New Products & Service UC-1 土石流シミュレーション

●新規価格 336,000円

●リリース 2020年10月

はじめに

本製品は、一連の処理で土石流解析を行うことができる『UC-1 土石流シミュレーション』と、解析用インプットデータの作成および解析結果を可視化するためのUC-win/Road『土石流シミュレーションプラグイン』を統合したシステムです。なお、解析部につきましては、京都大学大学院農学研究科で開発された『土石流シミュレータ(Kanako)』を用いています。

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図1 システム概要イメージ


今回の改訂では、UC-1 土石流シミュレーションを中心に以下の機能追加を行いました。

(1)LandXMLファイルのインポートに対応
(2)降雨強度とUC-win/Roadの地形情報を用いたハイドログラフの自動計算に対応
(3)砂防堰堤の設計・3DCADとのデータ連携に対応
(4)川幅の一括設定に対応
(5)固定床および移動床の座標値設定に対応

降雨強度とUC-win/Roadの地形情報を用いたハイドログラフの自動計算に対応

本製品で時系列の土石流量を計算するためには、河川あるいは土石流の流路に流入する流量をハイドログラフとして入力する必要があります。しかし、ハイドログラフを作成するためには、流量を別途計算するか、観測所のデータを用意しなければなりません。そこで今回の改訂では、降雨強度とUC-win/Roadの地形情報を用いてその流量を計算し、ハイドログラフとして入力できるように対応しました。

流量の計算には、流出解析の手法として一般的な「Kinematic Wave法」を用います。その概念(図1)は、流域を分割して単純なモデルに置き換え、各区間の流出量を単位時間ごとに計算します。当然、上流側からの流出が有る場合、それも含めて計算します。それにより、流域の端部における時系列の流量が求まるため、これをハイドログラフとして入力します。

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図2 ハイドログラフの自動生成イメージ

図3 Kinematic Wave法の概念図

LandXMLデータのインポートに対応

『UC-1 土石流シミュレーション』では、2次元領域の設定において、別途用意されたDEM(Digital Elevation Model)のインポートに対応していましたが、今回の改訂では、これに加えBIM/CIMにおいても利活用が推進されているLandXMLファイルのインポートにも対応しました。これにより、各種の検討や設計の場面で多く利用されているLandXML形式の地形による土石流シミュレーションが可能となりました。

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図4 LandXMLインポートによる活用イメージ

砂防堰堤の設計・3DCADとのデータ連携に対応

本製品では、堰堤の高さや位置が適切であるかの検討には対応しておりますが、安定計算を行うことができません。そのため、各堰堤に対し、設計ソフトを用いた安定計算を別途行う必要があります。しかし、全堰堤の諸条件を計算ソフトへ入力することは、大変煩雑です。そこで、本製品で入力した堰堤に関する諸条件を基に「砂防堰堤の設計・3DCAD」用のデータにエクスポートする機能を追加しました。これにより、「砂防堰堤の設計・3DCAD」における入力を簡略化することができ、よりスムーズな設計ができるようになります。

また、エクスポート時に入力されていた諸条件を「砂防堰堤の設計・3DCAD」において変更した場合、本製品の「構造物(砂防堰堤)の詳細設定」画面にてインポートすることで、堰堤の高さ等の諸条件を更新することも可能です。

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図5 UC-1土石流シミュレーション/砂防堰堤の設計・3DCAD連携イメージ

おわりに

今回ご紹介しました改訂内容に加え、「川幅の一括設定」や「固定床・移動床の座標値入力」への対応など、利便性の向上を目的とした様々な機能改善および拡張を多数行っています。頻発する土石流災害への事前検討ツールとして是非お役立てください。


(Up&Coming '20 秋の号掲載)

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