DAY3

2021.11.19FRI

10:00~15:45

REAL+ONLINE

第15回 デザインコンファランス IM&VR・i-Constructionセッション

国土交通省の推進するBIM/CIMおよびi-Constructionを視野に入れて、DXや耐震・防災・情報化施工等における専門家の方々にご講演いただきます。また、性能設計から維持管理まで様々なフェイズを網羅する弊社のCIM活用ソリューションや、SDGsミッションを踏まえた活動も紹介します。

開会 あいさつ

10:00~10:10
第15回 FORUM8デザインフェスティバル開催のご案内

株式会社 フォーラムエイト 代表取締役社長

伊藤 裕二

特別講演1

10:10~11:10

Digital Social Innovation~DX時代のインフラ強靱化、防災ITの推進~

台湾デジタル担当大臣

オードリー・タン 氏

講演内容

オードリー・タン氏が考える「DX時代のインフラ強靱化、防災ITの推進」をテーマの一つとして、B3W「より良い世界再建」(B3W、Build Back Better World)構想の推進におけるIT、DXの貢献等について、パネリストを迎え、質疑応答形式の講演を行います。

講師プロフィール

公共部門に於いては、台湾の国家発展委員会のオープンデータ委員会委員及び国民基本教育のカリキュラム委員を務め、台湾の歴史上初の試みであるネット規則制定プロジェクトを主導している。プライベート部門では、アップル社でコンピューター言語についてのコンサルタントを務め、オックスフォード大学出版とは集合辞書編集について、ソーシャルアルテックスとは社会的相互デザインについての仕事をしていた。社会的部門では、"fork the government."(政府の再構築)を合言葉に、市民社会実現のための創造的ツールに焦点を当てた活気あるコミュニティである g0v(ガバメント・ゼロ)に積極的に貢献している。
パネリスト

東北大学災害科学国際研究所所長、津波工学研究分野 教授

今村 文彦 氏

講師プロフィール

災害科学や津波の流体波動数値計算、国内外の歴史地震津波痕跡調査、避難シミュレーション、避難時の記憶と人間行動を分析する認知心理学など、津波防災にかかわる研究に取り組む。弊社アドバイザーとして津波解析支援サービスなどに技術指導・協力。
パネリスト

グリニッジ大学 火災安全エンジニアリンググループ(FSEG)教授

エドウィン・R・ガリア 氏

講師プロフィール

英国グリニッジ大学火災安全エンジニアリンググループ(FSEG)を創設し、最新の高精度避難モデリングソフトEXODUSを開発。避難解析の世界的権威として論文、著書および、BBCやABCなどメディアでの発表・放送が多数。
モデレータ

建設ITジャーナリスト

家入 龍太 氏

講師プロフィール

BIMやi-Construction、IoTなどの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。「年中無休・24時間受付」がモットー。

REPORT

日台英の各界の泰斗がDX時代のインフラ強靭化や防災に向け提案

初めにタン大臣はパンデミックの危機の中で、台湾ではデジタル化を伴う社会変革によって民主化が加速し、官民部門間の協力が深まっている、と発言。政府が「国民のために」だけでなく「国民とともに」改革を進めていくには、国民を信頼することが大切で、そうしなければ国民の信頼を得られない。だから国民を新技術に適応させるのではなく、国民が必要とする技術を導入する、という視点が重要。たとえば、同国の接触確認システムが民間のシビックテック・コミュニティG0の提案により実現していることに触れ、公共と民間のパートナーシップによって強靱なデジタル社会インフラの構築が可能になる、と締めくくりました。

その後、「津波などの災害に対して行政はどう備えていくべきか」というテーマに沿って、今村教授は、10年前の東日本大震災で津波警報システムの第1報の津波予測が過小だったため避難が遅れた経験から、災害直後の情報は全体を把握しづらく、時間が経つと高精度になるが避難に間に合わないというトレードオフの関係を指摘。

続いてガリア教授より、自然災害に対しては一般の人たちへの教育と訓練を含む堅牢な計画が必要で、シミュレーションは大きな役割を果たす。また、一般住民は技術者や官僚の思った通りに動くとは限らないため、彼らがどのように自然災害に反応し行動するかを考慮してシミュレーションを作成する、と強調。また、わかりやすい災害警報や避難標識への改善と、それらの意味を人々に理解浸透させる必要性を説きました。

