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建設ICTの最先端事例についての貴重な講演を実施
Day3(2020年11月20日)は、国土交通省 大臣官房技術調査課 建設生産性向上推進官の廣瀬健二郎氏による「i-Constructionの推進について」の特別講演からスタート。最初に、公共技術を取り巻く現状として、建設業従事者の高齢化や長時間労働見直しの動きについて触れ、i-Constructionと新技術の活用による課題解決の展望を説明。ICT施工の工種拡大、現場作業の効率化、施工時期に平準化に加えて、建設プロジェクト全体を3次元データでつなぎ新技術、新工法、新材料の導入、国際標準化等の取り組みを紹介し、制度整備と中小事業者参入支援の重要性を説きました。
さらに、新型コロナ感染症を契機とした、非接触・リモートの働き方等におけるデジタル技術の活用推進や、インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーションといった話題も含め、包括的な取り組みを紹介しました。 |
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国土交通省 大臣官房技術調査課
建設生産性向上推進官 廣瀬 健二郎 氏 |
Day3午後の部前半は、内閣官房 国土強靱化推進室 参事官 山本泰司氏による「国土強靭化に向けた最近の取組」と題した特別講演を実施。これまでの災害のデータに基づいて示す「国土強靭化の必要性」およびその定義から始まって、近年大きな災害が立て続けに発生したことを契機として進められている「3カ年緊急対策」の概要と実施状況を紹介。河川の掘削や堤防のかさ上げ、病院への自家発電装置配備、空港ターミナルの浸水対策、携帯基地局増設などを例に挙げ、今後の継続的な活動について説明しました。
さらに、国土強靭化普及に向けた取り組みとして、自治体と民間企業による協力の重要性を強調。出前講座をはじめとした自治体支援、民間への呼びかけによるBCP策定や防災関連商品・サービスの提供、普及啓発や人材育成といった、「共助」推進について紹介しました。 |
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内閣官房 国土強靱化推進室 参事官
山本 泰司 氏 |
また、当社担当者からは、VR/UC-1設計シリーズ/FEM解析の3つの分野で、それぞれ製品デモを交えながら、最新機能や活用事例を紹介するプレゼンを実施しました。
「DX時代の生産性向上を実現するIM&VR ~VRデジタルプラットフォーム~」では、フォーラムエイトのDXソリューションの核となるVRデジタルプラットフォームの詳細を中心に取り上げ、スイートデータ消去、スイート建設会計、バーチャルショールームなどの最新ソリューションも紹介。「UC-1設計シリーズのBIM/CIMへの 取り組みと今後の展望」では、CIM対応状況として、属性情報や工事件数、ガイドラインおよびリクワイヤメント、オンライン電子納品等を説明し、今後の展望として新製品のパラメトリックツールを紹介。さらに、「FORUM8のFEM解析ソリューション」では、Engineer's Studio®の機能と併せた最新の開発事例、FEMLEEGによるBIMモデルからの解析例や施工STEPを考慮した事例、Geo Engineer's Studioの液状化対応と近接施工の影響解析事例などについて説明しました。 |
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受賞者の皆様 |
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審査員(左から)吉川 弘道 氏、守田 優 氏、若井 明彦 氏 |
合理的で独自の技術提案が集積、
更なる裾野の広がりに期待
構造解析(土木・建築)や地盤工学、水工学、防災の各分野を対象としたノミネート作品について、審査委員長の吉川弘道氏(東京都市大学名誉教授)、審査員の守田優氏(芝浦工業大学副学長・工学部土木工学科都市環境工学研究室教授)および若井明彦氏(群馬大学大学院理工学府教授)が事前に最終審査会を実施。これにより各賞が決定され、11月20日のDay3に表彰式が開催されました。
グランプリは、株式会社日本水工コンサルタントの「既設水槽構造の2次元および3次元モデルによる耐震検討結果比較 -モデル化の違いによる解析・照査方法の妥当性を確認-」が受賞。Engineer's Studio®を活用した水槽構造物の耐震補強設計で、従来通りの2次元断面モデルでの検討に加えて、提案型として実物通りに板要素を用いた3次元モデルを作成し解析・照査することで、照査結果にどのような傾向があるかの比較を行い、モデル化の妥当性について確認しました。「水槽構造物や池上構造物などでは、2次元と3次元のどちらを採用すべきか悩んでいるというコンサルタントも多く、本作品はそれを具体的な事例としたことが評価できる」(吉川審査委員長)。
続く準グランプリは、内外エンジニアリング株式会社の「観測地震動による耐震性能照査手法の検証 -実際の観測地震動を用いた頭首工の耐震性能照査結果と被害状況の比較検証-」が受賞。各施設の対策の要否や優先順位を決定するために、それぞれの耐震性能を把握することの必要性を課題として挙げ、より実態に即した評価がその効率的な実施やコスト低減につながることを説明。Engineer's
Studio®により、実際の観測地震動を用いて頭首工の耐震性能照査を行い、照査結果の損傷状態が実際の被災状況と整合するかを比較検証した事例として発表しました。「検討の緻密さ、完成度を評価し、準グランプリに選定した」(守田氏)。
最後に吉川審査委員長が、「学術論文でも設計計算書でもなく、ひとつのパネルの中で作品としてレジリエンスに寄与した具体的なテーマを示す」というNaRDAの意義を強調。来年に向けて、図表や数値等を巧く活用したさらにわかりやすい作品表現への期待を述べて総括しました。
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