを計測することで、
 健康状態をリアルタイムで解析し異常を検知します。

3.製造業
 製品のチェック、製造品質の安定化。

4.スマートホーム
 音声認識(家電操作)や映像解析(顔認証によるセキュリティ)


 エッジAI用デバイス

PCでもAIプログラムを設定、カメラセンサーなどと接続することで、AIシステムの構築が可能です。ただしPCではコストがかかりすぎるため、FPGAやGPUをベースとしたエッジAIデバイスが採用されることが殆どです。

FPGAの例でいうと、SUBARU レヴォーグ「アイサイトX」には、ザイリンクスのFPGA「Zynq UltraScale+ MPSoC」が採用されています※1。

GPUの例では、NVIDIA Jetsonシリーズ※2があります。NVIDIA JetsonNanoであれば、GPIO(General Purpose Input/Output)や、カメラ入力インタフェースをサポートしているため、画像処理AIの開発用途に使うことができます。

▲NVIDIA Jetson Nano B01 


 開発フレームワーク

AI開発に使用するツールとしてディープラーニング用フレームワークが提供されています。ここでは、代表的な2つをご紹介します。

1.TensorFlow(テンソルフロー)
  Googleが開発した機械学習用のソフトウエアライブラリ。
  https://www.tensorflow.org/
2.PyTorch
  Pythonのオープンソース機械学習ライブラリ。Facebookが開発。
  https://pytorch.org/

いずれもオープンソースソフトウエアであるため、興味のある方はAI開発にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

■備考
※1 Car Watch スバルの新型「アイサイトX」、心臓部にザイリンクスのFPGAを採用 新型「レヴォーグ」を支えるZynq UltraScale+ MPSoC
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1270746.html
※2 NVIDIA Jetsonシリーズ
https://www.nvidia.com/ja-jp/autonomous-machines/embedded-systems/

※ 社名・製品名は一般的に各社の登録商標または商標です。


前ページ
  
インデックス
(UpComing '23 春の号掲載)
戻る
Up&Coming

LOADING