3D・CGコンテンツ事業を展開するゲーム開発グループによる本連載では、
同社のゲームコンテンツ関連技術とUC-win/RoadのVR技術とのコラボレーションによる新たな展開から、
クリエイター陣による企画・制作のノウハウまで、様々な内容を紹介していきます。

スイート千鳥エンジンエディターの各種機能紹介

概要

スイート千鳥エンジン®は、アカデミー、非商用用途であれば、無料で利用できる国産ゲームエンジンです。スイート千鳥エンジンエディターは、スイート千鳥エンジン®の機能をUI(ユーザインタフェース)を通して使用できるエディターです。2022年10月リリースのスイート千鳥エンジン®Ver.2から搭載しました。

従来、スイート千鳥エンジン®を使用してアプリを作成する場合は、コーディングした後、ビルドを実行して、結果を確認していました。

スイート千鳥エンジンエディターでは、UI上でモデルや画像などを配置したり、表示位置やサイズを調整したりすることができるため、コーディングを行わずに、また、結果をその場で確認しながらアプリを作成することができます。

なお、アプリの作成には、スイート千鳥エンジン®とVisual Studio2019が必要となります。

1. メニュー
プロジェクトの新規作成や保存、読み込み、アプリの出力などを行います。

2. シーンビュー
アプリ画面のプレビューを表示します。

3. オブジェクトリスト
プロジェクトに追加されているシーンやオブジェクトがツリー構造で表示されます。プロジェクト、シーン、オブジェクトの右クリックメニューから、シーンやオブジェクトの追加、削除、名称変更が行えます。

4. プロパティリスト
選択中のシーンやオブジェクト、アセットデータのプロパティが表示されます。プロパティの変更が行えます。また、シーンやオブジェクトへのオブジェクトの追加も行えます。

5. データリスト
プロジェクトに追加されたアセットデータの一覧が表示されます。アセットデータは、追加するアセットデータの種類を選択して追加します。 また、右クリックメニューから、アセットフォルダを追加することができます。

画像をクリックすると大きな画像が表示されま

図1 画面構成

追加できる要素一覧

スイート千鳥エンジンエディターでは、以下の要素を追加できます。シーン、カメラ、ライト、モデル、バーテックスバッファ、ビットマップフォント、UIデータのパラメータの変更は、シーンビューにリアルタイムに反映されます。また、シーン以外の要素(オブジェクト)は親子関係にできるものがあり、親を非表示にすることで子孫要素も非表示にしたり、親を移動させることで子孫要素を追従して移動させたりすることができます。

・シーン
1つの場面を管理する要素で、プロジェクトに複数追加できます。背景色や環境光(アンビエントライト)の色を設定できます。また、表示非表示を切り替える機能もあり、アプリの状況に応じて表示したいモデルやライトなどを切り替える際に活用できます。

・カメラ
透視投影カメラと平行投影カメラに対応しています。複数追加することができますが、プロジェクト全体で1つのみ有効にできます。

・ライト
ディレクショナルライトとスポットライトに対応しています。

・モデル
FBX形式の3Dモデルの表示に対応しています。また、モデルを構成する部品であるトランスフォームを指定して、モデルを変形(位置移動、スケール変更、回転)させることが可能です。

・モーション
FBX形式の3Dモデルのアニメーションに対応しています。モデルに対して追加することができます。ループ再生させるかどうかを指定できます。

・バーテックスバッファ
2Dと3Dのバーテックスバッファに対応しており、テクスチャをシーン内に表示することができます。2Dはウインドウ上に2Dで表示されるもので、UIとして利用できます。3Dはシーンの3D空間内に表示されるもので、地面や背景など板状で表現できるものに利用できます。

・パーティクルエフェクト
スイート千鳥エンジン®に同梱しているpapetプラグインで作成したパーティクルエフェクトデータの再生に対応しています。パーティクルの放出位置や方向、サイズの変更や、ループ再生させるかどうかを指定できます。

・ビットマップフォント
スイート千鳥エンジン®に同梱しているビットマップフォント作成ツールで作成したビットマップフォントを表示できます。テキスト内容や表示位置、文字色を指定できます。

・サウンド
登録再生サウンドとストリーミング再生サウンドに対応しています。登録再生サウンドはSEとして、ストリーミング再生サウンドはBGMとして利用するのに適しています。

・ムービー
Motion JPEG形式のムービーデータの再生に対応しています。なお、スイート千鳥エンジンに同梱している動画変換ツールで、任意フォーマットのムービーファイルをMotion JPEG形式に変換することができます。

・UIデータ
スイート千鳥エンジン®に同梱している千鳥エディターで作成したUIデータを表示できます。表示位置や色など、いくつかのパラメータはスイート千鳥エンジンエディター上でも調整することができます。

・アセットデータ
アセットデータはモデルやバーテックスバッファなどのオブジェクトで使用される素材データです。1つのアセットデータを複数のオブジェクトで使用することもできます。

プレイモード

ビルドして、アプリを作成する前に、シーンの表示を確認できる機能です。プレイモード画面では、エディター上では再生されないモデルのアニメーションやパーティクルエフェクト、サウンド、ムービーの再生を確認することができます。ここで確認した後、最終的なビルドを実行してゲームを作成します。

プレイモード画面では、マウス操作による視点変更が可能です。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます

図2 プレイモード起動方法

画像をクリックすると大きな画像が表示されま

図3 プレイモード画面

アプリの出力

作成した内容はC#のソースコードを含んだVisual Studioのプロジェクトファイルとして出力できます。そのプロジェクトをビルドすることで実行ファイル(exeファイル)が作成され、アプリとして出力できます。なお、出力されたC#のソースコードを編集することで、スイート千鳥エンジンエディターで行えるよりも細かい要素の制御や、詳細な処理を実装することも可能です。

今後の開発予定

今後のスイート千鳥エンジンエディターの開発予定として、エディター上でのボタンクリックや描画との連携イベントの設定、ビルド作業のバックグラウンド化、ポストエフェクト設定対応、コリジョン機能対応などの拡張を順次予定しています。ぜひ、皆様、各種ゲーム開発にスイート千鳥エンジン®をご活用ください。

(Up&Coming '23 新年号掲載)



前ページ
    
インデックス
    
次ページ


Up&Coming

LOADING