連載 【第30回】
サプリメントを摂っていますか?

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関西医科大学卒業、京都大学大学院博士課程修了。マウントシナイ医科大学留学。東京慈恵会医科大学助手、帯津三敬塾クリ
ニック院長を経て現在、ピュシス統合医療クリニック院長。公益財団法人未来工学研究所研究参与、統合医療 アール研究所所長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本心療内科学会登録指導医、日本心身医学会専門医、日本森田療法学会認定医。日本医師会認定産業医。日本統合医療学会業務執行理事・認定医。日本メディカルホメオパシー学会専務理事・専門医。Institute for Mindfulness-Based Approaches認定MBSR講師。全米ヨガアライアンス認定RYT500。『妊娠力心と体の8つの習慣』監訳。『花粉症にはホメオパシーがいい』『がんという病と生きる森田療法による不安からの回復』共著。『1分で眠れる4-7-8呼吸』監修など多数。


 健康のためにどのサプリメントを摂ったらいいのか?人に勧められて、よいからといって、どんどん増えていくサプリメント。今回はサプリメントについて考えてみます。


サプリメントと健康食品

 サプリメントと健康食品の間には明確な行政的な定義がないとされています。一般的に健康食品とは、健康の保持増進に関する食品全般を指します。サプリメントとは動植物や微生物から機能性成分を分離・抽出し、一般食品として配合し、生体調節機能をより効率的に発現させる食品のことで、「特定の成分が凝縮された錠剤やカプセル形状の製品」を指します。日本では菓子や飲料、医薬品と類似した錠剤・カプセルなどもサプリメントと呼ばれることがありますが、米国ではDietary Supplementとして、従来の食品や医薬品とは異なるカテゴリーの商品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブなどの成分を含んだ、通常の食品と紛らわしくない形状のものと定義されています。

健康食品の分類について

 国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」により、図1のようになっています。

栄養機能食品は、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定めた下限・上限値の基準に適合している食品、n-3系脂肪酸(1種類)/ミネラル類(6種類)/ビタミン類(13種類)の20成分に限り表示されています。

特定保健用食品「トクホ」は、人での安全性と効果を、個別製品として審査し、消費者庁長官が保健機能(健康の維持・増進に役立つ効果等)の表示を許可した食品のことです。商品には「トクホ」マークの表示があります。

機能性表示食品は、2015年に新たな制度により表示されるようになりました。それまでは、体の調子を整える効果(機能性)があることを表示することができる食品は、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に限られていましたが、機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるように「機能性表示食品」制度が作られました。科学的根拠に基づいた特定の保健の目的が期待できる機能性を表示した食品です。

サプリメントを選ぶ時の3つのポイント

① 安全性 :GMPのマークのついた製品は一定の品質が確保されています(図2)。
② 有効性 :成分の名称と含有量を確認し、必要とする成分が必要な量、含まれているかどうかチェックします。
③ 経済性 :サプリメントは毎日摂取する食品であるともいえます。そのため、続けられる価格の製品を選ぶことをお勧めします。

医薬品とサプリメントの併用

 図3にサプリメント・機能性食品成分の適応症状を示しています。すでに医薬品を服用している人がサプリメントを摂ることにより、病状を悪化させたり、治療薬の作用を強めたり、反対に弱めたりと影響を与えることがあります。医薬品の添付文書にはサプリメントの相互作用の項目が記載されています。必要に応じて医師や薬剤師に相談してください。

 医薬品との併用に注意が必要(禁忌)なものとして、セントジョーンズワート(CYP3A4)の有害事象が報告されています。一方、医薬品との併用が推奨できる成分として、コエンザイムQ10(スタチン剤)、マリアアザミ(アセトアミノフェン)、乳酸菌(抗生剤)が挙げられます。医薬品との併用が可能なものとして、グルコサミン、コンドロイチンや糖尿病対策としてのαグルコシダーゼ阻害やαアミラーゼ阻害作用を有する成分などがあります。

 多くの人が医薬品のようにカプセルや錠剤の形をしたサプリメントを摂ることで、「健康に良い」というよりも症状がよくなるのではと期待したりしています。医薬基盤・健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」をサプリメントを摂る前に目を通すことで少しでも健康被害が起こる可能性が低くなればと思います。

 




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(Up&Coming '25 盛夏号掲載)
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