■耐震設計 極めて重要度の高い施設A種、重要度の高い施設B種について、レベル1、レベル2地震動を対象とした応答変位法による耐震計算を行うことが可能です。継手構造の場合は、管体応力,継手伸縮量,継手屈曲角の照査を行い、一体構造の場合には管体ひずみの照査を行います。
また、管種として、ダクタイル鋳鉄管、強化プラスチック複合管、塩化ビニル管,ポリエチレン管、鋼管に対応しています。
レベル1,レベル2の地震動による耐震性の照査においては、地震動による影響の他に内圧や自動車荷重等の常時荷重を考慮します。
レベル2地震動に対する軸応力の算出は、「水道施設耐震工法指針・解説 1997年版(日本水道協会)」に記載されている、管と地盤のすべりによる非線形応答を考慮した簡便法により算出することが可能です。また、ダクタイル鋳鉄管の場合には、レベル2地震時の軸応力算出法として、震度IV程度以上の地震時の観測結果から得られた式も選択可能です。
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継手構造 |
一体構造 |
適用管種 |
ダクタイル鋳鉄管
強化プラスチック複合管
塩化ビニル管(ゴム輪接合)
ポリエチレン管 |
鋼管
塩化ビニル管(ゴム輪接合)
ポリエチレン管 |
照査内容 |
管体応力照査 |
継手伸縮量・屈曲角照査 |
管体ひずみ照査 |
設計荷重 |
設計内圧
自動車過重
地震力(L1、L2) |
設計内圧
自動車過重
温度変化
不同沈下
地震力(L1、L2) |
設計内圧
自動車過重
温度変化
不同沈下
地震力(L1、L2) |
備考 |
ポリエチレンは継手の照査のみ |
塩ビ管はL1のみ |
▲適用管種と照査内容
鋼管の場合には、軸ひずみの算出法として、「耐震設計の手引き(H16.3)」または「設計『パイプライン』(H21.3)」から選択する事ができます。
地層データにおいては、埋め戻し土の入力を可能とし、不同沈下量計算時の土の重量,地盤の剛性係数Kg1、Kg2及び地盤の特性値TGの算出時に考慮する事が可能です。
地盤の特性値(固有周期)、速度応答スペクトルは、プログラム内部で自動算出する以外に、直接指定も可能です。
■常時設計
とう性管及び不とう性管の横断方向の検討が可能です。
とう性管 |
ダクタイル鋳鉄管
鋼管
硬質ポリ塩化ビニル管
ポリエチレン管
強化プラスチック複合管 |
不とう性管 |
遠心力鉄筋コンクリート管(RC管)
コア式プレストレストコンクリート管(PC管) |
布設状態としては、突出形、溝形、逆突出形、矢板施工が可能です。
不とう性管の場合には、内外圧合成式により、設計水圧が許容内圧を超えないことを照査します。
とう性管(強化プラスチック複合管以外)の場合には、許容応力度から求まる管厚計算式を変形して許容水圧を算出し、設計水圧と比較する事で判定します。
強化プラスチック複合管の場合は不とう性管と同様、内外圧合成式を用いて照査します。
また、とう性管の場合、たわみ率に関しては、算出されたたわみ率と設計たわみ率を比較する事で照査します。
設計荷重として、土圧のほか、活荷重、上載荷重(宅地荷重、雪荷重)、施工時荷重、管体自重、管内水重、基礎反力、内水圧を考慮します。
施工時荷重を指定した場合には、常時と施工時についての照査を行います。
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不とう性管 |
とう性管 |
構造計算 |
構造計算 |
たわみ量計算 |
常時 |
施工時 |
常時 |
施工時 |
常時 |
施工時 |
土圧 |
鉛直方向 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
水平方向 |
○ |
○ |
○ |
○ |
※ |
※ |
活荷重 |
鉛直方向 |
○ |
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○ |
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○ |
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水平方向 |
○ |
|
○ |
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※ |
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上載荷重 |
鉛直方向 |
○ |
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○ |
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○ |
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水平方向 |
○ |
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○ |
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※ |
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施工時荷重 |
鉛直方向 |
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○ |
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○ |
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○ |
水平方向 |
|
○ |
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○ |
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※ |
管体自重 |
鉛直方向 |
△ |
△ |
○ |
○ |
○ |
○ |
水平方向 |
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○ |
○ |
※ |
※ |
管内水重 |
鉛直方向 |
○ |
