2020年シーズンのWRC(世界ラリー選手権)の一戦で、約10年ぶりに日本ラウンド開催が決定した2019年、そのテストイベントとして位置付けられた「CentralRally Aichi/Gifu 2019」が開催。ノンタイトル戦とはいっても、全日本トップ選手たちが白熱のバトルを繰り広げるラリーとなり、WRCへの期待が高まりました。残念ながら、2020年、21年ともにWRC開催が叶わず抱いた悔しさを、選手、スタッフ、関係者が「開催するパワー」に置き換え、感染予防対策など、これまでなかった課題を解決しながら「フォーラムエイト セントラルラリー2021」を成功に導きました。

セントラルラリーのオープニングセレモニーに先駆けて、「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」の開催概要発表が行われ、大会名称『FIA世界ラリー選手権(WRC)フォーラムエイト・ラリージャパン2022』が来年2022年11月10~13日に開催されることが発表されました。

ラリージャパン事務局長の鈴木賢志氏、自民党モータースポーツ議連会長の古屋圭司議員、愛知県大村秀章知事、岐阜県古田肇知事。GAZOO Racing Company佐藤恒治氏、岡崎市長中根康浩氏、豊田市長太田稔彦氏、恵那市長小坂喬峰氏、中津川副市長渡辺卓氏、そして協賛社の代表としてフォーラムエイト伊藤社長が参加し、WRC開催に向けての熱い思いを語りました。

2022年開催にむけ精一杯の支援をおこない、世界に向けて発信し、いいラリーが開催されるために尽力します!(フォーラムエイト 代表取締役社長 伊藤裕二)

セレモニアルスタートたくさんのギャラリー報道陣が見守る中、スタートフラッグを揚げる弊社 伊藤社長

古屋議員は、日本が世界一の自動車産業を誇っているにもかかわらず、モータースポーツ文化が根づいていないこと、若者が働いて、お金を貯め、レースに出ることで車の楽しさ、危ないことを知る。その好循環を通してモーター文化を定着させていこう。正しい情報を理解しPRして、本来の意味を知って盛り上げることが重要で、まちおこし、地域振興、青少年の健全育成などを目指し、それが日本を元気にしていくきっかけになると語られました。

古屋議員は現在も草レースの現役レーサーとして活動中です。また、フォーラムエイトのVRシミュレーションソフトについて、モータースポーツをより効率的にすることに役立てられる、ふさわしいプロダクトであるとコメントされました。

愛知県大村知事は、愛知県は世界一の自動車産業の集積地。自動車、自動車文化、モータースポーツを国内外に広め、ヨーロッパと並んで、自動車文化、モータースポーツの中心、聖地をめざす。ラリージャパンを機に、さらにモータースポーツを広げていけるように、皆さんと一緒に頑張っていきたい。と力強いメッセージ。1年後にはオープンしているジブリパークについて、ラリージャパンとジブリパークの両方を楽しんでいただければと思います。としっかりアピール。

自民党モータースポーツ議連会長 古屋圭司議員

愛知県 大村秀章知事

岐阜県古田知事は、岐阜県は2市、中津川市、恵那市の開催地決定をうけ、大変ワクワクしている。かくなるうえは岐阜県民200万人を挙げて歓迎をし、調整や、様々なイベント企画はもちろん、ラリージャパンの魅力発信、そして岐阜県の魅力発信を大いに盛り上げていきたいと意気込みを語られました。

GAZOO Racing Company プレジデント 佐藤恒治氏は、ラリーの魅力は世界最高峰の車とドライバーがしのぎを削ること。同時に世界各国の美しい景色と車が一体となったその美しさ、各地域、地域とクルマとともに育む自然の豊かさといったようなものを感じ取れることもWRCの魅力のひとつ。愛知県、岐阜県には世界に堂々と誇れる、美しい里山がある。WRCを通じ日本の美しさを是非とも世界に発信して、この日本の魅力をお伝えしていきたいと参戦チームを代表してあいさつがありました。

