(一社)先進路面摩擦データベース研究組合

一般社団法人 先進路面摩擦データベース研究組合(CAR-FD)は、自動車の制動時の安全性に関わる実路面の摩擦特性を計測し、そのデータベース構築を行うことにより、新たな自動車やタイヤ開発時の支援、路面状況の劣化等の計測、自動操縦車両への安全運行支援など、道路交通の安全性に寄与することを目的として、2020年4月に設立されました。現在は路面摩擦に関する研究を行っており、活動に賛同する法人、個人を対象に幅広く会員を募集。日本大学生産工学部自動車工学リサーチセンター(NU-CAR)を連携組織として、日本大学名誉教授 景山一郎氏が代表理事を務められています。ここでは、研究組合における2つの研究事例を紹介します。

研究事例1:データベース構築に向けた研究結果

自動車の安全性向上と新たな制御システム設計には、実路の摩擦特性の把握が必要であり、そのために、摩擦特性計測手法および計測装置の開発を進めています。タイヤのスリップ比により変化する摩擦係数を、走行方向に対して連続的に知ることにより、制動時の摩擦特性の全容が把握できます。この摩擦特性の着目すべき特徴点は次の通りです。

1.最大摩擦係数
2.最大摩擦係数を発生させるスリップ比
3.制動係数(摩擦係数の立ち上がり傾き)
4.ロック時の摩擦係数

 

そこで、3水準のスリップ比で走行方向に対して連続的に摩擦係数を計測し、その結果から、これらの特徴点を走行方向に連続的に求める手法を構築します。ここでは、デルフト工科大学Pacejk教授が提案した簡易的なマジックフォーミュラー(超越関数)を用い、前述の値を求めます。

この式中の係数a、b、cを計測結果から同定することで、前述の4つの値が推定できるはずです。これが可能なことを確認するために、異なる状況における種々の計測データを用い、この同定の確からしさを検証する必要があります。ここでは、以下に示す路面、タイヤ、荷重等を変化させた幅広い計測結果を使用しています。

マジックフォーミュラー(MF)による推定結果と実計測結果を、特性の異なる代表的な3種類のデータで比較したものが次の図となります。

これにより、特性の異なる特徴的な結果が同定できていることがわかります。解析に用いた全データにて、同定して得た4つの特徴点をそれぞれ実計測結果と比較した結果、両者の間には良い相関が見られ、実路の特性を精度良く推定できそうなことが確認されました。そこで今後、計測装置を開発し、道路位置情報に対応した路面摩擦データベースの構築を予定しています。

研究事例2:実路の先進路面摩擦データベース構築の意義

本研究組合の広域実路摩擦データベース構築により、これから普及する自動操縦車両を含め、今後の自動車社会の安全性を飛躍的に向上させる「車両前方路面摩擦推定システム」構築が可能となります。

■フォーラムエイトにおける展開

弊社では、本研究会で構築されたデータベースとの連携も視野に入れ、会員企業として活動を行っています。自動車関連システムへの適用や、道路関連業務において検索インターフェース上で個別システムまたは各種データを相互に関連付けて利用(登録・検索・表示・印刷出力)できる、UC-1インフラデジタルデータベースとの連携も予定しています。皆様もぜひ、研究組合への入会をご検討ください。

(Up&Coming '21 新年号掲載)