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CASBEEにおけるDesignBuilderの適用の可能性について ('09.07.24掲載)
CASBEE®(建築物総合環境性能評価システム、(財)建築環境・省エネルギー機構)は建物を環境性能で評価し格付けする手法です。2009年7月現在全国14の自治体で導入されています。本システムは、一定規模以上の建築物を建てる際に提出を義務付けており、現在注目されている制度です。本システムでは、申請者は事前相談を経て申請、評価員による審査・質疑等を経て評価認証書の交付がされます。

エコロジーな建築手法を設計に取り入れていると評価されるシステムで、DesignBuilderを利用した設計によりCASBEE申請の項目のいくつかを満たすことができると考えられます。直接DesignBuilderのレポートが申請時の資料に使えることにはならないとしても、評価システムに適合する建物を検討する際にはDesignBuilderは多くの点で有効だと考えられます。

CASBEEは主にCO2削減に貢献する取り組みを評価するシステムで、評価項目は建築素材の選定や、騒音、光環境など非常に多岐にわたります。DesignBuilderを生かせると考えられる項目は、以下の通りです。

  • エネルギー採点項目
    PAL/CEC/ERR値により採点
    品確法における省エネルギー対策等級
    年間冷房負荷MJ/m2

    → PAL計算の方法に近似させられる。
    専用のソフトで計算した方が速いが、DBでのPAL計算結果も検討材料になりえる。

  • 建物の熱負荷抑制
    断熱性能 熱損失係数
    日射遮蔽性能 夏期日射取得係数
    外気負荷 全熱交換器など
    ダイレクトゲイン 日射取得による負荷低減

    →DBで断熱性能は設定項目なので項目に挙げられる。

  • 自然エネルギーの直接利用
    自然通風・自然換気システム
    例)アトリウムと連携した換気システム
    換気塔ソーラーシステムなど

    →DBのモデリングで再現可能、CFDで可視化できる。

  • 省エネルギー率
    省エネルギー率k = エネルギー利用効率化設備による省エネルギー量(MJ/年)/建物全体の年間一次エネルギー消費量(MJ/年)

    →DBではエネルギー消費量を計算できるので、この値を出すのに十分参考になる。

  • 評価に対する取組みの表
    参考に評価の表の一部を抜粋します(このような表がたくさんあります。)
    ちなみに下記表において、1-1) <1>地域気象観測データ(アメダスデータ)等とありますが、Energyplusの気象データが認められるかは不明です(Bではアメダスデータは使用できません)。
    また、屋上緑化は計算上再現できます。風向きに対する配置や形状などはCFDで計算できます。

  • 結論
    DesignBuilderの解析結果がこのCASBEEの申請にそのまま使えるかは実際の申請先や評価員との協議になると思われます。
    CASBEEの中で「評価できる取組」に該当する建築手法の中で、DesignBuilderによって再現できるものは少なくなく、本システムに対し有効に活用できるソフトであると考えております。