岐阜県 古田肇知事

GAZOO Racing Company
プレジデント 佐藤恒治氏

モータースポーツ振興議員連盟の事務局長に抜擢された衆議院議員の山本左近氏も会場に駆けつけられました。

左から)開催市町の、中根康浩岡崎市長、太田稔彦豊田市長、小坂喬峰恵那市長、渡辺卓中津川副市長

左から)サンズ鈴木氏、フォーラムエイト伊藤社長、衆議院議員山本左近氏、古屋議員、大村愛知県知事、古田岐阜県知事、佐藤プレジデント

イベント会場フォーラムエイトラリージャパンブース前には、公式デモカー展示。FORUM8ラッピングカーがお出迎え。WRCオフィシャルグッズはどれにしようか迷います

左)マグロならぬ、ボクサーエンジン解体ショー
右)超生命体も全力応援中

サービスパークファンの歓声が響きます。パーク内にガードレールで仕切られた見学用通路から、作業の様子を間近に見ることができます

バック側コンコース安全運転シミュレータの展示を行いました。別のブースで入手した紙製のヘルメットをかぶったちびっ子たちが列をつくり、順番がくると颯爽とシートに座り、カッコいい未来のドライバーデビューを果たしていました。実際の車をたくさん目にして、大きな本物の部品に驚き、そのワクワクした気持ちで、VRを使っての運転体験は、「憧れの自動車」を知るフルコースとして楽しめたのではないでしょうか。マスクにヘルメットも本物らしい演出に一役買っています

セントラルラリーお楽しみマップ

ラリーの幕開けを告げるセレモニアルスタート。特設ゲートから各選手が1台ずつスペシャルステージへと向かっていきます。これから2日間、長丁場の戦いに挑む選手たちに声援を送ります

セレモニアルスタート

豊田スタジアム近く

来た!移動中の選手をトラッキングするアプリをダウンロードして、待ち伏せ。(みんな使えます)

旗と手、全身を使って大アピール。大人になっても、手を振りかえしてもらえると、控えめにいっても嬉しい

豊田市稲武町江戸から明治にかけて塩の中継ぎ問屋だった大和屋さんの前を通過。平入り屋根が特徴的な建物が残る美しい街並み。ラリーのことを知らずに観光に来ていた人も一緒に応援

林道コースコースを間違わないように設置するガードの視認性チェックも入念に行われます

フィニッシュ 旭高原元気村

TOYOTA Gazoo Racing 勝田範彦選手・木村裕介選手チームR-1クラスで優勝!おめでとうございます! 表彰式では豊田市 太田市長からも「ラリーを街づくりにいかす」と力強いメッセージ

岡崎ラリーコース 岡崎城をバックにWRCカーによるデモラン

岡崎城横には「三河武士のやかた家康館」があります。岡崎の小学生は全員!?ここで家康精神を学ぶ重要スポット。今回、唯一SSが観戦できた岡崎乙川河川敷特設ステージ

リエゾン 岡崎市 菅生神社前徳川家康公が厄除け祈願した岡崎最古の神社。パワースポットで待機

やりたいと思った時に、やってみたらいい!

ゴール直後、白いリボンとピンクの車体が一際目立つ Rally Team Kireidokoro の皆さんが集まっているところを直撃。このチームは女性限定で、子育て現役中、または卒業された方などが、「よしもう一回走ろう!」と集まったメンバー。豊富な経験をもち、女性がもっと参戦できるようになることを願い、奮闘されています。

「やりたいと思った時に、やってみたらいいんですよ」「いつでも大歓迎。最初はみんな初めてだから、いきなりドライバーが無理と思ったら、サービスからでもいいし。車のことを知るところからでいいんですよ」と話す表情は明るく優しい。車の整備や運営はみんなで力を合わせて行う。試合では、ドライバーの日もあればコ・ドラの時もあり、ペアも試合ごとさまざまな組み合わせで参戦されています。