三者共通して子どもの防災教育の重要性に言及。今村教授は、過去の津波の教訓を学んだ小学生が、東日本大震災では周辺住民の早期避難をサポートした事例を紹介。またタン大臣によると、台湾で子どもは大気質や水質などに影響する複合的な要素を段階的に学ぶほか、参加型アプリを利用して楽しみながら防災や環境を学ぶ。18歳以下の若者が防災などにもっとも熱心に取り組む年代層だ、と報告。ガリア教授は、子どもたちに教えると彼らが親や大人に教えてくれるため、子どもの教育は社会の強靱化につながる、と指摘。最後に、今村教授が災害コミュニケーションの国際的な標準化による共有、ガリア教授は防災計画に一般市民の意見を聴いて組み込むことが彼らの心の備えになること、タン大臣は官民連携によるアイデアの共有などを提唱しました。

テクニカルプレゼンテーション

11:10~11:50

災害における避難シミュレーション最新事例

グリニッジ大学 火災安全エンジニアリンググループ(FSEG)教授

エドウィン・R・ガリア 氏

講演内容

オードリー・タン氏特別講演での、インフラ強靱化、防災ITについてのパネルディスカッション内容を受け、避難解析EXODUSの最新機能や活用事例を紹介します。

講師プロフィール

英国グリニッジ大学火災安全エンジニアリンググループ(FSEG)を創設し、最新の高精度避難モデリングソフトEXODUSを開発。避難解析の世界的権威として論文、著書および、BBCやABCなどメディアでの発表・放送が多数。

REPORT

自身の組織や研究内容、そこでの避難シミュレーション「EXODUS」や火災シミュレーション「SMARTFIRE」の開発などを紹介。これを受けて、1)火災などで避難の支援が必要なPRM(モビリティの低下した人)向け移動支援機器について、実験で得た各種機器のパフォーマンス情報を使いbuildingEXODUSでシミュレーション。さらに、物理的装置の明示的なモデリングに当たり空間的・運動学的制約、ホロノミックデバイス・非ホロノミックデバイス、空間構成を考慮。複雑な空間における各デバイスの制約を反映した最適なソリューションを開発、2)従来型標識の課題を踏まえ、実験や測定を経て開発したアクティブダイナミックサイネージシステム(ADSS)と従来型標識をEXODUSでシミュレーション。ADSSの有効性を確認、3)高層ビル建設現場からの避難の様々な課題を数値化するため、実際の現場で実験。反応時間や避難時間などの、避難経路の状態や昇降機の有無に応じた違いをモデル化、4)大規模都市災害向けに開発したurbanEXODUSを多様なモデルとリンク。大規模火災での歩行者やクルマの避難をシミュにレーション、5)最近開発したmatEXODUSを使い、混雑した場所を歩き回る武装テロリストの影響をシミュレーション、6)電車内や歩行中の新型コロナウィルス感染のメカニズムを解明するためSMARTFIREをアレンジしてエアロゾルをシミュレーション ― するなどした取り組みを説明。安全・安心な避難あるいは感染制御を確実にする計画での、EXODUSやSMARTFIREなど先進のシミュレーションツールの有用性に言及しました。

特別講演2

13:15~14:15
国土強靭化とDXの最前線〜デジタル社会への実装へ〜

一般社団法人レジリエンスジャパン 推進協議会 常務理事

金谷 年展 氏

レジリエンスジャパン推進協議会とは

一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会は、産、学、官、民のオールジャパンでその叡智を結集し、非常時のみならず平時での戦略的活用の方策を創造することで、公共投資、民間投資が最大限に相乗効果を発揮し、レジリエンス立国を構築を目的として設立。2020年7月から弊社も正会員となりました。

講演内容

2013年12月に国土強靭化基本法が国会で成立したのを受けて、100年に一度と言われる大災害にも対応できる推進体制、国土強靭化推進本部(総理大臣が本部長、全閣僚が本部員)が構築された。また昨年12月には、一般予算の約4.4兆円の当初予算に加えて5ヵ年15兆円の国土強靭化加速化対策が閣議決定された。この加速化対策の大きな3本柱のうちの一つがDXによる国土強靭化の加速化である。今年10月にはデジタル庁も発足し、まさにその重要な役割を担う。ゲストにデジタル庁統括官の村上敬助氏を迎え、DX政策の最前線と今後の展望についてもお話しいただく。  