評価する取組み

評価項目 評価内容 評価
ポイント
I
温熱環境の事前調査
1)
地域の温熱環境状況に関する事前調査の実施
<1>
近くの気象台データや地域気象観測データ(アメダスデータ)等の既存データを用いて、風向、風速、卓越風などの風環境を把握している場合(1ポイント)
1〜2
<2>
<1>に加えさらに、現地測定を行った場合や、広域気象データや地形データに基づいた広域大気環境予測システムで補完してより詳細に調査した場合(2ポイント)
II
敷地外への熱的な影響を低減する対策
2)
風下となる地域への風通しに配慮し、敷地外への熱的な影響を低減する
<1>
夏期の卓越風向(最も多い風向)に対する、建築物の見付け面積を低減する
 見付面積比が
  50% 以上 〜 70% 未満の場合 (1ポイント)
  30% 以上 〜 50% 未満の場合 (2ポイント)
  30% 未満の場合           (3ポイント)
1〜3
<2>
夏期の卓越風向(最も多い風向)に対する、建物の後退距離や隣棟間隔を確保する
 建物の高さに対する敷地境界からの後退距離の比率(2棟以上の建物がある場合には建物の高さに対する隣棟間隔の比率)が
  0.2 以上 〜 0.3 未満の場合 (1ポイント)
  0.3 以上 〜 0.4 未満の場合 (2ポイント)
  0.4 以上の場合          (3ポイント)
1〜3
3)
日陰を形成し、敷地外への熱的な影響を低減する
<1>
中・高木の緑地やピロティ、庇、パーゴラ等を設けることにより、敷地内の日陰の形成に努める(日陰)
 中・高木やピロティ等の水平投影面積率が
  10% 以上 〜 20% 未満の場合 (1ポイント)
  20% 以上 〜 30% 未満の場合 (2ポイント)
  30% 未満の場合           (3ポイント)
1〜3
4)
地表面被覆材に配慮し、敷地外への熱的な影響を低減する
<1>地表面に保水性・透水性が高い被覆材や、日射反射率の高い被覆材を使用する(地表面被覆材: 保水性・透水性舗装 又は高反射性舗装)
 保水性・透水性舗装等面積率が
   5% 以上 〜 10% 未満の場合 (1ポイント)
  10% 以上 〜 15% 未満の場合 (2ポイント)
  15% 以上の場合           (3ポイント)
1〜3
5)
建築外装材料等に配慮し、敷地外への熱的な影響を低減する
<1>
屋上の緑化に努める。また、日射反射率、長波放射率の高い屋根材を選定する(屋根材)
 屋根緑化等面積率が
  一部対策しているが 20% 未満の場合 (1ポイント)
  20% 以上 〜 40% 未満の場合     (2ポイント)
  40% 以上の場合               (3ポイント)
1〜3
<2>
外壁面の緑化に努める。また、日射反射率、長波放射率の高い外壁材料を選定する(壁面材)
 外壁面緑化等面積率が
  一部対策しているが 20% 未満の場合 (1ポイント)
  20% 以上 〜 40% 未満の場合     (2ポイント)
  40% 以上の場合               (3ポイント)
1〜3
6)
建築設備から大気への排熱量を低減する
<1>
建築の熱負荷抑制やエネルギーの効率的利用、自然・未利用エネルギーの利用などの適切な対策を講じる(熱負荷の抑制、エネルギー利用)
 建物の熱負荷抑制やエネルギーの効率的利用、自然・未利用エネルギーの利用などを行っている場合 (2ポイント)
2
<2>
建築設備からの排熱は低温にすること等により、気温上昇の抑制に努める(排熱温度の低減)
 気温上昇の抑制のための有効な対策を行っている場合 (2ポイント)
2
III
効果の確認
7)
シミュレーション等による温熱環境悪化改善の効果の確認
<1>
風向きに対する配置や形状の工夫を机上で検討(机上予測)している場合 (1ポイント)
1〜2
<2>
敷地周辺の地形、建物、緑地等の現況と計画建物に対して、流体数値シミュレーション等を行って影響を予測している場合 (2ポイント)

参考サイト : (財)建築環境・省エネルギー機構 CASBEE  http://www.ibec.or.jp/CASBEE/
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DesignBuilderの評価、推薦の言葉
大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻 矢吹 信喜 教授 ('09.03.25掲載)

日  時 2009年 3月 9日(月) 14:00〜15:30
場  所 大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻 矢吹信喜教授研究室
参加者 矢吹信喜教授、研究室大学院生4名、(株)フォーラムエイト遠藤(大阪)


 DesignBuilder社のチュートリアルPPTを紹介。矢吹信喜教授及び研究室大学院生にも同じPPTを紹介した。

●ソフトに対する感想
  • まだ使っていないが、大変良いソフトのように感じる。当研究室としても十分購入を検討するに値する。まずは学生に30日間ライセンス版を使わせる。価格(通常ライセンス14万円)も非常に安い。
  • これまでも日本の大規模な建設会社では、自社開発のエネルギー効率シミュレーションソフトを使っているが、基本的に大規模な建築に使用してペイするものが多く、DesignBuilderのように、一戸建ての住宅モデルに対してもシミュレーションできるものは少ない。その意味で、このソフトの導入は有益なものになる。

●考えられる販売先
  • まずは、建築、環境設備を専門とする大学研究者が研究目的で使ってもらえるだろう。研究論文も発表されると思う。
  • 企業は、最初は興味を示さないかもしれないが、大学研究者の研究成果や、企業による国への働きかけによって政策誘導ができれば、企業への導入もし易くなると思う。
  • そのほか、発電所・石油コンビナート・精油、精ガスプラントなどでは、建物内で大量の熱が発生するので、そのような所にも需要があるかもしれない。