あまりにも楽しそうで、自分にもできるんじゃないかしら?とうっかり、入会案内ください!と言ってしまいそうになりました(笑)。

ラリー初観戦で知ったこと。伝えたいこと。

スタート前日、TOYOTA GAZOO Racing チームのガレージでお話を聞くことができました。どうやって乗り込めばいいのかわからないほど強固に組み上げられたロールバー。ともすれば車両本体より高価になることもあるというシートは、椅子というよりむしろ、揺りカゴというか、SF映画のカプセルのよう。激しく揺れるコースでは、座るというより、力を抜いて、すっぽり身をゆだねているそうです。

意外な発見は、ペースノート収納ポケットや、選手によってペンを差し込むところなど、さまざまな工夫が施されていること。ちなみにエアコンがないので”うちわ”は「まぁまぁ必需品」だとか。表情は穏やかですが、目の奥は職人魂がメラメラ。ここには硬派な技術者しかいない。

新技術などを取り入れ、ラリーで酷使した結果をフィードバックし、市販車の安全や操作性に活用するという大事な現場にいることに、武者震い。

モータースポーツは”暴走集団”にあらず。硬派で渋い技術者集団だ!

豊田スタジアムに設けられたサービスパークでは各チーム決められた場所で、車両の整備が行われます。フォーラムエイトのロゴが入った、ゼッケンの役割を果たすステッカーを丁寧に車両に貼り付ける姿。もともとあるスポンサーのシールを隠さないように工夫しながら、湾曲したドアに貼り付ける真剣な眼差しに、「ガチ勢」の心意気を感じるのでした。

モータースポーツを文化にするとは?

なにかを社会に根付かせ、文化にするということは容易いことではありません。

歴史があり、皆が参加して楽しくて、共通の価値観を持ち、次々受け継いでいくことは1人でできるものではなく、地域や行政、時に警察や消防などみんなを巻き込み盛り上げていくことが必要です。かなり困難な課題に見えます。

ラリー会場を見渡すと、犬の散歩がてら3日間とも訪れる人、岡崎市のステージを観た後、サービスパークも見ておこうと日暮れに早足で来られたご夫婦など、休日のひとときを慣れた様子でラリーを楽しんでおられました。すでにこの地域では恒例イベントとして定着してきているようにみえます。期間中、豊田スタジアムでは開催地域や企業のブースが設けられ多くの人で賑わっていました。

意外に気さくな選手、メカニックの方々。怖くなかった!

一点を見つめて仁王立ち、腕組みをして無言、右手を大きく振り上げてキャップを投げ捨てる。ちょっとそんな現場を想像していました。ところがそんなシーンに出会うことなく、時間があるときはインタビューにこたえたり、見学者との交流もこなす選手、スタッフ。しなやかにジャッキアップしたかと思うと、スルスルとタイヤを外し車体の下に潜り込む。ほぼ秒でこなす。早い、上手い、美しい。恐る恐る声をかけると、朗らかに対応いただき、軽く拍子抜け。

安全安心をつくる志

フィニッシュを迎える旭高原元気村では、ゴールのステージ準備が進められていました。ゲートの位置は、背景の紅葉が効果的に見える位置に設置されています。ゴールを待つチームスタッフは、「ベストを尽くして整備しているけれど、やっぱり心配は拭えないもの。ラリーコースとして使われる日本の道路はヨーロッパと比べて狭く、仕様も運転操作も日本の道路用に調整。ラリーという試合でありながら、実証実験の意味合いも大きく、そのフィードバックで安全な車づくりに役立てるという大きな目的があります」と語ります。ラリーが果たす役割を知れば知るほど目が離せません。

フォーラムエイト ラリージャパン 2022 スポンサー記念オリジナル卓上カレンダーを作成しました

(Up&Coming '22 新年号掲載)



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