「うつ」の悪循環
「うつ」がつづくと動けなくなり、出来たこともができなくなります。そうすると自信もなくなり、だめな自分と否定的に考え、さらに落ち込みます。そしてますます動けなくなる負のスパイラル(悪循環)に入っていきます。自分でこのスパイラルから抜け出し、何とかしようとすると泥沼にはまった車がアクセルをかけるように空回りするだけです。その結果、そのスパイラルに「とらわれ」ていきます。このような「うつ」の悪循環にいる状態、とらわれている「こころ」のあり方は「こころ」をかたくしていきます。図1には「うつの悪循環」を示しています。
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図1 |
「うつの悪循環」に陥りやすい人は
- 完全主義「べき」主義、理想主義:「~すべき,かくあるべき」ねばならない考え、理想と現実の自分とのギャップが大きい「100点か0点」
- 心配性で周りの環境に敏感:細部にこだわる
- 他人からの評価を意識する、傷つきやすい
- 過剰適応:まじめにやりすぎる、過剰にやりすぎる
- 自分で何とかしようとする:何とかそこから抜け出そうと努力する
- 気分ばかりで行動・事実がみえていない
- 過去のすんだことを思い悩み、落ち込む
- 先のことを予期し、より不安になる
の傾向があります。考えれば考えるほど悩み、過去を振り返れば「うつ」になり、未来を思案するとより不安になります。「うつ」と違い不安はもともと「こころ」を守る防御機制ですが、量的に過度となったり、反復して出現するようになると病的になります。「うつ」や不安は「こころ」をかたくしていきます。マインドフルネスストレス低減法(MBSR)や森田療法などは「こころを緩める方法」といえます。図2にMBSRで行うマインドフルネス瞑想の7つの姿勢を示します。「~すべき、ねばならない」という完全主義から悪循環に陥り、固くなった「こころ」から「まあいいか」と現実を受け入れる緩い「こころ」が「うつ」から抜け出すことになります。先を考えたり、過去を振り返るのではなく、「今・ここで」を大切にするマインドフルなこころは、自然な「こころ」のあり方といえます。そうはいってもなかなか難しいという人は、まず「こころ」を緩めるには頭で考えることを休めることです。頭で考えて考えて自分でなんで、どうしてと堂々巡りする中で、頭を働かせることよりも、身体を動かすこと、呼吸に意識を向けるだけで少しずつ変わっていきます。まず頭を働かせないことからはじめてください。
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図2 |
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