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○ |
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○ |
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水平方向 |
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○ |
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※ |
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基礎反力 |
鉛直方向 |
○ |
○ |
○ |
○ |
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内水圧 |
全方向 |
○ |
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○ |
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※ たわみ量計算において考慮されている
鉛直土圧は、とう性管不とう性管のそれぞれの布設状態について、各々に適合した土圧公式(マーストン公式、垂直土圧公式)を適用します。
水平土圧は、不とう性管はランキン公式、とう性管はスパングラー公式で算出します。
基礎材の反力係数e' は、5つのパターンから指定可能です。
1 計算により求める |
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2 たわみ量の計測値より求める |
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3 ソイルセメントを基礎材に使用する |
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4 口径が300mm以下 |
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5 直接指定 |
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その他に、浮上がりの検討を行う事ができます。
■地震時
設計
- とう性管による管体応力およびひずみ、継手の変位の計算が可能。
- レベル1、レベル2地震時設計では、継手構造、一体構造の指定が可能。
- 鉛直土砂重量及び表層地盤の特性値TG、地盤の剛性係数算出において埋戻し土の土質定数を考慮した設計が可能。
- 表層地盤の特性値TG、速度応答スペクトルSvは、任意に指定することが可能。
- ダクタイル管は、震度IV以上の地震時の観測結果から得られた式を選択可能。
- 非線形応答計算法を用いた簡便式の選択が可能。
- 継手構造の場合には、管体の照査の有無の指定が可能。
■複数管の一括計算
複数管の一括計算が可能です。管の検討方法として、「単独指定」,「複数指定」,「管種選択」が選択でき、その中の「複数指定」と「管種選択」の2種類の計算方法から複数管を検討することができます。
「複数指定」では、パイプラインの管データを管毎に入力し、最大20種類の管のデータを一括で計算を行うことができます。その際に管種の名称や呼び径等は、単独指定と同様に編集することができますので基準値にない管種にて設計することも可能です。
「管種選択」の方法では、管種を「基準値」のリストから指定して一括で計算を行うことができます。リストに表示される項目は、「基準値」画面であらかじめ入力されている管種データを参照します。よって、計算する管種は、一度「基準値」画面に登録する必要がありますが登録された管種内の呼び径データについては、すべて照査対象となるため「複数指定」と異なり一つ一つ管データを入力する手間を省くことができます。
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▲基本条件画面 |
また、指定された土被りについて、どの管種のどの管厚で満足するか比較も行うことができますので、管の算定にも役に立てることができます。「管種指定」を選択した場合、計算結果は、管種×呼び径×土被り数となります。また、「基準値」画面で入力した管データについては、デフォルトとして保存することができ、次回起動時以降においても初期値として読み込むことが可能です。
複数管の計算書については、土被りの複数指定と同様に呼び径や土被り毎の結果を一覧表で確認することができます。一覧表では、下図のように管種毎に縦方向を呼び径,横方向を土被りとした結果を表示します。
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▲基準値画面 |
▲複数計算書結果 |
■グラフ表示
計算結果を数値だけではなくグラフ化することが可能です(右図)。グラフ表示は、「常時の検討」だけではなく「耐震計算」の結果についても表示することができます。グラフ化される際の横軸は土被りとなりますが、縦軸については検討対象や適用管によって異なります。「常時の検討」の場合は許容水圧となり、「耐震設計」は次のようになります。
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▲管厚グラフ表示 |
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●継手構造管路
1.ダクタイル鋳鉄管,塩化ビニル管,強化プラスチック管,管体応力(N/mm2),継手伸縮量(mm),屈曲角(°)
2.ポリエチレン管
継手伸縮量(mm),屈曲角(°)
●一体構造管路
1.ダクタイル鋳鉄管,塩化ビニル管,ポリエチレン管,強化プラスチック管,ひずみ(%)
このように結果をグラフ化することで、複数の土被りに対する結果を一目で確認することができます。
■その他の特徴
- 管体データは、基準値として自由に追加、削除が可能です。基準値データは、設計データとは個別に保存が可能なので、他のユーザ様と基準値を共有する事も可能です。
- 結果一覧計算書においては、設計条件と計算結果を表形式にて一目で確認することが可能です。
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