レジリエンスジャパン推進協議会について

2014年6月に閣議決定された国土強靭化基本計画に基づいて設立された、国土強靭化を産学官民の連携で国土強靭化を推進していく団体
(フォーラムエイトも2020年7月より正会員)

REPORT

岸田文雄首相の所信表明演説(2021年10月)などにおける国土強靭化、新しい資本主義実現本部の緊急提言(同11月)における「デジタル田園都市国家構想」の位置付けに言及。次いで、これまで大災害を教訓とする防災・減災対策が深化し国土強靭化の考え方に至った経緯、近年の自然災害頻発、国土強靭化基本法や推進体制などを巡る流れ、国土強靭化で警戒対象として描く大規模自然災害、それらの発生や被害の可能性を整理。国土強靭化における事前防災対策の重要性、国土強靭化推進の枠組み、関係予算の推移、そこでウェートの高い5カ年の加速化対策のポイントとDX関連施策の位置付けについて概説。

その上で、国土強靭化への民間の取り組み推進を担うレジリエンスジャパン推進協議会設立の推移、その組織体制、役割と活動、その一環としてのレジリエンス認証制度やシンポジウムおよびアワードの運営(フォーラムエイトの「第7回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)初代国土強靭化大臣賞」受賞)、ワーキンググループによる政策提言とそれらの国土強靭化年次計画への反映へと展開。最後に、2021年に行われたDXに関連する各会議・研究会での検討内容と成果を説明しました。

特別ゲスト デジタル庁

統括官 国民向けサービスグループ グループ長

村上 敬亮 氏

講師プロフィール

1967年、東京都出身。1990年、通商産業省入省。IT 政策、クールジャパン戦略の立ち上げ、COP15,16等の温暖化国際交渉、再エネの固定価格買取制度創設等に従事。2014年より内閣官房・内閣府で、地方創生業務に従事し 2020年7月より中小企業庁経営支援部長。2021年7月より内閣官房IT総合戦略室内閣審議官、9月より現職。

REPORT

これを受けた同講演の後半は、デジタル庁統括官 国民向けサービスグループグループ長の村上敬亮氏にスイッチ。企業の新製品・新サービス投入や設備・研究開発投資における日本と世界の対比、日本企業の売上が増加する中での労働生産性伸び止まり、貧困率上昇や給与下落の実情を整理。それを受けて、自助(民間事業:特定ユーザーの完全競争)と公助(公共事業:不特定多数の公共インフラ)の間に共助(データ連携基盤、自動走行車両など:特定多数)を位置付け。これまでは複数分野のサービスが繋がるデータ連携基盤において、APIエコノミーでサービスよりも基盤自体に多く利益をもたらすメカニズムだったのを、サービス側によりチャンスを広げる仕組みへの変革を強調。その具体像として自身が担う「デジタル田園都市国家構想」のイメージを提示。その核となる、特定多数の事業者が官のサポートを得ながらお互いに相互運用性にコミットして使うオープンな基盤の構築が、停滞する日本を再び世界最先端に立たせるカギになる、との考えを解説。基盤となる枠組みは国とともにつくり、その上でそれぞれ個性のある地域、あるいは共助のコミュニティをいろいろなレイヤで作っていくというアプローチへの展開を説きます。

ゲストスピーチ・プレゼンテーション1

14:15~14:45
ゲストスピーチ 秋田大学のデジタルへの取組み

秋田大学 学長

山本 文雄 氏

講師プロフィール

医学博士、専門は心臓血管外科。1975年鳥取大学医学部卒業、1998年秋田大学医学部心臓血管外科学講座の教授に就任し、その後同大学附属病院副病院長を務める。2013年に秋田大学副学長・国際交流センター長、2016年より現職。様々な学部で、ICT活用の取り組みを積極的に進めている。令和3年秋田県文化功労者として表彰。

