Vol.6

株式会社アークハウス

代表取締役 今道 栄治さん

URLhttp://www.archouse.co.jp/

所在地大阪市東淀川区

プロフィール

「3D VISUALS」のサブタイトルを自ら冠する、株式会社アークハウス。商業施設やオフィス向けを中心とするインテリアや建築のデザイン、3次元コンピュータグラフィックス(3D CG)パースの制作などで豊富な実績を誇ります。同社は1990年、インテリアデザイン、建築設計事務所としてスタート。当時はまだ全て手書きの時代でドラフター利用の製図、あるいはボードや画材を用いたパース作成での業務が通常の時代でした。その後、コンピュータの性能や関連するソフトウェアの機能が長足の進歩を遂げてきたのを背景に、インテリアや建築のデザインプロセスにいち早くパソコン(PC)を導入。多様な空間デザインに先進のCG技術の可能性を駆使する、独自のデザインスタイルを構築してきています。同社代表取締役の今道栄治さんは自ら、20年以上にわたり各種プロジェクトにおいてShadeを使用。蓄積したそのノウハウの一端は、「Shade3Dマーケットプレイス」からも広く提供されるに至っています。

建築・インテリアのデザイン~プレゼンをShade3Dで一貫対応も
「Shade3Dマーケットプレイス」を活用、今後のVR展開も視野

「当初は(専ら)手描きのパースを基にプレゼンをしていた」(今道さん)という株式会社アークハウスが、最初にPCを導入したのは会社設立から間もない30年近く前に遡ります。ただ当時はPCの処理能力、あるいはCADや3D CGなどソフトの機能や価格面の制約もあり、企画書作成やグラフィックソフトによる図面作成などへの適用にとどまっていました。

それが、PCの性能向上に加え、かつて高額だった3D CGソフト自体の価格も手ごろになってきたことから、同社は20数年前にShade R1(当時)を初めて購入しています。3Dソフトの導入に当たっては、1)日本語で使えること、2)静止画中心のCGパース制作に必要な機能の充実、3)2Dグラフィックソフトを通じ慣れていたベジェ曲線が使えるなど既存ソフトとの親和性、などの側面からまず注目。さらに、1)掃引体、回転体および自由曲面により形状を生成するプロセスが建築の考え方に馴染みやすい、2)想像する世界をコンピュータ上で手描き感覚で表現できる、といった特性を有することがShadeを選ぶ決め手になったといいます。

導入後はしばらく、Shadeを使用する作業は専属の社員がオペレーションをする体制で試行錯誤を繰り返しました。この前任者が20年ほど前、退職することになったのを機に一念発起し、今道さん自身がShadeを使ったパース制作を継承することとしました。

もともと「手描きの人間だった」と自称する今道さんでしたが、前任者が作成し残してくれたデータとノウハウを有効活用。他の同様ソフトの場合、まず理屈を理解しないと使えないのに対し、「見よう見まね」(同氏)でShadeに取り組むうちに操作をほぼ把握。その上、Shade3D公式サイトのチュートリアルなども利用しながら、直感的に使えるまでに精通してきたと振り返ります。

この間、版を重ねるごとにShadeの機能は着実に高度化。PCの高性能化と相まって、より大きなデータを扱えるようになるとともに、表現力が大幅に向上。デザイン事務所や建築事務所向け3D CGパース制作への対応も本格化してきました。

また、同氏らはShade3D独自の機能を最大限に活用。例えば、時間的制約が厳しいケースなどではデザインからプレゼン資料作成までの一貫した作業の全工程を、Shade上で作業しています。デザイン、イメージプラン、プレゼン用着色図面からイメージカット、3D CGパース、時にはムービーに至るプレゼン資料の作成をワンアプリケーションで完結し効率的かつ短時間に実現しているといいます。

一方、同社はこれまでに、サードパーティ向けオンラインストア「Shade3Dマーケットプレイス」へインテリアデザインのプレゼン用パースに特化したオリジナルデータ集を出品。そこには家具や照明器具、光源などを対象とし、レンダリングや材質、ライティングなどの各種設定を通じ、自身らの長年蓄積してきた実践的なノウハウを反映。初心者向けからプロフェッショナルなニーズまで幅広く対応すべく意図されています。同社では現在、同オンラインストア向け第2弾となるコンテンツも準備中です。

今後のShade3D活用という面で、今道さんはVR展開の可能性に注目します。これまでもプレゼン用にVRを作成したことがあるものの、「社会(=プレゼンの場)にVR利用の必要性がまだ、形になっていない」ことを実感。Shade3DにおけるVR関連機能の更なる強化への期待とともに、VRによる新しいニーズが生まれるような表現方法を模索していきたいとの思いを述べます。

執筆:池野隆
(Up&Coming '20 盛夏号掲載)