●これからのローカライズについて
  • 日本向けに追加すべき機能については、すべてを理解したわけではないので、よく見てから検討する。
  • 日本で建築業界に売り込むには、日本語化は不可欠だろう。

●その他
  • ヨーロッパでは、このような研究が盛んである。従来のヨーロッパの住宅が省エネ型ではなかったこと、東欧が市場範囲に入ったことなどが大きな理由であるが、国の政策として、エネルギー効率を考慮した建築の促進に、補助金などの経済的インセンティブが導入されており、この分野での研究・実績が日本よりもさかんである。
  • 東大の野城(やしろ)教授が提唱している200年住宅というコンセプトが認知されつつあり、日本でもそういう方向に進みつつある。
  • ライバルソフトの存在について尋ねられたので、IESを紹介すると、DBの機能の優位性を知るためにIESについても独自に調べてみるとのこと。

●ソフトに関する質問

Q. DXF、DWGからのモデルインポートは可能か。
A. DXFに関してはインポート、エクスポートとも可能ですが、DWGについてはユーザーマニュアルの範囲では不可となります。

Q. IFCでのデータ変換は?
A. IFCについては現時点では全く触れられていません。

Q. ビルの外壁がすべて二重ガラスでできており、その中を、温まった空気が上昇したり、冷やされた空気が下降したりして、温度調節・断熱する構造を研究しているが、そのようなモデルの作成、解析は可能か?
A. 非常に大きい窓を設置することは可能ですし、窓を二重窓にする設定もあります。外壁と同じ大きさの二重窓を設置出来れば、あとの解析は可能と思います。そういう構造をモデル化できるかどうか、30日間ライセンス版で試してみてください。
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  Q&A (製品評価や導入の際に役立つQ&Aです)


 1.適用範囲

Q1−1. 製品概要は?
A1−1. DesignBuilder は、イギリスDesignBuilder 社により開発された建築シミュレーションソフトです。
米国エネルギー省開発の建物エネルギーシミュレーションプログラムであるEnergyPlus8.1と連動することによって、作成したモデルに対して光、温度、CO2などの環境をシミュレーションし、計画段階から環境に配慮した省エネルギー型の建物の設計ができるソフトウェアです。建築家、建設事業エンジニア、エネルギーコンサルタント、学生の使用に適しています。この度、日本での新たな建築シミュレーションソフトウェアとして弊社が独占販売することとなりました。
 
Q1−2. インポート・エクスポートの対応ファイル形式は?
A1−2. インポート:
DXF、PDF、BMP、JPG、PNG、GIF、TIFF、detailed survey data

エクスポート:
EnergyPlus Heating/Cooling design IDF file、model image(DXF、BMP、JPG、PNG、GIF、TIFF)、3-D DXF model、 CSV report file
   
Q1−3. 他製品との連携は?
A1−3. 建物内部での人間の活動により発生する熱やCO2のシミュレーション機能があり、建物モデル内部にUC-win/Roadの人間モデル等の動きを付加できる。敷地周辺環境を含めたVR検討も可能。
   
Q1−4. 主な活用例は?
A1−4. 建物エネルギー消費量の計算
過熱ファサードオプション評価
自然換気建物の熱シミュレーション
自然照明の使用による電灯照明節約の報告
放射シミュレーションを介した自然照明分布の予測
HVACと自然換気システムの詳細設計
敷地レイアウトと日陰の可視化
冷暖房装置サイズの計算
ASHRAE 90.1エネルギーモデル
英国、アイルランド、フランス、ポルトガルの建築法規と認証報告書
設計会議におけるコミュニケーション支援
教育ツール
   
Q1−5. 建物エネルギーシミュレーション支援サービスの対応は?
A1−5. DesignBuilderを使用した建物エネルギーシミュレーション支援サービスを実施しております。
シミュレーション支援サービスは戸建住宅のような小規模のものから、オフィス、複合建築、土木施設などを対象にしていきます。
お客様から図面や環境条件をいただき、必要な打ち合わせを経て、建物形状と環境諸条件を入力、解析をし、グラフやリスト、画像データとして出力し、報告書を作成、DesignBuilderデータと共にお客様に提出いたします。
   
Q1−6. 建築関連ソフトセミナーの対応は?
A1−6. 実際に、建物内部の温度・空気の流れ等を視覚化する操作の流れを体験できます。

詳細はこちら
http://www.forum8.co.jp/fair/fair05.htm
#DesignBuilder-taiken

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