REPORT

同大の4学部5大学院研究科などから成る現行体制に触れた後、国際資源学部における大学の世界展開力強化事業・スマートマイニング特別プログラム、医学部・附属病院における医療デジタル化による都市部とへき地を繋ぐオンライン診療、先進ヘルスケア工学院におけるVR技術活用の歩行環境シミュレータ開発といったデジタルへの取り組みを紹介。その上で、今後のDX推進の一環として2024年4月に5番目の学部としてオープンを目指す「ICT・データサイエンス系新学部」の概要、養成する人材像、そこに設置される情報科学を中核に人間支援、社会安全およびビジネスという特徴的な4プログラムの教育内容について説明。さらに、Society 5.0に向けた全学のDX推進のための拠点として新棟建設を進める情報統括センターの施設や役割を概説。それに合わせて計画中のVR教材の開発や外部講師の招聘にも言及します。

プレゼンテーション1 DX時代の国土強靭化ソリューション~VRデジタルツインプラットフォーム~

フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ

松田 克巳

講演内容

インフラ分野のDXが推進される中、BIM/CIM、i-Constructionに対応したIM&VRソリューションを活用した情報化施工、防災、減災分野における適用事例を紹介します。また、各種インフラ情報を連携し道路管理や維持管理に適用可能なインフラデジタルデータベースを紹介します。クラウド対応のUC-1Cloud自動設計シリーズ、積算との連携が可能なクラウド会計シリーズ、スイートデータ消去、UC-win/RoadによるBIM/CIM対応最新機能も紹介します。

REPORT

多様な領域に渡るフォーラムエイトの国土強靭化設計支援ソリューションとデジタルツインを連携し、スマートシティや国土強靭化のプロジェクトに活用する考え方に触れた後、そのVRプラットフォームをベースとする統合的な取り組みへの外部の評価について概説。併せて、UC-win/Roadの全体の処理の流れ、そこで関連する国土交通データプラットフォームやPLATEAU(いずれも国交省)、自治体の点群データなどオープンデータの活用方法をデモを交えて説明。

さらに近年の各種シミュレータやF8VPSの活用事例を紹介し、インフラデジタルデータベースシステムの活用による様々な可能性、F8VPSの経産省による次世代ソフトウェアプラットフォーム実証事業への採択、会計や積算などへの対応、UC-win/Roadの関連機能拡張、AR/MRソリューション提案などへと話を展開しました。

プレゼンテーション2

14:45~15:15

FORUM8のFEM解析ソリューション

フォーラムエイト解析支援グループ グループ長

柳 正吉

講演内容

フォーラムエイトのFEM解析シリーズより、Engineer's Studio®、FEMLEEG、Geo Engineer's Studio各製品における最新の解析事例と新機能、今後の開発予定などをご紹介します。

REPORT

初めに、フォーラムエイトの製品ラインナップにおけるFEM解析ソリューション(シリーズ)の位置付けを整理。その上で、1)3次元積層プレート・ケーブル・動的非線形解析「Engineer’s Studio®」、2)総合有限要素法解析システム「FEMLEEG」、3)RC構造2次元動的非線形解析「WCOMD Studio」、4)静的2次元弾塑性地盤解析「地盤FEM Geo Engineer’s Studio」を始めとする地盤解析シリーズなどについて、1)橋梁(コンクリート橋)、2)橋梁-上部工(非合成鈑桁橋)、3)劣化を考慮した解析、4)地震の観測値/計測値の活用、5)木造建築、6)円形RCタンク構造物、7)定常/非定常熱連動解析 ―などにおける活用事例を交えて説明しました。

プレゼンテーション3

15:15~15:45

UC-1設計シリーズの設計業務効率化への取り組みと今後の展望

フォーラムエイト執行役員 UC-1開発マネージャ

中原 史郎

講演内容

UC-1設計シリーズはフォーラムエイトソリューション「DESIGN」の中核をなす製品群です。1983年に誕生した同シリーズのこれまでの歩みや製品展開、BIM/CIM やUC-1Cloud自動設計による設計業務効率化への取り組み及び今後の展望をご紹介します。

REPORT

フォーラムエイトソリューション「デザイン」の中核的製品群「UC-1設計シリーズ」にフォーカス。同シリーズの位置づけや他のソフトウェアとの連携、特徴、機能および分野(構造解析断面、橋梁上部工、橋梁下部工、基礎工、仮設工、道路土工、水工、地盤解析・地盤改良、CAD/CIM、維持管理)ごとの多様な製品ラインナップを概説。そのうち複数製品を使い、他ソフトとの連動やそれによる効果、BIM/CIM対応、設計計算書・図面の作成、3Dパラメトリックツールについてデモを交えて説明。また、「UC-1 Cloud自動設計シリーズ」の特徴、現行ラインナップ(BOXカルバート、擁壁、土留め工)、今後の製品リリース予定、一層の設計業務効率化に向けた自動計算への対応、UC-1 Engineer’s Suiteシリーズとの連携強化、AI橋梁損傷度判定支援システムへの対応などに触れつつ、Cloudの操作についてデモを交えて紹介。さらに、主力製品「BOXカルバートの設計・3D配筋」の最新バージョンの機能や対応、今後の開発予定にも言及しました。

16:00~17:00

REAL+ONLINE

第8回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード 各賞発表と表彰式
国土強靭化に資する具体的な活用事例と成果が集う「ナショナル・レジリエンス・デザインアワード」。エンジニアをはじめとした関連分野の皆様にとって情報提供・技術研鑽の場となることを願って、構造解析(土木・建築)、地盤工学、水工学、防災の分野を対象とし、優れた作品を紹介・表彰します。

REPORT

国土強靭化に資する高度な事例の分かりやすい作品化がポイント

Day3午後の部後半は、「第8回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード(NaRDA)」の各賞発表と表彰式が行われました。NaRDAは、構造解析、地盤工学、水工学および防災分野を対象とし国土強靭化に資する取り組みを顕彰するもの。6月22日~10月15日に応募された作品の中から10月26日に8作品をノミネート。さらにそれらを基に11月16日、審査委員長の吉川弘道・東京都市大学名誉教授、審査員の守田優・芝浦工業大学名誉教授および若井明彦・群馬大学大学院理工学府教授の3氏から成る本審査会(フォーラムエイト東京本社)にて各賞が決定しています。

その結果、グランプリ(最優秀賞)は、株式会社新日本コンサルタントの「既設鋼管アーチ水管橋の耐震検討 -鋼アーチ部材の損傷確認と脚の非線形耐震性能照査-」。これは、水道施設耐震工法指針に準じてランガー補剛形式の水管橋の耐震診断調査を実施。非線形動的解析で耐震性を照査し、耐力が不足する箇所の補強工法を比較検討したもの。現在ニーズの多い既設構造物の耐震設計を調査、補強工法とフルコースで検討。その高度なプロセスを分かりやすく作品化したことが大きなポイント(吉川氏)とされました。

準グランプリ(優秀賞)は、有限会社エフテックの「土木施設と建築施設を一体化した耐震性能照査 -動的解析による地震時挙動の再現-」。地下の大型貯水槽と地上の多層階建築施設(上屋)が一体となった大規模な排水機場において、それらの一体化した解析モデルを構築。外力として実際の地震動波形を与える動的解析により耐震性能を照査する手法を提案。基準の異なる建築と土木の上下構造物を一体化した耐震性照査という新しいチャレンジに加え、非常に詳細な最適解を検討しており、意義のある設計(守田氏)と評されました。

審査員特別賞(吉川氏選考)はナレッジフュージョン株式会社の「非線形構造解析プログラムによるRCはり部材の耐力検討 -土木・建築の枠を超えて-」が、審査員特別賞(守田氏選考)は株式会社三協技研の「パイルベント橋脚のレベル2地震時耐震性能照査 -動的非線形解析による橋全体系での耐震性の検討-」が、審査員特別賞(若井氏選考)は株式会社シードコンサルタントの「新設5径間連続鋼ペデストリアンデッキ歩道橋の3次元動的非線形解析 -限られた境界条件下でのコンパクトな構造検討-」がそれぞれ受賞。各賞が各審査員により発表・授与された後、吉川審査委員長が次回NaRDAに向け改めて国土強靭化に資する解析・設計の具体的な事例を積み重ねることの重要性を位置付け。その際、「非常にややこしいところ」を分かりやすくまとめること、またタイトルやサブタイトルで概ね理解できることは大きなポイントになる、と総括。すべてのセッションが終了しました。